(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141470
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】問い合わせ対応装置、問い合わせ対応方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 51/02 20220101AFI20241003BHJP
G06F 3/16 20060101ALI20241003BHJP
G06F 3/0484 20220101ALI20241003BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20241003BHJP
G06Q 30/015 20230101ALI20241003BHJP
H04L 51/216 20220101ALI20241003BHJP
【FI】
H04L51/02
G06F3/16 650
G06F3/16 690
G06F3/0484
G06Q50/10
G06Q30/015
H04L51/216
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053146
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】内田 昂
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敦行
(72)【発明者】
【氏名】西川 祐史
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】友田 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】玉那覇 隆介
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 航
【テーマコード(参考)】
5E555
5L030
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5E555AA12
5E555AA46
5E555AA48
5E555AA61
5E555BA02
5E555BA04
5E555BA23
5E555BA76
5E555BB02
5E555BB04
5E555BB23
5E555BC04
5E555BD07
5E555CA12
5E555CA47
5E555CB14
5E555CB57
5E555CB64
5E555DA23
5E555DB20
5E555DB41
5E555DB53
5E555DC02
5E555EA02
5E555EA19
5E555EA23
5E555EA27
5E555FA00
5L030BB05
5L049BB05
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】チャットボットによる自動的な対応からに有人による対応への切り替えを、より好適なタイミングで行うようにすることができる問い合わせ対応装置、問い合わせ対応方法、およびプログラムを提供すること。
【解決手段】ユーザからの問い合わせを受け付ける問い合わせ受付部と、問い合わせに対するチャットボットによる答弁を出力するチャットボット出力部と、チャットボット出力部による対応がユーザに適しているか否かを判断する判断部と、問い合わせへの対応をチャットボット出力部によって行うか、有人によって行うかを切り換える対応切り替え部と、を備え、判断部は、問い合わせの内容を認識する認識部と、認識部によって問い合わせの内容に含まれる特定の内容が認識された場合に、チャットボット出力部による対応がユーザに適していないと判断し、切り替え指示を対応切り替え部に出力する切り替え指示部と、を備える問い合わせ対応装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザからの問い合わせを受け付ける問い合わせ受付部と、
前記問い合わせに対するチャットボットによる答弁を出力するチャットボット出力部と、
前記チャットボット出力部による前記問い合わせへの対応が前記ユーザに適しているか否かを判断する判断部と、
前記問い合わせへの対応を前記チャットボット出力部によって行うか、有人によって行うかを切り換える対応切り替え部と、
を備える問い合わせ対応装置であって、
前記判断部は、
前記問い合わせの内容を認識する認識部と、
前記認識部によって前記問い合わせの内容に含まれる特定の内容が認識された場合に、前記チャットボット出力部による前記問い合わせへの対応が前記ユーザに適していないと判断し、前記チャットボット出力部による対応を前記有人による対応に切り換えるための切り替え指示を、前記対応切り替え部に出力する切り替え指示部と、
を備える、
問い合わせ対応装置。
【請求項2】
前記切り替え指示部は、
前記チャットボット出力部による前記問い合わせへの対応が前記ユーザに適していないと判断された場合に、前記ユーザに対する確認を伴わずに、前記切り替え指示を前記対応切り替え部に出力する、
請求項1に記載の問い合わせ対応装置。
【請求項3】
前記ユーザからの前記問い合わせは、前記ユーザにより発せられた音声によるものであり、
前記問い合わせ受付部は、前記ユーザにより発せられた音声を取得する音声取得部、をさらに備え、
前記認識部は、前記ユーザにより発せられた音声に前記特定の内容が含まれるか否かを認識し、
前記切り替え指示部は、前記認識部によって前記特定の内容が含まれると認識された場合に、前記チャットボット出力部による前記問い合わせへの対応が前記ユーザに適していないと判断し、前記切り替え指示を前記対応切り替え部に出力する、
請求項2に記載の問い合わせ対応装置。
【請求項4】
前記ユーザにより発せられた音声に含まれる前記特定の内容は、前記ユーザの感情を表す所定の単語の発声と、所定値以上の音量の発声とのいずれか一方あるいは両方である、
請求項3に記載の問い合わせ対応装置。
【請求項5】
前記音声取得部は、前記ユーザが乗車する車両に備えられ、
前記問い合わせ受付部は、前記音声取得部により送信された前記ユーザからの前記問い合わせを受け付ける、
請求項4に記載の問い合わせ対応装置。
【請求項6】
問い合わせ対応装置のコンピュータが、
ユーザからの問い合わせを受け付け、
前記問い合わせに対するチャットボットによる答弁を出力し、
前記問い合わせへの対応が前記ユーザに適しているか否かを判断し、
前記問い合わせへの対応を前記チャットボットによる答弁によって行うか、有人によって行うかを切り換える際に、
前記問い合わせの内容を認識し、
前記問い合わせの内容に含まれる特定の内容が認識された場合に、前記チャットボットの答弁による前記問い合わせへの対応が前記ユーザに適していないと判断し、
前記チャットボットの答弁による対応を前記有人による対応に切り換えるための切り替え指示を出力する、
問い合わせ対応方法。
【請求項7】
問い合わせ対応装置のコンピュータに、
ユーザからの問い合わせを受け付けさせ、
前記問い合わせに対するチャットボットによる答弁を出力させ、
前記問い合わせへの対応が前記ユーザに適しているか否かを判断させ、
前記問い合わせへの対応を前記チャットボットによる答弁によって行うか、有人によって行うかを切り換えさせる際に、
前記問い合わせの内容を認識させ、
前記問い合わせの内容に含まれる特定の内容が認識された場合に、前記チャットボットの答弁による前記問い合わせへの対応が前記ユーザに適していないと判断させ、
前記チャットボットの答弁による対応を前記有人による対応に切り換えるための切り替え指示を出力させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、問い合わせ対応装置、問い合わせ対応方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ユーザからの問い合わせに対して、チャットボットが自動で問い合わせに対応するようなことが行われていた。これに関して、例えば、特許文献1には、ユーザからの問い合わせに対してチャットボットが自動的に対応しつつ、有人対応に引き継ぐ際に、回答者にシームレスに引き継ぐことを可能とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、チャットボットによる自動的な対応から有人対応への引き継ぎは、チャットボットによる対応ができないときに有人による対応に引き継ぐものである。このため、従来の技術では、例えば、ユーザがチャットボットによる対応では納得のいく回答が得られないと感じているときや、有人による対応を希望しているときなど、必ずしもユーザの希望に沿ったタイミングでチャットボットから有人に引き継がれるとは限らなかった。
【0005】
本発明は、上記の課題認識に基づいてなされたものであり、チャットボットによる自動的な対応からに有人による対応への切り替えを、より好適なタイミングで行うようにすることができる問い合わせ対応装置、問い合わせ対応方法、およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る問い合わせ対応装置、問い合わせ対応方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る問い合わせ対応装置は、ユーザからの問い合わせを受け付ける問い合わせ受付部と、前記問い合わせに対するチャットボットによる答弁を出力するチャットボット出力部と、前記チャットボット出力部による前記問い合わせへの対応が前記ユーザに適しているか否かを判断する判断部と、前記問い合わせへの対応を前記チャットボット出力部によって行うか、有人によって行うかを切り換える対応切り替え部と、を備える問い合わせ対応装置であって、前記判断部は、前記問い合わせの内容を認識する認識部と、前記認識部によって前記問い合わせの内容に含まれる特定の内容が認識された場合に、前記チャットボット出力部による前記問い合わせへの対応が前記ユーザに適していないと判断し、前記チャットボット出力部による対応を前記有人による対応に切り換えるための切り替え指示を、前記対応切り替え部に出力する切り替え指示部と、を備える、問い合わせ対応装置である。
【0007】
(2):上記(1)の態様において、前記切り替え指示部は、前記チャットボット出力部による前記問い合わせへの対応が前記ユーザに適していないと判断された場合に、前記ユーザに対する確認を伴わずに、前記切り替え指示を前記対応切り替え部に出力するものである。
【0008】
(3):上記(2)の態様において、前記ユーザからの前記問い合わせは、前記ユーザにより発せられた音声によるものであり、前記問い合わせ受付部は、前記ユーザにより発せられた音声を取得する音声取得部、をさらに備え、前記認識部は、前記ユーザにより発せられた音声に前記特定の内容が含まれるか否かを認識し、前記切り替え指示部は、前記認識部によって前記特定の内容が含まれると認識された場合に、前記チャットボット出力部による前記問い合わせへの対応が前記ユーザに適していないと判断し、前記切り替え指示を前記対応切り替え部に出力するものである。
【0009】
(4):上記(3)の態様において、前記ユーザにより発せられた音声に含まれる前記特定の内容は、前記ユーザの感情を表す所定の単語の発声と、所定値以上の音量の発声とのいずれか一方あるいは両方であるものである。
【0010】
(5):上記(4)の態様において、前記音声取得部は、前記ユーザが乗車する車両に備えられ、前記問い合わせ受付部は、前記音声取得部により送信された前記ユーザからの前記問い合わせを受け付けるものである。
【0011】
(6):この発明の一態様に係る問い合わせ対応方法は、問い合わせ対応装置のコンピュータが、ユーザからの問い合わせを受け付け、前記問い合わせに対するチャットボットによる答弁を出力し、前記問い合わせへの対応が前記ユーザに適しているか否かを判断し、前記問い合わせへの対応を前記チャットボットによる答弁によって行うか、有人によって行うかを切り換える際に、前記問い合わせの内容を認識し、前記問い合わせの内容に含まれる特定の内容が認識された場合に、前記チャットボットの答弁による前記問い合わせへの対応が前記ユーザに適していないと判断し、前記チャットボットの答弁による対応を前記有人による対応に切り換えるための切り替え指示を出力する、問い合わせ対応方法である。
【0012】
(7):この発明の一態様に係るプログラムは、問い合わせ対応装置のコンピュータに、ユーザからの問い合わせを受け付けさせ、前記問い合わせに対するチャットボットによる答弁を出力させ、前記問い合わせへの対応が前記ユーザに適しているか否かを判断させ、前記問い合わせへの対応を前記チャットボットによる答弁によって行うか、有人によって行うかを切り換えさせる際に、前記問い合わせの内容を認識させ、前記問い合わせの内容に含まれる特定の内容が認識された場合に、前記チャットボットの答弁による前記問い合わせへの対応が前記ユーザに適していないと判断させ、前記チャットボットの答弁による対応を前記有人による対応に切り換えるための切り替え指示を出力させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
上述した(1)~(7)の態様によれば、チャットボットによる自動的な対応からに有人による対応への切り替えを、より好適なタイミングで行うようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係る問い合わせ対応装置の構成の一例、および問い合わせ対応装置を含む問い合わせ対応システムの使用環境の一例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る問い合わせ対応装置に対する問い合わせを開始するための車両の操作環境の一例を示す図である。
【
図3】実施形態に係る問い合わせ対応システムにおける問い合わせ対応の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図4】実施形態に係る問い合わせ対応システムにおける問い合わせ対応の処理において車両が備える表示部に表示される問い合わせとその答弁の画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照し、本発明の問い合わせ対応装置、問い合わせ対応方法、およびプログラムの実施形態について説明する。
【0016】
以下の説明においては、車両のユーザの問い合わせに対応する問い合わせ対応装置を含む問い合わせ対応システムとして説明する。問い合わせ対応システムは、車両Mのユーザが乗車して走行しているときや、車両Mを停車させているときなどにおいてユーザから問い合わされた、車両Mの操作方法や故障時の対応方法などを回答するための答弁を行うシステムである。問い合わせ対応システムは、車両Mに乗車しているユーザが向かう目的地に関する情報(例えば、目的地の天気や、目的地までの交通状況、目的地の観光情報)などを回答するための答弁を行うこともできる。ここで、問い合わせ対応装置が対応する車両Mのユーザには、車両Mを運転している運転者に加えて、車両Mに乗車している運転者以外の乗員(同乗者)も含まれる。以下の説明においては、車両Mの運転者と同乗者とを区別せずに、単に「ユーザ」という。
【0017】
[問い合わせ対応システムの使用環境]
図1は、実施形態に係る問い合わせ対応装置の構成の一例、および問い合わせ対応装置を含む問い合わせ対応システムの使用環境の一例を示す図である。問い合わせ対応システム1では、問い合わせ対応装置100と、車両Mと、担当者Pが操作する端末装置Tとが、ネットワークNWを介して通信する。担当者Pは、ユーザの問い合わせに対応する、つまり、有人での対応(有人対応)を行うオペレータや、車両Mの修理を請け負う作業員などである。ネットワークNWは、例えば、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、プロバイダ装置、無線基地局などを含む無線通信の通信網である。
図1では、1台の車両Mおよび1台の端末装置T(つまり、一人の担当者P)がネットワークNWを介して問い合わせ対応装置100と接続されている状態を示しているが、車両Mや端末装置T(担当者P)は複数台であってもよい。
【0018】
ネットワークNWには、問い合わせ対応装置100や、車両M、端末装置Tと連系する他のサーバ装置Sも接続されている。サーバ装置Sは、例えば、アシスタント機能、リアルタイム地図機能、コンテンツ提供機能など、運転や走行に関する種々の機能を車両Mに提供する。
図1では、ネットワークNWに一つのサーバ装置Sが接続されている場合を示しているが、これはあくまで一例であり、サーバ装置Sには、ネットワークNWに接続されている複数のサーバ装置を含んでもよいし、サーバ装置Sや、問い合わせ対応装置100、端末装置Tが接続可能な他のネットワークに接続されている他のサーバ装置を含んでもよい。
【0019】
車両Mは、ユーザからの問い合わせを取得し、取得した問い合わせを、ネットワークNWを介して問い合わせ対応装置100に送信する。より具体的には、車両Mは、ユーザにより発せられた音声での問い合わせを取得し、取得した問い合わせの音声を含む音声データを、ネットワークNWを介して問い合わせ対応装置100に送信する。車両Mは、問い合わせ対応装置100により送信された問い合わせに対する答弁を受信し、受信した問い合わせに対する答弁をユーザに提示する。
【0020】
端末装置Tは、例えば、パーソナルコンピュータ(Personal Computer:PC)やタブレット端末など、担当者Pが有人対応をする際に操作する端末装置である。
【0021】
問い合わせ対応装置100は、車両MによりネットワークNWを介して送信された音声データを、ユーザからの問い合わせとして受け付ける。問い合わせ対応装置100は、受け付けたユーザからの問い合わせの内容(以下、「問い合わせ内容」という)を認識し、認識した問い合わせ内容に対する答弁を自動で行う。問い合わせ対応装置100は、問い合わせ内容に対する答弁のデータ(以下、「答弁データ」という)を、ネットワークNWを介して車両Mに送信する。問い合わせ対応装置100が問い合わせ内容に対して自動で答弁を行う方法は、既存のチャットボットによって答弁を行う方法と等価なものである。ただし、問い合わせ対応装置100は、ユーザからの問い合わせに対して自動で答弁を行っているときに、自動での対応(自動対応)がユーザに適している対応であるか否かを判断し、自動対応がユーザに適していないと判断した場合には、担当者Pによる有人対応に切り換える。問い合わせ対応装置100は、例えば、ユーザが自動対応では納得のいく回答が得られないと感じているなど、自動対応に対してユーザがストレスを感じていることが想定される状況や、ユーザが有人による対応を希望しているときなど、自動対応では問い合わせ対応が完了しないことが想定されたり、自動対応が完了するまでに時間を要することが想定されたりする場合に、自動対応がユーザに適していないと判断する。より具体的には、問い合わせ対応装置100は、車両Mにより送信された音声データに基づいて、ユーザからの問い合わせに特定の内容が含まれるか否かを認識する。つまり、ユーザによって特定の内容の発声が行われたか否かを判定する。特定の内容とは、例えば、ユーザが自動対応に対してストレスを感じて発する単語や、音量である。特定の内容は、例えば、ユーザにおける怒気の感情が表される悪態やスラングなどの所定の単語や、怒気が含まれる所定値以上の音量の発声である。特定の内容は、上述した怒気の感情が表される所定の単語の発声と、怒気が含まれる所定値以上の音量の発声とのいずれか一方あるいは両方であってもよい。問い合わせ対応装置100は、上述したような特定の音声がユーザから発せられた場合に、音声データに特定の内容が含まれると認識し、自動対応がユーザに適していないと判断する。この場合、問い合わせ対応装置100は、自動対応において現時点までにユーザとの間で行われたやり取りの履歴情報(以下、「対話履歴情報」という)とともに、自動対応がユーザに適していないと判断したことを担当者Pに通知し、自動対応から担当者Pによる有人対応に切り換える。
【0022】
[車両の構成]
車両Mは、例えば、通信装置MCと、インターフェース装置MIと、を備える。インターフェース装置MIは、例えば、音声取得部MMと、音声発音部MSと、表示部MDと、を備える。
【0023】
インターフェース装置MIは、ユーザが問い合わせを行い、問い合わせに対する答弁をユーザに提示するためのインターフェースである。インターフェース装置MIは、例えば、車両Mの車幅方向の中央付近のセンターコンソール内、あるいはダッシュボードの上部に配置されている。
【0024】
音声取得部MMは、問い合わせを行うユーザ(車両Mを運転している運転者に加えて、車両Mに乗車している運転者以外の乗員(同乗者)も含む)の音声を取得する、例えば、マイクなどのような収音装置である。音声取得部MMは、ユーザが問い合わせを行うことが示されたときから、ユーザの音声の取得(収音)を開始する。ユーザは、例えば、「問い合わせをしたい」など、音声取得部MMに対して問い合わせを希望していることを表す発声をしたり、表示部MD(後述)に表示されている問い合わせボタンなどに対する操作をしたりすることによって、問い合わせを開始することを示すことができる。音声取得部MMは、収音したユーザの音声を表す音声波形を音声データとして、通信装置MCに逐次出力する。音声データには、例えば、音声波形を取得した日付や時刻を表す時刻情報が対応付けられていてもよい。
【0025】
音声発音部MSは、問い合わせ対応装置100により送信された問い合わせに対する答弁を、音声によってユーザに提示する、例えば、スピーカーなどの発音装置を備える。音声発音部MSは、問い合わせ対応装置100により送信された答弁データが音声のデータである場合には、答弁データが表す音声波形をスピーカーに発音させる。音声発音部MSは、問い合わせ対応装置100により送信された答弁データがテキストなどを含む文字情報(文字データ)である場合には、例えば、文字情報を音声に変換する読み上げ機能などによって、文字データに表された答弁の文章を読み上げてスピーカーに発音させる。
【0026】
表示部MDは、ユーザにより問い合わせや、問い合わせ対応装置100により送信された問い合わせに対する答弁を、ユーザに対して視覚的に提示する、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)や、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどの表示装置を備える。表示部MDは、例えば、音声をテキストに変換する音声認識機能などによって、音声取得部MMが取得したユーザの音声をテキスト化して、表示装置に表示させる。表示部MDは、問い合わせ対応装置100により送信された答弁データが音声データである場合には、例えば、音声認識機能などによって、答弁の音声データが表す文章をテキスト化して、表示装置に表示させる。表示部MDは、問い合わせ対応装置100により送信された答弁がテキストなどを含む文字データである場合には、答弁データが表す答弁の文章のテキストを表示装置に表示させる。
【0027】
表示部MDは、例えば、表示装置の画面に対するユーザの操作を検出する押圧センサなどの検出装置を備え、表示装置と検出装置と組み合わせによって、タッチパネルとして構成されてもよい。この場合、表示部MD(例えば、不図示の車両制御装置であってもよい)は、問い合わせボタンなどが配置されたインターフェース画面を表示装置に表示させ、ユーザが表示装置の画面上で問い合わせボタンに対して操作を行うことによって、問い合わせを開始することを示すことができる。
【0028】
図2は、実施形態に係る問い合わせ対応装置100に対する問い合わせを開始するための車両Mの操作環境の一例を示す図である。
図2には、インターフェース装置MIが、車両Mのセンターコンソールの上部に配置されている場合の一例を示している。さらに、
図2には、インターフェース装置MI(より具体的には、表示部MD)の表示画面内の右上の領域に問い合わせボタンBQが表示されている場合の一例を示している。ユーザは、問い合わせボタンBQに対して操作(例えば、タップ操作や、長押し操作など)を行うことによって、問い合わせを開始することを示すことができる。
【0029】
図1に戻り、通信装置MCは、ネットワークNWを介して問い合わせ対応装置100と通信し、音声取得部MMにより出力された音声データを、問い合わせ対応装置100に送信する。さらに、通信装置MCは、ネットワークNWを介して問い合わせ対応装置100と通信し、問い合わせ対応装置100により送信された答弁データを受信し、受信した答弁データを音声発音部MSおよび表示部MDに出力する。
【0030】
図1では、通信装置MCと、インターフェース装置MIとが別々の構成要素である場合を示しているが、通信装置MCと、インターフェース装置MIとは、一体の構成であってもよい。
【0031】
[端末装置の構成]
端末装置Tは、例えば、通信装置TCと、インターフェース装置TIと、を備える。
【0032】
通信装置TCは、ネットワークNWを介して問い合わせ対応装置100や、車両M(より具体的には、通信装置MC)と通信する。通信装置TCは、問い合わせ対応装置100によって自動対応がユーザに適していないと判断した場合に、問い合わせ対応装置100により送信された担当者Pによる有人対応の開始指示を受信する。通信装置TCは、有人対応において、車両Mにより送信されたユーザからの問い合わせ(音声データ)を受信し、担当者Pによる答弁(答弁データ)を車両Mに送信する。
【0033】
インターフェース装置TIは、担当者Pが有人対応においてユーザとの間で答弁を行うための入出力装置である。インターフェース装置TIは、例えば、マウスや、キーボード、タッチパネル、マイクなどの入力装置と、ディスプレイや、スピーカー、ヘッドフォンなどの出力装置とにより実現される。
【0034】
[問い合わせ対応装置の構成]
問い合わせ対応装置100は、例えば、記憶部110と、通信部120と、問い合わせ受付部130と、チャットボット出力部140と、判断部150と、対応切り替え部160と、を備える。チャットボット出力部140は、例えば、対話処理部142と、対話管理部144と、を備える。判断部150は、例えば、認識部152と、切り替え指示部154と、を備える。
【0035】
問い合わせ受付部130と、チャットボット出力部140と、判断部150と、対応切り替え部160とは、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサと、プログラム(ソフトウェア)を記憶した記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)とを備え、プロセッサがプログラムを実行することによりそれぞれの構成要素の機能が実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)などによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。これらの構成要素の機能のうち一部または全部は、専用のLSIによって実現されてもよい。ここで、プログラム(ソフトウェア)は、予め問い合わせ対応装置100が備えるROM(Read Only Memory)や、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体が問い合わせ対応装置100の備えるドライブ装置に装着されることで、問い合わせ対応装置100が備える記憶装置にインストールされてもよい。プログラム(ソフトウェア)は、他のコンピュータ装置からネットワークを介してダウンロードされて、問い合わせ対応装置100が備える記憶装置にインストールされてもよい。問い合わせ対応装置100は、クラウドコンピューティングシステムに組み込まれたサーバ装置や記憶装置に実現されてもよい。この場合、クラウドコンピューティングシステムにおける複数のサーバ装置や記憶装置によって、問い合わせ対応装置100の機能が実現されてもよい。
【0036】
記憶部110は、例えば、チャットログ情報112が記憶される。チャットログ情報112には、例えば、予め想定した問い合わせ(質問)に対する答弁(回答)を示したテンプレート、いわゆる、よくある質問(Frequently Asked Question:FAQ)など、事前に準備しておいた答弁データが含まれている。チャットログ情報112には、例えば、ユーザ(車両Mのユーザ以外も含む複数のユーザ)との間で行われた問い合わせ対応のやり取りの履歴情報(対話履歴情報を含む)の答弁データも含まれている。
【0037】
図1では、記憶部110が、問い合わせ対応装置100に備える記憶部である場合を示しているが、記憶部110は、問い合わせ対応装置100の外部に配置された記憶部であってもよい。この場合、記憶部110は、ネットワークNWを介して問い合わせ対応装置100と接続されている構成であってもよいし、ネットワークNWとは異なる専用のネットワーク回線で問い合わせ対応装置100と接続されている構成であってもよい。
【0038】
通信部120は、ネットワークNWに接続するためのネットワークカードなどの通信インターフェースである。通信部120は、ネットワークNWを介して、車両M(より具体的には、通信装置MC)や、端末装置T(より具体的には、通信装置TC)、サーバ装置Sと通信する。通信部120は、ネットワークNWを介して車両Mにより送信された音声データ(問い合わせ)を受信し、受信した音声データを問い合わせ受付部130に出力する。通信部120は、問い合わせ対応装置100における自動対応の答弁データを、ネットワークNWを介して車両Mに送信する。通信部120は、問い合わせ対応装置100が、問い合わせ対応を自動対応から有人対応に切り換える際に、対話履歴情報と、自動対応から有人対応に切り換えることを表す通知とのそれぞれを、ネットワークNWを介して端末装置Tに送信する。
【0039】
問い合わせ受付部130は、車両Mが備える音声取得部MMにより取得され、通信部120を介して車両Mにより送信された音声データを、ユーザからの問い合わせとして受け付ける。ここで、車両Mが備える音声取得部MMは、問い合わせ受付部130が備える構成要素に相当するものであるとも考えることができる。問い合わせ受付部130は、受け付けた問い合わせを、チャットボット出力部140と、判断部150と、対応切り替え部160とのそれぞれに出力する。問い合わせ受付部130は、受け付けた問い合わせを、チャットログ情報112に含まれる対話履歴情報として、記憶部110に記憶させてもよい。
【0040】
チャットボット出力部140は、問い合わせ受付部130により出力された問い合わせに対する自動対応の答弁データを出力する。チャットボット出力部140は、例えば、問い合わせ受付部130により出力された問い合わせの音声を認識する音声認識機能(音声データをテキスト化する機能)や、自然言語処理機能(テキストの構造や意味を理解する機能)、対話管理機能、記憶部110に記憶されたチャットログ情報112を検索する検索機能(記憶部110が問い合わせ対応装置100の外部に接続されている場合には、ネットワークを介してチャットログ情報112を検索するネットワーク検索機能)などを統合的に利用して実現される。これらの機能の一部または全部は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)技術によって実現されてもよい。
【0041】
対話処理部142は、問い合わせ受付部130により出力された問い合わせを解析し、ユーザからの問い合わせ内容を認識する。言い換えれば、対話処理部142は、チャットボット出力部140における音声認識機能や自然言語処理機能を実現する。対話処理部142は、認識した問い合わせ内容を、対話管理部144に出力する。
【0042】
対話管理部144は、対話処理部142により出力された問い合わせ内容に対応する答弁データを、記憶部110に記憶されたチャットログ情報112の中から検索する。言い換えれば、対話処理部142は、チャットボット出力部140における対話管理機能や検索機能を実現する。対話管理部144は、検索した答弁データを、ユーザからの問い合わせに対する答弁データとして選択し、選択した答弁データを対応切り替え部160に出力する。対話管理部144は、対応切り替え部160に出力した答弁データを、対話履歴情報としてチャットログ情報112に記憶(追加)させてもよい。
【0043】
判断部150は、問い合わせ受付部130により出力された問い合わせに対する自動対応が、ユーザに適している対応であるか否かを判断する。判断部150は、自動対応がユーザに適していないと判断した場合には、問い合わせ対応を有人対応に切り換えるための切り替え指示を、対応切り替え部160に出力する。
【0044】
認識部152は、問い合わせ受付部130により出力された問い合わせに特定の内容が含まれるか否かを認識(ユーザによって特定の内容の発声が行われたか否かを判定)する。認識部152は、問い合わせ受付部130により出力された問い合わせに対して、例えば、音声認識や音声解析などの処理を実施して、ユーザによって、怒気の感情が表される所定の単語の発声や、怒気が含まれる所定値以上の音量の発声があったか否かを認識することにより、特定の内容が含まれるか否かを認識する。認識部152において特定の内容が含まれるか否かを認識するために音声認識や音声解析などの処理を行う機能の一部または全部は、例えば、怒気の感情が表される単語や、怒気が含まれるときの音量などの特定の内容を学習した学習済みモデルを用いたAI技術によって実現されてもよい。認識部152において特定の内容が含まれるか否かを認識するための機能の一部または全部は、チャットボット出力部140が備える対話処理部142と同様に、例えば、音声認識機能(音声データをテキスト化する機能)や、自然言語処理機能(テキストの構造や意味を理解する機能)などを統合的に利用して実現されてもよい。この場合、判断部150は、対話処理部142が認識した問い合わせ内容を利用してもよいし、対話処理部142と一体に構成され、対話処理部142の一部の機能として動作してもよい。認識部152は、問い合わせに特定の内容が含まれることを認識した場合、このことを表す情報(以下、「特定内容認識情報」という)を、切り替え指示部154に出力する。
【0045】
切り替え指示部154は、認識部152により出力された特定内容認識情報が入力された場合、自動対応がユーザに適していないと判断し、現時点までに自動対応で行われていたユーザとの間の対話履歴情報とともに、有人対応に切り換えることを担当者Pに通知する。より具体的には、切り替え指示部154は、対話履歴情報と担当者Pへの通知を表す情報を通信部120に出力して、ネットワークNWを介して端末装置Tに送信させる。そして、切り替え指示部154は、担当者Pにより有人対応を行うことが確認された場合、チャットボット出力部140による自動対応を担当者Pによる有人対応に切り換えるための切り替え指示信号を、対応切り替え部160に出力する。このとき、切り替え指示部154は、有人対応に切り換えることを特にユーザに通知することなく、自動対応から有人対応に切り換える。つまり、切り替え指示部154は、ユーザに対する確認(例えば、ユーザによる発声やインターフェース装置MI操作など)を伴わずに、自動対応から有人対応にシームレスに切り換える(引き継ぐ)。
【0046】
ここで、担当者Pが有人対応に切り換える通知を確認したことの通知は、端末装置Tが備えるインターフェース装置TIを担当者Pが操作することによって行うことができる。切り替え指示部154は、切り替え指示信号を対応切り替え部160に出力した後、このことを表す情報、あるいは切り替え指示信号を、チャットボット出力部140に出力してもよい。言い換えれば、切り替え指示部154は、チャットボット出力部140に自動対応の中止を指示してもよい。
【0047】
対応切り替え部160は、ユーザからの問い合わせ対応を、チャットボット出力部140による自動対応、あるいは担当者Pによる有人対応に切り換える。ユーザからの問い合わせ対応が自動対応のとき、対応切り替え部160は、チャットボット出力部140(より具体的には、対話管理部144)により出力された答弁データを通信部120に出力して、ネットワークNWを介して車両M(より具体的には、通信装置MC)に送信させる。一方、ユーザからの問い合わせ対応が有人対応のとき、対応切り替え部160は、問い合わせ受付部130により出力された問い合わせを通信部120に出力して、ネットワークNWを介して端末装置T(より具体的には、通信装置TC)に送信させる。そして、対応切り替え部160は、端末装置Tにより送信された担当者Pによる答弁(答弁データ)を通信部120に出力して、ネットワークNWを介して車両M(より具体的には、通信装置MC)に送信させる。このとき、対応切り替え部160は、有人対応のときに車両Mに送信した担当者Pによる答弁(答弁データ)を、対話履歴情報としてチャットログ情報112に記憶(追加)させてもよい。
【0048】
以下の説明においては、チャットログ情報112に記憶(追加)させる自動対応の対話履歴情報と、有人対応の対話履歴情報とを区別する場合には、自動対応の対話履歴情報を「自動対話履歴情報」といい、有人対応の対話履歴情報を「有人対話履歴情報」という。
【0049】
ここで、端末装置Tは、ユーザからの問い合わせ対応が有人対応のときに、ネットワークNWを介して、あるいはネットワークNWを介さずに、車両Mとの間で直接通信を行って、担当者Pによる答弁(答弁データ)を車両M(より具体的には、通信装置MC)に送信することができる構成であることも考えられる。この場合、対応切り替え部160は、有人対応のときには、仮にチャットボット出力部140から自動対応の答弁データが出力された場合でも、この自動対応の答弁データが車両Mに送信されないようにする。このとき、端末装置Tは、直接通信を行った際の問い合わせ対応の対話履歴を不図示の記憶部に記憶させておき、問い合わせ対応が完了した後に、ネットワークNWを介して不図示の記憶部に記憶した対話履歴を問い合わせ対応装置100に送信する。これにより、問い合わせ対応装置100は、有人対応において車両Mと端末装置Tとが直接やり取りする場合でも、そのときの対話履歴を有人対話履歴情報として、チャットログ情報112に記憶(追加)させることができる。
【0050】
[問い合わせ対応システムにおける問い合わせ対応の全体の流れ]
次に、問い合わせ対応システム1において、ユーザからの問い合わせに対応する問い合わせ対応の処理の流れの一例について説明する。
【0051】
図3は、実施形態に係る問い合わせ対応システム1における問い合わせ対応の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図4は、実施形態に係る問い合わせ対応システム1における問い合わせ対応の処理において車両Mが備える表示部MDに表示される問い合わせとその答弁の表示画面の一例を示す図である。
図4には、車両Mの調子が悪くなったとユーザが感じて問い合わせ対応を希望した場合において、表示部MDに表示させる表示画面IMの一例を示している。問い合わせ対応システム1における問い合わせ対応の処理は、ユーザからの問い合わせと、その答弁とが、音声によって行われるが、
図4には、説明を容易にするため、例えば、音声認識機能などによって、音声をテキストに変換して表示部MDに表示させる表示画面IMの一例を示している。
図4に示した表示画面IMには、問い合わせ対応システム1における問い合わせ対応が、チャットボット出力部140による自動対応であるか、担当者Pによる有人対応であるかを模式的に示している。さらに、
図4に示した表示画面IMには、問い合わせ対応を受けるユーザの感情を模式的に示している。
図4に示した表示画面IMには、表示部MDに表示される問い合わせや答弁を時系列に並べて示している。つまり、表示画面IMには、表示部MDにおいて実際に表示することができる範囲よりも多くのやり取りの情報を示している。表示部MDにおける実際の表示では、表示部MDに表示可能な表示画面IMの一部の範囲が、紙面の上側から下側に向かって順次移動されて示される。つまり、表示画面IMに示した問い合わせ対応における問い合わせ対応システム1とユーザとの間のやり取りの情報が、順次スクロールされて表示される。以下の説明においては、
図3に示す問い合わせ対応システム1における全体の流れにおいて、
図4に示した表示画面IMの一例を適宜参照して説明する。
【0052】
車両Mにおいてインターフェース装置MIは、ユーザからの問い合わせの開始が示されているか否かを確認する(ステップS100)。ステップS100において、ユーザからの問い合わせの開始が示されていないことが確認された場合、インターフェース装置MIは、ステップS100における確認の処理を繰り返す。
【0053】
一方、ステップS100において、ユーザからの問い合わせの開始が示されていることが確認された場合、インターフェース装置MI(より具体的には、音声取得部MM)は、ユーザからの問い合わせの開始が示されたことを表す情報を、問い合わせ対応装置100に送信する。これにより、問い合わせ対応装置100において、自動対応での問い合わせ対応の処理が開始される。
【0054】
問い合わせ対応装置100において、自動対応での問い合わせ対応の処理が開始されると、音声取得部MMは、ユーザにより発声された問い合わせを行う音声を取得し、音声データを通信装置MCに出力して、問い合わせ対応装置100に送信させる。これにより、問い合わせ受付部130は、通信部120を介して車両Mにより送信された音声データを、ユーザからの問い合わせとして受け付ける(ステップS200)。
図4に示した画面IMには、ユーザが発声した「エンジンの調子がおかしいみたい。」という問い合わせを受け付けた場合の一例を示している。問い合わせ受付部130は、受け付けた問い合わせを、チャットボット出力部140と、判断部150と、対応切り替え部160とのそれぞれに出力する。
【0055】
これにより、チャットボット出力部140が備える対話処理部142は、問い合わせ受付部130が受け付けた問い合わせを解析し、ユーザからの問い合わせ内容を認識する(ステップS202)。さらに、判断部150が備える認識部152は、問い合わせ受付部130が受け付けた問い合わせに特定の内容が含まれるか否かを認識する。そして、判断部150が備える切り替え指示部154は、認識部152による問い合わせ内容の認識結果に基づいて、自動対応から有人対応への問い合わせ対応の切り替えが必要であるか否かを判断する(ステップS204)。
【0056】
ステップS204において、切り替え指示部154が自動対応から有人対応への問い合わせ対応の切り替えが必要ではないと判断した場合、問い合わせ対応装置100では、処理をステップS300に進め、今回のユーザからの問い合わせに対するチャットボット出力部140による自動対応を開始する。
【0057】
ステップS300において対話管理部144は、問い合わせ内容に対応する答弁データをチャットログ情報112の中から検索する(ステップS300)。そして、対話管理部144は、検索した答弁データを選択して対応切り替え部160に出力する。これにより、対応切り替え部160は、対話管理部144により出力された答弁データを通信部120に出力して、車両Mに送信させる。
図4に示した画面IMには、自動対応の答弁データとして「安全な場所に停車して下さい。」という問い合わせを受け付けた場合の一例を示している。
【0058】
その後、チャットボット出力部140は、自動対応による問い合わせ対応が完了したか否かを確認する(ステップS500)。このステップS500における問い合わせ対応が完了したか否かを確認は、対話管理部144が、例えば、「問い合わせ内容は解決しましたか?」などの答弁データを車両Mに送信し、その応答としてユーザが「解決しました」などの発声をしたか否かによって確認することができる。ステップS500において、自動対応による問い合わせ対応が完了したことが確認された場合、問い合わせ対応装置100は、今回のユーザからの問い合わせに対する本フローチャートの処理を終了する。
【0059】
一方、ステップS500において、自動対応による問い合わせ対応が完了していないことが確認された場合、問い合わせ対応装置100は、処理をステップS200に戻して、ステップS200~ステップS500の処理を繰り返して、引き続き、ユーザからの問い合わせに対する答弁を行う。
図4に示した画面IMには、ユーザが車両Mを安全な場所に停車した後に引き続き行われる問い合わせとその答弁との一例を示している。より具体的には、
図4に示した画面IMには、ユーザによる「停車しました。」との発声に応じた自動対応で「ボンネットを開けて下さい。」、「ファンベルトの緩み具合はどうですか?」、および「押してみて、たわみが1cm位であれば正常です。」の答弁を、引き続き行っている場合の一例を示している。
【0060】
一方、ステップS204において、切り替え指示部154が自動対応から有人対応への問い合わせ対応の切り替えが必要であると判断した場合、判断部150は、処理をステップS400に進め、今回のユーザからの問い合わせを有人対応に切り替え処理を開始する。
【0061】
ステップS400において切り替え指示部154は、現時点までに自動対応で行われていたユーザとの間の自動対応における対話履歴情報とともに、有人対応に切り換えることを担当者Pに通知する(ステップS400)。
図4に示した画面IMには、ユーザによる「ボンネットは開けたけど、どこを見ればよいかわからない。」や「熱くてやけどしそうなんだけど!」との発声を受けて、切り替え指示部154が有人対応への切り替えが必要であると判断している。そして、有人対応に切り換えることを通知した担当者Pにより有人対応を行うことが確認された場合、自動対応を有人対応に切り換えるための切り替え指示信号を、対応切り替え部160に出力する。
【0062】
これにより、問い合わせ対応装置100では、今回のユーザからの問い合わせに対する対応が担当者Pによる有人対応に切り替わり、担当者Pは、問い合わせ内容の解決に向けた有人対応(ステップS402)として、ユーザとの間で音声による対話を行う。
図4に示した画面IMには、時刻tsにおいて、自動対応から有人対応に切り替わっている場合の一例を示している。そして、
図4に示した画面IMには、ユーザによる問い合わせと、担当者Pによる答弁との一例を示している。このとき、担当者Pは、例えば、ユーザに対する答弁の理解度を上げるために、
図4に示した画面IMの一例のように、車両Mに関連する画像などを用いるようにしてもよい。その後、今回のユーザからの問い合わせに対する有人対応が完了すると、担当者Pは、問い合わせ対応が完了したことを、問い合わせ対応装置100に通知(ステップS404)する。ここで、担当者Pによる問い合わせ対応が完了したことの通知は、端末装置Tが備えるインターフェース装置TIを担当者Pが操作することによって行うことができる。問い合わせ対応装置100は、端末装置Tにより送信された、有人対応による問い合わせ対応が完了したことの通知を受けた場合、今回のユーザからの問い合わせに対する本フローチャートの処理を終了する。
【0063】
上記に述べたとおり、実施形態の問い合わせ対応システム1によれば、問い合わせ対応装置100が備えるチャットボット出力部140が、車両Mが備える音声取得部MMが取得した、ユーザにより発声された問い合わせに対する答弁を自動で行う。さらに、実施形態の問い合わせ対応システム1では、問い合わせ対応装置100が備える判断部150が、ユーザからの問い合わせに対して自動で答弁を行っているときに、問い合わせ内容に特定の内容が含まれるか否かを認識し、チャットボット出力部140による自動対応がユーザに適していないと判断した場合には、担当者Pによる有人対応に切り換える。このとき、判断部150は、有人対応に切り換えることを特にユーザに通知することなく(ユーザに対する確認を伴わずに)、シームレスに自動対応から有人対応に切り換える(引き継ぐ)。これにより、実施形態の問い合わせ対応システム1では、ユーザが、例えば、自動対応では納得のいく回答が得られないと感じていたり、自動対応に対してストレスを感じていたりすることが想定される場合に、より好適なタイミングで、チャットボットによる自動対応から有人対応に引き継ぐことができる。このことにより、実施形態の問い合わせ対応システム1では、チャットボットによる自動対応では問い合わせ内容の解決が円滑(スムーズ)に行われないと感じるユーザのストレスの軽減を図ることができる。
【0064】
上述した実施形態では、車両Mにインターフェース装置MIのみを備え、問い合わせ対応装置100は、ネットワークNWに接続されている問い合わせ対応システム1の構成について説明した。言い換えれば、上述した実施形態では、ユーザからの問い合わせに対応する問い合わせ対応システム1における本体装置である問い合わせ対応装置100が、車両Mとは異なる場所に配置されている場合の構成を示した。しかしながら、これはあくまで一例であり、上述した問い合わせ対応装置100の構成や機能を、例えば、車両Mが備える不図示の車両制御装置などの車載機器によって実現してもよい。この場合において、例えば、上述した問い合わせ対応装置100の構成や機能の全てを不図示の車両制御装置の構成や機能として備える場合には、車両Mが備える通信装置MCは、有人対応のときに、端末装置Tとの間で通信を行って、担当者Pに対して問い合わせを送信し、担当者Pから送信された答弁を受信する機能を有している構成とすることができる。しかしながら、例えば、問い合わせ対応装置100が備える記憶部110に記憶しているチャットログ情報112には、ユーザからの問い合わせに対する答弁を円滑に行うために、車両M以外の他の車両において行われた問い合わせおよび答弁の対話履歴も記憶されている方がより好適であると考えられる。このため、例えば、上述した問い合わせ対応装置100が備える構成要素のうち、記憶部110以外の構成要素を不図示の車両制御装置内に構成し、記憶部110がネットワークNWを介して不図示の車両制御装置が備える通信装置MCと通信を行う構成にしてもよい。このような場合の問い合わせ対応装置100の構成や機能の一部または全部が不図示の車両制御装置内に構成された場合における問い合わせ対応システムの構成や機能、およびそれぞれの処理は、上述した問い合わせ対応装置100と、通信装置MCおよびインターフェース装置MIにより構成される問い合わせ対応システム1の構成や機能、およびそれぞれの処理と等価なものになるようにすればよい。そして、この場合における問い合わせ対応システムの構成や機能、およびそれぞれの処理は、上述した説明に基づいて容易に考えることができる。従って、問い合わせ対応装置100の構成や機能の一部または全部が不図示の車両制御装置内に構成された問い合わせ対応システムの構成や機能、およびそれぞれの処理に関する詳細な説明は省略する。
【0065】
上述した実施形態では、ユーザが、車両Mが備えるインターフェース装置MIを使用(操作)して問い合わせを行う場合の問い合わせ対応システム1の構成および処理について説明した。しかしながら、問い合わせ対応システムにおいてユーザが問い合わせを行うときに使用(操作)するインターフェース装置は、車両Mに搭載されているものに限定されない。例えば、インターフェース装置MIと等価な構成および機能は、スマートフォンやタブレット端末など、ユーザが使用する可搬型の端末装置において実現されてもよい。この場合、可搬型の端末装置では、例えば、問い合わせ対応システムによる問い合わせおよび答弁の機能を実現するためのアプリケーション(例えば、問い合わせアプリケーション)が実行された状態で、問い合わせ対応システムにおける問い合わせおよび答弁の機能を利用することができる構成であってもよい。この場合の問い合わせ対応システムにおける問い合わせ対応装置100の構成や機能、可搬型の端末装置の構成や機能、およびそれぞれの処理は、上述した問い合わせ対応装置100と、通信装置MCおよびインターフェース装置MIにより構成される問い合わせ対応システム1の構成や機能、およびそれぞれの処理と等価なものになるようにすればよく、上述した説明に基づいて容易に考えることができる。従って、問い合わせ対応システム1の構成や機能の一部または全部が可搬型の端末装置において実現される場合の構成や機能、およびそれぞれの処理に関する詳細な説明は省略する。
【0066】
以上説明した実施形態の問い合わせ対応装置100を含む問い合わせ対応システム1によれば、問い合わせ対応装置100が、ユーザからの問い合わせを受け付ける問い合わせ受付部130と、問い合わせに対するチャットボットによる答弁を出力するチャットボット出力部140と、チャットボット出力部140による問い合わせへの対応がユーザに適しているか否かを判断する判断部150と、問い合わせへの対応をチャットボット出力部140によって行うか、有人によって行うかを切り換える対応切り替え部160と、を備える問い合わせ対応装置100であって、判断部150は、問い合わせの内容を認識する認識部152と、認識部152によって問い合わせの内容に含まれる特定の内容が認識された場合に、チャットボット出力部140による問い合わせへの対応がユーザに適していないと判断し、チャットボット出力部140による対応を有人(担当者P)による対応に切り換えるための切り替え指示を、対応切り替え部160に出力する切り替え指示部154と、を備えることにより、チャットボットによる自動的な対応(自動対応)からに有人による対応(有人対応)への切り替え(引き継ぎ)を、より好適なタイミングで行うようにすることができる。言い換えれば、実施形態の問い合わせ対応システムでは、チャットボットによる自動的な対応(自動対応)からに有人による対応(有人対応)への切り替え(引き継ぎ)を、ユーザの感情に応じて行えるようにすることができる。これにより、実施形態の問い合わせ対応システムでは、チャットボットによる自動的な対応(自動対応)では問い合わせ内容の解決が円滑(スムーズ)に行われないと感じるユーザのストレスの軽減を図ることができる。
【0067】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
ハードウェアプロセッサと、
プログラムを記憶した記憶装置と、を備え、
前記ハードウェアプロセッサが前記記憶装置に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、
ユーザからの問い合わせを受け付け、
前記問い合わせに対するチャットボットによる答弁を出力し、
前記問い合わせへの対応が前記ユーザに適しているか否かを判断し、
前記問い合わせへの対応を前記チャットボットによる答弁によって行うか、有人によって行うかを切り換える際に、
前記問い合わせの内容を認識し、
前記問い合わせの内容に含まれる特定の内容が認識された場合に、前記チャットボットの答弁による前記問い合わせへの対応が前記ユーザに適していないと判断し、
前記チャットボットの答弁による対応を前記有人による対応に切り換えるための切り替え指示を出力する、
ように構成されている、問い合わせ対応装置。
【0068】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形および置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0069】
1・・・問い合わせ対応システム
100・・・問い合わせ対応装置
110・・・記憶部
112・・・チャットログ情報
120・・・通信部
130・・・問い合わせ受付部
140・・・チャットボット出力部
142・・・対話処理部
144・・・対話管理部
150・・・判断部
152・・・認識部
154・・・切り替え指示部
160・・・対応切り替え部
M・・・車両
MC・・・通信装置
MI・・・インターフェース装置
MM・・・音声取得部
MS・・・音声発音部
MD・・・表示部
T・・・端末装置
TC・・・通信装置
TI・・・インターフェース装置
NW・・・ネットワーク
S・・・サーバ装置