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特開2024-141445スリーブ配置工具およびスリーブ配置方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141445
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】スリーブ配置工具およびスリーブ配置方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/14 20060101AFI20241003BHJP
   H02G 1/12 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H02G1/14
H02G1/12 026
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053103
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】520123216
【氏名又は名称】北陸電力送配電株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591083772
【氏名又は名称】株式会社永木精機
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】永田 武宏
(72)【発明者】
【氏名】小坂 宗浩
(72)【発明者】
【氏名】干場 一也
(72)【発明者】
【氏名】松田 昌之
(72)【発明者】
【氏名】石垣 正幸
【テーマコード(参考)】
5G353
5G355
【Fターム(参考)】
5G353AB01
5G353AC02
5G353CA01
5G353EA08
5G355BA14
5G355CA05
5G355CA06
5G355CA09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】被覆線からの被覆層の剥ぎ取りを行いながら、接続スリーブへの芯線の挿入を行うことが可能なスリーブ配置工具およびスリーブ配置方法を提供する。
【解決手段】スリーブ配置工具1は、被覆線Wをガイドする第1通路PHを規定する第1ガイド体2と、第1通路に配置される被覆線を被覆層W1と芯線W2とに分離する刃体3と、芯線と他の芯線とを接続するための接続スリーブSVの第1端部と、第1通路の芯線出口Pbとがアライメントされるように、接続スリーブを支持するスリーブ支持部材6と、を具備する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆線をガイドする第1通路を規定する第1ガイド体と、
前記第1通路に配置される前記被覆線を被覆層と芯線とに分離する刃体と、
前記芯線と他の芯線とを接続するための接続スリーブの第1端部と、前記第1通路の芯線出口とがアライメントされるように、前記接続スリーブを支持するスリーブ支持部材と
を具備する
スリーブ配置工具。
【請求項2】
前記スリーブ支持部材は、前記接続スリーブの前記第1端部を傾動可能に支持する第1端部支持部材を含む
請求項1に記載のスリーブ配置工具。
【請求項3】
前記スリーブ支持部材は、前記接続スリーブの第2端部を支持する第2端部支持部材を含み、
前記第2端部支持部材は、前記第1端部が前記第1端部支持部材によって支持された状態で前記接続スリーブが傾動することを許容し、
前記第2端部支持部材は、前記接続スリーブが過度に傾動することを禁止する規制体を有する
請求項2に記載のスリーブ配置工具。
【請求項4】
前記規制体は、前記接続スリーブの前記第2端部に挿入される挿入体、および、隙間を介して前記接続スリーブの前記第2端部を囲むように配置される囲繞体のうちの少なくとも一方を含む
請求項3に記載のスリーブ配置工具。
【請求項5】
前記スリーブ支持部材は、前記接続スリーブの第2端部を支持する第2端部支持部材を含み、
前記第2端部支持部材は、
前記接続スリーブの前記第2端部の端面に接触する端面支持部と、
前記端面支持部を、前記第1通路の延在方向に平行な方向に位置調整する第1操作部材と
を有する
請求項1に記載のスリーブ配置工具。
【請求項6】
前記スリーブ支持部材は、前記第1ガイド体に対する前記接続スリーブの相対回転が許容されるように前記接続スリーブを支持する
請求項1に記載のスリーブ配置工具。
【請求項7】
前記スリーブ支持部材は、前記接続スリーブの前記第1端部を支持する第1端部支持部材を含み、
前記第1通路の被覆線導入口から前記芯線出口に向かう方向を第1方向と定義するとき、前記第1端部支持部材は、前記第1ガイド体の前記第1方向側の端部に取り付けられている
請求項1に記載のスリーブ配置工具。
【請求項8】
前記第1ガイド体は、第1部材と、前記第1部材に対して相対移動可能な第2部材とを有し、
前記第1部材および前記第2部材は、協働して前記第1通路を形成し、
前記第1端部支持部材は、
前記第1部材に取り付けられる第1部分と、
前記第2部材に取り付けられる第2部分と
を有する
請求項7に記載のスリーブ配置工具。
【請求項9】
前記芯線から分離された前記被覆層をガイドする第2通路を規定する第2ガイド体を更に具備し、
前記第2ガイド体は、
前記芯線から分離された前記被覆層を転向部に向けて誘導する誘導部と、
前記被覆層の移動方向が前記第1通路から前記接続スリーブに向かう方向に対して反転した方向となるように、前記被覆層の前記移動方向を転向させる前記転向部と、
を有する
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のスリーブ配置工具。
【請求項10】
前記被覆線に対して相対回転する回転部と、
前記回転部を回転可能に支持するベースと、
外部から受け取る回転駆動力を、前記ベースに対する前記回転部の相対回転に変換する動力伝達部材と
を具備し、
前記回転部は、前記第1ガイド体と、前記刃体と、前記スリーブ支持部材と、前記第2ガイド体と、を含む
請求項9に記載のスリーブ配置工具。
【請求項11】
第1ガイド体と、前記第1ガイド体に取り付けられた刃体と、接続スリーブを支持するスリーブ支持部材とを具備するスリーブ配置工具を準備する工程と、
前記接続スリーブを前記スリーブ支持部材に配置する工程と、
前記第1ガイド体の第1通路に被覆線を配置する工程と、
前記第1ガイド体を、前記第1通路に配置された前記被覆線まわりに、前記被覆線に対して相対回転させることにより、前記刃体によって、前記被覆線を被覆層と芯線とに分離する工程と、
前記スリーブ支持部材に支持された前記接続スリーブの第1端部に、前記芯線を挿入する工程と
を具備し、
前記刃体によって前記被覆線を前記被覆層と前記芯線とに分離することと、前記芯線を前記接続スリーブの前記第1端部に挿入することとが並列的に実行される
スリーブ配置方法。
【請求項12】
前記接続スリーブの前記第1端部に前記芯線を挿入することが、前記第1通路の中心軸に対する前記接続スリーブの傾動、および、前記中心軸まわりの前記第1ガイド体に対する前記接続スリーブの相対回転のうちの少なくとも一方が許容された状態で実行される
請求項11に記載のスリーブ配置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スリーブ配置工具およびスリーブ配置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
芯線にスリーブを装着するスリーブ装着工具が知られている。
【0003】
関連する技術として、特許文献1には、スリーブ装着工具が開示されている。特許文献1に記載のスリーブ装着工具は、スリーブ支持具を備えた基部と、基部の一方側に配置され基部に対してスライド移動可能な第1スライド棒と、基部の他方側に配置され基部に対してスライド移動可能な第2スライド棒と、スライド棒操作部と、を具備する。特許文献1に記載のスリーブ装着工具では、電線からの被覆層の剥ぎ取りと、被覆層が剥ぎ取られることにより露出する心線へのスリーブの装着とが、独立して行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-176595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、被覆線からの被覆層の剥ぎ取りを行いながら、接続スリーブへの芯線の挿入を行うことが可能なスリーブ配置工具およびスリーブ配置方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下に示す、スリーブ配置工具およびスリーブ配置方法に関する。
【0007】
(1)被覆線をガイドする第1通路を規定する第1ガイド体と、
前記第1通路に配置される前記被覆線を被覆層と芯線とに分離する刃体と、
前記芯線と他の芯線とを接続するための接続スリーブの第1端部と、前記第1通路の芯線出口とがアライメントされるように、前記接続スリーブを支持するスリーブ支持部材と
を具備する
スリーブ配置工具。
(2)前記スリーブ支持部材は、前記接続スリーブの前記第1端部を傾動可能に支持する第1端部支持部材を含む
上記(1)に記載のスリーブ配置工具。
(3)前記スリーブ支持部材は、前記接続スリーブの第2端部を支持する第2端部支持部材を含み、
前記第2端部支持部材は、前記第1端部が前記第1端部支持部材によって支持された状態で前記接続スリーブが傾動することを許容し、
前記第2端部支持部材は、前記接続スリーブが過度に傾動することを禁止する規制体を有する
上記(2)に記載のスリーブ配置工具。
(4)前記規制体は、前記接続スリーブの前記第2端部に挿入される挿入体、および、隙間を介して前記接続スリーブの前記第2端部を囲むように配置される囲繞体のうちの少なくとも一方を含む
上記(3)に記載のスリーブ配置工具。
(5)前記スリーブ支持部材は、前記接続スリーブの第2端部を支持する第2端部支持部材を含み、
前記第2端部支持部材は、
前記接続スリーブの前記第2端部の端面に接触する端面支持部と、
前記端面支持部を、前記第1通路の延在方向に平行な方向に位置調整する第1操作部材と
を有する
上記(1)に記載のスリーブ配置工具。
(6)前記スリーブ支持部材は、前記第1ガイド体に対する前記接続スリーブの相対回転が許容されるように前記接続スリーブを支持する
上記(1)に記載のスリーブ配置工具。
(7)前記スリーブ支持部材は、前記接続スリーブの前記第1端部を支持する第1端部支持部材を含み、
前記第1通路の被覆線導入口から前記芯線出口に向かう方向を第1方向と定義するとき、前記第1端部支持部材は、前記第1ガイド体の前記第1方向側の端部に取り付けられている
上記(1)に記載のスリーブ配置工具。
(8)前記第1ガイド体は、第1部材と、前記第1部材に対して相対移動可能な第2部材とを有し、
前記第1部材および前記第2部材は、協働して前記第1通路を形成し、
前記第1端部支持部材は、
前記第1部材に取り付けられる第1部分と、
前記第2部材に取り付けられる第2部分と
を有する
上記(7)に記載のスリーブ配置工具。
(9)前記芯線から分離された前記被覆層をガイドする第2通路を規定する第2ガイド体を更に具備し、
前記第2ガイド体は、
前記芯線から分離された前記被覆層を転向部に向けて誘導する誘導部と、
前記被覆層の移動方向が前記第1通路から前記接続スリーブに向かう方向に対して反転した方向となるように、前記被覆層の前記移動方向を転向させる前記転向部と、
を有する
上記(1)乃至(8)のいずれか一つに記載のスリーブ配置工具。
(10)前記被覆線に対して相対回転する回転部と、
前記回転部を回転可能に支持するベースと、
外部から受け取る回転駆動力を、前記ベースに対する前記回転部の相対回転に変換する動力伝達部材と
を具備し、
前記回転部は、前記第1ガイド体と、前記刃体と、前記スリーブ支持部材と、前記第2ガイド体と、を含む
上記(9)に記載のスリーブ配置工具。
(11)第1ガイド体と、前記第1ガイド体に取り付けられた刃体と、接続スリーブを支持するスリーブ支持部材とを具備するスリーブ配置工具を準備する工程と、
前記接続スリーブを前記スリーブ支持部材に配置する工程と、
前記第1ガイド体の第1通路に被覆線を配置する工程と、
前記第1ガイド体を、前記第1通路に配置された前記被覆線まわりに、前記被覆線に対して相対回転させることにより、前記刃体によって、前記被覆線を被覆層と芯線とに分離する工程と、
前記スリーブ支持部材に支持された前記接続スリーブの第1端部に、前記芯線を挿入する工程と
を具備し、
前記刃体によって前記被覆線を前記被覆層と前記芯線とに分離することと、前記芯線を前記接続スリーブの前記第1端部に挿入することとが並列的に実行される
スリーブ配置方法。
(12)前記接続スリーブの前記第1端部に前記芯線を挿入することが、前記第1通路の中心軸に対する前記接続スリーブの傾動、および、前記中心軸まわりの前記第1ガイド体に対する前記接続スリーブの相対回転のうちの少なくとも一方が許容された状態で実行される
上記(11)に記載のスリーブ配置方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、被覆線からの被覆層の剥ぎ取りを行いながら、接続スリーブへの芯線の挿入を行うことが可能なスリーブ配置工具およびスリーブ配置方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態におけるスリーブ配置工具の一部分を模式的に示す概略断面図である。
図2図2は、第1の実施形態におけるスリーブ配置工具を模式的に示す概略平面図である。
図3図3は、図2におけるA-A矢視断面図である。
図4図4は、第1の実施形態におけるスリーブ配置工具の一部分を模式的に示す概略断面図である。
図5図5は、図2におけるB-B矢視断面図である。
図6図6は、第1の実施形態におけるスリーブ配置工具を模式的に示す概略斜視図である。
図7図7は、接続スリーブが第1端部支持部材によって傾動可能に支持されている様子を模式的に示す概略断面図である。
図8図8は、第1の実施形態におけるスリーブ配置工具を模式的に示す概略断面図である。
図9図9は、図7において一点鎖線で示される円Dによって囲まれた領域の拡大図である。
図10図10は、第1端部支持部材の一部分を模式的に示す概略斜視図である。
図11図11は、第1端部支持部材の一例を模式的に示す概略斜視図である。
図12図12は、接続スリーブが傾動可能である様子を模式的に示す概略断面図である。
図13図13は、端面支持部が第1方向に平行な方向に位置調整可能である様子を模式的に示す概略断面図である。
図14図14は、接続スリーブの種類に応じて、第2端部支持部材の全体が棒部材に沿って位置調整可能である様子を模式的に示す概略断面図である。
図15図15は、第1の実施形態におけるスリーブ配置工具の一部分を模式的に示す概略斜視図である。
図16図16は、第2ガイド体および刃体を模式的に示す概略正面図である。
図17図17は、第1の実施形態におけるスリーブ配置工具の一部分を模式的に示す概略断面図である。
図18図18は、刃体の一例を模式的に示す概略斜視図である。
図19図19は、回転部の一例を模式的に示す概略斜視図である。
図20図20は、ベースの一例を模式的に示す概略斜視図である。
図21図21は、第1の実施形態におけるスリーブ配置工具を模式的に示す概略2面図である。
図22図22は、第1の実施形態におけるスリーブ配置工具を模式的に示す概略斜視図である。
図23図23は、第1の実施形態におけるスリーブ配置工具を模式的に示す概略断面図である。
図24図24は、第1の実施形態におけるスリーブ配置工具を模式的に示す概略断面図である。
図25図25は、芯線と他の芯線とが、接続スリーブを介して接続された様子を模式的に示す概略正面図である。
図26図26は、第1の実施形態におけるスリーブ配置方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施形態におけるスリーブ配置工具1、および、スリーブ配置方法について、詳しく説明する。なお、本明細書において、同種の機能を有する部材には、同一または類似の符号が付されている。そして、同一または類似の符号の付された部材について、繰り返しとなる説明が省略される場合がある。
【0011】
(用語の定義)
本明細書において、「上流側」の用語、および、「下流側」の用語は、芯線の進行方向を基準として定義される。換言すれば、芯線の進行方向における上流側を「上流側」と定義し、芯線の進行方向における下流側を「下流側」と定義する。
【0012】
(方向の定義)
本明細書において、第1ガイド体2の第1通路PHの延在方向に平行な方向であって、第1通路PHの被覆線導入口Paから芯線出口Pbに向かう方向を「第1方向DR1」と定義し、第1方向DR1とは反対の方向を「第2方向DR2」と定義する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1乃至図26を参照して、第1の実施形態におけるスリーブ配置工具1、および、スリーブ配置方法について説明する。図1は、第1の実施形態におけるスリーブ配置工具1の一部分を模式的に示す概略断面図である。図2は、第1の実施形態におけるスリーブ配置工具1を模式的に示す概略平面図である。図3は、図2におけるA-A矢視断面図である。なお、図3には、スリーブ配置工具1に、被覆線Wが配置された後の状態が示されている。また、スリーブ配置工具1に対する被覆線Wの配置を把握し易くするために、図3において、被覆線W、芯線W2、および、被覆層W1が配置される領域には、ドットによるハッチングが付加されている。図4は、第1の実施形態におけるスリーブ配置工具1の一部分を模式的に示す概略断面図である。図5は、図2におけるB-B矢視断面図である。なお、図4には、第1部材21と第2部材24との間の距離が拡大された状態が示され、図5には、第1部材21と第2部材24との間の距離が縮小された状態が示されている。図6は、第1の実施形態におけるスリーブ配置工具1を模式的に示す概略斜視図である。図7は、接続スリーブSVが第1端部支持部材61によって傾動可能に支持されている様子を模式的に示す概略断面図である。図8は、第1の実施形態におけるスリーブ配置工具1を模式的に示す概略断面図である。なお、接続スリーブSVに対する芯線W2の配置を把握し易くするために、図8において、芯線W2が配置される領域には、ドットによるハッチングが付加されている。図9は、図7において一点鎖線で示される円Dによって囲まれた領域の拡大図である。図10は、第1端部支持部材61の一部分を模式的に示す概略斜視図である。図11は、第1端部支持部材61の一例を模式的に示す概略斜視図である。図12は、接続スリーブSVが傾動可能である様子を模式的に示す概略断面図である。図13は、端面支持部68が第1方向DR1に平行な方向に位置調整可能である様子を模式的に示す概略断面図である。図14は、接続スリーブSVの種類に応じて、第2端部支持部材64の全体が棒部材71に沿って位置調整可能である様子を模式的に示す概略断面図である。図15は、第1の実施形態におけるスリーブ配置工具1の一部分を模式的に示す概略斜視図である。図16は、第2ガイド体4および刃体3を模式的に示す概略正面図である。なお、図16において、誘導部41aおよび受容部46aは、透明な材料によって構成されている。図17は、第1の実施形態におけるスリーブ配置工具1の一部分を模式的に示す概略断面図である。図18は、刃体3の一例を模式的に示す概略斜視図である。図19は、回転部RTの一例を模式的に示す概略斜視図である。図20は、ベース55の一例を模式的に示す概略斜視図である。図21は、第1の実施形態におけるスリーブ配置工具1を模式的に示す概略2面図である。なお、図21の左側には概略正面図が記載され、図21の右側には概略断面図が記載されている。図22は、第1の実施形態におけるスリーブ配置工具1を模式的に示す概略斜視図である。図23および図24は、第1の実施形態におけるスリーブ配置工具1を模式的に示す概略断面図である。なお、接続スリーブSVに対する芯線W2の配置を把握し易くするために、図24において、芯線W2が配置される領域には、ドットによるハッチングが付加されている。図25は、芯線W2と他の芯線W2’とが、接続スリーブSVを介して接続された様子を模式的に示す概略正面図である。図26は、第1の実施形態におけるスリーブ配置方法の一例を示すフローチャートである。
【0014】
図1に例示されるように、第1の実施形態におけるスリーブ配置工具1は、第1ガイド体2と、刃体3(図3を参照。)と、スリーブ支持部材6と、を具備する。
【0015】
第1ガイド体2は、被覆線をガイドする第1通路PHを規定する。第1通路PHは、被覆線導入口Paと、芯線出口Pbとを有する。図3に例示されるように、被覆線導入口Paは、被覆線Wの皮剥ぎ時に、第1通路PHに被覆線Wを導入する導入口である。芯線出口Pbは、被覆線Wの皮剥ぎ時に、第1通路PHから芯線W2を排出する排出口である。第1ガイド体2は、複数の部品のアセンブリによって構成される。例えば、第1ガイド体2は、第1部材21と、第2部材24とを含む。
【0016】
図3に例示されるように、刃体3は、第1通路PHに配置される被覆線Wを被覆層W1と芯線W2とに分離する。被覆線Wは、例えば、電線であり、被覆層W1は、例えば、電気絶縁性の層であり、芯線W2は、例えば、電気導電性の線材である。図3に記載の例では、刃体3は、第1ガイド体2(より具体的には、第1部材21)に取り付けられている。また、刃体3の刃先33は、第1通路PH内に露出している。刃体3の刃先33は、第1通路PHの被覆線導入口Paと、第1通路PHの芯線出口Pbとの間に配置される。図3に記載の例では、刃先33と芯線出口Pbとの間の距離は、刃先33と被覆線導入口Paとの間の距離よりも小さい。
【0017】
図3に例示されるように、スリーブ支持部材6は、芯線W2と他の芯線とを接続するための接続スリーブSVを支持する。より具体的には、図5に例示されるように、スリーブ支持部材6は、接続スリーブSVの第1端部Sa(より具体的には、第1端部Saに形成された第1開口OP1)と、第1通路PHの芯線出口Pbとがアライメントされるように、接続スリーブSVを支持する。
【0018】
第1の実施形態におけるスリーブ配置工具1は、接続スリーブSVを支持するスリーブ支持部材6を有する。第1の実施形態におけるスリーブ配置工具1を用いると、被覆線Wからの被覆層W1の剥ぎ取りを行いながら、接続スリーブSVへの芯線W2の挿入(換言すれば、芯線W2への接続スリーブSVの配置)を行うことができる。よって、被覆線Wからの被覆層W1の剥ぎ取り作業と、芯線W2への接続スリーブSVの配置作業とを効率的に実行することができる。
【0019】
続いて、図1乃至図25を参照して、第1の実施形態におけるスリーブ配置工具1において採用可能な任意付加的な構成について説明する。
【0020】
(第1ガイド体2)
図4に記載の例では、第1ガイド体2は、第1部材21と、第2部材24とを有する。第2部材24は、第1部材21に対して、相対移動可能である。より具体的には、第2部材24は、第1部材21に近づくように、第1部材21に対して相対移動可能であり、第2部材24は、第1部材21から遠ざかるように、第1部材21に対して相対移動可能である。
【0021】
図5に例示されるように、第1部材21および第2部材24は、協働して第1通路PHを形成する。より具体的には、第1部材21は、第1方向DR1に沿って延在する第1溝22を有し、第2部材24には、第1方向DR1に沿って延在する第2溝25を有する。また、第1ガイド体2が閉状態にある時(換言すれば、第1部材21と第2部材24とが互いに接近している時)、第1溝22および第2溝25は、協働して、被覆線Wが配置される第1通路PHを規定する。
【0022】
図5に例示されるように、第1溝22および第2溝25の表面には、被覆線Wに対する第1ガイド体2の相対回転を、第1ガイド体2に対する被覆線Wの第1方向DR1への相対移動に変換する螺条(より具体的には、螺旋状の突起22p、25p)が形成されていることが好ましい。第1通路PHの長さは、例えば、5cm以上、7cm以上、あるいは、9cm以上である。第1通路PHの長さが長いことにより、曲がり癖のついた被覆線Wが直線化され易い。被覆線Wが直線化されることにより、接続スリーブSVに挿入された芯線W2が、接続スリーブSVの内壁面に引っ掛かりにくくなる。また、第1通路PHの長さが長いことにより、第1方向DR1に沿う方向における螺条の長さを長くすることができる。第1方向DR1に沿う方向における螺条の長さが長いことにより、被覆線Wに対する第1ガイド体2の相対回転を、第1ガイド体2に対する被覆線Wの第1方向DR1への相対移動に効果的に変換することができる(換言すれば、第1ガイド体2に対する被覆線Wの第1方向DR1への相対移動の推進力が十分に確保される。)。
【0023】
図4に記載の例では、第1ガイド体2は、第1部材21と、第2部材24との間の間隔を変更する操作部材26を有する。また、操作部材26は、遠隔操作工具によって操作可能な操作部(例えば、操作環261)と、第1部材21および第2部材24のうちの少なくとも一方に螺合するネジ棒263とを有する。ネジ棒263は、第1部材21に螺合するネジ部263aと、第2部材24に螺合する逆ネジ部263bとを有していてもよい。
【0024】
図4に記載の例において、操作部材26(より具体的には、操作環261)が第1操作方向MR1に操作されると、第1部材21と第2部材24との間の間隔が減少する。他方、図5に記載の例において、操作部材26(より具体的には、操作環261)が第2操作方向MR2に操作されると、第1部材21と第2部材24との間の間隔が増加する。
【0025】
図5に記載の例では、第1ガイド体2は、第1部材21に対する第2部材24の相対移動をガイドする少なくとも1つのガイド棒27を有する。図5に記載の例では、ガイド棒27は、第1ガイド棒27aおよび第2ガイド棒27bを含み、第1ガイド棒27aおよび第2ガイド棒27bの各々が、ネジ棒263と平行に配置されている。
【0026】
図6に記載の例では、第1ガイド体2は、第1部材21および第2部材24を支持する支持ブロック28を有する。図6に記載の例では、支持ブロック28は、ネジ棒263およびガイド棒27を介して、第1部材21および第2部材24を支持する。
【0027】
(第1端部支持部材61)
図7に記載の例では、スリーブ支持部材6は、接続スリーブSVの第1端部Sa(より具体的には、第2方向DR2側の端部)を傾動可能に支持する第1端部支持部材61を含む。第1端部支持部材61は、接続スリーブSVの第1端部Saが第1端部支持部材61によって支持された状態で、当該接続スリーブSVが傾動することを許容する。より具体的には、第1端部支持部材61は、接続スリーブSVの第1端部Saを支持し、且つ、接続スリーブSVの第2端部Sbが第1通路PHの中心軸C1に垂直な任意の方向に移動することを許容する。
【0028】
被覆線Wの皮剥ぎ時に、被覆線の曲がり癖に起因して、被覆層W1が分離された芯線W2が湾曲する場合がある(図8を参照。)。また、当該湾曲した芯線W2の先端部Wa2が接続スリーブSVの内壁面Snに引っ掛かる場合がある。芯線W2の先端部Wa2が接続スリーブSVの内壁面Snに引っ掛かると、芯線W2が接続スリーブSVに対して第1方向DR1に相対移動できない。芯線W2が接続スリーブSVに対して第1方向DR1に相対移動できない状態で、刃体3が被覆線Wまわりに360度回転すると、皮剥ぎ作業の途中で、被覆層W1が、被覆線Wから完全に分離される。その結果、皮剥ぎ作業の途中で、被覆層W1が、スリーブ配置工具1から落下する可能性がある。
【0029】
これに対し、接続スリーブSVが傾動可能である場合、接続スリーブSVの傾動によって、芯線W2の先端部Wa2が接続スリーブSVの内壁面Snに引っ掛かることが防止または抑制される。こうして、皮剥ぎ作業の途中で、被覆層W1が、被覆線Wから完全に分離される可能性が効果的に低減される。その結果、皮剥ぎ作業の途中で、被覆層W1が、スリーブ配置工具1から落下する可能性が効果的に低減される。
【0030】
図5に記載の例では、スリーブ支持部材6は、接続スリーブSVの第1端部Saを支持する第1端部支持部材61を有し、当該第1端部支持部材61が、第1ガイド体2の第1方向DR1側の端部2bに取り付けられている。この場合、第1通路PHの芯線出口Pbから、第1端部支持部材61に支持された接続スリーブSVの第1端部Saに、芯線W2が円滑に挿入される。また、第1端部支持部材61を、第1ガイド体2の第1方向DR1側の端部2bに取り付けるだけで、第1ガイド体2に対する第1端部支持部材61の相対位置が定まる。よって、事後的に、第1ガイド体2に対する第1端部支持部材61の相対位置を調整する必要がない。
【0031】
図9に記載の例では、第1端部支持部材61は、第1ガイド体2の第1部材21に取り付けられる第1部分61-1と、第1ガイド体2の第2部材24に取り付けられる第2部分61-2とを有する。この場合、第1部材21と第2部材24との間の間隔を拡大させることにより、第1端部支持部材61の第1部分61-1と、第1端部支持部材61の第2部分61-2との間の間隔を拡大させることができる。よって、第1端部支持部材61の第1部分61-1と、第1端部支持部材61の第2部分61-2との間に、接続スリーブSVを配置するのが容易である。
【0032】
図9に記載の例では、第1端部支持部材61の第1部分61-1は、接続スリーブSVの第1端部Saの外周面Su1に対向配置される第1内面61n-1を有し、第1端部支持部材61の第2部分61-2は、接続スリーブSVの第1端部Saの外周面Su1に対向配置される第2内面61n-2を有する。図10に例示されるように、第1内面61n-1、および、第2内面61n-2の各々は、円弧状面であってもよい。
【0033】
図9に記載の例では、接続スリーブSVの第1端部Saが、第1端部支持部材61によって支持された状態において、第1内面61n-1および第2内面61n-2のうちの少なくとも一方と、接続スリーブSVの第1端部Saの外周面Su1との間には、接続スリーブSVの傾動を許容する微小隙間Gが形成されている。当該微小隙間Gの存在により、接続スリーブSVは、第1端部Sa側を傾動中心として、第1通路PHの中心軸C1に垂直な任意の方向に傾動することができる。
【0034】
図9に記載の例では、第1端部支持部材61は、接続スリーブSVの第1端部Saの端面Seに対向配置されるストッパ面61sを有する。図11に例示されるように、第1端部支持部材61の第1部分61-1は、接続スリーブSVの第1端部Saの端面Seに対向配置される第1ストッパ面61s-1を有していてもよい。また、第1端部支持部材61の第2部分61-2は、接続スリーブSVの第1端部Saの端面Seに対向配置される第2ストッパ面61s-2を有していてもよい。
【0035】
図9に記載の例において、第1端部支持部材61は、第1端部支持部材61の内側の領域を芯線W2が通過することを許容する。また、第1端部支持部材61は、接続スリーブSVが挿入される下流側部分611と、接続スリーブSVの第2方向DR2への挿入限界位置を規定する上流側部分612とを有する。図9に記載の例では、上流側部分612の第1方向DR1側の端面が、接続スリーブSVの第2方向DR2への挿入限界位置を規定するストッパ面61sとして機能する。
【0036】
図9に記載の例では、第1端部支持部材61の第1部分61-1、および、第1端部支持部材61の第2部分61-2の各々は、複数の部品のアセンブリによって構成されている。代替的に、第1端部支持部材61の第1部分61-1、および、第1端部支持部材61の第2部分61-2の各々は、1つの部品によって構成されていてもよい。
【0037】
(第2端部支持部材64)
図7に記載の例では、スリーブ支持部材6は、接続スリーブSVの第2端部Sb(換言すれば、第1方向DR1側の端部)を支持する第2端部支持部材64を有する。第2端部支持部材64は、例えば、複数の部品のアセンブリによって構成される。
【0038】
図7に記載の例では、第2端部支持部材64は、接続スリーブSVの第1端部Saが第1端部支持部材61によって支持された状態で接続スリーブSVが傾動することを許容する。また、第2端部支持部材64は、接続スリーブSVが過度に傾動することを禁止する規制体67を有する。図7に記載の例において、規制体67は、接続スリーブSVの第1端部Sa側を傾動中心とする接続スリーブSVの傾動を許容し、且つ、接続スリーブSVの第1端部Sa側を傾動中心とする接続スリーブSVの過度な傾動を禁止する。
【0039】
図12に記載の例では、規制体67は、接続スリーブSVの第2端部Sbに挿入される挿入体670を含む。挿入体670の外面670uと、接続スリーブSVの第2端部Sbの内面Sn2との間の隙間の存在により、接続スリーブSVの第1端部Sa側を傾動中心とする接続スリーブSVの傾動が許容される。また、挿入体670の外面670uと、接続スリーブSVの第2端部Sbの内面Sn2との間の接触(図12における下側の図を参照。)により、当該傾動の限界が規定される。換言すれば、挿入体670の外面670uと、接続スリーブSVの内面Sn2との接触により、接続スリーブSVの第1端部Sa側を傾動中心とする接続スリーブSVの過度な傾動が禁止される。
【0040】
図12に記載の例では、第2端部支持部材64は、第1プレート65を有し、挿入体670は、第1プレート65によって支持されている。挿入体670は、接続スリーブSVの第2端部Sb(より具体的には、第2端部Sbに形成された第2開口OP2)に挿入されるピン671を含んでいてもよいし、接続スリーブSVの第2端部Sb(より具体的には、第2端部Sbに形成された第2開口OP2)に挿入される部品672を含んでいてもよい。図12に記載の例では、接続スリーブSVの第2端部Sbに挿入される部品672が、ピン671によって支持されている。
【0041】
図12に記載の例では、規制体67は、接続スリーブSVの第2端部Sbを囲むように配置される囲繞体676を含む。囲繞体676の内面676nと、接続スリーブSVの第2端部Sbの外周面Su2との間の隙間の存在により、接続スリーブSVの第1端部Sa側を傾動中心とする接続スリーブSVの傾動が許容される。また、囲繞体676の内面676nと、接続スリーブSVの第2端部Sbの外周面Su2との間の接触(図12における上側の図を参照。)により、当該傾動の限界が規定される。換言すれば、囲繞体676の内面676nと、接続スリーブSVの外周面Su2との接触により、接続スリーブSVの第1端部Sa側を傾動中心とする接続スリーブSVの過度な傾動が禁止される。
【0042】
図6に記載の例では、囲繞体676は、リング部材677(より具体的には、環状のプレート部材)によって構成されている。
【0043】
図6に記載の例では、規制体67は、接続スリーブSVの第2端部Sbに挿入される挿入体670、および、隙間を介して接続スリーブSVの第2端部Sbを囲むように配置される囲繞体676を含む。代替的に、規制体67は、挿入体670および囲繞体676のうちの一方のみを含んでいてもよい。
【0044】
図13に例示されるように、第2端部支持部材64は、接続スリーブSVの第2端部Sbの端面Seに接触する端面支持部68を有していてもよい。図13に記載の例では、端面支持部68の第2方向DR2側の面が接続スリーブSVの第2端部Sbの端面Seに接触する。端面支持部68は、例えば、プレート形状を有する。
【0045】
接続スリーブSVが、第1端部支持部材61のストッパ面61s(必要であれば、図9を参照。)と、第2端部支持部材64の端面支持部68(必要であれば、図13を参照。)とによって挟まれることにより、第1方向DR1に沿う方向における接続スリーブSVの意図せぬ変位(換言すれば、接続スリーブSVの過剰な変位)が防止される。
【0046】
図13に記載の例では、第2端部支持部材64は、端面支持部68を、第1通路PHの延在方向に平行な方向(換言すれば、第1方向DR1に平行な方向)に位置調整する第1操作部材69を有する。端面支持部68を、第1方向DR1に平行な方向に位置調整可能である場合、第1端部支持部材61と端面支持部68との間の間隔を調整することができる。よって、接続スリーブSVの長さに製造誤差がある場合でも、接続スリーブSVの端面Seが端面支持部68によって好適に支持される。また、端面支持部68から接続スリーブSVの端面Seに作用する押圧力を、ゼロ以上所定の最大値以下の任意の値に調整することができる。
【0047】
図13に記載の例では、第1操作部材69は、作業者によって操作可能な第1操作部691と、第1操作部691から延在する軸部695とを有する。軸部695は、第1操作部691から第2方向DR2に延出する。
【0048】
図13に記載の例では、軸部695は、第1プレート65のネジ穴65hに螺合する雄ネジ部695sを有する。また、第1操作部材69(より具体的には、軸部695)には、端面支持部68が取り付けられている。この場合、第1操作部材69が回転操作されることによって、第1プレート65に対して、端面支持部68が第1方向DR1に平行な方向に相対移動する。こうして、第1方向DR1に沿う方向における端面支持部68の位置を微調整することができる。
【0049】
図13に記載の例では、軸部695の先端部分が、接続スリーブSVの第2端部Sbに挿入される上述の挿入体670(より具体的には、ピン671)として機能する。代替的に、挿入体670と軸部695とが別体であってもよい。図13に記載の例では、挿入体670と端面支持部68とが別体である。代替的に、挿入体670と端面支持部68とが一体的に形成されていてもよい。
【0050】
図14に記載の例では、スリーブ配置工具1は、第1方向DR1に平行な方向に延在する棒部材71を有し、第2端部支持部材64は、当該棒部材71に沿って位置調整可能である。この場合、スリーブ配置工具1は、長さの異なる複数の接続スリーブSVの各々を好適に支持することができる。換言すれば、スリーブ配置工具1は、長さの異なる複数種類の接続スリーブSVに対応可能な工具となる。
【0051】
図14に記載の例では、第2端部支持部材64は、当該棒部材71に沿って位置調整可能なスライダ66を含む。スライダ66は、スライダ本体661と、スライダ本体661を棒部材71に対して位置決めする位置決め部材663(例えば、係合ピン663a)とを有する。付加的に、スライダ66は、位置決め部材663(例えば、係合ピン663a)を操作する操作部(以下、「第2操作部665」という。)を含んでいてもよい。
【0052】
図14に記載の例では、棒部材71は、第1方向DR1に沿って配置される複数の係合部711(より具体的には、係合穴部711h)を有し、スライダ66の位置決め部材663(例えば、係合ピン663a)は、複数の係合部711(より具体的には、係合穴部711h)の各々に選択的に係合可能である。複数の係合部711の中から位置決め部材663に係合する係合部が選択されることにより、第1方向DR1に沿う方向におけるスライダ66の位置が粗調整される。
【0053】
図14に記載の例では、スライダ66は、位置決め部材663を、係合部711(より具体的には、係合穴部711h)に向かう方向に付勢する付勢部材669(例えば、ばね部材)を有する。
【0054】
図14に記載の例では、位置決め部材663の位置と複数の係合部711のうちの1つの位置とが整合している状態では、付勢部材669(例えば、ばね部材)による付勢力によって、位置決め部材663と、当該係合部711との間の係合が維持される。他方、第2操作部665を、付勢部材669による付勢力に抗して当該係合部711から離れる方向に操作することにより、位置決め部材663と当該係合部711との間の係合を解除することができる。
【0055】
図14に記載の例では、スライダ66によって、囲繞体676(より具体的には、リング部材677)が支持されている。この場合、囲繞体676(より具体的には、リング部材677)は、スライダ66とともに、棒部材71に沿って位置調整される。よって、接続スリーブSVの長さの大小に関わらず、囲繞体676(より具体的には、リング部材677)は、接続スリーブSVの第2端部Sbを好適に囲むことができる。
【0056】
図14に記載の例では、スライダ66によって、第1プレート65が支持されている。この場合、第1プレート65によって直接的または間接的に支持される端面支持部68および挿入体670が、スライダ66とともに、棒部材71に沿って位置調整される。よって、接続スリーブSVの長さの大小に関わらず、端面支持部68は、接続スリーブSVの端面Seを好適に支持することができる。また、接続スリーブSVの長さの大小に関わらず、挿入体670を、接続スリーブSVの第2端部Sbに好適に挿入することができる。
【0057】
図6に例示されるように、スリーブ配置工具1は、第1方向DR1に平行な方向に延在する棒部材71と、棒部材71に平行に配置されるガイド棒73とを有していてもよい。ガイド棒73は、第2端部支持部材64が棒部材71に沿って棒部材71に対して相対移動する際に、当該第2端部支持部材64の移動をガイドする。
【0058】
図6に記載の例では、第1プレート65は、ガイド棒73が挿入される第1貫通穴65kを有する。また、囲繞体676(より具体的には、リング部材677)は、ガイド棒73が挿入される第2貫通穴676kを有する。図6に記載の例では、第1プレート65および囲繞体676の各々が、棒部材71およびガイド棒73によって安定的に支持される。図7に記載の例では、第1方向DR1に沿う方向において、第1端部支持部材61と第1プレート65との間に、囲繞体676(より具体的には、リング部材677)が配置されている。また、図7に記載の例では、第1方向DR1に沿う方向において、囲繞体676(より具体的には、リング部材677)と第1プレート65との間に、端面支持部68が配置されている。
【0059】
(第1ガイド体2に対する接続スリーブSVの相対回転)
図8に記載の例において、スリーブ支持部材6は、第1ガイド体2に対する接続スリーブSVの相対回転が許容されるように接続スリーブSVを支持することが好ましい。第1ガイド体2に対する接続スリーブSVの相対回転が許容されることにより、スリーブ配置工具1の回転部RTと、第1通路PHの中心軸C1まわりに回転しない芯線W2との間において、接続スリーブSVが相対回転運動を緩衝させる部材として機能する。例えば、芯線W2と接続スリーブSVとが過度に相対回転しないことにより、芯線W2に過剰な摩擦熱が作用しない。また、芯線W2と接続スリーブSVとが必要に応じて適度に相対回転することにより、湾曲した芯線W2の先端部Wa2が接続スリーブSVの内壁面Snに引っ掛かることが防止または抑制される。こうして、皮剥ぎ作業の途中で、被覆層W1が、被覆線Wから完全に分離される可能性が効果的に低減される。その結果、皮剥ぎ作業の途中で、被覆層W1が、スリーブ配置工具1から落下する可能性が効果的に低減される。また、接続スリーブSVの内部には、電気接続を確実に行うためにコンパウンドが充填されているが、摂氏0度を下回るような低温環境下ではコンパウンドは非常に硬くなっている。そのため、低温環境下で芯線W2を接続スリーブSVに挿入する場合、硬いコンパウンドにより芯線W2を接続スリーブSVの内部に挿入し難くなることがある。芯線W2と接続スリーブSVとが相対回転し易くなるように調整、換言すると、第1ガイド体2に対する接続スリーブSVの相対回転の程度を抑えるように調整することで、芯線W2と接続スリーブSVとの間に適度に摩擦熱を発生させ、当該摩擦熱によりコンパウンドを軟化させることで、芯線W2を接続スリーブSVに挿入し易くできる。
【0060】
第1ガイド体2に対する接続スリーブSVの相対回転のし易さの程度は、第1方向DR1に沿う方向における端面支持部68の位置を調整することにより、調整可能である。より具体的には、第1操作部材69を操作することにより、第1方向DR1に沿う方向における端面支持部68の位置が調整され、第1ガイド体2に対する接続スリーブSVの相対回転のし易さの程度が調整される。
【0061】
代替的に、スリーブ支持部材6は、第1ガイド体2に対する接続スリーブSVの相対回転が禁止されるように接続スリーブSVを支持してもよい。
【0062】
(第2ガイド体4)
図8に記載の例では、スリーブ配置工具1は、第2ガイド体4を備える。第2ガイド体4は、芯線W2から分離された被覆層W1をガイドする第2通路PJを規定する。図15に例示されるように、第2通路PJは、刃体3に隣接配置された入口4aを含む。入口4aは、第1通路PHから第2通路PJに、芯線W2から分離された被覆層W1を導入する導入口として機能する。第2ガイド体4は、第1ガイド体2(より具体的には、第1ガイド体2の第1部材21)に取り付けられていてもよい。第2ガイド体4は、1つの部品によって構成されていてもよく、複数の部品のアセンブリによって構成されていてもよい。
【0063】
図8に記載の例では、第2ガイド体4は、誘導部41aと、転向部44aと、受容部46aとを有する。
【0064】
誘導部41aは、芯線W2から分離された被覆層W1を転向部44aに向けて誘導する。誘導部41aは、被覆層W1が移動する第1移動通路PJ1を規定する。
【0065】
転向部44aは、被覆層W1の移動方向を転向させる。より具体的には、転向部44aは、被覆層W1の移動方向が第1通路PHから接続スリーブSVに向かう方向(換言すれば、第1方向DR1)に対して反転した方向(換言すれば、第1方向DR1とは反対の第2方向DR2への移動成分を有する方向)となるように、被覆層W1の移動方向を転向させる。被覆線Wの皮剥ぎにおいて、芯線W2から分離された被覆層W1の刃体3に対する相対移動は、一般的には、第1方向DR1への移動成分を有する。これに対し、転向部44aは、芯線W2から分離された被覆層W1の刃体3に対する相対移動が、第1方向DR1とは反対の第2方向DR2への移動成分を有するように、被覆層W1を転向させる。
【0066】
受容部46aは、転向部44aから被覆層W1を受け取る。受容部46aは、被覆層W1が移動する第2移動通路PJ2を規定する。
【0067】
被覆層W1が、第2ガイド体4(より具体的が、受容部46a)によって受容されることにより、芯線W2から分離された被覆層W1の挙動が安定化される。例えば、第1ガイド体2および刃体3が被覆線Wまわりに回転される場合に、芯線W2から分離された被覆層W1が、当該回転によって生じる遠心力に起因して暴れることが防止される。また、芯線W2から分離された被覆層W1が、被覆線W、スリーブ配置工具1、あるいは、他の工具に絡みつくことが防止される。更に、第2ガイド体4は、転向部44aを有し、当該転向部44aは、被覆層W1の移動方向を、第1方向DR1に対して反転した方向に変更する。こうして、転向部44aは、被覆層W1が、誘導部41aを超えて、更に、第1方向DR1に進むことを防止する。その結果、被覆層W1、および、被覆層W1を受容する受容部46aが、誘導部41aよりも第1方向DR1側に配置された部品(例えば、後述のベース55、第1ギヤ51等)と干渉することが防止される。また、転向部44aは、芯線W2から分離された被覆層W1に作用する張力(換言すれば、被覆層W1が伸びる方向に作用する力)を減少させる機能を有する。より具体的には、被覆層W1が転向部44aに衝突することにより、被覆層W1に作用する張力が減少する。その結果、皮剥ぎ作業の途中で、被覆層W1が複数の細片に分断されることが防止され、分断された細片が受容部46aから落下することが防止される。また、被覆層W1が、転向部44aに衝突することにより、被覆層W1のスパイラル化が促進される(必要であれば、図16を参照。)。その結果、受容部46aにおいて被覆層W1が嵩張らない。
【0068】
図15に記載の例では、誘導部41a(より具体的には、誘導部材41)は、刃体3を覆うように配置される基端部42を有する。また、図16に記載の例では、誘導部41a(より具体的には、誘導部材41)は、転向部44aに対向配置される先端部43を有する。
【0069】
図16に記載の例では、誘導部41aは、転向部44aとは別体である。代替的に、誘導部41aと、転向部44aとが一体的に形成されてもよい。
【0070】
図16に記載の例では、転向部44a(より具体的には、転向部材44)は、芯線W2から分離された被覆層W1が衝突する衝突面45を有する。図16に記載の例では、衝突面45は、誘導部41aの延在方向である第3方向DR3、および、受容部46aの延在方向である第4方向DR4の両方に対して傾斜する傾斜面である。衝突面45は、衝突面45に向かって移動する被覆層W1の第3方向DR3への運動量成分を、当該被覆層W1の第4方向DR4への運動量成分に変換する。
【0071】
図16に記載の例では、転向部44a(より具体的には、転向部材44)は、被覆層W1の移動方向が第1方向DR1の実質的に反対方向(換言すれば、第2方向DR2)となるように、被覆層W1の移動方向を転向させる。
【0072】
図16に記載の例では、転向部44aは、誘導部41aおよび受容部46aとは別体である。代替的に、転向部44aは、誘導部41a、および/または、受容部46aと一体的に形成されていてもよい。
【0073】
図16に記載の例では、受容部46aは、芯線W2から分離された被覆層W1を収納する。受容部46aは、芯線W2から分離された被覆層W1を収納する筒部47を有することが好ましい。また、筒部47は、円筒形状を有することが好ましい。図16に記載の例では、受容部46aは、受容部材46によって構成されている。
【0074】
図8に記載の例において、受容部46a(より具体的には、筒部47)は、被覆層W1が、受容部46aにおいて第1通路PHの中心軸C1から離れる方向に移動することを防止するように構成されることが好ましい。この場合、皮剥ぎ作業の途中で、被覆層W1に作用する遠心力によって被覆層W1が複数の細片に分断されることが防止され、分断された細片が受容部46aから落下することが防止される。
【0075】
図8に記載の例では、受容部46a(より具体的には、受容部46aの中心軸C2)と第1通路PH(より具体的には、第1通路PHの中心軸C1)とが実質的に平行に配置されている。当該配置により、受容部46aは、被覆層W1が、第1通路PHの中心軸C1から離れる方向に移動することを防止する。その結果、皮剥ぎ作業の途中で、被覆層W1に作用する遠心力によって被覆層W1が複数の細片に分断されることが防止され、分断された細片が受容部46aから落下することが防止される。
【0076】
図8に記載の例では、第1通路PHの被覆線導入口Paから、誘導部41aおよび受容部46aを経由して、受容部46aの先端部49に至るまでの通路(換言すれば、被覆層W1が芯線W2から分離される前の被覆線Wの移動通路と、芯線W2から分離された被覆層W1の移動通路とからなる通路)が、第1方向DR1および第3方向DR3の両方に垂直な第5方向DR5に沿う方向に見て、U字形状を有する。当該U字形状の通路によって、被覆層W1が、誘導部41aを超えて、更に、第1方向DR1に進むことが防止される。また、皮剥ぎ作業の完了後(換言すれば、被覆層W1が被覆線Wから完全に分離された後)、被覆線Wから完全に分離された被覆層W1が、誘導部41a、転向部44a、および、受容部46aによって、安定的に保持される。よって、被覆線Wから完全に分離された被覆層W1が、受容部46aから落下することが防止される。
【0077】
図17に記載の例では、第2ガイド体4の第2通路PJは、出口4bを含む。当該出口4bは、皮剥ぎ作業の完了後、被覆線Wから完全に分離された被覆層W1を受容部46aから取り出すための取出口として機能する。図17に記載の例では、出口4bは、受容部46aの先端部49に形成された開口である。当該出口4bは、蓋部材によって閉鎖可能であってもよい。換言すれば、第2ガイド体4は、出口4bを塞ぐ蓋部材を有していてもよい。
【0078】
(第1移動通路PJ1、および、第2移動通路PJ2)
図16に記載の例では、誘導部41aは、被覆層W1が移動する第1移動通路PJ1を規定し、受容部46aは、被覆層W1が移動する第2移動通路PJ2を規定する。第1移動通路PJ1および第2移動通路PJ2の各々は、上述の第2通路PJの一部を構成する。
【0079】
図16に記載の例では、第1移動通路PJ1において被覆層W1のスパイラル化が防止され、第2移動通路PJ2において被覆層W1のスパイラル化が行われるよう、第2移動通路PJ2の幅(より具体的には、第2移動通路PJ2の直径)は第1移動通路PJ1の幅(より具体的には、第1移動通路PJ1の直径)よりも大きい。第1移動通路PJ1において、被覆層W1のスパイラル化が防止されることにより、第1移動通路PJ1から第2移動通路PJ2への被覆層W1の移動が円滑に行われる。また、第2移動通路PJ2で、被覆層W1がスパイラル化されることにより、第2移動通路PJ2において、被覆層W1がコンパクトに配置される。よって、受容部46aの長さが短くて済む。
【0080】
(刃体3)
図17に記載の例では、刃体3は、第1ガイド体2(より具体的には、第1部材21)に取り付けられる取付部31と、刃先33とを有する。図18に例示されるように刃先33は、円弧形状を有していてもよい。
【0081】
図17に記載の例では、刃先33は、第1方向DR1に向かうにつれて、第2部材24に近づくように傾斜している。より具体的には、刃先33の第1方向DR1側の端33eと第2部材24との間の距離は、刃先33の第2方向DR2側の端33fと第2部材24との間の距離よりも小さい。
【0082】
(回転部RT、ベース55、および、動力伝達部材57)
図8に記載の例では、スリーブ配置工具1は、回転部RTと、ベース55と、動力伝達部材57とを備える。
【0083】
回転部RTは、被覆線Wに対して相対回転する。より具体的には、回転部RTは、第1通路PHの中心軸C1まわりに、被覆線Wに対して相対回転する。図19には、回転部RTの一例が示されている。回転部RTは、第1ガイド体2と、刃体3(図19には図示されず。)と、スリーブ支持部材6と、を含む。付加的に、回転部RTは、第2ガイド体4を含んでいてもよい。回転部RTは、第1ギヤ51を含んでいてもよい。また、回転部RTは、第1ギヤ51と、第1ガイド体2(より具体的には、支持ブロック28)とを連結する連結部材53を含んでいてもよい。
【0084】
図8に例示されるように、ベース55は、回転部RTを回転可能に支持する。より具体的には、ベース55は、回転部RTを、第1通路PHの中心軸C1まわりに回転可能なように支持する。図20には、ベース55の一例が示されている。ベース55は、動力伝達部材57の少なくとも一部を収容する内部空間SPを規定する。より具体的には、ベース55は、動力伝達部材57の少なくとも一部を収容する内部空間SPを規定する筐体56を含む。
【0085】
図21に記載の例では、ベース55は、第1ギヤ51、および、第1ギヤ51に噛み合う第2ギヤ59を支持する。より具体的には、第1ギヤ51は、第1通路PHの中心軸C1まわりに回転可能なように、ベース55によって支持される。また、第2ギヤ59は、上述の中心軸C1に平行な軸まわりに回転可能なように、ベース55によって支持される。図21に記載の例では、第1ギヤ51、および、第2ギヤ59の各々は、筐体56の内部空間SPに収容されている。第1ギヤ51は、側方開口OPを規定する第1部分51aと、側方開口OPを開閉する第2部分51b(より具体的には、開閉部材)とを含んでいてもよい。第1部分51aは、外歯を有し、全体としてU字形状を有する。第2部分51bは、外歯を有し、第1部分51aに対して揺動可能に接続され、全体としてアーム形状を有する。第2部分51bが開位置にある状態で、接続スリーブSVが、第1ギヤ51の外側から第1ギヤ51の内側に、側方開口OPを介して、挿入されてもよい。
【0086】
図22に記載の例において、動力伝達部材57は、外部から回転駆動力を受け取る。動力伝達部材57は、外部から回転駆動力を受け取るシャフト58を含んでいてもよい。図22に記載の例では、シャフト58は、ベース55によって支持されている。
【0087】
図21に例示されるように、動力伝達部材57は、第1ギヤ51に噛み合う第2ギヤ59を含んでいてもよい。図21に記載の例では、第2ギヤ59は、シャフト58に固定されている。
【0088】
動力伝達部材57は、外部(例えば、遠隔操作工具)から受け取る回転駆動力を、ベース55に対する回転部RTの相対回転に変換する。遠隔操作工具の先端部がシャフト58に接続され、遠隔操作工具の基端部が電動工具の出力軸に接続される場合を想定する。この場合、電動工具が回転駆動されると、電動工具の出力軸から、遠隔操作工具を介して、シャフト58に回転駆動力が入力される。シャフト58に回転駆動力が入力されると、シャフト58に固定された第2ギヤ59が回転し、第2ギヤ59に噛み合う第1ギヤ51が回転する。第1ギヤ51が回転すると、連結部材53を介して第1ギヤ51に固定された第1ガイド体2が、被覆線Wまわりに回転する。こうして、第1ガイド体2に固定された刃体3によって、芯線W2から被覆層W1が分離される。なお、図8に記載の例では、芯線W2から分離された被覆層W1が受容部46a(より具体的には、筒部47)によって受容されるため、電動工具を用いて、第1ガイド体2が高速回転される場合でも、被覆層W1が、第1通路PHの中心軸C1から離れる方向に向けて暴れることが防止される。その結果、皮剥ぎ作業の途中で、被覆層W1に作用する遠心力によって被覆層W1が複数の細片に分断されることが防止され、分断された細片が受容部46aから落下することが防止される。
【0089】
図8に記載の例では、第2ガイド体4は、刃体3によって芯線W2から分離された被覆層W1が、ベース55(より具体的には、筐体56)を超えて、第1方向DR1に移動することを防止する。より具体的には、転向部44aは、刃体3によって芯線W2から分離された被覆層W1を、ベース55(より具体的には、筐体56)から離れる方向にUターンさせる。
【0090】
図8に記載の例では、誘導部41aの全体、転向部44aの全体、および、受容部46aの全体が、ベース55(より具体的には、筐体56)よりも第2方向DR2側に配置されている。
【0091】
(スリーブ配置方法)
続いて、図1乃至図26を参照して、第1の実施形態におけるスリーブ配置方法について説明する。
【0092】
第1の実施形態におけるスリーブ配置方法では、スリーブ配置工具を用いて、被覆線の皮剥ぎ作業と、芯線への接続スリーブの配置作業とが実行される。第1の実施形態におけるスリーブ配置方法において使用されるスリーブ配置工具は、第1の実施形態におけるスリーブ配置工具1であってもよいし、その他のスリーブ配置工具であってもよい。
【0093】
第1ステップST1において、スリーブ配置工具が準備される。第1ステップST1は、準備工程である。図6に例示されるように、準備工程(第1ステップST1)において準備されるスリーブ配置工具は、第1ガイド体2と、第1ガイド体2に取り付けられた刃体3(図6には図示されず。)と、接続スリーブを支持するスリーブ支持部材6と、を具備する。準備工程(第1ステップST1)において準備されるスリーブ配置工具は、芯線から分離された被覆層をガイドする第2ガイド体4を備えていてもよい。準備工程(第1ステップST1)において準備されるスリーブ配置工具は、回転部RT、ベース55、および、動力伝達部材57を備えていてもよい。
【0094】
第1ガイド体2、刃体3、スリーブ支持部材6、第2ガイド体4、回転部RT、ベース55、動力伝達部材57については、既に説明済みであるため、これらの構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0095】
第2ステップST2において、接続スリーブSVが、スリーブ支持部材6に配置される。第2ステップST2は、第1配置工程である。第1配置工程(第2ステップST2)は、スリーブ支持部材6の一部を構成する第2端部支持部材64に接続スリーブSVの第2端部Sbを配置することと、スリーブ支持部材6の一部を構成する第1端部支持部材61に接続スリーブSVの第1端部Saを配置することとを含んでいてもよい。
【0096】
図4に例示されるように、第1ガイド体2の第1部材21に第1端部支持部材61の第1部分61-1が配置され、第1ガイド体2の第2部材24に第1端部支持部材61の第2部分61-2が配置されている場合には、第1配置工程(第2ステップST2)は、第1ガイド体2の第1部材21と第1ガイド体2の第2部材24との間の距離を縮小させることにより、第1端部支持部材61の第1部分61-1、および、第1端部支持部材61の第2部分61-2の各々を、接続スリーブSVの第1端部Saの外周面Su1に近接させることを含んでいてもよい(図5を参照。)。
【0097】
図13に例示されるように、第2端部支持部材64が、端面支持部68と、端面支持部68の位置を調整する第1操作部材69とを有する場合には、第1配置工程(第2ステップST2)は、第1方向DR1に沿う方向における端面支持部68の位置を調整することを含んでいてもよい。端面支持部68の位置が調整されることにより、接続スリーブSVが、第1端部支持部材61と、第2端部支持部材64の端面支持部68とによって好適に支持される。端面支持部68の位置が調整されることにより、第1ガイド体2に対する接続スリーブSVの相対回転のし易さの程度が調整されてもよい。
【0098】
図9に例示されるように、第1配置工程(第2ステップST2)の実行により、接続スリーブSVの第1端部Saは、スリーブ支持部材6の一部を構成する第1端部支持部材61によって、傾動可能に支持されてもよい。また、図12に例示されるように、第1配置工程(第2ステップST2)の実行後、スリーブ支持部材6の一部を構成する第2端部支持部材64は、接続スリーブSVの第1端部Saが第1端部支持部材61によって支持された状態で接続スリーブSVが傾動することを許容してもよい。更に、第1配置工程(第2ステップST2)の実行後、接続スリーブSVの過度な傾動が、第2端部支持部材64の一部を構成する規制体67によって規制されてもよい。
【0099】
第3ステップST3において、第1ガイド体2の第1通路PHに被覆線Wが配置される。第3ステップST3は、第2配置工程である。第2配置工程(第3ステップST3)は、第1通路PHに、被覆線Wの端部を挿入することを含んでいてもよい。この場合、第3ステップST3よりも後の工程において、被覆線Wの端部の皮剥ぎが行われることとなる。
【0100】
第4ステップST4において、刃体3によって、被覆線Wが、被覆層W1と芯線W2とに分離される。第4ステップST4は、分離工程である。分離工程(第4ステップST4)は、第1ガイド体2を、第1通路PHに配置された被覆線Wまわりに、被覆線Wに対して相対回転させることにより実行される(図8における矢印AR1を参照。)。当該相対回転は、被覆線皮剥ぎ器の外部から動力伝達部材57が受け取る回転駆動力(例えば、遠隔操作工具から動力伝達部材57が受け取る回転駆動力)が、ベース55に対する回転部RTの相対回転に変換されることにより行われてもよい。代替的に、当該相対回転は、作業者が、直接的に、第1ガイド体2を被覆線Wまわりに回転させることにより行われてもよい。
【0101】
第5ステップST5において、スリーブ支持部材6に支持された接続スリーブSVの第1端部Saに、芯線W2(より具体的には、被覆層W1が分離された芯線W2)が挿入される。第5ステップST5は、第1挿入工程である。
【0102】
図8に例示されるように、第1の実施形態におけるスリーブ配置方法では、刃体3によって被覆線Wを被覆層W1と芯線W2とに分離することと、芯線W2を接続スリーブSVの第1端部Saに挿入することとが、並列的に実行される。換言すれば、第1の実施形態におけるスリーブ配置方法では、刃体3によって被覆線Wを被覆層W1と芯線W2とに分離しながら、接続スリーブSVの第1端部Saに芯線W2が挿入される。よって、被覆線Wからの被覆層W1の剥ぎ取り作業と、芯線W2への接続スリーブSVの配置作業とを効率的に実行することができる。
【0103】
第1挿入工程(第5ステップST5)は、第1通路PHの中心軸C1に対する接続スリーブSVの傾動が許容された状態で実行されてもよい。代替的に、あるいは、付加的に、第1挿入工程(第5ステップST5)は、第1通路PHの中心軸C1まわりの、第1ガイド体2に対する接続スリーブSVの相対回転が許容された状態で実行されてもよい。接続スリーブSVの傾動、および、接続スリーブSVの相対回転のうちの少なくとも一方が許容されることにより、芯線W2の先端部Wa2が接続スリーブSVの内壁面Snに引っ掛かることが防止または抑制される。こうして、皮剥ぎ作業の途中で、被覆層W1が、被覆線Wから完全に分離される可能性が効果的に低減される。その結果、皮剥ぎ作業の途中で、被覆層W1が、スリーブ配置工具1から落下する可能性が効果的に低減される。
【0104】
第1の実施形態におけるスリーブ配置方法は、被覆層ガイド工程(第6ステップST6)を有していてもよい。被覆層ガイド工程(第6ステップST6)では、芯線W2から分離された被覆層W1が、第2ガイド体4を用いてガイドされる。図8に例示されるように、第1の実施形態におけるスリーブ配置方法は、芯線W2から分離された被覆層W1の移動方向が第1通路PHから接続スリーブSVに向かう方向に対して反転した方向となるように(より具体的には、芯線W2から分離された被覆層W1の移動方向が第1方向DR1とは反対の第2方向DR2となるように)、被覆層W1をガイドすることを含んでいてもよい。
【0105】
被覆層ガイド工程(第6ステップST6)は、複数のサブステップ(後述の誘導工程、後述の転向工程、および、後述の受取工程)を含む。
【0106】
図16に例示されるように、サブステップST6-1において、芯線W2から分離された被覆層W1が転向部44aに誘導される。サブステップST6-1は、誘導工程である。誘導工程は、誘導部41aを用いて行われる。図15および図16に記載の例では、誘導部41aは、刃体3に対向する基端部42(図15を参照。)と、転向部44aに向けて開放された先端部43(図16を参照。)と、を有する。図15および図16に記載の例では、芯線W2から分離された被覆層W1は、基端部42を介して誘導部41aに導入され、先端部43を介して誘導部41aから排出された被覆層W1が転向部44aに衝突する。
【0107】
図16に記載の例では、誘導工程は、芯線W2から分離された被覆層W1のスパイラル化が防止された状態で実行される。誘導工程において、被覆層W1のスパイラル化が防止されることにより、被覆層W1が、誘導部41aに詰まることが防止される。換言すれば、被覆層W1のスパイラル化が防止されることにより、誘導部41aから受容部46aへの被覆層W1の移動が円滑に行われる。
【0108】
図16に例示されるように、サブステップST6-2において、被覆層W1の移動方向が転向部44aによって転向される。サブステップST6-2は、転向工程である。転向工程は、被覆層W1の移動方向が第1方向DR1に対して反転した方向となるように、転向部44aが被覆層W1の移動方向を転向させることを含む。
【0109】
図16に例示されるように、サブステップST6-3において、受容部46aが、転向部44aから被覆層W1を受け取る。サブステップST6-3は、受取工程である。受取工程によって、被覆層W1は、受容部46aに受容される。
【0110】
受取工程は、受容部46aにおいて被覆層W1をスパイラル化することを含んでいてもよい。受容部46aにおいて被覆層W1がスパイラル化されることにより、被覆層W1が嵩張らない。
【0111】
第1の実施形態におけるスリーブ配置方法が、上述の被覆層ガイド工程(第6ステップST6)を有する場合、被覆層W1の移動方向が、第1方向DR1に対して反転した方向に変更される。こうして、被覆層W1が、第1ガイド体2を超えて、更に、第1方向DR1に進むことが防止される。その結果、被覆層W1が、第1ガイド体2よりも第1方向DR1側に配置された部品と干渉することが防止される。また、被覆層W1が受容部46aによって受容される場合には、芯線W2から分離された被覆層W1の挙動が安定化される。
【0112】
上述の被覆層ガイド工程(第6ステップST6)は、上述の第1挿入工程(第5ステップST5)と並列的に実行される。換言すれば、第2ガイド体4による被覆層W1のガイドと、接続スリーブSVの第1端部Saへの芯線W2の挿入とが同時に実行される。
【0113】
第7ステップST7において、芯線W2からの被覆層W1の分離が停止される。第7ステップST7は、分離停止工程である。図24に記載の例では、芯線W2の先端部Wa2が、接続スリーブSVの隔壁Swに達することにより、芯線W2からの被覆層W1の分離が停止される。より具体的には、芯線W2の先端部Wa2が接続スリーブSVの隔壁Swに達すると、芯線W2が接続スリーブSVに対して第1方向DR1に相対移動できなくなる。芯線W2が接続スリーブSVに対して第1方向DR1に相対移動できない状態で、刃体3が被覆線Wまわりに360度回転すると、被覆層W1が、被覆線Wから完全に分離される。こうして、芯線W2からの被覆層W1の分離が停止される。
【0114】
図25に例示されるように、第8ステップST8において、接続スリーブSVの第2端部Sbに、芯線W2(より具体的には、接続スリーブSVの第1端部Saに挿入された芯線W2)とは別の他の芯線W2’が挿入される。第8ステップST8は、第2挿入工程である。
【0115】
第2挿入工程(第8ステップST8)の実行後、第9ステップST9において、接続スリーブSVがスリーブ圧縮工具によって圧縮されてもよい。接続スリーブSVが圧縮されることにより、芯線W2と、他の芯線W2’とが接続スリーブSVを介して強固に接続される。
【0116】
本発明は第1の実施形態または各変形例に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、第1の実施形態または各変形例は適宜変形または変更され得ることが明らかである。また、第1の実施形態または各変形例において任意の構成要素を省略することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明のスリーブ配置工具、または、スリーブ配置方法を用いると、被覆線からの被覆層の剥ぎ取りを行いながら、接続スリーブへの芯線の挿入を行うことができる。よって、被覆線からの被覆層の剥ぎ取り作業と、芯線への接続スリーブの配置作業とを効率的に実行することができる。したがって、スリーブ配置工具、または、スリーブ配置方法を用いて作業を行う業者、あるいは、スリーブ配置工具を製造する製造業者にとって有用である。
【符号の説明】
【0118】
1…スリーブ配置工具、2…第1ガイド体、2b…端部、3…刃体、4…第2ガイド体、4a…入口、4b…出口、6…スリーブ支持部材、21…第1部材、22…第1溝、22p…突起、24…第2部材、25…第2溝、25p…突起、26…操作部材、27…ガイド棒、27a…第1ガイド棒、27b…第2ガイド棒、28…支持ブロック、31…取付部、33…刃先、33e…第1方向側の端、33f…第2方向側の端33e、41…誘導部材、41a…誘導部、42…基端部、43…先端部、44…転向部材、44a…転向部、45…衝突面、46…受容部材、46a…受容部、47…筒部、49…先端部、51…第1ギヤ、51a…第1ギヤの第1部分、51b…第1ギヤの第2部分、53…連結部材、55…ベース、56…筐体、57…動力伝達部材、58…シャフト、59…第2ギヤ、61…第1端部支持部材、61-1…第1部分、61-2…第2部分、61n-1…第1内面、61n-2…第2内面、61s…ストッパ面、61s-1…第1ストッパ面、61s-2…第2ストッパ面、64…第2端部支持部材、65…第1プレート、65h…ネジ穴、65k…第1貫通穴、66…スライダ、67…規制体、68…端面支持部、69…第1操作部材、71…棒部材、73…ガイド棒、261…操作環、263…ネジ棒、263a…ネジ部、263b…逆ネジ部、611…下流側部分、612…上流側部分、661…スライダ本体、663…位置決め部材、663a…係合ピン、665…第2操作部、669…付勢部材、670…挿入体、670u…外面、671…ピン、672…任意形状の部品、676…囲繞体、676k…第2貫通穴、676n…内面、677…リング部材、691…第1操作部、695…軸部、695s…雄ネジ部、711…係合部、711h…係合穴部、G…微小隙間、OP…側方開口、OP1…第1開口、OP2…第2開口、PH…第1通路、PJ…第2通路、PJ1…第1移動通路、PJ2…第2移動通路、Pa…被覆線導入口、Pb…芯線出口、RT…回転部、SP…内部空間、SV…接続スリーブ、Sa…第1端部、Sb…第2端部、Se…端面、Sn…内壁面、Sn2…内面、Su1…外周面、Su2…外周面、Sw…隔壁、W…被覆線、W1…被覆層、W2…芯線、W2'…他の芯線、Wa2…先端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
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図17
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図19
図20
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図22
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図26