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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141394
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】モータ駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 6/18 20160101AFI20241003BHJP
【FI】
H02P6/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053003
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤野 俊輔
【テーマコード(参考)】
5H560
【Fターム(参考)】
5H560BB04
5H560BB07
5H560BB12
5H560DC12
5H560EB01
5H560HA03
5H560RR06
5H560SS02
5H560TT11
5H560TT15
5H560UA01
5H560XA02
5H560XA12
5H560XA13
(57)【要約】
【課題】回転子の回転位置が指定位置となるまでの時間を軽減する。
【解決手段】モータ駆動装置400は、ロータ110Aを有するモータ110と、モータ110を制御する制御装置300とを備える。制御装置300は、モータ110のd軸電流およびq軸電流に基づいて、第1値を算出する。制御装置300は、第1値を積分することにより第2値を算出する。制御装置300は、第2値をゼロとするための所定制御を実行することにより第3値を算出する。制御装置300は、回転子の回転位置を指定位置に一致させるための位置制御を、前記第3値に基づいて実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転子および3相のコイルが巻回された固定子を有するモータと、
前記モータを駆動するインバータと、
前記インバータを制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記モータに流れる電流をd軸電流およびq軸電流に座標変換し、
前記d軸電流と前記q軸電流とに基づく値を積分することにより、前記回転子の位置と指定位置との差分量に相関する相関値を算出し、
前記回転子の回転位置を前記指定位置に一致させるための位置制御を、前記相関値に基づいて実行することを特徴とするモータ駆動装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記相関値をゼロとするための所定制御を実行することにより、前記位置制御を実行する、請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項3】
前記所定制御は、前記相関値に対するPID制御である、請求項2に記載のモータ駆動装置。
【請求項4】
前記d軸電流と前記q軸電流とに基づく値は、前記d軸電流の値および前記q軸電流の値のアークタンジェント値である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のモータ駆動装置。
【請求項5】
前記d軸電流と前記q軸電流とに基づく値は、前記d軸電流の値と前記q軸電流の値との除算値である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のモータ駆動装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記指定位置を時間経過に応じて変化させる、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のモータ駆動装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記位置制御を開始したときから所定期間が経過したときに、該位置制御を終了させる、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のモータ駆動装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記相関値の変化量が閾値未満であるときに、前記位置制御を終了させる、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のモータ駆動装置。
【請求項9】
前記回転子は、2極磁石により構成される、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のモータ駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モータ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転子を有するモータを制御するモータ駆動装置が知られている。たとえば、特開2002-369572号公報(特許文献1)に開示されているモータ駆動装置は、センサレスで回転子の位置を推定する。このモータ駆動装置は、モータの制御を開始する場合に、回転子の位置を所定の初期位置(指定位置)とする初期動作を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-369572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の初期動作が実行される場合において、回転子の位置と、指定位置との角度ズレが大きい場合がある。この場合には、回転子の位置が指定位置となるまでの時間が多大になるという問題が生じ得る。
【0005】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、回転子の位置が指定位置となるまでの時間を軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本開示のモータ駆動装置は、モータと、インバータと、制御装置とを備える。モータは、回転子および3相のコイルが巻回された固定子を有する。インバータは、モータを駆動する。制御装置は、インバータを制御する。制御装置は、モータに流れる電流をd軸電流およびq軸電流に座標変換する。制御装置は、d軸電流とq軸電流とに基づく値を積分することにより、回転子の位置と指定位置との差分量に相関する相関値を算出する。制御装置は、回転子の位置を指定位置に一致させるための位置制御を、相関値に基づいて実行する。
【0007】
このような構成によれば、モータ駆動装置は、回転子の位置と指定位置との差分量に相関する相関値に基づいて位置制御を実行する。したがって、モータ駆動装置は、回転子の位置が指定位置となるまでの時間を短くできる。
【0008】
(2) (1)に記載のモータ駆動装置であって、制御装置は、相関値をゼロとするための所定制御を実行することにより、位置制御を実行する。
【0009】
このような構成によれば、所定制御により差分量をゼロにすることができる。
【0010】
(3) (1)または(2)に記載のモータ駆動装置であって、所定制御は、相関値に対するPID制御である。
【0011】
このような構成によれば、比較的、簡単な演算により差分量をゼロにすることができる。
【0012】
(4) (1)~(3)のいずれか1項に記載のモータ駆動装置であって、d軸電流とq軸電流とに基づく値は、d軸電流の値およびq軸電流の値のアークタンジェント値である。
【0013】
このような構成によれば、比較的、簡易な構成により、d軸電流とq軸電流とに基づく値を算出できる。
【0014】
(5) (1)~(3)のいずれか1項に記載のモータ駆動装置であって、d軸電流とq軸電流とに基づく値は、d軸電流の値とq軸電流の値との除算値である。
【0015】
このような構成によれば、三角関数の演算といった複雑な演算を行うことなく、d軸電流とq軸電流とに基づく値を算出できる。
【0016】
(6) (1)~(5)のいずれか1項に記載のモータ駆動装置であって、制御装置は、指定位置を時間経過に応じて変化させる。
【0017】
このような構成によれば、差分量が180度であったとしても、回転子の位置が指定位置となるまでの時間を短くできる。
【0018】
(7) (1)~(6)のいずれか1項に記載のモータ駆動装置であって、制御装置は、位置制御を開始したときから所定期間が経過したときに、該位置制御を終了させる。
【0019】
このような構成によれば、比較的、簡易な構成により、位置制御の終了の有無を判断できる。
【0020】
(8) (1)~(6)のいずれか1項に記載のモータ駆動装置であって、制御装置は、相関値の変化量が閾値未満であるときに、位置制御を終了させる。
【0021】
このような構成によれば、比較的、簡易な構成により、位置制御の終了の有無を判断できる。
【0022】
(9) (1)~(8)のいずれか1項に記載のモータ駆動装置であって、回転子は、2極磁石により構成される。
【0023】
このような構成によれば、回転子が2極磁石により構成されることにより回転子を簡易な構成にできるものの差分量が大きくなる傾向になる。しかしながら、本開示のモータ駆動装置により、差分量を抑制できる。
【発明の効果】
【0024】
本開示においては、回転子の回転位置が指定位置となるまでの時間を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】電気システムの機能ブロック図である。
図2】制御装置の機能ブロック図である。
図3】初期制御を説明するための図である。
図4】初期制御を説明するための図である。
図5】補正演算部の機能ブロック図である。
図6】実験結果の一例である。
図7】初期制御を説明するための図である。
図8】ロバスト性などを説明するための図である。
図9】モータ駆動装置400の初期制御の処理を示すフローチャートである。
図10】シミュレーション結果を示す図である。
図11】変形例の補正演算部の機能ブロック図である。
図12】変形例のモータ駆動装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0027】
図1は、電気システム500のブロック図である。電気システム500は、たとえば、電動車両に搭載される。電気システム500は、バッテリ150と、SMR(System Main Relay)230と、インバータ210と、モータ110と、制御装置300とを備える。制御装置300は、演算回路とも称される。
【0028】
モータ110は、代表的には、永久磁石モータによって構成された、三相交流回転電機である。モータ110は、星型結線されたU相コイル、V相コイルおよびW相コイルを固定子巻線として有する。各相コイルの一端は、中性点22で互いに接続される。各相コイルの他端は、インバータ210の各相アームのスイッチング素子の接続点(図示せず)とそれぞれ接続される。
【0029】
バッテリ150の正極および負極はSMR230に接続されている。また、バッテリ150からの電圧は、コンバータ(図示せず)を介して、インバータ210に供給される。
【0030】
インバータ210は、モータ110を駆動する。インバータ210は、三相インバータで構成される。インバータ210は、電動車両の走行時には、該走行で要求される駆動力(車両駆動トルク、発電トルク等)を発生するために設定される動作指令値(代表的には、後述のトルク値Tr)に従ってモータ110が動作するように、モータ110の各相コイルの電流または電圧を制御する。
【0031】
電流センサ24Vは、モータ110に流れるV相電流Ivを検出する。電流センサ24Wは、モータ110に流れるW相電流Iwを検出する。V相電流Iv、およびW相電流Iwは、制御装置300の座標変換部320(図2参照)に入力される。なお、三相電流Iu,Iv,Iwの瞬時値の和はゼロであるので、図1に示すように、2相分のモータ電流(たとえば、V相電流IvおよびW相電流Iw)を検出するように配置すれば足りる。したがって、後述の図2では、U相電流Iuは記載されていない。
【0032】
制御装置300は、SMR230およびインバータ210などを制御する。また、制御装置300は、主たる構成要素として、CPU(Central Processing Unit)302と、メモリ304とを有する。メモリ304は、たとえば、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを有する。ROMには、CPU302が実行するプログラムを格納する。RAMは、CPU302におけるプログラムの実行により生成されるデータ(たとえば、後述の電圧特徴量)などを一時的に格納する。また、モータ駆動装置400は、モータ110と、制御装置300とを備える。本実施形態のモータ駆動装置400においては、モータ110の回転位置を検出するセンサ(レゾルバ)を有さないセンサレス構成が採用される。
【0033】
[制御装置の機能ブロック図]
図2は、制御装置300などの機能ブロック図である。図2の例では、制御装置300は、PI演算部240と、座標変換部250と、PWM(Pulse Width Modulation)部260と、制御部310と、座標変換部320と、推定部330と、角度演算部340と、スイッチ部350と、補正演算部360とを有する。モータ110は、ロータ110A、および固定子110Bを有する。ロータ110Aは、本開示の「回転子」に対応する。固定子110Bは、巻回された3相のコイル(図1のU相コイル、V相コイル、およびW相コイル)により構成される。
【0034】
制御装置300は、上位コントローラ(図示せず)と通信可能である。上位コントローラは、電気システム500を始動するときに制御装置300に対して開始信号Cを送信する。また、上位コントローラは、初期制御が終了したときに制御信号Dを送信する。なお、上位コントローラは、制御装置300とは別の装置としてもよく、制御装置300と一体化されていてもよい。開始信号Cは、制御装置300に対して初期制御を実行させるための信号である。制御信号Dは、制御装置300に対して通常制御を実行させるための信号である。
【0035】
制御装置300は、開始信号Cを受信すると、初期制御を実行する。初期制御は、モータ110(ロータ110A)の回転位置を指定位置に一致させるための制御である(後述の図3など参照)。指定位置は、制御装置300により指定される位置である。初期制御は、本開示の「位置制御」に対応する。
【0036】
制御装置300は、制御信号Dを受信すると、通常制御を実行する。通常制御は、たとえば、電気システム500が搭載されている電動車両の駆動中の制御である。なお、初期制御の実行が開始されたときから、初期制御フラグが所定の記憶領域(たとえば、図1のメモリ304の一部)に格納される。また、初期制御フラグは、初期制御を実行していることを示すフラグである。そして、初期制御が終了すると、初期制御フラグは消去される。本実施形態の制御装置300は、所定周期(後述のサンプリング周期)毎に初期制御を実行する。また、制御装置300は、該所定周期毎に通常制御を実行する。
【0037】
スイッチ部350は、制御部310の制御により、第1状態または第2状態に切替可能となっている。第1状態は、加算部370から出力された角度θ1が角度θ5として、座標変換部250および座標変換部320に出力される状態である。第2状態は、推定部330から出力された角度θ4が角度θ5として座標変換部250および座標変換部320に出力される状態である。図2の例では、第1状態が示されている。
【0038】
制御部310は、スイッチ部350の状態を第1状態にした状態で初期制御を実行する。また、制御部310は、スイッチ部350の状態を第2状態にした状態で通常制御を実行する。
【0039】
[通常制御]
次に、通常制御を説明する。制御信号Dには、たとえば、トルク値Trが含まれており、制御装置300は、該トルク値Trのトルクをモータ110に発生させる制御を通常制御を実行する。制御部310は、予め作成されたテーブル等に従って、該トルク値Trに応じたトルクをモータ110に発生させるために必要なd軸電流指令値Idcおよびq軸電流指令値Iqcを生成する。なお、d軸電流は、ロータ110Aによって生じる磁界の方向と平行な方向に磁界が生じる電流である。また、q軸電流は、d軸電流と直交する電流である。
【0040】
座標変換部320は、スイッチ部350から出力された角度θ5を用いた座標変換式(3相→2相)によって、V相電流IvおよびW相電流Iwを指令軸座標dc-qcでのd軸電流Idおよびq軸電流Iqに変換する。つまり、座標変換部320は、モータ110に流れる電流をd軸電流およびq軸電流に座標変換する。座標変換部320の座標変換式は、たとえば、式(1)である。なお、式(1)および、後述の式(2)において、電流Iuの“u”、電流Iwの“w”、およびθ5の“5”が添え字で示されている。
【0041】
【数1】
【0042】
V相電流Ivは、電流センサ24Vにより検出される。また、W相電流Iwは、電流センサ24Wにより検出される。V相電流IvおよびW相電流Iwは、静止座標である3相交流座標上での電流値である。d軸電流Id、およびq軸電流Iqは、それぞれ、減算部311、および減算部312に出力される。また、d軸電流Id、およびq軸電流Iqは、推定部330および補正演算部360に出力される。
【0043】
推定部330は、d軸電流Idおよびq軸電流Iqに基づいて、所定の演算によりモータの回転角度θ4を推定する。推定された角度θ4は、スイッチ部350に出力される。
【0044】
減算部311は、d軸電流値とd軸電流の指令値との偏差ΔId(ΔId=Idc-Id)を算出し、該ΔIdをPI演算部240に出力する。減算部312は、q軸電流値とq軸電流の指令値との偏差ΔIq(ΔIq=Iqc-Iq)を算出し、該ΔIqをPI演算部240に出力する。
【0045】
PI演算部240は、d軸電流偏差ΔIdおよびq軸電流偏差ΔIqについて所定ゲインによるPI(比例積分)演算を行なって制御偏差を求める。PI演算部240は、この制御偏差に応じて、指令軸座標dc-qcでの各軸方向の印加電圧の指令値であるd軸電圧指令値Vdc及びq軸電圧指令値Vqcを算出する。d軸電圧指令値Vdcは、d軸の指令値である。q軸電圧指令値Vqcは、q軸の指令値である。このように、PI演算部240はフィードバック制御を実行する。
【0046】
座標変換部250は、後述のスイッチ部350から出力された角度θ5を用いた座標変換式(2相→3相)によって、d軸電圧指令値Vdcおよびq軸電圧指令値Vqcを、静止座標である3相交流座標上でのU相、V相、W相の各相電圧指令値Vuc,Vvc,Vwcに変換する。座標変換部250の座標変換式は、たとえば、式(2)である。
【0047】
【数2】
【0048】
PWM部260は、各相における電圧指令値Vuc,Vvc,Vwcと所定の搬送波との比較に基づいて、スイッチング制御信号を生成し、インバータ210に出力する。インバータ210は、該スイッチング制御信号に従ってスイッチング制御を実行する。モータ110には、該スイッチング制御により、制御部310に入力されたトルク値Trに従ったトルクを出力するための交流電圧が印加される。
【0049】
このように、通常制御においては、トルク値Trに応じた電流指令値(Idc,Iqc)へモータ電流を制御する閉ループが構成される。この閉ループにより、モータ110の出力トルクはトルク値Trに従って制御される。つまり、制御部310は、制御信号(本実施の形態では、電流指令値(Idc,Iqc))に基づいて、モータ110を駆動する(ロータ110Aを回転させる)。
【0050】
[初期制御について]
次に、初期制御を説明する。初期制御は上述のように、モータ110の回転位置を指定位置(初期位置)に一致させるための制御である。図3は、初期制御を説明するための図である。図3(A)の例においては、平面座標として、γ軸およびδ軸とが示されている。この平面座標にロータ110Aが記載されている。ロータ110Aは、2極の永久磁石で構成されていることから、本実施形態のモータ110は、いわゆる2極モータである。
【0051】
q軸電流は、モータ110のトルクに対応する電流である。したがって、制御部310は、q軸電流をゼロとし、d軸電流を所定値とする。これにより、モータ110にトルクを発生させないようにし、かつ指定位置40に磁界(図4の例ではS極の磁界)を発生させることができる。このような磁界を発生させることにより、制御部310は、該制御部310が指定した指定位置40(指令角度)に、ロータ110Aの原点Cが位置するように該ロータ110Aを回転させる。原点Cは、ロータ110Aの所定の位置である。
【0052】
指定位置40は、角度θ1(角度θ5)に対応した位置となる。角度θ1は、指令角度とも称される。つまり、制御部310は、q軸電流をゼロとしかつd軸電流を所定値とした状態で、角度θ1を変更することにより、該指定位置40も変更できる。なお、変形例として、指定位置40に発生させる磁界はN極としてもよい。
【0053】
図3(A)では、初期の指定位置40がγ軸上の0度である(つまり、角度θ1=0度)例が示されている。また、図3(A)では、角度ズレΔθが示されている。角度ズレΔθは、指定位置40と、モータ110の実際の回転位置とのズレ量である。角度ズレΔθは、本開示の「差分量」に対応する。ロータ110AのN極は、指定位置40のS極に引き寄せられるため、Δθは徐々に小さくなる。
【0054】
図3(B)は、初期制御が行われたときから経過した時間tと角度ズレΔθとの関係を示す図である。図3(B)に示すように、時間tの経過に応じて、角度ズレΔθは振動しながら小さくなる。そして、角度ズレΔθが、予め定められた基準範囲に属した場合に、初期制御が終了することが好ましい。基準範囲は、0±Mにより示される範囲である。Mは、予め定められたマージン値である。制御部310は、角度ズレΔθが基準範囲に属した後に、通常制御を実行する。したがって、モータ駆動装置400は、該モータ駆動装置400が認識しているモータ110の回転角度(モータ駆動装置400による推定角度)と、モータ110の実際の回転角度との角度ズレを抑制した状態で、通常制御を実行することができる。
【0055】
図4は、初期制御を実行する場合において、角度ズレΔθが大きい場合が示されている。図4に示すように、角度ズレΔθが大きい場合には、初期制御が実行されたときから、角度ズレΔθが基準範囲に属するときまでの必要時間が多大になってしまう。また、角度ズレΔθが基準範囲に属する前に、初期制御から通常制御に切換わると、モータ110の脱調などが生じてしまう。
【0056】
そこで、本実施形態のモータ駆動装置400は、角度ズレΔθが大きい場合であってもモータ110の回転位置が指定位置となるまでの時間を軽減することが可能な初期制御を実行する。以下に、本実施形態の初期制御の詳細を説明する。
【0057】
説明を図2に戻す。上述のように、初期制御においては、スイッチ部350の状態が、加算部370からの角度θ1が座標変換部320に出力される第1状態となる。初期制御においては、制御部310は、角度演算部340のロータ110Aの角速度の指令値として、角速度ωcを角度演算部340に出力する。後述するように、制御部310は、角速度ωcを時間経過とともに大きくする。初期制御においては、まず、制御部310は、角度θ1を初期角度とすることにより、初期の指定位置40にS極の磁界を発生させる。初期角度は、0度とされる。これにより、制御部310は、たとえば、図3に示す指定位置40に磁界を発生させることができる。
【0058】
角度演算部340は、所定の演算を実行することにより角度θ3を出力する。該所定の演算は、たとえば、角速度ωcを積分する演算を含む。角度θ3は、加算部370に出力される。
【0059】
補正演算部360は、角度ズレΔθに応じた補正値(角度θ2)を算出する。上述のように、角度ズレΔθは、指定位置40と、モータ110の実際の回転位置とのズレ量である。なお、上述のように、モータ駆動装置400は、レゾルバを有さないことから、モータ110の実際の回転位置を検出しない。
【0060】
図5は、補正演算部360の機能ブロック図である。補正演算部360は、アークタンジェント部362と、積分部364と、PID部366とを有する。また、制御装置300が、初期の指定位置40に磁界を発生させることにより、電流センサ24VによりV相電流Ivが検出され、電流センサ24WによりW相電流Ivが検出される。これらのV相電流IvおよびW相電流Ivがアークタンジェント部362に入力される。アークタンジェント部362は、以下の式(3)に示すように、d軸電流Idの値と、q軸電流Iqの値とのアークタンジェントを算出することにより第1値を算出する。
【0061】
第1値=arctan(Iq/Id) (3)
この第1値は、本開示の「d軸電流とq軸電流とに基づく値」に対応する。より具体的には、第1値は、「d軸電流の位相とq軸電流の位相との位相ズレΔpに基づいた値」の一例である。第1値は、位相ズレΔpに近似される。この第1値は、積分部364に出力される。なお、変形例として、式(3)の「Iq/Id」については、「Id/Iq」としてもよい。
【0062】
積分部364は、第1値に対して積分処理を実行することにより第2値を算出する。この積分処理は、時間積分である。第2値は、「角度ズレΔθに相関する相関値」に対応する。換言すれば、第2値は、「ロータ110Aの位置と指定位置40との差分量に相関する相関値」に対応する。
【0063】
第2値は、PID部366に出力される。PID部366は、第2値に対してPID(Proportional(比例)、Integral(積分)、Derivative(微分))制御を実行する。PID部366によるPID制御は、本開示の「所定制御」の一例である。
【0064】
ここで、一般的には、PID制御は、実測値と目標値との差分である偏差に対して実行される。本実施形態においては、第2値が実測値に対応する。また、第2値は、角度ズレΔθに基づく値であり、本実施形態においては、第2値をゼロとすることを目標とする。したがって、本実施形態においては、ゼロが目標値に対応する。よって、偏差は、第2値とゼロとの差分であることから、第2値そのものとなる。したがって、PID部366には、偏差である第2値が入力される。
【0065】
PID部366は、第2値に対してPID制御を実行することにより第3値を算出する。この第3値は、角度θ2に該当する。PID部366により算出された第3値(角度θ2)は、加算部370に出力される。
【0066】
加算部370は、角度θ2と角度θ3との合計値である角度θ1をスイッチ部350に出力する。スイッチ部350から、角度θ1が、角度θ5として、座標変換部250および座標変換部320に出力される。座標変換部320および座標変換部250が角度θ1に基づいた角度変換を行うことにより、角度ズレΔθが小さくなる方向に指定位置40を変化させることができる。したがって、モータ駆動装置400は、ロータ110Aの回転位置が指定位置40となるまでの時間を軽減することができる。
【0067】
[第2値について]
次に、本実施形態の補正演算部360が、第2値を用いる理由を説明する。図6は、発明者が行った実験の結果の一例である。図6(A)~図6(C)の横軸は時間を示す。図6(A)の縦軸は、上記角度ズレΔθである。図6(B)の縦軸は、第1値である。図6(C)の縦軸は、第2値である。なお、図6(A)の角度ズレθについては、発明者は、レゾルバを用いて検出した。
【0068】
図6(A)~(C)のそれぞれにおいて、着目された箇所に、枠L1、枠L2、および枠L3が付されている。発明者は、角度ズレΔθ、第1値、および第2値を検出した結果、角度ズレΔθと、第2値との間に相関があることを発見した。
【0069】
特に、枠L1内の角度ズレΔθと、枠L3内の第2値とに示されるように、角度ズレΔθが極大値となるタイミングおよび極小値となるタイミングは、それぞれ、第2値が極小値となるタイミングおよび極大値となるタイミングに、おおよそ一致する。したがって、本実施形態のモータ駆動装置400は、第2値に基づいて角度ズレΔθを小さくするための第2値を算出できる。
【0070】
図7は、図3および図4とは異なる状況での初期制御を説明するための図である。図7(A)では、ロータ110Aの原点と、初期の指定位置40とが180度離れている場合(つまり、Δθが180度である場合)が示されている。この場合には、初期の指定位置40に磁界が発生されたとしても、ロータ110Aは回転しない。したがって、角度ズレΔθは、変化しない(図7(B)参照)。
【0071】
そこで、本実施形態においては、制御部310は、図2の角速度ωc(つまり、角度θ3)を時間経過とともに徐々に大きくする変化制御を実行する。この変化制御により、指定位置40を変化させることができ、角度ズレΔθを180度とは異なる角度とすることができる。その結果、ロータ110AのN極を、変化された指定位置40(S極)に引き寄せることができる。したがって、角度ズレΔθが180度であっても、制御部310がこの変化制御を実行することにより、ロータ110Aを回転させることができる。よって、モータ駆動装置400は、ロータ110Aの原点を指定位置40に位置させることができる。
【0072】
[PID制御について]
上述のように、PID部366は、PID制御を実行する。PID部366が、PID制御を実行することにより、より適切に第2値をゼロに近づけることができる。
【0073】
しかしながら、一般的に、d軸電流の位相およびq軸電流の位相に与えるノイズが、D制御が実行される対象信号に含まれる場合がある。この場合には、D制御による微分項が、制御装置300のロバスト性を悪化させることが多い。このロバスト性の悪化を懸念して、D制御を行わずに、PI制御を行う構成が考えられる。しかしながら、このようなPI制御では、適切に第2値をゼロに近づけることができない場合がある。
【0074】
図8は、D制御が、ロバスト性を悪化させることを説明するための図である。図8の式(A)は、D制御が実行される対象信号にノイズが含まれていない場合のD制御による微分の式である。図8(A)の式においては、“x(t)”が、D制御が実行される対象信号を示し、“T”が、制御装置300(PID部366)のサンプリング周期(制御周期)を示す。
【0075】
ところで、モータ駆動装置400のCPU302(図1参照)の性能によっては、第1サンプリング周期でPID制御を実行する場合と第2サンプリング周期でPID制御を実行する場合とが混在する場合がある。第1サンプリング周期は、制御装置300の設計上の周期Tである。第2サンプリング周期は、該設計上の周期Tに対して誤差Teが加味された周期である。このように、第1サンプリング周期と第2サンプリング周期とが混在することを、「周期バラツキ」と称する。
【0076】
図8の式(B)は、対象信号にエラー信号Err(t)が加味され、かつ、周期バラツキが発生した場合のD制御による微分の式である。また、式(C)は、式(B)が展開された式である。
【0077】
式(C)の部分D1に示されるように、微分後の信号には、周期バラツキが含まれる。さらに、部分D2に示すように、微分後の信号には、xe(t)、およびxe(t-T)といった2回分のノイズ信号が含まれ、上記のロバスト性が悪化してしまう。
【0078】
これに対し、本実施形態のPID部366が実行するPID制御の対象信号は、積分部364による第1値の積分処理が行われることにより算出された第2値に対応する。一般的に、信号に上記ノイズが含まれていたとしても、積分処理が実行されることによりノイズは抑制される。したがって、PID部366は、ノイズが抑制された信号に対してPID制御を実行できることから、ロバスト性の悪化を抑制できつつ、適切に第2値をゼロに近づけることができる。
【0079】
[フローチャート]
図9は、モータ駆動装置400の初期制御の処理を示すフローチャートである。図9は、上記の開始信号Cをモータ駆動装置400が受信したときに開始される。また、モータ駆動装置400は、上記サンプリング周期T毎に、図9の処理を実行する。つまり、モータ駆動装置400が開始信号Cを受信したときから、後述のステップS12により示される終了条件が成立するときまで、図9の処理は、繰返される。
【0080】
まず、ステップS2において、モータ駆動装置400は、角度θ3を所定値増加させる。このステップS2の処理は、上記の変化制御に該当する。次に、ステップS4において、モータ駆動装置400は、上記式(3)に基づいて、位相ズレΔpに基づく値(第1値)を算出する。
【0081】
次に、ステップS6において、モータ駆動装置400は、第1値を時間積分することより、第2値を算出する。この時間積分は、上記サンプリング周期での時間積分である。また、ステップS6は、開始信号Cを受信したときからの第2値の合計値を算出する処理である。つまり、ステップS6においては、モータ駆動装置400は、前回のステップS6において算出された第2値の合計値に対して、今回算出された第2値を加算する処理である。
【0082】
次に、ステップS8において、モータ駆動装置400は、ステップS6で算出された第2値に対してPID制御を実行することにより、θ2(第3値)を算出する。次に、ステップS10において、モータ駆動装置400は、角度θ1(θ2+θ3)を座標変換部250および座標変換部320に出力する。次に、ステップS12において、モータ駆動装置400は、初期制御を開始したときから所定期間が経過したか否かを判断する。所定期間は、たとえば、200msである。ステップS12でYESと判断された場合には、初期制御は終了し(上記の初期制御フラグが消去され)、図9の処理は終了する。
【0083】
一方、ステップS12でNOと判断された場合には、初期制御フラグは残存されつつ図9の処理は終了する。つまり、ステップS12でNOと判断された場合には、次のサンプリング周期分の初期制御が実行される。
【0084】
[シミュレーション結果]
図10は、本実施形態のモータ駆動装置400のシミュレーション結果を示す図である。本実施形態のモータ駆動装置400は、比較例のモータ駆動装置と比較される。比較例のモータ駆動装置は、上述の変化制御を実行するものの、補正演算部360を有さない装置である。このシミュレーションにおいては、ロータ110Aの実際の角度を検出するために、本実施形態のモータ駆動装置400および比較例のモータ駆動装置にレゾルバが具備された。
【0085】
図10(A)~図10(C)の横軸は、時間を示す。また、図10(A)および図10(B)の縦軸は、電気角を示し、図10(C)は、上記角度ズレΔθを示す。
【0086】
図10(A)は、比較例のモータ駆動装置のシミュレーション結果を示す図である。図10(A)では、角度θ1(=θ3)が破線で示されており、比較例のロータ110Aの実際の回転角度が実線で示されている。図10(A)に示すように、比較例のモータ駆動装置においては、一応、角度θ3が、実際の角度に近づいていることが示されている。
【0087】
図10(B)は、本実形態のモータ駆動装置400のシミュレーション結果を示す図である。図10(B)では、角度θ1(=θ2+θ3)が実線で示されており、ロータ110Aの実際の回転角度が破線で示されている。また、角度θ3が一点鎖線で示されている。図10(B)に示すように、本実施形態のモータ駆動装置400においては、角度θ1が、実際の角度に近づいていることが示されている。
【0088】
図10(C)は、比較例のモータ駆動装置と、本実形態のモータ駆動装置400との比較結果である。本実形態のモータ駆動装置400の角度ズレΔθを実線で示し、比較例のモータ駆動装置の角度ズレΔθを破線で示す。図10(C)に示すように、比較例のモータ駆動装置よりも、本実形態のモータ駆動装置400の方が、早く、角度ズレΔθが小さくなる。つまり、比較例のモータ駆動装置よりも、本実形態のモータ駆動装置400の方が、初期制御を開始したときからロータ110Aの回転位置が指定位置となるときまでの時間が短くなる。
【0089】
[本実施形態のモータ駆動装置の作用・効果]
以上、図5および図6などで説明したように、本実施形態のモータ駆動装置400は、d軸電流とq軸電流とに基づく値(第1値)を積分することにより、相関値(第2値)を算出する。そして、モータ駆動装置400は、ロータ110Aの回転位置を指定位置40に一致させるための初期制御を、相関値に基づいて実行する。具体的には、モータ駆動装置400は、初期制御を、相関値に基づいた指令値を用いて実行する。このように、モータ駆動装置400は、角度ズレΔθと相関がある相関値を用いて、初期制御を実行することから、ロータ110Aの回転位置が指定位置となるまでの時間を短くできる。
【0090】
また、センサレス構成において、ロータの回転位置の推定精度を向上させる手法として、高調波信号重畳を使用する手法がある。しかしながら、SPM(surface permanent magnetic)が採用されているモータでは高調波信号重畳が使用できない。本実施形態のモータ駆動装置400であれば、高調波信号重畳を使用しなくても、初期制御を実行できる。
【0091】
また、モータ駆動装置400は、第2値をゼロとするための所定制御を実行することにより、位置制御を実行する。したがって、モータ駆動装置400は、所定制御により差分量をゼロにすることができる。
【0092】
また、所定制御は、相関値に対するPID制御である(図5参照)。したがって、モータ駆動装置400は、比較的、簡易な制御により、第3値を算出できる。
【0093】
また、モータ駆動装置400は、d軸電流の値およびq軸電流の値のアークタンジェント値を第1値として算出する(図5参照)。したがって、モータ駆動装置400は、比較的、簡易な制御により、第1値を算出できる。
【0094】
また、モータ駆動装置400は、ステップS12に示すように、初期制御を開始したときから所定期間が経過したときに、該初期制御を終了させる。したがって、モータ駆動装置400は、比較的、簡易な制御により、初期制御の終了の有無を判断できる。
【0095】
また、モータ駆動装置400は、指定位置40を時間経過とともに徐々に変化させる上記の変化制御を実行する(図9のステップS2)。したがって、モータ駆動装置400は、図7に示すようにΔθの値が180度であったとしても、適切に初期制御を実行できる。
【0096】
また、図3に示すように、ロータ110Aは、2極磁石により構成される。したがって、ロータ110Aの構成を簡易に出来る一方、角度ズレΔθが生じやすくなる傾向がある。しかしながら、本実施形態のモータ駆動装置400によれば、角度ズレΔθが大きくなる2極磁石であるロータ110Aが採用されていたとしても、適切に初期制御を実行できる。
【0097】
[その他の実施形態]
(1) 上述の実施形態によれば、モータ駆動装置400は、図5で説明したように、d軸電流の値と、q軸電流の値とのアークタンジェント値を、第1値(d軸電流の位相とq軸電流の位相との位相ズレΔpに基づいた値)として算出する構成が説明された。しかしながら、他の手法により第1値が算出されてもよい。
【0098】
図11は、本変形例のモータ駆動装置400の補正演算部360Aの機能ブロック図である。図11の補正演算部360Aは、図5の補正演算部360のアークタンジェント部362が、除算部362Aに代替された演算部である。除算部362Aは、以下の式(4)に示すように、d軸電流の値と、q軸電流の値との除算値を算出することにより第1値を算出する。
【0099】
第1値=Iq/Id (4)
このような構成であっても、モータ駆動装置400は、位相の算出に使用する三角関数といった複雑な演算を行うことなく、第1値を算出できる。なお、変形例として、式(4)の右辺は、Id/Iqとしてもよい。
【0100】
(2) 上述の実施形態の初期制御の終了条件は、初期制御の開始から所定期間経過したという条件である構成が説明された(図9のステップS12参照)。しかしながら、終了条件は他の条件としてもよい。図12は、本変形例のモータ駆動装置400の処理を示すフローチャートである。
【0101】
図12のフローチャートは、図9のステップS12がステップS12Aに代替されたフローチャートである。ステップS12Aの終了条件は、第2値の変化量が閾値未満であるという条件である。以下では、制御装置300が、1のサンプリング周期で行う制御は、「周期制御」とも称される。変化量は、前回の周期制御で算出された第2値と、今回の周期制御で算出された第2値との差分値である。
【0102】
図6(A)および図6(C)に示すように、角度ズレΔθが小さくなることと、第2値の変化量とは相関している。本変形例は、この相関に基づいた例である。このような構成であっても、モータ駆動装置400は、比較的、簡易な構成により、位置制御の終了の有無を判断できる。
【0103】
(3) 上述のモータ駆動装置400は、レゾルバを備えない構成が説明された。しかしながら、モータ駆動装置400は、レゾルバを備えていてもよい。たとえば、モータ駆動装置400の出荷前において、モータ駆動装置400がレゾルバを備えていたとしても、角度ズレΔθが生じている場合がある。このような場合であっても、モータ駆動装置400の上記の位置制御により、角度ズレΔθをゼロにすることができる。
【0104】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0105】
22 中性点、24V,24W 電流センサ、40 指定位置、110 モータ、110A ロータ、150 バッテリ、210 インバータ、240 PI演算部、250,320 座標変換部、260 PWM部、300 制御装置、304 メモリ、310 制御部、311,312 減算部、330 推定部、340 角度演算部、350 スイッチ部、360,360A 補正演算部、362 アークタンジェント部、362A タンジェント部、364 積分部、366 PID部、370 加算部、400 モータ駆動装置、500 電気システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12