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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141387
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】投射型表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20241003BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20241003BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20241003BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20241003BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 611E
G09G3/20 641P
G09G3/20 680C
G03B21/00 D
G02F1/133 550
H04N5/74 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052995
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小室 佑介
(72)【発明者】
【氏名】水迫 和久
(72)【発明者】
【氏名】青木 透
【テーマコード(参考)】
2H193
2K203
5C006
5C058
5C080
【Fターム(参考)】
2H193ZA04
2H193ZB06
2H193ZC39
2H193ZD37
2H193ZF19
2H193ZG16
2H193ZH44
2H193ZH53
2H193ZQ11
2H193ZR04
2K203FA03
2K203FA23
2K203FA34
2K203FA42
2K203FA62
2K203GB26
2K203GB45
2K203GB69
2K203HA57
2K203KA35
2K203MA09
5C006AA22
5C006AF44
5C006AF45
5C006AF46
5C006BB16
5C006BC03
5C006BC06
5C006BC11
5C006BF04
5C006EC11
5C006FA22
5C006FA23
5C058BA35
5C058EA02
5C080AA10
5C080BB05
5C080CC03
5C080DD05
5C080DD06
5C080DD07
5C080EE28
5C080FF11
5C080FF12
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C080JJ05
5C080JJ06
(57)【要約】
【課題】配向不良に起因するフリッカーを抑える。
【解決手段】投射型表示装置は、パネル画素を有する液晶パネルと、パネル画素から投射された投射画素を、1フレーム期間に含まれる、第1単位期間から第4単位期間までの4個の単位期間毎にシフトする光路シフト素子と、液晶パネルおよび光路シフト素子を制御する表示制御回路と、を含む。表示制御回路は、隣り合う2つのパネル画素p11、p12に対応する画素データの階調レベルの差が、例えば、単位期間1-2において閾値以上であれば、前の単位期間1-1においてパネル画素p12に対応する映像画素C12の階調レベル、または、単位期間1-1から4単位期間経過後の単位期間2-1においてパネル画素p11に対応する映像画素C12の階調レベル、の少なくともどちらか一方を、パネル画素の輝度差を小さくするように補正する。
【選択図】図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル画素を有する液晶パネルと、
前記パネル画素から投射された投射画素の位置を、1フレーム期間に含まれる、第1単位期間から第k(kは2以上の整数)単位期間までのk個の単位期間毎にシフトする光路シフト素子と、
前記液晶パネルおよび前記光路シフト素子を制御する表示制御回路と、
を含み、
前記表示制御回路は、
映像データを構成する画素データで指定される階調レベルに対応したデータ信号を前記単位期間毎に前記パネル画素に供給し、
前記光路シフト素子に対し、前記投射画素の位置のシフトを前記単位期間毎に制御し、
第1フレーム期間における投射画素の位置と、前記第1フレーム期間後の第2フレーム期間における投射画素の位置と、が異なる位置を含むように前記光路シフト素子を制御し、
前記第1フレーム期間において、隣り合う第1パネル画素に対応する画素データの階調レベルと第2パネル画素に対応する画素データの階調レベルとの差が一の単位期間において閾値以上であるとき、
当該一の単位期間の次の単位期間において前記第1パネル画素に対応する第1画素データの階調レベル、または、
前記第2フレーム期間において前記第1画素データが供給されるパネル画素に対応する第2画素データの階調レベル
の少なくともどちらか一方を、
前記次の単位期間における前記第1画素データが供給されるパネル画素の輝度と、前記第2フレーム期間において前記第2画素データが供給されるパネル画素の輝度と、の差を小さくするように補正する
投射型表示装置。
【請求項2】
前記表示制御回路は、
前記次の単位期間において前記第1画素データの階調レベルを補正し、
前記第2フレーム期間において前記第2画素データの階調レベルを補正しない
請求項1に記載の投射型表示装置。
【請求項3】
前記表示制御回路は、
前記次の単位期間において前記第1画素データの階調レベルを補正せず、
前記第2フレーム期間において前記第2画素データの階調レベルを補正する
請求項1に記載の投射型表示装置。
【請求項4】
前記表示制御回路は、
前記次の単位期間において前記第1画素データの階調レベルを補正し、
前記第2フレーム期間において前記第2画素データの階調レベルを補正する
請求項1に記載の投射型表示装置。
【請求項5】
前記第1フレーム期間において、前記第1パネル画素に供給される画素データの階調レベルと前記第2パネル画素に供給される画素データの階調レベルとの差が一の単位期間において閾値以上であり、かつ、前記第1パネル画素に供給される画素データの階調レベルが前記第2パネル画素に供給される画素データの階調レベルよりも高いとき、
前記第1画素データは、前記第1フレーム期間において前記第1パネル画素に供給され、
前記第2画素データは、前記第2フレーム期間において前記第1パネル画素に供給される、
請求項1に記載の投射型表示装置。
【請求項6】
前記表示制御回路は、
前記第1フレーム期間における第1単位期間および前記第2フレーム期間における第1単位期間において、それぞれ同一の画素データに対応したデータ信号を前記液晶パネルに供給し、前記投射画素の位置が同位置になるように制御し、
前記第1フレーム期間における前記第1単位期間以外の単位期間の投射画素の各位置と、前記第2フレーム期間における前記第1単位期間以外の単位期間の投射画素の各位置と、がそれぞれ異なるように前記光路シフト素子を制御する
請求項1乃至5のいずれかに記載の投射型表示装置。
【請求項7】
前記表示制御回路は、
前記第1フレーム期間の第2単位期間から第k単位期間までにおいてシフト前の投射画素の位置からシフト後の投射画素の位置に向かうシフト方向が前記第2フレーム期間の第2単位期間から第k単位期間までにおいてシフト前の投射画素の位置からシフト後の投射画素の位置に向かうシフト方向と反対方向になるように前記光路シフト素子を制御する
請求項6に記載の投射型表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投射型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーン等に、液晶パネルなどにより作成された画像光を投射する投射型表示装置において、光路シフト素子によって解像度を擬似的に高める技術が知られている。詳細には、投射型表示装置では、1フレーム期間が複数の単位期間に分けられ、液晶パネルにおける1つのパネル画素の投射位置が、当該複数の単位期間毎にシフトされて映像データにおける複数の画素データで指定された階調レベルを表現する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-107984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記技術では、ある単位期間において液晶素子への印加電圧が高いパネル画素と、印加電圧が低いパネル画素とが隣り合うと、以後において、当該配向不良に起因してフリッカーが発生する、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る投射型表示装置は、ひとつの態様(態様1)に係る投射型表示装置は、パネル画素を有する液晶パネルと、前記パネル画素から投射された投射画素の位置を、1フレーム期間に含まれる、第1単位期間から第k(kは2以上の整数)単位期間までのk個の単位期間毎にシフトする光路シフト素子と、前記液晶パネルおよび前記光路シフト素子を制御する表示制御回路と、を含み、前記表示制御回路は、映像データを構成する画素データで指定される階調レベルに対応したデータ信号を前記単位期間毎に前記パネル画素に供給し、前記光路シフト素子に対し、前記投射画素の位置のシフトを前記単位期間毎に制御し、第1フレーム期間における投射画素の位置と、前記第1フレーム期間後の第2フレーム期間における投射画素の位置と、が異なる位置を含むように前記光路シフト素子を制御し、前記第1フレーム期間において、隣り合う第1パネル画素に対応する画素データの階調レベルと第2パネル画素に対応する画素データの階調レベルとの差が一の単位期間において閾値以上であるとき、当該一の単位期間の次の単位期間において前記第1パネル画素に対応する第1画素データの階調レベル、または、前記第2フレーム期間において前記第1画素データが供給されるパネル画素に対応する第2画素データの階調レベルの少なくともどちらか一方を、前記次の単位期間における前記第1画素データが供給されるパネル画素の輝度と、前記第2フレーム期間において前記第2画素データが供給されるパネル画素の輝度と、の差を小さくするように補正する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る投射型表示装置を示す図である。
図2】投射型表示装置の構成を示すブロック図である。
図3】投射型表示装置における液晶パネルの構成を示す斜視図である。
図4】液晶パネルの構造を示す断面図である。
図5】液晶パネルの電気的な構成を示すブロック図である。
図6】液晶パネルにおける画素回路の構成を示す図である。
図7】投射型表示装置におけるフレーム期間と単位期間とを示す図である。
図8】光路シフト素子の動作を示す図である。
図9】画素データの配列とパネル画素の配列との関係等を示す図である。
図10】実施形態において各フレーム期間における画素データとパネル画素との対応関係を示す図である。
図11】実施形態においてパネル画素に供給される画素データの順番を示す図である。
図12】実施形態において奇数フレーム期間の映像画素とパネル画素と投射位置との関係を示す図である。
図13】実施形態において偶数フレーム期間の映像画素とパネル画素と投射位置との関係を示す図である。
図14】画素の変化を示す図である。
図15】配向不良を示す図である。
図16】映像データにおける映像画素の一例を示す図である。
図17】映像画像を表示する場合における奇数フレーム期間の映像画素とパネル画素と投射位置との関係を示す図である。
図18】映像画像を表示する場合における偶数フレーム期間の映像画素とパネル画素と投射位置との関係を示す図である。
図19】実施形態における補正を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の電気光学装置について図面を参照して説明する。なお、各図において、各部の寸法および縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本開示の範囲は、以下の説明において特に本開示を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0008】
図1は、実施形態に係る投射型表示装置1の光学的な構成を示す図である。図に示されるように、投射型表示装置1は、液晶パネル100R、100Gおよび100Bを含む。また、投射型表示装置1の内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット2102が設けられている。このランプユニット2102から射出された投射光は、内部に配置された3枚のミラー2106および2枚のダイクロイックミラー2108によって、赤(R)、緑(G)および青(B)の3原色に分離される。このうち、Rの光は液晶パネル100Rに、Gの光は液晶パネル100Gに、Bの光は液晶パネル100Bに、それぞれ入射する。
なお、Bの光路は、Rの光路およびGの光路と比較して長いので、Bの光路での損失を防ぐ必要がある。このため、Bの光路には、入射レンズ2122、リレーレンズ2123および出射レンズ2124からなるリレーレンズ系2121が設けられる。
【0009】
液晶パネル100Rは、複数の画素回路を有する。複数の画素回路の各々は、それぞれ液晶素子を含む。液晶パネル100Rの液晶素子は、後述するようにRに対応するデータ信号に基づいて駆動されることによって、当該データ信号の電圧に応じた透過率となる。
このため、液晶パネル100Rでは、液晶素子の透過率を個別に制御することによって、Rの透過像が生成される。同様に、液晶パネル100Gでは、Gに対応するデータ信号に基づいてGの透過像が生成され、液晶パネル100Bでは、Bに対応するデータ信号に基づいてBの透過像が生成される。
【0010】
液晶パネル100R、100Gおよび100Bによってそれぞれ生成された各色の透過像は、ダイクロイックプリズム2112に三方向から入射する。ダイクロイックプリズム2112において、RおよびBの光は90度に屈折する一方、Gの光は直進する。したがって、ダイクロイックプリズム2112が各色の画像を合成する。ダイクロイックプリズム2112による合成像は光路シフト素子230を介して投射レンズ2114に入射する。
投射レンズ2114は、光路シフト素子230を介した合成像を、スクリーンScrに拡大して投射する。
【0011】
光路シフト素子230は、ダイクロイックプリズム2112から出射される合成像をシフトする。詳細には、光路シフト素子230は、スクリーンScrに投射される画像を、投射面に対し左右方向または/および上下方向にシフトする。
【0012】
なお、液晶パネル100R、100Bによる透過像は、ダイクロイックプリズム2112により反射した後に投射されるのに対し、液晶パネル100Gによる透過像は直進して投射される。したがって、液晶パネル100R、100Bによる各透過像は、液晶パネル100Gの透過像に対して左右反転した関係となる。
説明の便宜のため、投射型表示装置1からスクリーンScrの投射面を見た場合に、左右方向をX軸とし、上下方向をY軸とする。なお、X軸に沿った左右方向のうち、右方向をX方向とし、左方向をX方向の反対方向とする。また、Y軸に沿った上下方向のうち、下方向をY方向とし、上方向をY方向の反対方向とする。投射型表示装置1の投射方向をZ方向とする。
【0013】
図2は、投射型表示装置1の電気的な構成を示すブロック図である。図に示されるように、投射型表示装置1は、表示制御回路20と、上述した液晶パネル100R、100Gおよび100Bと、光路シフト素子230とを含む。
【0014】
図示省略されたホスト装置等の上位装置から、映像データVid-inが同期信号Syncに同期して供給される。映像データVid-inは、表示すべき画像における画素の階調レベルを、RGB毎に例えば8ビットで指定する。
【0015】
なお、映像データVid-inで指定される画像の画素を映像画素と表記し、映像画素の階調レベルを指定するデータを画素データと表記し、液晶パネル100R、100Gおよび100Bによる合成像の画素をパネル画素と表記する。また、光路シフト素子230によってシフトされて、スクリーンScrに投射されるパネル画素の位置を、投射位置と表記する。
液晶パネル100R、100Gおよび100Bの合成像では、パネル画素が縦方向および横方向にわたってマトリクス状に配列する。本実施形態において、映像データVid-inで階調レベルが指定される映像画素の配列は、液晶パネル100R、100Gまたは100Bにより合成したパネル画素の配列と比較して、例えば縦方向で2倍、横方向で2倍となっている。
【0016】
本実施形態において、スクリーンScrに投射されるカラー画像は、液晶パネル100R、100Gおよび100Bの各透過像を合成することで表現される。したがって、カラー画像の最小単位である画素は、液晶パネル100Rによる赤の副画素、液晶パネル100Gによる緑の副画素、および、液晶パネル100Bによる青の副画素に分けることができる。ただし、液晶パネル100R、100Gおよび100Bにおける副画素について、色を特定する必要がない場合や、単に明暗のみを問題とする場合等では、副画素と敢えて表記する必要がない。そこで本説明では、液晶パネル100R、100Gおよび100Bにおける表示単位についても、パネル画素とする。
【0017】
同期信号Syncには、映像データVid-inの垂直走査開始を指示する垂直同期信号や、水平走査開始を指示する水平同期信号、および、映像データVid-inにおける映像画素の1つ分のタイミングを示すクロック信号が含まれる。
【0018】
表示制御回路20は、処理回路22、変換回路23R、23Gおよび23Bを含む。
処理回路22は、上位装置から供給される映像データVid-inを、1または2以上のフレーム期間分を蓄積して、後述する判定を行い、当該判定にしたがって画素データを補正する。処理回路22は、補正した画素データであって、光路シフト素子230による投射位置に対応する映像画素の画素データを、RGB成分別に出力する。なお、処理回路22で処理された画素データのうち、Rの成分を画素データVad_Rと表記し、Gの成分を画素データVad_Gと表記し、Bの成分を画素データVad_Bと表記する。
【0019】
投射型表示装置1では、1フレーム期間を4分割した単位期間毎に投射位置が変化するので、連続する2フレーム期間における8つの単位期間では、投射位置として8箇所とすることが可能である。ただし、本実施形態では、8つの単位期間における投射位置を後述するように7箇所とする。
なお、単位期間とは、映像データVid-inで指定される1フレーム期間の画像の解像度を1/4に落とした画像を、液晶パネル100R、100Gおよび100Bによる合成画像でユーザに視認させるための期間である。
【0020】
処理回路22は、各単位期間において光路シフト素子230による投射位置を制御する。詳細には、処理回路22は、光路シフト素子230に対し、X軸に沿った方向のシフトを制御信号P_xで制御し、Y軸に沿った方向のシフトを制御信号P_yで制御する。
なお、単位期間毎の投射位置、および、パネル画素が各投射位置に対応して映像データVid-inで指定される映像画素のうち、どの映像画素を表現するかの詳細については後述する。
また、処理回路22は、液晶パネル100R、100Gおよび100Bを単位期間毎に制御するための制御信号Ctrを生成する。
【0021】
変換回路23Rは、画素データVad_Rをアナログ電圧のデータ信号Vid_Rに変換して液晶パネル100Rに供給する。変換回路23Gは、画素データVad_Gをアナログ電圧のデータ信号Vid_Gに変換して液晶パネル100Gに供給する。変換回路23Bは、画素データVad_Bをアナログ電圧のデータ信号Vid_Bに変換して液晶パネル100Bに供給する。
【0022】
次に、液晶パネル100R、100Gおよび100Bについて説明する。液晶パネル100R、100Gおよび100Bについては、入射する光の色、すなわち波長だけが異なり、構造的には共通である。そこで、液晶パネル100R、100Gおよび100Bについては、符号を100として、色を特定しないで一般的に説明する。
【0023】
図3は、液晶パネル100の要部を示す図であり、図4は、図3におけるH-h線で切断した断面図である。
これらの図に示されるように、液晶パネル100では、画素電極118が設けられた素子基板100aと、コモン電極108が設けられた対向基板100bとが、一定の間隙を保ちつつ、互いに電極形成面が対向するようにシール材90によって貼り合わせられ、この間隙に液晶105が封入されている。
【0024】
素子基板100aおよび対向基板100bとしては、それぞれガラスや石英などの光透過性を有する基板が用いられる。図3に示されるように、素子基板100aにおける一辺は、対向基板100bから張り出している。この張り出した領域に、図において横方向に沿って複数の端子106が設けられている。複数の端子106には、図示省略されたFPC(Flexible Printed Circuits)基板の一端が接続される。なお、当該FPC基板の他端は、表示制御回路20に接続されて、上述した各種の信号が供給される。
【0025】
素子基板100aにおいて対向基板100bに向かう面には、画素電極118が、例えばITO(Indium Tin Oxide)などの透明性を有する導電層のパターニングによって形成される。
また、素子基板100aの対向面および対向基板100bの対向面には、電極以外にも様々な要素が設けられるが、図では省略されている。
【0026】
図5は、液晶パネル100の電気的な構成を示すブロック図である。液晶パネル100には、表示領域10の周縁に、走査線駆動回路130およびデータ線駆動回路140が設けられる。
【0027】
液晶パネル100の表示領域10においては、画素回路110がマトリクス状に配列される。詳細には、表示領域10において、複数本の走査線12が図において横方向に延在して設けられ、また、複数本のデータ線14が縦方向に延在し、かつ、走査線12と互いに電気的な絶縁を保って設けられる。そして、複数本の走査線12と複数本のデータ線14との交差に対応して画素回路110がマトリクス状に設けられる。
【0028】
走査線12の本数をmとし、データ線14の本数をnとした場合、画素回路110は、縦m行×横n列でマトリクス状に配列する。m、nは、いずれも2以上の整数である。走査線12と画素回路110とにおいて、マトリクスの行を区別するために、図において上から順に1、2、3、…、(m-1)、m行と呼ぶ場合がある。同様にデータ線14および画素回路110において、マトリクスの列を区別するために、図において左から順に1、2、3、…、(n-1)、n列と呼ぶ場合がある。
【0029】
走査線駆動回路130は、表示制御回路200による制御にしたがって走査線12を例えば1、2、3、…、m行目という順番で1本ずつ選択し、選択した走査線12への走査信号をHレベルとする。なお、走査線駆動回路130は、選択した走査線12以外の走査線12への走査信号をLレベルとする。
データ線駆動回路140は、処理回路220R、220Gまたは220Bのうち、対応する色の回路から供給されたデータ信号を1行分ラッチするとともに、走査線12への走査信号がHレベルとなった期間において、当該走査線12に位置する画素回路110に、データ線14を介して出力する。
【0030】
図6は、隣り合う2本の走査線12と、隣り合う2本のデータ線14との交差に対応する縦2行横2列の計4個の、画素回路110の等価回路を示す図である。
図に示されるように、画素回路110は、トランジスター116と液晶素子120とを含む。トランジスター116は、例えばnチャネル型の薄膜トランジスターである。画素回路110において、トランジスター116のゲートノードは、走査線12に接続される一方、そのソースノードはデータ線14に接続され、そのドレインノードは、平面視で正方形形状の画素電極118に接続される。
【0031】
画素電極118に対向するようにコモン電極108が全画素に対して共通に設けられる。コモン電極108には電圧LCcomが印加される。そして、画素電極118とコモン電極108との間には上述したように液晶105が挟持される。したがって、画素回路110毎に、画素電極118およびコモン電極108によって液晶105を挟持した液晶素子120が構成される。
また、液晶素子120に対して並列に蓄積容量109が設けられる。蓄積容量109において、一端が画素電極118に接続され、他端が容量線107に接続されている。容量線107は、時間的に一定の電圧、例えばコモン電極108への印加電圧と同じ電圧LCcomが印加される。画素回路110は、走査線12の延在方向である横方向とデータ線14の延在方向である縦方向とにわたってマトリクス状に配列するので、画素回路110に含まれる画素電極118についても縦方向および横方向にわたって配列する。
【0032】
走査信号がHレベルとなった走査線12では、当該走査線12に対応して設けられる画素回路110のトランジスター116がオンする。トランジスター116のオンにより、データ線14と画素電極118とが電気的に接続された状態となるので、データ線14に供給されたデータ信号が、オンしたトランジスター116を介して画素電極118に到達する。走査線12がLレベルになると、トランジスター116はオフになるが、画素電極118に到達したデータ信号の電圧は、液晶素子120の容量性および蓄積容量109によって保持される。
【0033】
周知のように、液晶素子120では、画素電極118およびコモン電極108によって生じる電界に応じて液晶分子の配向が変化する。したがって、液晶素子120は、印加された電圧の実効値に応じた透過率となる。
なお、液晶素子120において画素として機能する領域、すなわち、電圧の実効値に応じた透過率となる領域は、素子基板100aおよび対向基板100bを平面視したときに、画素電極118とコモン電極108とが重なる領域である。画素電極118は、平面視で正方形であるので、液晶パネル100による画素の形状も正方形となる。
また、本実施形態において、液晶105が、VA(Vertical Alignment)方式であって、液晶素子120への印加電圧がゼロであるときに透過率が最低であり、印加電圧が高くなるにつれて、透過率が高くなるノーマリーブラックモードである。
【0034】
液晶素子120の画素電極118にデータ信号を供給する動作が、1つの単位期間において1、2、3、…、m行目という順番で実行される。これによりm行n列で配列する画素回路110の液晶素子120の各々にデータ信号に応じた電圧が保持されて、各液晶素子120が目的とする透過率となり、m行n列で配列する液晶素子120によって、対応する色の透過像が生成される。
このように透過像の生成がRGB毎に実行されて、RGBを合成したカラー画像がスクリーンScrに投射される。
1つの単位期間に対応して処理回路22から出力される映像画素の画素データVad_R、Vad_GおよびVad_Bは、当該単位期間に対応する映像画素の画素データである。このため、当該単位期間では投射位置に対応したカラーの合成画像が、当該投射位置において投射される。
【0035】
上述したように、映像データVid-inにおける映像画素の配列は、液晶パネル100R、100Gおよび100Bにおけるパネル画素の配列であるm行n列に対して縦方向で2倍、横方向で2倍であり、2m行2n列である。換言すれば、パネル画素の配列は、映像画素の配列に比べて縦方向で1/2倍、横方向で1/2倍である。
そこで、本実施形態では、1フレーム期間でみて、1つのパネル画素を、縦2地点×横2地点の計4箇所でシフトさせることによって、1つのパネル画素が、映像データVid-inで指定される4つの映像画素を示しているかのように視認させる。
【0036】
ただし、単純に、1つのパネル画素を1フレーム期間において4箇所にシフトさせて映像画素を表現する構成では、表示品位が低下してしまう場合がある。このため、本実施形態では、1つのパネル画素の投射位置が2フレーム期間の8つの単位期間毎にシフトされて映像画素を表現し、さらに、奇数フレーム期間において単位期間毎に投射位置をシフトさせる方向と偶数フレーム期間において単位期間毎に投射位置をシフトさせる方向とを反対方向にした。
【0037】
図7は、本実施形態におけるフレームと単位期間との関係を説明するための図である。図に示されるように、本実施形態では、2フレーム(2F)期間が、時間的に先の奇数フレーム(Odd Frame)期間と、時間的に後の偶数フレーム(Even Frame)期間とに分けられる。
【0038】
奇数フレーム期間は、4つの単位期間に分割される。奇数フレーム期間における4つの単位期間を区別するために便宜的に、符号が、時間の順にf1-1、f1-2、f1-3、f1-4と付与される。偶数フレーム期間も同様に4つの単位期間に分割される。偶数フレーム期間における4つの単位期間を区別するために便宜的に、符号が、時間の順にf2-1、f2-2、f2-3、f2-4と付与される。
【0039】
なお、奇数フレーム期間および偶数フレーム期間に含まれる単位期間の個数の「4」は、2以上である整数kの一例である。また、奇数フレーム期間は第1フレーム期間の一例であり、偶数フレーム期間は第2フレーム期間の一例である。単位期間f1-1およびf2-1が第1単位期間の一例であり、単位期間f1-2およびf2-2が第2単位期間の一例であり、単位期間f1-3およびf2-3が第3単位期間の一例であり、単位期間f1-4およびf2-4が第4単位期間の一例である。
【0040】
1フレーム期間とは、上位装置からの映像データVid-inで示される画像の1コマ分が供給される期間であり、同期信号Syncに含まれる垂直同期信号の周波数が60Hzである場合、1周期の16.7ミリ秒である。この場合、各単位期間の長さは、それぞれ1フレーム期間の長さの1/4である4.17ミリ秒である。
【0041】
図8は、光路シフト素子230に供給される制御信号P_xおよびP_yの波形の一例を示す図である。
光路シフト素子230は、スクリーンScrに投射される画像を、投射面に対しX軸およびY軸にシフトする。便宜的に当該シフトの量については、スクリーンScrにおいて投写される画素の大きさ、すなわちパネル画素の大きさに換算して説明する。
【0042】
制御信号P_xおよびP_yは、単位期間f1-1~f1-4およびf2-1~f2-4における後端期間以外において+A、0または-Aの三値のいずれかのレベルをとる。制御信号P_xおよびP_yのレベルは、後端期間において変化する。後端期間とは、垂直走査帰線期間に相当する期間である。
なお、制御信号P_xまたはP_yのレベルは、連続する2つの単位期間に跨がってレベルが一定となる場合もある。
【0043】
説明の便宜上、奇数フレーム期間における単位期間f1-1のうち、後端期間以外の期間における投射位置、すなわち、制御信号P_xおよびP_yのレベルが0である期間における投射位置を規準位置とする。
光路シフト素子230は、制御信号P_xのレベルが+Aであれば、投射位置を基準位置からX方向にパネル画素の半分だけシフトさせ、制御信号P_xのレベルが-Aであれば、投射位置を基準位置からX方向の反対方向にパネル画素の半分だけシフトさせる。
光路シフト素子230は、制御信号P_yのレベルが+Aであれば、投射位置を基準位置からY方向にパネル画素の半分だけシフトさせ、制御信号P_yのレベルが-Aであれば、投射位置を基準位置からY方向の反対方向にパネル画素の半分だけシフトさせる。
【0044】
したがって、例えば制御信号P_xのレベルが+Aであり、かつ、制御信号P_yのレベルが+Aであれば、光路シフト素子230は、投射位置を基準位置から、X方向およびY方向にそれぞれパネル画素の半分だけシフトさせる。
【0045】
なお、図8において各単位期間の後端期間に示される矢印は、当該後端期間において制御信号P_xおよびP_yのレベルが変化または維持した場合に、投射位置がどの方向にシフトするのかを示す。
また、光路シフト素子230による投射位置のシフトは、制御信号P_xおよびP_yのレベル通りではなく、時間遅れを伴う場合がある。
【0046】
次に、奇数フレーム期間および偶数フレーム期間において、液晶パネル100によるパネル画素が、映像データVid-inの映像画素のうち、どの映像画素を表現するかについて説明する。なお、パネル画素が、ある映像画素を表現する、とは、当該パネル画素が、当該映像画素に対応するデータ信号によって、当該画素データで指定される階調レベルに相当する輝度(明るさ)になることをいう。
【0047】
図9における左欄は、映像画素の配列を説明するために、映像データVid-inで示される映像画像のうち、一部だけを抜き出した図である。また、同図における右欄は、パネル画素のうち、当該左欄における映像画素の配列に対応したパネル画素の配列を示す図である。
【0048】
なお、図9における左欄では、映像データVid-inの映像画素を区別するために、便宜的に符号として1行目にA11、B11、A21、B21、A31、B31が、それぞれ付与される。2~5行目についても同様に、図に示されるように符号がそれぞれ付与される。
図9における右欄では、パネル画素を区別するために、便宜的に符号として1行目にp11、p21、p31が、2行目にp12、p22、p32が、それぞれ付与される。
【0049】
図10は、パネル画素が、奇数フレーム期間と偶数フレーム期間とにおいて表現する映像画素を示す図である。なお、図において縦2行×横2列の計4個の映像画素を囲む太線の黒枠は、1つのパネル画素が表現する映像画素のまとまりを示す。1つのパネル画素が表現する4つの映像画素は、奇数フレーム期間と偶数フレーム期間とで異なる。詳細には、ある1つのパネル画素が偶数フレーム期間において表現する2×2の映像画素は、当該パネル画素が奇数フレーム期間において表現する2×2の映像画素に対して、本実施形態では、右方向に映像画素で1画素および下方向に映像画素で1画素ずれた関係にある。
【0050】
図11は、特にパネル画素p11に着目し、当該パネル画素p11が奇数フレーム期間と偶数フレーム期間とにおいて表現する映像画素の順番を示す図である。図に示されるように、パネル画素p11は、奇数フレーム期間の単位期間f1-1~1-4において、順に映像画素C11、B11、A11、D11を表現し、偶数フレーム期間の単位期間f2-1~2-4において、順に映像画素C11、B12、A22、D21を順に表現する。換言すれば、パネル画素p11が奇数フレーム期間において映像画素を表現する順序と、偶数フレーム期間において映像画素を表現する順序とは、映像画素C11を基準にして点対称の関係にある。
【0051】
このため、例えば奇数フレーム期間の単位期間f1-2から単位期間f1-3までにおいてシフト前の投射画素からシフト後の投射画素に向かうシフト方向と、偶数フレーム期間の単位期間f2-2から単位期間f2-3までにおいてシフト前の投射画素からシフト後の投射画素に向かうシフト方向と、反対方向になる。また、例えば奇数フレーム期間の単位期間f1-3から単位期間f1-4までにおいてシフト前の投射画素からシフト後の投射画素に向かうシフト方向と、偶数フレーム期間の単位期間f2-3から単位期間f2-4までにおいてシフト前の投射画素からシフト後の投射画素に向かうシフト方向とについても、反対方向になる。
【0052】
図12および図13は、実施形態に係る投射型表示装置1において、パネル画素が、どの映像画素を、どの投射位置で表現するのかを示す図である。詳細には、図12は、図9における6個のパネル画素が、図9の左欄における映像画素を、奇数フレーム期間の単位期間f1-1~f1-4において、どの投射位置で表現するのかを示す図である。また、図13は、パネル画素の6個が、映像画素を、偶数フレーム期間の単位期間f2-1~f2-4において、どの投射位置で表現するのかを示す図である。
【0053】
便宜的に奇数フレーム期間の単位期間f1-1における投射位置を基準位置とする。図12に示されるように、奇数フレーム期間の単位期間f1-1において、パネル画素p11、p21、p31、p12、p22およびp32は、ハッチングが付された映像画素C11、C21、C31、C12、C22およびC32をそれぞれ表現する。
【0054】
単位期間f1-1の後端期間(垂直帰線期間)において、光路シフト素子230は、投射位置を、破線で示される単位期間f1-1における基準位置から、図において上方向(Y方向の反対方向)にパネル画素の0.5画素分シフトさせる。次の単位期間f1-2では、パネル画素p11、p21、p31、p12、p22およびp32は、ハッチングが付された映像画素B11、B21、B31、B12、B22およびB32をそれぞれ表現する。
単位期間f1-2の後端期間において、光路シフト素子230は、投射位置を、破線で示される単位期間f1-2における投射位置から、図において左方向(X方向の反対方向)にパネル画素の0.5画素分シフトさせる。次の単位期間f1-3では、パネル画素p11、p21、p31、p12、p22およびp32は、ハッチングが付された映像画素A11、A21、A31、A12、A22およびA32をそれぞれ表現する。
単位期間f1-3の後端期間において、光路シフト素子230は、投射位置を、破線で示される単位期間f1-3における投射位置から、図において下方向(Y方向)にパネル画素の0.5画素分シフトさせる。次の単位期間f1-4では、パネル画素p11、p21、p31、p12、p22およびp32は、ハッチングが付された映像画素D11、D21、D31、D12、D22およびD32をそれぞれ表現する。
【0055】
単位期間f1-4の後端期間において、光路シフト素子230は、投射位置を、破線で示される単位期間f1-4における投射位置から、図において右方向(X方向)にパネル画素の0.5画素分シフトさせて基準位置に戻す。偶数フレーム期間における最初の単位期間f2-1では、パネル画素p11、p21、p31、p12、p22およびp32は、ハッチングが付された映像画素C11、C21、C31、C12、C22およびC32をそれぞれ表現する。すなわち、ある1つのパネル画素が単位期間1-1において表現する映像画素と、当該1つのパネル画素が単位期間2-1において表現する映像画素とは同一である。
単位期間f2-1の後端期間において、光路シフト素子230は、投射位置を、破線で示される単位期間f2-1における基準位置から、図において下方向(Y方向)にパネル画素の0.5画素分シフトさせる。次の単位期間f2-2では、パネル画素p11、p21、p31、p12、p22およびp32は、ハッチングが付された映像画素B12、B22、B32、B13、B23およびB33をそれぞれ表現する。
単位期間f2-2の後端期間において、光路シフト素子230は、投射位置を、破線で示される単位期間f2-2における投射位置から、図において右方向(X方向)にパネル画素の0.5画素分シフトさせる。また、単位期間f2-3では、パネル画素p11、p21、p31、p12、p22およびp32は、ハッチングが付された映像画素A22、A32、A42、A23、A33およびA42をそれぞれ表現する。
単位期間f2-3の後端期間において、光路シフト素子230は、投射位置を、破線で示される単位期間f2-3における投射位置から、図において上方向(Y方向の反対方向)にパネル画素の0.5画素分シフトさせる。次の単位期間f2-4では、パネル画素p11、p21、p31、p12、p22およびp32は、ハッチングが付された映像画素D21、D31、D41、D22、D32およびD42をそれぞれ表現する。
単位期間f2-4の後端期間において、光路シフト素子230は、投射位置を、破線で示される投射位置から、図において左方向(X方向の反対方向)にパネル画素の0.5画素分シフトさせて基準位置に戻す。
【0056】
図12において、パネル画素p11、p21、p31、p12、p22およびp32は、単位期間1-1において順に映像画素C11、C21、C31、C12、C22およびC32を表現する。このため、例えばパネル画素p11で表現される映像画素C11を基準にしてみれば、映像画素C21、C12が隣り合うことになる。
このように映像画素でみれば隣り合わないが、同一の単位期間においてパネル画素で表現される映像画素を同系列にある、と説明することがある。上記の例でいえば、映像画素C11、C21、C31、C12、C22およびC32が同系列である。
【0057】
配向不良による表示品位の低下について説明する。
図14は、ノーマリーブラックモードにおける液晶素子120の印加電圧-透過率の特性(V-T特性)の一例を示す図である。ノーマリーブラックモードにおいて、高い階調レベルが指定されて、透過率が高くなるパネル画素(明パネル画素)では、液晶素子120における印加電圧が高い。一方、低い階調レベルが指定されて、透過率が低くなるパネル画素(暗パネル画素)では、液晶素子120における印加電圧が低い。このような明パネル画素と暗パネル画素とについて、便宜的に次のように定義する。
明パネル画素は、階調レベルに応じた電圧が画素電極118に印加された場合に、当該画素電極118を含む液晶素子120への印加電圧がVHを上回るパネル画素であり、暗パネル画素は、液晶素子120への印加電圧がVLを下回るパネル画素である。ここで、VH、VLについては、
VH>VL
の関係にある。また、液晶素子120への印加電圧が電圧VLである場合、例えば相対透過率が10%となり、電圧VHである場合、例えば相対透過率が90%となる。ただし、VLおよびVHについては、他の相対透過率に対応した電圧であってもよい。
【0058】
図15に示されるように、液晶パネル100において、明パネル画素Lpと暗パネル画素Dpとが隣り合うと、画素電極118同士の電圧差が大きくなり、2つの画素の境界Edg付近において基板方向に沿った電界(横電界)によって液晶分子の配向不良が発生しやすくなる。一般に、画素電極118同士の電圧差が大きくなるほど、すなわち階調レベルの差が大きくなるほど、隣り合う2つのパネル画素の境界付近で配向不良が発生しやすくなる。
【0059】
配向不良に起因する表示品位の低下について、より詳細に説明する。
ノーマリーブラックモードにおける暗パネル画素では、液晶素子120への印加電圧が低いので、基板垂直方向に働く縦電界が弱く、ほぼ配向膜の規制力のみによって、液晶分子が配向した状態になる。
このため、暗パネル画素が、明パネル画素と隣り合うと、横電界の影響によって暗パネル画素と明パネル画素との境界付近の液晶分子の配向が乱れてしまう。液晶分子の配向が乱れた状態で、液晶素子120への印加電圧が高くなっても、印加電圧の縦電界にしたがって直ちに液晶分子が配向しない。すなわち、暗パネル画素と隣り合う明パネル画素の暗パネル画素との境界付近の領域は、液晶分子の配向が乱れるので、直ちに透過率が高いパネル画素に変化することができない。
このため、暗パネル画素と隣り合った明パネル画素は、暗パネル画素との境界付近の領域で直ちに透過率が高いパネル画素に遷移することができず、やや暗い状態を経て、階調レベルに相当する透過率(輝度)の状態に遷移する。暗パネル画素と隣り合った明パネル画素が、液晶分子の配向の乱れが解消されるのには、例えば、10ミリ秒くらいの時間が必要となる。そのため、暗パネル画素と明パネル画素とが隣り合って液晶分子の配向の乱れが発生してから暗パネル画素だったパネル画素を明パネル画素に、明パネル画素だったパネル画素を明パネル画素のままとなるように遷移させても、明パネル画素だったパネル画素側に液晶分子の配向の乱れが10ミリ秒くらいは残ることになり、その間、明パネル画素だったパネル画素側の隣合うパネル画素との境界付近の領域の透過率が低下してしまう。
【0060】
これに対して、ノーマリーブラックモードにおける明パネル画素のうち、暗パネル画素との境界領域以外の領域では、液晶素子120への印加電圧が高いので、基板垂直方向に働く縦電界が強く、液晶分子の配向が乱れない。このため、明パネル画素のうち、暗パネル画素との境界領域以外の領域は、暗パネル画素と隣り合っても、液晶素子120への印加電圧に応じた透過率に直ちに変化する。
【0061】
このように明パネル画素が暗パネル画素と隣り合うことで発生する配向不良の表示品位の低下について、具体的な映像画像を例に挙げて説明する。
【0062】
図16は、映像データVid-inで指定される映像画像の一例を示す図である。この図に示される映像画像は、静止画像であって、黒の映像画素A11、B11、A21、B21、A31およびB31による水平方向に沿ったラインが、白の映像画素を背景として配列する例である。
静止画像である場合、奇数フレーム期間と偶数フレーム期間とで映像画素が同一になる。また、ここでいう白の映像画素とは、赤、緑または青の3原色について最高(または最高に近い)の階調レベルが指定された映像画素をいう。また、黒の映像画素とは、赤、緑または青の3原色についてそれぞれ最低(または最低に近い)の階調レベルが指定された映像画素をいう。
【0063】
図17は、映像画素が図16に示される場合に、奇数フレーム期間の単位期間f1-1~f1-4において、パネル画素が、どの映像画素を、どの投射位置で表現するのかを示す図である。図18は、映像画素が図16に示される場合に、偶数フレーム期間の単位期間f2-1~f2-4において、パネル画素が、どの映像画素を、どの投射位置で表現するのかを示す図である。
単位期間f1-1においてパネル画素p11、p21、p31は順に白の映像画素C11、C21、C31を表現し、パネル画素p12、p22、p32は順に白の映像画素C12、C22、C32を表現する。すなわち、単位期間f1-1においてパネル画素p11、p21、p31、p12、p22、p32は明パネル画素になる。
【0064】
単位期間f1-2においてパネル画素p11、p21、p31は順に黒の映像画素B11、B21、B31を表現し、パネル画素p12、p22、p32は順に白の映像画素B12、B22、B32を表現する。すなわち、単位期間f1-2においてパネル画素p11、p21、p31は暗パネル画素になり、パネル画素p12、p22、p32は明パネル画素である。このため、単位期間f1-2において、パネル画素p11およびp12の間、パネル画素p21およびp22の間、および、パネル画素p31およびp32の間には、強い横電界が発生する。そのため、図においてハッチングで示されるように、配向不良によって、パネル画素p12、p22、p32のパネル画素p11、p21、p31側の領域の透過率が直ちに高くならず、やや暗い状態となり、平均的にみてパネル画素p12、p22、p32がやや暗い状態となる。
【0065】
単位期間f1-3においてパネル画素p11、p21、p31は順に黒の映像画素A11、A21、A31を表現し、パネル画素p12、p22、p32は順に白の映像画素A12、A22、A32を表現する。すなわち、単位期間f1-2においてパネル画素p11、p21、p31は暗パネル画素であり、パネル画素p12、p22、p32は明パネル画素である。このため、パネル画素p11およびp12の間、パネル画素p21およびp22の間、および、パネル画素p31およびp32の間には、強い横電界が発生する。そのため、図においてハッチングで示されるように、配向不良によって、パネル画素p12、p22、p32のパネル画素p11、p21、p31側の領域の透過率が直ちに高くならず、やや暗い状態となり、平均的にみてパネル画素p12、p22、p32がやや暗い状態となる。
【0066】
単位期間f1-4においてパネル画素p11、p21、p31は順に白の映像画素A11、A21、A31を表現し、パネル画素p12、p22、p32は順に白の映像画素A12、A22、A32を表現する。すなわち、単位期間f1-4においてパネル画素p11、p21、p31、p12、p22、p32は、いずれも明パネル画素に遷移するはずである。
しかしながら、パネル画素p12、p22、p32の配向不良の影響は、前述のように解消されるのに所定の時間を有するため、図においてハッチングで示されるように、配向不良によって、パネル画素p12、p22、p32のパネル画素p11、p21、p31側の領域の透過率が直ちに高くならず、やや暗い状態となり、平均的にみてパネル画素p12、p22、p32がやや暗い状態となる。
【0067】
単位期間f2-1においてパネル画素p11、p21、p31は順に白の映像画素C11、C21、C31を表現し、パネル画素p12、p22、p32は順に白の映像画素C12、C22、C32を表現する。すなわち、単位期間f2-1においてパネル画素p11、p21、p31、p12、p22、p32は、いずれも明パネル画素に遷移するはずである。
しかしながら、パネル画素p12、p22、p32の配向不良の影響は、単位期間f1-4と同様に残っているため、図においてハッチングで示されるように、配向不良によって、パネル画素p12、p22、p32のパネル画素p11、p21、p31側の領域の透過率が直ちに高くならず、やや暗い状態となり、平均的にみてパネル画素p12、p22、p32がやや暗い状態となる。
【0068】
単位期間f2-2においてパネル画素p11、p21、p31は順に白の映像画素D21、D31、D41を表現し、パネル画素p12、p22、p32は順に白の映像画素D22、D32、D42を表現する。なお、パネル画素p11、p21、p31は、単位期間2-1では配向不良によってやや暗い状態であったが、単位期間2-2からは当該配向不良が解消していると考えられる。このため、パネル画素p12、p22、p32は、単位期間2-2において、指定通りに明パネル画素になる。
なお、偶数フレーム期間の単位期間f2-3~f2-4では、パネル画素p11、p21、p31、p12、p22、p32は、いずれも明パネル画素である。
【0069】
図19は、映像画素が図16図17および図18に示される場合に、パネル画素p12に着目し、奇数フレームおよび偶数フレーム期間において、当該パネル画素p12の輝度がどのように推移するかを示す図である。
図においてAで示されるようにパネル画素p12は、奇数フレーム期間において単位期間f1-1では明パネル画素であり、階調レベルに応じた輝度になり、単位期間f1-2および1-3では暗パネル画素と隣り合ったために生じた配向不良によって階調レベルに相当する輝度よりも輝度が低下する。また、パネル画素p12は、単位期間f1-4およびf2-1においても配向不良の影響が解消されていないため、階調レベルに相当する輝度よりも輝度が低下する。また、パネル画素p12は、単位期間f2-2~f2-4ではそれぞれ明パネル画素に応じた輝度になる。
【0070】
このため、パネル画素p12は、図においてBで示されるように、偶数フレーム期間のうち、単位期間f2-1において、配向不良によって指定通りの輝度に達しない。
パネル画素p12は、単位期間2-1において映像画素C12で指定される階調レベルに対応した輝度になるはずであり、単位期間1-1において映像画素C12で指定される階調レベルに対応した輝度になるはずである。
映像画素C12は、単位期間f1-1およびf2-1において同じ階調レベルを指定する。しかしながら、パネル画素p12の輝度は、単位期間2-1において配向不良によって指定された輝度よりもやや低下し、単位期間1-1において指定通りの輝度になる。
このため、パネル画素p12では、単位期間2-1では階調レベルで指定された輝度よりも暗くなる状態と、単位期間1-1では階調レベルで指定通りの輝度になる状態と、が4単位期間毎に交互に現れるので、フリッカーとして視認されてしまう。
【0071】
そこで、本実施形態では、図においてCで示されるように、単位期間1-1での映像画素C12の階調レベルを補正して、単位期間2-1において配向不良が生じて暗くなるパネル画素の輝度に揃えて、フリッカーを抑える構成とした。
【0072】
このような補正について検討する。詳細には、第1に、配向不良の原因になる横電界は、ある1つの単位期間において、明パネル画素と暗パネル画素とが隣り合う場合に、当該明パネル画素と当該暗パネル画素との間で発生する。第2に、当該横電界に起因する配向不良が発生した後の所定の時間内で表示される明映像画素は、パネル画素に発生した当該横電解の影響が解消されてはいないため、配向不良の影響を受けて輝度が低下してしまう。そのため、第3に、配向不良の影響を受けた映像画素が次のフレーム期間において明パネル画素と暗パネル画素とが隣り合わないように表示される場合には当該横電解の影響を受けないので輝度は階調レベルに応じたものとなる。このように、当該フレーム期間において配向不良になった状態と当該フレーム期間の次のフレーム期間において配向不良になっていない状態とが同一の映像画素において発生すると、フリッカーとして視認される。第4に、フリッカーを低減するために、本実施形態では、映像画素の階調レベルを次のように補正する。すなわち、配向不良になったパネル画素が表示する映像画素と同一の映像画素について、1フレーム期間経過後(4単位期間経過後)に表現する階調レベルを、当該配向不良になったパネル画素の輝度に相当する階調レベルに近づける補正する。
【0073】
なお、当該配向不良になったパネル画素の輝度の減少分は、横電界の強さ(隣り合うパネル画素における階調レベルの差)と、当該横電極によって配向不良になったパネル画素が表現しようとする映像画素の階調レベルと、でほぼ定まる。このため、輝度の減少分については、階調レベルの差と階調レベルとの2つを引数とする演算、または、テーブルによって求めることができる。また、輝度の減少分については、さらに階調レベルの減少分置換することができる。この、階調レベルの減少分が補正量である。
【0074】
このような階調レベルの具体的な補正処理は、例えば、処理回路22において次のようにして実行される。
処理回路22は、第1の処理として、明パネル画素と暗パネル画素とが隣り合う状態を、同系列で隣り合う映像画素の階調レベルの差が第1閾値以上であるか否かで判定する。
処理回路22は、第2の処理として、暗パネル画素が次の単位期間において明パネル画素に変化するか否かを判定し、当該パネル画素において横電解の発生以降で影響を受けた映像画素を特定する。
処理回路22は、第3の処理として、配向不良になった映像画素の階調レベルと、次のフレーム期間で表示される同一位置の映像画素の階調レベルと、の差が第2閾値以下である場合に、フリッカーが発生する、と判定する。
処理回路22は、第4の処理として、上記第1乃至第3の処理によってフリッカーが発生すると判定した場合に、当該フレーム期間で配向不良になった映像画素を表示するパネル画素に供給する階調レベルに対する透過率の減少分から換算して、次のフレーム期間で表示される当該映像画素を表示する別のパネル画素に供給する階調レベルを補正する。
なお、配向不良に起因するフリッカーを低減するにあたって、第2の処理または/および第3の処理については省略することができる。
【0075】
このような補正によれば、図19においてCで示されるように、単位期間f1-1においてパネル画素p12に対応する映像画素C12の階調レベルが補正されて、単位期間2-1における当該パネル画素p12の輝度が、単位期間f1-1においてパネル画素p11の配向不良によって暗くなった輝度に揃えられる。このため、本実施形態によれば、フリッカーを抑えることができる。
【0076】
実施形態では、単位期間2-1において、パネル画素p12が配向不良によって映像画素C11の画素データで指定された階調レベルの輝度にならない場合に、4単位期間経過後の単位期間f1-1においてパネル画素p12に対応する映像画素C12の画素データで指定される階調レベルを、配向不良になった輝度に近づける補正としたが、このような構成に限られない。
【0077】
例えば、図19のDに示されるように、処理回路22が、単位期間2-1においてパネル画素p12に対応する映像画素C12の階調レベルを補正する構成としてもよい。
具体的には、単位期間2-1において配向不良が発生したパネル画素p12が、映像画素C12の画素データで指定された階調レベルの輝度に達しないと判定した場合、当該映像画素C12の階調レベルを補正して、単位期間f1-1において同じパネル画素p12が表現する映像画素C12の階調レベルで指定される輝度に近づける。
【0078】
このような補正によれば、映像画素C12の階調レベルが、単位期間f2-1において配向不良によって低下する輝度を見越して、補正されて、単位期間f1-1における輝度に揃えられるので、フリッカーを抑えることができる。
また、この補正によれば、単位期間f2-1におけるパネル画素p12の輝度を、映像画素C12の階調レベルに指定される本来の輝度にさせることができる。
【0079】
また例えば、図19のEに示されるように、処理回路22が、単位期間2-1においてパネル画素p12に対応する映像画素C12の階調レベルと、単位期間1-1においてパネル画素p12に対応する映像画素C12の階調レベルと、の双方を補正する構成としてもよい。
例えば、単位期間2-1において、映像画素C12を変換したデータ信号をパネル画素p12に供給した場合に、当該パネル画素p12の実際の輝度をL1とする。また、単位期間1-1において、映像画素C12を変換したデータ信号をパネル画素p12に供給した場合に、当該パネル画素p12の実際の輝度をL2とする。輝度L1およびL2の平均値をL3とする。
処理回路22は、単位期間2-1におけるパネル画素p12の輝度L1が平均値L3に達するように、映像画素C12の階調レベルを補正し、単位期間1-1におけるパネル画素p12の輝度L2が平均値L3に達するように、映像画素C12の階調レベルを補正する。
【0080】
このような補正によれば、単位期間f2-1においてパネル画素p12に配向不良が発生しても、当該パネル画素p12の輝度が、単位期間1-1における当該パネル画素p11の輝度に揃えられるので、フリッカーを抑えることができる。
また、この補正によれば、単位期間f2-1におけるパネル画素p12の輝度を、映像画素C12の階調レベルに指定される本来の輝度に近づけることができる。
【0081】
ここでは、図16に示される映像画像を視認させる場合に、パネル画素p12について着目し、単位期間f2-1において当該パネル画素p12に対応する映像画素C12の階調レベル、または/および、単位期間1-1において当該パネル画素p12に対応する映像画素C12の階調レベル、の補正について説明した。
図16に示される映像画像において、パネル画素p22に対応する映像画素C22の階調レベルに対して、同様な補正が実行される。
パネル画素p32に対応する映像画素C32の階調レベルに対して、同様な補正が実行される。
【0082】
上述した実施形態および変形例(以下「実施形態等」と称呼する)では、以下のように種々の変形または応用が可能である。
【0083】
実施形態では、1フレーム期間を4つの単位期間に分けた構成とした。すなわち、1フレーム期間に含まれる単位期間の個数であるkとして「4」を一例として挙げて説明した。kは「4」に限られず、「2」以上であればよい。
【0084】
実施形態等では、配向不良に起因するフリッカーを、映像画像として、白背景として黒の映像画素が横方向に配列するラインを表示する場合について説明したが、白背景として黒の映像画素が縦方向に配列するラインを表示する場合でも同様にフリッカーが発生する。
【0085】
実施形態では同一パネル画素において表現される同一映像画素のフリッカー抑制のために奇数フレーム期間と偶数フレーム期間との双方、または、一方の階調レベルを補正したが、これに限られない。また、各フレーム期間で異なるパネル画素において表現される同一の映像画素において輝度差が発生する場合に同様の補正をしてもよい。
【0086】
実施形態等では、光路シフト素子230に供給される制御信号P_xおよびP_yのレベルが変化する期間を、単位期間f1-1~f1-4およびf2-1~f2-4における垂直走査期間に相当する後端期間としたが、上述したように、光路シフト素子230による投射位置のシフトは、制御信号P_xおよびP_yのレベル通りではなく、時間遅れを伴う場合がある。このような場合、例えば単位期間において液晶パネル100によって形成される画像が、当該単位期間に対応する投射位置にシフトされるように、時間遅れを見越して、制御信号P_xおよびP_yのレベル変化を開始させてもよい。
【0087】
以上に例示した形態から、例えば以下の態様が把握される。
【0088】
ひとつの態様(態様1)に係る投射型表示装置は、パネル画素を有する液晶パネルと、前記パネル画素から投射された投射画素の位置を、1フレーム期間に含まれる、第1単位期間から第k(kは2以上の整数)単位期間までのk個の単位期間毎にシフトする光路シフト素子と、前記液晶パネルおよび前記光路シフト素子を制御する表示制御回路と、を含み、前記表示制御回路は、映像データを構成する画素データで指定される階調レベルに対応したデータ信号を前記単位期間毎に前記パネル画素に供給し、前記光路シフト素子に対し、前記投射画素の位置のシフトを前記単位期間毎に制御し、第1フレーム期間における投射画素の位置と、前記第1フレーム期間後の第2フレーム期間における投射画素の位置と、が異なる位置を含むように前記光路シフト素子を制御し、前記第1フレーム期間において、隣り合う第1パネル画素に対応する画素データの階調レベルと第2パネル画素に対応する画素データの階調レベルとの差が一の単位期間において閾値以上であるとき、当該一の単位期間の次の単位期間において前記第1パネル画素に対応する第1画素データの階調レベル、または、前記第2フレーム期間において前記第1画素データが供給されるパネル画素に対応する第2画素データの階調レベルの少なくともどちらか一方を、前記次の単位期間における前記第1画素データが供給されるパネル画素の輝度と、前記第2フレーム期間において前記第2画素データが供給されるパネル画素の輝度と、の差を小さくするように補正する。
【0089】
態様1によれば、配向不良に起因するフリッカーを低減することができる。
なお、隣り合う第1パネル画素に対応する映像画素の階調レベルと第2パネル画素に対応する映像画素の階調レベルとの差が一の単位期間において閾値以上である場合、第1パネル画素は、印加電圧が低くなるパネル画素であり、第2パネル画素は、印加電圧が高くなるパネル画素である。
【0090】
態様1の具体的な態様(態様2)において、前記表示制御回路は、前記次の単位期間において前記第1画素データの階調レベルを補正し、前記第2フレーム期間において前記第2画素データの階調レベルを補正しない。
【0091】
態様1の具体的な態様(態様3)において、前記表示制御回路は、前記次の単位期間において前記第1画素データの階調レベルを補正せず、前記第2フレーム期間において前記第2画素データの階調レベルを補正する。
【0092】
態様1の具体的な態様(態様4)において、前記表示制御回路は、前記次の単位期間において前記第1画素データの階調レベルを補正し、前記第2フレーム期間において前記第2画素データの階調レベルを補正する。
【0093】
態様1の具体的な態様(態様5)において、前記第1フレーム期間において、前記第1パネル画素に供給される画素データの階調レベルと前記第2パネル画素に供給される画素データの階調レベルとの差が一の単位期間において閾値以上であり、かつ、前記第1パネル画素に供給される画素データの階調レベルが前記第2パネル画素に供給される画素データの階調レベルよりも高いとき、前記第1画素データは、前記第1フレーム期間において前記第1パネル画素に供給され、前記第2画素データは、前記第2フレーム期間において前記第1パネル画素に供給される。
【0094】
態様1乃至5のいずれかの具体的な態様(態様6)において、前記表示制御回路は、前記第1フレーム期間における第1単位期間および前記第2フレーム期間における第1単位期間において、それぞれ同一の画素データに対応したデータ信号を前記液晶パネルに供給し、前記投射画素の位置が同位置になるように制御し、前記第1フレーム期間における前記第1単位期間以外の単位期間の投射画素の各位置と、前記第2フレーム期間における前記第1単位期間以外の単位期間の投射画素の各位置と、がそれぞれ異なるように前記光路シフト素子を制御する。
【0095】
態様6の具体的な態様(態様7)において、前記表示制御回路は、前記第1フレーム期間の第2単位期間から第k単位期間までにおいてシフト前の投射画素の位置からシフト後の投射画素の位置に向かうシフト方向が前記第2フレーム期間の第2単位期間から第k単位期間までにおいてシフト前の投射画素の位置からシフト後の投射画素の位置に向かうシフト方向と反対方向になるように前記光路シフト素子を制御する。
【符号の説明】
【0096】
1…投射型表示装置、100R、100G、100B…液晶パネル、110…画素回路、118…画素電極、120…液晶素子、20…表示制御回路、22…処理回路、230…光路シフト素子。
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