(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014142
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】プレキャスト床版設置用治具及びプレキャスト床版の連結方法
(51)【国際特許分類】
E01D 19/12 20060101AFI20240125BHJP
E01D 21/00 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
E01D19/12
E01D21/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116756
(22)【出願日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100099704
【弁理士】
【氏名又は名称】久寶 聡博
(72)【発明者】
【氏名】田中 浩一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 一成
【テーマコード(参考)】
2D059
【Fターム(参考)】
2D059AA05
2D059AA14
2D059DD08
2D059GG55
(57)【要約】
【課題】プレキャスト床版と桁との間に生じる摩擦力でプレキャスト床版にひび割れが発生するのを防止可能なプレキャスト床版設置用治具を提供する。
【解決手段】本発明に係るプレキャスト床版設置用治具1は、支持ボルト5と該支持ボルトに連結された吊持機構7とを備えていて、支持ボルト5は、プレキャスト床版2に埋設された中空管15を貫通開口として該貫通開口に挿通してあるとともに、該プレキャスト床版が架け渡される桁3の載置面4に基部6がそれぞれ当接されるようになっており、吊持機構7は、支持ボルト5を介して桁3から反力をとることでプレキャスト床版2を吊持できるようになっている。吊持機構7は、PC鋼材22が弾性変形するため、支持ボルト5の周面と中空管15の内周面との間に拡がるクリアランスδdによる移動幅を限度として、プレキャスト床版2が面内方向移動できるようになっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレキャスト床版に形成された貫通開口に遊貫され該プレキャスト床版が架け渡される桁の載置面に基部が当接されるように構成された支柱と、該支柱に連結され該支柱を介して前記桁から反力をとることにより、前記プレキャスト床版を前記桁から離間させた状態で吊持可能に構成された吊持機構とを備えるとともに、前記支柱の周面と前記貫通開口の内周面との間に拡がるクリアランスによる移動幅を限度として、前記プレキャスト床版が面内方向移動できるようになっていることを特徴とするプレキャスト床版設置用治具。
【請求項2】
前記吊持機構を、前記支柱の側方に延びる吊持アームと該吊持アームの持ち出し部位に連結され先端が前記プレキャスト床版に取り付けられるようになっている吊持ロッドとで構成した請求項1記載のプレキャスト床版設置用治具。
【請求項3】
前記吊持アームを前記支柱に対し互いに反対側に延びる一対の吊持アームとし、前記吊持ロッドを該各吊持アームにそれぞれ連結された一対の吊持ロッドとした請求項2記載のプレキャスト床版設置用治具。
【請求項4】
前記支柱のうち、前記プレキャスト床版から突出する部分の長さを調整する突出長調整機構を設けた請求項1乃至請求項3のいずれか一記載のプレキャスト床版設置用治具。
【請求項5】
先行配置されたプレキャスト床版である先行プレキャスト床版にあらたなプレキャスト床版である後行プレキャスト床版を連結するプレキャスト床版の連結方法において、
前記後行プレキャスト床版を、桁の載置面から反力をとって吊持することにより、前記桁から離間させる形でかつ前記先行プレキャスト床版に隣り合うように前記桁に架け渡し、
連結ユニットを、該連結ユニットを構成するPC鋼材の各端が前記先行プレキャスト床版と前記後行プレキャスト床版の対向端部近傍にそれぞれ定着されるように該先行プレキャスト床版及び該後行プレキャスト床版に跨設し、
前記PC鋼材に予め導入されていた緊張力を解除することにより、前記後行プレキャスト床版を前記先行プレキャスト床版の側に引き寄せて該先行プレキャスト床版に連結し、
前記後行プレキャスト床版と前記桁との離間スペースにモルタルを充填して該モルタルの強度が発現してから前記吊持のための引張力を解除し、又は前記後行プレキャスト床版と前記桁との離間スペースに仮受け材を介在させてから前記吊持のための引張力を解除するとともに前記離間スペースにモルタルを充填することを特徴とするプレキャスト床版の連結方法。
【請求項6】
先行配置されたプレキャスト床版である先行プレキャスト床版にあらたなプレキャスト床版である後行プレキャスト床版を連結するプレキャスト床版の連結方法において、
前記後行プレキャスト床版を、桁の載置面から反力をとって吊持することにより、前記桁から離間させる形でかつ前記先行プレキャスト床版に隣り合うように前記桁に架け渡し、
前記先行プレキャスト床版及び前記後行プレキャスト床版にそれらの面内方向に沿ってPC鋼材を挿通して該PC鋼材に緊張力を導入し、
前記後行プレキャスト床版と前記桁との離間スペースにモルタルを充填して該モルタルの強度が発現してから前記吊持のための引張力を解除し、又は前記後行プレキャスト床版と前記桁との離間スペースに仮受け材を介在させてから前記吊持のための引張力を解除するとともに前記離間スペースにモルタルを充填することを特徴とするプレキャスト床版の連結方法。
【請求項7】
先行配置されたプレキャスト床版である先行プレキャスト床版にあらたなプレキャスト床版である後行プレキャスト床版を連結するプレキャスト床版の連結方法において、
前記後行プレキャスト床版を、桁の載置面から反力をとって吊持することにより、前記桁から離間させる形でかつ前記先行プレキャスト床版に隣り合うように前記桁に架け渡し、
前記後行プレキャスト床版を面内方向移動させることで前記先行プレキャスト床版との水平方向クリアランスを調整し、
前記後行プレキャスト床版及び前記先行プレキャスト床版を相互連結し、
前記後行プレキャスト床版と前記桁との離間スペースにモルタルを充填して該モルタルの強度が発現してから前記吊持のための引張力を解除し、又は前記後行プレキャスト床版と前記桁との離間スペースに仮受け材を介在させてから前記吊持のための引張力を解除するとともに前記離間スペースにモルタルを充填することを特徴とするプレキャスト床版の連結方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのプレキャストコンクリート床版を連結する際に用いられるプレキャスト床版設置用治具及びプレキャスト床版の連結方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路、鉄道、河川、港湾などの社会的経済基盤は、我が国においては、高度経済成長期に集中的に建設されており、その関係で、近年、老朽化が一斉に進行しつつあり、それらの維持管理あるいは更新が急務となっているが、道路や鉄道が敷設された橋梁の上部工においては、床版の損傷が顕著であれば、その架替えが必要になり、上部工が鋼桁の上にRC床版が架け渡されてなる桁の場合、該RC床版を、RC構造やPC構造のプレキャストコンクリート床版(以下、単にプレキャスト床版と呼ぶ)に架け替える対策が広く採用されている。
【0003】
プレキャスト床版を用いて床版の架替えを行うにあたっては、既存の床版を撤去した後、プレキャスト床版を橋軸方向に沿って並べ、しかる後、これらのプレキャスト床版にPC鋼材を挿通して緊張力を導入することにより、該プレキャスト床版を互いに連結する工法が採用される(特許文献1)。
【0004】
一方、既存の床版を全面撤去するのではなく、例えば二車線の一方を通行可能にしつつ、他方を部分撤去して床版を架け替えるようにすれば、工事期間中の全面通行止めを回避することができる(特許文献2)。
【0005】
ここで、上記部分撤去においては、プレキャスト床版を橋軸直交方向に並置する場合だと、PC鋼材の挿入孔が上部工の両側方で開口することとなり、PC鋼材の挿入作業や該PC鋼材を介したプレストレスの導入作業のために足場を別途構築しなければならないという問題や、PC鋼材が長尺化するため、橋梁の規模によっては、プレキャスト床版への挿入作業性が悪くなるのみならず、運搬コストや保管コストの増大を招く。
【0006】
そのため、本出願人は、2つのプレキャスト床版にPC鋼材を貫通させた上で該PC鋼材に緊張力を導入するのではなく、比較的短尺のPC鋼材に予め緊張力が導入された連結ユニットを、該PC鋼材の各端部が2つのプレキャスト床版にそれぞれ定着されるように該2つのプレキャスト床版に配置し、しかる後、PC鋼材の緊張力を解放して2つのプレキャスト床版を互いに引き寄せるプレキャスト床版の連結方法を開発した(特許文献3)。
【0007】
かかる連結方法によれば、長尺のPC鋼材を施工現場で2つのプレキャスト床版に挿通する必要がなくなり、該挿通作業のための足場が不要になるとともに、PC鋼材の緊張力については、工場等で予め導入されたものを施工現場で解放すればよいため、緊張力解放のための足場も不要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2017-82496号公報
【特許文献2】特開2016-98490号公報
【特許文献3】特開2020-165130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記連結ユニットを構成するPC鋼材の緊張力を解放する際、プレキャスト床版が鋼桁に架け渡されているため、該プレキャスト床版の下面と鋼桁の上面との間に摩擦力が生じるとともに、その摩擦力によってPC鋼材の定着端外側で引張応力が発生し、近傍のコンクリートにひび割れが生じるという問題を生じていた。
【0010】
また、上述の摩擦力がPC鋼材の緊張力の一部と相殺してしまうことで、予定通りの圧縮力を2つのプレキャスト床版の連結箇所に導入することができないという問題も生じていた。
【0011】
加えて、長尺のPC鋼材を用いた従来の連結方法においても、その端部で導入される緊張力が、プレキャスト床版と鋼桁との間で生じる摩擦力で一部相殺されてしまい、プレキャスト床版同士の連結箇所に所要の圧縮力を作用させることができなかったり、プレストレスを用いない連結方法であっても、上述の摩擦力でプレキャスト床版の相対位置調整が困難になるという事態も懸念される。
【0012】
ちなみに、プレキャスト床版と鋼桁との間にフラットローラーや摩擦低減手段を介在させる場合があるが、このような摩擦低減手段を介在させたとしても、摩擦力がゼロになるわけではないので、上述の問題は依然として解消されず、さらには、摩擦低減手段を介在させた場合、プレキャスト床版が水平方向に不安定となるため、予期せぬ水平荷重によってプレキャスト床版が滑動する懸念もある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、連結ユニットを用いる場合において、プレキャスト床版の下面と桁の上面との間に生じる摩擦力でプレキャスト床版にひび割れが発生するのを防止可能なプレキャスト床版設置用治具及びプレキャスト床版の連結方法を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、長尺のPC鋼材を用いた連結方法やプレストレスを用いない連結方法であっても、プレキャスト床版と桁との摩擦力でプレキャスト床版の連結作業が阻害されるのを防止可能なプレキャスト床版設置用治具及びプレキャスト床版の連結方法を提供する。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明に係るプレキャスト床版設置用治具は請求項1に記載したように、プレキャスト床版に形成された貫通開口に遊貫され該プレキャスト床版が架け渡される桁の載置面に基部が当接されるように構成された支柱と、該支柱に連結され該支柱を介して前記桁から反力をとることにより、前記プレキャスト床版を前記桁から離間させた状態で吊持可能に構成された吊持機構とを備えるとともに、前記支柱の周面と前記貫通開口の内周面との間に拡がるクリアランスによる移動幅を限度として、前記プレキャスト床版が面内方向移動できるようになっているものである。
【0016】
また、本発明に係るプレキャスト床版設置用治具は、前記吊持機構を、前記支柱の側方に延びる吊持アームと該吊持アームの持ち出し部位に連結され先端が前記プレキャスト床版に取り付けられるようになっている吊持ロッドとで構成したものである。
【0017】
また、本発明に係るプレキャスト床版設置用治具は、前記吊持アームを前記支柱に対し互いに反対側に延びる一対の吊持アームとし、前記吊持ロッドを該各吊持アームにそれぞれ連結された一対の吊持ロッドとしたものである。
【0018】
また、本発明に係るプレキャスト床版設置用治具は、前記支柱のうち、前記プレキャスト床版から突出する部分の長さを調整する突出長調整機構を設けたものである。
【0019】
また、本発明に係るプレキャスト床版の連結方法は請求項5に記載したように、先行配置されたプレキャスト床版である先行プレキャスト床版にあらたなプレキャスト床版である後行プレキャスト床版を連結するプレキャスト床版の連結方法において、
前記後行プレキャスト床版を、桁の載置面から反力をとって吊持することにより、前記桁から離間させる形でかつ前記先行プレキャスト床版に隣り合うように前記桁に架け渡し、
連結ユニットを、該連結ユニットを構成するPC鋼材の各端が前記先行プレキャスト床版と前記後行プレキャスト床版の対向端部近傍にそれぞれ定着されるように該先行プレキャスト床版及び該後行プレキャスト床版に跨設し、
前記PC鋼材に予め導入されていた緊張力を解除することにより、前記後行プレキャスト床版を前記先行プレキャスト床版の側に引き寄せて該先行プレキャスト床版に連結し、
前記後行プレキャスト床版と前記桁との離間スペースにモルタルを充填して該モルタルの強度が発現してから前記吊持のための引張力を解除し、又は前記後行プレキャスト床版と前記桁との離間スペースに仮受け材を介在させてから前記吊持のための引張力を解除するとともに前記離間スペースにモルタルを充填するものである。
【0020】
また、本発明に係るプレキャスト床版の連結方法は請求項6に記載したように、先行配置されたプレキャスト床版である先行プレキャスト床版にあらたなプレキャスト床版である後行プレキャスト床版を連結するプレキャスト床版の連結方法において、
前記後行プレキャスト床版を、桁の載置面から反力をとって吊持することにより、前記桁から離間させる形でかつ前記先行プレキャスト床版に隣り合うように前記桁に架け渡し、
前記先行プレキャスト床版及び前記後行プレキャスト床版にそれらの面内方向に沿ってPC鋼材を挿通して該PC鋼材に緊張力を導入し、
前記後行プレキャスト床版と前記桁との離間スペースにモルタルを充填して該モルタルの強度が発現してから前記吊持のための引張力を解除し、又は前記後行プレキャスト床版と前記桁との離間スペースに仮受け材を介在させてから前記吊持のための引張力を解除するとともに前記離間スペースにモルタルを充填するものである。
【0021】
また、本発明に係るプレキャスト床版の連結方法は請求項7に記載したように、先行配置されたプレキャスト床版である先行プレキャスト床版にあらたなプレキャスト床版である後行プレキャスト床版を連結するプレキャスト床版の連結方法において、
前記後行プレキャスト床版を、桁の載置面から反力をとって吊持することにより、前記桁から離間させる形でかつ前記先行プレキャスト床版に隣り合うように前記桁に架け渡し、
前記後行プレキャスト床版を面内方向移動させることで前記先行プレキャスト床版との水平方向クリアランスを調整し、
前記後行プレキャスト床版及び前記先行プレキャスト床版を相互連結し、
前記後行プレキャスト床版と前記桁との離間スペースにモルタルを充填して該モルタルの強度が発現してから前記吊持のための引張力を解除し、又は前記後行プレキャスト床版と前記桁との離間スペースに仮受け材を介在させてから前記吊持のための引張力を解除するとともに前記離間スペースにモルタルを充填するものである。
【0022】
[プレキャスト床版設置用治具]
本発明に係るプレキャスト床版設置用治具においては、その支柱がプレキャスト床版に形成された貫通開口に遊貫されるとともに、該プレキャスト床版が架け渡される桁の載置面に支柱の基部が当接されるので、プレキャスト床版は、支柱を介して桁から反力をとる形でかつ桁から離間された状態で吊持機構で吊持されるとともに、支柱の周面と貫通開口の内周面との間に拡がるクリアランスによる移動幅を限度として、プレキャスト床版が面内方向移動できるようになっている。
【0023】
そのため、先行配置されたプレキャスト床版(以下、先行プレキャスト床版)とそれに隣接配置されるプレキャスト床版(以下、後行プレキャスト床版)の対向端部近傍にそれぞれPC鋼材の各端が定着されるように該先行プレキャスト床版及び該後行プレキャスト床版に跨設された連結ユニットを用いてそれらを相互連結する場合、上記PC鋼材に予め導入された緊張力を解放する際には、その緊張力は、後行プレキャスト床版と桁との間に生じる摩擦力に阻害されることなく、実質的にそのすべてがPC鋼材の全長に沿って周辺コンクリートに圧縮力として伝達する。
【0024】
したがって、先行プレキャスト床版及び後行プレキャスト床版の各対向面には十分な大きさの圧縮力が作用し、後行プレキャスト床版は、先行プレキャスト床版に確実に連結されるとともに、PC鋼材の緊張力の一部が、PC鋼材の定着端外側領域に引張応力を発生させる懸念がなくなるので、該外側領域に拡がるコンクリートにひび割れが発生するおそれもない。
【0025】
長尺のPC鋼材を用いて連結する場合も、該PC鋼材に導入される緊張力が上記摩擦力で一部相殺される懸念がなくなるため、先行プレキャスト床版及び後行プレキャスト床版の各対向面には十分な大きさの圧縮力が作用し、両者の確実な連結が可能になるとともに、プレストレスを用いずに連結する場合も、上述の摩擦力で先行プレキャスト床版との相対位置調整が困難になるおそれがなくなり、より適切な連結が可能となる。
【0026】
なお、支柱の基部が桁の載置面に当接されるため、プレキャスト床版の荷重は、吊持機構を介して支柱の基部に伝達され、その大きさに応じて桁の載置面との間で摩擦力が発生するが、この摩擦力は、プレキャスト床版及びこれを吊持するプレキャスト床版設置用治具を、全体としてプレキャスト床版の面内方向に安定支持する役目を果たす。
【0027】
また、本発明のプレキャスト床版設置用治具は、2つのプレキャスト床版をプレストレスを用いて連結する際、それらの対向面に十分な大きさの圧縮力を作用させるべく、プレキャスト床版を対向面に対して垂直な方向に移動自在としたことを主たる特徴としたものであるが、プレストレスを用いない場合の上述の記載でもわかる通り、上記摩擦力によって先行プレキャスト床版との相対位置調整が困難になるという課題は、対向面に平行な方向であっても解決されるものであって、その意味では、連結の際にプレストレスを用いるかどうかが本発明の前提となるものではない。
【0028】
支柱の周面と貫通開口の内周面との間に拡がるクリアランスは、連結方法ごとに要求されるプレキャスト床版の面内方向移動の大きさに応じて適宜その寸法を定めればよく、上記連結ユニットを用いた連結方法であれば、該連結ユニットを構成するPC鋼材の緊張力が解放されたときの定着間距離の収縮量に基づいて、長尺状のPC鋼材を用いた連結方法であれば、該PC鋼材に緊張力を導入したときの後行プレキャスト床版の収縮量に基づいてそれぞれ定めればよいし、プレストレスを用いない連結方法であれば、先行プレキャスト床版との間の継ぎ目施工を行う際に必要となる位置調整量に基づいて定めればよい。
【0029】
プレキャスト床版を面内方向移動できるようにする構成は、先行プレキャスト床版に連結される際、後行プレキャスト床版に必要となる相対水平移動が、連結操作を実質的に阻害しない状態で可能になる限り、その具体的構成は任意であって、例えば
(a)上記相対水平移動の方向に支柱、吊持機構又はそれらを相互連結する連結材の少なくとも一部が弾性変形できるようにそれらを構成する
(b)同方向に吊持機構の少なくとも一部が水平移動できるように滑動機構を設ける
(c)同方向にプレキャスト床版が揺動可能となるように吊持機構に揺動機構を設ける
などの構成が可能である。
【0030】
(a)は例えば、支柱、吊持機構又はそれらを相互連結する連結材の一部を横断面が矩形の鋼材で構成しその強軸が上記相対水平移動の方向に一致するように配置する構成とすることが可能であり、(b)はホイストクレーンを走行自在に吊持する走行レールに類似の走行機構を滑動機構とすることが可能である。
【0031】
ここで、吊持機構を、支柱の側方に延びる吊持アームと該吊持アームの持ち出し部位に連結され先端がプレキャスト床版に取り付けられるようになっている吊持ロッドとで構成することが可能であり、この構成において、吊持ロッドが構造上ピンとして吊持アームとプレキャスト床版に接合される場合には、該吊持機構によってプレキャスト床版が揺動自在となるので、上述の構成(c)に該当し、吊持ロッドが吊持アームやプレキャスト床版に剛接合される場合には、上述の構成(a)に該当する。
【0032】
いずれの場合も、かかる構成においては、吊持アームを、支柱の材軸を挟んで互いに反対側に延びる一対の吊持アームとし、吊持ロッドを該各吊持アームにそれぞれ連結された一対の吊持ロッドとした構成とするのが望ましい。
【0033】
プレキャスト床版を桁から離間させる必要がある関係上、支柱は、プレキャスト床版に形成された貫通開口に遊貫された状態で該支柱の基部がプレキャスト床版から突出する必要があるが、その突出する部分の長さを調整する突出長調整機構を設けるようにすれば、支柱の製作精度が緩和され、現場対応が容易になる。
【0034】
突出長調整機構は、例えば支柱や吊持機構に設けるのであれば、それらを伸縮自在とすることで全長を可変に構成し、支柱と吊持機構との連結部位に設けるのであれば、それらを螺合によって連結した上で該螺合の深さや位置を調整するように構成し、吊持機構の床版側端部に設けるのであれば、プレキャスト床版に設けられた雌ネジに深さ調整自在に螺合可能な構成とすればよい。
【0035】
[プレキャスト床版の連結方法]
(1)連結ユニットを用いた連結方法
本発明に係るプレキャスト床版の連結方法において、連結ユニットを用いて後行プレキャスト床版を先行プレキャスト床版に連結するには、まず、後行プレキャスト床版を、桁の載置面から反力をとって吊持することにより、桁から離間させる形でかつ先行プレキャスト床版に隣り合うように桁に架け渡す。
【0036】
次に、連結ユニットを、その構成要素であるPC鋼材の各端が先行プレキャスト床版と後行プレキャスト床版の対向端部近傍にそれぞれ定着されるように、該先行プレキャスト床版及び該後行プレキャスト床版に跨設する。ここで、先行プレキャスト床版と後行プレキャスト床版との間には、それらの対向面に挟み込まれる形で接合部を設ける構成が典型例となる。接合部の構成材料(コンクリートなど)は、PC鋼材の各端が定着されるコンクリートと連続一体化させるのが望ましい。
【0037】
次に、PC鋼材に予め導入されていた緊張力を解除する。
【0038】
このようにすると、その緊張力は、後行プレキャスト床版と桁との間に生じる摩擦力と何ら相殺されることなく、実質的にその全てがPC鋼材の全長に沿って周辺コンクリートに圧縮力として伝達する。
【0039】
そのため、先行プレキャスト床版と後行プレキャスト床版との対向面には十分な大きさの圧縮力が作用し、後行プレキャスト床版は、先行プレキャスト床版に確実に連結される。
【0040】
また、このとき、PC鋼材の緊張力の一部が、上記摩擦力を反力として、PC鋼材の定着端外側領域に引張応力を発生させる懸念がなくなるので、該外側領域に拡がるコンクリートにひび割れが発生するおそれもない。
【0041】
後行プレキャスト床版が先行プレキャスト床版に連結されたならば、次に、後行プレキャスト床版と桁との離間スペースにモルタルを充填して該モルタルの強度が発現してから吊持のための引張力を解除する。
【0042】
なお、これに代えて、後行プレキャスト床版と桁との離間スペースに仮受け材を介在させてから吊持のための引張力を解除するとともに離間スペースにモルタルを充填するようにしてもよい。
【0043】
(2)長尺のPC鋼材を用いた連結方法
本発明に係るプレキャスト床版の連結方法において、長尺状のPC鋼材を用いて後行プレキャスト床版を先行プレキャスト床版に連結するには、まず、後行プレキャスト床版を、桁の載置面から反力をとって吊持することにより、桁から離間させる形でかつ先行プレキャスト床版に隣り合うように桁に架け渡す。
【0044】
次に、先行プレキャスト床版及び後行プレキャスト床版にそれらの面内方向に沿ってPC鋼材を挿通し、次いで、該PC鋼材に緊張力を導入する。なお、PC鋼材に緊張力を導入する工程に先立ち、先行プレキャスト床版と後行プレキャスト床版との間に、それらの対向面に挟み込まれる形で、コンクリート等を構成材料とする接合部を予め設ける構成が典型例となる。
【0045】
このようにすると、その緊張力は、後行プレキャスト床版と桁との間に生じる摩擦力と何ら相殺されることなく、該後行プレキャスト床版に伝達する。
【0046】
そのため、先行プレキャスト床版と後行プレキャスト床版との対向面には十分な大きさの圧縮力が作用し、後行プレキャスト床版は、先行プレキャスト床版に確実に連結される。
【0047】
後行プレキャスト床版が先行プレキャスト床版に連結されたならば、連結ユニットを用いた連結方法と同様に、後行プレキャスト床版と桁との離間スペースにモルタルを充填して該モルタルの強度が発現してから吊持のための引張力を解除する。
【0048】
なお、これに代えて、後行プレキャスト床版と桁との離間スペースに仮受け材を介在させてから吊持のための引張力を解除するとともに離間スペースにモルタルを充填するようにしてもよい。
【0049】
(3)プレストレスを用いない連結方法
本発明に係るプレキャスト床版の連結方法において、プレストレスを用いずに後行プレキャスト床版を先行プレキャスト床版に連結するには、まず、後行プレキャスト床版を、桁の載置面から反力をとって吊持することにより、桁から離間させる形でかつ先行プレキャスト床版に隣り合うように桁に架け渡す。
【0050】
次に、後行プレキャスト床版を面内方向移動させることで先行プレキャスト床版との水平方向クリアランスを調整する。
【0051】
ここで、後行プレキャスト床版は、それが架け渡された桁との間で摩擦力が生じないため、後行プレキャスト床版を自在に面内方向移動させることが可能となり、先行プレキャスト床版との水平方向クリアランスを容易に調整することができる。
【0052】
後行プレキャスト床版と先行プレキャスト床版との水平方向クリアランスが調整されたならば、必要に応じて該水平方向クリアランスに補強筋を配置した後、その水平方向クリアランスにコンクリートを打設することにより、後行プレキャスト床版及び先行プレキャスト床版を相互連結する。
【0053】
後行プレキャスト床版が先行プレキャスト床版に連結されたならば、連結ユニットを用いた連結方法と同様に、後行プレキャスト床版と桁との離間スペースにモルタルを充填して該モルタルの強度が発現してから吊持のための引張力を解除する。
【0054】
なお、これに代えて、後行プレキャスト床版と桁との離間スペースに仮受け材を介在させてから吊持のための引張力を解除するとともに離間スペースにモルタルを充填するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】本実施形態に係るプレキャスト床版設置用治具1の全体斜視図。
【
図3】プレキャスト床版設置用治具1の作用を示した説明図。
【
図4】プレキャスト床版設置用治具1を用いてプレキャスト床版2を先行プレキャスト床版に連結する手順を示した図。
【
図6】引き続き連結手順を示した図であり、(a)は平面図、(b)はA-A線に沿う断面図。
【
図7】引き続き連結手順を示した図であり、荷重バランスの様子を併せて示した図。
【
図8】従来の連結方法における荷重バランスの様子を示した図。
【
図10】変形例に係るプレキャスト床版設置用治具を示した正面図。
【
図11】別の変形例に係るプレキャスト床版設置用治具を示した正面図。
【
図12】別の変形例に係るプレキャスト床版設置用治具を示した正面図。
【
図13】別の変形例に係るプレキャスト床版設置用治具を示した正面図。
【
図14】別の変形例に係るプレキャスト床版設置用治具を示した正面図。
【
図15】別の変形例に係るプレキャスト床版設置用治具を示した正面図。
【
図16】プレキャスト床版の連結方法を示した図であり、(a)は詳細平面図、(b)はB-B線に沿う詳細断面図。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、本発明に係るプレキャスト床版設置用治具及びプレキャスト床版の連結方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0057】
[プレキャスト床版設置用治具]
本実施形態に係るプレキャスト床版設置用治具1は
図1及び
図2に示すように、先行設置されたプレキャスト床版(図示せず)と後行設置されるプレキャスト床版2との連結作業に用いられるものであって、支柱としての4本の支持ボルト5と該支持ボルトに連結された吊持機構7とを備えていて、支持ボルト5は、プレキャスト床版2に貫通配置された上、該プレキャスト床版が架け渡される桁3の載置面4に一方の端部(
図1,2では下端。以下、ボルト脚部と呼ぶ)の端面が基部6としてそれぞれ当接されるようになっており、吊持機構7は、4本の支持ボルト5を介して桁3から反力をとることでプレキャスト床版2を吊持できるようになっている。
【0058】
4本の支持ボルト5は、各他方の端部(
図1,2では上端であり、以下、ボルト頂部と呼ぶ)にそれぞれナット8を螺合した上、該ナットが当接する形で該各ボルト頂部を頂板9に穿孔されたボルト挿通孔10にそれぞれ挿入してあり、頂板9及びその中央近傍に延設された連結材11を介して、上述した吊持機構7からの荷重を支持するようになっている。
【0059】
ここで、ナット8を用いた上記構成は、その螺合位置を変更することによって、支持ボルト5のうち、プレキャスト床版2から突出する部分の長さ、換言すれば桁3の載置面4からのプレキャスト床版2の離間寸法Δh(
図2)を調整することができるものであり、本発明の突出長調整機構として機能する。
【0060】
突出長(離間寸法Δh)は、その隙間にグラウト材を充填する際の施工性や充填されたグラウト材の荷重伝達性能を考慮して適宜定めればよい。
【0061】
なお、ナット8及び支持ボルト5を用いた上述の突出長調整機構は、プレキャスト床版2の設置レベルを調整する従来のレベル調整ネジの機能も有するものであって、その意味では、望ましい設置レベルとする点も踏まえて、突出長を適宜決定する。
【0062】
4本の支持ボルト5は
図1,2に示すように、頂板9に対向するように配置され側板12,12を介して該頂板に連結された底板13のボルト挿通孔14に挿通してあり、頂板9に対して概ね垂直に姿勢保持されるよう構成してある。
【0063】
ここで、4本の支持ボルト5は、プレキャスト床版2に埋設された中空管15に挿通してあり、該中空管は、支持ボルト5をプレキャスト床版2に遊貫するための貫通開口として機能する。
【0064】
吊持機構7は、頂板9とは反対の側で連結材11に連結され該連結材の材軸を挟んで互いに反対側に延びる一対の吊持アーム21,21と、該吊持アームの持ち出し部位に連結された吊持ロッドとしての一対のPC鋼材22,22とで構成してあり、該各PC鋼材は、それらの先端に設けられた雄ネジ部24,24をプレキャスト床版2に埋設された雌ネジ23,23にそれぞれ螺合できるようになっている。
【0065】
一対の吊持アーム21,21は、本実施形態では、各図でわかるように単一の角形鋼管で構成してある。
【0066】
各PC鋼材22は、吊持アーム21に形成されたボルト挿通孔に挿通した上、ナット25をそれぞれ螺合することで該吊持アームに連結してある。
【0067】
ここで、吊持機構7は、上述したように4本の支持ボルト5を介して桁3から反力をとることにより、プレキャスト床版2を桁3からΔhだけ離間させた状態で吊持できるように構成してあるとともに、
図3に示すように、吊持機構7を構成するPC鋼材22が弾性変形するため、支持ボルト5の周面と中空管15の内周面との間に拡がるクリアランスδdによる移動幅を限度として(同図(b))、プレキャスト床版2が同図(a)に示すように面内方向移動できるようになっている。
【0068】
なお、
図3(a)は、吊持機構7を構成するPC鋼材22が、プレキャスト床版2の面内方向移動に伴ってどのように変形するかを、発明理解の便宜上、変形程度を誇張して示したものであって、実際には同図(b)に示すように、クリアランスδdが移動幅の限度となる。
【0069】
クリアランスδdは、後行プレキャスト床版を先行プレキャスト床版に連結する際、該後行プレキャスト床版を先行プレキャスト床版に対してどの程度面内方向移動させたいかによって適宜設定すればよい。
【0070】
例えば、2つのプレキャスト床版をそれらの対向端部(縦目地)にプレストレスを作用させて連結する場合、コンクリートに生じる圧縮ひずみは、縦目地に作用させたい応力を5N/mm2、コンクリートのヤング係数を30kN/mm2とすると、
圧縮ひずみ=5/30000
=170μ
となるので、プレストレスの作用間距離(定着板の離間距離)が4.5mの場合であれば、コンクリートの収縮量は、
コンクリートの収縮量=4.5×170/1000
=0.77mm≒0.8mm
となり、コンクリートに引張ひずみを生じさせないためのクリアランスδdは、先行プレキャスト床版が固定されている場合、0.8mmであることがわかる。
【0071】
なお、この場合、PC鋼材22の長さ(プレキャスト床版2の上面から吊持アーム21の下面までの高さH)を例えば2mとすると、プレキャスト床版2が元の位置に戻ろうとする力(復元力)は、プレキャスト床版2の自重をWとすると、
復元力=W×0.8/2000
=0.0004W
となるが、これは、導入されるプレストレスの大きさに比べて無視し得る程度の大きさであって、連結作業には何ら差し支えないことがわかる。
【0072】
[プレキャスト床版設置用治具1を用いたプレキャスト床版の連結方法]
図4~
図9は、プレキャスト床版設置用治具1を用いて、後行プレキャスト床版であるプレキャスト床版2を先行プレキャスト床版に連結する手順を、連結ユニットを用いた場合を例として示したものである。
【0073】
これらの図に示すように、プレキャスト床版2を先行プレキャスト床版に連結するには、まず、
図4(a)に示すように、製作されたプレキャスト床版2を工場等で水平に設置する。このとき、支持ボルト5の基部6をプレキャスト床版2の下面から突出させることができるよう、端太材41を用いて該下面を床面43から適宜浮かせておく。
【0074】
次に、底板13とプレキャスト床版2との間にスペーサー42を挟み込むことにより、プレキャスト床版設置用治具1をプレキャスト床版2の上に仮置きし、かかる状態で、PC鋼材22,22の上端を吊持アーム21,21に形成されたボルト挿通孔に挿通した上、ナット25をそれぞれ螺合するとともに、下端(先端)に設けられた雄ネジ部24,24をプレキャスト床版2に埋設された雌ネジ23,23にそれぞれ螺合する。
【0075】
ここで、ナット25は、既に述べた通り、連結のためのプレストレス力を2つのプレキャスト床版の対向端部に作用させる際、PC鋼材22の長さ(プレキャスト床版2の上面から吊持アーム21の下面までの高さH)が、プレキャスト床版2の復元力を十分小さくすることが可能な長さとなるよう、その螺合位置を適宜調整する。なお、かかるPC鋼材22の長さ調整が可能となるよう、連結材11についても、その長さを適宜決定しておくか、又は伸縮式とすることで長さを可変に構成しておく。
【0076】
上述の作業と同時に又は相前後して、支持ボルト5を頂板9のボルト挿通孔10と底板13のボルト挿通孔14に挿通するとともに、該支持ボルトにナット8を螺合する。
【0077】
ナット8の螺合位置を調整するにあたっては、該ナットの上面が頂板9の下面に当接した状態において、プレキャスト床版2の下面からの支持ボルト5の基部6の突出量Δh´が、
Δh´=Δh+Δp
Δh;桁3の載置面4からのプレキャスト床版2の離間寸法
Δp;プレキャスト床版2の重量がPC鋼材22に作用したときの該PC鋼材の弾性変形量
となるようにする。これは、プレキャスト床版2を桁3に載置したときに該プレキャスト床版の重量がPC鋼材22に作用して伸長し、その分、支持ボルト5の基部6がプレキャスト床版2の側に後退するからである。
【0078】
プレキャスト床版2へのプレキャスト床版設置用治具1の設置が完了したならば、これを連結作業現場に搬送し、
図4(b)に示すように桁3に吊り降ろす。
【0079】
図5は、先行プレキャスト床版51に隣接するように、後行プレキャスト床版であるプレキャスト床版2を吊り降ろす様子を示したものであり、本実施形態では、2つのプレキャスト床版設置用治具1をプレキャスト床版2に設置した上、該プレキャスト床版を桁3,3に架け渡して該各桁の載置面4にプレキャスト床版設置用治具1を構成する支持ボルト5の基部6をそれぞれ当接する。
【0080】
このようにすると、プレキャスト床版設置用治具1の支持ボルト5がプレキャスト床版2に形成された貫通開口である中空管15に遊貫されるとともに、該プレキャスト床版が架け渡される桁3の載置面4に支持ボルト5の基部6が当接されるので、
図2,3でも説明したように、プレキャスト床版2は、支持ボルト5を介して桁3から反力をとる形でかつ桁3からΔhだけ離間された状態で吊持機構7で吊持されるとともに、支持ボルト5の周面と中空管15の内周面との間に拡がるクリアランスδdによる移動幅を限度として面内方向移動できる状態となる。
【0081】
このようにして、後行プレキャスト床版であるプレキャスト床版2を、桁3,3から離間させる形でかつ先行プレキャスト床版であるプレキャスト床版51に隣接させる形で該桁に架け渡したならば、
図6に示すように、プレキャスト床版51及びプレキャスト床版2の対向端部を跨ぐように連結ユニット61を配置する。
【0082】
連結ユニット61は、PC鋼棒の各端近傍にそれぞれ定着板を取り付けてあるとともに該PC鋼棒には予め緊張力が導入されており、その緊張力を解放する(該緊張力を保持する反力としての圧縮力を解放する)ことによって、上記定着板を介して周辺コンクリートに圧縮力を作用させることができるようになっているが、具体的構成については、例えば公知の技術から適宜選択することができるので、ここではその詳細な説明を省略する。
【0083】
ここで、プレキャスト床版51とプレキャスト床版2の対向端部には同図に示すように、該対向端部に開く形で切り欠き62a,62bをそれぞれ設けてあるので、連結ユニット61を配置する際は、それを構成する一方の定着板がプレキャスト床版51の切り欠き62a内に配置され、他方の定着板がプレキャスト床版2の切り欠き62b内に配置されるように位置決めする。
【0084】
連結ユニット61を配置したならば、次に、該連結ユニットが埋設されるようにかつ切り欠き62a,62bに連続一体化されるように該切り欠き内にコンクリートを打設する。
【0085】
コンクリート打設にあたっては、強度発現後に連結ユニット61を構成するPC鋼棒の緊張力を解放することができるよう、その解放機構の周囲にはコンクリートを打設せずに作業空間として残しておき、緊張力解放後、必要に応じてその作業空間にコンクリートを後打ちすればよい。
【0086】
次に、切り欠き62a,62bに打設されたコンクリートの強度発現後、連結ユニット61を構成するPC鋼棒の緊張力を解放する。
【0087】
このようにすると、その緊張力は
図7に示すように、プレキャスト床版2をプレキャスト床版51に引き寄せる方向に作用するが、該プレキャスト床版は、上述したように桁3から反力をとる形でかつ桁3からΔhだけ離間された状態でプレキャスト床版設置用治具1で吊持されていて、クリアランスδdによる移動幅を限度として面内方向移動できる状態となっているので、プレキャスト床版2は、プレキャスト床版2と桁3との間に生じる摩擦力に阻害されることなく、プレキャスト床版51の方向に移動し、プレキャスト床版2とプレキャスト床版51の対向端部近傍のコンクリート領域には、切り欠き62a,62b内のコンクリートを含め、連結ユニット61を構成するPC鋼棒に導入されていた緊張力のほぼすべてが該PC鋼棒の全長に沿って圧縮力として伝達する。
【0088】
図7(b)は、連結ユニット61における緊張力の解放によって、そのPC鋼棒の緊張力と定着板の間に拡がるコンクリートの圧縮力とがバランスする様子を示したものであって、定着板の外側に拡がるコンクリート領域には引張力が伝達されていないことを示したものである。
【0089】
一方、プレキャスト床版2をプレキャスト床版設置用治具1を介さずに桁3,3に架け渡す従来方法の場合、
図8(a)に示すように、連結ユニット61の緊張力が解放される際に、プレキャスト床版2と桁3との間、及びプレキャスト床版51と桁3との間に反力としての摩擦力ΔPがそれぞれ発生するため、連結ユニット61を構成するPC鋼棒の緊張力と定着板の間に拡がるコンクリートの圧縮力とは、同図(b)のように摩擦力ΔPが減じられた荷重(P-ΔP)でバランスし、連結ユニット61を構成する定着板と桁3との間(定着端外側領域)では、同図(c)のように摩擦力ΔPとバランスするための引張力が発生し、コンクリート領域81にひび割れが生じる。
【0090】
連結ユニット61によるプレキャスト床版2とプレキャスト床版51との連結作業が終了したならば、
図9(a)に示すように、桁3とプレキャスト床版2との間にモルタル91を充填し、該モルタルの強度発現後、ナット25を緩めてPC鋼材22を除荷し、その下端の雄ネジ部24を雌ネジ23から取り外すとともに、支持ボルト5をプレキャスト床版2の上面位置で切断することにより、同図(b)に示すように、ボルト部分5bをプレキャスト床版2に残置する形で、プレキャスト床版設置用治具1を撤去する。なお、支持ボルト5に養生テープを巻き付けておけば、該支持ボルトの周面がモルタル91と縁切りされるため、支持ボルト5を切断せずともこれを取り外すことが可能である。
【0091】
撤去されたプレキャスト床版設置用治具1は、次の連結作業に適宜転用すればよい。
【0092】
[実施形態の作用効果]
以上説明したように、本実施形態に係るプレキャスト床版設置用治具1によれば、支持ボルト5がプレキャスト床版2に形成された貫通開口である中空管15に遊貫されるとともに、該プレキャスト床版が架け渡される桁3の載置面4に支持ボルト5の基部6が当接されるので、プレキャスト床版2は、支持ボルト5を介して桁3から反力をとる形でかつ桁3からΔhだけ離間された状態で吊持機構7で吊持されるとともに、支持ボルト5の周面と中空管15の内周面との間に拡がるクリアランスδdによる移動幅を限度として面内方向移動できるようになっているので、プレキャスト床版51とプレキャスト床版2との対向面には十分な大きさの圧縮力が作用する。
【0093】
そのため、プレキャスト床版2は、プレキャスト床版51に確実に連結されるとともに、プレキャスト床版2と桁3との間に摩擦力が発生しないため、従来の連結方法のように、連結ユニット61を構成する定着板と桁3とのコンクリート領域81にひび割れが生じるおそれもない。
【0094】
また、本実施形態に係るプレキャスト床版設置用治具1によれば、支持ボルト5の基部6が桁3の載置面4に当接されるため、プレキャスト床版2の荷重は、吊持機構7を介して基部6に伝達され、その大きさに応じて桁3の載置面4との間で摩擦力が発生するが、この摩擦力は、プレキャスト床版2及びこれを吊持するプレキャスト床版設置用治具1を、全体としてプレキャスト床版2の面内方向に安定支持する役目を果たす。
【0095】
そのため、プレキャスト床版と桁との間に摩擦低減手段を介在させる従来の連結方法のように、プレキャスト床版がその面内方向で不安定になるおそれもない。
【0096】
また、本実施形態に係るプレキャスト床版設置用治具1によれば、PC鋼材22の軸剛性を低く抑えることができるので、既設のプレキャスト床版であるプレキャスト床版51に交通振動が生じた場合でも、プレキャスト床版2がプレキャスト床版51に合わせて振動することとなり、かくして切り欠き62a,62b内に打設されたコンクリートとそれを補強する補強筋との間で付着が不良になる懸念がなくなる。
【0097】
[プレキャスト床版設置用治具に係る変形例]
本実施形態では、吊持機構7を構成するPC鋼材22が吊持アーム21及びプレキャスト床版2に剛接合された上で該PC鋼材が弾性変形することにより、プレキャスト床版2を面内方向移動させる構成としたが、PC鋼材22と吊持アーム21及びプレキャスト床版2との接合が構造上、ピン接合であるとみなすことができるのであれば、PC鋼材22の弾性変形ではなく、吊持アーム21を支点とした揺動機構によって、プレキャスト床版2を面内方向移動させる構成としてもかまわない。
【0098】
また、プレキャスト床版を面内方向移動できるようにする構成は、先行プレキャスト床版に連結される際、後行プレキャスト床版に必要となる相対水平移動が、連結操作を実質的に阻害しない状態で可能になる限り、その具体的構成は任意であって、例えば
図10に示すように、連結材11の弾性変形によってそれを実現するようにしてもかまわない。
【0099】
また、本実施形態では、支持ボルト5にナット8を螺合した上、該ナットが当接する形で該各ボルト頂部を頂板9に穿孔されたボルト挿通孔10にそれぞれ挿入し、該ナットの螺合位置を変更することによって、支持ボルト5のうち、プレキャスト床版2から突出する部分の長さ(桁3の載置面4からのプレキャスト床版2の離間寸法Δh)を調整可能としたが、本発明の突出長調整機構は、かかる構成に限定されるものではなく、例えば
図11に示すように、PC鋼材22に螺合されたナット25の螺合位置や雌ネジ23への雄ネジ部24の螺合深さを変えることによって、プレキャスト床版2から突出する部分の長さを変更するようにしてもかまわない。
【0100】
かかる構成においては、ナット8を用いた構成に代えて、同図に示すように、プレキャスト床版2に貫通配置され下端が基部6として桁3の載置面4に当接される支柱としての4本の支持ボルト112を基板111に取り付けるとともに、該基板の反対側で連結材11を延設してその先端を吊持アーム21,21に連結する構成とすることができる。
【0101】
なお、本発明の突出長調整機構は、必須の構成要素ではなく、支持ボルト5のうち、プレキャスト床版2から突出する部分の長さを調整する必要がないのであれば、これを省略してもかまわない。
【0102】
また、本実施形態では、支持ボルト5をプレキャスト床版2に遊貫させるにあたり、プレキャスト床版2に設けた中空管15にそれぞれの支持ボルト5を個別に挿通するようにしたが、プレキャスト床版に設ける貫通開口については、任意の構造を採用することが可能であって、
図12に示すように、一つの開口131を例えば平面視矩形状となるように設けてこれを貫通開口とし、該開口121に4本の支持ボルト5を貫通させるようにしてもかまわない。
【0103】
また、本実施形態では、PC鋼材22,22が、先行プレキャスト床版との連結方向(
図2であればその左右方向)に沿って平行になるように吊持機構7を構成したが、本発明の吊持機構は、設置姿勢で鉛直となる軸線(
図2であれば上下方向に延びる軸線)の回りに任意の角度位置で配置することが可能であり、例えば
図13のように、
図1や
図2に示した実施形態の構成から鉛直軸線回りに90゜回転させた構成としてもかまわない。
【0104】
また、
図13の変形例において、桁3の上方にプレキャスト床版設置用治具1を配置する構成に代えて、桁3の両側方にブラケット141をそれぞれ延設した上、該各ブラケットをあらたな桁としてそれらの上方にプレキャスト床版設置用治具1をそれぞれ設置する
図14の構成や、同構成において、頂板や底板を共用の頂板9´、共用の底板13´とした上、吊持機構7を一つにした
図15の構成が採用可能である。
【0105】
また、本実施形態では、連結ユニット61によるプレキャスト床版2とプレキャスト床版51との連結作業が終了した後、モルタル91の充填後、その強度発現を待ってプレキャスト床版設置用治具1を撤去するようにしたが、これに代えて、桁3とプレキャスト床版2との間にスペーサーを挟み込んでプレキャスト床版2を仮受けし、その状態でモルタル91を充填するようにすれば、モルタル91の強度発現を待たずとも、プレキャスト床版設置用治具1を撤去することが可能である。
【0106】
また、本実施形態では、本発明に係るプレキャスト床版設置用治具を、連結ユニット61を用いた連結方法に適用した例として説明したが、本発明のプレキャスト床版設置用治具は、連結ユニット61との併用を前提とするものではなく、長尺のPC鋼材を用いて連結する場合であっても、該PC鋼材に導入される緊張力が桁との間で生じる摩擦力で一部相殺される懸念がなくなるため、先行プレキャスト床版との対向面には十分な大きさの圧縮力が作用し、該先行プレキャスト床版との確実な連結が可能になるとともに、プレストレスを用いずに連結する場合であっても、上述の摩擦力で先行プレキャスト床版との相対位置調整が困難になるおそれがなくなり、より適切な連結が可能となる。
【0107】
[プレキャスト床版の連結方法に係る変形例]
また、本実施形態では、本発明に係るプレキャスト床版の連結方法(連結ユニットを用いた連結方法)を、本発明に係るプレキャスト床版設置用治具を用いた場合で説明したが、本発明に係るプレキャスト床版の連結方法(連結ユニットを用いた連結方法)は、後行プレキャスト床版を、桁の載置面から反力をとって吊持することにより、桁から離間させる形でかつ先行プレキャスト床版に隣り合うように桁に架け渡せば足りるものであって、必ずしも本発明に係るプレキャスト床版設置用治具を用いる必要はない。
【0108】
また、本発明に係るプレキャスト床版の連結方法は、連結ユニットを用いた連結方法に限定されるものではなく、長尺状のPC鋼材を用いて後行プレキャスト床版を先行プレキャスト床版に連結する場合にも適用することができる。
【0109】
この場合、先行プレキャスト床版及び後行プレキャスト床版にそれらの面内方向に沿ってPC鋼材を挿通した後、該PC鋼材に緊張力を導入するが、その際、該緊張力は、後行プレキャスト床版と桁との間に生じる摩擦力と何ら相殺されることなく、該後行プレキャスト床版を構成するコンクリートに圧縮力として伝達するので、先行プレキャスト床版と後行プレキャスト床版との対向面には十分な大きさの圧縮力が作用し、後行プレキャスト床版を先行プレキャスト床版に確実に連結することが可能となる。
【0110】
なお、長尺状のPC鋼材を用いた連結方法においては、上述のクリアランスδdは、長尺状のPC鋼材に緊張力を導入したときの後行プレキャスト床版の収縮量に基づいて適宜定めればよい。
【0111】
また、本発明に係るプレキャスト床版の連結方法は、プレストレスを用いずに後行プレキャスト床版を先行プレキャスト床版に連結する場合にも適用することができる。
【0112】
この場合、後行プレキャスト床版を面内方向移動させることで先行プレキャスト床版との水平方向クリアランスを調整するが、その際、後行プレキャスト床版は、それが架け渡された桁との間で摩擦力が生じないため、後行プレキャスト床版を自在に面内方向移動させることが可能となり、先行プレキャスト床版との水平方向クリアランスを容易に調整することができる。
【0113】
なお、プレストレスを用いない連結方法においては、上述のクリアランスδdは、先行プレキャスト床版との間の継ぎ目施工を行う際に必要となる位置調整量に基づいて定めればよい。
【0114】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、連結ユニット61を用いてプレキャスト床版2をプレキャスト床版51に連結するにあたり、両者の間に接合部を介在させる手順が典型例となる。
【0115】
すなわち、
図6の連結ユニット61を配置するにあたっては、
図16にあらためて示す通り、プレキャスト床版2及びプレキャスト床版51の対向面162a,162bが互いに離間するように、プレキャスト床版2をプレキャスト床版51に対して相対配置した上、連結ユニット61を構成するPC鋼棒163の一方に取り付けられた定着板161aがプレキャスト床版51の切り欠き62a内に配置され、他方に取り付けられた定着板161bがプレキャスト床版2の切り欠き62b内に配置されるように該連結ユニットを位置決めする。
【0116】
次に、切り欠き62a,62b内にコンクリートを打設するとともに、PC鋼棒163に予め導入された緊張力を解放するための反力解放機構165を操作するための操作作業領域164を除いて、プレキャスト床版2及びプレキャスト床版51の対向面162a,162bの間に拡がる空間にコンクリートを打設する。
【0117】
このようにすると、切り欠き62aには、プレキャスト床版51と連続一体化する形で引張力伝達部167aが設けられるとともに、該引張力伝達部には定着板161aが埋設される。同様に、切り欠き62bには、プレキャスト床版2と連続一体化する形で引張力伝達部167bが設けられるとともに、該引張力伝達部には定着板161bが埋設される。
【0118】
また、プレキャスト床版2及びプレキャスト床版51の対向面162a,162bの間に拡がる空間には、プレキャスト床版51,2と連続一体化する形で接合部166が設けられる。
【0119】
なお、プレキャスト床版51に配筋された鉄筋(図示せず)を該プレキャスト床版から切り欠き62aに適宜突出させることにより、プレキャスト床版51と引張力伝達部167aとの連続一体化を高めるようにしておくとともに、プレキャスト床版2に配筋された鉄筋(図示せず)を該プレキャスト床版から切り欠き62bに適宜突出させることにより、プレキャスト床版2と引張力伝達部167bとの連続一体化を高めるようにしておくのが望ましいし、プレキャスト床版51,2に配筋された鉄筋(図示せず)を該各プレキャスト床版から対向面162a,162bに拡がる空間に適宜突出させることにより、プレキャスト床版51,2と接合部166との連続一体化を高めるようにしておくのが望ましい。
【0120】
次に、引張力伝達部167a,167bや接合部166のコンクリート強度が発現した後、反力解放機構165を操作してPC鋼棒163の緊張力を解放する。
【0121】
反力解放機構165は、例えばPC鋼棒163と同軸に配置された2本の筒状反力部材(図示せず)の遠隔側端部が定着板161a,161bに当接された状態でそれらの近接側端部を押し拡げてPC鋼棒163の緊張力を支持する反力とすることができるように構成するとともに、該押し拡げ動作を緩めることによってPC鋼棒163の緊張力を定着板161a,161bを介して解放できるように構成すればよい。
【0122】
このようにすると、解放されたPC鋼棒163の緊張力は定着板161a,161bにおける支圧を介して周辺コンクリートにおける圧縮力とバランスするとともに、該コンクリートの圧縮力は、プレキャスト床版51,2の対向面162a,162bから受ける圧縮反力でそれぞれバランスし、かくして、2つのプレキャスト床版51,2は、接合部166を介してそれらの対向面162a,162bに互いに作用する圧縮力を反力としたPC鋼棒163の引張力によって互いに引き寄せられ連結される。
【0123】
箱抜きされた操作作業領域164については、緊張力解放後、コンクリートやモルタルを適宜充填すればよい。
【0124】
ここで、2つのプレキャスト床版の間に接合部を介在させる上述の連結手順は、連結ユニット61を用いた連結方法のほか、長尺状のPC鋼材を用いた連結方法においても典型的な手順となるが、かかる接合部は、プレキャスト床版51,2の対向面162a,162bにおける凹凸を吸収して該対向面への荷重伝達をできるだけ均等にするための手段であって、対向面162a,162bを互いに当接しても荷重伝達が不均一になるおそれがないのであれば、これを省略してもかまわない。
【符号の説明】
【0125】
1 プレキャスト床版設置用治具
2 プレキャスト床版
3 桁
4 載置面
5 支持ボルト(支柱)
6 基部
7 吊持機構
8 ナット
11 連結材
15 中空管(貫通開口)
21 吊持アーム
22 PC鋼材(吊持ロッド)