(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141352
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】取付部材のシール構造
(51)【国際特許分類】
F16J 15/06 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
F16J15/06 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052947
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000124096
【氏名又は名称】株式会社パイオラックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】宮前 仁志
(72)【発明者】
【氏名】勝田 大貴
【テーマコード(参考)】
3J040
【Fターム(参考)】
3J040AA17
3J040EA02
3J040EA16
3J040FA05
3J040HA30
(57)【要約】
【課題】高圧流体の高圧力がシール部材に作用しても、被取付部材の開口の表側周縁部と取付部材のフランジ部とのシール性を維持できる、取付部材のシール構造を提供する。
【解決手段】取付部材のシール構造であって、取付部材10は胴部21とフランジ部23とを有し、被取付部材1の開口1aの表側周縁部1bとフランジ部23との隙間CLに、シール部材80が配置され、シール部材80は、胴部外周に配置される基部81と、基部81の径方向外側に設けられ圧力受け面87を有する外側シール部83と、被取付部材1の表側周縁部1b及びフランジ部23に当接するシール突部90,91と、圧力受け面87が流体圧をうけたとき、基部81の径方向内側に設けられ胴部外周を押圧する押圧突部95とを有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付部材に形成した開口に取付けられる取付部材のシール構造であって、
前記取付部材は、胴部と、該胴部から径方向外側に張り出したフランジ部とを有しており、
前記取付部材が前記被取付部材に取付けられた状態で、前記開口の表側周縁部と、前記フランジ部との間に形成される隙間に、シール部材が配置されるようになっており、
前記シール部材は、
前記胴部の外周に配置される環状をなした基部と、
該基部の径方向外側に設けられ、且つ、前記被取付部材の前記表側周縁部及び前記フランジ部に当接するように延出すると共に、前記隙間に向けて流れる流体の圧力を受けるように構成された圧力受け面を有する、外側シール部と、
前記基部の両面から突出し、前記被取付部材の前記表側周縁部及び前記フランジ部にそれぞれ当接するシール突部と、
前記基部の径方向内側に設けられ、前記圧力受け面が前記流体の圧力を受けたとき、前記胴部の外周を押圧する押圧突部とを有することを特徴とする、取付部材のシール構造。
【請求項2】
前記外側シール部は、前記基部の径方向内側に凹む凹状部を有しており、該凹状部の内面が前記圧力受け面をなしている請求項1記載の取付部材のシール構造。
【請求項3】
前記基部の中心軸方向において、前記凹状部の底部は、前記押圧突部と重なる位置となるように配置されている請求項2記載の取付部材のシール構造。
【請求項4】
前記シール突部は、基端部と、該基端部の延出方向先端側に配置された先端部とを有しており、
前記先端部の、径方向内側にテーパ面が形成されている請求項1~3のいずれか1つに記載の取付部材のシール構造。
【請求項5】
前記被取付部材は、蓄電デバイスが収容されるケースであって、前記開口が、前記蓄電デバイスのガス排出口をなしており、
前記取付部材は、前記ガス排出口におけるガス圧が所定値以上のときにガスを排出する、ガス排出バルブをなしている請求項1~3のいずれか1つに記載の取付部材のシール構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被取付部材に形成した開口に取付けられる取付部材のシール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ケースやパネル等の被取付部材に開口を形成しておき、この開口に、バルブ等の取付部材を取付けることがある。開口の表側周縁部と取付部材との間には、シール性確保のために、シール部材を配置することがあり、その場合、開口の表側周縁部と取付部材との間には、シール部材の厚み分の隙間が形成されることになる。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、通気口において筐体に装着される通気部品であって、通気膜と、弾性体を含み、弾性体の弾性変形により開閉する通気弁と、通気膜及び通気弁を支持する構造部材とを備えた、通気部品が記載されている。
【0004】
筐体には、通気口が形成されている。また、構造部材は、通気膜を支持する第一部材と、該第一部材を支持する第二部材とを有している。第二部材は、筐体の通気口に挿入される内周部と、該内周部の外周に連結部を介して配置されたが外周部と、外周部から外側に突出した外方突出部と、連結部の裏面側に形成した環状溝と、内周部の下端外周から突出した係合部とを有している。
【0005】
そして、環状溝に、Oリングであるシール部材が配置して、内周部を、筐体の通気口に挿入し、通気口の裏側周縁に係合部を係合させることで、通気口に通気部品が取付けられるようになっている。この取付状態では、通気口の表側周縁部にシールリングが当接して、筐体の表面と通気部品の外方突出部の裏面との隙間が、シールリングによってシールされる(特許文献1のFIG.4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1の通気部品の場合、通気部品外部から高圧の流体による圧力を受けると、筐体の表面と通気部品の外方突出部の裏面との隙間から流体が浸入してシールリングを押圧し、シールリングが筐体の表面から浮き上がり、筐体内に流体が浸入するおそれがあった。
【0008】
したがって、本発明の目的は、高圧の流体がシール部材に作用しても、被取付部材の開口の表側周縁部と取付部材のフランジ部とのシール性を維持することができる、取付部材のシール構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、被取付部材に形成した開口に取付けられる取付部材のシール構造であって、前記取付部材は、胴部と、該胴部から径方向外側に張り出したフランジ部とを有しており、前記取付部材が前記被取付部材に取付けられた状態で、前記開口の表側周縁部と、前記フランジ部との間に形成される隙間に、シール部材が配置されるようになっており、前記シール部材は、前記胴部の外周に配置される環状をなした基部と、該基部の径方向外側に設けられ、且つ、前記被取付部材の前記表側周縁部及び前記フランジ部に当接するように延出すると共に、前記隙間に向けて流れる流体の圧力を受けるように構成された圧力受け面を有する、外側シール部と、前記基部の両面から突出し、前記被取付部材の前記表側周縁部及び前記フランジ部にそれぞれ当接するシール突部と、前記基部の径方向内側に設けられ、前記圧力受け面が前記流体の圧力を受けたとき、前記胴部の外周を押圧する押圧突部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、取付部材が被取付部材に取付けられ、開口の表側周縁部と取付部材のフランジ部との間に形成される隙間に、シール部材が配置された状態で、前記隙間に向けて流体が流れると、外側シール部の圧力受け面が流体の圧力を受け止めて、その圧力が基部を介して押圧突部に作用して、押圧突部が取付部材の胴部外周面を押圧する。その結果、胴部の外周面と押圧突部との間に摩擦力が生じることになるので、シール部材を、開口の表側周縁部から浮き上がる方向に位置ずれしにくくすることができ、開口の表側周縁部とフランジ部とのシール性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る取付部材のシール構造の、一実施形態を示す分解斜視図である。
【
図2】同シール構造の各部材を組付けた状態の斜視図である。
【
図3】同シール構造を構成するシール部材の、拡大斜視図である。
【
図4】同シール構造を構成するシール部材の、平面図である。
【
図5】
図4のA-A矢視線における断面図、及び、拡大断面図である。
【
図6】本発明に係る取付部材のシール構造において、被取付部材の開口に取付部材を取付ける前の状態の断面図である。
【
図7】同シール構造において、被取付部材の開口に取付部材を取付けた状態の断面図、及び、拡大断面図である。
【
図8】同シール構造において、弁体が弁座から離れて、通気口が開口した状態の断面図である。
【
図9】同シール構造において、高圧の流体が作用した場合の、シール部材の挙動を示す要部拡大断面説明図である。
【
図10】比較例のシール構造において、高圧の流体が作用した場合の、シール部材の挙動を示す要部拡大断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(取付部材のシール構造の一実施形態)
以下、図面を参照して、本発明に係る取付部材のシール構造の、一実施形態について説明する。
【0013】
図7に示すように、本発明は、被取付部材1に形成した開口1aに取付けられる取付部材10のシール構造(以下、単に「シール構造」ともいう)である。
【0014】
取付部材10は、胴部21と、該胴部21から径方向外側に張り出したフランジ部23とを有している。そして、取付部材10が被取付部材1に取付けられた状態で、被取付部材1の、開口1aの表側周縁部1bと、フランジ部23との間に形成される隙間CL(
図7に示すように、被取付部材1の開口1aの表側周縁部1bと、取付部材10のフランジ部23の裏面23aとの間に形成される、取付部材10の軸方向に沿った隙間CL)に、シール部材80が配置されるようになっている。
【0015】
なお、被取付部材1における「表側」や「表面」とは、シール部材80が配置される側や面を意味し、「裏側」や「裏面」とは、「表側」や「表面」とは反対側を意味する。
【0016】
そして、この実施形態における取付部材のシール構造は、図示しない蓄電デバイスが収容されるケースに取付けられて、ケース内の圧力が上昇したときに、その圧力を解放(低下)させる、蓄電デバイス用ガス排出装置に適用される。
【0017】
また、この実施形態の被取付部材1は、蓄電デバイスが収容されるケースであって、円形孔状をなした開口1aが、蓄電デバイスのガス排出口をなしている。一方、取付部材10が、ガス排出口におけるガス圧が所定値以上のときにガスを排出する、ガス排出バルブをなしている。
【0018】
なお、
図6~8に示すように、被取付部材1の内部空間をケース内部空間R1とし、被取付部材1の外部空間をケース外部空間R2とする。
【0019】
図1や
図6に示すように、この実施形態における取付部材10は、被取付部材1の開口1aに取付けられるグロメット20と、該グロメット20に装着される略円環枠状をなしたカバー30と、該カバー30の円形開口31aを閉塞するキャップ40と、通気口65を開閉する弁体50と、該弁体50を通気口65が閉じる方向に付勢するコイルばね55と、シールリング70が装着されると共に、弁座75を形成する弁座形成部材60と、グロメット20に外装される前記シール部材80とから構成されている。
【0020】
まず、シール部材80以外の部材について説明する。
【0021】
前記グロメット20は、略円筒状をなすと共に、開口1aに挿入される胴部21と、該胴部21の先端部寄りの外周面から径方向外方に張り出した略円環板状をなしたフランジ部23と、該フランジ部23の表面側に連設され、枠状をなしたカバー装着部25とを有している。
【0022】
また、
図6に示すように、胴部21の基端部側外周には、複数の係合突部27が突設されている。そして、
図7に示すように、これらの係合突部27が、開口1aの裏側周縁部に係合することで、被取付部材1の開口1aにグロメット20が取付けられるようになっている。
【0023】
更に、カバー装着部25の所定箇所には、被係止部29が設けられている。また、胴部21の内周には、弁座形成部材60に設けた突条61aが挿入される、複数の溝部21aが形成されている(
図1参照)。
【0024】
一方、前記カバー30は、円形環状をなし内側に円形開口31aを有する天井壁31と、該天井壁31の外周縁部から垂設した略円筒状をなした周壁33とを有している。また、周壁33の延出方向先端部の内側には、グロメット20の被係止部29に係止する、係止爪35が配置されている。更に、カバー30の、天井壁31と周壁33との連結部分には、カバー30の内部空間と連通する、複数の通気開口37が形成されている。
【0025】
そして、
図6に示すように、係止爪35がグロメット20の被係止部29の外側に係止することで、グロメット20のカバー装着部25に、カバー30が装着されるようになっている。
【0026】
図1や
図6に示すように、前記キャップ40は、略円形板状をなすと共に、カバー30の天井壁31の円形開口31aを閉塞する天井板41と、該天井板41の外周縁部から所定長さで垂設した周壁43と、前記天井板41の裏面中央部から突出した略円筒状をなすと共に、コイルばね55の一端部を支持する筒状部45とを有している。
【0027】
また、周壁43の延出方向先端からは、略U字状をなした係止片47が、周方向に均等な間隔を空けて複数延設されている。
【0028】
そして、
図6に示すように、係止片47が、グロメット20の被係止部29の内側に係止することで、カバー30の円形開口31aを閉塞した状態で、グロメット20にキャップ40が装着されるようになっている。
【0029】
前記弁体50は、略円筒状をなした筒状部51と、該筒状部51の先端部寄りの外周から張り出した、略円形板状をなした鍔部53と、筒状部51の基端部内周に設けられた略ハット状をなすと共に、コイルばね55の他端部を支持する、ばね支持部55とを有している。
【0030】
図7や
図8に示すように、筒状部51は、キャップ40の筒状部45の外周に配置されて、弁体50の昇降スライド動作をガイドする。また、鍔部53の外周縁部が、シールリング70に設けた弁座75に接離して、通気口65を開閉するようになっている(
図7及び
図8参照)。
【0031】
弁座形成部材60は、略円筒状をなした周壁61と、周壁61の基端部内周に架設された、略十字状をなした弁体受け部63とを有している。なお、周壁61の内周開口部が、ケース内部空間R1及びケース外部空間R2を連通させる通気口65をなしている。
【0032】
また、周壁61の外周には、周方向に均等な間隔を空けて、複数の突条61aが軸方向に延設されている。そして、各突条61aが、グロメット20に設けた溝部21aに挿入されることで、グロメット20に対して、弁座形成部材60が回り止めされると共に軸方向に位置決め保持される。
【0033】
図1や
図6に示すように、シールリング70は、略円筒状をなした筒状部71と、該筒状部71の基端部外周から突出した環状突起状をなしたシール部73と、筒状部71の内周縁部の表側から突出した環状突起状をなした弁座75とを有しており、ゴムや弾性エラストマー等の弾性材料によって全部分が一体形成されている。
【0034】
図6~8に示すように、前記シール部73は、グロメット20の胴部21の内周面に弾性的に当接して、胴部21とシールリング70との隙間をシールする。
【0035】
また、
図7や
図8に示すように、弁座75は、弁体50の鍔部53の外周縁部の裏面側に接離して、通気口65を開閉するようになっている。
【0036】
次に、シール部材80について、
図1及び
図3~5等を参照して説明する。
【0037】
このシール部材80は、胴部21の外周に配置される環状をなした基部81と、該基部81の径方向外側に設けられ、且つ、被取付部材1の表側周縁部1b及び取付部材10のフランジ部23に当接するように延出すると共に、隙間CLに向けて流れる流体の圧力を受けるように構成された圧力受け面87を有する、外側シール部83と、基部81の両面から突出し、被取付部材1の表側周縁部1b及び取付部材10のフランジ部23にそれぞれ当接するシール突部90,91と、基部81の径方向内側に設けられ、圧力受け面87が流体の圧力を受けたとき、胴部21の外周(この実施形態では外周面21bを意味する)を押圧する押圧突部95とを有しており、全体として円環状をなしたリング形状を呈している。
【0038】
また、このシール部材80は、グロメット20の胴部21の外周に装着された状態で、グロメット20の胴部21が被取付部材1の開口1aに挿入されて、同開口1aにグロメット20が取付けられたときに、
図7に示すように、被取付部材1の開口1aの表側周縁部1bと取付部材10のフランジ部23とで挟持されて、その隙間CLをシールする(密閉状態に保持する)ようになっている。
【0039】
まず、基部81について説明する。この実施形態における基部81は、グロメット20の、略円筒状をなした胴部21に適合するように円形環状をなしており、所定肉厚で形成されている(開口1aの開口方向に沿った方向である軸方向に、一定厚さで形成されている)。なお、基部81の径方向の中心を「C」とし(
図5参照)、この径方向中心Cに沿った方向を、シール部材80の軸方向(本発明における「中心軸方向」をなす)とする。
【0040】
また、基部81の表面(軸方向又は厚さ方向における一方の面であり、被取付部材1の表面とは反対側の面)や、基部81の裏面(軸方向又は厚さ方向における他方の面であり、被取付部材1の表面に対向する面)は、平坦面状をなしている。
【0041】
次に外側シール部83について説明すると、基部81の外周縁部81a(基部81の径方向外側に位置する縁部)からは、互いに離間するように斜め外方に向けて、一対の延出部85,85が延びている。これらの一対の延出部85,85の径方向の外面側が、圧力受け面87をなしている。
【0042】
そして、この実施形態における外側シール部83は、一対の延出部85,85と圧力受け面87とを有している。
【0043】
また、一対の延出部85,85は、
図5に示すようにシール部材80を径方向断面で見たときに、すなわち、
図4に示すA-A切断線によってシール部材80の断面を見たときに、基部81の径方向外側部分が、二股状に延びた形状をなしている(基部81の外周縁部81aと一対の延出部85,85とを併せて略Y字形状をなしている、とも言える)。
【0044】
更に、一対の延出部85,85の径方向の外面(径方向外側に向く面)及び径方向の内面(径方向内側に向く面)は、直線状に傾斜したテーパ面状となっている。
【0045】
また、
図5に示すように、各延出部85は、延出方向の基端部85a側が肉厚で、延出方向の先端部85bに向けて次第に肉薄となっている。なお、一対の延出部85,85の、延出長さは同一となっている。
【0046】
更に、一対の延出部85,85の延出方向の基端部85a,85aの連結部分は、基部81の軸方向中央(厚さ方向中央)に位置しており、後述する凹状部89の底部89aに一致するようになっている。
【0047】
そして、外側シール部83を構成する一対の延出部85,85は、
図7に示すように、被取付部材1の開口1aにグロメット20が取付けられて、被取付部材1の開口1aの表側周縁部1bとグロメット20のフランジ部23とでシール部材80が挟持された状態となると、各延出部85の先端部85bが被取付部材1の表側周縁部1b及びグロメット20のフランジ部23の裏面23aにそれぞれ押圧される。
【0048】
その結果、先端部85bが基部81の径方向外側にやや倒れ込んで、延出部85全体が基部81の径方向外側に広がるように撓み変形した状態で、各延出部85の先端部85bが、被取付部材1の開口1aの表側周縁部1b及びグロメット20のフランジ部23の裏面23aに、弾性的にそれぞれ当接するようになっている(
図7参照)。
【0049】
したがって、被取付部材1の開口1aの表側周縁部1bと外側シール部83との間、及び、取付部材10のフランジ部23の裏面23aと外側シール部83との間に隙間が生じず、被取付部材1の開口1aの表側周縁部1bと取付部材10のフランジ部23との隙間CLの径方向外側部分が、シール部材80の外側シール部83によって密閉シールされるようになっている。
【0050】
なお、
図7や
図9の矢印F1に示すように、外側シール部83は、被取付部材1の表側周縁部1bと取付部材10のフランジ部23との軸方向の隙間CLに向けて、高圧の流体が流れるときに、その流体の圧力を受ける部分となっている。
【0051】
また、外側シール部83は、基部81の径方向内側に凹む凹状部89を有しており、該凹状部89の内面が、圧力受け面87をなしている。
【0052】
この実施形態では、外側シール部83を構成する、斜め外方に延出した一対の延出部85,85の径方向の外面が、各延出部85の先端部85b側から基端部85a側に向けて次第に凹む形状、すなわち、基部81の径方向内側に向けて次第に凹み量が大きくなる形状となっており、この部分が凹状部89をなしている。
【0053】
なお、一対の延出部85,85の径方向の外面は、凹状部89の内面であるとも言え、シール部材80を径方向断面で見たときに、凹状部89の内面は、径方向外側が拡開し且つ径方向内側に向けて次第に幅狭となる略すり鉢状をなした、直線状に傾斜したテーパ面状となっている。
【0054】
また、基部81の中心軸方向において、凹状部89の底部89aは、押圧突部95と重なる位置となるように配置されている。すなわち、
図5に示すようにシール部材80を径方向断面で見たときに、基部81の中心軸方向において、凹状部89の底部89a(径方向内側に最も凹む部分)は、押圧突部95と重なる位置となるように配置されている。
【0055】
この実施形態の場合、凹状部89の底部89aは、基部81の軸方向中央に位置している(
図5参照)。
【0056】
次にシール突部90,91について説明する。
図5に示すように、基部81の表面及び裏面からは、シール部材80の径方向中心Cに対して同心状をなすように、環状突起状をなしたシール突部90,91が軸方向に突設されている。
【0057】
具体的には、基部81の内周縁部81b(基部81の径方向内側に位置する縁部)であって、その表面及び裏面から、上下一対のシール突部90,90が同軸状をなすように、それぞれ突設されている。
【0058】
また、基部81の外周縁部81aに近接する部分の表面及び裏面であって、シール突部90と延出部85との間から、上下一対のシール突部91,91が同軸状をなすように、それぞれ突設されている。
【0059】
各シール突部90,91は、基部81の面方向(表面や裏面に沿った方向)に対して交差する方向に延びる基端部92と、該基端部92の延出方向先端側に配置された先端部93とを有しており、先端部93の、径方向内側にテーパ面94が形成されている。
【0060】
この実施形態の場合、各シール突部90,91の基端部92は、基部81の面方向に対して直交し且つ一定厚さで延びており(基部81の軸方向に一定厚さで延びている、とも言える)、この基端部92の延出方向先端から先端部93が延びている。更に、先端部93の経方向内側に向く面が、延出方向先端側から基端側に向けて次第に肉薄となるように傾斜したテーパ面94をなしている。
【0061】
また、
図5の部分拡大図に示すように、各シール突部90,91の突出高さ(基部81の表面又は裏面からの先端部93の頂部までの長さ)は、前記延出部85の延出長さ(基部81の表面又は裏面からの先端部85bの頂部までの長さ)よりも大きくなっている。
【0062】
そして、各シール突部90,91は、
図7に示すように、被取付部材1の開口1aにグロメット20が取付けられて、被取付部材1の開口1aの表側周縁部1bと取付部材10のフランジ部23とでシール部材80が挟持された状態となると、各シール突部90,91の先端部93が被取付部材1の開口1aの表側周縁部1b及び取付部材10のフランジ部23の裏面23aにそれぞれ押圧される。
【0063】
その結果、基端部92が基部81の径方向外側にやや倒れ込むと共に、先端部93が基部81の径方向外側に更に大きく倒れ込んで、シール突部90,91全体が基部81の径方向外側に広がるように撓み変形した状態で、各シール突部90,91の先端部93が、被取付部材1の開口1aの表側周縁部1b及び取付部材10のフランジ部23の裏面23aに、弾性的にそれぞれ当接するようになっている(
図7参照)。
【0064】
したがって、被取付部材1の開口1aの表側周縁部1bと各シール突部90,91との間、及び、取付部材10のフランジ部23の裏面23aと各シール突部90,91との間に隙間が生じず、被取付部材1の開口1aの表側周縁部1bと取付部材10のフランジ部23との隙間CLの径方向内側部分が、シール部材80のシール突部90,91によって密閉シールされるようになっている。
【0065】
次に押圧突部95について説明する。この実施形態における押圧突部95は、基部81の内周縁部81bの軸方向中央部分から、シール部材80の径方向中心Cに向けて、基部81の厚さよりも小さい厚さ(基部81よりも肉薄)で突出した、円環突起状をなしている。
【0066】
押圧突部95の突出方向の先端部96の先端面は、シール部材80の軸方向に平行な平坦面状をなしている。また、押圧突部95の両側面97,97(軸方向又は厚さ方向の両面)は、押圧突部95を、その先端部96から基端部98に向けて次第に肉厚とする傾斜面状をなしている。なお、押圧突部95は、シール部材80を径方向断面で見たときに、上底が狭く下底が広い略台形の突起状をなしている。
【0067】
更に
図7に示すように、被取付部材1の開口1aにグロメット20が取付けられて、被取付部材1の開口1aの表側周縁部1bと取付部材10のフランジ部23とでシール部材80が挟持された状態では、押圧突部95は、先端部96の先端面が、グロメット20の胴部21の外周面21bに対向して配置されている。この実施形態では、押圧突部95の先端部96の先端面は、胴部21の外周面21bに当接している。
【0068】
ただし、押圧突部95は、前述したように、圧力受け面87が流体の圧力を受けたときに、胴部21の外周を押圧する構成となっているので、圧力受け面87が、
図7の矢印F1で示すように流体の圧力を受けていないときは、押圧突部95の先端部96の先端面は、単に胴部21の外周面21bに当接しているだけであり、流体の圧力で押圧されて胴部外周に圧接された状態とはなっていない。
【0069】
そして、
図7に示すように、取付部材10が被取付部材1に取付けられ、被取付部材1の開口1aの表側周縁部1bと取付部材10のフランジ部23との間に形成される隙間CLに、シール部材80が配置された状態で、前記隙間CLに向けて流体が流れる、すなわち、
図7の矢印F1に示すように、被取付部材1の開口1aの表側周縁部1bと取付部材10のフランジ部23との隙間CLに、高圧の流体が浸入しようとすると、以下のようにシール部材80が作用する。
【0070】
すなわち、シール部材80の外側シール部83の、凹状部89とされた圧力受け面87が、高圧の流体を受け止める。すると、高圧の流体による押圧力が、凹状部89の底部89aから基部81に伝達される。それによって、
図7の矢印F2に示すように、基部81の径方向内側部分がグロメット20の胴部21の外周に近接する方向に、基部81が押される。
【0071】
その結果、
図9に示すように、押圧突部95が押圧されて、その先端部96の先端面が、胴部21の外周面21bに圧接されることになって(
図9の矢印F3参照)、押圧突部95の先端部96の先端面と胴部21の外周面21bとの間に摩擦力が発生するようになっている。
【0072】
以上のように、このシール構造においては、被取付部材1の開口1aの表側周縁部1bと取付部材10のフランジ部23との隙間CLから流体が浸入しようとすると、流体が、外側シール部83の圧力受け面87に受け止められて、その圧力が基部81を介して押圧突部95に作用するので、押圧突部95が胴部21の外周面21bを押圧して、胴部21の外周面21bと押圧突部95との間に摩擦力が生じるようになっている。
【0073】
なお、被取付部材1の開口1aの表側周縁部1bと取付部材10のフランジ部23との隙間CLの径方向外側部分は、外側シール部83によって密閉シールされ、前記隙間CLの径方向内側部分は、シール突部90,91によって密閉シールされているので、これらの部分から高圧流体が浸入することはない。
【0074】
また、
図5に示すように、シール部材80を構成する延出部85、シール突部90、押圧突部95等は、シール部材80の軸方向に直交し且つ軸方向中央を通るラインLに対して、線対称となるように設けられている。そのため、シール部材80を、グロメット20の胴部21の外周に装着する際に、方向性がない構成となっている。
【0075】
更に、シール部材80を構成する、基部81、延出部85、シール突部90、押圧突部95は、全て環状をなして周方向に連続して形成されており、周方向において分離されたり切断されたりした箇所は存在しない構成となっている。
【0076】
以上説明したシール部材80は、前記シールリング70と同様に、基部81、一対の延出部85,85を含む外側シール部83、シール突部90、押圧突部95等の、全ての構成部分が、ゴムや弾性エラストマー等の弾性材料によって一体形成されている。
【0077】
(変形例)
この実施形態における取付部材のシール構造は、図示しない蓄電デバイスが収容されるケースに取付けられて、ケース内の圧力が上昇したときに、その圧力を解放させる、蓄電デバイス用ガス排出装置に適用されるが、この態様には限定されない。
【0078】
例えば、被取付部材を、自動車の車体パネル、リッド、ドア等として、取付部材を、被取付部材に形成された開口を閉塞するための、胴部及びフランジ部を有するホールプラグや、胴部及びフランジ部を有する留め具・クリップ等としたり、更には、被取付部材を燃料タンクとして、取付部材を、胴部及びフランジ部を有する各種バルブ等としたりしてもよく、取付部材のシール構造の適用箇所等は特に限定されない。
【0079】
また、この実施形態のシール構造としては、上述したように蓄電デバイス用ガス排出装置に適用され、また、蓄電デバイスとしては、例えば、プラグインハイブリッド車を含むハイブリッド車や、電気自動車等に用いられる、バッテリー(リチウムイオンバッテリー等)、コンデンサ、キャパシタなどが挙げられるが、蓄電可能なデバイスであれば、特に限定されない。
【0080】
更に、取付部材のシール構造を構成する、取付部材(ここではグロメット、カバー、キャップ、弁体、弁座形成部材、シールリング等)や、シール部材等の形状や、構造、レイアウト等は、上記態様に限定されるものではない。
【0081】
また、この実施形態におけるシール部材80は、全体として円環リング状をなしているが、例えば、楕円形のリング状や、角形リング状となしていてもよい。
【0082】
更に、シール部材80の外側シール部83の内面、すなわち、凹状部89の内面は、略すり鉢状をなした直線状に傾斜したテーパ面状となっているが、凹状部の内面としては、例えば、径方向内側に向けて曲面状を描きつつやや凹む凹状曲面としたり、曲面状を描きつつやや凸となる凸状曲面(ラッパのような凸曲面)としたり、角度の異なる複数のテーパ面からなる形状としたり、テーパ面や曲面を組み合わせた形状としたり、段差を有する形状としたりしてもよい。
【0083】
また、この実施形態では、基部81の両面から突出する上下一対のシール突部を2組有しており(シール突部90,91)、しかもシール突部90,91は同軸的に設けられているが、シール突部としては、基部の片面のみから突出したり、基部の両面から径方向に位置ずれした状態で突出したりしてもよく、シール突部のレイアウトは特に限定されず、更に、シール突部の個数も特に限定されない。
【0084】
更に、シール突部の突出高さを、延出部の延出長さよりも小さくしたり、或いは、シール突部の突出高さと延出部の延出長さを同一としたりしてもよい。
【0085】
また、この実施形態の押圧突部95は、シール部材80を径方向断面で見たときに、略台形の突起状をなしているが、押圧突部としては、例えば、両側面が曲面状をなし先端面が平坦面状となる断面形状としたり、半球状の断面形状としたり、矩形状の断面形状としたりしてもよく、胴部外周を押圧可能であればよい。
【0086】
更に、この実施形態における押圧突部95は、圧力受け面87が流体の圧力を受けていないときは、その先端部96の先端面が胴部21の外周面21bに当接しているが(
図7参照)、押圧突部としては、圧力受け面が流体の圧力を受けていないときは、胴部の外周面から所定長さ離間した状態で配置されていてもよい。
【0087】
(作用効果)
次に、上記構成からなる本発明に係る取付部材のシール構造の、作用効果について説明する。
【0088】
図6に示すように、被取付部材1の開口1aの表側から、取付部材10のグロメット20の胴部21を挿入して、
図7に示すように、被取付部材1の開口1aの裏側周縁部に、グロメット20の係合突部27を係合させて、被取付部材1の開口1aに取付部材10を取付けると、シール部材80が被取付部材1の開口1aの表側周縁部1bと取付部材10のフランジ部23とで挟持される。
【0089】
その結果、
図7の部分拡大図に示すように、被取付部材1の表側周縁部1bと取付部材10のフランジ部23との隙間CLの径方向外側部分が、シール部材80の外側シール部83にシールされると共に、被取付部材1の表側周縁部1bと取付部材10のフランジ部23との隙間CLの径方向内側部分が、シール部材80のシール突部90,91にシールされて、被取付部材1の表側周縁部1bと取付部材10のフランジ部23との隙間CLが、シール部材80によって密閉シールされる。
【0090】
また、上記状態では、シール部材80の押圧突部95の先端部96の先端面が、グロメット20の胴部21の外周面21bに当接している。
【0091】
更に、上記状態では、キャップ40及び弁体50内に圧縮状態で保持されたコイルばね55によって、弁体50が弁座75側に向けて付勢されて、弁体50の鍔部53が弁座75に当接して、通気口65が閉塞されている(
図7参照)。
【0092】
そして、蓄電デバイスによる、駆動源や電装部品への電力供給や、蓄電デバイスが収容されたケースの外部環境や内部環境等によって、蓄電デバイスを起因として、ケース内に気体が生じる(例えば、リチウムイオンバッテリー等の蓄電デバイスが、モータ等の駆動によって電力を供給すると、電解液の化学反応でガスが生じる)と、以下のように動作する。
【0093】
すなわち、ケース内部空間R1の圧力が上昇して、付勢手段であるコイルばね55の付勢力を超えると、その付勢力に抗して、弁体50が弁座75から離反する方向にスライドして、弁体50の鍔部53が弁座75から離れる(
図8参照)。
【0094】
すると、弁座形成部材60の通気口65が開口して、グロメット20のカバー装着部25の内部空間や、キャップ40の通気開口37等を介して、ケース内部空間R1とケース外部空間R2とが連通する。
【0095】
その結果、ケース内部空間R1の気体が、通気口65や、グロメット20のカバー装着部25の内部空間、キャップ40の通気開口37等を通過して、ケース外部空間R2へと排気されるため、被取付部材1(ケース)内の圧力を解放することができる(低減することができる)。
【0096】
そして、この取付部材のシール構造によれば、取付部材10の胴部21の外周にシール部材80の基部81を配置すると共に、シール部材80を、被取付部材1の開口1aの表側周縁部1bと、取付部材10のフランジ部23との隙間CLに配置すると、外側シール部83の一対の延出部85,85の先端部85b,85bと、シール突部90,91の先端部93とが、被取付部材1の開口1aの表側周縁部1b及び取付部材10のフランジ部23にそれぞれ当接して、被取付部材1の開口1aの表側周縁部1bと取付部材10のフランジ部23との隙間CLが、シール部材80によって密閉シールされる(
図7参照)。
【0097】
上記状態、すなわち、取付部材10が被取付部材1に取付けられ、被取付部材1の開口1aの表側周縁部1bと取付部材10のフランジ部23との間に形成される隙間CLに、シール部材80が配置された状態で、隙間CLに向けて流体が流れて、当該隙間CLから流体が浸入しようとすると(
図7の矢印F1参照)、流体が、外側シール部83の圧力受け面87に受け止められて、その圧力が基部81を介して押圧突部95に作用して(
図7の矢印F2参照)、
図9の矢印F3に示すように、押圧突部95の先端部96が取付部材10の胴部21の外周面21bを押圧することになる。
【0098】
その結果、胴部21の外周面21bと押圧突部95との間に摩擦力が生じることになるので、シール部材80を、被取付部材1の開口1aの表側周縁部1bから浮き上がる方向に位置ずれしにくくすることができ、被取付部材1の開口1aの表側周縁部1bと取付部材10のフランジ部23との隙間CLをシール部材80によって密閉した状態に保持して、被取付部材1の開口1aの表側周縁部1bと取付部材10のフランジ部23とのシール性を維持することができる。それによって、開口1aからケース内部空間R1側へ、流体が浸入することを防止することができる。
【0099】
また、この実施形態においては、外側シール部83は、基部81の径方向内側に凹む凹状部89を有しており、該凹状部89の内面が圧力受け面87をなしている。
【0100】
上記態様によれば、外側シール部83は、基部81の径方向内側に凹む凹状部89を有しており、該凹状部89の内面が圧力受け面87をなしているので、流体の圧力を圧力受け面87が受け止めやすくなって、押圧突部95が取付部材10の胴部21の外周をより押圧しやすくなるため、被取付部材1の開口1aの表側周縁部1bと取付部材10のフランジ部23とのシール性をより維持しやすくなる。
【0101】
更に、この実施形態においては、基部81の中心軸方向において、凹状部89の底部89aは、押圧突部95と重なる位置となるように配置されている(
図7参照)。
【0102】
上記態様によれば、基部81の中心軸方向において、凹状部89の底部89aは、押圧突部95と重なる位置となるように配置されているので、流体の圧力を圧力受け面87が受けると、その圧力が基部81を介して押圧突部95により作用しやすくなる(流体の圧力が押圧突部95に無駄なく最小距離で伝達される)。その結果、押圧突部95が取付部材10の胴部21の外周面21bを効果的に押圧するので、被取付部材1の開口1aの表側周縁部1bと取付部材10のフランジ部23とのシール性を更に維持しやすくなる。
【0103】
また、この実施形態においては、シール突部90,91は、基端部92と、基端部92の延出方向先端側に配置された先端部93とを有しており、先端部93の、径方向内側にテーパ面94が形成されている。
【0104】
上記態様によれば、シール突部90,91が上記構成となっているので、被取付部材1の開口1aの表側周縁部1bと取付部材10のフランジ部23との隙間CLが、シール部材80によってシールされた状態では、シール突部90,91の先端部93のテーパ面94が、被取付部材1の表側周縁部1bや取付部材10のフランジ部23によって押されて、シール突部90,91の先端部93が、基端部92の径方向外側に広がるように変形した状態で、シール部材80が配置される。
【0105】
上記のように、シール突部90,91の先端部93が広がるように変形しても、シール突部90,91の基端部92によって、シール突部90,91の、被取付部材1の表側周縁部1bや取付部材10のフランジ部23に対するシール性を維持しつつ、シール部材80の基部81を径方向内側に位置ずれしやすくさせて、押圧突部95が取付部材10の胴部21の外周に押圧しやすくなるため、被取付部材1の開口1aの表側周縁部1bと取付部材10のフランジ部23とのシール性をより維持しやすくなる。
【0106】
更に、この実施形態においては、被取付部材1は、蓄電デバイスが収容されるケースであって、開口1aが、蓄電デバイスのガス排出口をなしており、取付部材10は、ガス排出口におけるガス圧が所定値以上のときにガスを排出する、ガス排出バルブをなしている。
【0107】
上記態様によれば、被取付部材1や、開口1a、取付部材10が、上記のような蓄電デバイスの各部品を構成するので、本発明に係る取付部材のシール構造を、蓄電デバイス用のガス排出構造として機能させることができる。
【0108】
(実施例)
取付部材のシール構造のシール性能を確認した。
【0109】
(実施例の作製)
図1~9に示す取付部材のシール構造と、同様の形状をなしたシール部材を備える、実施例の取付部材のシール構造を作製した。
【0110】
(比較例の作製)
実施例のシール構造に対して、シール部材80´に押圧突部95を設けない以外は、同様の構造をなした、比較例の取付部材のシール構造を作製した。
【0111】
(試験方法)
実施例及び比較例について、シール部材80,80´を構成する外側シール部83の外側から、周知の高圧洗浄装置の噴射ノズルによって、所定圧力の高圧流体(水)を、圧力受け面87に向けて噴射した(
図9及び
図10の矢印F1参照)。その際の、実施例のシール部材80、及び、比較例のシール部材80´の挙動を確認した。
【0112】
(試験結果)
図9に示す実施例においては、押圧突部95が取付部材10の胴部21外周を押圧しており、シール部材80が被取付部材1の開口1aの表側周縁部1bから浮き上がらず、被取付部材1の開口1aの表側周縁部1bと取付部材10のフランジ部23とのシール性を維持できることを確認できた。
【0113】
一方、
図10に示す比較例においては、被取付部材1の開口1aに近接した位置の、シール突部90の先端部93が、被取付部材1の開口1aの表側周縁部1bから浮き上がる結果となった。そのため、被取付部材1の開口1aの表側周縁部1bと取付部材10のフランジ部23とのシール性維持が難しいことを確認できた。
【0114】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0115】
1 被取付部材
1a 開口
1b 表側周縁部
10 取付部材
20 グロメット
21 胴部
23 フランジ部
30 カバー
40 キャップ
50 弁体
60 弁座形成部材
70 シールリング
80 シール部材
81 基部
83 外側シール部
87 圧力受け面
89 凹状部
89a 底部
90,91 シール突部
92 基端部
93 先端部
94 テーパ面
95 押圧突部