IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 北陸電力送配電株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社永木精機の特許一覧

特開2024-141446被覆線皮剥ぎ器および被覆線皮剥ぎ方法
<>
  • 特開-被覆線皮剥ぎ器および被覆線皮剥ぎ方法 図1
  • 特開-被覆線皮剥ぎ器および被覆線皮剥ぎ方法 図2
  • 特開-被覆線皮剥ぎ器および被覆線皮剥ぎ方法 図3
  • 特開-被覆線皮剥ぎ器および被覆線皮剥ぎ方法 図4
  • 特開-被覆線皮剥ぎ器および被覆線皮剥ぎ方法 図5
  • 特開-被覆線皮剥ぎ器および被覆線皮剥ぎ方法 図6
  • 特開-被覆線皮剥ぎ器および被覆線皮剥ぎ方法 図7
  • 特開-被覆線皮剥ぎ器および被覆線皮剥ぎ方法 図8
  • 特開-被覆線皮剥ぎ器および被覆線皮剥ぎ方法 図9
  • 特開-被覆線皮剥ぎ器および被覆線皮剥ぎ方法 図10
  • 特開-被覆線皮剥ぎ器および被覆線皮剥ぎ方法 図11
  • 特開-被覆線皮剥ぎ器および被覆線皮剥ぎ方法 図12
  • 特開-被覆線皮剥ぎ器および被覆線皮剥ぎ方法 図13
  • 特開-被覆線皮剥ぎ器および被覆線皮剥ぎ方法 図14
  • 特開-被覆線皮剥ぎ器および被覆線皮剥ぎ方法 図15
  • 特開-被覆線皮剥ぎ器および被覆線皮剥ぎ方法 図16
  • 特開-被覆線皮剥ぎ器および被覆線皮剥ぎ方法 図17
  • 特開-被覆線皮剥ぎ器および被覆線皮剥ぎ方法 図18
  • 特開-被覆線皮剥ぎ器および被覆線皮剥ぎ方法 図19
  • 特開-被覆線皮剥ぎ器および被覆線皮剥ぎ方法 図20
  • 特開-被覆線皮剥ぎ器および被覆線皮剥ぎ方法 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141446
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】被覆線皮剥ぎ器および被覆線皮剥ぎ方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/12 20060101AFI20241003BHJP
   B26B 27/00 20060101ALI20241003BHJP
   B26D 3/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H02G1/12 026
B26B27/00 G
B26D3/00 603Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053104
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】520123216
【氏名又は名称】北陸電力送配電株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591083772
【氏名又は名称】株式会社永木精機
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】永田 武宏
(72)【発明者】
【氏名】小坂 宗浩
(72)【発明者】
【氏名】干場 一也
(72)【発明者】
【氏名】松田 昌之
(72)【発明者】
【氏名】石垣 正幸
【テーマコード(参考)】
3C061
5G353
【Fターム(参考)】
3C061AA25
3C061EE22
5G353AA01
5G353AA14
5G353AC02
5G353CA01
5G353DA06
5G353EA08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】芯線から分離された被覆層の挙動を安定化させることを可能にする被覆線皮剥ぎ器および被覆線皮剥ぎ方法を提供する。
【解決手段】被覆線皮剥ぎ器1は、被覆線Wをガイドする第1通路PHを規定する第1ガイド体2と、第1通路に配置される被覆線を被覆層W1と芯線W2とに分離する刃体3と、芯線から分離された被覆層をガイドする第2通路PJを規定する第2ガイド体4と、を具備する。第2ガイド体は、芯線から分離された被覆層を転向部44aに向けて誘導する誘導部41aと、第1通路の被覆線導入口Paから第1通路の出口Pbに向かう方向を第1方向DR1と定義するとき、被覆層の移動方向が第1方向に対して反転した方向DR4となるように、被覆層の移動方向を転向させる転向部44aと、転向部から被覆層を受け取る受容部46aと、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆線をガイドする第1通路を規定する第1ガイド体と、
前記第1通路に配置される前記被覆線を被覆層と芯線とに分離する刃体と、
前記芯線から分離された前記被覆層をガイドする第2通路を規定する第2ガイド体と
を具備し、
前記第2ガイド体は、
前記芯線から分離された前記被覆層を転向部に向けて誘導する誘導部と、
前記第1通路の被覆線導入口から前記第1通路の出口に向かう方向を第1方向と定義するとき、前記被覆層の移動方向が前記第1方向に対して反転した方向となるように、前記被覆層の前記移動方向を転向させる前記転向部と、
前記転向部から前記被覆層を受け取る受容部と
を有する
被覆線皮剥ぎ器。
【請求項2】
前記受容部は、前記芯線から分離された前記被覆層を収納する筒部を有する
請求項1に記載の被覆線皮剥ぎ器。
【請求項3】
前記転向部は、前記被覆層の前記移動方向が前記第1方向の実質的に反対方向となるように、前記被覆層の前記移動方向を転向させる
請求項1に記載の被覆線皮剥ぎ器。
【請求項4】
前記被覆線導入口から、前記誘導部および前記受容部を経由して、前記受容部の先端部に至るまでの通路が、前記第1通路の延在方向、および、前記誘導部の延在方向の両方に垂直な方向に沿う方向に見て、U字形状を有する
請求項1に記載の被覆線皮剥ぎ器。
【請求項5】
前記転向部は、前記芯線から分離された前記被覆層が衝突する衝突面を有し、
前記衝突面は、前記誘導部の延在方向、および、前記受容部の延在方向の両方に対して傾斜する傾斜面である
請求項1に記載の被覆線皮剥ぎ器。
【請求項6】
前記誘導部は、前記被覆層が移動する第1移動通路を規定し、
前記受容部は、前記被覆層が移動する第2移動通路を規定し、
前記第1移動通路において前記被覆層のスパイラル化が防止され、前記第2移動通路において前記被覆層のスパイラル化が行われるよう、前記第2移動通路の幅は前記第1移動通路の幅よりも大きい
請求項1に記載の被覆線皮剥ぎ器。
【請求項7】
前記受容部は、前記第1ガイド体の外側に配置され、
前記第1ガイド体は、前記受容部の外側に配置されている
請求項1に記載の被覆線皮剥ぎ器。
【請求項8】
前記被覆線に対して相対回転する回転部と、
前記回転部を回転可能に支持するベースと、
外部から受け取る回転駆動力を、前記ベースに対する前記回転部の相対回転に変換する動力伝達部材と
を具備し、
前記回転部は、前記第1ガイド体と、前記刃体と、前記誘導部と、前記転向部と、前記受容部と、を含む
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の被覆線皮剥ぎ器。
【請求項9】
前記第2ガイド体は、前記刃体によって前記芯線から分離された前記被覆層が、前記ベースを超えて、前記第1方向に移動することを防止し、
前記転向部は、前記刃体によって前記芯線から分離された前記被覆層を、前記ベースから離れる方向にUターンさせるように構成される
請求項8に記載の被覆線皮剥ぎ器。
【請求項10】
第1ガイド体と、前記第1ガイド体に取り付けられた刃体と、誘導部と、転向部と、受容部とを具備する被覆線皮剥ぎ器を準備する工程と、
前記第1ガイド体の第1通路に被覆線を配置する工程と、
前記第1ガイド体を、前記第1通路に配置された前記被覆線まわりに、前記被覆線に対して相対回転させることにより、前記刃体によって、前記被覆線を被覆層と芯線とに分離する工程と、
前記誘導部を用いて、前記芯線から分離された前記被覆層を前記転向部に誘導する工程と、
前記第1通路の被覆線導入口から前記第1通路の出口に向かう方向を第1方向と定義するとき、前記被覆層の移動方向が前記第1方向に対して反転した方向となるように、前記転向部を用いて、前記被覆層の前記移動方向を転向させる工程と、
前記受容部が、前記転向部から前記被覆層を受け取る工程と
を具備する
被覆線皮剥ぎ方法。
【請求項11】
前記被覆層を前記転向部に誘導する工程は、前記芯線から分離された前記被覆層のスパイラル化が防止された状態で実行され、
前記受容部が、前記転向部から前記被覆層を受け取る工程は、前記受容部において前記被覆層をスパイラル化することを含む
請求項10に記載の被覆線皮剥ぎ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆線皮剥ぎ器および被覆線皮剥ぎ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被覆線皮剥ぎ器が知られている。
【0003】
関連する技術として、特許文献1には、被覆線皮剥ぎ器が開示されている。特許文献1に記載の被覆線皮剥ぎ器は、皮剥ぎ器本体と、刃体と、ガイド体とを備える。刃体は、被覆線を被覆層と線材とに分離する。ガイド体は、線材から分離された被覆層を案内可能なガイド孔を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2018/020978号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、芯線から分離された被覆層の挙動を安定化させることを可能にする被覆線皮剥ぎ器および被覆線皮剥ぎ方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下に示す、被覆線皮剥ぎ器および被覆線皮剥ぎ方法に関する。
【0007】
(1)被覆線をガイドする第1通路を規定する第1ガイド体と、
前記第1通路に配置される前記被覆線を被覆層と芯線とに分離する刃体と、
前記芯線から分離された前記被覆層をガイドする第2通路を規定する第2ガイド体と
を具備し、
前記第2ガイド体は、
前記芯線から分離された前記被覆層を転向部に向けて誘導する誘導部と、
前記第1通路の被覆線導入口から前記第1通路の出口に向かう方向を第1方向と定義するとき、前記被覆層の移動方向が前記第1方向に対して反転した方向となるように、前記被覆層の前記移動方向を転向させる前記転向部と、
前記転向部から前記被覆層を受け取る受容部と
を有する
被覆線皮剥ぎ器。
(2)前記受容部は、前記芯線から分離された前記被覆層を収納する筒部を有する
上記(1)に記載の被覆線皮剥ぎ器。
(3)前記転向部は、前記被覆層の前記移動方向が前記第1方向の実質的に反対方向となるように、前記被覆層の前記移動方向を転向させる
上記(1)に記載の被覆線皮剥ぎ器。
(4)前記被覆線導入口から、前記誘導部および前記受容部を経由して、前記受容部の先端部に至るまでの通路が、前記第1通路の延在方向、および、前記誘導部の延在方向の両方に垂直な方向に沿う方向に見て、U字形状を有する
上記(1)に記載の被覆線皮剥ぎ器。
(5)前記転向部は、前記芯線から分離された前記被覆層が衝突する衝突面を有し、
前記衝突面は、前記誘導部の延在方向、および、前記受容部の延在方向の両方に対して傾斜する傾斜面である
上記(1)に記載の被覆線皮剥ぎ器。
(6)前記誘導部は、前記被覆層が移動する第1移動通路を規定し、
前記受容部は、前記被覆層が移動する第2移動通路を規定し、
前記第1移動通路において前記被覆層のスパイラル化が防止され、前記第2移動通路において前記被覆層のスパイラル化が行われるよう、前記第2移動通路の幅は前記第1移動通路の幅よりも大きい
上記(1)に記載の被覆線皮剥ぎ器。
(7)前記受容部は、前記第1ガイド体の外側に配置され、
前記第1ガイド体は、前記受容部の外側に配置されている
上記(1)に記載の被覆線皮剥ぎ器。
(8)前記被覆線に対して相対回転する回転部と、
前記回転部を回転可能に支持するベースと、
外部から受け取る回転駆動力を、前記ベースに対する前記回転部の相対回転に変換する動力伝達部材と
を具備し、
前記回転部は、前記第1ガイド体と、前記刃体と、前記誘導部と、前記転向部と、前記受容部と、を含む
上記(1)乃至(7)のいずれか一つに記載の被覆線皮剥ぎ器。
(9)前記第2ガイド体は、前記刃体によって前記芯線から分離された前記被覆層が、前記ベースを超えて、前記第1方向に移動することを防止し、
前記転向部は、前記刃体によって前記芯線から分離された前記被覆層を、前記ベースから離れる方向にUターンさせるように構成される
上記(8)に記載の被覆線皮剥ぎ器。
(10)第1ガイド体と、前記第1ガイド体に取り付けられた刃体と、誘導部と、転向部と、受容部とを具備する被覆線皮剥ぎ器を準備する工程と、
前記第1ガイド体の第1通路に被覆線を配置する工程と、
前記第1ガイド体を、前記第1通路に配置された前記被覆線まわりに、前記被覆線に対して相対回転させることにより、前記刃体によって、前記被覆線を被覆層と芯線とに分離する工程と、
前記誘導部を用いて、前記芯線から分離された前記被覆層を前記転向部に誘導する工程と、
前記第1通路の被覆線導入口から前記第1通路の出口に向かう方向を第1方向と定義するとき、前記被覆層の移動方向が前記第1方向に対して反転した方向となるように、前記転向部を用いて、前記被覆層の前記移動方向を転向させる工程と、
前記受容部が、前記転向部から前記被覆層を受け取る工程と
を具備する
被覆線皮剥ぎ方法。
(11)前記被覆層を前記転向部に誘導する工程は、前記芯線から分離された前記被覆層のスパイラル化が防止された状態で実行され、
前記受容部が、前記転向部から前記被覆層を受け取る工程は、前記受容部において前記被覆層をスパイラル化することを含む
上記(10)に記載の被覆線皮剥ぎ方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、芯線から分離された被覆層の挙動を安定化させることを可能にする被覆線皮剥ぎ器および被覆線皮剥ぎ方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ器の一部分を模式的に示す概略断面図である。
図2図2は、第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ器の一部分を模式的に示す概略断面図である。
図3図3は、第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ器を模式的に示す概略平面図である。
図4図4は、図3におけるA-A矢視断面図である。
図5図5は、第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ器の一部分を模式的に示す概略断面図である。
図6図6は、第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ器の一部分を模式的に示す概略斜視図である。
図7図7は、誘導部の一例を模式的に示す概略斜視図である。
図8図8は、比較例において、被覆層の先端と、回転中心軸との間の距離が、皮剥ぎが進むにつれて拡大する様子を示す図である。
図9図9は、受容部の一例を模式的に示す概略斜視図である。
図10図10は、刃体によって芯線から分離された被覆層が、第2ガイド体によって規定される第2通路に沿って移動する様子を模式的に示す図である。
図11図11は、第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ器の一部分を模式的に示す概略断面図である。
図12図12は、図3におけるB-B矢視断面図である。
図13図13は、第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ器を模式的に示す概略斜視図である。
図14図14は、第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ器の一部分を模式的に示す概略断面図である。
図15図15は、刃体の一例を模式的に示す概略斜視図である。
図16図16は、回転部の一例を模式的に示す概略斜視図である。
図17図17は、ベースの一例を模式的に示す概略斜視図である。
図18図18は、第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ器を模式的に示す概略2面図である。
図19図19は、第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ器を模式的に示す概略斜視図である。
図20図20は、第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ器を模式的に示す概略断面図である。
図21図21は、第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施形態における被覆線皮剥ぎ器1、および、被覆線皮剥ぎ方法について、詳しく説明する。なお、本明細書において、同種の機能を有する部材には、同一または類似の符号が付されている。そして、同一または類似の符号の付された部材について、繰り返しとなる説明が省略される場合がある。
【0011】
(用語の定義)
本明細書において、「上流側」の用語、および、「下流側」の用語は、芯線から分離される被覆層の進行方向を基準として定義される。換言すれば、芯線から分離される被覆層の進行方向における上流側を「上流側」と定義し、芯線から分離される被覆層の進行方向における下流側を「下流側」と定義する。
【0012】
(方向の定義)
本明細書において、第1ガイド体2の第1通路PHの延在方向に平行な方向であって、第1通路PHの入口Pa(換言すれば、被覆線導入口)から第1通路PHの出口Pbに向かう方向を「第1方向DR1」と定義し、第1方向DR1とは反対の方向を「第4方向DR4」と定義する。
【0013】
本明細書において、受容部46aの上流側の端部(換言すれば、転向部44aが配置される側の端部)から、受容部46aの下流側の端部(換言すれば、転向部44aが配置される側とは反対側の端部)に向かう方向を「第2方向DR2」と定義する(図2を参照。)。
【0014】
本明細書において、誘導部41aの上流側の端部(換言すれば、刃体3側の端部)から、誘導部41aの下流側の端部(換言すれば、転向部44a側の端部)に向かう方向を「第3方向DR3」と定義する(図2を参照。)。
【0015】
(第1の実施形態)
図1乃至図21を参照して、第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ器1、および、被覆線皮剥ぎ方法について説明する。図1は、第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ器1の一部分を模式的に示す概略断面図である。図2は、第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ器1の一部分を模式的に示す概略断面図である。図3は、第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ器1を模式的に示す概略平面図である。図4は、図3におけるA-A矢視断面図である。なお、図4には、被覆線皮剥ぎ器1に、被覆線Wが配置された後の状態が示されている。また、被覆線皮剥ぎ器1に対する被覆線Wの配置を把握し易くするために、図4において、被覆線W、芯線W2、および、被覆層W1が配置される領域には、ドットによるハッチングが付加されている。図5は、第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ器1の一部分を模式的に示す概略断面図である。図6は、第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ器1の一部分を模式的に示す概略斜視図である。図7は、誘導部41aの一例を模式的に示す概略斜視図である。図8は、比較例において、被覆層W1の先端Wa1と、中心軸C1(回転中心軸)との間の距離が、皮剥ぎが進むにつれて拡大する様子を示す図である。図9は、受容部46aの一例を模式的に示す概略斜視図である。図10は、刃体3によって芯線から分離された被覆層W1が、第2ガイド体4によって規定される第2通路PJに沿って移動する様子を模式的に示す図である。なお、図10は、第2ガイド体4および刃体3を模式的に示す概略正面図である。また、図10において、誘導部41aおよび受容部46aは透明であり、作業者は、誘導部41aおよび受容部46aの内部を視認可能である。図11は、第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ器1の一部分を模式的に示す概略断面図である。図12は、図3におけるB-B矢視断面図である。なお、図11には、第1部材21と第2部材24との間の距離が拡大された状態が示され、図12には、第1部材21と第2部材24との間の距離が縮小された状態が示されている。図13は、第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ器1を模式的に示す概略斜視図である。図14は、第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ器1の一部分を模式的に示す概略断面図である。図15は、刃体3の一例を模式的に示す概略斜視図である。図16は、回転部RTの一例を模式的に示す概略斜視図である。図17は、ベース55の一例を模式的に示す概略斜視図である。図18は、第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ器1を模式的に示す概略2面図である。なお、図18の左側には概略正面図が記載され、図18の右側には概略断面図が記載されている。図19は、第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ器1を模式的に示す概略斜視図である。図20は、第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ器1を模式的に示す概略断面図である。図21は、第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ方法の一例を示すフローチャートである。
【0016】
図2に例示されるように、第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ器1は、第1ガイド体2と、刃体3と、第2ガイド体4と、を具備する。
【0017】
図4に例示されるように、第1ガイド体2は、被覆線Wをガイドする第1通路PHを規定する。図1に例示されるように、第1通路PHは、入口Paと、出口Pbとを含む。入口Paは、第1通路PHに被覆線Wを導入する導入口(換言すれば、被覆線導入口)である。出口Pbは、第1通路PHから芯線W2(図4を参照。)を排出する排出口である。第1ガイド体2は、複数の部品のアセンブリによって構成される。例えば、第1ガイド体2は、第1部材21と、第2部材24とを含む。
【0018】
図4に例示されるように、刃体3は、第1通路PHに配置される被覆線Wを被覆層W1と芯線W2とに分離する。被覆線Wは、例えば、電線であり、被覆層W1は、例えば、電気絶縁性の層であり、芯線W2は、例えば、電気導電性の線材である。刃体3の刃先33は、第1通路PH内に露出している。刃体3の刃先33は、第1通路PHの入口Paと、第1通路PHの出口Pbとの間に配置される。図4に記載の例では、刃先33と出口Pbとの間の距離は、刃先33と入口Paとの間の距離よりも小さい。
【0019】
図5に例示されるように、第2ガイド体4は、芯線W2から分離された被覆層W1をガイドする第2通路PJを規定する。図6に例示されるように、第2通路PJは、刃体3に隣接配置された入口4aを含む。入口4aは、第1通路PHから第2通路PJに、芯線W2から分離された被覆層W1を導入する導入口として機能する。第2ガイド体4は、1つの部品によって構成されていてもよく、複数の部品のアセンブリによって構成されていてもよい。
【0020】
図2に記載の例では、第2ガイド体4は、誘導部41aと、転向部44aと、受容部46aとを有する。
【0021】
誘導部41aは、芯線W2から分離された被覆層W1を転向部44aに向けて誘導する。誘導部41aは、被覆層W1が移動する第1移動通路PJ1を規定する。
【0022】
転向部44aは、被覆層W1の移動方向を転向させる。より具体的には、転向部44aは、被覆層W1の移動方向が第1方向DR1に対して反転した方向(換言すれば、第1方向DR1とは反対の第4方向DR4への移動成分を有する方向)となるように、被覆層W1の移動方向を転向させる。被覆線Wの皮剥ぎにおいて、芯線W2から分離された被覆層W1の刃体3に対する相対移動は、一般的には、第1方向DR1への移動成分を有する。これに対し、転向部44aは、芯線W2から分離された被覆層W1の刃体3に対する相対移動が、第1方向DR1とは反対の第4方向DR4への移動成分を有するように、被覆層W1を転向させる。
【0023】
受容部46aは、転向部44aから被覆層W1を受け取る。受容部46aは、被覆層W1が移動する第2移動通路PJ2を規定する。
【0024】
第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ器1は、芯線W2から分離された被覆層W1をガイドする第2ガイド体4を備え、当該第2ガイド体4が、受容部46aを有する。被覆層W1が受容部46aによって受容されることにより、芯線W2から分離された被覆層W1の挙動が安定化される。例えば、第1ガイド体2および刃体3が被覆線Wまわりに回転される場合に、芯線W2から分離された被覆層W1が、当該回転によって生じる遠心力に起因して暴れることが防止される。また、芯線W2から分離された被覆層W1が、被覆線W、被覆線皮剥ぎ器1、あるいは、他の工具に絡みつくことが防止される。更に、第2ガイド体4は、転向部44aを有し、当該転向部44aは、被覆層W1の移動方向を、第1方向DR1に対して反転した方向に変更する。こうして、転向部44aは、被覆層W1が、誘導部41aを超えて、更に、第1方向DR1に進むことを防止する。その結果、被覆層W1、および、被覆層W1を受容する受容部46aが、誘導部41aよりも第1方向DR1側に配置された部品(例えば、後述のベース55、第1ギヤ51等)と干渉することが防止される。また、転向部44aは、芯線W2から分離された被覆層W1に作用する張力(換言すれば、被覆層W1が伸びる方向に作用する力)を減少させる機能を有する。より具体的には、被覆層W1が転向部44aに衝突することにより、被覆層W1に作用する張力が減少する。その結果、皮剥ぎ作業の途中で、被覆層W1が複数の細片に分断されることが防止され、分断された細片が受容部46aから落下することが防止される。また、被覆層W1が、転向部44aに衝突することにより、被覆層W1のスパイラル化が促進される(必要であれば、図10を参照。)。その結果、転向部44aの下流側において、被覆層W1が嵩張らない。
【0025】
続いて、図1乃至図20を参照して、第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ器1において採用可能な任意付加的な構成について説明する。
【0026】
(誘導部41a)
図6に記載の例では、誘導部41a(より具体的には、誘導部材41)は、刃体3を覆うように配置される基端部42(換言すれば、上流側の端部)を有する。図6に例示されるように、誘導部41aの基端部42は、半円筒形状を有していてもよい。換言すれば、刃体3は、半円筒形状を有する基端部42によって覆われていてもよい。
【0027】
図5に記載の例では、誘導部41a(より具体的には、誘導部材41)は、転向部44aに対向配置される先端部43(換言すれば、下流側の端部)を有する。図7に例示されるように、誘導部41aの先端部43は、半円筒形状を有していてもよい。
【0028】
図5に記載の例では、誘導部41aの先端部43の下流側には、転向部44aが配置されている。また、誘導部41aの先端部43の第3方向DR3側の端は開放されている。図5に例示されるように、誘導部41aの先端部43は、受容部46aに挿入されていてもよい。
【0029】
誘導部41a(より具体的には、誘導部材41)は、転向部44aに取り付けられる第1取付部411を有していてもよい。代替的に、あるいは、付加的に、誘導部41a(より具体的には、誘導部材41)は、第1ガイド体2に取り付けられる第2取付部413(図7を参照。)を有していてもよい。
【0030】
図5に記載の例では、誘導部41aは、転向部44aとは別体である。より具体的には、誘導部41aが誘導部材41によって構成され、転向部44aが転向部材44によって構成され、誘導部材41と転向部材44とが別体である。代替的に、誘導部41aと、転向部44aとが一体的に形成されてもよい。
【0031】
図5に記載の例では、第1通路PHの延在方向(換言すれば、第1方向DR1)、および、誘導部41aの延在方向(換言すれば、第3方向DR3)の両方に垂直な方向(以下、「第5方向DR5」という。)に沿う方向に見て、第1通路PHの延在方向と、誘導部41aの延在方向との間のなす角度α1は、例えば、70度以上110度以下の所定の角度である。第5方向DR5に沿う方向に見て、第1通路PHの延在方向と、誘導部41aの延在方向との間のなす角度α1は、90度であってもよい。
【0032】
(転向部44a)
図4に記載の例では、転向部44a(より具体的には、転向部材44)は、芯線W2から分離された被覆層W1が衝突する衝突面45を有する。図4に記載の例では、衝突面45は、誘導部41aの延在方向(換言すれば、第3方向DR3)、および、受容部46aの延在方向(換言すれば、第2方向DR2)の両方に対して傾斜する傾斜面である。衝突面45は、衝突面45に向かって移動する被覆層W1の第3方向DR3への運動量成分を、当該被覆層W1の第2方向DR2への運動量成分に変換する。
【0033】
図5に記載の例では、衝突面45は、誘導部41aの先端部43の下流側に配置されている。また、衝突面45は、当該先端部43の第3方向DR3側の開放端に対向配置されている。図4に記載の例では、転向部44a(より具体的には、転向部材44)は、被覆層W1の移動方向が第1方向DR1の実質的に反対方向(より具体的には、第4方向DR4)となるように、被覆層W1の移動方向を転向させる。
【0034】
図5に例示されるように、衝突面45は、受容部46a(より具体的には、受容部材46)の内側に配置されていてもよい。また、衝突面45は、誘導部41a(より具体的には、誘導部材41)の外側に配置されていてもよい。
【0035】
衝突面45は、誘導部41aの内表面と比較して、滑り特性が高いことが好ましい。また、衝突面45は、受容部46aの内表面と比較して、滑り特性が高いことが好ましい。滑り特性を高くすることは、滑り特性の高い材質を採用することにより実現されてもよいし、表面処理によって実現されてもよい。
【0036】
転向部材44は、受容部46aの上流側の開放端を塞ぐ蓋部445を有していてもよい。代替的に、あるいは、付加的に、転向部材44とは別の蓋部材CPが、受容部46aの上流側の開放端を塞いでいてもよい。更に代替的に、受容部46aの上流側の端は、開放端ではなく閉鎖端であってもよい。換言すれば、受容部46aの閉鎖端が、受容部46aの筒部47と一体的に形成されていてもよい。
【0037】
図5に記載の例では、転向部44aは、誘導部41aおよび受容部46aとは別体である。より具体的には、転向部44aは、誘導部41aおよび受容部46aとは別体の転向部材44によって構成されている。代替的に、転向部44aは、誘導部41a、および/または、受容部46aと一体的に形成されていてもよい。
【0038】
(受容部46a)
図4に記載の例では、受容部46aは、芯線W2から分離された被覆層W1を収納する。受容部46aは、芯線W2から分離された被覆層W1を収納する筒部47を有することが好ましい。また、筒部47は、円筒形状を有することが好ましい。受容部46aが、芯線W2を収納する筒部47(より具体的には、円筒形状の筒部)を有する場合、被覆層W1に遠心力が作用した場合でも、被覆層W1が第1通路PHの中心軸C1から離れる方向に向けて暴れることが防止される。
【0039】
受容部46a(より具体的には、筒部47)は、転向部44aの下流側において、被覆層W1が、第1通路PHの中心軸C1から離れる方向に移動することを防止するように構成されることが好ましい。この場合、皮剥ぎ作業の途中で、被覆層W1に作用する遠心力によって被覆層W1が複数の細片に分断されることが防止され、分断された細片が受容部46aから落下することが防止される。
【0040】
比較例として、図8には、被覆層W1の先端Wa1と、中心軸C1(換言すれば、被覆線に対する第1ガイド体の回転の回転中心軸)との間の距離が、皮剥ぎが進むにつれて拡大する例が示されている。この場合、皮剥ぎが進むにつれて被覆層W1の先端Wa1に作用する遠心力が増加し、被覆層W1が複数の細片に分断されるリスクが増加する。
【0041】
図5に記載の例では、受容部46a(より具体的には、受容部46aの中心軸C2)と第1通路PH(より具体的には、第1通路PHの中心軸C1)とが実質的に平行に配置されている。当該配置により、受容部46aは、被覆層W1が、第1通路PHの中心軸C1から離れる方向に移動することを防止する。その結果、皮剥ぎ作業の途中で、被覆層W1が複数の細片に分断されることが防止され、分断された細片が受容部46aから落下することが防止される。
【0042】
図5に記載の例では、受容部46aは、受容部材46によって構成されている。受容部46aは、基端部48(換言すれば、上流側の端部)と、先端部49(換言すれば、下流側の端部)とを有する。図9に例示されるように、受容部46a(より具体的には、受容部材46)は、孔部46hを有していてもよい。図5に記載の例では、当該孔部46hを横切るように、誘導部41aが配置されている。
【0043】
図4に記載の例では、第1通路PHの入口Paから、誘導部41aおよび受容部46aを経由して、受容部46aの先端部49(換言すれば、下流側の端部)に至るまでの通路(換言すれば、被覆層W1が芯線W2から分離される前の被覆線Wの移動通路と、芯線W2から分離された被覆層W1の移動通路とからなる通路)が、第5方向DR5に沿う方向に見て、U字形状を有する。当該U字形状の通路によって、被覆層W1が、誘導部41aを超えて、更に、第1方向DR1に進むことが防止される。また、皮剥ぎ作業の完了後(換言すれば、被覆層W1が被覆線Wから完全に分離された後)、被覆線Wから完全に分離された被覆層W1が、誘導部41a、転向部44a、および、受容部46aによって、安定的に保持される。よって、被覆線Wから完全に分離された被覆層W1が、受容部46aから落下することが防止される。
【0044】
図4に記載の例では、第2ガイド体4の第2通路PJは、出口4bを含む。当該出口4bは、皮剥ぎ作業の完了後、被覆線Wから完全に分離された被覆層W1を受容部46aから取り出すための取出口として機能する。図4に記載の例では、出口4bは、受容部46aの第2方向DR2側の端に配置された開口である。当該出口4bは、蓋部材によって閉鎖可能であってもよい。換言すれば、第2ガイド体4は、出口4bを塞ぐ蓋部材を有していてもよい。
【0045】
(第1移動通路PJ1、および、第2移動通路PJ2)
図10に記載の例では、誘導部41aは、被覆層W1が移動する第1移動通路PJ1を規定し、受容部46aは、被覆層W1が移動する第2移動通路PJ2を規定する。第1移動通路PJ1および第2移動通路PJ2の各々は、第2ガイド体4の第2通路PJの一部を構成する。
【0046】
図10に記載の例では、第1移動通路PJ1において被覆層W1のスパイラル化が防止され、第2移動通路PJ2において被覆層W1のスパイラル化が行われるよう、第2移動通路PJ2の幅(より具体的には、第2移動通路PJ2の直径)は第1移動通路PJ1の幅(より具体的には、第1移動通路PJ1の直径)よりも大きい。第1移動通路PJ1において、被覆層W1のスパイラル化が防止されることにより、第1移動通路PJ1から第2移動通路PJ2への被覆層W1の移動が円滑に行われる。また、第2移動通路PJ2で、被覆層W1がスパイラル化されることにより、第2移動通路PJ2において、被覆層W1がコンパクトに配置される。よって、受容部46aの長さが短くて済む。
【0047】
図10に例示されるように、受容部46a(より具体的には、受容部材46)は、透明部材によって構成されていてもよい。また、誘導部41a(より具体的には、誘導部材41)は、透明部材によって構成されていてもよい。受容部46aは、ポリカーボネート製であってもよい。
【0048】
(第1ガイド体2)
図11に記載の例では、第1ガイド体2は、第1部材21と、第2部材24とを有する。第2部材24は、第1部材21に対して、相対移動可能である。より具体的には、第2部材24は、第1部材21に近づくように、第1部材21に対して相対移動可能であり、第2部材24は、第1部材21から遠ざかるように、第1部材21に対して相対移動可能である。
【0049】
第1部材21および第2部材24は、協働して第1通路PHを形成する。より具体的には、第1部材21は、第1方向DR1に沿って延在する第1溝22を有し、第2部材24には、第1方向DR1に沿って延在する第2溝25を有する。図12に例示されるように、第1ガイド体2が閉状態にある時(換言すれば、第1部材21と第2部材24とが互いに接近している時)、第1溝22および第2溝25は、協働して、被覆線Wが配置される第1通路PHを規定する。図4に記載の例では、第1部材21に、刃体3が取り付けられている。また、図4に記載の例では、第1部材21に、第2ガイド体4(より具体的には、誘導部41a)が取り付けられている。
【0050】
図12に例示されるように、第1溝22および第2溝25の表面には、被覆線Wに対する第1ガイド体2の相対回転を、第1ガイド体2に対する被覆線Wの第1方向DR1への相対移動に変換する螺条(より具体的には、螺旋状の突起22p、25p)が形成されていることが好ましい。第1通路PHの長さは、例えば、5cm以上、7cm以上、あるいは、9cm以上である。第1通路PHの長さが長いことにより、曲がり癖のついた被覆線Wが直線化され易い。また、第1通路PHの長さが長いことにより、第1方向DR1に沿う方向における螺条の長さを長くすることができる。第1方向DR1に沿う方向における螺条の長さが長いことにより、被覆線Wに対する第1ガイド体2の相対回転を、第1ガイド体2に対する被覆線Wの第1方向DR1への相対移動に効果的に変換することができる(換言すれば、第1ガイド体2に対する被覆線Wの第1方向DR1への相対移動の推進力が十分に確保される。)。
【0051】
図11に記載の例では、第1ガイド体2は、第1部材21と、第2部材24との間の間隔を変更する操作部材26を有する。また、操作部材26は、遠隔操作工具によって操作可能な操作部(例えば、操作環261)と、第1部材21および第2部材24のうちの少なくとも一方に螺合するネジ棒263とを有する。ネジ棒263は、第1部材21に螺合するネジ部263aと、第2部材24に螺合する逆ネジ部263bとを有していてもよい。
【0052】
図11に記載の例において、操作部材26(より具体的には、操作環261)が第1操作方向MR1に操作されると、第1部材21と第2部材24との間の間隔が減少する。他方、図12に記載の例において、操作部材26(より具体的には、操作環261)が第2操作方向MR2に操作されると、第1部材21と第2部材24との間の間隔が増加する。
【0053】
図12に記載の例では、第1ガイド体2は、第1部材21に対する第2部材24の相対移動をガイドする少なくとも1つのガイド棒27を有する。図12に記載の例では、ガイド棒27は、第1ガイド棒27aおよび第2ガイド棒27bを含み、第1ガイド棒27aおよび第2ガイド棒27bの各々が、ネジ棒263と平行に配置されている。
【0054】
図13に記載の例では、第1ガイド体2は、第1部材21および第2部材24を支持する支持ブロック28を有する。図13に記載の例では、支持ブロック28は、ネジ棒263およびガイド棒27を介して、第1部材21および第2部材24を支持する。
【0055】
図6に記載の例では、受容部46a(より具体的には、受容部材46)は、第1ガイド体2の外側に配置され、第1ガイド体2は、受容部46a(より具体的には、受容部材46)の外側に配置されている。この場合、受容部46aの内側に、第1ガイド体2が配置される場合と比較して、受容部46aのサイズをコンパクトにすることができる。また、図6に記載の例では、受容部46a(より具体的には、受容部材46)が、第1ガイド体2の外側に配置されているため、受容部46aに受容される被覆層W1が、第1ガイド体2に絡みつくことがない。図6に記載の例では、第1部材21と第2部材24とが接触した状態において、受容部46aの内径D1は、第1通路PHの直径D2の1.5倍以上3倍以下である。また、図6に記載の例では、受容部46aの長さL1は、第1通路PHの長さの0.5倍以上2倍以下である。
【0056】
(刃体3)
図14に記載の例では、刃体3は、第1ガイド体2(より具体的には、第1部材21)に取り付けられる取付部31と、刃先33とを有する。図15に例示されるように刃先33は、円弧形状を有していてもよい。
【0057】
図14に記載の例では、刃先33は、第1方向DR1に向かうにつれて、第2部材24に近づくように傾斜している。より具体的には、刃先33の第1方向DR1側の端33eと第2部材24との間の距離は、刃先33の第4方向DR4側の端33fと第2部材24との間の距離よりも小さい。
【0058】
(回転部RT、ベース55、および、動力伝達部材57)
図4に記載の例では、被覆線皮剥ぎ器1は、回転部RTと、ベース55と、動力伝達部材57とを備える。
【0059】
回転部RTは、被覆線Wに対して相対回転する。より具体的には、回転部RTは、第1通路PHの中心軸C1まわりに、被覆線Wに対して相対回転する。図16には、回転部RTの一例が示されている。回転部RTは、第1ガイド体2と、刃体3(図16には図示されず。)と、誘導部41a(図16には図示されず。)と、転向部44a(図16には図示されず。)と、受容部46aと、を含む。付加的に、回転部RTは、後述の第1ギヤ51を含んでいてもよい。また、回転部RTは、第1ギヤ51と、第1ガイド体2(より具体的には、支持ブロック28)とを連結する連結部材53を含んでいてもよい。
【0060】
図4に例示されるように、ベース55は、回転部RTを回転可能に支持する。より具体的には、ベース55は、回転部RTを、第1通路PHの中心軸C1まわりに回転可能なように支持する。図17には、ベース55の一例が示されている。ベース55は、動力伝達部材57の少なくとも一部を収容する内部空間SPを規定する。より具体的には、ベース55は、動力伝達部材57の少なくとも一部を収容する内部空間SPを規定する筐体56を含む。
【0061】
図18に記載の例では、ベース55は、第1ギヤ51、および、第1ギヤ51に噛み合う第2ギヤ59を支持する。より具体的には、第1ギヤ51は、第1通路PHの中心軸C1まわりに回転可能なように、ベース55によって支持される。また、第2ギヤ59は、上述の中心軸C1に平行な軸まわりに回転可能なように、ベース55によって支持される。図18に記載の例では、第1ギヤ51、および、第2ギヤ59の各々は、筐体56の内部空間SPに収容されている。第1ギヤ51は、側方開口OPを規定する第1部分51aと、側方開口OPを開閉する第2部分51b(より具体的には、開閉部材)とを含んでいてもよい。第1部分51aは、外歯を有し、全体としてU字形状を有する。第2部分51bは、外歯を有し、第1部分51aに対して揺動可能に接続され、全体としてアーム形状を有する。第2部分51bが開位置にある状態で、接続スリーブSVが、第1ギヤ51の外側から第1ギヤ51の内側に、側方開口OPを介して、挿入されてもよい。
【0062】
図19に記載の例において、動力伝達部材57は、外部から回転駆動力を受け取る。動力伝達部材57は、外部から回転駆動力を受け取るシャフト58を含んでいてもよい。図19に記載の例では、シャフト58は、ベース55によって支持されている。
【0063】
図18に例示されるように、動力伝達部材57は、第1ギヤ51に噛み合う第2ギヤ59を含んでいてもよい。図18に記載の例では、第2ギヤ59は、シャフト58に固定されている。
【0064】
動力伝達部材57は、外部(例えば、遠隔操作工具)から受け取る回転駆動力を、ベース55に対する回転部RTの相対回転に変換する。遠隔操作工具の先端部がシャフト58に接続され、遠隔操作工具の基端部が電動工具の出力軸に接続される場合を想定する。この場合、電動工具が回転駆動されると、電動工具の出力軸から、遠隔操作工具を介して、シャフト58に回転駆動力が入力される。シャフト58に回転駆動力が入力されると、シャフト58に固定された第2ギヤ59が回転し、第2ギヤ59に噛み合う第1ギヤ51が回転する。第1ギヤ51が回転すると、連結部材53を介して第1ギヤ51に固定された第1ガイド体2が、被覆線Wまわりに回転する。こうして、第1ガイド体2に固定された刃体3によって、芯線W2から被覆層W1が分離される。なお、図4に記載の例では、芯線W2から分離された被覆層W1が受容部46a(より具体的には、筒部47)によって受容されるため、電動工具を用いて、第1ガイド体2が高速回転される場合でも、被覆層W1が、第1通路PHの中心軸C1から離れる方向に向けて暴れることが防止される。その結果、皮剥ぎ作業の途中で、被覆層W1に作用する遠心力によって被覆層W1が複数の細片に分断されることが防止され、分断された細片が受容部46aから落下することが防止される。
【0065】
図4に記載の例では、第2ガイド体4(より具体的には、誘導部41a、転向部44a、および、受容部46a)は、刃体3によって芯線W2から分離された被覆層W1が、ベース55(より具体的には、筐体56)を超えて、第1方向DR1に移動することを防止する。より具体的には、転向部44aは、刃体3によって芯線W2から分離された被覆層W1を、ベース55(より具体的には、筐体56)から離れる方向にUターンさせる。
【0066】
図4に記載の例では、誘導部41aの全体、転向部44aの全体、および、受容部46aの全体が、ベース55(より具体的には、筐体56)よりも第4方向DR4側に配置されている。
【0067】
(スリーブ支持部材6)
図20に例示されるように、被覆線皮剥ぎ器1は、被覆線Wの芯線W2と、他の被覆線の芯線とを接続する接続スリーブSVを支持するスリーブ支持部材6を含んでいてもよい。図20に記載の例では、スリーブ支持部材6は、回転部RTに含まれる。換言すれば、スリーブ支持部材6は、第1ガイド体2とともに、被覆線Wまわりに回転する。
【0068】
スリーブ支持部材6は、接続スリーブSVの一端部を支持する第1端部支持部材61と、接続スリーブSVの他端部を支持する第2端部支持部材66とを有していてもよい。図20に記載の例では、第1端部支持部材61は、第1ガイド体2によって規定される第1通路PHの出口Pbに配置されている。この場合、被覆層W1が分離された芯線W2が、第1端部支持部材61によって支持された接続スリーブSVに円滑に挿入される。また、芯線W2からの被覆層W1の分離と、当該芯線W2の接続スリーブSVへの挿入とを、同時に実行することができる。
【0069】
第1の実施形態において、スリーブ支持部材6は省略されてもよい。また、第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ器1において、被覆層W1が分離された芯線W2が、接続スリーブ以外の任意の筒部材に受容されるように構成されてもよい。当該筒部材は、ベース55に固定されてもよいし、回転部RTに固定されてもよい。
【0070】
(被覆線皮剥ぎ方法)
続いて、図1乃至図21を参照して、第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ方法について説明する。
【0071】
第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ方法では、被覆線皮剥ぎ器を用いて、被覆線の皮剥ぎ作業が実行される。第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ方法において使用される被覆線皮剥ぎ器は、第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ器1であってもよいし、その他の被覆線皮剥ぎ器であってもよい。
【0072】
第1ステップST1において、被覆線皮剥ぎ器が準備される。第1ステップST1は、準備工程である。図20に例示されるように、準備工程(第1ステップST1)において準備される被覆線皮剥ぎ器は、第1ガイド体2と、第1ガイド体2に取り付けられた刃体3(図20には図示されず。)と、第2ガイド体4と、を具備する。第2ガイド体4は、誘導部41a(図20には図示されず。)と、転向部44a(図20には図示されず。)と、受容部46aと、を含む。準備工程(第1ステップST1)において準備される被覆線皮剥ぎ器は、回転部RT、ベース55、および、動力伝達部材57を備えていてもよい。また、準備工程(第1ステップST1)において準備される被覆線皮剥ぎ器は、スリーブ支持部材6を備えていてもよい。
【0073】
第1ガイド体2、刃体3、第2ガイド体4、誘導部41a、転向部44a、受容部46a、回転部RT、ベース55、動力伝達部材57、スリーブ支持部材6については、既に説明済みであるため、これらの構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0074】
第2ステップST2において、第1ガイド体2の第1通路PHに被覆線Wが配置される。第2ステップST2は、配置工程である。配置工程(第2ステップST2)は、第1通路PHに、被覆線Wの端部を挿入することを含んでいてもよい。この場合、第2ステップST2よりも後の工程において、被覆線Wの端部の皮剥ぎが行われることとなる。代替的に、配置工程(第2ステップST2)は、第1通路PHに、被覆線Wの中央部分を配置することを含んでいてもよい。この場合、第2ステップST2よりも後の工程において、被覆線Wの中央部分の皮剥ぎが行われることとなる。
【0075】
第3ステップST3において、刃体3によって、被覆線Wが、被覆層W1と芯線W2とに分離される。第3ステップST3は、分離工程である。分離工程(第3ステップST3)は、第1ガイド体2を、第1通路PHに配置された被覆線Wまわりに、被覆線Wに対して相対回転させることにより実行される(図4における矢印AR1を参照。)。当該相対回転は、被覆線皮剥ぎ器の外部から動力伝達部材57が受け取る回転駆動力(例えば、遠隔操作工具から動力伝達部材57が受け取る回転駆動力)が、ベース55に対する回転部RTの相対回転に変換されることにより行われてもよい。代替的に、当該相対回転は、作業者が、直接的に、第1ガイド体2を被覆線Wまわりに回転させることにより行われてもよい。
【0076】
第4ステップST4において、芯線W2から分離された被覆層W1が転向部44aに誘導される。第4ステップST4は、誘導工程である。誘導工程(第4ステップST4)は、誘導部41aを用いて行われる。図6に記載の例では、誘導部41aは、刃体3に対向する基端部42と、転向部44aに向けて開放された先端部43(図10を参照。)と、を有する。芯線W2から分離された被覆層W1は、基端部42(図6を参照。)を介して誘導部41aに導入され、先端部43(図10を参照。)を介して誘導部41aから排出された被覆層W1が転向部44aに衝突する。
【0077】
図10に記載の例では、誘導工程(第4ステップST4)は、芯線W2から分離された被覆層W1のスパイラル化が防止された状態で実行される。誘導工程(第4ステップST4)において、被覆層W1のスパイラル化が防止されることにより、被覆層W1が、誘導部41aに詰まることが防止される。換言すれば、被覆層W1のスパイラル化が防止されることにより、誘導部41aから受容部46aへの被覆層W1の移動が円滑に行われる。
【0078】
第5ステップST5において、被覆層W1の移動方向が転向部44aによって転向される。第5ステップST5は、転向工程である。転向工程(第5ステップST5)は、被覆層W1の移動方向が第1方向DR1に対して反転した方向となるように、転向部44aが被覆層W1の移動方向を転向させることを含む。
【0079】
第6ステップST6において、受容部46aが、転向部44aから被覆層W1を受け取る。第6ステップST6は、受取工程である。受取工程によって、被覆層W1は、受容部46aに受容される(図10を参照。)。
【0080】
受取工程(第6ステップST6)は、受容部46aにおいて被覆層W1をスパイラル化することを含んでいてもよい。受容部46aにおいて被覆層W1がスパイラル化されることにより、被覆層W1が嵩張らない。
【0081】
付加的に、第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ方法は、被覆層W1が分離された芯線W2と他の芯線とを接続するための接続スリーブSVに、被覆層W1が分離された芯線W2を挿入する工程(以下、「挿入工程」という。)を備えていてもよい(図4を参照。)。挿入工程は、上述の分離工程(第3ステップST3)、上述の誘導工程(第4ステップST4)、上述の転向工程(第5ステップST5)、および、上述の受取工程(第6ステップST6)と並列的に実行される。換言すれば、芯線W2からの被覆層W1の分離と、当該芯線W2の接続スリーブSVへの挿入とが同時に実行される。
【0082】
第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ方法では、転向部44aが、被覆層W1の移動方向を、第1方向DR1に対して反転した方向に変更する。こうして、被覆層W1が、誘導部41aを超えて、更に、第1方向DR1に進むことが防止される。その結果、被覆層W1が、誘導部41aよりも第1方向DR1側に配置された部品と干渉することが防止される。また、第1の実施形態における被覆線皮剥ぎ方法では、被覆層W1が受容部46aによって受容されることにより、芯線W2から分離された被覆層W1の挙動が安定化される。
【0083】
本発明は第1の実施形態または各変形例に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、第1の実施形態または各変形例は適宜変形または変更され得ることが明らかである。また、第1の実施形態または各変形例において任意の構成要素を省略することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の被覆線皮剥ぎ器、または、被覆線皮剥ぎ方法を用いると、芯線から分離された被覆層の挙動を安定化させることができる。したがって、被覆線皮剥ぎ器、または、被覆線皮剥ぎ方法を用いて作業を行う業者、あるいは、被覆線皮剥ぎ器を製造する製造業者にとって有用である。
【符号の説明】
【0085】
1…被覆線皮剥ぎ器、2…第1ガイド体、3…刃体、4…第2ガイド体、4a…入口、4b…出口、6…スリーブ支持部材、21…第1部材、22…第1溝、22p…突起、24…第2部材、25…第2溝、25p…突起、26…操作部材、27…ガイド棒、27a…第1ガイド棒、27b…第2ガイド棒、28…支持ブロック、31…取付部、33…刃先、33e…第1方向側の端、33f…第4方向側の端、41…誘導部材、41a…誘導部、42…基端部、43…先端部、44…転向部材、44a…転向部、45…衝突面、46…受容部材、46a…受容部、46h…孔部、47…筒部、48…基端部、49…先端部、51…第1ギヤ、51a…第1部分、51b…第2部分、53…連結部材、55…ベース、56…筐体、57…動力伝達部材、58…シャフト、59…第2ギヤ、61…第1端部支持部材、66…第2端部支持部材、261…操作環、263…ネジ棒、263a…ネジ部、263b…逆ネジ部、411…第1取付部、413…第2取付部、445…蓋部、CP…蓋部材、OP…側方開口、PH…第1通路、PJ…第2通路、PJ1…第1移動通路、PJ2…第2移動通路、Pa…入口、Pb…出口、RT…回転部、SP…内部空間、SV…接続スリーブ、W…被覆線、W1…被覆層、W2…芯線、Wa1…先端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21