(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014149
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】電気掃除機、電気掃除機用収納台および電気掃除機用付属品
(51)【国際特許分類】
A47L 9/00 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
A47L9/00 F
A47L9/00 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116772
(22)【出願日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 寿之
(72)【発明者】
【氏名】矢吹 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】栗城 潤也
(72)【発明者】
【氏名】石野 雄大
(72)【発明者】
【氏名】板垣 慶太
(72)【発明者】
【氏名】鷲塚 拓仁
(72)【発明者】
【氏名】野村 皓太郎
【テーマコード(参考)】
3B006
【Fターム(参考)】
3B006EA00
3B006MA03
(57)【要約】
【課題】再生材の使用率を高めるとともに、軽量かつ衝撃に強い電気掃除機、電気掃除機用収納台および電気掃除機用付属品を提供する。
【解決手段】電動送風機を収容する掃除機本体1を備え、掃除機本体1は、衝撃の加わり易い部位である上面カバー12b、左側面カバー12cおよび右側面カバー12dが再生ポリカーボネート樹脂によって形成され、導入部10a、連通部10bおよび平面部10d1、前傾斜部10d3および後傾斜部10d4が再生ポリプロピレン樹脂によって形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動送風機を収容する掃除機本体を備え、
前記掃除機本体は、衝撃の加わり易い部位が再生ポリカーボネート樹脂によって形成され、それ以外の部位が再生ポリプロピレン樹脂によって形成されていることを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
請求項1記載の電気掃除機において、
前記掃除機本体は、前記電動送風機の上方にハンドル部を備え、
前記ハンドル部の外側が再生ポリカーボネート樹脂によって形成され、前記ハンドル部の内側が再生ポリプロピレン樹脂によって形成されていることを特徴とする電気掃除機。
【請求項3】
請求項1記載の電気掃除機において、
前記掃除機本体は、塵埃を集める集塵部と、前記集塵部と連通して当該集塵部から排出された空気を前記電動送風機に送る連通部と、を備え、
前記連通部は、再生ポリプロピレン樹脂によって形成されていることを特徴とする電気掃除機。
【請求項4】
請求項3に記載の電気掃除機において、
前記掃除機本体は、当該掃除機本体に導入された塵埃を前記集塵部に導入する導入部を備え、
前記導入部は、再生ポリプロピレン樹脂によって形成されていることを特徴とする電気掃除機。
【請求項5】
請求項1に記載の電気掃除機において、
前記電動送風機を収容する電動送風機収容ケースを備え、
前記電動送風機収容ケースは、難燃性のポリカーボネート樹脂によって形成されていることを特徴とする電気掃除機。
【請求項6】
請求項1に記載の電気掃除機において、
前記電動送風機に電力供給する蓄電池を収容する蓄電池収容ケースを備え、
前記蓄電池収容ケースは、難燃性のポリカーボネート樹脂によって形成されていることを特徴とする電気掃除機。
【請求項7】
請求項1に記載の電気掃除機において、
前記掃除機本体に接続される延長管を備え、
前記延長管は、当該延長管の軸方向に沿って配置される電線と、前記電線の周囲を覆う電線カバーと、を備え、
前記電線カバーは、再生ポリカーボネート樹脂によって形成されていることを特徴とする電気掃除機。
【請求項8】
請求項1に記載の電気掃除機において、
前記掃除機本体に取り付けられた延長管に接続される吸口を備え、
前記吸口は、当該吸口の上面に配置される吸口カバーを備え、
前記吸口カバーは、再生ポリカーボネート樹脂によって形成されていることを特徴とする電気掃除機。
【請求項9】
掃除機本体を保持する電気掃除機用収納台であって、
床面に載置されるベース部材と、前記ベース部材に接続されるスタンド部材と、前記スタンド部材から上方に延びて接続される支柱と、前記支柱に接続されるとともに前記掃除機本体を保持するホルダ部材と、を備え、
前記ベース部材は、再生ABS樹脂によって形成され、
前記スタンド部材、支柱およびホルダ部材は、再生ポリプロピレン樹脂によって形成されていることを特徴とする電気掃除機用収納台。
【請求項10】
電気掃除機に付け替えられて使用される電気掃除機用付属品であって、
前記電気掃除機用付属品は、隙間掃除用吸口であり、再生ポリプロピレン樹脂によって形成されていることを特徴とする電気掃除機用付属品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機、電気掃除機用収納台および電気掃除機用付属品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の環境対策の一環として、電気掃除機において再生材の使用率を高めることが求められている。例えば、特許文献1には、電気掃除機に再生材を適用した電気掃除機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、再生材は比較的強度が弱く、特許文献1に記載の電気掃除機のように、掃除機本体の外郭に再生材を使用すると、衝撃を受けたときに電気掃除機が破損するおそれがある。また、スティック型の電気掃除機などでは、使い勝手を向上するため電気掃除機の軽量化も求められている。
【0005】
本発明は、前記した従来の課題を解決するものであり、再生材の使用率を高めるとともに、軽量かつ衝撃に強い電気掃除機、電気掃除機用収納台および電気掃除機用付属品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、電動送風機を収容する掃除機本体を備え、前記掃除機本体は、衝撃の加わり易い部位が再生ポリカーボネート樹脂によって形成され、それ以外の部位が再生ポリプロピレン樹脂によって形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、再生材の使用率を高めるとともに、軽量かつ衝撃に強い電気掃除機、電気掃除機用収納台および電気掃除機用付属品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態の電気掃除機および付属品を収納台に収納した状態を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態の電気掃除機から延長管および吸口を取り外した掃除機本体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態の電気掃除機および付属品を収納台に収納した状態を示す斜視図である。
図1に示すように、電気掃除機100は、ハンディ状態、スティック状態など各種の使用状態に変更して掃除を行うことができるものである。また、電気掃除機100は、電動送風機40(
図3参照)が収容される掃除機本体1と、この掃除機本体1に接続される延長管300と、この延長管300に接続される標準吸口(パワーブラシ)400と、を備えて、スティック状態の掃除機として使用できるようになっている。また、掃除機本体1から延長管300と標準吸口400を取り外すことにより、ハンディ状態の掃除機として使用できるようになっている。
【0010】
電気掃除機100が収納される充電台200(収納台)は、電気掃除機100をスティック状態で収納するものであり、ベース部材201、スタンド部材202、支柱203、およびホルダ部材204を備えて構成されている。
【0011】
また、充電台200には、付属品として、隙間用吸口410(隙間掃除用吸口)、ほうき型吸口420、小型吸口430などが収納されるようになっている。隙間用吸口410、ほうき型吸口420および小型吸口430は、ベース部材201に形成された付属品収納部201eに挿し込まれ、先端を上向きにした状態で保持されるようになっている。また、充電台200には、持ち手を備えた延長ホース440が取り付けられるようになっている。
【0012】
図2は、本実施形態の電気掃除機から延長管および吸口を取り外した掃除機本体を示す斜視図である。
図2に示すように、掃除機本体1は、ダストケース2(集塵部)、蓄電池3、本体部10、モータ部11を備えて構成されている。
【0013】
本体部10は、延長管300(
図1参照)や標準吸口400(
図1参照)などが接続され、塵埃を含む空気が導入される導入部10aが形成されている。この導入部10aは、掃除機本体1の外郭(外表面)を構成し、再生ポリプロピレン樹脂(以下、再生PP樹脂と略記する)によって形成されている。また、導入部10aには、付属品としての隙間用吸口410(
図1参照)、ほうき型吸口420(
図1参照)、小型吸口430(
図1参照)、延長ホース440(
図1参照)、延長管300(
図1参照)、標準吸口400(
図1参照)を接続することができる。
【0014】
また、本体部10には、ダストケース2が着脱自在に取り付けられるとともに、導入部10aから吸い込まれた塵挨を含む空気をダストケース2に送り込む流路が形成されている。
【0015】
モータ部11は、電動送風機40(
図3参照)と本体基板50(
図3参照)を内包するモータ収容ケース11a(電動送風機収容ケース)を備えている。このモータ収容ケース11aには、電動送風機40、本体基板50、空気が排出される排気口に排気カバー15が設けられている。
【0016】
また、モータ部11とダストケース2との間には、ダストケース2で集塵された後の清浄な空気をモータ部11に導入するための略筒状の連通部10bが形成されている。この連通部10bには、充電台200の端子(不図示)と接続される入力ジャック10cが設けられている。
【0017】
また、本体部10には、ハンドル部12が設けられている。このハンドル部12は、本体部10の後側に設けられ、側面視において略三角形状を呈するように構成されている。また、ハンドル部12は、側面視において略三角形状にすることで、使用者が使用する状態に合わせて、ハンドル部12の使い易い位置(握り易い位置)を握って使用することができる。
【0018】
また、ハンドル部12の上面には、操作スイッチ12aが設けられている。この操作スイッチ12aは、例えば、「強」、「標準」、「入/切」の3つのボタンで構成されている。また、ハンドル部12の操作スイッチ12aの前方には、延長管300(
図1参照)などの付属品を取り外す際に操作される解除ボタン13が設けられている。この解除ボタン13を押下操作することで、本体部10と付属品とのロックが解除されて、本体部10から付属品の取り外しが可能となる。
【0019】
また、導入部10aの先端開口には、開口に沿って刷毛部材14が取り付けられている。この刷毛部材14は、ナイロン樹脂など弾性変形可能(撓み変形可能)な材料で構成されている。このような刷毛部材14を導入部10aに取り付けることで、掃除対象面のごみを掃くことができ、また床面に刷毛部材14の先端を押し付けることで、吸引力を向上させることができる。
【0020】
蓄電池3は、電動送風機40(
図3参照)、標準吸口400などに電力を供給するものであり、リチウムイオン、ニッケル水素などの充電可能な二次電池で構成されている。また、蓄電池3は、複数本の電池セル(不図示)が並べて配置され、その周囲が合成樹脂製の略半円筒状の電池収容ケース3a(蓄電池収容ケース)によって覆われている。また、蓄電池3は、前後方向にスライド自在に支持されており、電池収容ケース3aを後方にスライドさせることで本体部10から取り外すことができる。
【0021】
ダストケース2は、サイクロン方式のものであり、導入部10aから吸込んだ塵埃を含む空気を、塵埃と空気とに分離し、塵埃を集める機能を有する。また、ダストケース2は、連通部10bの前方に軸方向を前後方向にして配置され、略円筒形状の収容部2aを有している。収容部2aは前面に収容部開口を有している。また、ダストケース2の上面(側面)には、本体部10と繋がる略矩形状の流入口2b(
図3参照)が形成されている。この流入口2bに流入した塵挨を含む空気は、旋回流となり、塵埃に遠心力が働き、ダストケース2内で塵挨と空気とに分離された後、塵埃が分離された空気がダストケース2の後部(背面)から排出される。また、ダストケース2内には、例えば高密度のHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)で構成されたフィルタ(不図示)が設けられている。
【0022】
また、ダストケース2の前面には、ダストケース2内に溜まった塵埃を廃棄する際に開閉する蓋2cがヒンジ部(不図示)を介して収容部2aに対して回動自在に支持されており、蓋2cを閉じることにより、収容部開口を塞いでいる。また、蓋2cの上部には、蓋2cのロックを解除するための蓋ロック機構(不図示)が設けられている。
【0023】
図3は、
図2の掃除機本体の分解斜視図である。
図3に示すように、掃除機本体1の本体部10は、複数の部品が組み合わされて構成されている。すなわち、本体部10は、導入部10aの内部およびハンドル部12の内側を構成するベース部10dと、ベース部10dの上面側に設けられる上面カバー12bと、ベース部10dの左側面に設けられる左側面カバー12cと、ベース部10dの右側面に設けられる右側面カバー12dと、を有している。
【0024】
ベース部10dは、モータ部11の上部に位置して前後方向に延びる平面部10d1と、平面部10d1から前方に延びる筒状の流路部10d2と、平面部10d1と流路部10d2との境界から後方に向けて斜め上方に延びる前傾斜部10d3と、平面部10d1の後端から前方に向けて斜め上方に延びて前傾斜部10d3と接続される後傾斜部10d4と、備えて構成されている。前傾斜部10d3および後傾斜部10d4は、上側が開放するように凹状に形成されている。また、前傾斜部10d3には、操作スイッチ12a用の基板51が設けられている。
【0025】
導入部10aは、ベース部10dとは別部品で構成されている。また、導入部10aは、外郭(外表面)を構成するものであり、流路部10d2の先端の周囲を覆うように設けられている。
【0026】
連通部10bは、ベース部10dとは別部品で構成されている。また、連通部10bは、外郭(外表面)を構成するものであり、モータ収容ケース11aの前端の開口を覆うように設けられている。
【0027】
これら導入部10a、連通部10bおよびベース部10dは、再生PP樹脂によって樹脂成型によって構成されている。このように再生PPを使用することで、環境負荷を小さくすることができる。なお、再生PPとは、純粋なポリプロピレン樹脂ではなく、使用済み製品や製造工程から出る廃棄物を回収し、新しい製品の材料や原料として利用できるようにしたものである。
図3では、再生PP樹脂である、導入部10a、連通部10bおよびベース部10dに小さいドットを付して図示している。
【0028】
上面カバー12bは、前傾斜部10d3および後傾斜部10d4の上面側に設けられるハンドル側上面部12b1と、流路部10d2の上面側に設けられる流路側上面部12b2と、が一部品によって構成されている。
【0029】
左側面カバー12cは、流路部10d2の左側面に設けられる矩形状の流路側面部12c1と、平面部10d1に沿って前後方向に長く設けられるハンドル側面部12c2と、が一部品によって構成されている。
【0030】
右側面カバー12dは、流路部10d2の右側面に設けられる矩形状の流路側面部12d1と、平面部10d1に沿って前後方向に長く設けられるハンドル側面部12d2と、が一部品によって構成されている。
【0031】
これら上面カバー12b、左側面カバー12cおよび右側面カバー12dは、再生ポリカーボネート樹脂(以下、再生PC樹脂と略記する)によって構成されている。このように再生PCを使用することで、環境負荷を小さくすることができる。なお、再生PCとは、純粋なポリカーボネート樹脂ではなく、使用済み製品や製造工程から出る廃棄物を回収し、新しい製品の材料や原料として利用できるようにしたものである。
図3では、再生PCである、上面カバー12b、左側面カバー12cおよび右側面カバー12dに、再生PPの場合よりも大きいドットを付して図示している。
【0032】
モータ収容ケース11aは、熱を発生し易い電動送風機40が収容されているため、燃えにくい材料にする必要がある。このため、モータ収容ケース11aは、難燃性のポリカーボネート樹脂(以下、難燃性PCと略記する)によって形成されている。なお、難燃性PCは、通常のポリカーボネート樹脂(PC)よりもさらに燃えにくい材料である。また、モータ収容ケース11aは、衝撃が加わり易い外観の部位ではあるが、再生材ではなく、かつ、難燃性のPC樹脂としている。また、
図3では、ドットを付さないように図示している。
【0033】
電池収容ケース3aは、熱を発生し易い電池セル(不図示)が収容されているため、燃えにくい材料にする必要がある。このため、電池収容ケース3aは、モータ収容ケース11aと同様に、難燃性のポリカーボネート樹脂(以下、難燃性PCと略記する)によって形成されている。なお、難燃性PCは、通常のポリカーボネート樹脂(PC)よりもさらに燃えにくい材料である。また、電池収容ケース3aは、衝撃が加わり易い外観の部位ではあるが、再生材ではなく、かつ、難燃性のPC樹脂としている。また、
図3では、ドットを付さない形で図示している。
【0034】
なお、モータ収容ケース11aには、排気カバー15が設けられているが、この排気カバー15は難燃性を要しないので通常の(純粋な)ABS樹脂(再生材ではないABS樹脂、アクリロトリル・ブタンジエン・スチレン樹脂)が使用される。なお、排気カバー15を難燃性PCにしないのは、すでに電動送風機40が難燃性PC樹脂のモータ収容ケース11aによって覆われているからである。また、排気カバー15は、通常の純粋なABS樹脂に限定されるものではなく、再生ABS樹脂によって形成してもよい。これにより、環境負荷を低減できる。
【0035】
また、
図3に示す部品を組み立てた後の状態が
図2になる。
図2に示すように、掃除機本体1は、本体部10の前端に再生PPの導入部10aが外観に現れるように配置される。また、ハンドル部12の内側の平面部10d1と手で握る部分である前傾斜部10d3と後傾斜部10d4とに再生PPを使用し、外観が現れるように配置される。なお、平面部10d1、前傾斜部10d3および後傾斜部10d4は、衝撃が加わり難い部位であるため、再生PPとして、軽量化を図っている。
【0036】
ところで、スティックタイプの電気掃除機100では、使い勝手を向上させるために軽量化することが求められる傾向にある。このことから、再生材の使用率を高めつつ軽量化を図るために、すべての部品を軽量な再生PPにしようとすると、外観上見える部分はユーザによって誤って衝撃が加わる可能性が高くなる。逆に、すべての部品を再生PCにすると、重量が重くなる。そこで、衝撃が加わり易い部位である、ハンドル部12の上面カバー12b、本体部10の左右の側面にあたる左側面カバー12cと右側面カバー12dを、再生PPではなく、再生PCによって形成したものである。
【0037】
また、光沢のある意匠性に優れたものをユーザに提供することも重要であり、ポリプロピレン樹脂よりもポリカーボネート樹脂を使った方が好ましい。ポリカーボネートは、ABSやPPよりも発色がよく、見た目(美観)に優れている。このことから、上面カバー12b、左側面カバー12cおよび右側面カバー12dを、再生PCによって形成したものである。なお、PC(ポリカーボネート)樹脂が再生PC樹脂であってもPP樹脂よりも意匠性に優れる。
【0038】
また、掃除機本体1では、転倒したときや障害物に当たったときに衝撃が加わり難い部位である、導入部10a、連通部10b、ベース部10dを再生PPによって形成して、軽量化を図ったものである。
【0039】
電動送風機40は、回転駆動軸(不図示)が前後方向を向くように横置きに配置されている。また、電動送風機40から排出された空気は、電動送風機40の上方に配置された本体基板50に流れ、本体基板50を冷却するようになっている。
【0040】
本体基板50は、主に下面に冷却が必要となる各種部品が実装されている。電動送風機40から排出された空気のほとんどは、本体基板50の下面に配置された部品(発熱部品)を冷却するように流れる。
【0041】
図4は、延長管の斜視図である。
図4に示すように、延長管300は、電気掃除機100をスティック状態で使用する際に使用するものであり、直線状に延びる管状部301と、掃除機本体1(
図2参照)の導入部10a(
図2参照)に接続される雄型の接続部302と、標準吸口400(
図1参照)に接続される雌型の接続部303と、を有している。なお、本実施形態の延長管300は、伸縮しない構成であるが、伸縮する構成であってもよい。
【0042】
また、接続部302には、掃除機本体1と電気的に接続するための凸状端子部302aが形成されている。また、接続部303には、標準吸口400(
図1参照)と電気的に接続するための凹状端子部303aが形成されている。また、接続部303には、標準吸口400(
図1参照)や各種の付属品を取り外す際に操作される操作部材303bが設けられている。
【0043】
また、延長管300は、凸状端子部302aと凹状端子部303aとを接続する電線305を備え、電線305が管状部301の外側を軸方向に沿って配設されている。また、延長管300は、電線305を覆うように電線カバー304が設けられている。この電線カバー304は、再生PCによって形成されている。なお、
図4では、再生PCの部分を大きいドットを付して図示している。また、その他の管状部301、接続部302,303は、再生材ではないABS樹脂によって形成されている。
【0044】
このように、電線カバー304を再生PCによって形成したのは、強度を高めることを目的するというものではなく、意匠性を高めることを目的としている。例えば、延長管300の電線カバー304は、電気掃除機100を充電台200に収納したときにユーザに向けて配置されるものであり、見た目の質感が重要になる。そこで、延長管300の外観の一部となる電線カバー304を再生PCによって形成することで、ABS樹脂やPP樹脂よりも発色がよくなり、塗装などの二次加工を特に行うことなく意匠性を向上させることができる。
【0045】
図5は、吸口の斜視図である。
図5に示すように、標準吸口400は、吸口本体401と、延長管300の接続部303(
図4参照)と接続される雄状の接続部402と、吸口本体401と接続部303とを回動自在に連結する軸部403と、吸口本体401の上面を覆う吸口カバー404と、を備えて構成されている。
【0046】
吸口本体401は、図示しない電動ブラシ、電動ブラシを回転駆動させるモータなどを備えている。吸口カバー404は、吸口本体401の上面全体を覆う矩形状のものであり、吸口のうちで最も目立つ部分である。この吸口カバー404は、使用時にユーザに目につく部位であり、また充電台200の収納時にユーザに向いた状態で配置されるものであり、見た目の質感が重量になる。そこで、吸口カバー404を再生PCによって形成することで、ABS樹脂やPP樹脂よりも発色がよくなり、塗装などの二次加工を行うことなく意匠性を向上させることができる。
【0047】
図6は、電気掃除機を示す斜視図である。なお、
図6は、
図3~
図5と同様に、再生PCの部位には大きいドットを付し、再生PPの部位には小さいドットを付し、難燃性PCの部位にはドットを付さない(ダストケース2、管状部301、接続部302、吸口本体401、接続部402を除く)ように図示している。
図6に示すように、電気掃除機100が転倒等したときに衝撃を受け易い部位である上面カバー12b、左側面カバー12c、右側面カバー12dを再生PCによって形成する。これらは転倒したときに、一番衝撃を受け易いハンドル部12の出っ張った部分である。このような位置に再生PCを使用することで、電気掃除機100の破損を抑制することが可能になる。また、電気掃除機100が転倒等したときに衝撃を受け難い部位である平面部10d1、前傾斜部10d3、後傾斜部10d4を再生PPによって形成することで、軽量化を図ることができる。
【0048】
また、導入部10aおよび連通部10bは、大きな衝撃がかかる部位ではないので、再生PPによって形成されている。例えば、電気掃除機100を黒色とした場合、再生PPは、再生PCよりも暗い黒色となり、再生PCは明るい黒色となる。このように、暗い黒と、明るい黒と、を用いることによって、メリハリがついて意匠性をさらに高めることができる。
【0049】
図7は、収納台を示す斜視図である。
図8は、収納台の分解斜視図である。
図7および
図8に示すように、充電台200は、ベース部材201、スタンド部材202、支柱203、ホルダ部材204を備えて構成されている。
【0050】
図8に示すように、ベース部材201は、載置面201aと、延出部201bと、を有する。載置面201aは、略矩形状の板形状の部分である。延出部201bは、略円錐台形状である。延出部201bは、載置面201aに対して、略垂直となるように設けられる。延出部201bの中心軸は、載置面201aの左右方向略中央、かつ前後方向の略3/4程度のところに、位置するように設けられる。
【0051】
延出部201bの先端には、スタンド部材202を取り付けることが可能なベース突起形状部201cが設けられている。また、ベース部材201は、内部におもり(図示せず)が設けられ、充電台200に電気掃除機100(
図1参照)を装着したときに充電台200が倒れにくくなっている。ベース突起形状部201cの前方へは同幅でスロープ形状部201dが形成されている。延出部201bの左右には複数の付属品収納部201eが設けられている。
【0052】
スタンド部材202は、略筒状となっており、下端部にベース部材201のベース突起形状部201cと嵌合する凹形状部202aが形成されている。また、スタンド部材202の上端部は、支柱203を取り付けることが可能なスタンド突起形状部202bが形成されている。
【0053】
支柱203は、円筒状に形成され、下端部にスタンド部材202のスタンド突起形状部202bと嵌合する凹形状部203aが形成されている。また、支柱203の上端部は、ホルダ部材204を取り付けることが可能な支柱突起形状部203bが形成されている。
【0054】
ホルダ部材204には、掃除機本体1に装着されている蓄電池3を充電するためのACアダプタ(不図示)の出力プラグ(不図示)が取り付けられるようになっている。掃除機本体1を充電台200にセットすると出力プラグ(不図示)が電気掃除機100の入力ジャック10c(
図2参照)に接続され充電されるようになっている。
【0055】
また、ホルダ部材204の下面には、支柱突起形状部203bと嵌合する突起形状部204aが形成されている。また、ホルダ部材204の前面には、カップ部204bとガイド部204cが形成されている。カップ部204bは、掃除機本体1に取り付けられたダストケース2の周囲を覆うように設けられており、掃除機本体1を収納する際に取り付けやすくなる。カップ部204bの中心軸は、ダストケース2の中心軸と同軸上にあるため、安定してダストケース2をカップ部204bに保持することができる。
【0056】
ガイド部204cは、掃除機本体1を出力プラグ(不図示)に案内するとともに、掃除機本体1の倒れ込みを防止する部材であり、前面の中央に後方に窪んで形成されている。掃除機本体1がガイド部204cとカップ部204bに案内され、掃除機本体1の入力ジャック10c(
図2参照)が充電台200の出力プラグ(不図示)と嵌合し、ACアダプタ(不図示)と電気掃除機100とが電気的に接続される。
【0057】
また、ベース部材201は、再生ABSによって形成されている。充電台200では、重量物が上側に位置するので、ベース部材201に荷重がかかり、傾いたときに充電台200が倒れないようにする必要がある。ABS樹脂は、PP樹脂よりも荷重に対して強い材料であるので、本実施形態では、ベース部材201を再生ABS樹脂によって形成したものである。このように、再生ABS樹脂を使用することで、環境負荷を低減することができる。
【0058】
また、スタンド部材202、支柱203およびホルダ部材204は、再生PPによって形成されている。充電台200は、目立たせたくない部品であり、比較的大型のものであるので、目立つと圧迫感をユーザに与えるおそれがある。例えば、目立たないようにするために、黒色の再生材(再生PP)を使用する。再生PPは、再生PCよりも発色が劣るので、スタンド部材202、支柱203およびホルダ部材204を目立たなくさせることができる。
【0059】
図9は、付属品の斜視図である。
図9に示すように、隙間用吸口410は、ノズル本体部411と、ノズル本体部411に対して進退自在に設けられるノズル部412と、を有している。なお、
図9は、ノズル部412がノズル本体部411に収納された状態を図示している。また、ノズル本体部411には、掃除機本体1または延長管300に接続される接続部411aが形成されている。
【0060】
また、隙間用吸口410は、強度を要する部品ではないので、全体が再生PPによって形成されている。なお、
図1に示す付属品としてのほうき型吸口420は、ほうき部分を除く部位が再生PPによって形成されている。なお、
図1に示す小型吸口430は、ブラシを備えたものであり、通常の(純粋の)ABS樹脂(再生材ではない)によって形成されている。また、
図1に示す延長ホース440は、通常の(純粋の)ABS樹脂によって形成されている。
【0061】
以上説明したように、本実施形態の電気掃除機100は、電動送風機40を収容する掃除機本体1を備える。掃除機本体1は、衝撃の加わり易い部位である上面カバー12b、左側面カバー12cおよび右側面カバー12dが再生PC樹脂によって形成され、それ以外の部位である本体部10、導入部10aおよび連通部10bが再生PP樹脂によって形成されている(
図2、
図3、
図6参照)。これによれば、衝撃の加わり易い部位に再生PCを使用することで、電気掃除機100の破損を抑制できる。しかも、衝撃の加わり易い部位つまり目立つ位置に再生PCを適用することで、意匠性を高めることができる。
【0062】
また、本実施形態では、掃除機本体1は、電動送風機40の上方にハンドル部12を備える。ハンドル部の外側(上面カバー12b)が再生PC樹脂によって形成され、ハンドル部12の内側(平面部10d1、前傾斜部10d3、後傾斜部10d4)が再生PP樹脂によって形成されている(
図2、
図3、
図6参照)。これによれば、衝撃を受け易いハンドル部12の損傷を抑えることができるとともに、意匠性を高めることができる。
【0063】
また、本実施形態では、掃除機本体1は、塵埃を集めるダストケース2と、ダストケース2と連通して当該ダストケース2から排出された空気を電動送風機40に送る連通部10bと、を備える。連通部10bは、再生PP樹脂によって形成されている(
図2、
図3、
図6参照)。これによれば、導入部10aは衝撃を受け易い場所ではなく、強度を要する部位ではないので、再生PP樹脂にすることで軽量化を図ることができる。
【0064】
また、本実施形態では、掃除機本体1は、当該掃除機本体1に導入された塵埃をダストケース2に導入する導入部10aを備える。導入部10aは、再生PP樹脂によって形成されている(
図2、
図3、
図6参照)。これによれば、導入部10aは衝撃を受け易い場所ではなく、強度を要する部位ではないので、再生PP樹脂にすることで軽量化を図ることができる。
【0065】
また、本実施形態は、電動送風機40を収容するモータ収容ケース11aを備える。モータ収容ケース11aは、難燃性のPC樹脂によって形成されている(
図2、
図3、
図6参照)。これによれば、電動送風機40から発生する熱に対する耐性を確保でき、安全性を担保できる。
【0066】
また、本実施形態は、電動送風機40に電力供給する蓄電池3を収容する電池収容ケース3aを備える。電池収容ケース3aは、難燃性のPC樹脂によって形成されている。これによれば、蓄電池3から発生する熱に対する耐性を確保でき、安全性を担保できる。
【0067】
また、本実施形態では、掃除機本体1に接続される延長管300を備える。延長管300は、当該延長管30の軸方向に沿って配置される電線305と、電線305の周囲を覆う電線カバー304と、を備える。電線カバー304は、再生PC樹脂によって形成されている(
図4、
図6参照)。これによれば、使用時および収納時の意匠性を高めることができる。
【0068】
また、本実施形態は、掃除機本体1に取り付けられた延長管300に接続される標準吸口400を備える。標準吸口400は、当該標準吸口400の上面に配置される吸口カバー404を備える。吸口カバー404は、再生PC樹脂によって形成されている(
図5、
図6参照)。これによれば、使用時および収納時の意匠性を高めることができる。
【0069】
また、本実施形態の充電台200は、床面に載置されるベース部材201と、ベース部材201に接続されるスタンド部材202と、スタンド部材202から上方に延びて接続される支柱203と、支柱203に接続されるとともに掃除機本体1を保持するホルダ部材204と、を備える。ベース部材201は、再生ABS樹脂によって形成されている。スタンド部材202、支柱203およびホルダ部材204は、再生PP樹脂によって形成されている(
図7、
図8参照)。これによれば、スティックタイプの電気掃除機100用の充電台200として使用した場合、ベース部材201に対する荷重を確保できるとともに、ユーザに対して目立たない感じを与えることができる。
【0070】
また、本実施形態の付属品である隙間用吸口410は、再生PP樹脂によって形成されている(
図9参照)。これによれば、再生材の使用率を高めつつ、軽量化を図ることができる。
【0071】
なお、本発明は前記した実施形態に限定されるものではない。本実施形態では、スティックタイプの電気掃除機100を例に挙げて説明したが、キャニスター式の電気掃除機、自律走行可能なロボット掃除機など他の種類の電気掃除機に適用してもよい。また、蓄電池3を備えた電気掃除機100を例に挙げて説明したが、蓄電池を備えない電気掃除機に適用してもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 掃除機本体
2 ダストケース(集塵部)
3 蓄電池
3a 電池収容ケース(蓄電池収容ケース)
10 本体部
10a 導入部
10b 連通部
10d ベース部
10d1 平面部(ハンドル部の内側)
10d2 流路部
10d3 前傾斜部(ハンドル部の内側)
10d4 後傾斜部(ハンドル部の内側)
11 モータ部
11a モータ収容ケース(電動送風機収容ケース)
12 ハンドル部
12b 上面カバー(衝撃が加わり易い部位、ハンドル部の外側)
12c 左側面カバー(衝撃が加わり易い部位)
12d 右側面カバー(衝撃が加わり易い部位)
40 電動送風機
100 電気掃除機
200 充電台(収納台)
201 ベース部材
202 スタンド部材
203 支柱
204 ホルダ部材
300 延長管
304 電線カバー
305 電線
400 標準吸口(吸口)
404 吸口カバー
410 隙間用吸口(付属品、隙間掃除用吸口)