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特開2024-141357多層基板および多層基板の配線設計プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141357
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】多層基板および多層基板の配線設計プログラム
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
H05K3/46 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052955
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】大沢 利昭
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA12
5E316AA15
5E316AA32
5E316AA43
5E316BB02
5E316BB03
5E316BB04
5E316BB06
5E316HH04
(57)【要約】
【課題】 多層基板および多層基板の配線設計プログラムは、ビア間のクロストークを抑制することを目的とする。
【解決手段】 多層基板は、多層基板の厚さ方向に積層された複数の配線層と、前記厚さ方向に延伸する複数のビアと、を備え、前記複数の配線層は、電源供給層と、第1配線層と、第2配線層とを含み、前記第1配線層は、前記厚さ方向において前記電源供給層の一方の側に位置し、前記第2配線層は、前記厚さ方向において前記電源供給層の他方の側に位置し、前記多層基板の平面内において、前記複数のビアのうち第1ビアと第2ビアとは互いに隣接し、前記第1ビアは前記第1配線層に接続され、前記第2ビアは前記第2配線層に接続されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層基板の厚さ方向に積層された複数の配線層と、
前記厚さ方向に延伸する複数のビアと、を備え、
前記複数の配線層は、電源供給層と、第1配線層と、第2配線層とを含み、
前記第1配線層は、前記厚さ方向において前記電源供給層の一方の側に位置し、
前記第2配線層は、前記厚さ方向において前記電源供給層の他方の側に位置し、
前記多層基板の平面内において、前記複数のビアのうち第1ビアと第2ビアとは互いに隣接し、
前記第1ビアは前記第1配線層に接続され、
前記第2ビアは前記第2配線層に接続されている、
多層基板。
【請求項2】
前記複数のビアは前記平面内において格子状に配置され、
前記第1ビアと前記第2ビアとは、前記格子の辺の方向において隣接する、
請求項1に記載の多層基板。
【請求項3】
前記複数のビアは前記平面内において格子状に配置され、
前記第1ビアと前記第2ビアとは、前記格子の対角線の方向において隣接する、
請求項1に記載の多層基板。
【請求項4】
前記複数のビアは前記平面内において格子状に配置され、
前記第1ビアと前記第2ビアとは、前記格子の辺の方向において隣接し、
前記複数のビアのうち第3ビアは、前記格子の対角線の方向において前記第1ビアまたは前記第2ビアと隣接し、
前記第3ビアは前記第1配線層または前記第2配線層に接続されている、
請求項1に記載の多層基板。
【請求項5】
前記電源供給層は少なくとも2つの前記配線層を含み、
前記厚さ方向において前記少なくとも2つの電源供給層は互いに隣接する、
請求項1または2に記載の多層基板。
【請求項6】
前記第1ビア、前記第2ビア、前記第1配線層および前記第2配線層は、信号の入力および出力に用いられる、
請求項1または2に記載の多層基板。
【請求項7】
コンピュータに、
多層基板の厚さ方向に延伸する複数のビアのうち、前記多層基板の平面内において隣接する第1ビアと第2ビアとを抽出し、
前記多層基板の厚さ方向に積層された複数の配線層のうち、前記厚さ方向において電源供給層の一方の側に位置する前記第1配線層と前記第1ビアとが接続され、
前記複数の配線層のうち、前記電源供給層の他方の側に位置する第2配線層と前記第2ビアとが接続されるような設計をする、処理を実行させる多層基板の配線設計プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層基板および多層基板の配線設計プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の配線層を含む多層基板が知られている。複数の配線層は積層されている。複数の配線層の間は、ビアにより接続されている。ビアの長さを削減することで、浮遊容量の影響を低下させ、高速信号の伝送を可能とすることが知られている(例えば、特許文献1参照)。ペアになる2つのビアが差動信号の伝送路を構成することが知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-53349号公報
【特許文献2】特開2010-192767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
CPU(Central Processing Unit、中央演算処理装置)などの素子が多層基板に実装される。こうした素子には小型化が要求されている。このため、素子のピン配列(ピンアサイン)は制限され、ピンアサインを自由に変更することは難しい。多層基板のビアの配置は、素子のピンアサインに応じて設計される。例えば、信号を伝送するためのビアが隣り合って配置されることもある。これらのビアの間でクロストークが発生する恐れがある。特許文献1や特許文献2では、この点において、改善の余地があった。
【0005】
1つの側面では、本明細書開示の多層基板および多層基板の配線設計プログラムは、ビア間のクロストークを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様では、多層基板は、多層基板の厚さ方向に積層された複数の配線層と、前記厚さ方向に延伸する複数のビアと、を備え、前記複数の配線層は、電源供給層と、第1配線層と、第2配線層とを含み、前記第1配線層は、前記厚さ方向において前記電源供給層の一方の側に位置し、前記第2配線層は、前記厚さ方向において前記電源供給層の他方の側に位置し、前記多層基板の平面内において、前記複数のビアのうち第1ビアと第2ビアとは互いに隣接し、前記第1ビアは前記第1配線層に接続され、前記第2ビアは前記第2配線層に接続されている。
【0007】
他の態様では、多層基板の配線設計プログラムは、コンピュータに、多層基板の厚さ方向に延伸する複数のビアのうち、前記多層基板の平面内において隣接する第1ビアと第2ビアとを抽出し、前記多層基板の厚さ方向に積層された複数の配線層のうち、前記厚さ方向において電源供給層の一方の側に位置する前記第1配線層と前記第1ビアとが接続され、前記複数の配線層のうち、前記電源供給層の他方の側に位置する第2配線層と前記第2ビアとが接続されるような設計をする、処理を実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本明細書開示の多層基板および多層基板の配線設計プログラムによれば、ビア間のクロストークを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は第1実施形態の多層基板を備えた半導体装置の側面図である。
図2図2は多層基板の構成を例示する模式図である。
図3図3(A)は多層基板を例示する平面図である。図3(B)は多層基板を例示する断面図である。図3(C)はビア間の配線パターンを例示する平面図である。
図4図4(A)は比較例に係る多層基板を例示する平面図である。図4(B)は比較例に係る多層基板を例示する断面図である。
図5図5はクロストークノイズを例示する図である。
図6図6はアイパターンの評価結果を表す図である。
図7図7(A)は配線設計装置の構成を例示するブロック図である。図7(B)は配線設計の処理を例示するフローチャートである。
図8図8は配線設計の処理を例示するフローチャートである。
図9図9は実施例1に係る多層基板を例示する平面図である。
図10図10は多層基板の構成を例示する模式図である。
図11図11(A-1)から図11(B-2)は、図9の部分Aにおける接続の例を示す図である。
図12図12(A-1)から図12(B-2)は、図9の部分Aにおける接続の例を示す図である。
図13図13(A-1)から図13(B-2)は、図9の部分Aにおける接続の例を示す図である。
図14図14(A-1)から図14(B-2)は、図9の部分Aにおける接続の例を示す図である。
図15図15は実施例2に係る多層基板を例示する平面図である。
図16図16(A)から図16(H)は図15の部分Bにおける接続の例を示す図である。
図17図17は実施例3に係る多層基板を例示する平面図である。
図18図18(A)から図18(H)は図17の部分Cにおける接続の例を示す図である。
図19図19は実施例4に係る半導体装置を例示する模式図である。
図20図20(A)は実施例5に係る半導体装置を例示する模式図である。図20(B)はソケットを拡大した図である。
図21図21(A)は変形例1に係る多層基板を例示する模式図である。図21(B)は変形例2に係る多層基板を例示する模式図である。図21(C)は変形例3に係る多層基板を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。ただし、図面中、各部の寸法、比率等は、実際のものと完全に一致するようには図示されていない場合がある。また、図面によっては、説明の都合上、実際には存在する構成要素が省略されていたり、寸法が実際よりも誇張されて描かれていたりする場合がある。
【0011】
(実施形態)
[半導体装置]
図1は第1実施形態の半導体装置1の側面図である。半導体装置1は、半導体素子2および多層基板3を有する。半導体素子2は、CPUまたはメモリなどである。半導体素子2は例えばボールグリッドアレイ(BGA)型の半導体パッケージであり、半田ボール10により、多層基板3にフリップチップ実装されている。半田ボール10をピンと記載することがある。多層基板3の1つの面に複数の端子が設けられ、当該端子に半導体素子2が電気的に接続される。多層基板3の反対の面にも複数の端子が設けられている。当該端子は、多層基板3を外部の装置および基板などに実装するために用いられる。また、多層基板3は、図1のように半導体パッケージの基板として用いられてもよいし、プリント基板として用いられてもよい。後述の実施例1などのように、プリント基板には多数の電子部品が取り付けられる。
【0012】
図1中のZ軸は多層基板3の厚さ方向を表す。+Z方向は図1中の上方向である。-Z方向は下方向である。
【0013】
[多層基板]
図2は多層基板3の構成を例示する模式図である。図2に示すように、Z軸方向において、複数の配線層21と複数の絶縁層22とが交互に積層されている。2つの配線層21の間に1つの絶縁層22が設けられる。-Z側から+Z側に向けて、配線層L01からLNがこの順番で積層されている。
【0014】
本実施形態では、多層基板3の厚さ方向の中央に電源供給層25が位置する。電源供給層25は2つの配線層21と1つの絶縁層22で形成される。多層基板3のうち、電源供給層25より下の部分を下層23とし、上の部分を上層24とする。複数の配線層21のうち配線層LN、LN-1からLN-8(これらは第1配線層に対応する)は、上層24に含まれる。複数の配線層21のうち配線層L01からL09(これらは第1配線層に対応する)は、電源供給層25の上層24とは反対側に位置し、下層23に含まれる。
【0015】
配線層LNは多層基板3の1つの面(+Z側の面)に位置する。配線層LNは端子を有している。端子に、図1に示した半導体素子2が電気的に接続される。配線層L01は多層基板3のもう1つの面(-Z側の面)に位置する。配線層L01は、例えば多層基板3と他の基板との接続に用いられる。
【0016】
配線層LN-1からLN-8およびL02からL09からは配線が引き出される。配線層LN-2、LN-4、LN-6、LN-8、L09、L07、L05、およびL03は、信号配線層であり、信号配線が引き出される。配線層LN-1、LN-3、LN-5、LN-7、L08、L06、L04、およびL02は、グランド配線層であり、グランド配線が引き出される。配線層には、Z軸方向に延伸するビアが接続される。ビアのうち、信号配線層に接続されるものを信号ビアと記載することがある。ビアのうち、グランド配線層に接続されるものをグランドビアと記載することがある。ビアおよび配線層は金属で形成されている。絶縁層は絶縁体で形成されている。
【0017】
図3(A)は多層基板3を例示する平面図であり、多層基板3の一部を拡大している。多層基板3の表面に複数の端子が設けられている。端子にはビアが接続される。複数の端子および複数のビアは、多層基板3の平面内において格子状に配置される。格子は例えば正方形である。格子の辺は、図3(A)のY軸方向(+Y、-Y方向)、およびX軸方向(+X、-X方向)に延伸する。C軸(+C、-C)およびD軸(+D、-D)は、X軸およびY軸から45°傾斜しており、格子の対角線の方向を表す。
【0018】
複数の端子は、信号ピン31aおよび31bを含む。信号ピン31aにはビア26a(第1ビア)が接続される。信号ピン31bにはビア26b(第2ビア)が接続される。多層基板3の平面内に形成された格子の辺の方向において、信号ピン31aおよび31bは互いに隣接し、ビア26aおよびビア26bは互いに隣接する。ビア26aは、複数の配線層21のうち配線層LN-2に接続されている。ビア26bは、複数の配線層21のうち配線層L03に接続されている(図3(B)参照)。
【0019】
図3(B)は多層基板3を例示する断面図であるが、ハッチングの一部は省略されている。ビア26aは信号ピン31a、および上層24の配線層LN-2に接続されている。配線層LN-2からは引き出し配線27aが引き出される。ビア26bは信号ピン31b、および下層23の配線層L03に接続されている。配線層L03からは引き出し配線27bが引き出される。ビア26aは、配線層LN-2より下にも延伸する。ビア26bは、配線層L03より下にも延伸する。ビアのうち配線層より下に延伸する部分はスタブとなる。ビアに接続される配線層が、多層基板3の表面(半導体素子2と対向している面)に近いほど、スタブは長くなる。配線層が表面から遠いほどスタブは短くなる。
【0020】
図3(B)に示すように、ビア26aのうち配線層LN-2まで延伸する部分と、ビア26bのうち配線層L03まで延伸する部分とが、厚さ方向に並走する部分の長さ(並走長さ)はDL1である。
【0021】
図4(A)は比較例に係る多層基板3’を例示する平面図である。図4(B)は多層基板3’を例示する断面図である。ビア26a’およびビア26b’は、ともに配線層L03に接続されている。ビア26a’とビア26b’とが並走する長さはDL2である。
【0022】
図3(B)に示す並走長さDL1は、図4(B)に示す並走長さDL2よりも小さい。実施形態によれば、並走長さが小さいことで、ビア間のクロストークノイズを低減することができる。
【0023】
図3(C)はビア間の配線パターンを例示する平面図である。図3(C)には、表面を透視して観察される引き出し配線が図示されている。引き出し配線27aおよび27bは、隣接する2つのビアの間を通過する。平面視では、引き出し配線27aと引き出し配線27bとの距離は近い。図3(B)に示すように、厚さ方向において引き出し配線27aおよび27bの距離は大きい。2つの引き出し配線間でクロストークノイズが増加しにくい。
【0024】
2つの信号ビア(ビア26aおよびビア26b)が接続される配線層は、配線層LN-2およびL03に限定されない。平面内で隣接する2つの信号ビアのうち1つが上層24の配線層に接続され、もう1つが下層23の配線層に接続されればよい。
【0025】
[クロストークノイズ]
図5はクロストークノイズを例示する図である。横軸は信号の周波数を表す。縦軸はクロストークノイズ(遠端クロストーク、Far End Cross Talk, FEXT)を表す。縦軸の上側ほどクロストークノイズが大きく、下側ほどクロストークノイズは小さい。信号ビアが接続される配線層の組み合わせが(LN-2,L03)の例は実施形態である。配線層の組み合わせが(L03,L03)の例は比較例である。図5に示すように、実施形態におけるクロストークノイズは、比較例におけるクロストークノイズよりも低い。
【0026】
図6はアイパターンの評価結果を表す図である。横軸は、隣接する2つの信号ビアに接続される配線層の組み合わせを表す。縦軸はアイパターンの開口幅(Eye窓幅)を表す。2つの信号ビアが両方とも配線層L03に接続される例の開口幅を1.00とする。配線層の組み合わせがLN-2およびL03の例では、開口幅は1.10である。配線層の組み合わせがLN-8およびL03の例では、開口幅は1.08である。配線層の組み合わせがLN-2およびL09の例では、開口幅は1.13である。配線層の組み合わせがLN-8およびL09の例では、開口幅は1.08である。配線層の組み合わせを上層24の配線層と、下層23の配線層とにすることで、同一の配線層とする例に比べて、開口幅が改善する。
【0027】
伝送シミュレーションによって、図5および図6のような伝送特性を取得することができる。シミュレーションにおいては、CPUなど半導体素子のピンアサインに基づいて、多層基板3の端子およびビアの配置などが決定される。配線の引き出し方法、ルート、ビアと配線層との接続などを定め、多層基板3のモデルを作成し、そのモデルに基づき伝送路のモデルを作成する。このような伝送路モデルから伝送シミュレーションを行い、クロストークノイズを評価することができる。クロストークノイズを低減したい場合、以下のようにクロストークノイズ対策を考慮した設計を行う。
【0028】
[配線の設計]
多層基板3の配線の設計について説明する。図7(A)は配線設計装置11の構成を例示するブロック図である。配線設計装置11は、CPU12、RAM13、記憶装置14、インターフェース15などを備える。これらの各機器は、バスなどによって接続されている。CPU(Central Processing Unit)12は、中央演算処理装置であり、1以上のコアを含む。RAM(Random Access Memory)13は、CPU12が実行するプログラム、CPU12が処理するデータなどを一時的に記憶する揮発性メモリである。記憶装置14は、不揮発性記憶装置であり、プログラムおよびデータなどを記憶する。記憶装置14として、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリなどのソリッド・ステート・ドライブ(SSD)、ハードディスクドライブに駆動されるハードディスクなどを用いることができる。CPU12が記憶装置14に記憶されている処理選択プログラムを実行することによって、隣接するビアを抽出する抽出部、および配線を設定する設定部が実現される。なお、配線設計装置11の各部は、専用の回路などのハードウェアであってもよい。
【0029】
図7(B)および図8は配線設計の処理を例示するフローチャートである。配線設計は、多層基板3に実装される半導体素子2の仕様、具体的に、ピンアサインに応じて実施される。つまり、配線設計装置11にピンアサインに関する情報が与えられ、この情報に基づいて配線設計が実施される。図7(B)に示すように、配線設計装置11は、信号ピンからの配線の引き出しが完了しているか否か判定する(ステップS1)。ステップS1でYesの判定(肯定判定)がされた場合、処理は終了する。ステップS1でNo(否定判定)と判定された場合、配線設計装置11は、隣接信号ピンがあるか否かを判定する(ステップS2)。2つの信号ピンが隣接しない場合、Noと判定される。配線設計装置11は、信号ビアに接続される配線層を自由に選び、配線を実施する(ステップS4)。
【0030】
2つの信号ピンが隣接する場合、ステップS2でYesと判定される。当該信号ピンに接続される信号ビアも隣接する。配線設計装置11は、これらの信号ピンおよび信号ビアも抽出する。配線設計装置11は、隣接信号ビア間で、接続される配線層が下層23と上層24とに分割されるように、配線を実施する(ステップS3)。以上で図7(B)の処理は終了する。
【0031】
図8により詳細な処理を示す。配線設計装置11は、信号ビアが格子の辺方向で隣接するか否かを判定する(ステップS31)。ステップS31でYesと判定された場合、隣接する信号ビア間で、接続される配線層を上層24と下層23とに分割する(ステップS32)。配線設計装置11は、ビット間、グループ間、およびチャネル間で、クロストークノイズ量を変える必要があるか否かを判定する(ステップS33)。具体的には、ステップS32で設定された上層24と下層23との組み合わせに対し、図5で示したクロストークノイズの評価や、図6に示したアイパターンの評価に基づいて、クロストークノイズ量を変える必要があるか否かを判定する。このような判定は、ビット間毎、グループ間毎、チャネル間毎に伝送シミュレーションを行うことによって実施する。ステップS33においてYesと判定された場合、ビット間、グループ間、およびチャネル間で、隣接信号ビアの並走長さが変わるような、配線層の組み合わせを選択する(ステップS34)。例えば、1つのチャネルではLN-2とL03との組み合わせとし、別のチャネルではLN-4とL07との組み合わせとする。
【0032】
同一の配線層に接続された2本以上の引き出し配線が、隣接する信号ビアの間を通過しないような、配線層の組み合わせとする(ステップS35)。例えば、配線層L03に接続された2つの引き出し配線が、隣接するビアの間を通過すると、引き出し配線間の距離が近くなり、クロストークノイズが増加する。図3(C)に示すように、配線層LN-2の引き出し配線27aと、配線層LN-2の引き出し配線27bとが、隣接するビア間を通過することは許容する。厚さ方向における引き出し配線間の距離が大きいため、クロストークノイズが増加しにくい。
【0033】
ステップS33でNoと判定された場合、隣接する信号ビア間の並走長さを考慮したうえで、配線層の組み合わせを選択する(ステップS38)。ステップS35またはS38の後、図8の処理は終了する。配線層の組み合わせは、一方を上層24から選択し、他方を下層23から選択する。
【0034】
ステップS31でNoと判定された場合、対角線の方向で隣接(斜め隣接)する信号ビア間で、配線層を上層24と下層23とに分ける必要があるか判定する(ステップS36)。斜め隣接とは、図3(A)におけるC軸またはD軸方向で2つの信号ビアが隣接することを意味する。斜め隣接する信号ビア間でもクロストークノイズを低減したい場合、Yesと判定される。この場合、ステップS33以降の処理が行われる。
【0035】
ステップS36でNoと判定された場合、隣接する信号ビア間で同一層(同一の配線層)を選んでもよいし、自由に配線層を選んでもよく、層を選んだうえで配線を実施する(ステップS37)。ステップS37の後、処理は終了する。
【0036】
実施形態によれば、多層基板3は複数の配線層21および複数のビアを有する。複数の配線層21は、電源供給層25よりも上の上層24に含まれるものと、電源供給層25より下の下層23に含まれるものに分かれる。ビア26aおよびビア26bは信号ビアであり、信号ピンに接続され、かつ図3(A)に示すように互いに隣接する。図3(B)に示すように、ビア26aは上層24の配線層LN-2に接続されている。ビア26bは下層23の配線層L03に接続されている。ビア26aとビア26bとの並走長さDL1は、比較例のように同一の配線層に接続される際の並走長さDL2に比べて小さくなる。このためクロストークノイズを低減することができる。
【0037】
図3(A)に示すように、複数のビアは平面内(XY平面内)で格子状に配置される。ビア26aとビア26bとは、格子の辺の方向で隣接する。ビア26aとビア26bとは、互いに平面内で最も近くに配置される。隣接する2つのビアに接続される配線層を上層24と下層23とに分ける(図8のステップS32)。クロストークノイズを効果的に低減することができる。格子の対角線の方向において隣接するビアに接続される配線層を、上層24と下層23とに分けてもよい(図8のステップS36)。
【0038】
図2に示すように、電源供給層25は例えば2つの配線層21を含む。半導体素子2に供給する電圧が高いほど、電源供給層25を厚くする。電源供給層25が厚いほど、上層24と下層23との間の距離が大きくなる。上層24に接続されるビアと、下層23に接続されるビアとの並走長さが小さくなる。クロストークノイズを効果的に低減することができる。
【0039】
ビア26aおよび26b、ならびに配線層LN-2およびL03は、信号の入力および出力に用いられる。信号間のクロストークノイズを低減することができる。多層基板3には、例えばデータ信号およびストローブ信号が伝送する。こうした信号のクロストークノイズを低減することができる。
【0040】
同一のチャネル内または同一のグループ内において、隣接する信号ビアの並走長さを短くする。チャネルまたはグループ内でクロストークノイズを低減することができる。異なるビット間、異なるグループ間、異なるチャネル間では、並走長さを同一にしてもよいし、異なる大きさとしてもよい。ビット、グループおよびチャネルそれぞれの中で許容されるクロストークノイズに応じて、並走長さを調節する。
【0041】
(実施例1)
以下、実施例について説明する。実施形態と同じ構成については説明を省略する。図9は実施例1に係る多層基板3を例示する平面図である。白丸が信号ビアを表す。黒丸がグランドビアを表す。ビアの配置は、多層基板3に実装される半導体素子2(例えばCPU)のピンアサインに対応している。
【0042】
多層基板3は、CH1、CH2、CH3およびCH4の信号を入出力する。多層基板3の外周にCH1とCH4が配置される。CH1とCH4との間にCH2およびCH3が配置される。CH1からCH4のそれぞれに、複数の信号ビアおよび複数のグランドビアが含まれる。CH1とCH2との間、CH2とCH3との間、CH3とCH4との間に、グランドビアの列が配置される。
【0043】
複数のビアは格子状に配置される。2つの信号ビアは、Y軸方向において隣接する。X軸方向においては、信号ビアとグランドビアとが隣接する。
【0044】
図10は多層基板3の構成を例示する模式図である。図10に示すように、Z軸方向において、複数の配線層21と複数の絶縁層22とが交互に積層されている。多層基板3の厚さ方向の中央に電源供給層25が位置する。電源供給層25は2つの配線層L12およびL11を含む。複数の配線層21のうち配線層LN22から配線層LN13は上層24に含まれる。複数の配線層21のうち配線層L10から配線層L01は下層23に含まれる。
【0045】
配線層L21、L19、L17、L15、L13、L10、L08、L06、L04、およびL02はグランド層である。配線層L20、L18、L16、L14、L09、L07、L05、L03は信号配線層である。
【0046】
図11(A-1)から図14(B-2)は、図9の部分Aにおける接続の例を示す図である。図11(A-1)、図11(B-1)、図12(A-1)、図12(B-1)、図13(A-1)、図13(B-1)、図14(A-1)、図14(B-1)は多層基板3を例示する平面図である。図11(A-2)、図11(B-2)、図12(A-2)、図12(B-1)、図13(A-1)、図13(B-1)、図14(A-1)、図14(B-1)は、上記の各平面図に対応する断面図である。
【0047】
図11(A-1)および図11(A-2)の例では、信号ピン31aおよびビア26aは、信号ピン31bおよびビア26bに隣接する。ビア26aは上層24の配線層L14に接続されている。ビア26bは下層23の配線層L03に接続されている。つまり、配線層L14と配線層L03の組み合わせが採用されている。
【0048】
図11(B-1)および図11(B-2)の例では、ビア26aは上層24の配線層L14に接続されている。ビア26bは下層23の配線層L09に接続されている。このように、配線層L14と配線層L09の組み合わせを採用してもよい。
【0049】
図12(A-1)および図12(A-2)の例では、ビア26aは上層24の配線層L14に接続されている。ビア26bは下層23の配線層L05に接続されている。このように、配線層L14と配線層L05の組み合わせを採用してもよい。
【0050】
図12(B-1)および図12(B-2)の例では、ビア26aは上層24の配線層L14に接続されている。ビア26bは下層23の配線層L07に接続されている。このように、配線層L14と配線層L07の組み合わせを採用してもよい。
【0051】
図13(A-1)および図13(A-2)の例では、ビア26aは上層24の配線層L20に接続されている。ビア26bは下層23の配線層L03に接続されている。このように、配線層L20と配線層L03の組み合わせを採用してもよい。
【0052】
図13(B-1)および図13(B-2)の例では、ビア26aは上層24の配線層L20に接続されている。ビア26bは下層23の配線層L09に接続されている。このように、配線層L20と配線層L09の組み合わせを採用してもよい。
【0053】
図14(A-1)および図14(A-2)の例では、ビア26aは上層24の配線層L20に接続されている。ビア26bは下層23の配線層L05に接続されている。このように、配線層L20と配線層L05の組み合わせを採用してもよい。
【0054】
図14(B-1)および図14(B-2)の例では、ビア26aは上層24の配線層L20に接続されている。ビア26bは下層23の配線層L07に接続されている。このように、配線層L20と配線層L07の組み合わせを採用してもよい。
【0055】
実施例1によれば、2つのビア26aおよび26bは互いに隣接する。ビア26aは上層24の配線層に接続され、ビア26bは下層23の配線層に接続されている。ビア26aとビア26bとの並走長さが短くなるため、クロストークノイズを低減することができる。
【0056】
図9に示すように、複数のビアは平面内で格子状に配置されている。信号ビアは、格子の辺方向(図9では+Y、-Y方向)において隣接する。ビア同士の距離が短いため、クロストークノイズが発生しやすい。実施例1によれば、2つのビアのうち1つが上層24の配線層に接続され、もう1つのビアは下層23の配線層に接続される。並走長さが短くなるため、クロストークノイズを低減することができる。
【0057】
所望のクロストークノイズの低減量に応じて、信号ビアに接続される配線層の組み合わせを選択することができる。例えば上層24の配線層が表面に近いほど、ビアの並走長さが小さくなり、クロストークノイズを効果的に低減することができる。配線層の組み合わせは、例えばL20とL03、L20とL09、L20とL05、L20とL07とする。クロストークノイズの低減量が増加する。一方、クロストークノイズが発生しにくい信号ビアのペアにおいては、並走長さが大きくてもよい。例えば、配線層の組み合わせは、例えばL14とL03、L14とL09、L14とL05、L14とL07とする。L20とL14を比較すると、L20の方が多層基板3の表面に近く、クロストークノイズを効果的に低減することができる。
【0058】
クロストークノイズ以外に、スタブに起因する挿入損失および反射損失を考慮してもよい。すなわち、並走長さが短いほどクロストークノイズを小さくすることができる。しかし、挿入損失および反射損失が増加する可能性がある。クロストーク、挿入損失および反射損失による信号の損失が抑制されるように、信号ビアに接続される配線層を選択する。
【0059】
図9の部分Aにおける接続の例を説明したが、他の部分においても隣接する信号ビアに接続される配線層を上層24と下層23とに分けることで、クロストークノイズを抑制することができる。図9のCH1、CH2、CH3およびCH4のいずれにおいても、実施例1の接続を適用することができる。伝送路全体のクロストークノイズを考慮し、信号ビアに接続される配線層を定める。例えば、チャネル(CH)ごとに並走長さを調節し、クロストークノイズの大きさを制御することができる。
【0060】
(実施例2)
図15は実施例2に係る多層基板3を例示する平面図である。実施例1と同じ構成については説明を省略する。複数のビアは格子状に配置される。2つの信号ビアは、C軸方向およびD軸方向において隣接する。グランドビア同士もC軸方向およびD軸方向において隣接する。異なるチャネル(CH)間に、グランドビアの列は設けられていない。配線層の構成は図10の例と同じである。
【0061】
図16(A)から図16(H)は図15の部分Bにおける接続の例を示す図であり、多層基板3を例示する平面図である。図16(A)の例では、1つの信号ビアは上層24の配線層L14に接続されている。もう1つの信号ビアは下層23の配線層L03に接続されている。つまり、配線層L14と配線層L03の組み合わせが採用されている。
【0062】
図16(B)の例では、1つの信号ビアは上層24の配線層L14に接続されている。もう1つの信号ビアは下層23の配線層L05に接続されている。
【0063】
図16(C)の例では、1つの信号ビアは上層24の配線層L14に接続されている。もう1つの信号ビアは下層23の配線層L07に接続されている。
【0064】
図16(D)の例では、1つの信号ビアは上層24の配線層L14に接続されている。もう1つの信号ビアは下層23の配線層L09に接続されている。
【0065】
図16(E)の例では、1つの信号ビアは上層24の配線層L20に接続されている。もう1つの信号ビアは下層23の配線層L03に接続されている。
【0066】
図16(F)の例では、1つの信号ビアは上層24の配線層L20に接続されている。もう1つの信号ビアは下層23の配線層L05に接続されている。
【0067】
図16(G)の例では、1つの信号ビアは上層24の配線層L20に接続されている。もう1つの信号ビアは下層23の配線層L07に接続されている。
【0068】
図16(H)の例では、1つの信号ビアは上層24の配線層L20に接続されている。もう1つの信号ビアは下層23の配線層L09に接続されている。
【0069】
実施例2によれば、図15に示すように、複数のビアは平面内で格子状に配置されている。信号ビアは、格子の対角線の方向(図9では+Cおよび-C、+Dおよび-D方向)において隣接する。2つのビアのうち1つが上層24の配線層に接続され、もう1つのビアは下層23の配線層に接続される。並走長さが短くなるため、クロストークノイズを低減することができる。
【0070】
図16(A)から図16(H)では、CH1における信号ビアの接続の例を説明した。CH2、CH3およびCH4においても、1つの信号ビアを上層24の配線層に接続し、もう1つの信号ビアを下層23の配線層に接続する。同一チャネル内でクロストークノイズを低減することができる。
【0071】
図15では、異なるチャネルに属する2つの信号ビアが、対角線方向に隣接している。例えば、CH1の信号ビアと、CH2の信号ビアとが隣接している。これら2つの信号ビアのうち1つを上層24の配線層に接続し、もう1つを下層23の配線層に接続してもよい。チャネル間のクロストークノイズを低減することができる。
【0072】
(実施例3)
図17は実施例3に係る多層基板3を例示する平面図である。実施例1または実施例2と同じ構成については説明を省略する。複数のビアは格子状に配置される。複数の信号ビアは、格子の辺方向および対角線方向において隣接する。配線層の構成は図10の例と同じである。
【0073】
図18(A)から図18(H)は図17の部分Cにおける接続の例を示す図であり、多層基板3を例示する平面図である。これらの図では8個の信号ビアと4個のグランドビアが図示されている。図18(A)の例では、1つの信号ビアは上層24の配線層L14に接続されている。辺の方向において当該信号ビアに隣接する信号ビアは、下層23の配線層L03に接続されている。対角線方向に並ぶ複数の信号ビアは同一の配線層に接続されている。
【0074】
図18(B)の例では、1つの信号ビアは上層24の配線層L14に接続されている。辺方向において当該信号ビアに隣接する信号ビアは下層23の配線層L05に接続されている。
【0075】
図18(C)の例では、1つの信号ビアは上層24の配線層L14に接続されている。辺方向において当該信号ビアに隣接する信号ビアは下層23の配線層L07に接続されている。
【0076】
図18(D)の例では、1つの信号ビアは上層24の配線層L14に接続されている。辺方向において当該信号ビアに隣接する信号ビアは下層23の配線層L09に接続されている。
【0077】
図18(E)の例では、1つの信号ビアは上層24の配線層L20に接続されている。辺方向において当該信号ビアに隣接する信号ビアは下層23の配線層L03に接続されている。
【0078】
図18(F)の例では、1つの信号ビアは上層24の配線層L20に接続されている。辺方向において当該信号ビアに隣接する信号ビアは下層23の配線層L05に接続されている。
【0079】
図18(G)の例では、1つの信号ビアは上層24の配線層L20に接続されている。辺方向において当該信号ビアに隣接する信号ビアは下層23の配線層L07に接続されている。
【0080】
図18(H)の例では、1つの信号ビアは上層24の配線層L20に接続されている。辺方向において当該信号ビアに隣接する信号ビアは下層23の配線層L09に接続されている。
【0081】
実施例3によれば、図17に示すように、複数の信号ビアは、格子の辺方向および対角線の方向において隣接する。辺方向に隣接する2つの信号ビアのうち1つが上層24の配線層に接続され、もう1つのビアは下層23の配線層に接続される。並走長さが短くなるため、クロストークノイズを低減することができる。
【0082】
図17から図18(H)に示すように、辺方向において2つの信号ビアが隣接するが、3つ以上の信号ビアは隣接しない。すなわち、辺方向に並ぶ3つのビアのうち、2つが信号ビアであり、1つはグランドビアである。隣接する2つの信号ビアの並走長さを小さくすることで、クロストークノイズを低減することができる。3つ以上の信号ビアが隣接しないため、クロストークノイズをより低減することができる。
【0083】
図18(A)から図18(H)に示すように、同一のチャネル(例えばCH1)内で、隣接する2つの信号ビアのうち1つは上層24の配線層に接続され、もう1つは下層23の配線層に接続される。チャネル内におけるクロストークノイズを低減することができる。
【0084】
図18(A)に示すように、異なるチャネルに属する信号ビアは隣接する。2つの信号ビアのうち1つは上層24の配線層L14に接続され、もう1つは下層23の配線層L03に接続される。チャネル間におけるクロストークノイズを低減することができる。
【0085】
対角線方向に隣接する2つの信号ビアは、同一の配線層に接続されてもよい。図18(A)の例では、対角線方向に並ぶ複数の信号ビアは、上層24の配線層L14または下層23の配線層L03に接続されている。対角線方向に並ぶ複数の信号ビアは、異なる配線層に接続されてもよく、例えば上層24の配線層のいずれか、または下層23の配線層のいずれかに接続されてもよい。対角線方向に隣接する2つの信号ビアは、上層24と下層23に分かれて接続されてもよい。
【0086】
(実施例4)
図19は実施例4に係る半導体装置100を例示する模式図である。半導体装置100は、2つの半導体装置1および1’、ならびに多層基板101を有する。半導体装置1は半導体素子2および多層基板3を有する。半導体装置1’は半導体素子2’および多層基板3’を有する。半導体素子2および2’は例えばCPUである。2つのCPUのうち1つは送端側、もう1つは受端側でもよい。半導体素子2は多層基板3にフリップチップ実装されている。半導体素子2’は多層基板3’にフリップチップ実装されている。
【0087】
多層基板3および3’は、実施例1から実施例3のいずれかに係る多層基板である。CPUに入出力する信号のクロストークノイズを低減することができる。多層基板101も実施例1から実施例3のいずれかに係る多層基板である。2つのCPU間においてクロストークノイズを低減することができる。
【0088】
(実施例5)
図20(A)は実施例5に係る半導体装置150を例示する模式図である。半導体装置150は、半導体装置1、DIMM(Dual Inline Memory Module)200、および多層基板151を有する。半導体装置1の多層基板3は、実施例1から実施例3のいずれかに係る多層基板である。半導体装置1の多層基板3は、多層基板151にフリップチップ実装されている。
【0089】
DIMM200は半導体装置1’’、多層基板201およびソケット202を有する。半導体装置1’’は半導体装置1と同様に実施例1から実施例3のいずれかに係る多層基板を有する。多層基板201および多層基板151は、実施例1から実施例3のいずれかに係る多層基板である。ソケット202は、多層基板201の配線層に電気的に接続されている。ソケット202を多層基板151に差し込むことで、DIMM200は多層基板151に電気的に接続される。
【0090】
図20(B)はソケット202を拡大した図である。ソケット202は、信号ピン202a、202b、202dおよび202e、グランドピン202cを有する。信号ピン202aと信号ピン202bはと隣接する。信号ピン202aは、上層24の配線層に接続される。信号ピン202bは下層23の配線層に接続される。信号ピン202aに接続される信号ビアと、信号ピン202bに接続される信号ビアとの間で、並走長さが小さくなる。信号ピン202dと信号ピン202eとは隣接する。信号ピン202dは、上層24の配線層に接続される。信号ピン202eは下層23の配線層に接続される。信号ピン202dに接続される信号ビアと、信号ピン202eに接続される信号ビアとの間で、並走長さが小さくなる。クロストークノイズを低減することができる。
【0091】
図3および図10に示すように、多層基板の電源供給層25は、多層基板の厚さ方向における中央に位置し、2つの配線層L11およびL12を含む。電源供給層の位置および構成は変更してもよい。
【0092】
(変形例1)
図21(A)は変形例1に係る多層基板を例示する模式図である。電源供給層25は中央より上に位置し、配線層L13およびL14を有する。上層24は配線層L15,L16,L17,L18,L19,およびL20を有する。下層23は配線層L01からL12を有する。隣接する2つの信号ビアのうち1つを上層24の配線層に接続し、もう1つを下層23の配線層に接続すればよい。
【0093】
(変形例2)
図21(B)は変形例2に係る多層基板を例示する模式図である。多層基板は2つの電源供給層25aおよび25bを有する。電源供給層25aは配線層L14で構成されている。電源供給層25bは配線層L07で構成されている。電源供給層25aより上の部分を上層24とし、下の部分を下層23とする。複数の配線層のうち、配線層L15からL20は上層24に含まれる。配線層L01からL13は下層23に含まれる。隣接する2つの信号ビアのうち1つを上層24の配線層に接続し、もう1つを下層23の配線層に接続すればよい。
【0094】
(変形例3)
図21(C)は変形例3に係る多層基板を例示する模式図である。多層基板は2つの電源供給層25aおよび25bを有する。電源供給層25bより上の部分を上層24とし、下の部分を下層23とする。隣接する2つの信号ビアのうち1つを上層24の配線層に接続し、もう1つを下層23の配線層に接続すればよい。
【0095】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【0096】
なお、以上の実施形態の説明に関して、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
多層基板の厚さ方向に積層された複数の配線層と、
前記厚さ方向に延伸する複数のビアと、を備え、
前記複数の配線層は、電源供給層と、第1配線層と、第2配線層とを含み、
前記第1配線層は、前記厚さ方向において前記電源供給層の一方の側に位置し、
前記第2配線層は、前記厚さ方向において前記電源供給層の他方の側に位置し、
前記多層基板の平面内において、前記複数のビアのうち第1ビアと第2ビアとは互いに隣接し、
前記第1ビアは前記第1配線層に接続され、
前記第2ビアは前記第2配線層に接続されている、
多層基板。
(付記2)
前記複数のビアは前記平面内において格子状に配置され、
前記第1ビアと前記第2ビアとは、前記格子の辺の方向において隣接する、
付記1に記載の多層基板。
(付記3)
前記複数のビアは前記平面内において格子状に配置され、
前記第1ビアと前記第2ビアとは、前記格子の対角線の方向において隣接する、
付記1に記載の多層基板。
(付記4)
前記複数のビアは前記平面内において格子状に配置され、
前記第1ビアと前記第2ビアとは、前記格子の辺の方向において隣接し、
前記複数のビアのうち第3ビアは、前記格子の対角線の方向において前記第1ビアまたは前記第2ビアと隣接し、
前記第3ビアは前記第1配線層または前記第2配線層に接続されている、
付記1に記載の多層基板。
(付記5)
前記電源供給層は少なくとも2つの前記配線層を含み、
前記厚さ方向において前記少なくとも2つの電源供給層は互いに隣接する、
付記1または2に記載の多層基板。
(付記6)
前記第1ビア、前記第2ビア、前記第1配線層および前記第2配線層は、信号の入力および出力に用いられる、
付記1または2に記載の多層基板。
(付記7)
多層基板と、
前記多層基板に実装された半導体素子と、を具備し、
前記多層基板は、前記多層基板の厚さ方向に積層された複数の配線層と、
前記厚さ方向に延伸する複数のビアと、を備え、
前記複数の配線層は、電源供給層と、第1配線層と、第2配線層とを含み、
前記第1配線層は、前記厚さ方向において前記電源供給層の一方の側に位置し、
前記第2配線層は、前記厚さ方向において前記電源供給層の他方の側に位置し、
前記多層基板の平面内において、前記複数のビアのうち第1ビアと第2ビアとは互いに隣接し、
前記第1ビアは前記第1配線層に接続され、
前記第2ビアは前記第2配線層に接続されている半導体装置。
(付記8)
前記複数のビアは前記平面内において格子状に配置され、
前記第1ビアと前記第2ビアとは、前記格子の辺の方向において隣接する付記7に記載の半導体装置。
(付記9)
前記複数のビアは前記平面内において格子状に配置され、
前記第1ビアと前記第2ビアとは、前記格子の対角線の方向において隣接する付記7に記載の半導体装置。
(付記10)
前記複数のビアは前記平面内において格子状に配置され、
前記第1ビアと前記第2ビアとは、前記格子の辺の方向において隣接し、
前記複数のビアのうち第3ビアは、前記格子の対角線の方向において前記第1ビアまたは前記第2ビアと隣接し、
前記第3ビアは前記第1配線層または前記第2配線層に接続されている付記7に記載の半導体装置。
(付記11)
前記電源供給層は少なくとも2つの前記配線層を含み、
前記厚さ方向において前記少なくとも2つの電源供給層は互いに隣接する付記7から10のいずれか一項に記載の半導体装置。
(付記12)
前記第1ビア、前記第2ビア、前記第1配線層および前記第2配線層は、信号の入力および出力に用いられる付記7から11のいずれか一項に記載の半導体装置。
(付記13)
コンピュータに、
多層基板の厚さ方向に延伸する複数のビアのうち、前記多層基板の平面内において隣接する第1ビアと第2ビアとを抽出し、
前記多層基板の厚さ方向に積層された複数の配線層のうち、前記厚さ方向において電源供給層の一方の側に位置する前記第1配線層と前記第1ビアとが接続され、
前記複数の配線層のうち、前記電源供給層の他方の側に位置する第2配線層と前記第2ビアとが接続されるような設計をする、処理を実行させる多層基板の配線設計プログラム。
(付記14)
前記複数のビアは前記平面内において格子状に配置され、
前記第1ビアと前記第2ビアとは、前記格子の辺の方向において隣接する付記13に記載の多層基板の配線設計プログラム。
(付記15)
前記複数のビアは前記平面内において格子状に配置され、
前記第1ビアと前記第2ビアとは、前記格子の対角線の方向において隣接する付記13に記載の多層基板の配線設計プログラム。
(付記16)
前記複数のビアは前記平面内において格子状に配置され、
前記第1ビアと前記第2ビアとは、前記格子の辺の方向において隣接し、
前記複数のビアのうち第3ビアは、前記格子の対角線の方向において前記第1ビアまたは前記第2ビアと隣接し、
前記第3ビアは前記第1配線層または前記第2配線層に接続されている付記13に記載の多層基板の配線設計プログラム。
(付記17)
前記電源供給層は少なくとも2つの前記配線層を含み、
前記厚さ方向において前記少なくとも2つの電源供給層は互いに隣接する付記13から16のいずれか一項に記載の多層基板の配線設計プログラム。
(付記18)
前記第1ビア、前記第2ビア、前記第1配線層および前記第2配線層は、信号の入力および出力に用いられる付記13から17のいずれか一項に記載の多層基板の配線設計プログラム。
【符号の説明】
【0097】
1、1’、1’’、150 半導体装置 2、2’ 半導体素子
3、3’、101、151、201 多層基板 10 半田ボール
11 配線設計装置
12 CPU 13 RAM
14 記憶装置 15 インターフェース
21、LN、LN-1~LN-8、L01~L22 配線層
22 絶縁層 23 下層
24 上層 25 電源供給層
27a、27b 引き出し配線
31a,31b,202a,202b,202d,202e 信号ピン
200 DIMM 202 ソケット
202c グランドピン
202a,202b,202c,202d,202e 端子
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