(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141405
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】物品搬送台車
(51)【国際特許分類】
B65G 1/06 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B65G1/06 M
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053016
(22)【出願日】2023-03-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003355
【氏名又は名称】株式会社椿本チエイン
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(74)【代理人】
【識別番号】100138254
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 容子
(72)【発明者】
【氏名】町田 敏宏
(72)【発明者】
【氏名】伊達 洋貴
(72)【発明者】
【氏名】濱田 洋昭
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022EE09
3F022FF01
3F022JJ13
3F022MM22
3F022MM51
3F022NN02
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で、昇降用歯車と走行用車輪とを別々に回転でき、左右の昇降用歯車の同期を簡単に実施できる物品搬送台車を提供すること。
【解決手段】本体部110と、水平移動路Frおよび床Gを移動可能な走行用車輪111と、昇降移動路Vrの昇降用ラックギヤVgに係合して昇降可能な昇降用歯車115と、床G上で本体部110の向きを転換可能な方向転換機構と、駆動部120、121と、搬送対象Cを保持するワーク保持部116とを有した物品搬送台車100であって、本体部110は、走行用車輪111の走行接続軸117(走行軸Mc)を回転可能に保持する第1回転保持部と、昇降用歯車115の昇降接続軸118(昇降軸Sc)を回転可能に保持する第2回転保持部とを有し、走行軸Mcと昇降軸Scとは、互いに異なる軸線上に配置されていること。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、自動倉庫内の棚に設けられた水平移動路および床を移動可能な走行用車輪と、自動倉庫内の棚に設けられた昇降移動路の昇降用ラックギヤに係合して昇降可能な昇降用歯車と、駆動部と、搬送対象であるワークを保持するワーク保持部とを有した物品搬送台車であって、
前記本体部は、前記走行用車輪の回転軸である走行軸を回転可能に保持する第1回転保持部と、前記昇降用歯車の回転軸である昇降軸を回転可能に保持する第2回転保持部とを有し、
前記駆動部は、前記走行用車輪を駆動する走行駆動部と、前記昇降用歯車を駆動する昇降駆動部とを有し、
前記走行軸と前記昇降軸とは、互いに異なる軸線上に配置されていることを特徴とする物品搬送台車。
【請求項2】
前記走行軸と前記昇降軸とは、互いに平行に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の物品搬送台車。
【請求項3】
前記走行軸と前記昇降軸とは、異なる高さに配置されていることを特徴とする請求項2に記載の物品搬送台車。
【請求項4】
前記走行軸と前記昇降軸とは、上下に並んで配置されていることを特徴とする請求項3に記載の物品搬送台車。
【請求項5】
前記本体部は、前記本体部の向きを転換可能な方向転換機構を有することを特徴とする請求項1に記載の物品搬送台車。
【請求項6】
前記走行用車輪は、前記本体部の左右に同一の回転軸で回転可能に設けられた左側車輪と右側車輪とで構成され、
前記走行駆動部は、前記左側車輪を駆動する左側走行駆動部と、前記右側車輪を駆動する右側走行駆動部とを有し、
前記方向転換機構は、前記左側走行駆動部と前記右側走行駆動部とで前記左側車輪と前記右側車輪との回転を調整して前記本体部の向きを転換可能に構成されていることを特徴とする請求項5に記載の物品搬送台車。
【請求項7】
前記昇降用歯車は、前記本体部の左右に同一の前記昇降軸で接続された左側歯車と右側歯車とで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の物品搬送台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫内の棚に設けられた水平移動路を移動可能な物品搬送台車に関する。
【0002】
従来、自動倉庫内で物品を搬送する物品搬送台車として、搬送路等を走行する駆動ホイール12および支持ホイール14と、案内ローラ16と、ラックに係合して昇降を可能とするピニオン18、カウンターホイール19、20とを有する物品搬送台車(クライミングロボット10)が、特許文献1で公知である。
【0003】
この特許文献1で公知の物品搬送台車(クライミングロボット10)は、左右1対の昇降用歯車(ピニオン)を昇降用ラック(ラック)に係合することで、昇降用ラック(ラック)を昇降することができるものである。
また、左右一対の昇降用歯車(ピニオン)は左右一対の走行用車輪(駆動ホイール)と同じ回転中心軸で回転するように配置されているため、走行用車輪(駆動ホイール)による物品搬送台車(クライミングロボット10)の走行と昇降用歯車(ピニオン)による物品搬送台車(クライミングロボット10)の昇降を同一回転軸の回転で実施しており、物品搬送台車(クライミングロボット10)の走行と昇降を共通のモータ等の駆動部(駆動機構)で動作しているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1で公知の物品搬送台車には、未だ改善の余地があった。
すなわち、特許文献1で公知の物品搬送台車は、物品搬送台車の走行と昇降を共通の駆動部で動作しているため、走行用車輪と昇降用歯車が同時に回転することから、昇降用ラックに昇降用歯車の位相を合わせる際に走行用車輪も回転して物品搬送台車の位置がずれて昇降用ラックと昇降用歯車とを係合させて昇降を開始するまでに時間がかかる虞があった。
また、走行用車輪および昇降用歯車は左右1対設けられているため、例えば、左側の走行用車輪および昇降用歯車を回転させる左側の駆動部と、右側の走行用車輪および昇降用歯車を回転させる右側の駆動部とを有している場合、左右の昇降用歯車の位相を同期させるための制御を実施する必要があり、左右の駆動部の制御に関するコストアップや、メンテナンス頻度が増加してしまう虞があった。
【0006】
本発明は、これらの問題点を解決するものであり、簡単な構成で、昇降用歯車と走行用車輪とを別々に回転でき、左右の昇降用歯車の同期を簡単に実施できる物品搬送台車を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本体部と、自動倉庫内の棚に設けられた水平移動路および床を移動可能な走行用車輪と、自動倉庫内の棚に設けられた昇降移動路の昇降用ラックギヤに係合して昇降可能な昇降用歯車と、駆動部と、搬送対象であるワークを保持するワーク保持部とを有した物品搬送台車であって、前記本体部は、前記走行用車輪の回転軸である走行軸を回転可能に保持する第1回転保持部と、前記昇降用歯車の回転軸である昇降軸を回転可能に保持する第2回転保持部とを有し、前記駆動部は、前記走行用車輪を駆動する走行駆動部と、前記昇降用歯車を駆動する昇降駆動部とを有し、前記走行軸と前記昇降軸とは、互いに異なる軸線上に配置されていることにより、前記課題を解決するものである。
【0008】
請求項1に係る物品搬送台車によれば、走行軸と昇降軸とは、互いに異なる軸線上に配置されているため、走行軸と昇降軸を別々に任意のタイミングで動作することができる。
これによって、例えば、昇降用歯車の位相を昇降用ラックギヤに合わせる際に、走行用車輪が連動して回転することがなく、物品搬送台車が移動してしまうことがない。
また、走行中に予め昇降用歯車の位相を昇降用ラックギヤに合う位置に調整することもでき、作業時間を短縮することもできる。
【0009】
請求項2に記載の構成によれば、走行軸と昇降軸とは、互いに平行に配置されているため、物品搬送台車の前後移動方向が、昇降用歯車と昇降用ラックギヤとの係合および離脱方向と一致し、物品搬送台車の前後移動を操作することで、簡単に昇降用歯車と昇降用ラックギヤとの係合および離脱を実施できる。
請求項3に記載の構成によれば、走行軸と昇降軸とは、異なる高さに配置されているため、例えば、走行軸を昇降軸よりも低い位置に配置すれば、昇降用歯車の水平移動路や床面への干渉を回避でき、昇降用歯車を回転させた際に、物品搬送台車が床面や水平移動路に沿って不意に移動することを確実に防止できる。
【0010】
請求項4に記載の構成によれば、走行軸と昇降軸とは、上下に並んで配置されているため、走行用駆動部や昇降用駆動部、走行用車輪や昇降用歯車等の重量物を昇降軸の近傍に集中させることができ、重量物が昇降軸から離れた位置に配置されている場合に比べて、昇降時に物品搬送台車に発生するモーメントが小さくなる。
これによって、物品搬送台車に必要な強度を下げることができ、物品搬送台車の構成を簡素化でき、コストアップを抑制できる。
請求項5に記載の構成によれば、本体部は、本体部の向きを転換可能な方向転換機構を有しているため、例えば床面等を走行する場合、ガイドレール等を使用しなくても、物品の受け渡し場所等に本体部の進行方向側を向けて簡単に移動することができる。
【0011】
請求項5に記載の構成によれば、走行用車輪は、本体部の左右に同一の回転軸で回転可能に設けられた左側車輪と右側車輪とで構成され、走行駆動部は、左側車輪を駆動する左側走行駆動部と、右側車輪を駆動する右側走行駆動部とを有し、方向転換機構は、左側走行駆動部と右側走行駆動部とで左側車輪と右側車輪との回転を調整して本体部の向きを転換可能に構成されているため、物品搬送台車は左側車輪と右側車輪の回転方向や回転速度を調整して、大きく前後移動することなく方向転換をすることができ、自動倉庫内の狭い空間でも簡単に物品搬送台車の向きを変えることができる。
請求項6に記載の構成によれば、昇降用歯車は、本体部の左右に同一の昇降軸で接続された左側歯車と右側歯車とで構成されているため、左側歯車と右側歯車との位相がずれることがなく、ラックギヤとの係合時等における昇降用歯車を簡単に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る物品搬送台車100の斜視図。
【
図2】本発明の一実施形態に係る物品搬送台車100の側面模式図。
【
図3】本発明の一実施形態に係る物品搬送台車100の正面模式図。
【
図4】本発明の一実施形態に係る物品搬送台車100が走行および昇降する自動倉庫H内の保管棚Tを示す側面図。
【
図5】本発明の一実施形態に係る物品搬送台車100の、昇降移動路Vrを用いた自動倉庫H内の移動方法を示す側面模式図。
【
図6】本発明の一実施形態に係る物品搬送台車100の、昇降移動路Vrおよび水平移動路Frとの位置関係を示す正面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の一実施形態に係る物品搬送台車100について、
図1乃至
図6を用いて説明する。
【0014】
本発明の一実施形態に係る物品搬送台車100は、
図1乃至
図3に示すように、本体部110と、後述する自動倉庫H内の床面Gや保管棚Tの水平移動路Frを移動可能な走行用車輪111および走行補助車輪112と、後述する昇降用ラックギヤVgおよび進退用ラックギヤBgと係合して昇降移動路Vrの昇降が可能な昇降用歯車115と、昇降用車輪113および昇降補助車輪114と、搬送物品であるコンテナCを保持する物品保持部116と、制御部(図示しない)を有している。
走行用車輪111は、左右1対の右側車輪111aと左側車輪111bとで構成され、それぞれ走行軸Mcを回転軸として回転可能に走行接続軸117(右走行接続軸117a、左走行接続軸117b)によって本体部110と接続され、走行接続軸117(右走行接続軸117a、左走行接続軸117b)には、走行駆動部120(右走行駆動部120a、左走行駆動部120b)が駆動力を伝達可能に接続されている。
【0015】
昇降用歯車115は、左右1対設けられており、昇降軸Scを回転軸として回転可能に昇降接続軸118によって本体部110と接続され、昇降接続軸118には、昇降駆動部121が駆動力を伝達可能に接続されている。
昇降用車輪113は、昇降軸Scを回転軸として回転可能に昇降接続軸118に接続されている。
昇降補助車輪114は、昇降補助軸Rcを回転軸として回転可能に補助接続軸119によって本体部110と接続されている。
なお、昇降用歯車115(昇降用車輪113)、昇降補助車輪114、走行用車輪111は、本体部110側からそれぞれ昇降軸Sc方向、昇降補助軸Rc方向、走行軸Mc方向に進退移動可能に構成されている。
また、走行補助車輪112は、走行用車輪111に連動して本体部110から進退移動可能に構成されている。
【0016】
物品保持部116は、本体部110の左右方向からコンテナCを授受可能に構成されている。
制御部(図示しない)は、走行駆動部120および昇降駆動部121を制御して、物品搬送台車100を方向転換する方向転換機構(図示しない)を担う動作を可能とするとともに、物品搬送台車100を移動可能に構成されているとともに、物品保持部116へのコンテナCの搬入出を制御するものである。
【0017】
次に、本発明の一実施形態による、自動倉庫H内での物品搬送台車100の走行移動および昇降移動について、
図4乃至
図6を用いて説明する。
なお、説明のため、自動倉庫H内の保管棚T、水平移動路Fr、昇降移動路Vrは、全体の一部のみ図示する。
【0018】
自動倉庫Hは、
図4に示すように、床面Gと、床面G上に設置された保管棚Tと、保管棚Tに保管された複数のコンテナCに物品搬送台車100が接近可能とする水平移動路Frと、高さの異なる水平移動路Frへ物品搬送台車100が進入可能とする昇降移動路∨rとを有している。
水平移動路Frは、物品搬送台車100の走行用車輪111および走行補助車輪112が水平移動路Fr上に接触して走行可能であれば、レール状でもよく、平板のスロープ状に形成されていてもよい。
昇降移動路Vrは、物品搬送台車100の昇降用歯車115と係合可能な昇降用ラックギヤVgが上下方向に延びるように形成されている。
【0019】
まず、
図5に示すように、走行駆動部120を駆動させて床面G上の物品搬送台車100を昇降移動路Vr側へ移動する。
このとき、走行軸Mcと昇降軸Scとは互いに平行になるように配置されているため、昇降用歯車115と昇降用ラックギヤVgとが対向する向きであれば、物品搬送台車100右走行駆動部120aと左走行駆動部120bが同期して回転するように制御部(図示しない)で制御することで、昇降移動路側Vrへ向きがずれることなく接近することができる。
【0020】
なお、物品搬送台車100の向きがずれている場合は、方向転換機構(図示しない)によって右走行駆動部120aと左走行駆動部120bとの回転を調整することで、物品搬送台車100を大きく前後移動させることなくその場で方向転換することができるため、複数の保管棚T間の狭い通路内であっても物品搬送台車100と昇降移動路∨rとの向きを簡単に調整できる。
また、昇降軸Scと走行軸Mcとはそれぞれ昇降駆動部121と走行駆動部120(右走行駆動部120a、左走行駆動部120b)とでそれぞれ別の駆動力を与えることができるため、物品搬送台車100を昇降移動路Vr側へ移動している間に昇降用ラックギヤVgと昇降用歯車115との位相を予め合わせておくことができ、昇降用ラックギヤVgに昇降用歯車115とを迅速に係合させて物品搬送台車100の昇降移動へ切り替えることができる。
【0021】
物品搬送台車100を昇降移動路Vrへ移動させ、昇降用歯車115を昇降軸Sc方向へ移動して昇降用ラックギヤVgと昇降用歯車115とを係合させた後、昇降駆動部121から昇降接続軸118へ駆動力を与えると、昇降用歯車115が回転して昇降用ラックギヤVgと次々に噛み合い、上方へ物品搬送台車100を上昇させることができる。
このとき、昇降用車輪113および昇降補助車輪114をそれぞれ昇降軸Scおよび昇降補助軸Rc方向へ移動して昇降移動路Vrの昇降面と接触させた状態で昇降することで、物品搬送台車100の昇降時のガイドローラーとなり、より安定して物品搬送台車100を昇降することができる。
【0022】
昇降用歯車115と昇降用ラックギヤVgとを係合して水平移動路Frの近傍まで到達した物品搬送台車100は、
図6に示すように、走行用車輪111を走行軸Mc方向へ移動して水平移動路Fr上に位置させた後、昇降用歯車115(昇降用車輪113)および昇降用補助車輪114をそれぞれ昇降軸Sc方向および昇降補助軸Rc方向へ移動して昇降移動路Vrから離脱させることによって、昇降移動路Vrから水平移動路Frへ移載される。
【0023】
水平移動路Frへ乗り移った物品搬送台車100は、走行駆動部120を駆動させて走行用車輪111を回転し、保管棚T内の所定の位置に移動してコンテナCを受け渡し、保管する。
搬入出作業が終了した物品搬送台車100は、走行駆動部120を駆動させて走行用車輪111を回転し、昇降移動路Vr側へ移動する。
【0024】
昇降移動路Vr側へ移動した物品搬送台車100は、昇降用歯車115を昇降軸Sc方向に移動して昇降用ラックギヤVgと係合させた後、走行用車輪111を本体部110側へ移動して水平移動路Frから離脱する。
次に、昇降駆動部121を駆動して昇降用歯車115を回転させて床面G側へ下降する。
【0025】
床面Gに走行用車輪111が到達した物品搬送台車100は、昇降用歯車115(昇降用車輪113)および昇降用補助車輪114を移動して昇降用ラックギヤVgおよび昇降移動路Vrから離脱させた後、走行駆動部120を駆動して走行用車輪111を回転させて、次の搬送対象のコンテナCを受け取る位置へ移動する。
保管棚TからコンテナCを搬出する際は、上記のコンテナCの搬入手順と同様に、物品保持部116が空の状態の物品搬送台車100を昇降移動路Vr、水平移動路Frを経由して搬送対象のコンテナCの保管位置まで移動させ、コンテナCを保管棚Tから物品保持部116へ移載して床面Gまで再び水平移動路Fr、昇降移動路Vrを通って移動することで実施可能である。
【0026】
また、保管棚T内でコンテナCの保管位置を変更する際には、床面Gを経由することなく、移動対象のコンテナCを物品保持部116へ移載した状態で、水平移動路Fr、昇降移動路Vrを経由して保管棚Tの他の保管位置へ移動することもできる。
【0027】
以上のように、走行軸Mcと昇降軸Scとを別の位置に設け、走行用車輪111と昇降用歯車115をそれぞれ別体の走行駆動部120と昇降駆動部121で駆動させることで、物品搬送台車100を昇降移動路Vrへ近づけながら昇降用歯車115と昇降用ラックギヤVgとの位相を合わせることができ、迅速に物品搬送台車100を昇降させることができる。
また、走行用車輪111と昇降用歯車115とが常に連動して回転する場合に比べて、昇降用歯車115と昇降用ラックギヤVgと精密に位相を合わせることができるため、昇降用歯車115と昇降用ラックギヤVgとの位相ずれによる摩耗を抑制でき、昇降用歯車115や昇降用ラックギヤVgのメンテナンス頻度や交換頻度を抑制できる。
また、物品搬送台車100の構成のうち、重量物となる走行用車輪111や走行駆動部120が昇降用歯車115の近傍に配置されていることで、物品搬送台車100にかかるモーメントが小さくなり、物品搬送台車100の必要強度を下げることができ、装置構成を簡単化でき、コストアップを抑制できる。
【0028】
また、左右1対の昇降用歯車115は、同じ昇降接続軸118で接続され、同じ昇降駆動部121で駆動するため、左右の昇降用歯車115の位相がずれることがなく、左右の昇降用歯車115の位相合わせを制御する必要がなく、昇降用ラックギヤVgと昇降用歯車115との係合時等における制御を簡単化できる。
【0029】
以上、本発明の一実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0030】
なお、上述した実施形態では、走行用車輪と昇降用歯車とは、上下方向に走行軸と昇降軸とが平行して並ぶように配置されているものとして説明したが、走行用車輪と昇降用歯車との位置関係はこれに限定されず、例えば、走行用車輪と昇降用歯車とが、前後方向や異なる高さに走行軸と昇降軸とが平行して並ぶように配置されていてもよい。
また、上述した実施形態では、右側車輪と左側車輪とは、右走行駆動部と左走行駆動部とでそれぞれ別々に駆動するものとして説明したが、走行用車輪および走行駆動部の構成はこれに限定されず、例えば、左右の走行用車輪が1つの走行駆動部で常に連動回転するように駆動されるように構成してもよい。
【0031】
また、上述した実施形態では、昇降用車輪および昇降補助車輪は、昇降移動路を移動する際のガイドローラーとして機能するものとして説明したが、物品搬送台車の構成は昇降移動時に物品搬送台車の向きを水平に維持できればこれに限定されず、例えば、昇降用車輪や昇降補助車輪を設けずに、昇降移動路に接触して摺動可能な板状の摺動部材を設けてもよい。
また、上述した実施形態では、走行用車輪、走行補助車輪、昇降用歯車、昇降用車輪、昇降補助車輪は、それぞれ軸方向に進退移動可能に構成され、昇降移動路および水平移動路との接続/離脱をするものとして説明したが、昇降移動路および水平移動路との接続/離脱の方式はこれに限定されず、例えば、走行用車輪、走行補助車輪、昇降用歯車、昇降用車輪、昇降補助車輪がそれぞれ軸方向所定の位置関係で固定され、昇降移動路および水平移動路が昇降用歯車や走行用車輪に向かって進退移動して接続/離脱するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0032】
100 ・・・ 物品搬送台車
111 ・・・ 走行用車輪
111a ・・・ 右側車輪
111b ・・・ 左側車輪
112 ・・・ 走行補助車輪
113 ・・・ 昇降用車輪
114 ・・・ 昇降補助車輪
115 ・・・ 昇降用歯車
116 ・・・ 物品保持部
117 ・・・ 走行接続軸
117a ・・・ 右走行接続軸
117b ・・・ 左走行接続軸
118 ・・・ 昇降接続軸
119 ・・・ 補助接続軸
120 ・・・ 走行駆動部
120a ・・・ 右走行駆動部
120b ・・・ 左走行駆動部
121 ・・・ 昇降駆動部
Mc ・・・ 走行軸
Sc ・・・ 昇降軸
Rc ・・・ 昇降補助軸
G ・・・ 床面
Fr ・・・ 水平移動路
Vr ・・・ 昇降移動路
Vg ・・・ 昇降用ラックギヤ
C ・・・ コンテナ(物品)
【手続補正書】
【提出日】2024-06-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、自動倉庫内の棚に設けられた水平移動路および床を移動可能な走行用車輪と、自動倉庫内の棚に設けられた昇降移動路の昇降用ラックギヤに係合して昇降可能な昇降用歯車と、駆動部と、搬送対象であるワークを保持するワーク保持部とを有した物品搬送台車であって、
前記本体部は、前記走行用車輪の回転軸である走行軸を回転可能に保持する第1回転保持部と、前記昇降用歯車の回転軸である昇降軸を回転可能に保持する第2回転保持部とを有し、
前記駆動部は、前記走行用車輪を駆動する走行駆動部と、前記昇降用歯車を駆動する昇降駆動部とを有し、
前記走行軸と前記昇降軸とは、互いに異なる軸線上に配置され、
前記走行軸と前記昇降軸とは、物品搬送台車の走行方向に対して鉛直方向に互いの中心軸が並ぶように配置され、
前記走行用車輪と前記昇降用歯車とは、互いの回転軸方向に干渉しない位置に配置されていることを特徴とする物品搬送台車。
【請求項2】
前記走行軸と前記昇降軸とは、互いに平行に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の物品搬送台車。
【請求項3】
前記走行軸と前記昇降軸とは、異なる高さに配置されていることを特徴とする請求項2に記載の物品搬送台車。
【請求項4】
前記本体部は、前記本体部の向きを転換可能な方向転換機構を有することを特徴とする請求項1に記載の物品搬送台車。
【請求項5】
前記走行用車輪は、前記本体部の左右に同一の回転軸で回転可能に設けられた左側車輪と右側車輪とで構成され、
前記走行駆動部は、前記左側車輪を駆動する左側走行駆動部と、前記右側車輪を駆動する右側走行駆動部とを有し、
前記方向転換機構は、前記左側走行駆動部と前記右側走行駆動部とで前記左側車輪と前記右側車輪との回転を調整して前記本体部の向きを転換可能に構成されていることを特徴とする請求項4に記載の物品搬送台車。
【請求項6】
前記昇降用歯車は、前記本体部の左右に同一の前記昇降軸で接続された左側歯車と右側歯車とで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の物品搬送台車。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明に係る物品搬送台車は、本体部と、自動倉庫内の棚に設けられた水平移動路および床を移動可能な走行用車輪と、自動倉庫内の棚に設けられた昇降移動路の昇降用ラックギヤに係合して昇降可能な昇降用歯車と、駆動部と、搬送対象であるワークを保持するワーク保持部とを有した物品搬送台車であって、前記本体部は、前記走行用車輪の回転軸である走行軸を回転可能に保持する第1回転保持部と、前記昇降用歯車の回転軸である昇降軸を回転可能に保持する第2回転保持部とを有し、前記駆動部は、前記走行用車輪を駆動する走行駆動部と、前記昇降用歯車を駆動する昇降駆動部とを有し、前記走行軸と前記昇降軸とは、互いに異なる軸線上に配置され、前記走行軸と前記昇降軸とは、物品搬送台車の走行方向に対して鉛直方向に互いの中心軸が並ぶように配置され、前記走行用車輪と前記昇降用歯車とは、互いに干渉しない位置に配置されていることにより、前記課題を解決するものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
請求項1に係る物品搬送台車によれば、走行軸と昇降軸とは、互いに異なる軸線上に配置されているため、走行軸と昇降軸を別々に任意のタイミングで動作することができる。
これによって、例えば、昇降用歯車の位相を昇降用ラックギヤに合わせる際に、走行用車輪が連動して回転することがなく、物品搬送台車が移動してしまうことがない。
また、走行中に予め昇降用歯車の位相を昇降用ラックギヤに合う位置に調整することもでき、作業時間を短縮することもできる。
また、走行軸と昇降軸とは、物品搬送台車の走行方向に対して鉛直方向に互いの中心軸が並ぶように配置されているため、走行用駆動部や昇降用駆動部、走行用車輪や昇降用歯車等の重量物を昇降軸の近傍に集中させることができ、重量物が昇降軸から離れた位置に配置されている場合に比べて、昇降時に物品搬送台車に発生するモーメントが小さくなる。
これによって、物品搬送台車に必要な強度を下げることができ、物品搬送台車の構成を簡素化でき、コストアップを抑制できる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
請求項4に記載の構成によれば、本体部は、本体部の向きを転換可能な方向転換機構を有しているため、例えば床面等を走行する場合、ガイドレール等を使用しなくても、物品の受け渡し場所等に本体部の進行方向側を向けて簡単に移動することができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
請求項5に記載の構成によれば、走行用車輪は、本体部の左右に同一の回転軸で回転可能に設けられた左側車輪と右側車輪とで構成され、走行駆動部は、左側車輪を駆動する左側走行駆動部と、右側車輪を駆動する右側走行駆動部とを有し、方向転換機構は、左側走行駆動部と右側走行駆動部とで左側車輪と右側車輪との回転を調整して本体部の向きを転換可能に構成されているため、物品搬送台車は左側車輪と右側車輪の回転方向や回転速度を調整して、大きく前後移動することなく方向転換をすることができ、自動倉庫内の狭い空間でも簡単に物品搬送台車の向きを変えることができる。
請求項6に記載の構成によれば、昇降用歯車は、本体部の左右に同一の昇降軸で接続された左側歯車と右側歯車とで構成されているため、左側歯車と右側歯車との位相がずれることがなく、ラックギヤとの係合時等における昇降用歯車を簡単に制御できる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
また、上述した実施形態では、右側車輪と左側車輪とは、右走行駆動部と左走行駆動部とでそれぞれ別々に駆動するものとして説明したが、走行用車輪および走行駆動部の構成はこれに限定されず、例えば、左右の走行用車輪が1つの走行駆動部で常に連動回転するように駆動されるように構成してもよい。