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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141471
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】端子付き電線
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/66 20060101AFI20241003BHJP
   H01R 4/18 20060101ALI20241003BHJP
   H01R 4/02 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H01R13/66
H01R4/18 A
H01R4/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053148
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】仲泉 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 卓朗
【テーマコード(参考)】
5E021
5E085
【Fターム(参考)】
5E021FA02
5E021FB20
5E021FC40
5E021MA04
5E085BB02
5E085BB12
5E085BB26
5E085DD03
5E085DD14
5E085FF01
5E085JJ50
(57)【要約】
【課題】端子の温度を検知する温度センサを保持する構造を簡素化することのできる端子付き電線を提供する。
【解決手段】端子付き電線10は、芯線21と芯線21を被覆する絶縁被覆22とを有する電線11と、電線11が接続される接続部41を有する端子12とを備える。端子付き電線10は、端子12の温度を検知する検知部31と検知部31で検知した信号を伝達する信号線32とを有する温度センサ13を備える。端子付き電線10は、例えば、端子12の接続部41と電線11の芯線21との間に、温度センサ13の検知部31を保持する第1保持構造14を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯線と前記芯線を被覆する絶縁被覆とを有する電線と、
前記電線が接続される接続部を有する端子と、を備える端子付き電線であって、
前記端子の温度を検知する検知部と前記検知部で検知した信号を伝達する信号線とを有する温度センサを備え、
前記端子の前記接続部と前記電線の前記芯線との間に、前記温度センサの前記検知部を保持する第1保持構造、及び前記端子の前記接続部と前記電線の前記絶縁被覆との間に、前記温度センサの前記検知部を保持する第2保持構造の少なくとも一方の保持構造を有する、
端子付き電線。
【請求項2】
前記保持構造における前記端子の前記接続部は、前記温度センサの前記検知部が配置される凹部を有する、
請求項1に記載の端子付き電線。
【請求項3】
前記第1保持構造を有し、
前記第1保持構造は、前記端子の前記接続部と前記電線の前記芯線との間に、前記温度センサの前記信号線をさらに保持する、
請求項1に記載の端子付き電線。
【請求項4】
前記第2保持構造を有し、
前記第2保持構造は、前記端子の前記接続部と前記電線の前記絶縁被覆との間に、前記温度センサの前記信号線をさらに保持する、
請求項1に記載の端子付き電線。
【請求項5】
前記保持構造における前記端子の前記接続部は、前記温度センサの前記信号線が配置される溝部を有する、
請求項3又は請求項4に記載の端子付き電線。
【請求項6】
前記第1保持構造を有し、
前記温度センサの前記検知部は、前記端子の前記接続部と前記電線の前記芯線との間に保持されずに外部から視認可能な視認部を有する、
請求項1に記載の端子付き電線。
【請求項7】
前記保持構造における前記端子の前記接続部は、前記電線に圧着された圧着部を有する、
請求項1に記載の端子付き電線。
【請求項8】
前記第1保持構造を有し、
前記端子の前記接続部と前記電線の前記芯線とを溶接する溶接部を有する、
請求項1に記載の端子付き電線。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子付き電線に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、端子本体部と、温度センサとを備える端子が記載されている。この端子本体部の外周面は、温度センサを収容する凹部を有している。端子本体部は、コネクタハウジング内に配置される。このとき、端子本体部の凹部に収容された温度センサは、端子本体部の凹部とコネクタハウジングの内周面との間で保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-156896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような端子の温度を検知する温度センサを保持する構造を簡素化することが望まれている。
本開示の目的は、端子の温度を検知する温度センサを保持する構造を簡素化することのできる端子付き電線を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の端子付き電線は、芯線と前記芯線を被覆する絶縁被覆とを有する電線と、前記電線が接続される接続部を有する端子と、を備える端子付き電線であって、前記端子の温度を検知する検知部と前記検知部で検知した信号を伝達する信号線とを有する温度センサを備え、前記端子の前記接続部と前記電線の前記芯線との間に、前記温度センサの前記検知部を保持する第1保持構造、及び前記端子の前記接続部と前記電線の前記絶縁被覆との間に、前記温度センサの前記検知部を保持する第2保持構造の少なくとも一方の保持構造を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示の端子付き電線は、端子の温度を検知する温度センサを保持する構造を簡素化することができるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態の端子付き電線を示す斜視図である。
図2図2は、端子付き電線を示す平面図である。
図3図3は、図2の3-3線に沿った部分断面図である。
図4図4は、端子付き電線を示す分解斜視図である。
図5図5は、端子付き電線の製造方法において、端子に温度センサを配置した状態を示す斜視図である。
図6図6は、端子付き電線の製造方法において、端子に電線を配置した状態を示す斜視図である。
図7図7は、第2実施形態の端子付き電線を示す斜視図である。
図8図8は、端子付き電線を示す平面図である。
図9図9は、図8の9-9線に沿った部分断面図である。
図10図10は、端子付き電線の製造方法において、端子に温度センサを配置した状態を示す斜視図である。
図11図11は、端子付き電線の製造方法において、端子に電線を配置した状態を示す斜視図である。
図12図12は、変更例の端子付き電線を示す斜視図である。
図13図13は、端子付き電線を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
[1]本開示の端子付き電線は、芯線と前記芯線を被覆する絶縁被覆とを有する電線と、前記電線が接続される接続部を有する端子と、を備える端子付き電線であって、前記端子の温度を検知する検知部と前記検知部で検知した信号を伝達する信号線とを有する温度センサを備え、前記端子の前記接続部と前記電線の前記芯線との間に、前記温度センサの前記検知部を保持する第1保持構造、及び前記端子の前記接続部と前記電線の前記絶縁被覆との間に、前記温度センサの前記検知部を保持する第2保持構造の少なくとも一方の保持構造を有する。この構成によれば、端子と電線とを利用して温度センサの検知部を保持することができる。例えば、端子付き電線の端子を収容するケース等を利用せずに、温度センサの検知部を上記保持構造により保持させることができる。
【0009】
[2]上記[1]において、前記保持構造における前記端子の前記接続部は、前記温度センサの前記検知部が配置される凹部を有してもよい。この構成によれば、端子の接続部に対して温度センサの検知部の位置決めを行うことができる。また、例えば、端子の接続部と電線とから温度センサの検知部にかかる応力を緩和することが可能となる。
【0010】
[3]上記[1]又は[2]において、前記第1保持構造を有し、前記第1保持構造は、前記端子の前記接続部と前記電線の前記芯線との間に、前記温度センサの前記信号線をさらに保持してもよい。この構成によれば、温度センサの信号線を端子の接続部と電線の芯線との間で保護することができる。
【0011】
[4]上記[1]又は[2]において、前記第2保持構造を有し、前記第2保持構造は、前記端子の前記接続部と前記電線の前記絶縁被覆との間に、前記温度センサの前記信号線をさらに保持してもよい。この構成によれば、温度センサの信号線を端子の接続部と電線の絶縁被覆との間で保護することができる。
【0012】
[5]上記[3]又は[4]において、前記保持構造における前記端子の前記接続部は、前記温度センサの前記信号線が配置される溝部を有してもよい。この構成によれば、端子の接続部に対して温度センサの信号線の位置決めを行うことができる。また、例えば、端子の接続部と電線とから温度センサの信号線にかかる応力を緩和することが可能となる。
【0013】
[6]上記[1]において、前記第1保持構造を有し、前記温度センサの前記検知部は、前記端子の前記接続部と前記電線の前記芯線との間に保持されずに外部から視認可能な視認部を有してもよい。この構成によれば、上記視認部を利用して、例えば、温度センサの検知部の装着位置の検査を容易に行うことができる。
【0014】
[7]上記[1]から[6]のいずれか一つにおいて、前記保持構造における前記端子の前記接続部は、前記電線に圧着された圧着部を有してもよい。この構成によれば、端子の接続部に電線を簡素な構造で固定することができる。
【0015】
[8]上記[1]から[7]のいずれか一つにおいて、前記第1保持構造を有し、前記端子の前記接続部と前記電線の前記芯線とを溶接する溶接部を有してもよい。この構成によれば、端子の接続部に電線の芯線を簡素な構造で固定することができる。
【0016】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の端子付き電線の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。
【0017】
<第1実施形態>
以下、端子付き電線の第1実施形態について説明する。
(端子付き電線10の全体構成)
図1図4に示すように、端子付き電線10は、電線11と端子12と温度センサ13とを備えている。端子付き電線10は、温度センサ13を保持する第1保持構造14を有している。
【0018】
電線11は、導電性を有する芯線21と、芯線21の外周を囲うとともに絶縁性を有する絶縁被覆22とを有している。芯線21の材料としては、例えば、銅系、アルミニウム系等の金属材料が挙げられる。絶縁被覆22の材料としては、樹脂材料が挙げられる。
【0019】
端子付き電線10は、例えば、図示を省略した充電インレットを構成する端子に用いることができる。充電インレットは、例えば、蓄電装置を備える車両に装備される。充電インレットは、蓄電装置を充電する際に用いられるコネクタである。車両としては、例えば、電気自動車、ハイブリッド自動車等が挙げられる。充電インレットには、充電ガンが接続される。端子付き電線10の温度センサ13は、充電中における充電インレットの温度を監視するために利用することができる。
【0020】
温度センサ13は、端子12の温度を検知する検知部31と、検知部31で検知した信号を伝達する信号線32とを有している。検知部31の形状は、例えば、長手方向を有する形状である。検知部31の形状の具体例としては、例えば、直方体状、円柱状等が挙げられる。検知部31の長手方向の両端部のうち、一方の端部から複数本の信号線32が延出されている。
【0021】
(端子12の全体構成)
端子12は、電線11が接続される接続部41を有している。端子12は、接続部41と反対側に位置するコネクタ部42を有している。接続部41は、電線11の芯線21に圧着された圧着部を有している。圧着部は、板状の基部Bと、基部Bの両側から突出する一対のバレル片P1,P1とを有している。バレル片P1,P1は、電線11の端部において絶縁被覆22から露出する芯線21に巻き付くように圧着されている。コネクタ部42は、例えば、充電ガンの端子等の相手側の端子が接続されるように構成されている。端子12は、例えば、金属材料から構成されている。
【0022】
(第1保持構造14)
第1保持構造14は、端子12の接続部41と電線11の芯線21との間に、温度センサ13の検知部31を保持する。第1保持構造14における端子12の接続部41は、温度センサ13の検知部31が配置される凹部41aを有している。凹部41aは、温度センサ13の検知部31の外形に沿った形状を有している。
【0023】
端子12の温度の検知における応答性を高めるという観点から、温度センサ13の検知部31と凹部41aの内底面との間は、空気層となる空間を有しないことが好ましい。本実施形態の温度センサ13の検知部31は、凹部41aの内底面と電線11の芯線21との両方に接触している。
【0024】
図1図3に示すように、検知部31は、端子12の接続部41と電線11の芯線21との間に保持されずに外部から視認可能な視認部31aを有している。すなわち、検知部31は、視認部31aと、端子12の接続部41と電線11の芯線21との間に位置する非視認部31bとを有している。
【0025】
図1図4に示すように、第1保持構造14は、端子12の接続部41と電線11の芯線21との間に、温度センサ13の信号線32をさらに保持する。詳述すると、第1保持構造14は、端子12の接続部41と電線11の芯線21との間に、検知部31との接続側の端部である信号線32の基端部分を保持する。端子12の接続部41は、温度センサ13の信号線32が配置される溝部41bを有している。詳述すると、溝部41bは、凹部41aに連通している。溝部41bは、端子12の接続部41において、コネクタ部42とは反対側となる端部まで延びている。温度センサ13は、温度センサ13の検知部31と信号線32とが配列される方向が電線11の軸線方向に沿うように配置されている。
【0026】
(端子付き電線10の製造方法)
図4及び図5に示すように、端子付き電線10を製造するには、まず、端子12の接続部41に温度センサ13を配置する。本実施形態では、接続部41の凹部41aに温度センサ13の検知部31を配置する。また、接続部41の溝部41bに温度センサ13の信号線32を配置する。次に、図6に示すように、電線11の芯線21を温度センサ13に重ねるように配置する。続いて、端子12のバレル片P1,P1を電線11の芯線21に巻き付けるように変形させる。これにより、図1に示される端子付き電線10が得られる。
【0027】
本実施形態の作用について説明する。
端子付き電線10は、端子12の接続部41と電線11の芯線21との間に、温度センサ13の検知部31を保持する第1保持構造14を有している。この構成によれば、端子12と電線11とを利用して温度センサ13の検知部31を保持することができる。例えば、端子付き電線10の端子12を収容するケース等を利用せずに、温度センサ13の検知部31を上記第1保持構造14により保持させることができる。
【0028】
本実施形態の効果について説明する。
(1-1)端子付き電線10は、芯線21と芯線21を被覆する絶縁被覆22とを有する電線11と、電線11が接続される接続部41を有する端子12とを備えている。端子付き電線10は、端子12の温度を検知する検知部31と検知部31で検知した信号を伝達する信号線32とを有する温度センサ13を備えている。端子付き電線10は、端子12の接続部41と電線11の芯線21との間に、温度センサ13の検知部31を保持する第1保持構造14を有している。
【0029】
この構成によれば、上述したように、端子12と電線11の芯線21とを利用して温度センサ13の検知部31を保持することができる。従って、端子12の温度を検知する温度センサ13を保持する構造を簡素化することができる。
【0030】
(1-2)第1保持構造14における端子12の接続部41は、温度センサ13の検知部31が配置される凹部41aを有している。この場合、端子12の接続部41に対して温度センサ13の検知部31の位置決めを行うことができる。また、例えば、端子12の接続部41と電線11の芯線21とから温度センサ13の検知部31にかかる応力を緩和することが可能となる。
【0031】
(1-3)第1保持構造14は、端子12の接続部41と電線11の芯線21との間に、温度センサ13の信号線32をさらに保持している。この場合、温度センサ13の信号線32を端子12の接続部41と電線11の芯線21との間で保護することができる。
【0032】
(1-4)第1保持構造14における端子12の接続部41は、温度センサ13の信号線32が配置される溝部41bを有している。この場合、端子12の接続部41に対して温度センサ13の信号線32の位置決めを行うことができる。また、例えば、端子12の接続部41と電線11の芯線21とから温度センサ13の信号線32にかかる応力を緩和することが可能となる。
【0033】
(1-5)温度センサ13の検知部31は、端子12の接続部41と電線11の芯線21との間に保持されずに外部から視認可能な視認部31aを有している。この場合、検知部31の視認部31aを利用して、例えば、温度センサ13の検知部31の装着位置の検査を容易に行うことができる。
【0034】
(1-6)端子12の接続部41は、電線11に圧着された圧着部を有している。この場合、端子12の接続部41に電線11の芯線21を簡素な構造で固定することができる。
【0035】
<第2実施形態>
以下、端子付き電線の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、第1実施形態と同一の構成、又は対応する構成に同一の符号を付し、その構成の説明の一部又は全部を省略する場合がある。
【0036】
(端子付き電線10Aの構成)
図7図9に示すように、第2実施形態の端子付き電線10Aでは、電線11が接続される接続部の構成が第1実施形態と異なる。第2実施形態の端子12の接続部は、電線11の芯線21が接続される第1接続部43と、電線11の絶縁被覆22が接続される第2接続部44とを有している。第1接続部43は、電線11の芯線21に圧着された圧着部を有している。第1接続部43の圧着部は、基部Bの両側から突出する一対のバレル片P1,P1を有している。第1接続部43のバレル片P1,P1は、ワイヤバレルと呼ばれる。第2接続部44は、電線11の絶縁被覆22に圧着された圧着部を有している。第2接続部44の圧着部は、基部Bの両側から突出する一対のバレル片P2,P2を有している。第2接続部44のバレル片P2,P2は、インシュレーションバレルと呼ばれる。バレル片P2,P2は、電線11の絶縁被覆22に巻き付くように圧着されている。
【0037】
端子付き電線10Aは、温度センサ13を保持する第2保持構造15を有している。第2保持構造15は、端子12の第2接続部44と電線11の絶縁被覆22との間に、温度センサ13の検知部31を保持する。図9に示すように、第2保持構造15における端子12の第2接続部44は、温度センサ13の検知部31が配置される凹部44aを有している。本実施形態の温度センサ13の検知部31は、凹部44aの内底面と電線11の絶縁被覆22との両方に接触している。
【0038】
第2保持構造15は、端子12の第2接続部44と電線11の絶縁被覆22との間に、温度センサ13の信号線32をさらに保持する。詳述すると、第2保持構造15は、端子12の第2接続部44と電線11の絶縁被覆22との間に、検知部31との接続側の端部である信号線32の基端部分を保持する。端子12の第2接続部44は、温度センサ13の信号線32が配置される溝部44bを有している。詳述すると、溝部44bは、凹部44aに連通している。溝部44bは、端子12の第2接続部44において、コネクタ部42とは反対側となる端部まで延びている。
【0039】
(端子付き電線10Aの製造方法)
図10に示すように、端子付き電線10Aを製造するには、まず、端子12の第2接続部44に温度センサ13を配置する。このとき、第2接続部44の凹部44aに温度センサ13の検知部31を配置する。また、第2接続部44の溝部44bに温度センサ13の信号線32を配置する。次に、図11に示すように、電線11の絶縁被覆22を温度センサ13に重ねるように配置する。続いて、端子12のバレル片P2,P2を電線11の絶縁被覆22に巻き付けるように変形させる。また、端子12のバレル片P1,P1を電線11の芯線21に巻き付けるように変形させる。これにより、図7に示される端子付き電線10Aが得られる。
【0040】
本実施形態の作用効果について説明する。
(2-1)端子付き電線10Aは、端子12の第2接続部44と電線11の絶縁被覆22との間に、温度センサ13の検知部31を保持する第2保持構造15を有している。この構成によれば、端子12と電線11の絶縁被覆22とを利用して温度センサ13の検知部31を保持することができる。従って、端子12の温度を検知する温度センサ13を保持する構造を簡素化することができる。
【0041】
(2-2)第2実施形態の端子付き電線10Aについても、第1実施形態の(1-2)~(1-4)及び(1-6)と同様の作用効果を得ることができる。
[変更例]
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0042】
・第1実施形態の第1保持構造14において、端子12の接続部41は電線11の芯線21に圧着された圧着部を有しているが、この構成に限定されない。例えば、図12及び図13に示す端子付き電線10Bは、バレル片P1,P1を省略し、端子12の接続部41と電線11の芯線21とを接合する溶接部Wを有している。この構成によれば、端子12の接続部41に電線11の芯線21を簡素な構造で固定することができる。溶接部Wは、例えば、温度センサ13の検知部31の両側縁に沿って設けることができる。
【0043】
・第2実施形態の第1接続部43における圧着部についても、バレル片P1,P1を、端子12の接続部41と電線11の芯線21とを接合する上記溶接部Wに変更することもできる。
【0044】
・上記溶接部Wは、バレル片P1,P1を有する圧着部と併用することもできる。
・第1実施形態の接続部41における圧着部は、バレル片P1,P2を有するオープンバレルを有しているが、このオープンバレルを筒状のクローズドバレルに変更することもできる。第2実施形態の第1接続部43における圧着部、及び第2接続部44における圧着部の少なくとも一方の圧着部についても、オープンバレルからクローズドバレルに変更することもできる。
【0045】
・端子付き電線10,10A,10Bを、第1保持構造14及び第2保持構造15のいずれも有する端子付き電線に変更することもできる。例えば、第2実施形態において、温度センサ13の検知部31を、第1接続部43に配置される芯線21と第2接続部44に配置される絶縁被覆22とに跨って配置することもできる。これにより、温度センサ13の検知部31を第1保持構造14と第2保持構造15との両方により保持させることができる。
【0046】
・第1実施形態の端子12は、接続部41に加えて、電線11の絶縁被覆22に圧着される第2接続部を有していてもよい。この場合、温度センサ13の信号線32を第2接続部と電線11の絶縁被覆22との間に保持させることもできる。
【0047】
・第1実施形態の第1保持構造14は、温度センサ13の信号線32を保持しない構造に変更することもできる。また、第2実施形態の第2保持構造15についても、温度センサ13の信号線32を保持しない構造に変更することもできる。
【0048】
・第1実施形態の第1保持構造14において、温度センサ13の検知部31は、視認部31aを有するように配置されているが、温度センサ13の検知部31の全体が非視認部31bとなるように配置することもできる。
【0049】
・第1実施形態の第1保持構造14における凹部41aを省略し、平坦面や曲面で温度センサ13の検知部31を保持することもできる。第2実施形態の第2保持構造15における凹部44aについても同様に省略することもできる。
【0050】
・凹部41a,44aの深さ寸法は、温度センサ13の検知部31の厚さ寸法と同じであってもよいし、異なってもよい。すなわち、凹部41a,44aの深さ寸法は、温度センサ13の検知部31の厚さ寸法よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0051】
・第1実施形態の第1保持構造14における溝部41bを省略し、平坦面や曲面で温度センサ13の信号線32を保持することもできる。第2実施形態の第2保持構造15における溝部44bについても同様に省略することもできる。
【0052】
・溝部41b,44bの深さ寸法は、温度センサ13の信号線32の外径寸法と同じであってもよいし、異なってもよい。すなわち、溝部41b,44bの深さ寸法は、温度センサ13の信号線32の外径寸法よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0053】
・第1実施形態の第1保持構造14は、温度センサ13と、端子12の接続部41との間に配置される第1の機能層を有していてもよい。第2実施形態の第2保持構造15についても、温度センサ13と、端子12の第2接続部44との間に配置される第1の機能層を有していてもよい。
【0054】
また、第1実施形態の第1保持構造14は、温度センサ13と、電線11の芯線21との間に配置される第2の機能層を有していてもよい。また、第2実施形態の第2保持構造15についても、温度センサ13と、電線11の絶縁被覆22との間に配置される第2の機能層を有していてもよい。
【0055】
機能層としては、例えば、スペーサ、接着層、緩衝層等が挙げられる。端子12と温度センサ13の検知部31との間の伝熱性を高めるという観点から、上記第1の機能層は、例えば、金属材料、熱伝導性樹脂等の熱伝導性材料から構成されることが好ましい。
【0056】
・端子付き電線10,10A,10Bは、充電インレットを構成する端子付き電線の用途以外に、温度センサ13を用いた温度の検知を必要とする用途に用いることもできる。
・今回開示された実施形態及び変更例はすべての点で例示であって、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。すなわち、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0057】
10,10A,10B 端子付き電線
11 電線
12 端子
13 温度センサ
14 第1保持構造
15 第2保持構造
21 芯線
22 絶縁被覆
31 検知部
31a 視認部
31b 非視認部
32 信号線
41 接続部
41a,44a 凹部
41b,44b 溝部
42 コネクタ部
43 第1接続部
44 第2接続部
B 基部
P1,P2 バレル片
W 溶接部
図1
図2
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図5
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