(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141432
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】合成繊維の製造装置、ならびに合成繊維の製造方法
(51)【国際特許分類】
D06H 3/08 20060101AFI20241003BHJP
B65H 63/00 20060101ALI20241003BHJP
D06B 5/06 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
D06H3/08
B65H63/00 Z
D06B5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053081
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 駿
【テーマコード(参考)】
3B154
3F115
【Fターム(参考)】
3B154AA06
3B154AB03
3B154BA53
3B154BB02
3B154BB19
3B154BB33
3B154BB47
3B154BC42
3B154BE01
3B154BF14
3B154CA18
3B154DA21
3F115CB21
3F115CC23
(57)【要約】
【課題】 特に4000m/分以上の高速製糸において、走行糸条の毛羽、すなわち単繊維切れを製糸工程上で精度よく検知できる合成繊維の製造装置を提供する。
【解決手段】 合成繊維の製造装置において、レーザー式の毛羽検知装置9を巻取装置10直上に配置し、該毛羽検知装置9は、糸条に流体を吹き付ける毛羽分離部13、13‘を有する、合成繊維の製造装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成繊維の製造装置において、レーザー式の毛羽検知装置9を巻取装置10直上に配置し、該毛羽検知装置9は、糸条に流体を吹き付ける毛羽分離部13、13‘を有する、合成繊維の製造装置。
【請求項2】
前記毛羽分離部13、13‘は、糸条の走行方向に対して、直交方向もしくは対向方向から流体が噴出する機構を有する、請求項1に記載の合成繊維の製造装置。
【請求項3】
前記毛羽分離部13、13‘は、前記毛羽検知装置9のレーザー投光部aよりも走行糸条の上流に配置し、かつ該レーザー投光部aとの距離17が5~20mmに配置している、請求項1または2記載の合成繊維の製造装置。
【請求項4】
請求項3に記載の合成繊維の製造装置を用いて、巻取速度4000m/分以上とする合成繊維の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行糸条の毛羽、すなわち単繊維切れを製糸工程上で精度よく検知できる、合成繊維の製造装置および該製造装置を用いた合成繊維の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、一般衣料やスポーツ衣料など衣料用テキスタイルの分野においては、軽量・薄地化や風合いの向上を目的として、繊維の低単糸細繊度化とフィラメント数の増加などの需要が高まっており、より一層の生産効率の向上など、合理化が進められつつある。そのため、かかる生産効率の向上、および高速化に適した高品位の衣料用繊維が強く求められるようになってきた。
【0003】
即ち、高次工程での使い易さや、最終製品の品位改善に対する要求がますます強くなってきており、特に少ない毛羽レベルの原糸を供給することが求められている。特にスポーツ衣料用途のストレッチ素材に使用される捲縮糸においては、毛羽の発生、つまり単繊維切れの発生は、原糸を製造する設備の糸道規制ガイド等による擦過で発生し易く、この毛羽によって高次工程での糸切れによる収率悪化、品質欠点の増加を引き起こすため、毛羽を減少させることが望まれている。
【0004】
毛羽の減少を図るに当たっては、先ず毛羽が生ずる原因を追究しなければならない。一方、何らかの改善対策を講じた場合、その改善効果を評価する手段が必要である。また、満足できる毛羽品位レベルに達しない場合には、繊維の用途に応じて製品を区分するなどのアクションも必要である。
【0005】
すなわち、毛羽の評価が先ず最も重要であるため、毛羽検知精度に優れ、かつ使い易い毛羽検知装置の開発が必要である。さらに、衣料用繊維の製糸プロセスは、近年ではきわめて効率的な高速、多糸条の直接紡糸延伸プロセスに進歩しているため、かかる高速、多糸条の走行糸条で使用できる毛羽検知装置の開発が求められている。
【0006】
従来からの高速製糸の走行糸条用毛羽検知方法としては、毛羽を機械的に検出し、その機械的変位を電気的に変換して検知する装置が、精度がよくかつ装置が簡略なことから好ましく採用されてきた。このような毛羽の機械的変位を電気的に検知する装置に関する従来例としては、特許文献1および特許文献2などに記載のものが知られている。
【0007】
特許文献1には、ローラ上を走行するマルチフィラメントの上方に設けた被衝突物と遠心力で直立する切断単繊維との衝突力を検知することを特徴とするものであり、この衝突力を起電力として利用し、その起電力を増幅して測定する装置である。また、衝突力による機械的変位を光電的に検知する方式も提案されている。
【0008】
特許文献2には機械的毛羽検知装置を活用し、特に高速の直接紡糸延伸プロセスにおいて、多糸条走行糸条を糸条毎に毛羽を検知するため、複数の毛羽検知部を有し、これらの各毛羽検知部に糸切れ等による検知部のズレ・曲がりや破損を防止する保護部材を配置することで、保守管理も容易な、多糸条用走行糸条の毛羽検知装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭49-055932号公報
【特許文献2】特開2000-110040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載の機械的毛羽検知装置の欠点として、検知時に走行している糸条に検知部や毛羽に遠心力を付加するためのローラなどを物理的に接触させる必要があり、この物理的な接触により繊維へのダメージが生じ、毛羽等を作り出してしまう恐れがある。
【0011】
近年、衣料用繊維のトレンドである、より細く(細繊度化)、よりマルチな(単糸細繊度化)合成繊維に対してより顕著に影響を及ぼしている。すなわち、単糸が細繊度化するほど、機械的毛羽検知装置によるダメージによって、単糸切れが発生しやすくなる。
【0012】
さらには、生産効率化に伴う高速製糸プロセスに対して、走行糸条と機械的毛羽検知装置の接触に伴う外力が増幅し、毛羽を誘発していた。
【0013】
また、単糸細繊度化の影響は毛羽発生だけでなく、検知精度の低下にも影響を与える。すなわち、単糸が細ければ機械的な検知部に衝突した際のエネルギーが小さくなるため、検知規定値に満たないレベルの毛羽がすり抜けてしまう可能性がある。また、遠心力を付加し毛羽を立たせようとしても、かかる遠心力が小さく、かつ高速で走行している糸条に付随している随伴気流や空気抵抗などに対し、上記遠心力が小さいため、結果として毛羽が走行糸条から立たずに毛羽として顕在化せず検知部をすり抜けていくことになる。
【0014】
更に上述した繊維へのダメージによって糸条より完全に切り離され分離された毛羽、いわゆるフライと呼ばれる毛羽が多く発生することになるため、そのフライが検知部に付着することにより、検知精度の低下や保守管理清掃の増加、またはフライ自体が再度走行糸条に付着し品質欠点を引き起こすといった課題が存在していた。
【0015】
そのため、従来技術の欠点を改善して、単糸細繊度かつ高速で走行する糸条の毛羽をダメージが少なく、かつ検知精度も高く、その上保守管理の容易な多糸条走行糸条の毛羽検知装置の開発が依然として必要である。
【0016】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題とするものであり、単繊維切れによる毛羽を走行糸条毎に精度よく検知することが可能な、走行糸条の毛羽検知装置を有する合成繊維の製造装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するため、本発明の合成繊維の製造装置は、次の構成を有する。
(1) 合成繊維の製造装置において、レーザー式の毛羽検知装置9を巻取装置10直上に配置し、該毛羽検知装置9は、糸条に流体を吹き付ける毛羽分離部13、13‘を有する、合成繊維の製造装置。
(2) 前記毛羽分離部13、13‘は、糸条の走行方向に対して、直交方向もしくは対向方向から流体が噴出する機構を有する、前記(1)に記載の合成繊維の製造装置。
(3) 前記毛羽分離部13、13‘は、前記毛羽検知装置9のレーザー投光部aよりも走行糸条の上流に配置し、かつ該レーザー投光部aとの距離17が5~20mmに配置している、前記(1)または(2)記載の合成繊維の製造装置。
(4) 前記(3)に記載の合成繊維の製造装置を用いて、巻取速度4000m/分以上とする合成繊維の製造方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明における毛羽検知装置により、非接触にて毛羽を検知することができるため、毛羽の原因となりうる走行糸条へのダメージを極力低減できる。また、毛羽検知が精度よく得られるため、毛羽原因を究明し易く、かつ毛羽改善を早期に対応することができる。
【0019】
さらに、満足できる毛羽品位レベルに達しない場合には、繊維の用途に応じて製品を区分するなどの対処も実施でき、客先への毛羽不良品の流出防止が可能となる。
【0020】
また、装置の保守管理においても労力・時間の低減を図ることが可能となる。
【0021】
特に、高速製糸する効率的な直接紡糸延伸プロセスで生産する際に、毛羽を長期間にわたって精度よく検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】一般的な多糸条製糸プロセスの概略構成図である。
【
図2】本発明の合成繊維の製造装置における毛羽検知装置の一実施形態を示す平面模式図である。
【
図3】毛羽の状態を説明するための平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の合成繊維の製造装置について、図を用いて更に詳細に説明する。
【0024】
図1は一般的な多糸条製糸プロセス、例えば8糸条の直接紡糸延伸プロセスを示すものであり、8個の紡糸口金(図示せず)から紡出された8糸条の走行糸条2は、紡糸ダクト1を通った後、それぞれに設けられた給油装置3で油剤が付与され、各延伸ロ-ラ(4A、4B、5A、5B)を順次通過させて多段熱延伸した後、引き続き張力調整ロ-ラ(6、8)との間で弛緩をさせた後、巻取装置10で巻き取られる。
【0025】
本発明の毛羽検知装置9は巻取装置10直前に設置されたローラ、例えば第2張力調整ローラ8の後に設置することが好ましい。
図1では第2張力調整ローラ8と巻取装置10の中間地点に毛羽検知装置9を配置している。
【0026】
次に、本発明の毛羽検知装置9について、さらに具体的に説明する。
【0027】
図2に示すように、走行糸条2の走行方向とそれぞれ直交または対向するように配置した毛羽分離部13、13‘がレーザー投光部aより上流に配される。該毛羽分離部13、13’から噴出される流体14を走行糸条2に吹き付けることで、単繊維切れによる毛羽2’を糸条表面に顕在化させ、該毛羽2‘がレーザー投光部aから照射されるレーザー11を横切ることにより、その際のレーザー受光量の変化を電圧値として出力する構成となっている。
【0028】
そして、第2張力調整ローラ8と巻取装置10の中間地点に、レーザー投光部aを走行糸条2毎に対応して交叉するように配置して、走行糸条2毎に発生した毛羽2’を検知している。毛羽2’の有無、数などを検知することが可能である。
【0029】
レーザー投光部aは、毛羽検知装置9は、1糸条あるいは複数糸条毎に配置される。
【0030】
複数糸条毎の場合、2糸条以上、好ましくは4糸条以上の走行糸条2の毛羽2’を糸条毎にかつ同時に検知する機能を有する。一つの毛羽検知装置9のレーザー投光部aとしては、走行糸条2の糸条数に見合った個数を、各走行糸条2の間隔に合わせて並列に並べ、各レーザー投光部aが各走行糸条2と必要な間隔をあけて位置するように設置される。毛羽検知装置9は、よりコンパクトであることが好ましいため、複数のレーザー投光部aは一体化された1セットとして構成されることが好ましい。
【0031】
前記レーザー投光部aの位置は、走行糸条2とレーザー投光部aから照射されるレーザー11との間隔が、0.5mmから2.0mmとなる位置が好ましい。この間隔があまりに狭いと、正常な走行糸条2とレーザー投光部aから照射されるレーザー11とが接触することになるため、正常な毛羽状態を検知できなくなる。また、上記の間隔があまりに広いと、小さい毛羽2’の検知洩れが生じる。
【0032】
また、レーザー投光部aについてはレーザー11による受光量の変化を検知するものを一例として挙げたが、検知方法については上記に限られるものではない。投光する媒体として、赤外線を用いたり、LED光を用いた検知方法であったり、受光部に投光量の増減を検知するセンサーを用いる方法でもよい。いずれの方法にしろ、非接触で毛羽2’を検知する方法であれば本発明の装置として用いることが可能である。
【0033】
図2は本発明の毛羽検知装置9の一実施形態を示す平面模式図である。
【0034】
毛羽分離部13が糸条の走行方向に対し直交方向に流体14を噴出する場合の模式図を
図2a、毛羽分離部13‘が対向方向に流体14を噴出する場合の模式図を
図2bに示す。
【0035】
毛羽検知装置9内に進入した走行糸条2は、糸道規制ガイド12間にあり、かつレーザー投光部aの上流側に配置された各流体噴出部13、13’から、流体14が吹き付けられた後にレーザー投光部aを通過して、下流へ導かれる。その際、走行糸条2は、2つの糸道規制ガイド12間のレーザー投光部aから照射されるレーザー11から、約0.5mmから2.0mm間隔を空けた位置を走行する。それにより、毛羽2’がレーザー投光部aにて物理的な接触を伴うことなく測定でき、繊維へのダメージを軽減可能であることから、更なる毛羽の発生を抑制しつつ測定が可能である。
【0036】
図3は毛羽2‘の状態を説明するための平面模式図である。
【0037】
毛羽検知装置9に毛羽分離部を設けない場合の走行糸条2に存在する毛羽2‘の模式図を
図3a、毛羽分離部13を設けた場合の走行糸条2に存在する毛羽2‘の模式図を
図3bに示す。
【0038】
巻取速度4000m/分以上の高速で走行する糸条2の表面には、糸条の走行方向に随伴気流15、糸条の走行方向の対向方向への空気抵抗などが発生し、それらの影響により毛羽2’が走行糸条2に入り込む形(
図3a)となることがある。それによりレーザー投光部aで照射されるレーザー11の検知ライン16を、毛羽2‘が越えることなく通過する場合があり、精度よく毛羽2’を検知することが困難となる。この傾向は単糸細繊度になるほど、また糸条の走行速度が高速になるほどより顕著になる。それは単糸が細繊度になると発生する毛羽2‘自体がより細くかつ小さくなるため、随伴気流15や空気抵抗の影響をより受けやすくなるためである。また走行速度の増加は発生する随伴気流15や空気抵抗をより大きなものにするため、同様に毛羽2’へ与える影響を大きくしてしまう。
【0039】
図3bは、毛羽分離部13を設け、走行糸条2の直交方向に流体14を吹き付けることで、入り込んでいた毛羽2‘が起き上がる形となり糸条表面に顕在化させ、検知ライン16を越えて検知しやすくなることで精度よく毛羽2’を検知することが可能となる。
【0040】
また、
図2bのように毛羽分離部13‘を設け、走行糸条2の走行方向に対し対向方向に流体14を吹き付ける場合においては、前記した糸条表面の随伴気流や空気抵抗を相殺することで、毛羽2’を糸条表面に顕在化させる効果があり、発生する毛羽2’の形態に合わせてこれらの配置を使い分けることが可能である。毛羽分離部13、13‘の配置方向については、随伴気流15および空気抵抗の影響を鑑み、直交方向および対向方向を設定することが好ましい。しかしながら、直交と対向の中間にある角度方向に配置することも可能であり、限られるものではない。
【0041】
上記毛羽分離部13、13‘とレーザー投光部aの距離17は、5mmから20mmの間に配置されていることが好ましい。これは毛羽分離部13、13’がレーザー投光部aより離れすぎると流体14によって顕在化された毛羽2‘が随伴気流15や空気抵抗などによって再度糸条に入り込んでしまうためである。また距離が5mmより小さくなると、噴出された流体14によって生じる糸条の揺れ等をレーザー投光部aが誤検知してしまうため、生産する品種の繊度や走行速度などによって適当な距離を保つものである。
【0042】
また、毛羽分離部13、13‘から噴出される流体14は走行糸条2の品質に影響を与えるものでなければ様々な流体を使用可能である。一般的には経済性を鑑み圧縮空気などを用いることが好ましいがこれらに限られるものではない。実際の使用時には上記一例に挙げた圧縮空気の噴出流量や噴出圧を流量調整弁やレギュレータなどを用いて、生産する品種の繊度や走行速度などに応じて適宜調整・変更することで糸条にダメージが無く、精度よく毛羽2‘を検知することが可能となる。
【0043】
さらに毛羽検知装置9が流体14を噴出することによる副次的な効果を以下より述べる。前述したとおり、流体14を毛羽検知装置9内に噴出させることにより、毛羽検知装置9内は外部に比べ陽圧となる。したがって、毛羽検知装置9内にはゴミやホコリなどが外部より侵入しづらくなる。これによりゴミやホコリがレーザー投光部aに付着することによる誤検知のリスクを最小限にすることができる。また、それ以外にも糸条に付着しているフライといった糸条より完全に切り離された毛羽欠点を噴出する流体14にて取り除き、外部へ排出することも可能であるため、フライがレーザー投光部aに付着することによる誤検知や、糸自体に再付着することによる品質欠点の発生も抑制することができる。上記副次的効果により毛羽検知装置9の保守管理において検知精度を長時間保つことが可能となるため、保守管理にかかる労力・時間を低減することができる。
【0044】
本発明の合成繊維の製造装置に好適な糸条は、ポリアミド繊維やポリエステル繊維などの溶融紡糸可能な合成繊維であれば、特に、限定されるものではない。また、このような合成繊維は、例えば、他のホモポリマー、共重合ポリマー、顔料、染料、艶消し剤、防汚剤、蛍光増白剤、難燃剤、安定剤、紫外線吸収剤、および滑剤等を含むことが許容される。
【0045】
また、本発明において製造される合成繊維は、単成分紡糸でも複合成分紡糸で得られる繊維でもよく、複合成分紡糸で得られる繊維の場合には、例えば、芯鞘型複合繊維、サイドバイサイド型複合繊維、海島型複合繊維、および多成分同時混繊繊維等の繊維が挙げられる。
【0046】
また、合成繊維の断面形状は、丸型の他、三角形および扁平の異形状や、中空であっても、これを限りとしない。特にストレッチ素材向けの衣料用繊維は、高粘度と低粘度のポリマーを貼り合わせて製糸するため、その収縮度の差と、単糸細繊度であることから単繊維が切断し易い。特に編物用として、合理化された整経、編立工程での効率と収率向上および最終製品の品位、特に原糸の毛羽(単繊維切れ)に起因する欠点を最少にすることが重要な課題となっている。したがって、本発明は、生産効率に優れた高速製糸で製造され、最終製品の品位に厳しい衣料用合成繊維マルチフィラメントに特に有用である。
【0047】
前記の衣料用合成繊維の好ましい総繊度は6~100dtexである。衣料の軽量・薄地化の観点から、さらに好ましくは、総繊度6~50dtexである。
【0048】
また、衣料のソフトな風合いの観点から、単糸細繊度化、フィラメント数の多いマルチフィラメントが好ましく、単糸繊度0.5~2.5dtex、フィラメント数が50フィラメント以上であり、強度が6.0cN/dtex以下の捲縮糸の適用が有用である。
【符号の説明】
【0049】
1:紡糸ダクト
2:走行糸条
2‘:毛羽
3:給油装置
4A、4B:第1延伸ローラ
5A、5B:第2延伸ローラ
6:第1張力調整ローラ
7:交絡ノズル
8:第2張力調整ローラ
9:毛羽検知装置
10:巻取装置
11:レーザー
12:糸道規制ガイド
13、13‘:毛羽分離部
14:流体
15:随伴気流
16:検知ライン
17:毛羽分離部-レーザー投光部間距離
a:レーザー投光部