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特開2024-141410駐車料金管理システム及びエレベータの時間管理処理部
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141410
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】駐車料金管理システム及びエレベータの時間管理処理部
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20241003BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G07B15/00 N
B66B3/00 L
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053032
(22)【出願日】2023-03-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須藤 豪
(72)【発明者】
【氏名】小村 章
【テーマコード(参考)】
3E127
3F303
【Fターム(参考)】
3E127AA18
3E127BA11
3E127CA21
3E127DA09
3E127EA04
3E127EA18
3E127EA21
3E127EA26
3E127EA33
3E127FA16
3F303CB31
3F303EA06
(57)【要約】
【課題】駐車場の利用者のうちのエレベータを利用した者の駐車料金について、その妥当性を担保できるようにする。
【解決手段】駐車料金管理システムは、駐車場とエレベータとが設けられた施設に適用可能なシステムであり、時間管理処理部と、時間取得処理部と、料金算出処理部と、を備える。時間管理処理部は、エレベータの利用者ごとに、当該利用者についてのエレベータの利用時間を管理する。時間取得処理部は、駐車場の利用者のうちの駐車料金の精算を開始した各利用者を対象利用者として、当該対象利用者についてのエレベータの利用時間を時間管理処理部から取得する。料金算出処理部は、対象利用者ごとに、時間取得処理部が取得した利用時間を当該対象利用者の駐車時間から差し引いて精算対象時間を算出した上で、その精算対象時間の長さに応じた駐車料金を算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場とエレベータとが設けられた施設に適用可能な駐車料金管理システムであって、
エレベータの利用者ごとに、当該利用者についてのエレベータの利用時間を管理する時間管理処理部と、
駐車場の利用者のうちの駐車料金の精算を開始した各利用者を対象利用者として、当該対象利用者についての前記利用時間を前記時間管理処理部から取得する時間取得処理部と、
前記対象利用者ごとに、前記時間取得処理部が取得した前記利用時間を当該対象利用者の駐車時間から差し引いて精算対象時間を算出した上で、その精算対象時間の長さに応じた駐車料金を算出する料金算出処理部と、
を備える、駐車料金管理システム。
【請求項2】
前記時間管理処理部は、エレベータの各階の乗場又は乗りかご内を撮影して得られる画像を用いて、エレベータの利用者ごとに、その利用者の写った画像の撮影場所及び撮影時刻の変化を追跡することにより、前記利用時間を管理する、請求項1に記載の駐車料金管理システム。
【請求項3】
前記時間管理処理部は、エレベータの利用者ごとに、その利用者の写った画像の撮影場所及び撮影時刻の変化に基づいて、当該利用者が乗りかごから降車したか否かを判断し、降車したと判断した場合には、その時点から所定時間が経過するまでの間は、降車した利用者についての前記利用時間の管理を一時的に中断する、請求項2に記載の駐車料金管理システム。
【請求項4】
前記料金算出処理部は、前記時間取得処理部が取得した前記利用時間が閾値を超えている場合には、その利用時間を、当該閾値より小さい値へ補正した上で前記精算対象時間の算出に用いる、請求項1~3の何れかに記載の駐車料金管理システム。
【請求項5】
エレベータの各階の乗場又は乗りかご内を撮影して得られる画像を用いて、エレベータの利用者ごとに、その利用者の写った画像の撮影場所及び撮影時刻の変化を追跡することにより、当該利用者についてのエレベータの利用時間を管理する時間管理処理部であり、
料金管理装置が各利用者の駐車料金を算出するときに、当該料金管理装置からの要求に応じて、そのときに当該利用者について管理している前記利用時間を料金管理装置へ返信する、エレベータの時間管理処理部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車料金を管理する技術、並びにエレベータを管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
駐車料金を管理する従来の技術では、駐車場への入場時に発行される駐車券の発券時刻から駐車料金の精算開始時刻までの駐車時間全てが精算対象時間とされることが多く、その駐車時間の長さに応じた駐車料金が利用者に請求されていた(例えば、特許文献1参照)。このような技術は、百貨店などの商業施設に併設された駐車場で採用されることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-171116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、商業施設が混雑している場合、その商業施設でエレベータを利用しようとすると待ち時間や乗車時間が長くなることが多い。混雑が原因でエレベータの利用時間が長くなると、その商業施設に併設された駐車場の利用者にとっては、駐車時間が長くなり、それが故に請求される駐車料金が高くなるという問題が生じる。このような問題は、車椅子やベビーカーの利用者など、エレベータの利用を必須とする利用者にとっては顕著となる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、駐車場の利用者のうちのエレベータを利用した者の駐車料金について、その妥当性を担保できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る駐車料金管理システムは、駐車場とエレベータとが設けられた施設に適用可能なシステムであり、時間管理処理部と、時間取得処理部と、料金算出処理部と、を備える。時間管理処理部は、エレベータの利用者ごとに、当該利用者についてのエレベータの利用時間を管理する。時間取得処理部は、駐車場の利用者のうちの駐車料金の精算を開始した各利用者を対象利用者として、当該対象利用者についてのエレベータの利用時間を時間管理処理部から取得する。料金算出処理部は、対象利用者ごとに、時間取得処理部が取得した利用時間を当該対象利用者の駐車時間から差し引いて精算対象時間を算出した上で、その精算対象時間の長さに応じた駐車料金を算出する。
【0007】
上記駐車料金管理システムによれば、駐車場の利用者ごとに、その利用者についてのエレベータの利用時間を駐車時間から差し引いて駐車料金を算出することができる。従って、混雑が原因でエレベータの利用時間が長くなった場合でも、そのエレベータの利用時間を駐車時間から除外して駐車料金を算出することができ、その結果として、利用者にとって妥当な駐車料金を請求することが可能になる。
【0008】
更に、このように駐車料金の妥当性が担保されることにより、混雑が原因でエレベータの待ち時間が長くなった場合でも、エレベータの利用者には時間的な余裕ができ、従って、エレベータの利用を車椅子やベビーカーの利用者に譲りやすい環境が生まれやすくなる。また、車椅子やベビーカーの利用者も、駐車料金を気にせずに余裕を持ってエレベータを利用することが可能になる。よって、エレベータにてより良い利用環境が生まれやすくなる。また、ベビーカーの利用者が駐車料金を気にしてエスカレータを利用するといった危険な行為も防止することが可能になる。
【0009】
上記駐車料金管理システムにおいて、時間管理処理部は、エレベータの各階の乗場又は乗りかご内を撮影して得られる画像を用いて、エレベータの利用者ごとに、その利用者の写った画像の撮影場所及び撮影時刻の変化を追跡することにより、当該利用者についてのエレベータの利用時間を管理してもよい。この構成によれば、エレベータの各利用者と、当該利用者についてのエレベータの利用時間と、を1対1で紐づけて管理することが可能になる。
【0010】
上記駐車料金管理システムにおいて、時間管理処理部は、エレベータの利用者ごとに、その利用者の写った画像の撮影場所及び撮影時刻の変化に基づいて、当該利用者が乗りかごから降車したか否かを判断し、降車したと判断した場合には、その時点から所定時間が経過するまでの間は、降車した利用者についてのエレベータの利用時間の管理を一時的に中断してもよい。
【0011】
上記構成によれば、駐車場の利用者が、駐車料金を低く抑えようとしてエレベータの乗降を連続的に繰り返すといった不正利用を行った場合であっても、その利用者が降車した時点から所定時間が経過するまでの間は、当該利用者についての利用時間の管理を一時的に中断することができるため、不正利用分の時間を利用時間からできるだけ排除することが可能になる。よって、そのような悪意ある利用者からでも、できるだけ不正利用分を含んだ駐車料金を徴収することが可能になる。
【0012】
上記駐車料金管理システムにおいて、料金算出処理部は、時間取得処理部が取得した利用時間が閾値を超えている場合には、その利用時間を、当該閾値より小さい値へ補正した上で精算対象時間の算出に用いてもよい。
【0013】
上記構成によれば、駐車場の利用者が、駐車料金を低く抑えようとしてエレベータを不正利用することにより、その利用者についてのエレベータの利用時間が大きくなった場合であっても、当該利用者についてのエレベータの利用時間が閾値より小さい値に補正されるため、そのような悪意ある利用者からでも、できるだけ不正利用分を含んだ駐車料金を徴収することが可能になる。
【0014】
本発明に係るエレベータの時間管理処理部は、エレベータの各階の乗場又は乗りかご内を撮影して得られる画像を用いて、エレベータの利用者ごとに、その利用者の写った画像の撮影場所及び撮影時刻の変化を追跡することにより、当該利用者についてのエレベータの利用時間を管理する。そして、時間管理処理部は、料金管理装置が各利用者の駐車料金を算出するときに、当該料金管理装置からの要求に応じて、そのときに当該利用者について管理しているエレベータの利用時間を料金管理装置へ返信する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、駐車場の利用者のうちのエレベータを利用した者の駐車料金について、その妥当性を担保できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る駐車料金管理システムが適用された施設の全体構成を例示した概念図である。
図2】実施形態で用いられる時間管理データを例示した概念図であり、図2(A)~図2(C)には、時間管理装置による利用者ごとの管理によって生じる時間管理データ内の情報の変化が順に示されている。
図3】本実施形態で用いられる装置管理データを例示した概念図である。
図4】実施形態において時間管理装置が実行する時間管理処理を示したフローチャートである。
図5】実施形態に係る駐車料金管理システムで実行される制御処理を示したフローチャートである。
図6】第1変形例において時間管理装置が実行する時間管理処理を示したフローチャートである。
図7】第2変形例に係る駐車料金管理システムで実行される制御処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[1]実施形態
[1-1]施設の全体構成
図1は、実施形態に係る駐車料金管理システムが適用された施設の全体構成を例示した概念図である。この施設は、駐車場とエレベータとが設けられた施設であり、一例として、エレベータを備えた建物に駐車場が併設された施設(商業施設など)である。そして当該施設には、図1の例に示されるように、駐車場を制御する駐車場システムと、エレベータを制御するエレベータシステムと、が構築されている。以下、具体的に説明する。
【0018】
[1-1-1]駐車場システムの概要
駐車場システムは、発券機1と、精算機2と、料金管理装置3と、備える(図1参照)。先ず、この駐車場システムの構成について、その概要を説明する。
【0019】
<発券機>
発券機1は、利用者が自動車で駐車場へ入場するときに駐車券Ctを発行する装置であり、駐車場の入口などに設置される。そして、発券機1は、駐車券Ctの発行時に、駐車時間Tpの算出時に始点として用いられる発券時刻tcを駐車券Ctに記録する。尚、駐車場には入口が複数設けられていてもよく、その場合には、各入口に発券機1が設置されてもよい。
【0020】
<精算機>
精算機2は、駐車場からの出場時に利用者が行う駐車料金Qの精算に用いられる装置であり、駐車場の出口などに設置される。そして、精算機2は、利用者が駐車券Ctを用いて駐車料金Qの精算を開始した場合に、精算処理を実行する。具体的には、精算機2は、精算を開始した利用者を対象利用者として、先ず、当該対象利用者の駐車券Ctに記録されている発券時刻tcを読み取る処理を行う。次に、精算機2は、対象利用者の駐車料金Qの算出を料金管理装置3に依頼する。このとき、上記の処理で得た発券時刻tcと、駐車時間Tpの算出時に終点として用いられる精算開始時刻tdとを、料金管理装置3へ送信する。その後、精算機2は、依頼した対象利用者の駐車料金Qを料金管理装置3から受信した場合に、その駐車料金Qを当該対象利用者に請求する。尚、駐車場には出口が複数設けられていてもよく、その場合には、各出口に精算機2が設置されてもよい。
【0021】
精算機2が実行する精算処理は、当該精算機2内に構築される精算処理部20によって実行される(図1参照)。本実施形態では、当該処理部は、精算機2にプログラムを実行させることによってソフトウェアで構成される。そして、そのようなプログラムは、携帯可能な記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ等)に読取可能な状態で保存され、当該記憶媒体から読み出されてインストールされたものが精算機2の記憶部(不図示)に保存されてもよいし、他のサーバなどにダウンロード可能に保存され、当該サーバからダウンロードされてインストールされたものが精算機2の記憶部に保存されてもよい。尚、上記の処理部は、精算機2内に回路を構築することによってハードウェアで構成されてもよい。
【0022】
<料金管理装置>
料金管理装置3は、駐車場の利用者ごとに駐車料金Qを算出する装置であり、精算機2から対象利用者の駐車料金Qの算出を依頼された場合に、当該対象利用者の駐車料金Qを算出して精算機2へ返信する。
【0023】
[1-1-2]駐車料金管理システムについて
従来、料金管理装置3は、駐車券Ctに記録されている発券時刻tcから精算機2での精算開始時刻tdまでの駐車時間Tp(=td-tc)全てを精算対象時間Tとして、その駐車時間Tpの長さに応じた駐車料金Qを算出していた。
【0024】
一方、施設が混雑している場合、その施設でエレベータを利用しようとすると待ち時間や乗車時間が長くなることが多い。混雑が原因でエレベータの利用時間Tqが長くなると、その施設に設けられている駐車場の利用者にとっては、駐車時間Tpが長くなり、それが故に請求される駐車料金Qが高くなるという問題が生じる。このような問題は、車椅子やベビーカーの利用者など、エレベータの利用を必須とする利用者にとっては顕著となる。
【0025】
そこで本実施形態では、駐車場の利用者のうちのエレベータを利用した者の駐車料金Qについて、その妥当性を担保できるようにするべく、それを可能にするためのシステムとして、駐車場システムとエレベータシステムとを連携させる駐車料金管理システムが上記施設に適用されている。そして、駐車場システム及びエレベータシステムの各部が、そのような駐車料金管理システムを構築するための構成を備えている。
【0026】
[1-1-3]駐車場システムの構成
上述した駐車料金管理システムを構築するための駐車場システムの具体的な構成について説明する。
【0027】
<精算機>
具体的な構成として、精算機2は、顔情報取得部21を更に備える。ここで、顔情報取得部21は、精算機2での駐車料金Qの精算を開始した利用者の顔情報Pf(顔画像や顔特徴量など)を取得する部分であり、カメラなどの撮像デバイスによって構成される。尚、顔情報取得部21は、精算機2の一部として構成される場合に限らず、精算機2とは別の装置として構成されてもよい。
【0028】
そして精算機2は、精算処理として、対象利用者の駐車券Ctに記録されている発券時刻tcを読み取る処理に加えて、顔情報取得部21を用いて当該対象利用者から顔情報Pfを取得する処理を行う。そして、精算機2は、対象利用者の駐車料金Qの算出を料金管理装置3に依頼するときに、発券時刻tc及び精算開始時刻tdに加えて、上記処理で得た顔情報Pfを、当該対象利用者の情報として料金管理装置3へ送信する。尚、精算開始時刻tdには、料金管理装置3が精算機2から依頼されたときの時刻(具体的には、発券時刻tcなどの情報を受信したときの時刻)が用いられてもよい。その場合、精算機2から料金管理装置3への精算開始時刻tdの送信は不要になる。
【0029】
<料金管理装置>
料金管理装置3は、精算機2から対象利用者の駐車料金Qの算出を依頼された場合(具体的には、精算機2から発券時刻tcなどの情報を受信した場合)、駐車時間Tp(=td-tc)だけでなく、その対象利用者についてのエレベータの利用時間Tqをも考慮して精算対象時間Tを算出した上で、その精算対象時間Tの長さに応じた駐車料金Qを算出する(料金算出処理)。このとき、料金管理装置3は、精算機2から受信した対象利用者の顔情報Pfを用いて、当該対象利用者についてのエレベータの利用時間Tqをエレベータシステムの時間管理装置5から取得する(時間取得処理)。具体的には、料金管理装置3は、対象利用者の顔情報Pfを時間管理装置5へ送信することにより、時間管理装置5に対して、そのときに当該顔情報Pfに対応付けて管理している利用時間Tqを返信するように要求する。
【0030】
具体的な構成として、料金管理装置3は、記憶部31と制御部32とを備える。
【0031】
記憶部31は、上述した料金算出処理などの制御処理に必要な情報が保存される部分であり、ROMやRAMなどの記憶デバイスで構成されている。本実施形態では、そのような情報として、料金管理データDpが記憶部31に保存されている。ここで、料金管理データDpは、料金表をデータ化したものであり、精算対象時間Tの長さごとに、その長さに応じた駐車料金Qが対応付けられている。
【0032】
制御部32は、上述した時間取得処理及び料金算出処理を実行する部分であり、CPUなどの処理デバイスで構成されている。本実施形態では、制御部32は、精算機2からの駐車料金Qの算出依頼を受信するごとに、時間取得処理及び料金算出処理を実行する。尚、より詳細な内容(制御の流れなど)については後述する。
【0033】
料金管理装置3が実行する制御処理(時間取得処理と料金算出処理を含む)は、制御部32内に構築される処理部によって実行される。図1では、そのような処理部として、時間取得処理部321及び料金算出処理部322が制御部32内に構築されている。本実施形態では、これらの処理部は、制御部32にプログラムを実行させることによってソフトウェアで構成される。そして、そのようなプログラムは、携帯可能な記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ等)に読取可能な状態で保存され、当該記憶媒体から読み出されてインストールされたものが料金管理装置3の記憶部31に保存されてもよいし、他のサーバなどにダウンロード可能に保存され、当該サーバからダウンロードされてインストールされたものが記憶部31に保存されてもよい。尚、上記の処理部は、料金管理装置3内に回路を構築することによってハードウェアで構成されてもよい。
【0034】
[1-1-4]エレベータシステムの構成
エレベータシステムは、上述した駐車料金管理システムを構築するための具体的な構成として、情報取得装置4と、時間管理装置5と、を備える(図1参照)。
【0035】
<情報取得装置>
情報取得装置4は、エレベータの各利用者から顔情報Pf(顔画像や顔特徴量など)を取得する装置である。本実施形態では、情報取得装置4は、第1顔情報取得部41と、第2顔情報取得部42と、を含む。
【0036】
第1顔情報取得部41は、エレベータの乗場にいる利用者から顔情報Pfを取得する部分であり、第2顔情報取得部42は、乗りかご内にいる利用者から顔情報Pfを取得する部分である。本実施形態では、これらの取得部は何れも、カメラなどの撮像デバイスによって構成されており、第1顔情報取得部41は、エレベータの各階の乗場に設置され、第2顔情報取得部42は、乗りかご内に設置される。また、各取得部には、他の取得部と識別するための装置情報Pdが設定されている。そして、これらの取得部は、以下のようにして顔情報Pfを取得する。
【0037】
第1顔情報取得部41は、乗場を撮影することにより、その乗場にいる利用者の顔が写った画像を取得する。そして、第1顔情報取得部41は、取得した画像に画像処理を施すことにより、その画像に写っている各利用者の顔情報Pf(顔画像や顔特徴量など)を抽出する。
【0038】
第2顔情報取得部42は、乗りかご内を撮影することにより、その乗りかご内にいる利用者の顔が写った画像を取得する。そして、第2顔情報取得部42は、取得した画像に画像処理を施すことにより、その画像に写っている各利用者の顔情報Pf(顔画像や顔特徴量など)を抽出する。
【0039】
これらの取得部が乗場や乗りかご内の画像から抽出した顔情報Pfは、当該画像の撮影時刻tgと共に、時間管理装置5が行うエレベータの利用時間Tqの管理に用いられる。従って、各取得部は、画像を取得するごとに、当該画像から抽出した顔情報Pfと、その画像の撮影時刻tgと、を互いに対応付けて時間管理装置5へ送信する。このとき、各取得部は、当該顔情報Pfがどの場所(撮影場所Pg)で得られたものであるのかを時間管理装置5が認識できるように、自身の装置情報Pdも時間管理装置5へ送信する。
【0040】
尚、画像からの顔情報Pfの抽出は、時間管理装置5で実行されてもよい。この場合、各取得部は、画像を取得するごとに、当該画像と、その画像の撮影時刻tgと、を互いに対応付けて時間管理装置5へ送信することになる。この場合も、各取得部は、当該画像がどの場所(撮影場所Pg)で得られたものであるのかを時間管理装置5が認識できるように、自身の装置情報Pdも時間管理装置5へ送信する。
【0041】
<時間管理装置>
時間管理装置5は、エレベータの利用者ごとに、当該利用者についてのエレベータの利用時間Tqを管理する(時間管理処理)。本実施形態では、時間管理装置5は、エレベータの各階の乗場又は乗りかご内を情報取得装置4で撮影して得られる画像(具体的には、当該画像に写った各利用者の顔情報Pf)を用いて、エレベータの利用者ごとに、その利用者の写った画像の撮影場所Pg及び撮影時刻tgの変化を追跡することにより、当該利用者についてのエレベータの利用時間Tqを管理する。このような時間管理装置5の構成によれば、エレベータの各利用者と、当該利用者についてのエレベータの利用時間Tqと、を1対1で紐づけて管理することが可能になる。
【0042】
具体的な構成として、時間管理装置5は、記憶部51と制御部52とを備える。
【0043】
記憶部51は、上述した時間管理処理に必要な情報が保存される部分であり、ROMやRAMなどの記憶デバイスで構成されている。本実施形態では、そのような情報として、時間管理データDqと、装置管理データDrと、が記憶部51に保存されている。
【0044】
図2(A)~図2(C)は、本実施形態で用いられる時間管理データDqを例示した概念図であり、時間管理装置5による利用者ごとの管理によって生じる時間管理データDq内の情報の変化が順に示されている。これらの図に示されるように、時間管理データDqでは、エレベータの利用者ごとに、当該利用者の顔情報Pfが記録されると共に、乗場到着時刻t1及び乗車時刻t2が当該顔情報Pfに対応付けられる。そして、その利用者が写った画像の撮影時刻tgが、そのときに当該利用者がいる場所(当該画像の撮影場所Pg)に応じて乗場到着時刻t1又は乗車時刻t2に代入される。
【0045】
具体的には、利用者が乗場に到着したときの当該乗場での撮影時刻tgが、乗場到着時刻t1に代入される(図2(A)参照)。また、利用者が乗場から乗りかごに乗車したときの当該乗りかご内での撮影時刻tgが、乗車時刻t2に代入される(図2(B)参照)。このとき、乗場到着時刻t1からは、そこに代入されていた値(撮影時刻tg)が消去される。このように、時間管理データDqでは、利用者がいる場所の変化に伴って、撮影時刻tgが代入される記録箇所(乗場到着時刻t1又は乗車時刻t2)が適宜変化する(図2(A)→図2(B)→図2(C))。尚、図2(A)~図2(C)の例では、これに限定されるものではないが、撮影日が撮影時刻tgに含まれている場合が示されている。
【0046】
更に、時間管理データDqでは、各利用者がエレベータを利用したときの総待ち時間Ts1及び総乗車時間Ts2が、当該利用者の顔情報Pfに対応付けられる。そして、エレベータの利用者ごとに、その利用者がいる場所(その利用者が写った画像の撮影場所Pg)に変化が生じた場合に、総待ち時間Ts1又は総乗車時間Ts2が更新される。
【0047】
具体的には、利用者が乗場から乗りかごへ乗車した場合(図2(A)→図2(B))には、乗場到着時刻t1から乗車時刻t2までの経過時間が待ち時間Txとして算出され(Tx=t2-t1)、当該待ち時間Txが総待ち時間Ts1に加算される。また、利用者が乗りかごから乗場へ降車した場合(図2(B)→図2(C))には、乗車時刻t2から降車時刻t3(利用者が乗りかごから乗場に降車したときの当該乗場での撮影時刻tg)までの経過時間が乗車時間Tyとして算出され(Ty=t3-t2)、当該乗車時間Tyが総乗車時間Ts2に加算される。
【0048】
そして、利用者ごとの総待ち時間Ts1及び総乗車時間Ts2の総和が、当該利用者についてのエレベータの利用時間Tqとして用いられる。尚、時間管理データDq内の情報に生じる変化の詳細については後述する(「[1-2]制御処理」参照)。
【0049】
図3は、本実施形態で用いられる装置管理データDrを例示した概念図である。この図に示されるように、装置管理データDrでは、情報取得装置4に含まれる取得部(第1顔情報取得部41、第2顔情報取得部42)ごとに、当該取得部の装置情報Pdが、その取得部が設置されている場所(「乗りかご内」又は「乗場」。以下、「撮影場所Pg」と称す)の情報と対応付けられている。本実施形態では、各取得部の撮影場所Pgは、その取得部による撮影で得られた画像に写っている利用者がいた場所として、時間管理装置5での利用時間Tqの管理に用いられる。
【0050】
制御部52は、CPUなどの処理デバイスで構成されており、上述した時間管理処理を実行する。そして制御部52は、対象利用者についてのエレベータの利用時間Tqを返信するように料金管理装置3から要求されるごとに、その要求に応じて、そのときに当該対象利用者について管理している利用時間Tqを精算機2へ返信する。尚、より詳細な内容(制御の流れなど)については後述する。
【0051】
時間管理装置5が実行する制御処理(時間管理処理を含む)は、制御部52内に構築される処理部によって実行される。図1では、そのような処理部として、時間管理処理部520が制御部52内に構築されている。本実施形態では、当該処理部は、制御部52にプログラムを実行させることによってソフトウェアで構成される。そして、そのようなプログラムは、携帯可能な記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ等)に読取可能な状態で保存され、当該記憶媒体から読み出されてインストールされたものが時間管理装置5の記憶部51に保存されてもよいし、他のサーバなどにダウンロード可能に保存され、当該サーバからダウンロードされてインストールされたものが記憶部51に保存されてもよい。尚、上記の処理部は、時間管理装置5内に回路を構築することによってハードウェアで構成されてもよい。
【0052】
[1-2]制御処理
[1-2-1]時間管理装置が実行する制御処理(時間管理処理)
図4は、本実施形態において時間管理装置5が実行する時間管理処理を示したフローチャートである。時間管理処理は、時間管理装置5がエレベータの各利用者についての一組の情報(顔情報Pf、撮影時刻tg、装置情報Pd)を情報取得装置4から受信した場合に開始される。また、時間管理処理は、上記一組の情報を受信するごとに実行される。以下では、時間管理装置5が情報取得装置4から受信する上記一組の情報(顔情報Pf、撮影時刻tg、装置情報Pd)を纏めて「受信情報Px」と称す。尚、以下では、説明を簡潔にするために、エレベータの利用者は、乗場及び乗りかご内において情報取得装置4が取得する画像に必ず写るものとし、且つ、当該画像に写った利用者からは必ず顔情報Pfを取得できるものとする。
【0053】
時間管理処理が開始されると、時間管理装置5は、先ず、受信情報Px内の顔情報Pfで特定される利用者がその時点で管理対象になっているか否かを判断するべく、受信情報Px内の顔情報Pfが時間管理データDq内に記録済みであるか否かを判断する(ステップS100)。具体的には、時間管理装置5は、受信情報Px内の顔情報Pfが時間管理データDqに記録済みの顔情報Pfの何れかと合致するか否かを判断する。より具体的には、時間管理装置5は、時間管理データDqに記録済みの顔情報Pfの中に、受信情報Px内の顔情報Pfで特定される利用者と同一の利用者を認識できるものが存在するか否かを判断する。
【0054】
時間管理装置5は、ステップS100にて受信情報Px内の顔情報Pfは「記録済みでない(No)」と判断した場合には、その判断を以て、受信情報Px内の顔情報Pfで特定される利用者はその時点では管理対象になっていない、換言すれば、その利用者は、エレベータを利用するために乗場に訪れた利用者である、と判断できる。
【0055】
この場合、時間管理装置5は、受信情報Px内の顔情報Pfを時間管理データDqに新たに記録すると共に、受信情報Px内の撮影時刻tgを、当該顔情報Pfに対応付けられている乗場到着時刻t1に代入する(ステップS101。図2(A)の「データA」の情報参照)。また、時間管理装置5は、上記顔情報Pfに対応付けられている総待ち時間Ts1及び総乗車時間Ts2を何れも「00:00:00」に設定する。その後、時間管理装置5は、時間管理処理を一旦終了させる。
【0056】
一方、時間管理装置5は、ステップS100にて受信情報Px内の顔情報Pfが「記録済みである(Yes)」と判断した場合には、その判断を以て、受信情報Px内の顔情報Pfで特定される利用者はその時点で既に管理対象になっている、換言すれば、その利用者は、乗場で乗りかごが到着するまでの待機中の利用者、乗りかごに乗車中の利用者、又は、乗りかごから降車した利用者の何れかである、と判断できる。
【0057】
この場合、時間管理装置5は、時間管理データDqにて受信情報Px内の顔情報Pfに対応付けられている情報を必要に応じて更新するべく、先ず、当該顔情報Pfで特定される利用者がその時点でどの場所にいるのかを特定するために、装置管理データDrから、受信情報Px内の装置情報Pdに対応付けられている撮影場所Pgを抽出する(ステップS111)。そして、時間管理装置5は、ステップS111で抽出した撮影場所Pgが「乗りかご内」であるのか、それとも「乗場」であるのかを判断する(ステップS112)。
【0058】
時間管理装置5は、ステップS112にて「乗りかご内」であると判断した場合、次に、時間管理データDq内の情報を更新する必要があるか否かを判断するべく、時間管理データDqにて受信情報Px内の顔情報Pfに対応付けられている乗場到着時刻t1及び乗車時刻t2のうち、どちらに値(撮影時刻tg)が代入されているかを判断する(ステップS113A)。
【0059】
時間管理装置5は、ステップS113Aにて「乗場到着時刻t1」に値が代入されていると判断した場合には、その判断を以て、受信情報Px内の顔情報Pfで特定される利用者は乗場で待機していると判断でき、更にステップS112の判断結果(「乗りかご内」であるとの判断)を考慮すると、乗場で待機していたその利用者は当該乗場から乗りかごに乗車したと判断できる。この場合、時間管理装置5は、受信情報Px内の撮影時刻tgを、時間管理データDqにて受信情報Px内の顔情報Pfに対応付けられている乗車時刻t2に代入する(ステップS114A。図2(A)→図2(B))。また、時間管理装置5は、乗場到着時刻t1から乗車時刻t2までの経過時間を待ち時間Txとして算出し(Tx=t2-t1)、当該待ち時間Txを総待ち時間Ts1に加算する。そしてステップS114Aでは、時間管理装置5は、待ち時間Txの算出後に、乗場到着時刻t1に代入されている値(撮影時刻tg)を消去する。その後、時間管理装置5は、時間管理処理を一旦終了させる。
【0060】
一方、時間管理装置5は、ステップS113Aにて「乗車時刻t2」に値が代入されていると判断した場合には、その判断を以て、受信情報Px内の顔情報Pfで特定される利用者は乗りかごに乗車していると判断でき、更にステップS112の判断結果(「乗りかご内」であるとの判断)を考慮すると、乗りかごに乗車しているその利用者は当該乗りかごで移動中であると判断できる。この場合、時間管理装置5は、時間管理データDqにて受信情報Px内の顔情報Pfに対応付けられている情報を更新せずに、時間管理処理を一旦終了させる。
【0061】
時間管理装置5は、ステップS112にて「乗場」であると判断した場合も、ステップS113Aと同様、時間管理データDq内の情報を更新する必要があるか否かを判断するべく、時間管理データDqにて受信情報Px内の顔情報Pfに対応付けられている乗場到着時刻t1及び乗車時刻t2のうち、どちらに値(撮影時刻tg)が代入されているかを判断する(ステップS113B)。
【0062】
時間管理装置5は、ステップS113Bにて「乗車時刻t2」に値が代入されていると判断した場合には、その判断を以て、受信情報Px内の顔情報Pfで特定される利用者は乗りかごに乗車していると判断でき、更にステップS112の判断結果(「乗場」であるとの判断)を考慮すると、乗りかごに乗車していたその利用者は当該乗りかごから乗場に降車したと判断できる。この場合、時間管理装置5は、受信情報Px内の撮影時刻tgを、利用者が乗りかごから乗場に降車したときの降車時刻t3とした上で、乗車時刻t2から降車時刻t3までの経過時間を乗車時間Tyとして算出し(Ty=t3-t2)、当該乗車時間Tyを総乗車時間Ts2に加算する(ステップS114B。図2(B)→図2(C))。そしてステップS114Bでは、時間管理装置5は、乗車時間Tyの算出後に、乗車時刻t2に代入されている値(撮影時刻tg)を消去する。その後、時間管理装置5は、時間管理処理を一旦終了させる。
【0063】
ステップS114Bが実行された場合には、時間管理データDqにて受信情報Px内の顔情報Pfに対応付けられている乗場到着時刻t1及び乗車時刻t2は何れも、値が代入されていない状態になり、その結果として、当該顔情報Pfで特定される利用者が再びエレベータを利用したときの、その利用者についての利用時間Tqの更なる管理(利用時間Tqの加算)が可能になる。
【0064】
一方、時間管理装置5は、ステップS113Bにて「乗場到着時刻t1」に値が代入されていると判断した場合には、その判断を以て、受信情報Px内の顔情報Pfで特定される利用者は乗場で待機していると判断でき、更にステップS112の判断結果(「乗場」であるとの判断)を考慮すると、乗場で待機しているその利用者は当該乗場での待機を継続していると判断できる。この場合、時間管理装置5は、時間管理データDqにて受信情報Px内の顔情報Pfに対応付けられている情報を更新せずに、時間管理処理を一旦終了させる。
【0065】
このような時間管理処理により、エレベータの利用者ごとに、当該利用者についてのエレベータの利用時間Tqが管理される。そして、時間管理装置5は、対象利用者についてのエレベータの利用時間Tqを返信するように料金管理装置3から要求されるごとに、その要求に応じて、そのときに当該対象利用者について管理している総待ち時間Ts1及び総乗車時間Ts2の総和を求め、その総和を、当該対象利用者についてのエレベータの利用時間Tqとして料金管理装置3へ返信する(以下で説明する図5のステップS303参照)。
【0066】
[1-2-2]駐車料金管理システムで実行される制御処理
図5は、本実施形態に係る駐車料金管理システムで実行される制御処理を示したフローチャートである。
【0067】
精算機2にて駐車料金Qの精算が開始された場合、精算を開始した利用者を対象利用者として、精算機2から料金管理装置3に対して、当該対象利用者の駐車料金Qの算出が依頼される。このとき、精算機2からは、駐車料金Qの算出に必要な一組の情報(発券時刻tc、顔情報Pf、精算開始時刻td)が料金管理装置3へ送信される。
【0068】
料金管理装置3は、精算機2からの駐車料金Qの算出依頼として、上記一組の情報(発券時刻tc、顔情報Pf、精算開始時刻td)を受信した場合(ステップS201)、対象利用者についてのエレベータの利用時間Tqを考慮して駐車料金Qを算出するべく、先ず、時間管理装置5に対して、そのときの当該対象利用者についてのエレベータの利用時間Tqを返信するように要求する(時間取得処理。ステップS202)。具体的には、料金管理装置3は、対象利用者の顔情報Pf(ステップS201で受信した顔情報Pf)を時間管理装置5へ送信することにより、時間管理装置5に対して、そのときに当該顔情報Pfに対応付けて管理している利用時間Tqを返信するように要求する。
【0069】
時間管理装置5は、料金管理装置3からの利用時間Tqの返信要求として、対象利用者の顔情報Pfを受信した場合(ステップS301)、その要求に応じて、先ず、時間管理データDqにて当該顔情報Pfに対応付けられている総待ち時間Ts1及び総乗車時間Ts2を抽出する(ステップS302)。そして、時間管理装置5は、ステップS302で抽出した総待ち時間Ts1及び総乗車時間Ts2の総和を求め、その総和を、上記対象利用者についてのエレベータの利用時間Tqとして、当該利用時間Tqの返信を要求してきた料金管理装置3へ返信する(ステップS303)。一方、時間管理装置5は、ステップS302において、時間管理データDqに記録済みの顔情報Pfの中に対象利用者の顔情報Pfと合致するものがなく、総待ち時間Ts1及び総乗車時間Ts2を抽出できかった場合(換言すれば、対象利用者がエレベータを利用しなかった場合)には、ステップS302では、当該対象利用者についてのエレベータの利用時間Tqを「00:00:00」として料金管理装置3へ返信する。
【0070】
料金管理装置3は、ステップS202の後、対象利用者についてのエレベータの利用時間Tqを時間管理装置5から受信した場合(ステップS203)、その利用時間Tqを考慮して対象利用者の駐車料金Qを算出する(料金算出処理。ステップS204)。
【0071】
具体的には、料金管理装置3は、ステップS203で受信した利用時間Tqを対象利用者の駐車料金Qに反映させるべく、先ず、当該利用時間Tqを対象利用者の駐車時間Tp(=td-tc)から差し引いて精算対象時間T(T=Tp-Tq)を算出する(ステップS204A)。
【0072】
次に、料金管理装置3は、料金管理データDpを参照することにより、ステップS204Aで算出した精算対象時間Tの長さに応じた駐車料金Qを料金管理データDpから抽出する(ステップS204B)。尚、ステップS204Bでは、料金管理装置3は、料金管理データDpから駐車料金Qを抽出することに代えて、予め用意された計算式に基づいて、精算対象時間Tの長さに応じた駐車料金Qを算出してもよい。
【0073】
その後、料金管理装置3は、ステップS204で算出した駐車料金Qを、当該駐車料金Qの算出を依頼してきた精算機2へ返信する(ステップS205)。
【0074】
精算機2は、依頼した対象利用者の駐車料金Qを料金管理装置3から受信した場合に、その駐車料金Qを当該対象利用者に請求する。そして、対象利用者が精算を終えた場合、精算機2は、その対象利用者についての精算が完了したことを時間管理装置5に知らせるべく、当該対象利用者の顔情報Pfと精算完了信号Sxとを時間管理装置5へ送信する。このとき、料金管理装置3は、精算機2から時間管理装置5への顔情報Pf及び精算完了信号Sxの送信を中継する(ステップS206)。
【0075】
時間管理装置5は、精算機2から顔情報Pf及び精算完了信号Sxを受信した場合、時間管理データDqに記録済みの顔情報Pfのうちの、精算機2から受信した顔情報Pfと合致するものを、その顔情報Pfに対応付けて記録されている撮影時刻tgや利用時間Tqなどの情報と共に、時間管理データDqから消去する(ステップS304)。
【0076】
このような駐車料金管理システム及び制御処理によれば、駐車場の利用者ごとに、その利用者についてのエレベータの利用時間Tqを駐車時間Tpから差し引いて駐車料金Qを算出することができる。従って、混雑が原因でエレベータの利用時間Tqが長くなった場合でも、そのエレベータの利用時間Tqを駐車時間Tpから除外して駐車料金Qを算出することができ、その結果として、利用者にとって妥当な駐車料金Qを請求することが可能になる。従って、駐車場の利用者のうちのエレベータを利用した者の駐車料金Qについて、その妥当性を担保できるようになる。
【0077】
更に、このように駐車料金Qの妥当性が担保されることにより、混雑が原因でエレベータの待ち時間が長くなった場合でも、エレベータの利用者には時間的な余裕ができ、従って、エレベータの利用を車椅子やベビーカーの利用者に譲りやすい環境が生まれやすくなる。また、車椅子やベビーカーの利用者も、駐車料金Qを気にせずに余裕を持ってエレベータを利用することが可能になる。よって、エレベータにてより良い利用環境が生まれやすくなる。また、ベビーカーの利用者が駐車料金Qを気にしてエスカレータを利用するといった危険な行為も防止することが可能になる。
【0078】
[2]変形例
[2-1]第1変形例
上述した時間管理処理において、時間管理装置5が、ステップS113Bにて「乗車時刻t2」に値が代入されていると判断した場合について考える。この場合、上述したように、時間管理装置5は、ステップS113Bでの上記判断を以て、受信情報Px内の顔情報Pfで特定される利用者は乗りかごに乗車していると判断でき、更にステップS112の判断結果(「乗場」であるとの判断)を考慮すると、乗りかごに乗車していたその利用者は当該乗りかごから乗場に降車したと判断できる。
【0079】
このように、時間管理装置5が、利用者が乗りかごから降車したか否かを判断し、その結果として「降車した」と判断した場合には、その時点から所定時間Tz1が経過するまでの間は、降車した利用者についての利用時間Tqの管理を一時的に中断してもよい。ここで、所定時間Tz1は、次のように設定される。1日のうちで1人の利用者がエレベータを複数回利用する場合において、その利用者が乗りかごから降車してから次にエレベータを利用するために乗場に到着するまでの時間を考えた場合に、その時間が所定時間Tz1を超えていれば、当該利用者によるエレベータの利用は正常利用であると判断できるように、その判断基準として所定時間Tz1は設定される。逆に、その時間が所定時間Tz1より小さければ、駐車場の利用者が、駐車料金Qを低く抑えようとしてエレベータの乗降を連続的に繰り返すといった不正利用を行っているおそれがあると判断できる。
【0080】
図6は、第1変形例において時間管理装置5が実行する時間管理処理を示したフローチャートである。この図に示されるように、時間管理装置5は、ステップS113Bにて「乗車時刻t2」に値が代入されていると判断した場合(換言すれば、受信情報Px内の顔情報Pfで特定される利用者が乗りかごから「降車した」と判断した場合)には、ステップS114Bの実行後、時間管理データDqに記録済みの顔情報Pfのうちの、受信情報Px内の顔情報Pfと合致するものに対応付けられている情報についての更新を中断する(ステップS121)。
【0081】
その後、時間管理装置5は、ステップS121を実行した時点から所定時間Tz1が経過したか否かを判断し(ステップS122)、「経過した(Yes)」と判断できた場合に、ステップS121で中断した情報の更新を再開する(ステップS123)。
【0082】
第1変形例によれば、駐車場の利用者が、駐車料金Qを低く抑えようとしてエレベータの乗降を連続的に繰り返すといった不正利用を行った場合であっても、その利用者が降車した時点から所定時間Tz1が経過するまでの間は、当該利用者についての利用時間Tqの管理を一時的に中断することができるため、不正利用分の時間を利用時間Tqからできるだけ排除することが可能になる。よって、そのような悪意ある利用者からでも、できるだけ不正利用分を含んだ駐車料金Qを徴収することが可能になる。
【0083】
[2-2]第2変形例
上述した駐車料金管理システムにおいて、料金管理装置3は、対象利用者についてのエレベータの利用時間Tqを時間管理装置5から取得した場合において、当該利用時間Tqが閾値Tz2を超えている場合には、その利用時間Tqを、当該閾値Tz2より小さい値へ補正した上で精算対象時間Tの算出に用いてもよい。ここで、閾値Tz2は、次のように設定される。1日のうちで1人の利用者がエレベータを利用する1日あたりの時間を考えた場合に、その時間が閾値Tz2より小さければ、当該利用者によるエレベータの利用は正常利用であると判断できるように、その判断基準として所定時間Tz1は設定される。逆に、その時間が閾値Tz2より大きければ、駐車場の利用者が、駐車料金Qを低く抑えようとしてエレベータを不正利用することにより時間が大きくなったおそれがあると判断できる。
【0084】
図7は、第2変形例に係る駐車料金管理システムで実行される制御処理を示したフローチャートである。この図に示されるように、料金管理装置3は、ステップS203にて対象利用者についてのエレベータの利用時間Tqを時間管理装置5から受信した場合、その利用時間Tqが閾値Tz2を超えているか否かを判断する(ステップS211)。
【0085】
そして、料金管理装置3は、ステップS211にて「超えている(Yes)」と判断した場合には、その判断を以て、対象利用者は駐車料金Qを低く抑えようとしてエレベータを不正利用しているおそれがあると判断できる。この場合、料金管理装置3は、ステップS203で受信した利用時間Tqを、閾値Tz2より小さい値へ補正する(ステップS212)。その上で、料金管理装置3は、補正後の利用時間Tqを、ステップS204Aでの精算対象時間T(=Tp-Tq)の算出に用いる。
【0086】
一方、料金管理装置3は、ステップS211にて「超えていない(No)」と判断した場合には、その判断を以て、対象利用者はエレベータを正常に利用していると判断できる。この場合、料金管理装置3は、ステップS203で受信した利用時間Tqをそのまま、ステップS204Aでの精算対象時間T(=Tp-Tq)の算出に用いる。
【0087】
第2変形例によれば、駐車場の利用者が、駐車料金Qを低く抑えようとしてエレベータを不正利用することにより、その利用者についてのエレベータの利用時間Tqが大きくなった場合であっても、当該利用者についてのエレベータの利用時間Tqが閾値Tz2より小さい値に補正されるため、そのような悪意ある利用者からでも、できるだけ不正利用分を含んだ駐車料金Qを徴収することが可能になる。
【0088】
[2-3]第3変形例
上述した駐車料金管理システムにおいて、時間管理装置5は、料金管理装置3とのAPI連携により、当該料金管理装置3からの要求に応じて利用時間Tqを返信できるように構成されていてもよい。具体的には、時間管理装置5が実行するプログラムと、料金管理装置3が実行するプログラムとが、APIを介して互いに繋がるように構成されていてもよい。
【0089】
[2-4]他の変形例
上述した駐車料金管理システム及び制御処理は、利用者ごとのエレベータの利用時間Tqとして、総待ち時間Ts1又は総乗車時間Ts2の何れか一方のみを使用するものに適宜変更されてもよい。
【0090】
上述した駐車料金管理システム及び制御処理において、時間管理装置5は、対象利用者についての利用時間Tqの返信要求を料金管理装置3から受信した場合に、その時点での当該対象利用者についての利用時間Tqが確定していない場合(具体的には、時間管理データDqにおいて当該対象利用者の顔情報Pfに対応付けられている乗場到着時刻t1又は乗車時刻t2の何れかに値(撮影時刻tg)が代入されたままの状態である場合)には、エレベータの全ての利用者を対象とした平均待ち時間、最大待ち時間、平均乗車時間、最大乗車時間などの時間を用いて、上記対象利用者についてのエレベータの利用時間Tqを求めてもよい。
【0091】
上述した駐車料金管理システム及び制御処理は、駐車料金Qの精算時における精算機2の画面に、駐車料金Qや駐車時間Tpの表示に加えて、エレベータでの総待ち時間Ts1や総乗車時間Ts2、更にはそれらの総和である利用時間Tqを表示させることができるものに適宜変更されてもよい。これにより、精算時に各利用者に請求される駐車料金Qが、エレベータの利用時間Tqが考慮された料金になっていることを、当該利用者に気付かせることができる。
【0092】
上述の実施形態及び変形例の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態や変形例ではなく、特許請求の範囲によって示される。更に、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0093】
また、上述の実施形態や変形例からは、発明の対象として、駐車料金管理システムに限らず、その駐車料金管理システムを構成する装置、当該駐車料金管理システムで実行される制御処理やプログラムなどが個々に抽出されてもよいし、それらの一部が部分的に抽出されてもよい。また、上述した施設が備える駐車場システムやエレベータシステムが個々に抽出されてもよいし、それらの一部が部分的に抽出されてもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 発券機
2 精算機
3 料金管理装置
4 情報取得装置
5 時間管理装置
Q 駐車料金
T 精算対象時間
20 精算処理部
21 顔情報取得部
31 記憶部
32 制御部
41 第1顔情報取得部
42 第2顔情報取得部
51 記憶部
52 制御部
Ct 駐車券
Dp 料金管理データ
Dq 時間管理データ
Dr 装置管理データ
Pd 装置情報
Pf 顔情報
Pg 撮影場所
Px 受信情報
Sx 精算完了信号
Tp 駐車時間
Tq 利用時間
Tx 待ち時間
Ty 乗車時間
t1 乗場到着時刻
t2 乗車時刻
t3 降車時刻
tc 発券時刻
td 精算開始時刻
tg 撮影時刻
321 時間取得処理部
322 料金算出処理部
520 時間管理処理部
Ts1 総待ち時間
Ts2 総乗車時間
Tz1 所定時間
Tz2 閾値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7