(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141358
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】半導体装置、及び、半導体装置のレイアウト方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
H01L27/04 H
H01L27/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052956
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉村 賢一
【テーマコード(参考)】
5F038
【Fターム(参考)】
5F038BH02
5F038BH03
5F038BH05
5F038BH07
5F038BH15
5F038CA03
5F038CA06
5F038EZ20
(57)【要約】
【課題】良好なサージ保護特性を得る。
【解決手段】半導体チップ(1A)において、第1及び第2電源配線(Wa、Wb)並びに信号配線と、それらの配線に接続される被保護回路(40)と、サージ保護回路と、が形成される。サージ保護回路は、第1電源配線及び信号配線に接続される第1保護回路と、第2電源配線及び信号配線に接続される第2保護回路と、第1及び第2電源配線に接続される第3保護回路(30)と、を有する。信号配線は第1及び第2信号配線(Ws1及びWs2)を含み、第1及び第2信号配線の夫々に第1及び第2保護回路が設けられる。第1信号配線に対する第1及び第2保護回路が形成される第1領域と、第2信号配線に対する第1及び第2保護回路が形成される第2領域と、の間に、第1及び第2保護回路に対して共通の第3保護回路を形成される第3領域を配置した。
【選択図】
図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップを有する半導体装置であって、前記半導体チップにおいて、
互いに異なる電位を有するよう構成された第1電源配線及び第2電源配線と、
信号を伝搬するよう構成された信号配線と、
前記第1電源配線、前記第2電源配線及び前記信号配線に接続される被保護回路と、
前記第1電源配線、前記第2電源配線及び前記信号配線の内、2つの配線間に加わるサージ電圧から、前記被保護回路を保護するよう構成されたサージ保護回路と、が形成され、
前記サージ保護回路は、前記第1電源配線及び前記信号配線に接続される第1保護回路と、前記第2電源配線及び前記信号配線に接続される第2保護回路と、前記第1電源配線及び前記第2電源配線に接続される第3保護回路と、を有し、
前記信号配線は第1信号配線及び第2信号配線を含み、
前記サージ保護回路は、前記第1信号配線に対する前記第1保護回路及び前記第2保護回路の組と、前記第2信号配線に対する前記第1保護回路及び前記第2保護回路の組と、を個別に有し、且つ、前記第1信号配線及び前記第2信号配線に対して共通の前記第3保護回路を有し、
前記第1信号配線に対する前記第1保護回路及び前記第2保護回路が形成される第1領域と、前記第2信号配線に対する前記第1保護回路及び前記第2保護回路が形成される第2領域と、の間に、前記共通の前記第3保護回路を形成される第3領域を配置した
、半導体装置。
【請求項2】
前記第1領域の中心と前記第2領域の中心とを結ぶ線分の中点は、前記第3領域内に位置する
、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第3領域と前記第1領域との距離は、前記第3領域と前記第2領域との距離と等しい
、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1信号配線に対する前記第1保護回路及び前記第2保護回路へのガードリングと、前記第2信号配線に対する前記第1保護回路及び前記第2保護回路へのガードリングと、前記共通の前記第3保護回路へのガードリングと、を包含する一体の共通ガードリングを備える
、請求項1~3の何れかに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記共通ガードリングは、前記半導体チップの主面において、前記第1領域、前記第2領域及び前記第3領域を一括して取り囲むガードリングである
、請求項4の何れかに記載の半導体装置。
【請求項6】
半導体チップを有する半導体装置のレイアウト方法であって、前記半導体チップにおいて、
互いに異なる電位を有するよう構成された第1電源配線及び第2電源配線と、
信号を伝搬するよう構成された信号配線と、
前記第1電源配線、前記第2電源配線及び前記信号配線に接続される被保護回路と、
前記第1電源配線、前記第2電源配線及び前記信号配線の内、2つの配線間に加わるサージ電圧から、前記被保護回路を保護するよう構成されたサージ保護回路と、が形成され、
前記サージ保護回路は、前記第1電源配線及び前記信号配線に接続される第1保護回路と、前記第2電源配線及び前記信号配線に接続される第2保護回路と、前記第1電源配線及び前記第2電源配線に接続される第3保護回路と、を有し、
当該レイアウト方法において、前記第1保護回路、前記第2保護回路及び前記第3保護回路をまとめた統合セルを設定し、前記統合セルを単位に、前記半導体チップ内における前記サージ保護回路の構造を決定する
、半導体装置のレイアウト方法。
【請求項7】
前記半導体チップに前記信号配線が複数備えられる場合、前記信号配線ごとに前記サージ保護回路が前記半導体チップ内に配置され、前記半導体チップ内における各サージ保護回路の構造を、前記統合セルを単位に決定する
、請求項6に記載の半導体装置のレイアウト方法。
【請求項8】
半導体チップを有する半導体装置であって、前記半導体チップにおいて、
互いに異なる電位を有するよう構成された第1電源配線及び第2電源配線と、
信号を伝搬するよう構成された信号配線と、
前記第1電源配線、前記第2電源配線及び前記信号配線に接続される被保護回路と、
前記第1電源配線、前記第2電源配線及び前記信号配線の内、2つの配線間に加わるサージ電圧から、前記被保護回路を保護するよう構成されたサージ保護回路と、が形成され、
前記サージ保護回路は、前記第1電源配線及び前記信号配線に接続される第1保護回路と、前記第2電源配線及び前記信号配線に接続される第2保護回路と、前記第1電源配線及び前記第2電源配線に接続される第3保護回路と、を有し、
前記半導体チップにおいて、前記第1保護回路へのガードリングと、前記第2保護回路へのガードリングと、前記第3保護回路へのガードリングと、を包含する一体の共通ガードリングを設けた
、半導体装置。
【請求項9】
前記共通ガードリングは、前記半導体チップの主面において、前記第1保護回路が形成される第1領域と、前記第2保護回路が形成される第2領域と、前記第3保護回路が形成される第3領域と、を一括して取り囲むガードリングである
、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
半導体チップを有する半導体装置であって、前記半導体チップにおいて、
互いに異なる電位を有するよう構成された第1電源配線及び第2電源配線と、
信号を伝搬するよう構成された信号配線と、
前記第1電源配線、前記第2電源配線及び前記信号配線に接続される被保護回路と、
前記第1電源配線、前記第2電源配線及び前記信号配線の内、2つの配線間に加わるサージ電圧から、前記被保護回路を保護するよう構成されたサージ保護回路と、が形成され、
前記サージ保護回路は、前記第1電源配線及び前記信号配線に接続される第1保護回路と、前記第2電源配線及び前記信号配線に接続される第2保護回路と、前記第1電源配線及び前記第2電源配線に接続される第3保護回路と、を有し、
前記信号配線は複数設けられ、前記信号配線ごとに前記サージ保護回路が設けられ、
複数の信号配線に対する複数のサージ保護回路は互いに同じ構造を有し、
前記第1保護回路、前記第2保護回路及び前記第3保護回路間の相対位置関係は、前記複数のサージ保護回路間で互いに同じである
、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置、及び、半導体装置のレイアウト方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置において回路をサージから保護することが要求される。様々なサージ保護回路が提案されている(例えば下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現状のサージ保護技術には改善の余地がある。
【0005】
本開示は、良好なサージ保護を実現する又はサージ保護を小面積で実現する半導体装置、及び、半導体装置のレイアウト方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る第1の半導体装置は、半導体チップを有する半導体装置であって、前記半導体チップにおいて、互いに異なる電位を有するよう構成された第1電源配線及び第2電源配線と、信号を伝搬するよう構成された信号配線と、前記第1電源配線、前記第2電源配線及び前記信号配線に接続される被保護回路と、前記第1電源配線、前記第2電源配線及び前記信号配線の内、2つの配線間に加わるサージ電圧から、前記被保護回路を保護するよう構成されたサージ保護回路と、が形成され、前記サージ保護回路は、前記第1電源配線及び前記信号配線に接続される第1保護回路と、前記第2電源配線及び前記信号配線に接続される第2保護回路と、前記第1電源配線及び前記第2電源配線に接続される第3保護回路と、を有し、前記信号配線は第1信号配線及び第2信号配線を含み、前記サージ保護回路は、前記第1信号配線に対する前記第1保護回路及び前記第2保護回路の組と、前記第2信号配線に対する前記第1保護回路及び前記第2保護回路の組と、を個別に有し、且つ、前記第1信号配線及び前記第2信号配線に対して共通の前記第3保護回路を有し、前記第1信号配線に対する前記第1保護回路及び前記第2保護回路が形成される第1領域と、前記第2信号配線に対する前記第1保護回路及び前記第2保護回路が形成される第2領域と、の間に、前記共通の前記第3保護回路を形成される第3領域を配置した。
【0007】
本開示に係る半導体装置のレイアウト方法は、半導体チップを有する半導体装置のレイアウト方法であって、前記半導体チップにおいて、互いに異なる電位を有するよう構成された第1電源配線及び第2電源配線と、信号を伝搬するよう構成された信号配線と、前記第1電源配線、前記第2電源配線及び前記信号配線に接続される被保護回路と、前記第1電源配線、前記第2電源配線及び前記信号配線の内、2つの配線間に加わるサージ電圧から、前記被保護回路を保護するよう構成されたサージ保護回路と、が形成され、前記サージ保護回路は、前記第1電源配線及び前記信号配線に接続される第1保護回路と、前記第2電源配線及び前記信号配線に接続される第2保護回路と、前記第1電源配線及び前記第2電源配線に接続される第3保護回路と、を有し、当該レイアウト方法において、前記第1保護回路、前記第2保護回路及び前記第3保護回路をまとめた統合セルを設定し、前記統合セルを単位に、前記半導体チップ内における前記サージ保護回路の構造を決定する。
【0008】
本開示に係る第2の半導体装置は、半導体チップを有する半導体装置であって、前記半導体チップにおいて、互いに異なる電位を有するよう構成された第1電源配線及び第2電源配線と、信号を伝搬するよう構成された信号配線と、前記第1電源配線、前記第2電源配線及び前記信号配線に接続される被保護回路と、前記第1電源配線、前記第2電源配線及び前記信号配線の内、2つの配線間に加わるサージ電圧から、前記被保護回路を保護するよう構成されたサージ保護回路と、が形成され、前記サージ保護回路は、前記第1電源配線及び前記信号配線に接続される第1保護回路と、前記第2電源配線及び前記信号配線に接続される第2保護回路と、前記第1電源配線及び前記第2電源配線に接続される第3保護回路と、を有し、前記半導体チップにおいて、前記第1保護回路へのガードリングと、前記第2保護回路へのガードリングと、前記第3保護回路へのガードリングと、を包含する一体の共通ガードリングを設けた。
【0009】
本開示に係る第3の半導体装置は、半導体チップを有する半導体装置であって、前記半導体チップにおいて、互いに異なる電位を有するよう構成された第1電源配線及び第2電源配線と、信号を伝搬するよう構成された信号配線と、前記第1電源配線、前記第2電源配線及び前記信号配線に接続される被保護回路と、前記第1電源配線、前記第2電源配線及び前記信号配線の内、2つの配線間に加わるサージ電圧から、前記被保護回路を保護するよう構成されたサージ保護回路と、が形成され、前記サージ保護回路は、前記第1電源配線及び前記信号配線に接続される第1保護回路と、前記第2電源配線及び前記信号配線に接続される第2保護回路と、前記第1電源配線及び前記第2電源配線に接続される第3保護回路と、を有し、前記信号配線は複数設けられ、前記信号配線ごとに前記サージ保護回路が設けられ、複数の信号配線に対する複数のサージ保護回路は互いに同じ構造を有し、前記第1保護回路、前記第2保護回路及び前記第3保護回路間の相対位置関係は、前記複数のサージ保護回路間で互いに同じである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、良好なサージ保護を実現する又はサージ保護を小面積で実現する半導体装置、及び、半導体装置のレイアウト方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る半導体チップの概略構成図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態に係る半導体装置の外観斜視図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施形態に係り、半導体装置と周辺回路との接続関係を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施形態に係り、半導体チップに設けられる各保護回路の構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施形態に係り、サージ電圧の発生時におけるサージ電流の流れを示す図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施形態に係り、サージ電流の流路に配線インピーダンスが存在することを示す図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施形態に係り、半導体チップとX軸、Y軸及びZ軸との関係を示す図である。
【
図8】
図8は、本開示の実施形態に係り、半導体チップ内の幾つかの配線を定義するための図である。
【
図9】
図9は、本開示の実施形態に属する第1実施例に係り、半導体チップに設けることのできる3種類の保護セルを示す図である。
【
図10】
図10は、本開示の実施形態に属する第1実施例に係り、統合セルの構成図である。
【
図11】
図11は、本開示の実施形態に属する第1実施例に係り、他の統合セルの構成図である。
【
図12】
図12は、本開示の実施形態に属する第1実施例に係り、更に他の統合セルの構成図である。
【
図14】
図14は、本開示の実施形態に属する第1実施例に係り、2つの信号配線に1つずつサージ保護回路が設けられる様子を示す図である。
【
図16】
図16は、本開示の実施形態に属する第1実施例に係り、サージ保護回路及び共通ガードリングに関わる縦構造図である。
【
図17】
図17は、本開示の実施形態に属する第2実施例に係り、半導体チップの概略構成図である。
【
図18】
図18は、本開示の実施形態に属する第2実施例に係り、統合セルの構成図である。
【
図19】
図19は、本開示の実施形態に属する第2実施例に係り、統合セルの構成を2つの信号配線と共に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量、機能部、回路、素子又は部品等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量、機能部、回路、素子又は部品等の名称を省略又は略記することがある。例えば、後述の“Pa”によって参照される電源パッドは(
図1参照)、電源パッドPaと表記されることもあるし、パッドPaと略記されることもあり得るが、それらは全て同じものを指す。
【0013】
まず、本開示の実施形態の記述にて用いられる幾つかの用語について説明を設ける。グランドとは、基準となる0V(ゼロボルト)の電位を有する基準導電部を指す又は0Vの電位そのものを指す。基準導電部は金属等の導体を用いて形成されて良い。0Vの電位をグランド電位と称することもある。本開示の実施形態において、特に基準を設けずに示される電圧はグランドから見た電位を表す。
【0014】
MOSFETを含むFET(電界効果トランジスタ)として構成された任意のトランジスタについて、オン状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が導通している状態を指し、オフ状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が非導通となっている状態(遮断状態)を指す。FETに分類されないトランジスタについても同様である。MOSFETは、特に記述無き限り、エンハンスメント型のMOSFETであると解される。MOSFETは“metal-oxide-semiconductor field-effect transistor”の略称である。また、特に記述なき限り、任意のMOSFETにおいて、バックゲートはソースに短絡されていると考えて良い。
【0015】
任意の回路素子、配線、ノードなど、回路を形成する複数の部位間についての接続とは、特に記述なき限り、電気的な接続を指すと解して良い。
【0016】
図1に本開示の実施形態に係る半導体チップ1の概略構成を示す。半導体チップ1は、保護回路10、20及び30並びに内部回路40を備える。
【0017】
半導体チップ1に、パッドPa、Pb及びPsが設けられると共に配線Wa、Wb及びWsが設けられる。パッドPaは第1の電源パッドであり、パッドPbは第2の電源パッドである。配線Waは第1の電源配線であり、配線Wbは第2の電源配線である。但し、パッドPb及び配線Wbは、負側の電源電圧に相当するグランド電位が与えられるべきパッド及び配線である。このため、以下、パッドPbはグランドパッドと称され、配線Wbはグランド配線と称される。パッドPsは信号パッドである。電源パッドPaは電源配線Waに接続される。グランドパッドPbはグランド配線Wbに接続される。信号パッドPsは信号配線Wsに接続される。
【0018】
内部回路40は電源配線Wa、グランド配線Wb及び信号配線Wsに接続される。従って、内部回路40は電源配線Waを介して電源パッドPaに接続され、信号配線Wsを介して信号パッドPsに接続され、且つ、グランド配線Wbを介してグランドパッドPbに接続される。
【0019】
保護回路10は電源配線Wa及び信号配線Wsに接続される。保護回路20はグランド配線Wb及び信号配線Wsに接続される。保護回路30は電源配線Wa及びグランド配線Wbに接続される。保護回路10、20及び30は内部回路40をサージ電圧から保護するためのサージ保護回路を構成する。内部回路40はサージ電圧から保護されるべき被保護回路である。サージ保護回路は、電源配線Wa、グランド配線Wb及び信号配線Wsの内、2つの配線間に加わり得るサージ電圧(換言すれば、パッドPa、Pb及びPsの内、2つのパッド間に加わり得るサージ電圧)から内部回路40を保護する。
【0020】
図2は本開示の実施形態に係る半導体装置100の外観斜視図である。半導体装置100は半導体チップ1と樹脂にて構成された筐体CSとを有する。半導体チップ1を筐体CS内に封入することで半導体装置100が形成される。半導体基板上に半導体集積回路を形成することで半導体チップ1が構成され、半導体集積回路内に保護回路10、20及び30並びに内部回路40が設けられる。
図2では、筐体CS内に封入される半導体チップとして半導体チップ1のみが図示されているが、半導体チップ1を含む複数の半導体チップが筐体CS内に封入され得る。半導体装置100の筐体CSには、半導体装置100の外部に対し筐体CSから露出した外部端子が複数設けられている。パッドPa、Ps及びPbは夫々に、ワイヤボンディングにより、対応する外部端子に接続される。尚、
図2に示される外部端子の数及び筐体CSの種類は例に過ぎず、それらは様々に変形され得る。
【0021】
半導体装置100を用いて様々な回路システムを構成することができる。半導体装置100が回路システムに組み込また状態(以下、システム組み込み状態と称する)において、
図3に示す如く、半導体装置100は半導体装置100の外部に設けられた電圧源VSより電源電圧VDDを受ける。具体的には、半導体装置100は上記複数の外部端子に含まれる3つの外部端子として電源端子TMa、グランド端子TMb、信号端子TMsを備える。半導体装置100の筐体CS内において、ワイヤボンディングにより、電源端子TMaは電源パッドPaに接続され、グランド端子TMbはグランドパッドPbに接続され、且つ、信号端子TMsは信号パッドPsに接続される。
【0022】
システム組み込み状態において、電圧源VSの正側出力端は電源端子TMaに接続される一方で、電圧源VSの負側出力端及びグランド端子TMbは0Vの電位を有するグランドに接続される。電圧源VSは、自身の負側出力端の電位を基準に自身の正側出力端から所定の電源電圧VDDを出力する。電源電圧VDDは正の直流電圧である。故に、システム組み込み状態において、電源端子TMa及び電源パッドPaは電源電圧VDDの電位を有し、グランド端子TMb及びグランドパッドPbはグランド電位(0Vの電位)を有する。システム組み込み状態において、電源電圧VDDは内部回路40の電源電圧であり、内部回路40は電源電圧VDDに基づき動作する。電源電圧VDDは正側の電源電圧として機能し、グランドの電圧は負側の電源電圧として機能する。
【0023】
システム組み込み状態において、信号端子TMsは半導体装置100の外部に設けられた外部回路EXに接続され、故に信号パッドPsも外部回路EXに接続される。システム組み込み状態において内部回路40は所定の機能動作を実行する。
【0024】
信号配線Wsは外部回路EXから内部回路40に供給される入力信号を伝搬する信号配線であって良く、この場合、信号端子TMs及び信号パッドPsは外部回路EXからの入力信号を受ける入力端子及び入力パッドとして機能する。信号端子TMs及び信号パッドPsが入力端子及び入力パッドとして機能する場合、外部回路EXから信号端子TMsに対し0V以上且つ電源電圧VDD以下の電圧値を持つ入力信号が入力され、内部回路40は信号端子TMsへの入力信号(従って信号パッドPsへの入力信号)に基づき所定の機能動作を実行する。ここにおける入力信号はアナログ信号でも良いし、デジタル信号でも良い。
【0025】
或いは、信号配線Wsは内部回路40から外部回路EXに供給される出力信号を伝搬する信号配線であっても良く、この場合、信号端子TMs及び信号パッドPsは内部回路40の出力信号を受ける出力端子及び出力パッドとして機能する。信号端子TMs及び信号パッドPsが出力端子及び出力パッドとして機能する場合、内部回路40は、所定の機能動作において0V以上且つ電源電圧VDD以下の電圧値を持つ出力信号を信号パッドPsに供給し、当該出力信号は信号端子TMsを通じて外部回路EXに供給される。ここにおける出力信号はアナログ信号でも良いし、デジタル信号でも良い。
【0026】
半導体装置100が回路システムに組み込まれない状態を部品単体状態と称する。部品単体状態又はシステム組み込み状態において、信号端子TMs及びグランド端子TMb間に対し、信号端子TMs及び電源端子TMa間に対し、又は、電源端子TMa及びグランド端子TMb間に対し、サージ電圧が加わることがある。端子TMs及びTMb間にサージ電圧が加わるとき、当該サージ電圧はパッドPs及びPb間に加わる。端子TMs及びTMa間にサージ電圧が加わるとき、当該サージ電圧はパッドPs及びPa間に加わる。端子TMa及びTMb間にサージ電圧が加わるとき、当該サージ電圧はパッドPa及びPb間に加わる。サージ電圧は静電気等に由来して微小時間だけ発生する電圧であり、サージ電圧の大きさは電源電圧VDDと比べて相当に大きい。上述したように、保護回路10、20及び30はサージ電圧から内部回路40を保護する。
【0027】
システム組み込み状態において内部回路40は基本的に通常状態にて動作する。通常状態において、サージ電圧は発生しておらず、信号パッドPsにおける電圧は、0V以上且つ電源電圧VDD以下である。通常状態において保護回路10、20及び30には実質的に電流が流れない。但し、サージ電圧の発生時には、サージ電圧に基づくサージ電流が保護回路10、20又は30を通じて流れる。これにより、内部回路40にダメージを与えるような過大電圧が内部回路40に加わることが抑止される。
【0028】
図4に保護回路10、20及び30の構成例を示す。
図4の構成例において、保護回路10は保護素子11により構成され、保護回路20は保護素子21により構成される。保護素子11及び21は夫々に保護ダイオードである。保護ダイオード11のアノードは信号配線Wsに接続され、保護ダイオード11のカソードは電源配線Waに接続される。保護ダイオード21のアノードはグランド配線Wbに接続され、保護ダイオード21のカソードは信号配線Wsに接続される。
図4の構成例において、保護回路30はアクティブクランプ方式の保護回路である。具体的には
図4の構成例において、保護回路30は素子31~35を有する。素子31は抵抗であって、素子32はコンデンサである。素子33~35はトランジスタである。この内、トランジスタ33はPチャネル型のMOSFETであり、トランジスタ34及び35はNチャネル型のMOSFETである。
【0029】
抵抗31の第1端は電源配線Waに接続される。抵抗31の第2端とコンデンサ32の第1端とトランジスタ33及び34の各ゲートはノード36にて互いに接続される。コンデンサ32の第2端はグランド配線Wbに接続される。トランジスタ33のソース及びトランジスタ35のドレインは電源配線Waに接続される。トランジスタ34及び35の各ソースはグランド配線Wbに接続される。トランジスタ33及び34の各ドレインはトランジスタ35のゲートに共通接続される。
【0030】
通常状態において信号配線Wsの電圧は0V以上且つ電源電圧VDD以下であるから保護ダイオード11及び21に電流は流れない。通常状態においてノード36には電源電圧VDDが加わるため、トランジスタ33はオフ状態且つトランジスタ34はオン状態にあり、故に、保護素子として機能するトランジスタ35はオフ状態にある。
【0031】
抵抗31及びコンデンサ32によりハイパスフィルタが形成される。グランド配線Wbから見て電源配線Waにパルス状の正のサージ電圧が加わったとき、ハイパスフィルタ(51、52)の作用によりノード36の電位が一時的に電源配線Waの電位よりも十分に低くなり且つグランド配線Wbの電位と同程度となるため、トランジスタ33がオン状態且つトランジスタ34がオフ状態となり、結果、トランジスタ35がオン状態となる。故に、サージ電圧に基づくサージ電流がトランジスタ35のドレインからソースに向けて流れる。
【0032】
故に、グランドパッドPbから見て信号パッドPsにパルス状の正のサージ電圧V
SRGが加わる第1サージケースにおいては、
図5に示すサージ電流I
SRGが発生する。サージ電流I
SRGは信号パッドPsから保護回路10、電源配線Wa、保護回路30及びグランド配線Wbを通じグランドパッドPbに向けて流れる。
図4の構成例が採用された場合、保護回路10内においてサージ電流I
SRGは保護ダイオード11を通じて流れ、保護回路30内においてサージ電流I
SRGはトランジスタ35を通じて流れる。
【0033】
特に図示しないが、グランドパッドPbから見て信号パッドPsにパルス状の負のサージ電圧が加わる第2サージケースにおいては、当該負のサージ電圧に基づくサージ電流が、グランドパッドPbから保護回路20を通じ信号パッドPsに向けて流れる。
電源パッドPaから見て信号パッドPsにパルス状の正のサージ電圧が加わる第3サージケースにおいては、当該正のサージ電圧に基づくサージ電流が、信号パッドPsから保護回路10を通じ電源パッドPaに向けて流れる。
電源パッドPaから見て信号パッドPsにパルス状の負のサージ電圧が加わる第4サージケースにおいては、当該負のサージ電圧に基づくサージ電流が、電源パッドPaから電源配線Wa、保護回路30、グランド配線Wb及び保護回路20を通じ信号パッドPsに向けて流れる。
【0034】
グランドパッドPbから見て電源パッドPaにパルス状の正のサージ電圧が加わる第5サージケースにおいては、当該正のサージ電圧に基づくサージ電流が、電源パッドPaから電源配線Wa、保護回路30及びグランド配線Wbを通じグランドパッドPbに向けて流れる。
グランドパッドPbから見て電源パッドPaにパルス状の負のサージ電圧が加わる第6サージケースにおいては、当該負のサージ電圧に基づくサージ電流が、グランドパッドPbからグランド電源Wb、保護回路30及び電源配線Waを通じ電源パッドPaに向けて流れる。但し、第6サージケースにおけるサージ電流は、トランジスタ35の寄生ダイオード(トランジスタ35のソースからドレインに向かう向きに順方向を持つ寄生ダイオード)を通じて流れる。
【0035】
何れのサージケースにおいても、第1及び第2対象ノード間に所定の耐圧を超える電圧が加わらないようにする必要がある。第1及び第2対象ノードは、内部回路40及び電源配線Wa間の接続ノードと、内部回路40及びグランド配線Wb間の接続ノードと、内部回路40及び信号配線Ws間の接続ノードとの内、2つのノードである。
【0036】
保護回路10は電源配線Wa及び信号配線Ws間に容量を有し、保護回路20は信号配線Ws及びグランド配線Wb間に容量を有する。
図4の構成例において、保護回路10が有する容量は保護ダイオード11に付加される寄生容量であって、保護ダイオード11のアノード及びカソード間に付加される。
図4の構成例において、保護回路20が有する容量は保護ダイオード21に付加される寄生容量であって、保護ダイオード21のアノード及びカソード間に付加される。特許文献1(国際公開第2022/137767号)に示す構造を用いて保護回路10及び20(保護ダイオード11及び21)を形成することができ、これにより保護回路10及び20の各容量を相当に小さくすることができる。保護回路30は電源配線Wa及びグランド配線Wb間に容量を有する。電源配線Wa及びグランド配線Wb間において保護回路30が有する容量は、電源配線Wa及び信号配線Ws間において保護回路10が有する容量より大きく、且つ、信号配線Ws及びグランド配線Wb間において保護回路20が有する容量より大きくて良い。
【0037】
尚、内部回路40をサージ電圧から保護することができる限り、保護回路10、20及び30の構成は
図4に示すものに限定されない。例えば保護回路10は信号配線Wsから電源配線Waに向かう向きに順方向を有する複数の整流ダイオードにて構成されていても良い。同様に例えば、保護回路20はグランド配線Wbから信号配線Wsに向かう向きに順方向を有する複数の整流ダイオードにて構成されていても良い。また例えば、保護回路30は、グランド配線Wbから電源配線Waに向かう向きに順方向を有するツェナーダイオードにて構成されていても良い。但し、以下では、特に記述無き限り、保護回路10、20及び30が
図4に示す構成を持つことを想定する。
【0038】
図5に対応する第1サージケースにおいて、サージ電流I
SRGが流れる電源配線Wa及びグランド配線Wbには
図6に示す如く配線インピーダンスZa及びZbが存在する。尚、
図6では、配線インピーダンスZa及びZbが抵抗であるとみなしている。保護回路10及び30間の距離が大きくなると配線インピーダンスZaも大きくなり、保護回路20及び30間の距離が大きくなると配線インピーダンスZbも大きくなる。配線インピーダンスZa及びZbの増大は、サージ発生時における第1及び第2対象ノード間の電圧の増大を招き、内部回路40の適正な保護を難しくする。
【0039】
本開示に係る半導体チップ1は、配線インピーダンスZa及びZbの低減を通じて内部回路40の保護特性を良好とする構造を有する。
【0040】
尚、以下では、説明の具体化のため、
図7に示す如く、半導体チップ1との関係においてX軸、Y軸及びZ軸を定義する。X軸、Y軸及びZ軸は互いに直交する。X軸及びY軸に平行な平面をXY面と称する。半導体チップ1はZ軸方向において厚みを有する。半導体チップ1は互いに対向する主面P1及びP2を有する。主面P1及びP2はXY面に平行である。主面P1は主面P2よりもZ軸の正側に位置する。半導体チップ1に設けられる任意のパッド(上述のパッドPa、Pb及びPsを含む)は金属製のパッドであり、主面P1上に形成される(但し主面P2上に形成されることがあっても良い)。また、
図8を参照し、半導体チップ1内において、電源配線Waの内、保護回路10及び30間を接続する配線を配線W13と称し、グランド配線Wbの内、保護回路20及び30を接続する配線を配線W23と称し、保護回路10及び20間を接続する配線を、配線W12と称する。
【0041】
以下における複数の実施例の中で、半導体チップ1の構成に関わる具体例、応用技術、変形技術等を説明する。本実施形態にて上述した事項は、特に記述無き限り且つ矛盾無き限り、以下の各実施例に適用される。各実施例において、上述の事項と矛盾する事項がある場合には、各実施例での記載が優先されて良い。また矛盾無き限り、以下に示す複数の実施例の内、任意の実施例に記載した事項を、他の任意の実施例に適用することもできる(即ち複数の実施例の内の任意の2以上の実施例を組み合わせることも可能である)。
【0042】
<<第1実施例>>
第1実施例を説明する。
図9に、半導体チップ1に設けることのできる保護セルCLa、CLb及びCLcの外形を示す。保護セルCLaは保護回路10(従って保護素子11)が形成される半導体領域である。保護セルCLbは保護回路20(従って保護素子21)が形成される半導体領域である。保護セルCLcは保護回路30(従って素子31~35)が形成される半導体領域である。XY面に平行な平面上において、保護セルCLa、CLb及びCLcの夫々は概略長方形の外形を有する。
【0043】
保護セルCLa及びCLbの組の配置位置と保護セルCLcの配置位置とを、他の回路及び配線との関係を考慮して、独立して定める方法(以下、参考レイアウト方法と称する)がある。参考レイアウト方法では、レイアウトの自由度が高い反面、それらの配置位置の関係次第では配線インピーダンスZa及びZbが許容範囲を超えて大きくなることがある。また、参考レイアウト方法では、上記の各配置位置を決定するごとに配線インピーダンスZa及びZbを計算等を通じて検証し、必要な保護が得られるかを確認する必要がある。
【0044】
これらを考慮し、第1実施例に係る改良レイアウト方法では、保護回路10、20及び30をまとめた統合セルを設定し、統合セルを単位に、半導体チップ1内におけるサージ保護回路の構造を決定する。改良レイアウト方法を実現するプログラムを改良レイアウトプログラムと称する。改良レイアウトプログラムが任意のコンピュータ装置にて実行されることで改良レイアウト方法が実現される。
【0045】
図10の統合セルCL1は保護回路10、20及び30をまとめた統合セルの例である。
図10にはXY面上における統合セルCL1の構成及び形状が示される。改良レイアウト方法を用いた設計を経て、統合セルCL1が実際に半導体チップ1内に形成されることで、半導体チップ1に保護回路10、20及び30が一体に設置される。
【0046】
統合セルCL1は領域R1a、R1b及びR1cを有する。XY面上において、領域R1a、R1b及びR1cは夫々に概略長方形の外形形状を持つ。領域R1aは保護回路10(従って保護素子11)が形成される半導体領域である。領域R1bは保護回路20(従って保護素子21)が形成される半導体領域である。保護セルR1cは保護回路30(従って素子31~35)が形成される半導体領域である。
【0047】
領域R1a及びR1bはX軸方向において互いに隣接する。領域R1bは領域R1aから見てX軸の正側に配置されるが、領域R1a及びR1b間の配置位置関係を逆にすることもできる。領域R1a及びR1cはY軸方向において互いに隣接する。領域R1b及びR1cはY軸方向において互いに隣接する。領域R1cから見て領域R1a及びR1bはY軸の正側に位置する。X軸方向において、領域R1cの長さは領域R1aの長さと領域R1bの長さとの和よりも大きい。このため、X軸方向において、領域R1a及びR1bの合成領域の長さよりも領域R1cの長さの方が大きい。但し、ここにおける長さの大小関係は様々に変更され得る。
【0048】
図10からは明らかではないが、統合セルCL1は配線W12、W13及びW23(
図8参照)も含む。更に統合セルCL1は共通ガードリングGR1を含む。
図10では、図示の便宜上、共通ガードリングGR1が設けられる領域をドットハッチング領域にて示している(後述の
図11、
図12、
図18及び
図19における共通ガードリングGR2、GR3及びGR4についても同様)。共通ガードリングGR1は、保護回路10へのガードリング、保護回路20へのガードリング及び保護回路30へのガードリングを包含する一体の共通ガードリングである。共通ガードリングGR1は、半導体チップ1の主面P1において、領域R1a、R1b及びR1cを一括して取り囲むガードリングである。従って、半導体チップ1の主面P1において共通ガードリングGR1の外形内に領域R1a、R1b及びR1cの各外形が収まる。共通ガードリングGR1は半導体チップ1の主面P1においてリング形状を持つ半導体領域である。即ち、Z軸の正側からZ軸に平行に主面P1を観測した場合(
図7参照)、共通ガードリングGR1はリング形状を有する。但し、ここにおけるリング形状は直線を含む形状であって良く、領域R1a、R1b及びR1cの合成領域の主面P1への投影図形を取り囲む形状であれば任意である。共通ガードリングGR1は半導体チップ1の主面P1に形成され、共通ガードリングGR1の少なくとも一部は主面P1から露出する。
【0049】
図11の統合セルCL2は保護回路10、20及び30をまとめた統合セルの他の例である。
図11にはXY面上における統合セルCL2の構成及び形状が示される。改良レイアウト方法を用いた設計を経て、統合セルCL2が実際に半導体チップ1内に形成されることで、半導体チップ1に保護回路10、20及び30が一体に設置される。
【0050】
統合セルCL2は領域R2a、R2b及びR2cを有する。XY面上において、領域R2a、R2b及びR2cは夫々に概略長方形の外形形状を持つ。領域R2aは保護回路10(従って保護素子11)が形成される半導体領域である。領域R2bは保護回路20(従って保護素子21)が形成される半導体領域である。保護セルR2cは保護回路30(従って素子31~35)が形成される半導体領域である。
【0051】
領域R2a及びR2bはX軸方向において互いに隣接する。領域R2bは領域R2aから見てX軸の正側に配置されるが、領域R2a及びR2b間の配置位置関係を逆にすることもできる。領域R2a及びR2cはY軸方向において互いに隣接する。領域R2b及びR2cはY軸方向において互いに隣接する。領域R2cから見て領域R2a及びR2bはY軸の負側に位置する。X軸方向において、領域R2cの長さは領域R2aの長さと領域R2bの長さとの和よりも大きい。このため、X軸方向において、領域R2a及びR2bの合成領域の長さよりも領域R2cの長さの方が大きい。但し、ここにおける長さの大小関係は様々に変更され得る。
【0052】
図11からは明らかではないが、統合セルCL2は配線W12、W13及びW23(
図8参照)も含む。更に統合セルCL2は共通ガードリングGR2を含む。共通ガードリングGR2は、保護回路10へのガードリング、保護回路20へのガードリング及び保護回路30へのガードリングを包含する一体の共通ガードリングである。共通ガードリングGR2は、半導体チップ1の主面P1において、領域R2a、R2b及びR2cを一括して取り囲むガードリングである。従って、半導体チップ1の主面P1において共通ガードリングGR2の外形内に領域R2a、R2b及びR2cの各外形が収まる。共通ガードリングGR2は半導体チップ1の主面P1においてリング形状を持つ半導体領域である。即ち、Z軸の正側からZ軸に平行に主面P1を観測した場合(
図7参照)、共通ガードリングGR2はリング形状を有する。但し、ここにおけるリング形状は直線を含む形状であって良く、領域R2a、R2b及びR2cの合成領域の主面P1への投影図形を取り囲む形状であれば任意である。共通ガードリングGR2は半導体チップ1の主面P1に形成され、共通ガードリングGR2の少なくとも一部は主面P1から露出する。
【0053】
図12の統合セルCL3は保護回路10、20及び30をまとめた統合セルの更に他の例である。
図12にはXY面上における統合セルCL3の構成及び形状が示される。改良レイアウト方法を用いた設計を経て、統合セルCL3が実際に半導体チップ1内に形成されることで、半導体チップ1に保護回路10、20及び30が一体に設置される。統合セルCL3における保護回路30は、
図13に示す如く、互いに同じ構成を持つ保護回路30_1及び30_2から成る。保護回路30_1及び30_2は夫々に
図4に示す保護回路30と同じものであって良い。
【0054】
統合セルCL3は領域R3a、R3b、R3c_1及びR3c_2を有する。XY面上において、領域R3a、R3b、R3c_1及びR3c_2は夫々に概略長方形の外形形状を持つ。領域R3aは保護回路10(従って保護素子11)が形成される半導体領域である。領域R3bは保護回路20(従って保護素子21)が形成される半導体領域である。保護セルR3c_1は保護回路30_1が形成される半導体領域であり、保護セルR3c_2は保護回路30_2が形成される半導体領域である。このため、保護セルR3c_1には保護回路30_1における素子31~35が形成され、保護セルR3c_2には保護回路30_2における素子31~35が形成される。
【0055】
領域R3a及びR3bはX軸方向において互いに隣接する。領域R3bは領域R3aから見てX軸の正側に配置されるが、領域R3a及びR3b間の配置位置関係を逆にすることもできる。
領域R3a及びR3c_1はY軸方向において互いに隣接する。領域R3b及びR3c_1はY軸方向において互いに隣接する。領域R3c_1から見て領域R3a及びR3bはY軸の正側に位置する。領域R3a及びR3c_2はY軸方向において互いに隣接する。領域R3b及びR3c_2はY軸方向において互いに隣接する。領域R3c_2から見て領域R3a及びR3bはY軸の負側に位置する。故に、領域R3c_1と領域R3c_2との間に領域R3a及びR3bが配置されると言える。
X軸方向において、領域R3c_1及びR3c_2の長さの夫々は、領域R3aの長さと領域R3bの長さとの和よりも大きい。このため、X軸方向において、領域R3a及びR3bの合成領域の長さよりも、領域R3c_1及びR3c_2の各長さの方が大きい。但し、ここにおける長さの大小関係は様々に変更され得る。
【0056】
図12からは明らかではないが、統合セルCL3は配線W12、W13及びW23(
図8参照)も含む。更に統合セルCL3は共通ガードリングGR3を含む。共通ガードリングGR3は、保護回路10へのガードリング、保護回路20へのガードリング及び保護回路30へのガードリングを包含する一体の共通ガードリングである。共通ガードリングGR3は、半導体チップ1の主面P1において、領域R3a、R3b、R3c_1及びR3c_2を一括して取り囲むガードリングである。従って、半導体チップ1の主面P1において共通ガードリングGR3の外形内に領域R3a、R3b、R3c_1及びR3c_2の各外形が収まる。共通ガードリングGR3は半導体チップ1の主面P1においてリング形状を持つ半導体領域である。即ち、Z軸の正側からZ軸に平行に主面P1を観測した場合(
図7参照)、共通ガードリングGR3はリング形状を有する。但し、ここにおけるリング形状は直線を含む形状であって良く、領域R3a、R3b、R3c_1及びR3c_2の合成領域の主面P1への投影図形を取り囲む形状であれば任意である。共通ガードリングGR3は半導体チップ1の主面P1に形成され、共通ガードリングGR3の少なくとも一部は主面P1から露出する。
【0057】
改良レイアウト方法において、内部回路40に対するサージ保護回路の構造を決定する際、改良レイアウトプログラムにて、統合セルCL1の構造が定義されたライブラリ、統合セルCL2の構造が定義されたライブラリ、及び、統合セルCL3の構造が定義されたライブラリの内、少なくとも1つが用意される。信号配線Wsに対して統合セルCL1、CL2又はCL3を割り当てる指示(換言すれば保護回路10、20及び30を統合セルCL1、CL2又はCL3にて構成する指示)を設計者としての操作者が上記コンピュータ装置に与えるだけで、改良レイアウトプログラムにより、半導体チップ1内における保護回路10、20及び30の構造が一括して決定される。
【0058】
統合セルCL1によりサージ保護回路を形成する場合、保護回路10、20及び30、配線W12、W13及びW23並びに共通ガードリングGR1の相対位置関係及びそれらの各構造は、統合セルCL1のライブラリで定義された通りとなり、一定である。同様に、統合セルCL2によりサージ保護回路を形成する場合、保護回路10、20及び30、配線W12、W13及びW23並びに共通ガードリングGR2の相対位置関係及びそれらの各構造は、統合セルCL2のライブラリで定義された通りとなり、一定である。同様に、統合セルCL3によりサージ保護回路を形成する場合、領域R3a、R3b、R3c_1及びR3c_2、配線W12、W13及びW23並びに共通ガードリングGR3の相対位置関係及びそれらの各構造は、統合セルCL3のライブラリで定義された通りとなり、一定である。
【0059】
このため、改良レイアウト方法によれば、設計ごとの配線インピーダンスのばらつきが抑制され、常に一定のサージ保護特性を保証することが容易となる。設計者の知識、経験又はスキルの差による設計品質のばらつきが抑制され、サージ保護設計の良し悪しに関するばらつきを抑制することができる。
【0060】
また、保護回路10、20及び30へのガードリングを共通化することにより、それらのガードリングを個別に設置する場合と比べて、サージ保護回路(10、20及び30)の実装面積を縮小することができる。
【0061】
半導体チップ1に複数の信号配線Wsが設けられていて良い。この場合、半導体チップ1において信号配線Wsごとにサージ保護回路が設けられる。各サージ保護回路は保護回路10、20及び30を有する。改良レイアウト方法では、半導体チップ1内における各サージ保護回路の構造が統合セルを単位に決定される。
【0062】
説明の具体化のため、
図14を参照し、半導体チップ1に2つの信号配線Wsとして信号配線Ws1及びWs2が設けられ且つ半導体チップ1に2つの信号パッドPsとして信号パッドPs1及びPs2が設けられる場合を考える。この場合、2つの信号端子TMsとして信号端子TMs1及びTMs2が半導体装置100に設けられる。半導体装置100の筐体CS内において、ワイヤボンディングにより、信号パッドPs1は信号端子TMs1に接続され、信号パッドPs2は信号端子TMs2に接続される。信号パッドPs1は信号配線Ws1に接続され、信号パッドPs2は信号配線Ws2に接続される。
【0063】
内部回路40は信号配線Ws1及びWs2に接続される。従って、内部回路40は信号配線Ws1を介して信号パッドPs1に接続され、信号配線Ws2を介して信号パッドPs2に接続される。また
図14では図示を省略するが、内部回路40は電源配線Wa及びグランド配線Wbに接続される。
【0064】
信号配線Ws1に対してサージ保護回路61が接続され、信号配線Ws2に対してサージ保護回路62が接続される。サージ保護回路61は信号配線Ws1に対する保護回路10、20及び30を有し、サージ保護回路62は信号配線Ws2に対する保護回路10、20及び30を有する。サージ保護回路61は、電源配線Wa、グランド配線Wb及び信号配線Ws1の内、2つの配線間に加わり得るサージ電圧から内部回路40を保護する。サージ保護回路62は、電源配線Wa、グランド配線Wb及び信号配線Ws2の内、2つの配線間に加わり得るサージ電圧から内部回路40を保護する。
図1等を参照して上述した、保護回路10、20及び30と他の配線、他の回路及びパッドとの接続状態を、基本接続状態と称する。
【0065】
信号配線Ws1に対する保護回路10、20及び30と他の配線、他の回路及びパッドとの接続状態は、基本接続状態と同様である。従って、信号配線Ws1に対する保護回路10は信号配線Ws1及び電源配線Waに接続され、信号配線Ws1に対する保護回路20は信号配線Ws1及びグランド配線Wbに接続され、信号配線Ws1に対する保護回路30は電源配線Wa及びグランド配線Wbに接続される。
【0066】
信号配線Ws2に対する保護回路10、20及び30と他の配線、他の回路及びパッドとの接続状態は、基本接続状態と同様である。従って、信号配線Ws2に対する保護回路10は信号配線Ws2及び電源配線Waに接続され、信号配線Ws2に対する保護回路20は信号配線Ws2及びグランド配線Wbに接続され、信号配線Ws2に対する保護回路30は電源配線Wa及びグランド配線Wbに接続される。
【0067】
図14の構成に対して改良レイアウト方法が適用されるとき、半導体チップ1内において、サージ保護回路61及び62の構造が統合セルを単位に決定される。即ち例えば、改良レイアウト方法において、サージ保護回路61を統合セルCL1により構成することを決定したならばサージ保護回路61の構造は統合セルCL1の構造そのものとなり、サージ保護回路62を統合セルCL1により構成することを決定したならばサージ保護回路62の構造は統合セルCL1の構造そのものとなる。統合セルCL2又はCL3についても同様である。
【0068】
改良レイアウト方法を用いた設計を経て、サージ保護回路61を含む統合セルとして統合セルCL1、CL2又はCL3が実際に半導体チップ1内に配置されることにより、半導体チップ1にサージ保護回路61が一体に設置される。改良レイアウト方法を用いた設計を経て、サージ保護回路62を含む統合セルとして統合セルCL1、CL2又はCL3が実際に半導体チップ1内に配置されることにより、半導体チップ1にサージ保護回路62が一体に設置される。
【0069】
サージ保護回路61及び62は互いに同じ構造を有していて良い。サージ保護回路61及び62が互いに同じ構造を有する場合、信号配線Ws1に対する保護回路10、20及び30間の相対位置関係は、信号配線Ws2に対する保護回路10、20及び30間の相対位置関係と同じである。
【0070】
即ち例えば、サージ保護回路61が第1の統合セルCL1により構成され且つサージ保護回路62が第2の統合セルCL1により構成される場合を考える。
図15は、
図14の構成において、サージ保護回路61及び62が夫々に統合セルCL1にて構成される様子を模式的に示している。尚、実際には半導体チップ1は多層構造を有しており、半導体チップ1において信号配線Ws1と第1の統合セルCL1の一部とは層間絶縁膜(不図膜)を介しZ軸方向に沿って互いに隣接していて良い。信号配線Ws2と第2の統合セルCL1についても同様である。第1の統合セルCL1の構造と第2の統合セルCL1の構造は同じであるから、第1の統合セルCL1における保護回路10、20及び30間の相対位置関係は、第2の統合セルCL1における保護回路10、20及び30間の相対位置関係と同じである。即ち、信号配線Ws1に対する保護回路10、20及び30間の相対位置関係は、信号配線Ws2に対する保護回路10、20及び30間の相対位置関係と同じとなる。
【0071】
信号配線Ws1及びWs2に対するサージ保護回路が統合セルCL2又はCL3により構成される場合も同様である。半導体チップ1に3以上の信号配線Wsが設けられる場合も同様である。半導体チップ1に複数の信号配線Wsが設けられる場合、当該複数の信号配線Wsの中に、互いに異なる種類の統合セルが割り当てられた2以上の信号配線Wsが混在していても良い。即ち例えば、サージ保護回路61が統合セルCL1により構成される場合において、サージ保護回路62は統合セルCL2又はCL3により構成されていても良い。
【0072】
共通ガードリング(GR1、GR2又はGR3)は比較的高い不純物領域を有する半導体領域として、半導体チップ1の主面P1に埋め込まれる。ガードリングの構成方法及び役割は周知であるが、共通ガードリングに関して説明を追加する。
図16に半導体チップ1の縦構造の例を示す。
図16では、半導体チップ1の縦構造の内、統合セルの形成部分のみを抜粋して示している。
図16において紙面の左右方向はX軸方向に相当するが、Y軸方向に相当していても良い。半導体チップ1において、P型の半導体基板610上にN側半導体領域であるウェル612が形成され、ウェル612の内部に素子領域614が形成される。素子領域614は、統合セル(CL1、CL2又はCL3)における保護回路10、20及び30が形成される領域である。
図16では素子領域614の表層が主面P1にて露出しているが、当該露出の有無は任意である。ウェル612の内部であって且つ素子領域614を取り囲む位置にN
+の半導体領域620が埋め込まれる。半導体領域620は半導体チップ1の主面P1に設けられ、半導体領域620の表層は主面P1から露出して良い。
【0073】
素子領域614にて統合セルCL1の保護回路10、20及び30が形成される場合、半導体領域620が共通ガードリングGR1に相当する。素子領域614にて統合セルCL2の保護回路10、20及び30が形成される場合、半導体領域620が共通ガードリングGR2に相当する。素子領域614にて統合セルCL3の保護回路10、20及び30が形成される場合、半導体領域620が共通ガードリングGR3に相当する。半導体領域620は電源パッドPa又は電源パッドPaと同電位を有するパッド又は配線に接続され、故に電源パッドPaと同電位を有する。従って、システム組み込み状態においてウェル612の電位が電源電圧VDDの電位にて固定される。結果、素子領域614で発生したノイズの半導体基板610への流入が抑止されるなど、半導体チップ1内の各回路の安定動作が図られる。
【0074】
尚、
図16の縦構造では、素子領域614が半導体基板610からフローティングする構造が採用されているが、半導体基板610上に素子領域614を直接形成するようにしても良い。この場合、半導体基板610内における、素子領域614を取り囲む位置にP
+の半導体領域を埋め込み、P
+の半導体領域を共通ガードリング(GR1、GR2又はGR3)として機能させて良い。ここにおけるP
+の半導体領域はグランドパッドPb又はグランドパッドPbと同電位を有するパッド又は配線に接続され、故にグランドパッドPbと同電位を有する。
【0075】
<<第2実施例>>
第2実施例を説明する。上述したように半導体チップ1に複数の信号配線Wsが設けられていても良い。第2実施例に係る半導体チップ1を、説明の具体化のため、半導体チップ1Aと称する。
図17に半導体チップ1Aの概略構成を示す。第2実施例に係る半導体装置100は半導体チップ1Aを半導体チップ1として有する。第2実施例及び後述の第3実施例は第1実施例を基礎とする実施例である。第2実施例において特に述べない事項に関しては、矛盾の無い限り、第1実施例の記載が第2実施例にも適用され、この適用の際、第1実施例の記述における半導体チップ1は半導体チップ1Aに読み替えられる。第2実施例の記載を解釈するにあたり、第1及び第2実施例間で矛盾する事項については第2実施例の記載が優先されて良い(後述の第3実施例についても同様)。
【0076】
半導体チップ1Aには、2つの信号配線Wsとして信号配線Ws1及びWs2が設けられ、且つ、2つの信号パッドPsとして信号パッドPs1及びPs2が設けられる。半導体チップ1Aを含む半導体装置100の筐体CS内において、ワイヤボンディングにより、信号パッドPs1、信号パッドPs2、電源パッドPa、グランドパッドPbは、夫々、信号端子TMs1、信号端子TMs2、電源端子TMa、グランド端子TMbに接続される。信号端子TMs1及びTMs2は半導体装置100に設けられる2つの信号端子TMsである。
【0077】
信号パッドPs1は信号配線Ws1に接続され、信号パッドPs2は信号配線Ws2に接続される。また既に述べたように電源パッドPaは電源配線Waに接続され、グランドパッドPbはグランド配線Wbに接続される。
【0078】
内部回路40は信号配線Ws1及びWs2に接続される。従って、内部回路40は信号配線Ws1を介して信号パッドPs1に接続され、信号配線Ws2を介して信号パッドPs2に接続される。また既に述べたように内部回路40は電源配線Wa及びグランド配線Wbに接続される。
【0079】
半導体チップ1Aでは信号配線ごとに保護回路10及び20の組が設けられる。信号配線Ws1に対して設けられた保護回路10及び20を保護回路10_1及び20_1と称し、信号配線Ws2に対して設けられた保護回路10及び20を保護回路10_2及び20_2と称する。保護回路10_1及び10_2は夫々に上述の保護回路10と同じ構成を持つ(例えば
図4の保護回路10と同じ構成を持つ)。保護回路20_1及び20_2は夫々に上述の保護回路20と同じ構成を持つ(例えば
図4の保護回路20と同じ構成を持つ)。
【0080】
保護回路10_1は電源配線Wa及び信号配線Ws1に接続される。保護回路20_1はグランド配線Wb及び信号配線Ws1に接続される。保護回路10_2は電源配線Wa及び信号配線Ws2に接続される。保護回路20_2はグランド配線Wb及び信号配線Ws2に接続される。
【0081】
半導体チップ1Aでは信号配線Ws1及びWs2に対して1つの保護回路30が設けられる。即ち、1つの保護回路30が信号配線Ws1及びWs2に対する保護回路として共用される。半導体チップ1Aにおける保護回路30の構成は上述したと通りである、例えば半導体チップ1Aの保護回路30は
図4の保護回路30と同じ構成を持つ。保護回路30は電源配線Wa及びグランド配線Wbに接続される。
【0082】
保護回路10_1、20_1及び30は内部回路40をサージ電圧から保護するための第1のサージ保護回路を構成する。第1のサージ保護回路は、電源配線Wa、グランド配線Wb及び信号配線Ws1の内、2つの配線間に加わり得るサージ電圧から内部回路40を保護する。保護のための動作は
図5等を参照して上述した通りである。
【0083】
保護回路10_2、20_2及び30は内部回路40をサージ電圧から保護するための第2のサージ保護回路を構成する。第2のサージ保護回路は、電源配線Wa、グランド配線Wb及び信号配線Ws2の内、2つの配線間に加わり得るサージ電圧から内部回路40を保護する。保護のための動作は
図5等を参照して上述した通りである。
【0084】
第2実施例に係る改良レイアウト方法では、保護回路10_1、20_1、10_2、20_2及び30をまとめた統合セルを設定し、統合セルを単位に、半導体チップ1A内における第1及び第2のサージ保護回路の構造を決定する。即ち、改良レイアウト方法において、第1及び第2のサージ保護回路を統合セルCL4により構成することを決定したならば第1及び第2のサージ保護回路の構造は統合セルCL4の構造そのものとなる。
【0085】
図18にはXY面上における統合セルCL4の構成及び形状が示される。改良レイアウト方法を用いた設計を経て、統合セルCL4が実際に半導体チップ1A内に形成されることで、半導体チップ1Aに保護回路10_1、20_1、10_2、20_2及び30が一体に設置される。
【0086】
統合セルCL4は領域R4a_1、R4b_1、R4a_2、R4b_2及びR4cを有する。XY面上において、領域R4a_1、R4b_1、R4a_2、R4b_2及びR4cは夫々に概略長方形の外形形状を持つ。領域R4a_1は保護回路10_1(従って保護回路10_1内の保護素子11)が形成される半導体領域である。領域R4b_1は保護回路20_1(従って保護回路20_1内の保護素子21)が形成される半導体領域である。領域R4a_2は保護回路10_2(従って保護回路10_2内の保護素子11)が形成される半導体領域である。領域R4b_2は保護回路20_2(従って保護回路20_2内の保護素子21)が形成される半導体領域である。保護セルR4cは保護回路30(従って素子31~35)が形成される半導体領域である。
【0087】
領域R4a_1及びR4b_1はX軸方向において互いに隣接する。領域R4b_1は領域R4a_1から見てX軸の正側に配置されるが、領域R4a_1及びR4b_1間の配置位置関係を逆にすることもできる。領域R4a_2及びR4b_2はX軸方向において互いに隣接する。領域R4b_2は領域R4a_2から見てX軸の正側に配置されるが、領域R4a_2及びR4b_2間の配置位置関係を逆にすることもできる。領域R4a_1及びR4a_2は互いに同じ大きさ及び形状を持つ。領域R4b_1及びR4b_2は互いに同じ大きさ及び形状を持つ。
【0088】
領域R4a_1及びR4b_1の合成領域を合成領域Rab1と称し、領域R4a_2及びR4b_2の合成領域を合成領域Rab2と称する。合成領域Rab1は合成領域Rab2から見てY軸の正側に配置される。合成領域Rab1から見てY軸の負側に領域R4cが配置され、且つ、合成領域Rab2から見てY軸の正側に領域R4cが配置される。
【0089】
即ち、合成領域Rab1と合成領域Rab2と領域R4cとはY軸方向に沿って並んで配置され、且つ、合成領域Rab1と合成領域Rab2との間に領域R4cが配置される。この際、合成領域Rab1の中心と合成領域Rab2の中心とを結ぶ線分の中点は、領域R4c内に位置する。合成領域Rab1と合成領域Rab2のちょうど中間の位置に領域R4cが配置されると良い。即ち、領域R4c及び合成領域Rab1間の距離d1は、領域R4c及び合成領域Rab2間の距離d2と等しいと良い。距離d1は、詳細には、領域R4c及び合成領域Rab1間の最短距離(領域R4cの端部から合成領域ab1の端部に至るまでの距離の内、最小の距離)を指すと解される。距離d2は、詳細には。領域R4c及び合成領域Rab2間の最短距離(領域R4cの端部から合成領域ab2の端部に至るまでの距離の内、最小の距離)を指すと解される。
【0090】
合成領域Rab1の構造と合成領域Rab2の構造とは互いに面対称の関係を有していて良い。換言すれば、保護回路10_1及び20_1の組の構造と保護回路10_2及び20_2の組の構造とは互いに面対称の関係を有していて良い。この際、面対称の対称面はX軸及びZ軸に平行な面であって且つ領域R3cを交差する(詳細には領域R3cの中心を通ると良い)。
【0091】
X軸方向において、領域R4cの長さは、領域R4a_1の長さと領域R4b_1の長さとの和よりも大きく、領域R4a_2の長さと領域R4b_2の長さとの和よりも大きい。このため、X軸方向において、合成領域Rab1の長さよりも領域R4cの長さの方が大きく、合成領域Rab2の長さよりも領域R4cの長さの方が大きい。但し、ここにおける長さの大小関係は様々に変更され得る。
【0092】
図18からは明らかではないが、統合セルCL4は以下の第1~第6配線を含む。
第1配線は、電源配線Waの内、保護回路10_1及び30間を接続する配線である。第2配線は、電源配線Waの内、保護回路10_2及び30間を接続する配線である。第1配線と第2配線は部分的に重複しうる。
第3配線は、グランド配線Wbの内、保護回路20_1及び30間を接続する配線である。第4配線は、グランド配線Wbの内、保護回路20_2及び30間を接続する配線である。第3配線と第4配線は部分的に重複しうる。
第5配線は保護回路10_1及び20_1間を接続する配線である。第6配線は保護回路10_2及び20_2間を接続する配線である。
【0093】
更に統合セルCL4は共通ガードリングGR4を含む。共通ガードリングGR4は、保護回路10_1へのガードリング、保護回路20_1へのガードリング、保護回路10_2へのガードリング、保護回路20_2へのガードリング及び保護回路30へのガードリングを包含する一体のガードリングである。共通ガードリングGR4は、半導体チップ1Aの主面P1において、領域R4a_1、R4b_1、R4a_2、R4b_2及びR4cを一括して取り囲む共通ガードリングである。従って、半導体チップ1Aの主面P1において共通ガードリングGR4の外形内に領域R4a_1、R4b_1、R4a_2、R4b_2及びR4cの各外形が収まる。共通ガードリングGR4は半導体チップ1Aの主面P1においてリング形状を持つ半導体領域である。即ち、Z軸の正側からZ軸に平行に主面P1を観測した場合(
図7参照)、共通ガードリングGR4はリング形状を有する。但し、ここにおけるリング形状は直線を含む形状であって良く、領域R4a_1、R4b_1、R4a_2、R4b_2及びR4cの合成領域の主面P1への投影図形を取り囲む形状であれば任意である。共通ガードリングGR4は半導体チップ1Aの主面P1に形成され、共通ガードリングGR4の少なくとも一部は主面P1から露出する。
【0094】
改良レイアウト方法において、内部回路40に対するサージ保護回路の構造を決定する際、改良レイアウトプログラムにて統合セルCL4の構造が定義されたライブラリが用意される。信号配線Ws_1、Ws_2に対して統合セルCL4を割り当てる指示(換言すれば保護回路10_1、10_2、20_1、20_2及び30を統合セルCL4にて構成する指示)を設計者としての操作者が上記コンピュータ装置に与えるだけで、改良レイアウトプログラムにより、半導体チップ1A内における保護回路10_1、10_2、20_1、20_2及び30の構造が一括して決定される。
【0095】
統合セルCL4によりサージ保護回路を形成する場合、保護回路10_1、20_1、10_2、20_2及び30、第1~第6配線並びに共通ガードリングGR4の相対位置関係及びそれらの各構造は、統合セルCL4のライブラリで定義された通りとなり、一定である。また第1実施例と同様にガードリングの共通化が図られる。故に第1実施例で述べたものと同様の作用及び効果が得られる。また信号配線Ws1及びWs2に対して保護回路30が共用されるため、回路実装面積の縮小に繋がる。
【0096】
加えて、統合セルCL4によれば、サージ電流に対する配線インピーダンスを信号配線Ws1及びWs2の双方に対してバランス良く低減することができる。これについて、
図19を参照して説明する。
図19は、
図18に示す統合セルCL4に対して信号配線Ws1及びWs2を重ね合わせて示した図である。半導体チップ1Aは多層構造を有する。半導体チップ1Aにおいて、信号配線Ws1及びWs2と統合セルCL4の一部とは層間絶縁膜(不図膜)を介しZ軸方向に沿って互いに隣接していて良い。ここでは、信号配線Ws1及びWs2は共にX軸方向に伸びる配線であるものとし、信号配線Ws1及びWs2はY軸方向において互いに離間する。
【0097】
今、信号配線Ws1及びWs2並びに領域R4a_1、R4b_1、R4a_2、R4b_2及びR4cの各形状を、XY面に平行な仮想投影面に投影することを想定する。そうすると、仮想投影面において、信号配線Ws1は領域R4a_1及びR4b_1と重なり合う位置に配置され、信号配線Ws2は領域R4a_2及びR4b_2と重なり合う位置に配置され、信号配線Ws1と信号配線Ws2との間に領域R4cが位置する。この際、信号配線Ws1及び領域R4c間の距離(最短距離)と信号配線Ws2及び領域R4c間の距離(最短距離)とが等しいと良い。そうすると、信号配線Ws1に対する第1のサージ保護回路の構造と、信号配線Ws2に対する第2のサージ保護回路の構造とは、互いに等しくなり、均等な保護特性が得られる。
【0098】
半導体チップ1Aに信号配線Ws1及びWs2の組が複数設けられていて良い。この場合には、信号配線Ws1及びWs2の組ごとに統合セルCL4を割り当てることができる。
【0099】
<<第3実施例>>
第3実施例を説明する。
【0100】
第1又は第2実施例において、信号配線Ws1及びWs2は任意の2つの信号を伝搬するための信号配線であって良い。例えば、信号配線Ws1及びWs2はUSB(Universal Serial Bus)における第1信号及び第2信号を伝搬するための信号配線であって良い。或いは例えば、信号配線Ws1及びWs2はLVDS(Low voltage differential signaling)における第1信号及び第2信号を伝搬するための信号配線であって良い。
【0101】
不都合が生じない限り、上述の任意のトランジスタは、任意の種類のトランジスタであって良い。例えば、MOSFETとして上述された任意のトランジスタを、不都合が生じない限り、接合型FET、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)又はバイポーラトランジスタに置き換えることも可能である。任意のトランジスタは第1電極、第2電極及び制御電極を有する。FETにおいては、第1及び第2電極の内の一方がドレインで他方がソースであり且つ制御電極がゲートである。IGBTにおいては、第1及び第2電極の内の一方がコレクタで他方がエミッタであり且つ制御電極がゲートである。IGBTに属さないバイポーラトランジスタにおいては、第1及び第2電極の内の一方がコレクタで他方がエミッタであり且つ制御電極がベースである。
【0102】
本開示の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本開示の実施形態の例であって、本開示ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
【0103】
<<付記>>
上述の実施形態にて具体的構成例が示された本開示について付記を設ける。
【0104】
本開示の一側面に係る半導体装置は(
図17~
図19参照)、半導体チップ(1A)を有する半導体装置(100)であって、前記半導体チップにおいて、互いに異なる電位を有するよう構成された第1電源配線(Wa)及び第2電源配線(Wb)と、信号を伝搬するよう構成された信号配線(Ws)と、前記第1電源配線、前記第2電源配線及び前記信号配線に接続される被保護回路(40)と、前記第1電源配線、前記第2電源配線及び前記信号配線の内、2つの配線間に加わるサージ電圧から、前記被保護回路を保護するよう構成されたサージ保護回路と、が形成され、前記サージ保護回路は、前記第1電源配線及び前記信号配線に接続される第1保護回路(10)と、前記第2電源配線及び前記信号配線に接続される第2保護回路(20)と、前記第1電源配線及び前記第2電源配線に接続される第3保護回路(30)と、を有し、前記信号配線は第1信号配線及び第2信号配線(Ws1及びWs2)を含み、前記サージ保護回路は、前記第1信号配線に対する前記第1保護回路及び前記第2保護回路の組(10_1及び20_1)と、前記第2信号配線に対する前記第1保護回路及び前記第2保護回路の組(10_2及び20_2)と、を個別に有し、且つ、前記第1信号配線及び前記第2信号配線に対して共通の前記第3保護回路を有し、前記第1信号配線に対する前記第1保護回路及び前記第2保護回路が形成される第1領域(Rab1)と、前記第2信号配線に対する前記第1保護回路及び前記第2保護回路が形成される第2領域(Rab2)と、の間に、前記共通の前記第3保護回路を形成される第3領域(R4c)を配置した構成(第1の構成)である。
【0105】
これにより、第1及び第2信号配線に対して均質な保護特性を得ることが可能となる。また第1及び第2信号配線に対して第3保護回路が共用されるため、回路実装面積の縮小に繋がる。
【0106】
上記第1の構成に係る半導体装置において、前記第1領域の中心と前記第2領域の中心とを結ぶ線分の中点は、前記第3領域内に位置する構成(第2の構成)であっても良い。
【0107】
上記第2の構成に係る半導体装置において、前記第3領域と前記第1領域との距離(d1)は、前記第3領域と前記第2領域との距離(d2)と等しい構成(第3の構成)であっても良い。
【0108】
上記第1~第3の構成の何れかに係る半導体装置において、前記第1信号配線に対する前記第1保護回路及び前記第2保護回路へのガードリングと、前記第2信号配線に対する前記第1保護回路及び前記第2保護回路へのガードリングと、前記共通の前記第3保護回路へのガードリングと、を包含する一体の共通ガードリング(GR4)を備える構成(第4の構成)であっても良い。
【0109】
ガードリングの共通化によりサージ保護回路の実装面積を縮小することができる。
【0110】
上記第4の構成に係る半導体装置において、前記共通ガードリングは、前記半導体チップの主面において、前記第1領域、前記第2領域及び前記第3領域を一括して取り囲むガードリングである構成(第5の構成)であっても良い。
【0111】
本開示の他の一側面に係る方法は(例えば
図1、
図10~
図12参照)、半導体チップ(1、A)を有する半導体装置(100)のレイアウト方法であって、前記半導体チップにおいて、互いに異なる電位を有するよう構成された第1電源配線(Wa)及び第2電源配線(Wb)と、信号を伝搬するよう構成された信号配線(Ws)と、前記第1電源配線、前記第2電源配線及び前記信号配線に接続される被保護回路(40)と、前記第1電源配線、前記第2電源配線及び前記信号配線の内、2つの配線間に加わるサージ電圧から、前記被保護回路を保護するよう構成されたサージ保護回路と、が形成され、前記サージ保護回路は、前記第1電源配線及び前記信号配線に接続される第1保護回路(10)と、前記第2電源配線及び前記信号配線に接続される第2保護回路(20)と、前記第1電源配線及び前記第2電源配線に接続される第3保護回路(30)と、を有し、当該レイアウト方法において、前記第1保護回路、前記第2保護回路及び前記第3保護回路をまとめた統合セル(例えばCL1)を設定し、前記統合セルを単位に、前記半導体チップ内における前記サージ保護回路の構造を決定する構成(第6の構成)である。
【0112】
これにより、設計ごとの配線インピーダンスのばらつきが抑制され、常に一定のサージ保護特性を保証することが容易となる。設計者の知識、経験又はスキルの差による設計品質のばらつきが抑制され、サージ保護設計の良し悪しに関するばらつきを抑制することができる。
【0113】
上記第6の構成に係る半導体装置のレイアウト方法において、前記半導体チップに前記信号配線が複数備えられる場合、前記信号配線ごとに前記サージ保護回路が前記半導体チップ内に配置され、前記半導体チップ内における各サージ保護回路の構造を、前記統合セルを単位に決定する構成(第7の構成)であっても良い。
【0114】
本開示の更に他の一側面に係る半導体装置は(例えば
図1、
図10~
図12参照)、半導体チップ(1、1A)を有する半導体装置(100)であって、前記半導体チップにおいて、互いに異なる電位を有するよう構成された第1電源配線(Wa)及び第2電源配線(Wb)と、信号を伝搬するよう構成された信号配線(Ws)と、前記第1電源配線、前記第2電源配線及び前記信号配線に接続される被保護回路(40)と、前記第1電源配線、前記第2電源配線及び前記信号配線の内、2つの配線間に加わるサージ電圧から、前記被保護回路を保護するよう構成されたサージ保護回路と、が形成され、前記サージ保護回路は、前記第1電源配線及び前記信号配線に接続される第1保護回路(10)と、前記第2電源配線及び前記信号配線に接続される第2保護回路(20)と、前記第1電源配線及び前記第2電源配線に接続される第3保護回路(30)と、を有し、前記半導体チップにおいて、前記第1保護回路へのガードリングと、前記第2保護回路へのガードリングと、前記第3保護回路へのガードリングと、を包含する一体の共通ガードリング(例えばGR1)を設けた構成(第8の構成)である。
【0115】
ガードリングの共通化によりサージ保護回路の実装面積を縮小することができる。
【0116】
上記第8の構成に係る半導体装置において、前記共通ガードリング(例えばGR1)は、前記半導体チップの主面において、前記第1保護回路が形成される第1領域(例えばR1a)と、前記第2保護回路が形成される第2領域(例えばR1b)と、前記第3保護回路が形成される第3領域(例えばR1c)と、を一括して取り囲むガードリングである構成(第9の構成)であっても良い。
【0117】
本開示の更に他の一側面に係る半導体装置は(例えば
図1、
図10~
図15参照)、半導体チップを有する半導体装置であって、前記半導体チップにおいて、互いに異なる電位を有するよう構成された第1電源配線(Wa)及び第2電源配線(Wb)と、信号を伝搬するよう構成された信号配線(Ws)と、前記第1電源配線、前記第2電源配線及び前記信号配線に接続される被保護回路(40)と、前記第1電源配線、前記第2電源配線及び前記信号配線の内、2つの配線間に加わるサージ電圧から、前記被保護回路を保護するよう構成されたサージ保護回路と、が形成され、前記サージ保護回路は、前記第1電源配線及び前記信号配線に接続される第1保護回路(10)と、前記第2電源配線及び前記信号配線に接続される第2保護回路(20)と、前記第1電源配線及び前記第2電源配線に接続される第3保護回路(30)と、を有し、前記信号配線は複数設けられ、前記信号配線ごとに前記サージ保護回路が設けられ、複数の信号配線(Ws1、Ws2)に対する複数のサージ保護回路(61、62)は互いに同じ構造を有し、前記第1保護回路、前記第2保護回路及び前記第3保護回路間の相対位置関係は、前記複数のサージ保護回路間で互いに同じである構成(第10の構成)である。
【0118】
これにより、複数の信号配線に対して均質な保護特性を得ることが可能となる。
【符号の説明】
【0119】
1、1A 半導体チップ
10、20、30 保護回路
10_1、10_2、20_1、20_2、30_1、30_2 保護回路
11、21 保護ダイオード
31 抵抗
32 コンデンサ
33~35 トランジスタ
40 内部回路
61、62 サージ保護回路
Pa、電源パッド
Pb グランドパッド
Ps、Ps1、Ps2 信号パッド
Wa 電源配線
Wb グランド配線
Ws、Ws1、Ws2 信号配線
W12、W13、W23 配線
TMa、電源端子
TMb グランド端子
TMs、TMs1、TMs2 信号端子
VS 電圧源
VDD 電源電圧
Za、Zb 配線インピーダンス
P1、P2 主面
CS 筐体
100 半導体装置
CLa、CLb、CLc 保護セル
CL1、CL2、CL3、CL4 統合セル
GR1、GR2、GR3、GR4 共通ガードリング
R1a~R1c、R2a~R2c、R3a、R3b、R3c_1、R3c_2 領域
R4a_1、R4b_1、R4a_2、R4b_2、R4c 領域
Rab1、Rab2 合成領域
d1、d2 距離
610 半導体基板
612 ウェル
614 素子領域
620 半導体領域