(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141350
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】ロジック、信号伝達装置、電子機器、車両
(51)【国際特許分類】
H03K 5/04 20060101AFI20241003BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20241003BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20241003BHJP
H03K 17/00 20060101ALI20241003BHJP
H03K 17/567 20060101ALI20241003BHJP
H01F 19/02 20060101ALI20241003BHJP
H04L 25/49 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H03K5/04
H01L27/04 T
H01L27/04 F
G01R31/28 W
H03K17/00 B
H03K17/567
H01F19/02
H04L25/49 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052943
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠部 晃生
(72)【発明者】
【氏名】柳島 大輝
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 亮介
(72)【発明者】
【氏名】澤岡 広明
【テーマコード(参考)】
2G132
5E070
5F038
5J001
5J055
5K029
【Fターム(参考)】
2G132AA11
2G132AD10
2G132AK15
2G132AL11
5E070AA11
5E070DB02
5F038AZ04
5F038BG02
5F038BH10
5F038BH15
5F038CA02
5F038CA05
5F038CA18
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5F038CD10
5F038DF04
5F038DT02
5F038DT08
5F038DT15
5F038EZ02
5F038EZ07
5J001CC00
5J001DD04
5J055AX40
5J055BX16
5J055CX07
5J055CX28
5J055DX09
5J055DX52
5J055EY07
5J055EZ13
5J055EZ39
5J055GX02
5J055GX07
5J055GX08
5K029GG03
(57)【要約】
【課題】アナログ入力監視機能のテスタビリティを高める。
【解決手段】ロジック421は、複数のアナログ入力信号AIN1及びAIN2から単一のデューティ信号PWMを生成する。ロジック421は、動作モードとして、アナログ入力信号AIN1及びAIN2それぞれを時分割で順次監視しつつその監視期間毎にデューティ信号PWMのパルス周期を異なる長さに切り替えながらアナログ入力信号AIN1及びAIN2それぞれの信号値に応じてデューティ信号PWMのパルス幅制御を行う通常モードと、アナログ入力信号AIN1及びAIN2のうちいずれか一つを監視しつつその信号値に応じて固定長のパルス周期でデューティ信号PWMのパルス幅制御を行う第1テストモードと、を備える。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアナログ入力信号から単一のデューティ信号を生成するように構成されるロジックであって、
動作モードとして、
前記複数のアナログ入力信号それぞれを時分割で順次監視しつつその監視期間毎に前記デューティ信号のパルス周期を異なる長さに切り替えながら前記複数のアナログ入力信号それぞれの信号値に応じて前記デューティ信号のパルス幅制御を行う通常モードと、
前記複数のアナログ入力信号のうちいずれか一つを監視しつつその信号値に応じて固定長のパルス周期で前記デューティ信号のパルス幅制御を行う第1テストモードと、
を備える、ロジック。
【請求項2】
前記固定長のパルス周期は、前記通常モードで前記監視期間毎に切り替えられる複数のパルス周期を一通り足し合わせた長さを持つ、請求項1に記載のロジック。
【請求項3】
動作モードとして、前記デューティ信号のパルス幅を固定しつつ前記固定長のパルス周期で前記デューティ信号を出力する第2テストモードをさらに備える、請求項1に記載のロジック。
【請求項4】
前記複数のアナログ入力信号は、監視対象電圧に応じた第1アナログ入力信号と、監視対象温度に応じた第2アナログ入力信号と、を含む、請求項3に記載のロジック。
【請求項5】
前記第1アナログ入力信号及び前記第2アナログ入力信号の一方が所定の条件を満たしているときには前記通常モードから前記第1テストモードに移行して前記第1アナログ入力信号及び前記第2アナログ入力信号の他方を監視しつつその信号値に応じて前記固定長のパルス周期で前記デューティ信号のパルス幅制御を行う、請求項4に記載のロジック。
【請求項6】
前記第1アナログ入力信号及び前記第2アナログ入力信号の双方が所定の条件を満たしているときには前記通常モードから前記第2テストモードに移行して前記デューティ信号のパルス幅を固定しつつ前記固定長のパルス周期で前記デューティ信号を出力する、請求項4に記載のロジック。
【請求項7】
前記複数のアナログ入力信号のいずれか一つを選択することにより単一の選択アナログ入力信号として出力するように構成されたマルチプレクサと、
前記第1アナログ入力信号及び前記第2アナログ入力信号それぞれが所定の条件を満たしているか否かを判定して判定結果信号を出力するように構成された判定回路と、
前記選択アナログ入力信号の入力を受けて前記判定結果信号に応じた動作モードで前記デューティ信号を出力するように構成された送信回路と、
を備える、請求項4に記載のロジック。
【請求項8】
入力パルス信号から送信パルス信号を生成するように構成された第1チップと、
受信パルス信号からスイッチ素子を駆動するための出力パルス信号を生成するように構成された第2チップと、
前記第1チップと前記第2チップとの間を絶縁しつつ前記送信パルス信号を前記受信パルス信号として伝達するように構成された第3チップと、
を単一のパッケージに封止して成り、
請求項1~7のいずれか一項に記載のロジックは、前記第2チップに集積化される、信号伝達装置。
【請求項9】
請求項8に記載の信号伝達装置と、
前記出力パルス信号により駆動されるように構成された前記スイッチ素子と、
を備える、電子機器。
【請求項10】
請求項9に記載の電子機器を備える、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロジック、信号伝達装置、電子機器、及び、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一次回路系と二次回路系との間を電気的に絶縁しつつ、一次回路系と二次回路系との間で信号を伝達する信号伝達装置は、様々なアプリケーション(電源装置及びモータ駆動装置など)に用いられている。
【0003】
なお、上記に関連する従来技術の一例としては、本願出願人による特許文献1を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の信号伝達装置(特にアナログ入力監視機能を備えたロジック)では、テスタビリティ向上の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例えば、本開示に係るロジックは、複数のアナログ入力信号から単一のデューティ信号を生成するように構成されるロジックであって、動作モードとして、前記複数のアナログ入力信号それぞれを時分割で順次監視しつつその監視期間毎に前記デューティ信号のパルス周期を異なる長さに切り替えながら前記複数のアナログ入力信号それぞれの信号値に応じて前記デューティ信号のパルス幅制御を行う通常モードと、前記複数のアナログ入力信号のうちいずれか一つを監視しつつその信号値に応じて固定長のパルス周期で前記デューティ信号のパルス幅制御を行う第1テストモードと、を備える。
【0007】
なお、その他の特徴、要素、ステップ、利点、及び、特性については、以下に続く発明を実施するための形態及びこれに関する添付の図面によって、さらに明らかとなる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、アナログ入力監視機能のテスタビリティに優れたロジック、並びに、これを用いた信号伝達装置、電子機器及び車両を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、信号伝達装置の基本構成を示す図である。
【
図2】
図2は、トランスチップの基本構造を示す図である。
【
図3】
図3は、2チャンネル型のトランスチップとして用いられる半導体装置の斜視図である。
【
図5】
図5は、
図3の半導体装置において低電位コイルが形成された層を示す平面図である。
【
図6】
図6は、
図3の半導体装置において高電位コイルが形成された層を示す平面図である。
【
図7】
図7は、
図6に示すVIII-VIII線に沿う断面図である。
【
図8】
図8は、
図7に示す領域XIIIの拡大図(分離構造)を示す図である。
【
図9】
図9は、トランスチップのレイアウト例を模式的に示す図である。
【
図10】
図10は、信号伝達装置の一実施形態を示す図である。
【
図11】
図11は、ドライバチップの一構成例を示す図である。
【
図12】
図12は、アナログ入出力と動作モードの関係を示す図である。
【
図13】
図13は、アナログ出力信号(デューティ信号)の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<信号伝達装置(基本構成)>
図1は、信号伝達装置の基本構成を示す図である。本構成例の信号伝達装置200は、一次回路系200p(VCC1-GND1系)と二次回路系200s(VCC2-GND2系)との間を絶縁しつつ、一次回路系200pから二次回路系200sにパルス信号を伝達し、二次回路系200sに設けられたスイッチ素子(不図示)のゲートを駆動する半導体集積回路装置(いわゆる絶縁ゲートドライバIC)である。例えば、信号伝達装置200は、コントローラチップ210と、ドライバチップ220と、トランスチップ230と、を単一のパッケージに封止して成る。
【0011】
コントローラチップ210は、電源電圧VCC1(例えばGND1基準で最大7V)の供給を受けて動作する半導体チップである。コントローラチップ210には、例えば、パルス送信回路211と、バッファ212及び213が集積されている。
【0012】
パルス送信回路211は、入力パルス信号INに応じて送信パルス信号S11及びS21を生成するパルスジェネレータである。より具体的に述べると、パルス送信回路211は、入力パルス信号INがハイレベルである旨を通知するときには、送信パルス信号S11のパルス駆動(単発または複数発の送信パルス出力)を行い、入力パルス信号INがローレベルである旨を通知するときには、送信パルス信号S21のパルス駆動を行う。すなわち、パルス送信回路211は、入力パルス信号INの論理レベルに応じて、送信パルス信号S11及びS21のいずれか一方をパルス駆動する。
【0013】
バッファ212は、パルス送信回路211から送信パルス信号S11の入力を受けて、トランスチップ230(具体的にはトランス231)をパルス駆動する。
【0014】
バッファ213は、パルス送信回路211から送信パルス信号S21の入力を受けて、トランスチップ230(具体的にはトランス232)をパルス駆動する。
【0015】
ドライバチップ220は、電源電圧VCC2(例えばGND2基準で最大30V)の供給を受けて動作する半導体チップである。ドライバチップ220には、例えば、バッファ221及び222と、パルス受信回路223と、ドライバ224が集積されている。
【0016】
バッファ221は、トランスチップ230(具体的にはトランス231)に誘起される受信パルス信号S12を波形整形してパルス受信回路223に出力する。
【0017】
バッファ222は、トランスチップ230(具体的にはトランス232)に誘起される受信パルス信号S22を波形整形してパルス受信回路223に出力する。
【0018】
パルス受信回路223は、バッファ221及び222を介して入力される受信パルス信号S12及びS22に応じてドライバ224を駆動することにより出力パルス信号OUTを生成する。より具体的に述べると、パルス受信回路223は、受信パルス信号S12のパルス駆動を受けて出力パルス信号OUTをハイレベルに立ち上げる一方、受信パルス信号S22のパルス駆動を受けて出力パルス信号OUTをローレベルに立ち下げるようにドライバ224を駆動する。すなわち、パルス受信回路223は、入力パルス信号INの論理レベルに応じて出力パルス信号OUTの論理レベルを切り替える。なお、パルス受信回路223としては、例えば、RSフリップフロップを好適に用いることができる。
【0019】
ドライバ224は、パルス受信回路223の駆動制御に基づいて出力パルス信号OUTを生成する。
【0020】
トランスチップ230は、トランス231及び232を用いてコントローラチップ210とドライバチップ220との間を直流的に絶縁しつつ、パルス送信回路211から入力される送信パルス信号S11及びS21をそれぞれ受信パルス信号S12及びS22としてパルス受信回路223に出力する。なお、本明細書中において、「直流的に絶縁する」とは、絶縁すべき対象物が導体では接続されていないということである。
【0021】
より具体的に述べると、トランス231は、一次側コイル231pに入力される送信パルス信号S11に応じて、二次側コイル231sから受信パルス信号S12を出力する。一方、トランス232は、一次側コイル232pに入力される送信パルス信号S21に応じて、二次側コイル232sから受信パルス信号S22を出力する。
【0022】
このように、絶縁間通信に用いられるスパイラルコイルの特性上、入力パルス信号INは、2本の送信パルス信号S11及びS21(=ライズ信号及びフォール信号に相当)に分離された後、2つのトランス231及び232を介して一次回路系200pから二次回路系200sに伝達される。
【0023】
なお、本構成例の信号伝達装置200は、コントローラチップ210及びドライバチップ220とは別に、トランス231及び232のみを搭載するトランスチップ230を独立に有しており、これら3つのチップを単一のパッケージに封止して成る。
【0024】
このような構成とすることにより、コントローラチップ210、及び、ドライバチップ220については、いずれも一般の低耐圧~中耐圧プロセス(数V~数十V耐圧)で形成することができるので、専用の高耐圧プロセス(数kV耐圧)を用いる必要がなくなり、製造コストを低減することが可能となる。
【0025】
なお、信号伝達装置200は、例えば、車両に搭載される車載機器の電源装置またはモータ駆動装置などで好適に利用することができる。上記の車両には、エンジン車のほか、電動車(BEV[battery electric vehicle]、HEV[hybrid electric vehicle」、PHEV/PHV(plug-in hybrid electric vehicle/plug-in hybrid vehicle]、又は、FCEV/FCV(fuel cell electric vehicle/fuel cell vehicle]などのxEV)も含まれる。
【0026】
<トランスチップ(基本構造)>
次に、トランスチップ230の基本構造について説明する。
図2は、トランスチップ230の基本構造を示す図である。本図のトランスチップ230において、トランス231は、上下方向に対向する一次側コイル231pと二次側コイル231sを含む。トランス232は、上下方向に対向する一次側コイル232pと二次側コイル232sを含む。
【0027】
一次側コイル231p及び232pは、いずれも、トランスチップ230の第1配線層(下層)230aに形成されている。二次側コイル231s及び232sは、いずれも、トランスチップ230の第2配線層(本図では上層)230bに形成されている。なお、二次側コイル231sは、一次側コイル231pの直上に配置され、一次側コイル231pに対向している。また、二次側コイル232sは、一次側コイル232pの直上に配置され、一次側コイル232pに対向している。
【0028】
一次側コイル231pは、内部端子X21に接続された第1端を始点として、内部端子X21の周囲を時計回りで取り囲むように螺旋状に敷設されており、その終点に相当する第2端が内部端子X22に接続されている。一方、一次側コイル232pは、内部端子X23に接続された第1端を始点として、内部端子X23の周囲を反時計回りで取り囲むように螺旋状に敷設されており、その終点に相当する第2端が内部端子X22に接続されている。内部端子X21、X22及びX23は、図示の順で直線的に配列されている。
【0029】
内部端子X21は、導電性の配線Y21及びビアZ21を介して、第2層230bの外部端子T21に接続されている。内部端子X22は、導電性の配線Y22及びビアZ22を介して、第2層230bの外部端子T22に接続されている。内部端子X23は、導電性の配線Y23及びビアZ23を介して、第2層230bの外部端子T23に接続されている。なお、外部端子T21~T23は、直線的に並べて配置されており、コントローラチップ210とのワイヤボンディングに用いられる。
【0030】
二次側コイル231sは、外部端子T24に接続された第1端を始点として、外部端子T24の周囲を反時計回りで取り囲むように螺旋状に敷設されており、その終点に相当する第2端が外部端子T25に接続されている。一方、二次側コイル232sは、外部端子T26に接続された第1端を始点として、外部端子T26の周囲を時計回りで取り囲むように螺旋状に敷設されており、その終点に相当する第2端が外部端子T25に接続されている。なお、外部端子T24、T25及びT26は、図示の順で直線的に並べて配置されており、ドライバチップ220とのワイヤボンディングに用いられる。
【0031】
二次側コイル231s及び232sは、それぞれ、磁気結合によって一次側コイル231p及び232pに交流接続されると共に、一次側コイル231p及び232pから直流絶縁されている。すなわち、ドライバチップ220は、トランスチップ230を介してコントローラチップ210に交流接続されると共に、トランスチップ230によりコントローラチップ210から直流絶縁されている。
【0032】
<トランスチップ(2チャンネル型)>
図3は、2チャンネル型のトランスチップとして用いられる半導体装置5を示す斜視図である。
図4は、
図3に示す半導体装置5の平面図である。
図5は、
図3に示す半導体装置5において低電位コイル22(=トランスの一次側コイルに相当)が形成された層を示す平面図である。
図6は、
図3に示す半導体装置5において高電位コイル23(=トランスの二次側コイルに相当)が形成された層を示す平面図である。
図7は、
図6に示すVIII-VIII線に沿う断面図である。
図8は、
図7に示す領域XIIIの拡大図であって、分離構造130を示す図である。
【0033】
図3~
図7を参照して、半導体装置5は、直方体形状の半導体チップ41を含む。半導体チップ41は、シリコン、ワイドバンドギャップ半導体および化合物半導体のうちの少なくとも1つを含む。
【0034】
ワイドバンドギャップ半導体は、シリコンのバンドギャップ(約1.12eV)を超える半導体からなる。ワイドバンドギャップ半導体のバンドギャップは、2.0eV以上であることが好ましい。ワイドバンドギャップ半導体は、SiC(炭化シリコン)であってもよい。化合物半導体は、III-V族化合物半導体であってもよい。化合物半導体は、AlN(窒化アルミニウム)、InN(窒化インジウム)、GaN(窒化ガリウム)およびGaAs(ヒ化ガリウム)のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0035】
半導体チップ41は、この形態では、シリコン製の半導体基板を含む。半導体チップ41は、シリコン製の半導体基板およびシリコン製のエピタキシャル層を含む積層構造を有するエピタキシャル基板であってもよい。半導体基板の導電型は、n型またはp型であってもよい。エピタキシャル層は、n型またはp型であってもよい。
【0036】
半導体チップ41は、一方側の第1主面42、他方側の第2主面43、並びに、第1主面42及び第2主面43を接続するチップ側壁44A~44Dを有している。第1主面42及び第2主面43は、それらの法線方向Zから見た平面視(以下、単に「平面視」という)において、四角形状(この形態では長方形状)に形成されている。
【0037】
チップ側壁44A~44Dは、第1チップ側壁44A、第2チップ側壁44B、第3チップ側壁44Cおよび第4チップ側壁44Dを含む。第1チップ側壁44Aおよび第2チップ側壁44Bは、半導体チップ41の長辺を形成している。第1チップ側壁44Aおよび第2チップ側壁44Bは、第1方向Xに沿って延び、第2方向Yに対向している。第3チップ側壁44Cおよび第4チップ側壁44Dは、半導体チップ41の短辺を形成している。第3チップ側壁44Cおよび第4チップ側壁44Dは、第2方向Yに延び、第1方向Xに対向している。チップ側壁44A~44Dは、研削面からなる。
【0038】
半導体装置5は、半導体チップ41の第1主面42の上に形成された絶縁層51をさらに含む。絶縁層51は、絶縁主面52および絶縁側壁53A~53Dを有している。絶縁主面52は、平面視において第1主面42に整合する四角形状(この形態では長方形状)に形成されている。絶縁主面52は、第1主面42に対して平行に延びている。
【0039】
絶縁側壁53A~53Dは、第1絶縁側壁53A、第2絶縁側壁53B、第3絶縁側壁53Cおよび第4絶縁側壁53Dを含む。絶縁側壁53A~53Dは、絶縁主面52の周縁から半導体チップ41に向けて延び、チップ側壁44A~44Dに連なっている。絶縁側壁53A~53Dは、具体的には、チップ側壁44A~44Dに対して面一に形成されている。絶縁側壁53A~53Dは、チップ側壁44A~44Dに面一な研削面を形成している。
【0040】
絶縁層51は、最下絶縁層55、最上絶縁層56および複数(この形態では11層)の層間絶縁層57を含む多層絶縁積層構造からなる。最下絶縁層55は、第1主面42を直接被覆する絶縁層である。最上絶縁層56は、絶縁主面52を形成する絶縁層である。複数の層間絶縁層57は、最下絶縁層55および最上絶縁層56の間に介在する絶縁層である。最下絶縁層55は、この形態では、酸化シリコンを含む単層構造を有している。最上絶縁層56は、この形態では、酸化シリコンを含む単層構造を有している。最下絶縁層55の厚さおよび最上絶縁層56の厚さは、それぞれ1μm以上3μm以下(たとえば2μm程度)であってもよい。
【0041】
複数の層間絶縁層57は、最下絶縁層55側の第1絶縁層58および最上絶縁層56側の第2絶縁層59を含む積層構造をそれぞれ有している。第1絶縁層58は、窒化シリコンを含んでいてもよい。第1絶縁層58は、第2絶縁層59に対するエッチングストッパ層として形成されている。第1絶縁層58の厚さは、0.1μm以上1μm以下(たとえば0.3μm程度)であってもよい。
【0042】
第2絶縁層59は、第1絶縁層58の上に形成されている。第1絶縁層58とは異なる絶縁材料を含む。第2絶縁層59は、酸化シリコンを含んでいてもよい。第2絶縁層59の厚さは、1μm以上3μm以下(たとえば2μm程度)であってもよい。第2絶縁層59の厚さは、第1絶縁層58の厚さを超えていることが好ましい。
【0043】
絶縁層51の総厚さDTは、5μm以上50μm以下であってもよい。絶縁層51の総厚さDT及び層間絶縁層57の積層数は任意であって、実現すべき絶縁耐圧(絶縁破壊耐量)に応じて調整される。また、最下絶縁層55、最上絶縁層56および層間絶縁層57の絶縁材料は任意であり、特定の絶縁材料に限定されない。
【0044】
半導体装置5は、絶縁層51に形成された第1機能デバイス45を含む。第1機能デバイス45は、1つ又は複数(この形態では複数)の変圧器21(先出のトランスに相当)を含む。つまり、半導体装置5は、複数の変圧器21を含むマルチチャネル型デバイスである。複数の変圧器21は、絶縁側壁53A~53Dから間隔を空けて絶縁層51の内方部に形成されている。複数の変圧器21は、第1方向Xに間隔を空けて形成されている。
【0045】
複数の変圧器21は、具体的には、平面視において絶縁側壁53C側から絶縁側壁53D側に向けてこの順に形成された第1変圧器21A、第2変圧器21B、第3変圧器21Cおよび第4変圧器21Dを含む。複数の変圧器21A~21Dは、同様の構造をそれぞれ有している。以下では、第1変圧器21Aの構造を例にとって説明する。第2変圧器21B、第3変圧器21Cおよび第4変圧器21Dの構造の説明については、第1変圧器21Aの構造の説明が準用されるものとし、省略する。
【0046】
図5~
図7を参照して、第1変圧器21Aは、低電位コイル22および高電位コイル23を含む。低電位コイル22は、絶縁層51内に形成されている。高電位コイル23は、法線方向Zに低電位コイル22と対向するように絶縁層51内に成されている。低電位コイル22および高電位コイル23は、この形態では、最下絶縁層55および最上絶縁層56に挟まれた領域(つまり複数の層間絶縁層57)に形成されている。
【0047】
低電位コイル22は、絶縁層51内において最下絶縁層55(半導体チップ41)側に形成されており、高電位コイル23は、絶縁層51内において低電位コイル22に対して最上絶縁層56(絶縁主面52)側に形成されている。つまり、高電位コイル23は、低電位コイル22を挟んで半導体チップ41に対向している。低電位コイル22および高電位コイル23の配置箇所は任意である。また、高電位コイル23は、1層以上の層間絶縁層57を挟んで低電位コイル22に対向していればよい。
【0048】
低電位コイル22及び高電位コイル23の間の距離(つまり層間絶縁層57の積層数)は、低電位コイル22及び高電位コイル23の間の絶縁耐圧及び電界強度に応じて適宜調整される。低電位コイル22は、この形態では、最下絶縁層55側から数えて3層目の層間絶縁層57に形成されている。高電位コイル23は、この形態では、最上絶縁層56側から数えて1層目の層間絶縁層57に形成されている。
【0049】
低電位コイル22は、層間絶縁層57において第1絶縁層58及び第2絶縁層59を貫通して埋め込まれている。低電位コイル22は、第1内側末端24、第1外側末端25、ならびに、第1内側末端24および第1外側末端25の間を螺旋状に引き回された第1螺旋部26を含む。第1螺旋部26は、平面視において楕円形状(長円形状)に延びる螺旋状に引き回されている。第1螺旋部26の最内周縁を形成する部分は、平面視において楕円形状の第1内側領域66を区画している。
【0050】
第1螺旋部26の巻回数は、5以上30以下であってもよい。第1螺旋部26の幅は、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第1螺旋部26の幅は、1μm以上3μm以下であることが好ましい。第1螺旋部26の幅は、螺旋方向に直交する方向の幅によって定義される。第1螺旋部26の第1巻回ピッチは、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第1巻回ピッチは、1μm以上3μm以下であることが好ましい。第1巻回ピッチは、第1螺旋部26において螺旋方向に直交する方向に隣り合う2つの部分の間の距離によって定義される。
【0051】
第1螺旋部26の巻回形状及び第1内側領域66の平面形状は任意であり、
図5などに示される形態に限定されない。第1螺旋部26は、平面視において三角形状、四角形状等の多角形状、または、円形状に巻回されていてもよい。第1内側領域66は、第1螺旋部26の巻回形状に応じて、平面視において三角形状、四角形状等の多角形状、または、円形状に区画されていてもよい。
【0052】
低電位コイル22は、チタン、窒化チタン、銅、アルミニウム及びタングステンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。低電位コイル22は、バリア層および本体層を含む積層構造を有していてもよい。バリア層は、層間絶縁層57内においてリセス空間を区画する。バリア層は、チタンおよび窒化チタンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。本体層は、銅、アルミニウムおよびタングステンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0053】
高電位コイル23は、層間絶縁層57において第1絶縁層58及び第2絶縁層59を貫通して埋め込まれている。高電位コイル23は、第2内側末端27、第2外側末端28、ならびに、第2内側末端27および第2外側末端28の間を螺旋状に引き回された第2螺旋部29を含む。第2螺旋部29は、平面視において楕円形状(長円形状)に延びる螺旋状に引き回されている。第2螺旋部29の最内周縁を形成する部分は、この形態では、平面視において楕円形状の第2内側領域67を区画している。第2螺旋部29の第2内側領域67は、法線方向Zに第1螺旋部26の第1内側領域66に対向している。
【0054】
第2螺旋部29の巻回数は、5以上30以下であってもよい。第1螺旋部26の巻回数に対する第2螺旋部29の巻回数は、昇圧すべき電圧値に応じて調整される。第2螺旋部29の巻回数は、第1螺旋部26の巻回数を超えていることが好ましい。むろん、第2螺旋部29の巻回数は、第1螺旋部26の巻回数未満であってもよいし、第1螺旋部26の巻回数と等しくてもよい。
【0055】
第2螺旋部29の幅は、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第2螺旋部29の幅は、1μm以上3μm以下であることが好ましい。第2螺旋部29の幅は、螺旋方向に直交する方向の幅によって定義される。第2螺旋部29の幅は、第1螺旋部26の幅と等しいことが好ましい。
【0056】
第2螺旋部29の第2巻回ピッチは、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第2巻回ピッチは、1μm以上3μm以下であることが好ましい。第2巻回ピッチは、第2螺旋部29において螺旋方向に直交する方向に隣り合う2つの部分の間の距離によって定義される。第2巻回ピッチは、第1螺旋部26の第1巻回ピッチと等しいことが好ましい。
【0057】
第2螺旋部29の巻回形状及び第2内側領域67の平面形状は任意であり、
図6などに示される形態に限定されない。第2螺旋部29は、平面視において三角形状、四角形状等の多角形状、または、円形状に巻回されていてもよい。第2内側領域67は、第2螺旋部29の巻回形状に応じて、平面視において三角形状、四角形状等の多角形状、または、円形状に区画されていてもよい。
【0058】
高電位コイル23は、低電位コイル22と同一の導電材料によって形成されていることが好ましい。つまり、高電位コイル23は、低電位コイル22と同様に、バリア層および本体層を含むことが好ましい。
【0059】
図4を参照して、半導体装置5は、複数(本図では12個)の低電位端子11、及び、複数(本図では12個)の高電位端子12を含む。複数の低電位端子11は、対応する変圧器21A~21Dの低電位コイル22にそれぞれ電気的に接続されている。複数の高電位端子12は、対応する変圧器21A~21Dの高電位コイル23にそれぞれ電気的に接続されている。
【0060】
複数の低電位端子11は、絶縁層51の絶縁主面52の上に形成されている。複数の低電位端子11は、具体的には、複数の変圧器21A~21Dから第2方向Yに間隔を空けて絶縁側壁53B側の領域に形成され、第1方向Xに間隔を空けて配列されている。
【0061】
複数の低電位端子11は、第1低電位端子11A、第2低電位端子11B、第3低電位端子11C、第4低電位端子11D、第5低電位端子11Eおよび第6低電位端子11Fを含む。複数の低電位端子11A~11Fは、この形態では、2個ずつそれぞれ形成されている。複数の低電位端子11A~11Fの個数は任意である。
【0062】
第1低電位端子11Aは、平面視において第2方向Yに第1変圧器21Aに対向している。第2低電位端子11Bは、平面視において第2方向Yに第2変圧器21Bに対向している。第3低電位端子11Cは、平面視において第2方向Yに第3変圧器21Cに対向している。第4低電位端子11Dは、平面視において第2方向Yに第4変圧器21Dに対向している。第5低電位端子11Eは、平面視において第1低電位端子11Aおよび第2低電位端子11Bの間の領域に形成されている。第6低電位端子11Fは、平面視において第3低電位端子11Cおよび第4低電位端子11Dの間の領域に形成されている。
【0063】
第1低電位端子11Aは、第1変圧器21A(低電位コイル22)の第1内側末端24に電気的に接続されている。第2低電位端子11Bは、第2変圧器21B(低電位コイル22)の第1内側末端24に電気的に接続されている。第3低電位端子11Cは、第3変圧器21C(低電位コイル22)の第1内側末端24に電気的に接続されている。第4低電位端子11Dは、第4変圧器21D(低電位コイル22)の第1内側末端24に電気的に接続されている。
【0064】
第5低電位端子11Eは、第1変圧器21A(低電位コイル22)の第1外側末端25および第2変圧器21B(低電位コイル22)の第1外側末端25に電気的に接続されている。第6低電位端子11Fは、第3変圧器21C(低電位コイル22)の第1外側末端25および第4変圧器21D(低電位コイル22)の第1外側末端25に電気的に接続されている。
【0065】
複数の高電位端子12は、複数の低電位端子11から間隔を空けて絶縁層51の絶縁主面52の上に形成されている。複数の高電位端子12は、具体的には、複数の低電位端子11から第2方向Yに間隔を空けて絶縁側壁53A側の領域に形成され、第1方向Xに間隔を空けて配列されている。
【0066】
複数の高電位端子12は、平面視において対応する変圧器21A~21Dに近接する領域にそれぞれ形成されている。高電位端子12が変圧器21A~21Dに近接するとは、平面視において高電位端子12および変圧器21の間の距離が、低電位端子11および高電位端子12の間の距離未満であることを意味する。
【0067】
複数の高電位端子12は、具体的には、平面視において第1方向Xに沿って複数の変圧器21A~21Dと対向するように第1方向Xに沿って間隔を空けて形成されている。複数の高電位端子12は、さらに具体的には、平面視において高電位コイル23の第2内側領域67および隣り合う高電位コイル23の間の領域に位置するように第1方向Xに沿って間隔を空けて形成されている。これにより、複数の高電位端子12は、平面視において第1方向Xに複数の変圧器21A~21Dと一列に並んで配列されている。
【0068】
複数の高電位端子12は、第1高電位端子12A、第2高電位端子12B、第3高電位端子12C、第4高電位端子12D、第5高電位端子12Eおよび第6高電位端子12Fを含む。複数の高電位端子12A~12Fは、この形態では、2個ずつそれぞれ形成されている。複数の高電位端子12A~12Fの個数は任意である。
【0069】
第1高電位端子12Aは、平面視において第1変圧器21A(高電位コイル23)の第2内側領域67に形成されている。第2高電位端子12Bは、平面視において第2変圧器21B(高電位コイル23)の第2内側領域67に形成されている。第3高電位端子12Cは、平面視において第3変圧器21C(高電位コイル23)の第2内側領域67に形成されている。第4高電位端子12Dは、平面視において第4変圧器21D(高電位コイル23)の第2内側領域67に形成されている。第5高電位端子12Eは、平面視において第1変圧器21Aおよび第2変圧器21Bの間の領域に形成されている。第6高電位端子12Fは、平面視において第3変圧器21Cおよび第4変圧器21Dの間の領域に形成されている。
【0070】
第1高電位端子12Aは、第1変圧器21A(高電位コイル23)の第2内側末端27に電気的に接続されている。第2高電位端子12Bは、第2変圧器21B(高電位コイル23)の第2内側末端27に電気的に接続されている。第3高電位端子12Cは、第3変圧器21C(高電位コイル23)の第2内側末端27に電気的に接続されている。第4高電位端子12Dは、第4変圧器21D(高電位コイル23)の第2内側末端27に電気的に接続されている。
【0071】
第5高電位端子12Eは、第1変圧器21A(高電位コイル23)の第2外側末端28および第2変圧器21B(高電位コイル23)の第2外側末端28に電気的に接続されている。第6高電位端子12Fは、第3変圧器21C(高電位コイル23)の第2外側末端28および第4変圧器21D(高電位コイル23)の第2外側末端28に電気的に接続されている。
【0072】
図5~
図7を参照して、半導体装置5は、絶縁層51内にそれぞれ形成された第1低電位配線31、第2低電位配線32、第1高電位配線33及び第2高電位配線34を含む。この形態では、複数の第1低電位配線31、複数の第2低電位配線32、複数の第1高電位配線33および複数の第2高電位配線34が形成されている。
【0073】
第1低電位配線31および第2低電位配線32は、第1変圧器21Aの低電位コイル22および第2変圧器21Bの低電位コイル22を同電位に固定している。また、第1低電位配線31および第2低電位配線32は、第3変圧器21Cの低電位コイル22および第4変圧器21Dの低電位コイル22を同電位に固定している。第1低電位配線31および第2低電位配線32は、この形態では、変圧器21A~21Dの全ての低電位コイル22を同電位に固定している。
【0074】
第1高電位配線33および第2高電位配線34は、第1変圧器21Aの高電位コイル23および第2変圧器21Bの高電位コイル23を同電位に固定している。また、第1高電位配線33および第2高電位配線34は、第3変圧器21Cの高電位コイル23および第4変圧器21Dの高電位コイル23を同電位に固定している。第1高電位配線33および第2高電位配線34は、この形態では、変圧器21A~21Dの全ての高電位コイル23を同電位に固定している。
【0075】
複数の第1低電位配線31は、対応する低電位端子11A~11Dおよび対応する変圧器21A~21D(低電位コイル22)の第1内側末端24にそれぞれ電気的に接続されている。複数の第1低電位配線31は、同様の構造を有している。以下では、第1低電位端子11Aおよび第1変圧器21Aに接続された第1低電位配線31の構造を例にとって説明する。他の第1低電位配線31の構造の説明については、第1変圧器21Aに接続された第1低電位配線31の構造の説明が準用されるものとし、省略する。
【0076】
第1低電位配線31は、貫通配線71、低電位接続配線72、引き出し配線73、第1接続プラグ電極74、第2接続プラグ電極75、1つまたは複数(この形態では複数)のパッドプラグ電極76、および、1つまたは複数(この形態では複数)の基板プラグ電極77を含む。
【0077】
貫通配線71、低電位接続配線72、引き出し配線73、第1接続プラグ電極74、第2接続プラグ電極75、パッドプラグ電極76および基板プラグ電極77は、低電位コイル22等と同一の導電材料によってそれぞれ形成されていることが好ましい。つまり、貫通配線71、低電位接続配線72、引き出し配線73、第1接続プラグ電極74、第2接続プラグ電極75、パッドプラグ電極76および基板プラグ電極77は、低電位コイル22等と同様に、バリア層および本体層をそれぞれ含むことが好ましい。
【0078】
貫通配線71は、絶縁層51において複数の層間絶縁層57を貫通し、法線方向Zに沿って延びる柱状に延びている。貫通配線71は、この形態では、絶縁層51において最下絶縁層55および最上絶縁層56の間の領域に形成されている。貫通配線71は、最上絶縁層56側の上端部、および、最下絶縁層55側の下端部を有している。貫通配線71の上端部は、高電位コイル23と同一の層間絶縁層57に形成され、最上絶縁層56によって被覆されている。貫通配線71の下端部は、低電位コイル22と同一の層間絶縁層57に形成されている。
【0079】
貫通配線71は、この形態では、第1電極層78、第2電極層79、および、複数の配線プラグ電極80を含む。貫通配線71では、第1電極層78、第2電極層79および配線プラグ電極80が低電位コイル22等と同一の導電材料によってそれぞれ形成されている。つまり、第1電極層78、第2電極層79および配線プラグ電極80は、低電位コイル22等と同様に、バリア層および本体層をそれぞれ含む。
【0080】
第1電極層78は、貫通配線71の上端部を形成している。第2電極層79は、貫通配線71の下端部を形成している。第1電極層78は、アイランド状に形成され、法線方向Zに低電位端子11(第1低電位端子11A)に対向している。第2電極層79は、アイランド状に形成され、法線方向Zに第1電極層78に対向している。
【0081】
複数の配線プラグ電極80は、第1電極層78および第2電極層79の間の領域に位置する複数の層間絶縁層57にそれぞれ埋設されている。複数の配線プラグ電極80は、互いに電気的に接続されるように最下絶縁層55から最上絶縁層56に向けて積層され、かつ、第1電極層78および第2電極層79を電気的に接続している。複数の配線プラグ電極80は、第1電極層78の平面積および第2電極層79の平面積未満の平面積をそれぞれ有している。
【0082】
なお、複数の配線プラグ電極80の積層数は、複数の層間絶縁層57の積層数に一致している。この形態では、6個の配線プラグ電極80が各層間絶縁層57内に埋設されているが、各層間絶縁層57内に埋設される配線プラグ電極80の個数は任意である。もちろん、複数の層間絶縁層57を貫通する1つまたは複数の配線プラグ電極80が形成されていてもよい。
【0083】
低電位接続配線72は、低電位コイル22と同一の層間絶縁層57内において第1変圧器21A(低電位コイル22)の第1内側領域66に形成されている。低電位接続配線72は、アイランド状に形成され、法線方向Zに高電位端子12(第1高電位端子12A)に対向している。低電位接続配線72は、配線プラグ電極80の平面積を超える平面積を有していることが好ましい。低電位接続配線72は、低電位コイル22の第1内側末端24に電気的に接続されている。
【0084】
引き出し配線73は、層間絶縁層57内において半導体チップ41および貫通配線71の間の領域に形成されている。引き出し配線73は、この形態では、最下絶縁層55から数えて1層目の層間絶縁層57内に形成されている。引き出し配線73は、一方側の第1端部、他方側の第2端部、ならびに、第1端部および第2端部を接続する配線部を含む。引き出し配線73の第1端部は、半導体チップ41および貫通配線71の下端部の間の領域に位置している。引き出し配線73の第2端部は、半導体チップ41および低電位接続配線72の間の領域に位置している。配線部は、半導体チップ41の第1主面42に沿って延び、第1端部および第2端部の間の領域を帯状に延びている。
【0085】
第1接続プラグ電極74は、層間絶縁層57内において貫通配線71および引き出し配線73の間の領域に形成され、貫通配線71および引き出し配線73の第1端部に電気的に接続されている。第2接続プラグ電極75は、層間絶縁層57内において低電位接続配線72および引き出し配線73の間の領域に形成され、低電位接続配線72および引き出し配線73の第2端部に電気的に接続されている。
【0086】
複数のパッドプラグ電極76は、最上絶縁層56内において低電位端子11(第1低電位端子11A)および貫通配線71の間の領域に形成され、低電位端子11および貫通配線71の上端部にそれぞれ電気的に接続されている。複数の基板プラグ電極77は、最下絶縁層55内において半導体チップ41および引き出し配線73の間の領域に形成されている。基板プラグ電極77は、この形態では、半導体チップ41および引き出し配線73の第1端部の間の領域に形成され、半導体チップ41および引き出し配線73の第1端部にそれぞれ電気的に接続されている。
【0087】
図6及び
図7を参照して、複数の第1高電位配線33は、対応する高電位端子12A~12Dおよび対応する変圧器21A~21D(高電位コイル23)の第2内側末端27にそれぞれ電気的に接続されている。複数の第1高電位配線33は、同様の構造をそれぞれ有している。以下では、第1高電位端子12A及び第1変圧器21Aに接続された第1高電位配線33の構造を例にとって説明する。他の第1高電位配線33の構造の説明については、第1変圧器21Aに接続された第1高電位配線33の構造の説明が準用されるものとし、省略する。
【0088】
第1高電位配線33は、高電位接続配線81、および、1つまたは複数(この形態では複数)のパッドプラグ電極82を含む。高電位接続配線81およびパッドプラグ電極82は、低電位コイル22等と同一の導電材料によって形成されていることが好ましい。つまり、高電位接続配線81およびパッドプラグ電極82は、低電位コイル22等と同様に、バリア層および本体層を含むことが好ましい。
【0089】
高電位接続配線81は、高電位コイル23と同一の層間絶縁層57内において高電位コイル23の第2内側領域67に形成されている。高電位接続配線81は、アイランド状に形成され、法線方向Zに高電位端子12(第1高電位端子12A)に対向している。高電位接続配線81は、高電位コイル23の第2内側末端27に電気的に接続されている。高電位接続配線81は、平面視において低電位接続配線72から間隔を空けて形成され、法線方向Zに低電位接続配線72には対向していない。これにより、低電位接続配線72と高電位接続配線81の間の絶縁距離が増加し、絶縁層51の絶縁耐圧が高められている。
【0090】
複数のパッドプラグ電極82は、最上絶縁層56内において高電位端子12(第1高電位端子12A)および高電位接続配線81の間の領域に形成され、高電位端子12及び高電位接続配線81にそれぞれ電気的に接続されている。複数のパッドプラグ電極82は、平面視において高電位接続配線81の平面積未満の平面積をそれぞれ有している。
【0091】
図7を参照して、低電位端子11および高電位端子12の間の距離D1は、低電位コイル22および高電位コイル23の間の距離D2を超えていることが好ましい(D2<D1)。距離D1は、複数の層間絶縁層57の総厚さDTを超えていることが好ましい(DT<D1)。距離D1に対する距離D2の比D2/D1は、0.01以上0.1以下であってもよい。距離D1は、100μm以上500μm以下であることが好ましい。距離D2は、1μm以上50μm以下であってもよい。距離D2は、5μm以上25μm以下であることが好ましい。距離D1および距離D2の値は任意であり、実現すべき絶縁耐圧に応じて適宜調整される。
【0092】
図6及び
図7を参照して、半導体装置5は、平面視において変圧器21A~21Dの周囲に位置するように絶縁層51内に埋設されたダミーパターン85を含む。
【0093】
ダミーパターン85は、高電位コイル23および低電位コイル22とは異なるパターン(不連続なパターン)で形成されており、変圧器21A~21Dから独立している。つまり、ダミーパターン85は、変圧器21A~21Dとしては機能しない。ダミーパターン85は、変圧器21A~21Dにおいて低電位コイル22および高電位コイル23の間の電界を遮蔽し、高電位コイル23に対する電界集中を抑制するシールド導体層として形成されている。ダミーパターン85は、この形態では、単位面積当たりにおいて高電位コイル23のライン密度と等しいライン密度で引き回されている。ダミーパターン85のライン密度が高電位コイル23のライン密度と等しいとは、ダミーパターン85のライン密度が高電位コイル23のライン密度の±20%の範囲内に収まることを意味する。
【0094】
絶縁層51の内部におけるダミーパターン85の深さ位置は任意であり、緩和すべき電界強度に応じて調整される。ダミーパターン85は、法線方向Zに関して低電位コイル22に対して高電位コイル23に近接する領域に形成されていることが好ましい。なお、法線方向Zに関してダミーパターン85が高電位コイル23に近接するとは、法線方向Zに関して、ダミーパターン85および高電位コイル23の間の距離が、ダミーパターン85および低電位コイル22の間の距離未満であることを意味する。
【0095】
この場合、高電位コイル23に対する電界集中を適切に抑制できる。法線方向Zに関して、ダミーパターン85及び高電位コイル23の間の距離を小さくするほど、高電位コイル23に対する電界集中を抑制できる。ダミーパターン85は、高電位コイル23と同一の層間絶縁層57内に形成されていることが好ましい。この場合、高電位コイル23に対する電界集中を更に適切に抑制できる。ダミーパターン85は、電気的状態が異なる複数のダミーパターンを含む。ダミーパターン85は高電位ダミーパターンを含んでもよい。
【0096】
絶縁層51の内部における高電位ダミーパターン86の深さ位置は任意であり、緩和すべき電界強度に応じて調整される。高電位ダミーパターン86は、法線方向Zに関して低電位コイル22に対して高電位コイル23に近接する領域に形成されていることが好ましい。法線方向Zに関して高電位ダミーパターン86が高電位コイル23に近接するとは、法線方向Zに関して、高電位ダミーパターン86および高電位コイル23の間の距離が、高電位ダミーパターン86及び低電位コイル22の間の距離未満であることを意味する。
【0097】
ダミーパターン85は、変圧器21A~21Dの周囲に位置するように絶縁層51内に電気的に浮遊状態に形成された浮遊ダミーパターンを含む。
【0098】
浮遊ダミーパターンは、この形態では、平面視において高電位コイル23の周囲の領域を部分的に被覆し、かつ、部分的に露出させるように密なライン状に引き回されている。浮遊ダミーパターンは、有端状に形成されていてもよいし、無端状に形成されてもよい。
【0099】
絶縁層51の内部における浮遊ダミーパターンの深さ位置は任意であり、緩和すべき電界強度に応じて調整される。
【0100】
浮遊ラインの個数は任意であり、緩和すべき電界に応じて調整される。浮遊ダミーパターンは、複数の浮遊ラインから構成されていてもよい。
【0101】
図7を参照して、半導体装置5は、デバイス領域62において半導体チップ41の第1主面42に形成された第2機能デバイス60を含む。第2機能デバイス60は、半導体チップ41の第1主面42の表層部、および/または、半導体チップ41の第1主面42の上の領域を利用して形成され、絶縁層51(最下絶縁層55)によって被覆されている。
図7では、第2機能デバイス60が第1主面42の表層部に示された破線によって簡略化して示されている。
【0102】
第2機能デバイス60は、低電位配線を介して低電位端子11に電気的に接続され、高電位配線を介して高電位端子12に電気的に接続されている。低電位配線は、第2機能デバイス60に接続されるように絶縁層51内に引き回されている点を除いて、第1低電位配線31(第2低電位配線32)と同様の構造を有している。高電位配線は、第2機能デバイス60に接続されるように絶縁層51内に引き回されている点を除いて、第1高電位配線33(第2高電位配線34)と同様の構造を有している。第2機能デバイス60に係る低電位配線および高電位配線の具体的な説明は省略される。
【0103】
第2機能デバイス60は、受動デバイス、半導体整流デバイスおよび半導体スイッチングデバイスのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。第2機能デバイス60は、受動デバイス、半導体整流デバイスおよび半導体スイッチングデバイスのうちの任意の2種以上のデバイスが選択的に組み合わされた回路網を含んでいてもよい。回路網は、集積回路の一部または全部を形成していてもよい。
【0104】
受動デバイスは、半導体受動デバイスを含んでいてもよい。受動デバイスは、抵抗及びコンデンサのいずれか一方または双方を含んでいてもよい。半導体整流デバイスは、pn接合ダイオード、PINダイオード、ツェナーダイオード、ショットキーバリアダイオードおよびファーストリカバリーダイオードのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。半導体スイッチングデバイスは、BJT[Bipolar Junction Transistor]、MISFET[Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor]、IGBT[Insulated Gate Bipolar Junction Transistor]およびJFET[Junction Field Effect Transistor]のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0105】
図5~
図7を参照して、半導体装置5は、絶縁層51内に埋設されたシール導体61をさらに含む。シール導体61は、平面視において絶縁側壁53A~53Dから間隔を空けて絶縁層51内に壁状に埋設され、絶縁層51をデバイス領域62および外側領域63に区画している。シール導体61は、外側領域63からデバイス領域62への水分の進入及びクラックの進入を抑制する。
【0106】
デバイス領域62は、第1機能デバイス45(複数の変圧器21)、第2機能デバイス60、複数の低電位端子11、複数の高電位端子12、第1低電位配線31、第2低電位配線32、第1高電位配線33、第2高電位配線34およびダミーパターン85を含む領域である。外側領域63は、デバイス領域62外の領域である。
【0107】
シール導体61は、デバイス領域62から電気的に切り離されている。シール導体61は、具体的には、第1機能デバイス45(複数の変圧器21)、第2機能デバイス60、複数の低電位端子11、複数の高電位端子12、第1低電位配線31、第2低電位配線32、第1高電位配線33、第2高電位配線34およびダミーパターン85から電気的に切り離されている。シール導体61は、さらに具体的には、電気的に浮遊状態に固定されている。シール導体61は、デバイス領域62に繋がる電流経路を形成しない。
【0108】
シール導体61は、平面視において、絶縁側壁53~53Dに沿う帯状に形成されている。シール導体61は、この形態では、平面視において、四角環状(具体的には長方形環状)に形成されている。これにより、シール導体61は、平面視において四角形状(具体的には長方形状)のデバイス領域62を区画している。また、シール導体61は、平面視においてデバイス領域62を取り囲む四角環状(具体的には長方形環状)の外側領域63を区画している。
【0109】
シール導体61は、具体的には、絶縁主面52側の上端部、半導体チップ41側の下端部、ならびに、上端部および下端部の間を壁状に延びる壁部を有している。シール導体61の上端部は、この形態では、絶縁主面52から半導体チップ41側に間隔を空けて形成され、絶縁層51内に位置している。シール導体61の上端部は、この形態では、最上絶縁層56によって被覆されている。シール導体61の上端部は、1つまたは複数の層間絶縁層57によって被覆されていてもよい。シール導体61の上端部は、最上絶縁層56から露出していてもよい。シール導体61の下端部は、半導体チップ41から上端部側に間隔を空けて形成されている。
【0110】
このように、シール導体61は、この形態では、複数の低電位端子11および複数の高電位端子12に対して半導体チップ41側に位置するように絶縁層51内に埋設されている。また、シール導体61は、絶縁層51内において第1機能デバイス45(複数の変圧器21)、第1低電位配線31、第2低電位配線32、第1高電位配線33、第2高電位配線34およびダミーパターン85に絶縁主面52に平行な方向に対向している。シール導体61は、絶縁層51内において、第2機能デバイス60の一部に絶縁主面52に平行な方向に対向していてもよい。
【0111】
シール導体61は、複数のシールプラグ導体64、および、1つまたは複数(この形態では複数)のシールビア導体65を含む。シールビア導体65の個数は任意である。複数のシールプラグ導体64のうちの最上のシールプラグ導体64は、シール導体61の上端部を形成している。複数のシールビア導体65は、シール導体61の下端部をそれぞれ形成している。シールプラグ導体64およびシールビア導体65は、低電位コイル22と同一の導電材料によって形成されていることが好ましい。つまり、シールプラグ導体64およびシールビア導体65は、低電位コイル22等と同様に、バリア層および本体層を含むことが好ましい。
【0112】
複数のシールプラグ導体64は、複数の層間絶縁層57にそれぞれ埋め込まれ、平面視においてデバイス領域62を取り囲む四角環状(具体的には長方形環状)にそれぞれ形成されている。複数のシールプラグ導体64は、互いに接続されるように最下絶縁層55から最上絶縁層56に向かって積層されている。複数のシールプラグ導体64の積層数は、複数の層間絶縁層57の積層数に一致している。むろん、複数の層間絶縁層57を貫通する1つまたは複数のシールプラグ導体64が形成されていてもよい。
【0113】
複数のシールプラグ導体64の集合体により1つの環状のシール導体61が形成されるのであれば、複数のシールプラグ導体64の全てが環状に形成される必要はない。たとえば、複数のシールプラグ導体64の少なくとも1つが有端状に形成されていてもよい。また、複数のシールプラグ導体64の少なくとも1つが複数の有端帯状部分に分割されていてもよい。ただし、デバイス領域62への水分及びクラックの進入のリスクを鑑みると、複数のシールプラグ導体64は、無端状(環状)に形成されていることが好ましい。
【0114】
複数のシールビア導体65は、最下絶縁層55において半導体チップ41およびシールプラグ導体64の間の領域にそれぞれ形成されている。複数のシールビア導体65は、半導体チップ41から間隔を空けて形成され、シールプラグ導体64に接続されている。複数のシールビア導体65は、シールプラグ導体64の平面積未満の平面積を有している。単一のシールビア導体65が形成されている場合、単一のシールビア導体65は、シールプラグ導体64の平面積以上の平面積を有していてもよい。
【0115】
シール導体61の幅は、0.1μm以上10μm以下であってもよい。シール導体61の幅は、1μm以上5μm以下であることが好ましい。シール導体61の幅は、シール導体61が延びる方向に直交する方向の幅によって定義される。
【0116】
図7及び
図8を参照して、半導体装置5は、半導体チップ41及びシール導体61の間に介在し、シール導体61を半導体チップ41から電気的に切り離す分離構造130を更に含む。分離構造130は、絶縁体を含むことが好ましい。分離構造130は、この形態では、半導体チップ41の第1主面42に形成されたフィールド絶縁膜131からなる。
【0117】
フィールド絶縁膜131は、酸化膜(酸化シリコン膜)及び窒化膜(窒化シリコン膜)のうちの少なくとも一方を含む。フィールド絶縁膜131は、半導体チップ41の第1主面42の酸化によって形成された酸化膜の一例としてのLOCOS(local oxidation of silicon)膜からなることが好ましい。フィールド絶縁膜131の厚さは、半導体チップ41およびシール導体61を絶縁できる限り任意である。フィールド絶縁膜131の厚さは、0.1μm以上5μm以下であってもよい。
【0118】
分離構造130は、半導体チップ41の第1主面42に形成され、平面視においてシール導体61に沿う帯状に延びている。分離構造130は、この形態では、平面視において四角環状(具体的には長方形環状)に形成されている。分離構造130は、シール導体61の下端部(シールビア導体65)が接続された接続部132を有している。接続部132は、シール導体61の下端部(シールビア導体65)が半導体チップ41側に向けて食い込んだアンカー部を形成していてもよい。むろん、接続部132は、分離構造130の主面に対して面一に形成されていてもよい。
【0119】
分離構造130は、デバイス領域62側の内端部130A、外側領域63側の外端部130B、ならびに、内端部130Aおよび外端部130Bの間の本体部130Cを含む。内端部130Aは、平面視において第2機能デバイス60が形成された領域(つまり、デバイス領域62)を区画している。内端部130Aは、半導体チップ41の第1主面42に形成された絶縁膜(図示せず)と一体的に形成されていてもよい。
【0120】
外端部130Bは、半導体チップ41のチップ側壁44A~44Dから露出し、半導体チップ41のチップ側壁44A~44Dに連なっている。外端部130Bは、より具体的には、半導体チップ41のチップ側壁44A~44Dに対して面一に形成されている。外端部130Bは、半導体チップ41のチップ側壁44A~44Dおよび絶縁層51の絶縁側壁53A~53Dとの間で面一な研削面を形成している。むろん、他の形態において、外端部130Bは、チップ側壁44A~44Dから間隔を空けて第1主面42内に形成されていてもよい。
【0121】
本体部130Cは、半導体チップ41の第1主面42に対してほぼ平行に延びる平坦面を有している。本体部130Cは、シール導体61の下端部(シールビア導体65)が接続された接続部132を有している。接続部132は、本体部130Cにおいて内端部130A及び外端部130Bから間隔を空けた部分に形成されている。分離構造130は、フィールド絶縁膜131の他、種々の形態を採り得る。
【0122】
図7を参照して、半導体装置5は、シール導体61を被覆するように絶縁層51の絶縁主面52の上に形成された無機絶縁層140をさらに含む。無機絶縁層140は、パッシベーション層と称されてもよい。無機絶縁層140は、絶縁主面52の上から絶縁層51及び半導体チップ41を保護する。
【0123】
無機絶縁層140は、この形態では、第1無機絶縁層141及び第2無機絶縁層142を含む積層構造を有する。第1無機絶縁層141は、酸化シリコンを含んでいてもよい。第1無機絶縁層141は、不純物無添加の酸化シリコンであるUSG(undoped silicate glass)を含むことが好ましい。第1無機絶縁層141の厚さは、50nm以上5000nm以下であってもよい。第2無機絶縁層142は、窒化シリコンを含んでいてもよい。第2無機絶縁層142の厚さは、500nm以上5000nm以下であってもよい。無機絶縁層140の総厚さを大きくすることにより、高電位コイル23上の絶縁耐圧を高めることができる。
【0124】
第1無機絶縁層141がUSGからなり、第2無機絶縁層142が窒化シリコンからなる場合、USGの絶縁破壊電圧(V/cm)は窒化シリコンの絶縁破壊電圧(V/cm)を超える。したがって、無機絶縁層140を厚化する場合、第2無機絶縁層142よりも厚い第1無機絶縁層141が形成されることが好ましい。
【0125】
第1無機絶縁層141は、酸化シリコンの一例としてのBPSG(boron doped phosphor silicate glass)およびPSG(phosphorus silicate glass)のうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。ただし、この場合、酸化シリコン内に不純物(ホウ素又はリン)が含まれるため、高電位コイル23上の絶縁耐圧を高める上では、USGからなる第1無機絶縁層141が形成されることが特に好ましい。むろん、無機絶縁層140は、第1無機絶縁層141および第2無機絶縁層142のいずれか一方からなる単層構造を有していてもよい。
【0126】
無機絶縁層140は、シール導体61の全域を被覆し、シール導体61外の領域に形成された複数の低電位パッド開口143及び複数の高電位パッド開口144を有している。複数の低電位パッド開口143は、複数の低電位端子11をそれぞれ露出させている。複数の高電位パッド開口144は、複数の高電位端子12をそれぞれ露出させている。無機絶縁層140は、低電位端子11の周縁部に乗り上げたオーバラップ部を有していてもよい。無機絶縁層140は、高電位端子12の周縁部に乗り上げたオーバラップ部を有していてもよい。
【0127】
半導体装置5は、無機絶縁層140の上に形成された有機絶縁層145を更に含む。有機絶縁層145は、感光性樹脂を含んでいてもよい。有機絶縁層145は、ポリイミド、ポリアミドおよびポリベンゾオキサゾールのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。有機絶縁層145は、この形態では、ポリイミドを含む。有機絶縁層145の厚さは、1μm以上50μm以下であってもよい。
【0128】
有機絶縁層145の厚さは、無機絶縁層140の総厚さを超えていることが好ましい。さらに、無機絶縁層140および有機絶縁層145の総厚さは、低電位コイル22及び高電位コイル23の間の距離D2以上であることが好ましい。この場合、無機絶縁層140の総厚さは2μm以上10μm以下であることが好ましい。また、有機絶縁層145の厚さは5μm以上50μm以下であることが好ましい。これらの構造によれば、無機絶縁層140及び有機絶縁層145の厚化を抑制できると同時に、無機絶縁層140及び有機絶縁層145の積層膜により高電位コイル23上の絶縁耐圧を適切に高めることができる。
【0129】
有機絶縁層145は、低電位側の領域を被覆する第1部分146及び高電位側の領域を被覆する第2部分147を含む。第1部分146は、無機絶縁層140を挟んでシール導体61を被覆している。第1部分146は、シール導体61外の領域において複数の低電位端子11(低電位パッド開口143)をそれぞれ露出させる複数の低電位端子開口148を有している。第1部分146は、低電位パッド開口143の周縁(オーバラップ部)に乗り上がったオーバラップ部を有していてもよい。
【0130】
第2部分147は、第1部分146から間隔を空けて形成されており、第1部分146との間から無機絶縁層140を露出させている。第2部分147は、複数の高電位端子12(高電位パッド開口144)をそれぞれ露出させる複数の高電位端子開口149を有している。第2部分147は、高電位パッド開口144の周縁(オーバラップ部)に乗り上がったオーバラップ部を有していてもよい。
【0131】
第2部分147は、変圧器21A~21Dおよびダミーパターン85を一括して被覆している。第2部分147は、具体的には、複数の高電位コイル23、複数の高電位端子12、第1高電位ダミーパターン87、第2高電位ダミーパターン88および浮遊ダミーパターン121を一括して被覆している。
【0132】
本発明の実施形態は、さらに他の形態で実施できる。前述の実施形態では、第1機能デバイス45および第2機能デバイス60が形成された例について説明した。しかし、第1機能デバイス45を有さずに、第2機能デバイス60だけを有する形態が採用されてもよい。この場合、ダミーパターン85は取り除かれてもよい。この構造によれば、第2機能デバイス60について、第1実施形態において述べた効果(ダミーパターン85に係る効果を除く)と同様の効果を奏することができる。
【0133】
つまり、低電位端子11および高電位端子12を介して第2機能デバイス60に電圧が印加された場合において、高電位端子12およびシール導体61の間の不所望な導通を抑制できる。また、低電位端子11および高電位端子12を介して第2機能デバイス60に電圧が印加された場合において、低電位端子11およびシール導体61の間の不所望な導通を抑制できる。
【0134】
また、前述の実施形態では、第2機能デバイス60が形成された例について説明した。しかし、第2機能デバイス60は必ずしも必要ではなく、取り除かれてもよい。
【0135】
また、前述の実施形態では、ダミーパターン85が形成された例について説明した。しかし、ダミーパターン85は必ずしも必要ではなく、取り除かれてもよい。
【0136】
また、前述の実施形態では、第1機能デバイス45が、複数の変圧器21を含むマルチチャネル型からなる例について説明した。しかし、単一の変圧器21を含むシングルチャネル型からなる第1機能デバイス45が採用されてもよい。
【0137】
<トランス配列>
図9は、2チャンネル型のトランスチップ300(先出の半導体装置5に相当)におけるトランス配列の一例を模式的に示す平面図(上面図)である。本図のトランスチップ300は、第1トランス301と、第2トランス302と、第3トランス303と、第4トランス304と、第1ガードリング305と、第2ガードリング306と、パッドa1~a8と、パッドb1~b8と、パッドc1~c4と、パッドd1~d4と、を有する。
【0138】
トランスチップ300において、第1トランス301を形成する二次側コイルL1sの一端には、パッドa1及びb1が接続されており、二次側コイルL1sの他端には、パッドc1及びd1が接続されている。第2トランス302を形成する二次側コイルL2sの一端には、パッドa2及びb2が接続されており、二次側コイルL2sの他端には、パッドc1及びd1が接続されている。
【0139】
また、第3トランス303を形成する二次側コイルL3sの一端には、パッドa3及びb3が接続されており、二次側コイルL3sの他端には、パッドc2及びd2が接続されている。第4トランス304を形成する二次側コイルL4sの一端には、パッドa4及びb4が接続されており、二次側コイルL4sの他端には、パッドc2及びd2が接続されている。
【0140】
なお、第1トランス301を形成する一次側コイル、第2トランス302を形成する一次側コイル、第3トランス303を形成する一次側コイル、及び、第4トランス304を形成する一次側コイルは、いずれも本図に明示されていない。ただし、一次側コイルは、それぞれ、基本的に二次側コイルL1s~L4sと同様の構成を有しており、二次側コイルL1s~L4sとそれぞれ対向する形で、二次側コイルL1s~L4sそれぞれの直下に配置されている。
【0141】
すなわち、第1トランス301を形成する一次側コイルの一端には、パッドa5及びb5が接続されており、一次側コイルの他端には、パッドc3及びd3が接続されている。また、第2トランス302を形成する一次側コイルの一端には、パッドa6及びb6が接続されており、一次側コイルの他端には、パッドc3及びd3が接続されている。
【0142】
また、第3トランス303を形成する一次側コイルの一端には、パッドa7及びb7が接続されており、一次側コイルの他端には、パッドc4及びd4が接続されている。また、第4トランス304を形成する一次側コイルの一端には、パッドa8及びb8が接続されており、一次側コイルの他端には、パッドc4及びd4が接続されている。
【0143】
ただし、上記のパッドa5~a8、パッドb5~b8、パッドc3及びc4、並びに、パッドd3及びd4については、不図示のビアを介してトランスチップ300の内部から表面まで引き出されている。
【0144】
上記複数のパッドのうち、パッドa1~a8は、それぞれ、第1の電流供給用パッドに相当し、パッドb1~b8は、それぞれ、第1の電圧測定用パッドに相当する。また、パッドc1~c4は、それぞれ、第2の電流供給用パッドに相当し、パッドd1~d4は、それぞれ、第2の電圧測定用パッドに相当する。
【0145】
従って、本構成例のトランスチップ300であれば、その不良品検査時に各コイルの直列抵抗成分を正確に測定することができる。従って、各コイルの断線が生じている不良品をリジェクトすることはもちろん、各コイルの抵抗値異常(例えば、コイル同士の中途短絡)が生じている不良品についても、これを適切にリジェクトすることが可能となり、延いては、不良品の市場流出を未然に防止することが可能となる。
【0146】
なお、上記の不良品検査を通過したトランスチップ300については、上記複数のパッドを一次側チップ及び二次側チップ(例えば先出のコントローラチップ210及びドライバチップ220)との接続手段として用いればよい。
【0147】
具体的に述べると、パッドa1及びb1、パッドa2及びb2、パッドa3及びb3、並びに、パッドa4及びb4は、それぞれ、二次側チップの信号入力端または信号出力端に接続すればよい。また、パッドc1及びd1、並びに、パッドc2及びd2は、それぞれ、二次側チップのコモン電圧印加端(GND2)に接続すればよい。
【0148】
一方、パッドa5及びb5、パッドa6及びb6、パッドa7及びb7、並びに、パッドa8及びb8は、それぞれ、一次側チップの信号入力端または信号出力端に接続すればよい。また、パッドc3及びd3、並びに、パッドc4及びd4は、それぞれ、一次側チップのコモン電圧印加端(GND1)に接続すればよい。
【0149】
ここで、第1トランス301~第4トランス304は、
図9に示すように、それぞれの信号伝達方向毎にカップリングして並べられている。本図に即して述べると、例えば一次側チップから二次側チップに向けて信号を伝達する第1トランス301と第2トランス302が第1ガードリング305によって第1のペアとされている。また、例えば二次側チップから一次側チップに向けて信号を伝達する第3トランス303と第4トランス304が第2ガードリング306によって第2のペアとされている。
【0150】
このようなカップリングを行った理由は、第1トランス301~第4トランス304をそれぞれ形成する一次側コイルと二次側コイルをトランスチップ300の基板上下方向に積み重ねる形で積層形成した場合において、一次側コイルと二次側コイルとの間で耐圧を確保するためである。ただし、第1ガードリング305、及び、第2ガードリング306については、必ずしも必須の構成要素ではない。
【0151】
なお、第1ガードリング305及び第2ガードリング306は、それぞれ、パッドe1及びe2を介して、接地端などの低インピーダンス配線に接続すればよい。
【0152】
また、トランスチップ300において、パッドc1及びd1は、二次側コイルL1sと二次側コイルL2sとの間で共有されている。また、パッドc2及びd2は、二次側コイルL3sと二次側コイルL4sとの間で共有されている。また、パッドc3及びd3は、一次側コイルL1pと一次側コイルL2pとの間で共有されている。また、パッドc4及びd4は、対応するそれぞれの一次側コイルとの間で共有されている。このような構成とすることにより、パッド数を削減して、トランスチップ300の小型化を図ることが可能となる。
【0153】
また、
図9に示したように、第1トランス301~第4トランス304をそれぞれ形成する一次側コイルと二次側コイルは、トランスチップ300の平面視において、長方形状(または角を丸めたトラック状)となるように巻き回すことが望ましい。このような構成とすることにより、一次側コイルと二次側コイルが互いに重複する部分の面積が大きくなり、トランスの伝達効率を高めることが可能となる。
【0154】
もちろん、本図のトランス配列はあくまでも一例であり、コイルの個数、形状、配置、及び、パッドの配置は任意である。また、これまでに説明してきたチップ構造及びトランス配列などについては、半導体チップ上にコイルを集積化した半導体装置全般に適用することが可能である。
【0155】
<信号伝達装置(実施形態)>
図10は、信号伝達装置の一実施形態を示す図である。本実施形態の信号伝達装置400は、マイコンM1及びスイッチ素子TR1とともに電子機器Aに搭載される。
【0156】
スイッチ素子TR1は、例えば、ハーフブリッジ出力段又はフルブリッジ出力段の上側スイッチ素子及び下側スイッチ素子であってもよい。ハーフブリッジ出力段又はフルブリッジ出力段は、モータドライバなどの負荷駆動手段として用いられてもよいし、或いは、インバータなどの電力変換手段として用いられてもよい。本図で示されるように、スイッチ素子TR1は、IGBTであってもよい。また、スイッチ素子TR1は、MOSFET[metal oxide semiconductor field effect transistor]などに置換されてもよい。
【0157】
信号伝達装置400は、マイコンM1とスイッチ素子TR1との間を絶縁しつつ、マイコンM1から出力される入力パルス信号INに応じた出力パルス信号OUTを生成して、スイッチ素子TR1を駆動する。すなわち、信号伝達装置400は、いわゆる絶縁ゲートドライバICと呼ばれる半導体集積回路装置として理解され得る。
【0158】
本図に即して述べると、信号伝達装置400は、先出の信号伝達装置200(
図1)と同じく、入力パルス信号INから送信パルス信号Sr1及びSf1を生成するコントローラチップ410(=第1チップに相当)と、受信パルス信号Sr2及びSf2から出力パルス信号OUTを生成するドライバチップ420(=第2チップに相当)と、コントローラチップ410とドライバチップ420との間を絶縁しつつ送信パルス信号Sr1及びSf1を受信パルス信号Sr2及びSf2として伝達するトランスチップ430(=第3チップに相当)と、を単一のパッケージに封止して成るものであってもよい。
【0159】
なお、ドライバチップ420は、スイッチ素子TR1を駆動するための駆動回路が集積化される半導体チップとして理解され得る。
【0160】
また、信号伝達装置400は、ドライバチップ420に外部入力される複数のアナログ入力信号AIN1及びAIN2を監視し、それぞれの監視結果を単一のアナログ出力信号AOUTとしてコントローラチップ410からマイコンM1に外部出力する機能(=アナログ入力監視機能)を備えている。マイコンM1は、上記のアナログ出力信号AOUTを監視することによりスイッチ素子TR1の状態をリアルタイムに確認することができる。
【0161】
なお、信号伝達装置400の出荷時テストなどにおいて、上記のアナログ入力監視機能が正しく働いているか否かをチェックする必要がある場合には、アナログ出力信号AOUTの出力先がテスタとされてもよい。
【0162】
なお、アナログ入力信号AIN1(=第1アナログ入力信号に相当)は、監視対象電圧に応じた信号値(電圧値)を持つ信号であってもよい。例えば、監視対象電圧は、スイッチ素子TR1のコレクタ・エミッタ間電圧Vce又はドレイン・ソース間電圧Vdsであってもよい。また、監視対象電圧は、スイッチ素子TR1のコレクタ・エミッタ間における非飽和を監視するための非飽和検出電圧(いわゆるDESAT電圧)であってもよい。
【0163】
また、アナログ入力信号AIN2(=第2アナログ入力信号に相当)は、監視対象温度に応じた信号値(電圧値)を持つ信号であってもよい。例えば、監視対象温度は、スイッチ素子TR1のジャンクション温度Tj又は周囲温度Taであってもよい。
【0164】
ところで、ドライバチップ420は、上記のアナログ入力監視機能を実現するために、複数のアナログ入力信号AIN1及びAIN2から単一のデューティ信号PWMを生成するロジック421を備える。デューティ信号PWMは、ドライバチップ420からトランスチップ430を介してコントローラチップ410に伝達されてもよい。
【0165】
また、コントローラチップ410は、ドライバチップ420から伝達されるデューティ信号PWMをアナログ出力信号AOUTとしてそのまま外部出力してもよい。すなわち、アナログ出力信号AOUTは、アナログ入力信号AIN1及びAIN2それぞれの信号値に応じたデューティ情報を含む信号であってもよい。
【0166】
<ドライバチップ(ロジック)>
図11は、ドライバチップ420(特にロジック421)の一構成例を示す図である。ドライバチップ420は、ロジック421とオシレータ422を含む。また、本図では示されていないが、ドライバチップ420は、スイッチ素子TR1のゲートに出力パルス信号OUTを印加するための構成要素(先出の
図1を参照)も当然に備えている。
【0167】
ロジック421は、先述のように、複数のアナログ入力信号AIN1及びAIN2から単一のデューティ信号PWMを生成する。本図に即して述べると、ロジック421は、マルチプレクサ421aと、判定回路421bと、送信回路421cと、を含む。
【0168】
マルチプレクサ421aは、クロック信号CLKに同期して複数のアナログ入力信号AIN1及びAIN2のいずれか一つを選択することにより、単一の選択アナログ入力信号S1として出力する。例えば、マルチプレクサ421aは、クロック信号CLKがハイレベルであるときにアナログ入力信号AIN1を選択アナログ入力信号S1として選択してもよい。また、マルチプレクサ421aは、クロック信号CLKがローレベルであるときにアナログ入力信号AIN2を選択アナログ入力信号S1として選択してもよい。この場合、選択アナログ入力信号S1は、クロック信号CLKの論理レベルが切り替わる毎にアナログ入力信号AIN1及びAIN2のいずれか一方に切り替わる。
【0169】
判定回路421bは、アナログ入力信号AIN1及びAIN2それぞれが所定のテストモード移行条件を満たしているか否かを判定して判定結果信号S2を出力する。例えば、アナログ入力信号AIN1及びAIN2それぞれの通常入力範囲が下限値Lから上限値H(例えばL=0V、H=5V)である場合を考える。この場合、判定回路421bは、アナログ入力信号AIN1及びAIN2がそれぞれの通常入力範囲を外れているとき、例えば、アナログ入力信号AIN1及びAIN2それぞれが所定の閾値Vth(ただしVth>Hであり、例えばVth=8V)よりも高いときに、テストモード移行条件を満たしていると判定してもよい。
【0170】
なお、判定結果信号S2は、4値(「00」、「01」、「10」及び「11」)を取り得る2ビットのデジタル信号であってもよい。例えば、アナログ入力信号AIN1及びAIN2がいずれもテスト移行条件を満たしていない第1入力状態(AIN1,AIN2<Vth)では、判定結果信号S2が「00」とされてもよい。また、例えば、アナログ入力信号AIN1のみがテスト移行条件を満たしている第2入力状態(AIN2<Vth<AIN1)では、判定結果信号S2が「01」とされてもよい。また、例えば、アナログ入力信号AIN2のみがテスト移行条件を満たしている第3入力状態(AIN1<Vth<AIN2)では、判定結果信号S2が「10」とされてもよい。また、例えば、アナログ入力信号AIN1及びAIN2がいずれもテスト移行条件を満たしている第4入力状態(Vth<AIN1,AIN2)では、判定結果信号S2が「11」とされてもよい。
【0171】
送信回路421cは、選択アナログ入力信号S1の入力を受け付けており、判定結果信号S2に応じた動作モードでクロック信号CLKに同期したデューティ信号PWMを出力する。なお、ロジック421は、上記の動作モードとして、通常モード、第1テストモード及び第2テストモードを備える(詳細は後述)。
【0172】
デューティ信号PWMは、基本的に、選択アナログ入力信号S1の信号値に応じたデューティ(パルス幅)を持つ2値信号であってもよい。例えば、デューティ信号PWMは、基本的に、選択アナログ入力信号S1が大きいほど高デューティとなり、選択アナログ入力信号S1が小さいほど低デューティとなる(詳細は後述)。
【0173】
オシレータ422は、固定長のパルス周期(T1+T2)でクロック信号CLKを出力する。例えば、クロック信号CLKは、パルス幅T1(例えば250μs)のハイレベル期間と、パルス幅T2(例えば166μs)のローレベル期間を持ってもよい。
【0174】
図12は、ロジック421のアナログ入出力と動作モードの関係を示す図である。本図で示されるように、ロジック421の動作モード(本図では「MODE」と表記)は、アナログ入力信号AIN1及びAIN2それぞれの入力状態に応じて、通常モード(本図では「NORMAL」と表記)、第1テストモード(本図では「TEST1」と表記)及び第2テストモード(本図では「TEST2」と表記)のいずれかに切り替わる。
【0175】
まず、本図の第1行目で描写されている第1入力状態について説明する。第1入力状態は、アナログ入力信号AIN1及びAIN2がそれぞれの通常入力範囲に収まっている状態(L≦AIN1≦H<Vth、かつ、L≦AIN2≦H<Vth)である。すなわち、第1入力状態は、アナログ入力信号AIN1及びAIN2がいずれもテスト移行条件を満たしていない状態に相当する。なお、本図では、図示の便宜上、アナログ入力信号AIN1及びAIN2それぞれの欄に「-」が記されている。
【0176】
上記の第1入力状態では、ロジック421が通常モードとなる。このとき、ロジック421は、アナログ入力信号AIN1及びAIN2それぞれを時分割で順次監視しつつその監視期間毎にデューティ信号PWMのパルス周期を異なる長さに切り替えながらアナログ入力信号AIN1及びAIN2それぞれの信号値に応じてデューティ信号PWMのパルス幅制御を行う(詳細は後述)。その結果、アナログ出力信号AOUTは、アナログ入力信号AIN1及びAIN2それぞれの信号値に応じたデューティ情報を持つ。
【0177】
次に、本図の第2行目で描写されている第2入力状態について説明する。第2入力状態は、アナログ入力信号AIN1が通常入力範囲を外れており(AIN1>Vth)、かつアナログ入力信号AIN2が通常入力範囲に収まっている状態(L≦AIN2≦H<Vth)である。すなわち、第2入力状態は、アナログ入力信号AIN1のみがテスト移行条件を満たしている状態に相当する。なお、本図では、図示の便宜上、アナログ入力信号AIN1及びAIN2それぞれの欄に「overH」及び「-」が記されている。
【0178】
上記の第2入力状態では、ロジック421が第1テストモードとなる。特に、第2入力状態では、アナログ入力信号AIN2がテスト対象とされる。このとき、ロジック421は、アナログ入力信号AIN2を監視しつつその信号値に応じて固定長のパルス周期でデューティ信号PWMのパルス幅制御を行う(詳細は後述)。その結果、アナログ出力信号AOUTは、アナログ入力信号AIN2の信号値に応じたデューティ情報を持つ。
【0179】
続いて、本図の第3行目で描写されている第3入力状態について説明する。第3入力状態は、アナログ入力信号AIN1が通常入力範囲に収まっており(L≦AIN1≦H<Vth)、かつ、アナログ入力信号AIN2が通常入力範囲を外れている状態(AIN2>Vth)である。すなわち、第3入力状態は、アナログ入力信号AIN2のみがテスト移行条件を満たしている状態に相当する。なお、本図では、図示の便宜上、アナログ入力信号AIN1及びAIN2それぞれの欄に「-」及び「overH」が記されている。
【0180】
上記の第3入力状態では、ロジック421が第1テストモードとなる。特に、第3入力状態では、アナログ入力信号AIN1がテスト対象とされる。このとき、ロジック421は、アナログ入力信号AIN1を監視しつつその信号値に応じて固定長のパルス周期でデューティ信号PWMのパルス幅制御を行う(詳細は後述)。その結果、アナログ出力信号AOUTは、アナログ入力信号AIN1の信号値に応じたデューティ情報を持つ。
【0181】
このように、ロジック421は、アナログ入力信号AIN1及びAIN2の一方がテストモード移行条件を満たしているときに、通常モードから第1テストモードに移行する。そして、ロジック421は、アナログ入力信号AIN1及びAIN2の他方を監視しつつその信号値に応じて固定長のパルス周期でデューティ信号PWMのパルス幅制御を行う。
【0182】
最後に、本図の第4行目で描写されている第4入力状態について説明する。第4入力状態は、アナログ入力信号AIN1及びAIN2がそれぞれの通常入力範囲を外れている状態(AIN1>Vth、かつ、AIN2>Vth)である。すなわち、第4入力状態は、アナログ入力信号AIN1及びAIN2の双方がテスト移行条件を満たしている状態に相当する。なお、本図では、図示の便宜上、アナログ入力信号AIN1及びAIN2それぞれの欄に「overH」が記されている。
【0183】
上記の第4入力状態では、ロジック421が第2テストモードとなる。このとき、ロジック421は、デューティ信号PWMのパルス幅を固定しつつ固定長のパルス周期でデューティ信号PWMを出力する(詳細は後述)。従って、アナログ出力信号AOUTは、クロック信号CLKのパルス周波数FRQ(=1/(T1+T2))に関する情報を持つ。
【0184】
図13は、アナログ出力信号AOUTの一例を示す図である。本図では、上から順に、通常モード、第1テストモード(AIN2監視状態)、第1テストモード(AIN1監視状態)、及び、第2テストモードそれぞれにおけるアナログ出力信号AOUTの波形例が描写されている。なお、本図のアナログ出力信号AOUTは、デューティ信号PWMと読み替えられてもよい。特に、第2テストモードのアナログ出力信号AOUT(=デューティ信号PWM)は、クロック信号CLKに相当するものとして理解され得る。
【0185】
まず、本図の第1段目を参照しながら、通常モードでの挙動を説明する。先述の通り、アナログ入力信号AIN1及びAIN2が第1入力状態(
図12の第1行目を参照)であるときには、ロジック421が通常モードとなる。
【0186】
通常モードでは、アナログ入力信号AIN1及びAIN2それぞれが時分割で順次監視されてもよい。例えば、クロック信号CLKのハイレベル期間(=パルス幅T1)には、アナログ入力信号AIN1が監視されてもよい。一方、クロック信号CLKのローレベル期間(=パルス幅T2)には、アナログ入力信号AIN2が監視されてもよい。
【0187】
なお、パルス幅T1及びT2は、それぞれ異なる長さに設定されてもよい。例えば、パルス幅T1は、250μsに設定されてもよい。これは、デューティ信号PWMのパルス周波数に換算すると4kHzに相当する。一方、パルス幅T2は、166μsに設定されてもよい。これは、デューティ信号PWMのパルス周波数に換算すると6kHzに相当する。このように、通常モードでは、アナログ入力信号AIN1及びAIN2それぞれの監視期間毎にデューティ信号PWMのパルス周期が異なる長さに切り替えられてもよい。
【0188】
また、アナログ入力信号AIN1及びAIN2それぞれの監視期間には、アナログ入力信号AIN1及びAIN2それぞれの信号値に応じてデューティ信号PWMのパルス幅制御が行われる。例えば、アナログ入力信号AIN1の監視期間には、アナログ入力信号AIN1の信号値(下限値Lから上限値H)に応じてデューティ信号PWMのパルス幅Ton1が最小値Ton1_min(例えば0)から最大値Ton1_max(例えばT1)の範囲で可変制御されてもよい。一方、アナログ入力信号AIN2の監視期間には、アナログ入力信号AIN2の信号値(下限値Lから上限値H)に応じてデューティ信号PWMのパルス幅Ton2が最小値Ton2_min(例えば0)から最大値Ton2_max(例えばT2)の範囲で可変制御されてもよい。
【0189】
このように、通常モードのアナログ出力信号AOUTは、アナログ入力信号AIN1の信号値に応じたデューティ情報(=Ton1/T1)と、アナログ入力信号AIN2の信号値に応じたデューティ情報(=Ton2/T2)を時分割で交互に含む。
【0190】
次に、本図の第2段目を参照しながら、第1テストモードでアナログ入力信号AIN2がテスト対象とされる場合の挙動を説明する。先述の通り、アナログ入力信号AIN1及びAIN2が第2入力状態(
図12の第2行目を参照)であるときには、ロジック421が第1テストモードとなり、アナログ入力信号AIN2がテスト対象となる。
【0191】
本図に即して具体的に述べると、クロック信号CLKのハイレベル期間(=パルス幅T1)には、アナログ入力信号AIN1の信号値(overH)に依ることなく、デューティ信号PWMがローレベルに固定される。
【0192】
一方、クロック信号CLKのローレベル期間(=パルス幅T2)には、アナログ入力信号AIN2の信号値に応じてデューティ信号PWMのパルス幅制御が行われる。具体的には、先述のように、アナログ入力信号AIN2の信号値(下限値Lから上限値H)に応じてデューティ信号PWMのパルス幅Ton2が最小値Ton2_min(例えば0)から最大値Ton2_max(例えばT2)の範囲で可変制御されてもよい。
【0193】
次に、本図の第3段目を参照しながら、第1テストモードでアナログ入力信号AIN1がテスト対象とされる場合の挙動を説明する。先述の通り、アナログ入力信号AIN1及びAIN2が第3入力状態(
図12の第3行目を参照)であるときには、ロジック421が第1テストモードとなり、アナログ入力信号AIN1がテスト対象となる。
【0194】
本図に即して具体的に述べると、クロック信号CLKのローレベル期間(=パルス幅T2)には、アナログ入力信号AIN2の信号値(overH)に依ることなく、デューティ信号PWMがローレベルに固定される。
【0195】
一方、クロック信号CLKのハイレベル期間(=パルス幅T1)には、アナログ入力信号AIN1の信号値に応じてデューティ信号PWMのパルス幅制御が行われる。具体的には、先述のように、アナログ入力信号AIN1の信号値(下限値Lから上限値H)に応じてデューティ信号PWMのパルス幅Ton1が最小値Ton1_min(例えば0)から最大値Ton1_max(例えばT1)の範囲で可変制御されてもよい。
【0196】
このように、第1テストモードでは、アナログ入力信号AIN1及びAIN2のいずれがテスト対象とされる場合でも、見かけ上、固定長のパルス周期でデューティ信号PWMのパルス幅制御が行われる。具体的に述べると、第1テストモードにおけるデューティ信号PWMのパルス周期は、通常モードでアナログ入力信号AIN1及びAIN2それぞれの監視期間毎に切り替えられる複数のパルス周期(=クロック信号CLKのパルス幅T1及びT2に相当)を一通り足し合わせた長さ(T1+T2)を持つ。
【0197】
従って、アナログ出力信号AOUTは、アナログ入力信号AIN1及びAIN2いずれかの信号値に応じたデューティ情報(=Ton1/(T1+T2)、または、Ton2/(T1+T2))を含む。
【0198】
このように、第1テストモードであれば、先述の通常モードと異なり、アナログ入力信号AIN1及びAIN2が個別にテスト対象とされ得る。また、第1テストモードでは、デューティ信号PWM(延いてはアナログ出力信号AOUT)のパルス周期が固定長とされる。そのため、信号伝達装置400の出荷時テストでは、アナログ出力信号AOUTを監視するためのテスタとして、固定長のパルス周期を読み取ることのできる汎用テスタが利用可能となる。すなわち、時分割で交互に切り替わるパルス周期を読み取ることのできる専用テスタを用意する必要がなくなる。従って、信号伝達装置400に搭載されるアナログ入力監視機能のテスタビリティが向上する。
【0199】
最後に、本図の第4段目を参照しながら、第2テストモードでの挙動を説明する。先述の通り、アナログ入力信号AIN1及びAIN2が第4入力状態(
図12の第4行目を参照)であるときには、ロジック421が第2テストモードとなる。
【0200】
第2テストモードでは、デューティ信号PWMのパルス幅を固定しつつ固定長のパルス周期でデューティ信号PWMが出力される。本図に即して述べると、クロック信号CLKのハイレベル期間(=パルス幅T1)には、アナログ入力信号AIN1の信号値(overH)に依ることなく、デューティ信号PWMがハイレベルに固定される。一方、クロック信号CLKのローレベル期間(=パルス幅T2)には、アナログ入力信号AIN2の信号値(overH)に依ることなく、デューティ信号PWMがローレベルに固定される。
【0201】
すなわち、第2テストモードでは、デューティ信号PWMがクロック信号CLKと実質的に同一の信号となる。従って、アナログ出力信号AOUTは、クロック信号CLKのパルス周波数FRQ(=1/(T1+T2))に関する情報を持つ。
【0202】
このように、第2テストモードでは、クロック信号CLK(延いてはデューティ信号PWM及びアナログ出力信号AOUT)のパルス周波数FRQが適正であるか否かについてもチェックすることが可能となる。
【0203】
<車両への適用>
図14は、車両の外観を示す図である。本構成例の車両Bは、バッテリから電力供給を受けて動作する種々の電子機器を搭載している。
【0204】
車両Bには、エンジン車のほか、電動車(BEV[battery electric vehicle]、HEV[hybrid electric vehicle]、PHEV/PHV(plug-in hybrid electric vehicle/plug-in hybrid vehicle]、又は、FCEV/FCV(fuel cell electric vehicle/fuel cell vehicle]などのxEV)も含まれる。
【0205】
なお、先に説明した信号伝達装置200又は400は、車両Bに搭載される電子機器のいずれにも組み込むことが可能である。
【0206】
<付記>
以下では、上記で説明した種々の実施形態について総括的に述べる。
【0207】
本開示に係るロジックは、複数のアナログ入力信号から単一のデューティ信号を生成するように構成されるロジックであって、動作モードとして、前記複数のアナログ入力信号それぞれを時分割で順次監視しつつその監視期間毎に前記デューティ信号のパルス周期を異なる長さに切り替えながら前記複数のアナログ入力信号それぞれの信号値に応じて前記デューティ信号のパルス幅制御を行う通常モードと、前記複数のアナログ入力信号のうちいずれか一つを監視しつつその信号値に応じて固定長のパルス周期で前記デューティ信号のパルス幅制御を行う第1テストモードと、を備える構成(第1の構成)とされている。
【0208】
なお、上記第1の構成によるロジックにおいて、前記固定長のパルス周期は、前記通常モードで前記監視期間毎に切り替えられる複数のパルス周期を一通り足し合わせた長さを持つ構成(第2の構成)とされてもよい。
【0209】
また、上記第1又は第2の構成によるロジックは、動作モードとして、前記デューティ信号のパルス幅を固定しつつ前記固定長のパルス周期で前記デューティ信号を出力する第2テストモードをさらに備える構成(第3の構成)とされてもよい。
【0210】
また、上記第3の構成によるロジックにおいて、前記複数のアナログ入力信号は、監視対象電圧に応じた第1アナログ入力信号と、監視対象温度に応じた第2アナログ入力信号と、を含む構成(第4の構成)とされてもよい。
【0211】
また、上記第4の構成によるロジックは、前記第1アナログ入力信号及び前記第2アナログ入力信号の一方が所定の条件を満たしているときには前記通常モードから前記第1テストモードに移行して前記第1アナログ入力信号及び前記第2アナログ入力信号の他方を監視しつつその信号値に応じて前記固定長のパルス周期で前記デューティ信号のパルス幅制御を行う構成(第5の構成)とされてもよい。
【0212】
また、上記第4又は第5の構成によるロジックは、前記第1アナログ入力信号及び前記第2アナログ入力信号の双方が所定の条件を満たしているときには前記通常モードから前記第2テストモードに移行して前記デューティ信号のパルス幅を固定しつつ前記固定長のパルス周期で前記デューティ信号を出力する構成(第6の構成)とされてもよい。
【0213】
また、上記第4~第6いずれかの構成によるロジックは、前記複数のアナログ入力信号のいずれか一つを選択することにより単一の選択アナログ入力信号として出力するように構成されたマルチプレクサと、前記第1アナログ入力信号及び前記第2アナログ入力信号それぞれが所定の条件を満たしているか否かを判定して判定結果信号を出力するように構成された判定回路と、前記選択アナログ入力信号の入力を受けて前記判定結果信号に応じた動作モードで前記デューティ信号を出力するように構成された送信回路と、を備える構成(第7の構成)とされてもよい。
【0214】
また、本開示に係る信号伝達装置は、入力パルス信号から送信パルス信号を生成するように構成された第1チップと、受信パルス信号からスイッチ素子を駆動するための出力パルス信号を生成するように構成された第2チップと、前記第1チップと前記第2チップとの間を絶縁しつつ前記送信パルス信号を前記受信パルス信号として伝達するように構成された第3チップと、を単一のパッケージに封止して成り、請求項1~7のいずれか一項に記載のロジックは、前記第2チップに集積化される構成(第8の構成)とされている。
【0215】
また、本開示に係る電子機器は、上記第8の構成による信号伝達装置と、前記出力パルス信号により駆動されるように構成された前記スイッチ素子と、を備える構成(第9の構成)とされている。
【0216】
また、本開示に係る車両は、上記第9の構成による電子機器を備える構成(第10の構成)とされている。
【0217】
<その他>
なお、本開示に係る種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。また、本開示の技術的範囲は、特許請求の範囲により規定されるものであって、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0218】
5 半導体装置
11、11A~11F 低電位端子
12、12A~12F 高電位端子
21、21A~21D 変圧器(トランス)
22 低電位コイル(一次側コイル)
23 高電位コイル(二次側コイル)
24 第1内側末端
25 第1外側末端
26 第1螺旋部
27 第2内側末端
28 第2外側末端
29 第2螺旋部
31 第1低電位配線
32 第2低電位配線
33 第1高電位配線
34 第2高電位配線
41 半導体チップ
42 第1主面
43 第2主面
44A~44D チップ側壁
45 第1機能デバイス
51 絶縁層
52 絶縁主面
53A~53D 絶縁側壁
55 最下絶縁層
56 最上絶縁層
57 層間絶縁層
58 第1絶縁層
59 第2絶縁層
60 第2機能デバイス
61 シール導体
62 デバイス領域
63 外側領域
64 シールプラグ導体
65 シールビア導体
66 第1内側領域
67 第2内側領域
71 貫通配線
72 低電位接続配線
73 引き出し配線
74 第1接続プラグ電極
75 第2接続プラグ電極
76 パッドプラグ電極
77 基板プラグ電極
78 第1電極層
79 第2電極層
80 配線プラグ電極
81 高電位接続配線
82 パッドプラグ電極
85 ダミーパターン
86 高電位ダミーパターン
87 第1高電位ダミーパターン
88 第2高電位ダミーパターン
89 第1領域
90 第2領域
91 第3領域
92 第1接続部
93 第1パターン
94 第2パターン
95 第3パターン
96 第1外周ライン
97 第2外周ライン
98 第1中間ライン
99 第1接続ライン
100 スリット
130 分離構造
140 無機絶縁層
141 第1無機絶縁層
142 第2無機絶縁層
143 低電位パッド開口
144 高電位パッド開口
145 有機絶縁層
146 第1部分
147 第2部分
148 低電位端子開口
149 高電位端子開口
200 信号伝達装置
200p 一次回路系
200s 二次回路系
210 コントローラチップ(第1チップ)
211 パルス送信回路(パルスジェネレータ)
212、213 バッファ
220 ドライバチップ(第2チップ)
221、222 バッファ
223 パルス受信回路(RSフリップフロップ)
224 ドライバ
230 トランスチップ(第3チップ)
230a 第1配線層(下層)
230b 第2配線層(上層)
231、232 トランス
231p、232p 一次側コイル
231s、232s 二次側コイル
300 トランスチップ
301 第1トランス
302 第2トランス
303 第3トランス
304 第4トランス
305 第1ガードリング
306 第2ガードリング
400 信号伝達装置
410 コントローラチップ(第1チップ)
420 ドライバチップ(第2チップ)
421 ロジック
421a マルチプレクサ
421b 判定回路
421c 送信回路
422 オシレータ
430 トランスチップ(第3チップ)
a1~a8 パッド(第1の電流供給用パッドに相当)
b1~b8 パッド(第1の電圧測定用パッドに相当)
c1~c4 パッド(第2の電流供給用パッドに相当)
d1~d4 パッド(第2の電圧測定用パッドに相当)
e1、e2 パッド
A 電子機器
B 車両
L1p、L2p 一次側コイル
L1s、L2s、L3s、L4s 二次側コイル
M1 マイコン
T21、T22、T23、T24、T25、T26 外部端子
TR1 スイッチ素子
X 第1方向
X21、X22、X23 内部端子
Y 第2方向
Y21、Y22、Y23 配線
Z 法線方向
Z21、Z22、Z23 ビア