(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141400
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】枕
(51)【国際特許分類】
A47G 9/10 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
A47G9/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053010
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】507358642
【氏名又は名称】株式会社ルービックJP
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】日野 淳一
【テーマコード(参考)】
3B102
【Fターム(参考)】
3B102AA04
3B102AB07
3B102AC01
(57)【要約】
【課題】従来のフィラメント三次元結合体を用いた枕では、上下方向のフィラメントの密度が前後方向及び左右方向で一定となっているために、横臥時における上下方向の伸縮が単調なものであり、使い心地(寝心地)が良好なものではなかった。
【解決手段】本発明では、フィラメント三次元結合体を用いた枕(1)において、フィラメント三次元結合体からなる枕本体(2)の内部に、枕本体(2)とは伸縮性が異なるクッション体(3,4)を着脱自在に収容することにした。また、本発明では、前記クッション体(3,4)を枕本体(2)の前側と後側とに分割して収容することにした。さらに、本発明では、前記クッション体(3,4)を左右又は/及び前後に一体的に連なる複数のポケットコイル(7,8)で形成することにした。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィラメント三次元結合体を用いた枕において、
フィラメント三次元結合体からなる枕本体の内部に、枕本体とは伸縮性が異なるクッション体を着脱自在に収容したことを特徴とする枕。
【請求項2】
前記クッション体を枕本体の前側と後側とに分割して収容したことを特徴とする請求項1に記載の枕。
【請求項3】
前記クッション体を左右又は/及び前後に一体的に連なる複数のポケットコイルで形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の枕。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィラメント三次元結合体を用いた枕に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、枕の内部のクッション材として、横臥する人の身長方向となる前後方向、及び左右方向並びに上下方向に伸延するフィラメント三次元結合体を用いた枕が知られている。
【0003】
この従来の枕に用いられているクッション材は、溶融状態にある複数の熱可塑性樹脂繊維からなるフィラメントを上方から降下させてフィラメント同士を立体的なネット状に融着させた後に冷却することで製造されており、上下方向のフィラメントの密度が前後方向及び左右方向で一定となるようにしている(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来のフィラメント三次元結合体を用いた枕では、上下方向のフィラメントの密度が前後方向及び左右方向で一定となっているために、横臥時における上下方向の伸縮が単調なものであり、使い心地(寝心地)が良好なものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、請求項1に係る本発明では、フィラメント三次元結合体を用いた枕において、フィラメント三次元結合体からなる枕本体の内部に、枕本体とは伸縮性が異なるクッション体を着脱自在に収容することにした。
【0007】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記クッション体を枕本体の前側と後側とに分割して収容することにした。
【0008】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る本発明において、前記クッション体を左右又は/及び前後に一体的に連なる複数のポケットコイルで形成することにした。
【発明の効果】
【0009】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0010】
すなわち、本発明では、フィラメント三次元結合体を用いた枕において、フィラメント三次元結合体からなる枕本体の内部に、枕本体とは伸縮性が異なるクッション体を着脱自在に収容することにしているために、横臥時における上下方向のクッション性を変化させることができ、使い心地を向上させることができ、また、クッション体を外して枕本体を洗浄することができるので、枕を清潔に保持することができる。
【0011】
特に、前記クッション体を枕本体の前側と後側とに分割して収容することにした場合には、使用者の頭部形状や好みなどに応じて横臥時における上下方向のクッション性を変化させることができ、使い心地をより一層向上させることができる。
【0012】
また、前記クッション体を左右又は/及び前後に一体的に連なる複数のポケットコイルで形成することにした場合には、頭部の荷重を複数のポケットコイルで多点的に支持することができ、横臥時における上下方向のクッション性を良好なものとすることができ、これによっても、使い心地をより一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る枕の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、仰臥位で横臥する人(枕を使用する人)の身長方向を前後方向とするとともに幅方向を左右方向とし、仰臥位で横臥する人の足側から見た状態を正面として、仰臥位で横臥する人の首側を前側(頭頂部側を後側)として説明する。
【0015】
図1~
図4に示すように、枕1は、概ね矩形箱型状の枕本体2の内部前方及び後方に概ね矩形板状のクッション体3,4を着脱自在(交換可能)に収容している。
【0016】
枕本体2は、フィラメント三次元結合体によって全体が一体的に形成されており、前後方向(
図1では上下方向)とそれに直交する左右方向及び上下方向に伸延する矩形箱型状に形成されている。ここで、フィラメント三次元結合体は、溶融状態にある複数の熱可塑性樹脂繊維からなるフィラメント同士を立体的なネット状に融着させた後に冷却することで形成される。フィラメントとしては、ポリエチレンやポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂材料が用いられる。
【0017】
この枕本体2は、前側の高さよりも後側の高さを高くし、前側の前後幅よりも後側の前後幅を狭くして、仰臥位で横臥する人の首側を主に支持する枕1の前側が低くて長く、後頭部側を主に支持する枕1の後側が高くて短くなるようにしている。
【0018】
また、枕本体2は、前側の上下方向の中央部に左右に連通する一定の前後幅及び左右幅並びに高さの収容スペース5を形成するとともに、後側の上下方向の下部(前側の上下方向の中央部で前側の収容スペース5と同じ高さ)に左右に連通する一定の前後幅及び左右幅並びに高さの収容スペース6を形成している。なお、ここでは、前側の収容スペース5の前後幅を後側の収容スペース6の前後幅よりも広くしている。
【0019】
そして、枕本体2は、前側の収容スペース5に前側のクッション体3を着脱自在に収容するとともに、後側の収容スペース6に後側のクッション体4を着脱自在に収容している。
【0020】
クッション体3,4は、枕本体2とは異なる素材を用いて、枕本体2の上下方向の伸縮性とは異なる伸縮性を有するものとしている。なお、クッション体3,4は、枕本体2と同一の素材(フィラメント三次元結合体)を用いて、フィラメントの密度を枕本体2と異ならせることによって枕本体2の上下方向の伸縮性とは異なる伸縮性を有するものとしてもよい。
【0021】
ここでは、クッション体3,4として、複数のポケットコイル7,8を左右又は/及び前後に一体的に連ねたものを用いている。
【0022】
クッション体3は、中空円筒形の袋状のポケット9の内部にコイル(スプリング)10をコイル10の変形方向(撓み方向)を上下にした状態で1個ずつ収容してポケットコイル7を形成するとともに、左右方向に複数個(ここでは、12個)及び前後方向に複数個(ここでは、5個)のポケットコイル7を密着させた状態でポケット9の外周部同士を接合している。なお、各ポケット9は、何ら力が作用していない状態のコイル10と略同一の空間としている。各ポケット9の大きさを変えて異なるサイズのコイル10を収容してもよく、各ポケット9に複数個のコイル10を上下に並べて収容してもよく、各ポケット9を上下に複数に分割して複数個のコイル10を収容してもよい。
【0023】
これにより、クッション体3は、複数のポケットコイル7を左右及び前後に一体的に連ねた1枚の面状のクッション体3を形成している。なお、クッション体3は、左右及び前後に並ぶコイル10の伸縮性(弾性力:硬さ)が全て同一のものを用いてもよく、中央部分とその周囲部分、或いは、前側部分と後側部分などのように部分的に異なる伸縮性を有するものを用いてもよい。
【0024】
クッション体4は、中空円筒形の袋状のポケット11の内部にコイル(スプリング)12をコイル12の変形方向(撓み方向)を上下にした状態で1個ずつ収容してポケットコイル8を形成するとともに、左右方向に複数個(ここでは、12個)のポケットコイル8を密着させた状態でポケット11の外周部同士を接合している。なお、各ポケット11は、何ら力が作用していない状態のコイル12と略同一の空間としている。各ポケット11の大きさを変えて異なるサイズのコイル12を収容してもよく、各ポケット11に複数個のコイル12を上下に並べて収容してもよく、各ポケット11を上下に複数に分割して複数個のコイル12を収容してもよい。
【0025】
これにより、クッション体4は、複数のポケットコイル8を左右に一体的に連ねた1枚の棒状のクッション体4を形成している。なお、クッション体4は、左右に並ぶコイル12の伸縮性(弾性力:硬さ)が全て同一のものを用いてもよく、中央部分と外側部分などのように部分的に異なる伸縮性を有するものを用いてもよい。
【0026】
クッション体3,4は、同一の高さのものを用いてもよく、前側のクッション体3の高さよりも後側のクッション体4の高さを高くするなど異なる高さのものを用いてもよい。
【0027】
以上に説明したように、上記枕1は、フィラメント三次元結合体からなる枕本体2の内部に、枕本体2とは伸縮性が異なるクッション体3,4を着脱自在に収容した構成となっている。
【0028】
そのため、上記構成の枕1では、横臥時における上下方向のクッション性を変化させることができ、使い心地(寝心地)を向上させることができ、また、クッション体3,4を外して枕本体2を洗浄することができるので、枕1を清潔に保持することができる。
【0029】
また、上記枕1は、クッション体3,4を枕本体2の前側と後側とに分割して収容した構成となっている。
【0030】
そのため、上記構成の枕1では、使用者の頭部形状や好みなどに応じて横臥時における上下方向のクッション性を変化させることができ、使い心地をより一層向上させることができる。
【0031】
また、上記枕1は、クッション体3,4を左右又は/及び前後に一体的に連なる複数のポケットコイル7,8で形成した構成となっている。
【0032】
そのため、上記構成の枕1では、頭部の荷重を複数のポケットコイル7,8で多点的に支持することができ、横臥時における上下方向のクッション性を良好なものとすることができ、これによっても、使い心地をより一層向上させることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 枕 2 枕本体
3,4 クッション体 5,6 収容スペース
7,8 ポケットコイル 9,11 ポケット
10,12 コイル