(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141499
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】コアワイヤ、及びバルーンカテーテル
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20241003BHJP
A61M 25/10 20130101ALI20241003BHJP
【FI】
A61M25/00 624
A61M25/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053192
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 佳佑
(72)【発明者】
【氏名】桑野 陽一郎
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA07
4C267BB10
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB38
4C267BB40
4C267CC08
4C267HH04
4C267HH07
(57)【要約】
【課題】シャフト部の耐キンク性を向上させつつ、シャフト部の流体ルーメン内における流体の流通性の向上を図ることができるコアワイヤ、及びバルーンカテーテルを提供する。
【解決手段】コアワイヤ200は、軸方向に沿って所定の長さで略直線状に延びる先端部201と、先端部よりも基端側に位置し、先端部よりも大きな断面積を備え、かつ軸方向に沿って所定の長さで略直線状に延びる基端部203と、先端部と基端部とを繋ぐ移行部205と、を有し、移行部は、基端部から先端部に向けて断面積が漸減する複数のテーパー部を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルのシャフト部の内部に配置される補強用のコアワイヤであって、
軸方向に沿って所定の長さで略直線状に延びる先端部と、
前記先端部よりも基端側に位置し、前記先端部よりも大きな断面積を備え、かつ前記軸方向に沿って所定の長さで略直線状に延びる基端部と、
前記先端部と前記基端部とを繋ぐ移行部と、を有し、
前記移行部は、前記基端部から前記先端部に向けて前記断面積が漸減する複数のテーパー部を有する、コアワイヤ。
【請求項2】
前記移行部は、第1テーパー部と、前記第1テーパー部よりも前記軸方向の基端側に配置された第2テーパー部と、を少なくとも有し、
前記第1テーパー部における前記移行部の前記断面積の減少率は、前記第2テーパー部における前記移行部の前記断面積の減少率よりも大きい、請求項1に記載のコアワイヤ。
【請求項3】
前記第2テーパー部は、前記第1テーパー部よりも前記軸方向の長さが長い、請求項2に記載のコアワイヤ。
【請求項4】
前記第1テーパー部は、前記第2テーパー部よりも前記軸方向の長さが長い、請求項2に記載のコアワイヤ。
【請求項5】
前記基端部の中心軸は、当該コアワイヤの先端と当該コアワイヤの基端を結ぶ中心軸と平行である、請求項1に記載のコアワイヤ。
【請求項6】
前記先端部の中心軸は、当該コアワイヤの先端と当該コアワイヤの基端を結ぶ中心軸と平行である、請求項1に記載のコアワイヤ。
【請求項7】
前記移行部は、前記先端部よりも前記軸方向の長さが短い、請求項1に記載のコアワイヤ。
【請求項8】
前記第1テーパー部の外径は、0.11mm以上0.26mm以下であり、
前記第2テーパー部の外径は、0.19mm以上、0.35mm以下である、請求項2に記載のコアワイヤ。
【請求項9】
前記第2テーパー部の断面二次モーメントは、6.3×10-5mm4以上7.4×10-4mm4以下であり、
前記第1テーパー部の断面二次モーメントは、7.1×10-6mm4以上2.2×10-4mm4以下である、請求項8に記載のコアワイヤ。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載されたコアワイヤと、
前記コアワイヤが内部に配置された前記シャフト部と、
前記シャフト部の先端部に配置されたバルーンと、を備えるバルーンカテーテルであって、
前記シャフト部は、
ガイドワイヤを挿通可能なガイドワイヤルーメンと、前記ガイドワイヤルーメンの基端部に配置されたガイドワイヤポートと、を備える内側シャフトと、
前記内側シャフトとの間に前記バルーンを拡張させるための流体が流通可能な流体ルーメンを区画するように配置された外側シャフトと、を有し、
前記コアワイヤの前記移行部の基端部は、前記ガイドワイヤポートよりも基端側に配置されており、
前記コアワイヤの前記先端部及び前記移行部は、前記内側シャフトとの間にクリアランスを設けた状態で配置されている、バルーンカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテルの補強用のコアワイヤ、及びコアワイヤを備えるバルーンカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
血管や臓器等の生体器官内において使用される医療器具として、中空な管状のシャフト部を備える種々のカテーテルが広く知られている。
【0003】
カテーテルは、生体内の目的部位までの送達を行う際にシャフト部にキンクが生じることを防止するために、補強用のコアワイヤをシャフト部内に配置することがある。例えば、下記特許文献1には、シャフト部と、シャフト部の先端部付近に配置されたバルーンと、シャフト部内のバルーンよりも基端側の位置に配置されたコアワイヤと、を備えるバルーンカテーテルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、コアワイヤをシャフト部内に配置してシャフト部を補強することにより、シャフト部の耐キンク性の向上を図ることが可能になる。しかしながら、コアワイヤをシャフト部内に配置した場合、次のような課題が生じることが懸念される。
【0006】
シャフト部の内部には各種の流体(例えば、生体内に放出される薬剤や造影剤、バルーンを拡張させるための加圧媒体等)を流通させるための流体ルーメンが設けられる。流体ルーメン内にコアワイヤを配置すると、流体が流通可能な断面積が狭まるため、流体ルーメン内で流体を流通させるための時間が長くなる。例えば、バルーンカテーテルでは、バルーンの拡張及び収縮時に、流体ルーメン内のコアワイヤが配置された箇所の周囲を流体が流通するため、バルーンを拡張及び収縮させるための操作時間が長くなる。
【0007】
一方で、上記のような流体の流通性を考慮してコアワイヤを細径化した場合、コアワイヤによる十分な補強効果が発揮され難くなる。特に、カテーテルを使用した手技において比較的大きな応力が作用するような部分(例えば、複数のシャフトが接続されたような部分)に対しては、他の部分と比較してより大きな補強効果を持たせることが求められるが、細径化したコアワイヤでは十分な補強効果を期待することができない。
【0008】
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、シャフト部の耐キンク性を向上させつつ、シャフト部の流体ルーメン内における流体の流通性の向上を図ることができるコアワイヤ、及びコアワイヤを備えるバルーンカテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、下記の(1)~(10)のいずれかの手段によって達成され得る。
【0010】
(1)カテーテルのシャフト部の内部に配置される補強用のコアワイヤであって、軸方向に沿って所定の長さで略直線状に延びる先端部と、前記先端部よりも基端側に位置し、前記先端部よりも大きな断面積を備え、かつ前記軸方向に沿って所定の長さで略直線状に延びる基端部と、前記先端部と前記基端部とを繋ぐ移行部と、を有し、前記移行部は、前記基端部から前記先端部に向けて前記断面積が漸減する複数のテーパー部を有する、コアワイヤ。
【0011】
(2)前記移行部は、第1テーパー部と、前記第1テーパー部よりも前記軸方向の基端側に配置された第2テーパー部と、を少なくとも有し、前記第1テーパー部における前記移行部の前記断面積の減少率は、前記第2テーパー部における前記移行部の前記断面積の減少率よりも大きい、上記(1)に記載のコアワイヤ。
【0012】
(3)前記第2テーパー部は、前記第1テーパー部よりも前記軸方向の長さが長い、上記(2)に記載のコアワイヤ。
【0013】
(4)前記第1テーパー部は、前記第2テーパー部よりも前記軸方向の長さが長い、上記(2)に記載のコアワイヤ。
【0014】
(5)前記基端部の中心軸は、当該コアワイヤの先端と当該コアワイヤの基端を結ぶ中心軸と平行である、上記(1)~(4)のいずれか1つに記載のコアワイヤ。
【0015】
(6)前記先端部の中心軸は、当該コアワイヤの先端と当該コアワイヤの基端を結ぶ中心軸と平行である、上記(1)~(5)のいずれか1つに記載のコアワイヤ。
【0016】
(7)前記移行部は、前記先端部よりも前記軸方向の長さが短い、上記(1)~(6)のいずれか1つに記載のコアワイヤ。
【0017】
(8)前記第1テーパー部の外径は、0.11mm以上0.26mm以下であり、前記第2テーパー部の外径は、0.19mm以上、0.35mm以下である、上記(2)に記載のコアワイヤ。
【0018】
(9)前記第2テーパー部の断面二次モーメントは、6.3×10-5mm4以上7.4×10-4mm4以下であり、前記第1テーパー部の断面二次モーメントは、7.1×10-6mm4以上2.2×10-4mm4以下である、上記(8)に記載のコアワイヤ。
【0019】
(10)上記(1)~(9)のいずれか1つに記載されたコアワイヤと、前記コアワイヤが内部に配置された前記シャフト部と、前記シャフト部の先端部に配置されたバルーンと、を備えるバルーンカテーテルであって、前記シャフト部は、ガイドワイヤを挿通可能なガイドワイヤルーメンと、前記ガイドワイヤルーメンの基端部に配置されたガイドワイヤポートと、を備える内側シャフトと、前記内側シャフトとの間に前記バルーンを拡張させるための流体が流通可能な流体ルーメンを区画するように配置された外側シャフトと、を有し、前記コアワイヤの前記移行部の基端部は、前記ガイドワイヤポートよりも基端側に配置されており、前記コアワイヤの前記先端部及び前記移行部は、前記内側シャフトとの間にクリアランスを設けた状態で配置されている、バルーンカテーテル。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るコアワイヤ及びバルーンカテーテルによれば、シャフト部の耐キンク性を向上させつつ、シャフト部の流体ルーメン内における流体の流通性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態に係るバルーンカテーテルを示す図である。
【
図2】実施形態に係るバルーンカテーテルの先端部付近の拡大断面図である。
【
図3】実施形態に係るバルーンカテーテルのシャフト部の部分断面図である。
【
図4】実施形態に係るバルーンカテーテルのガイドワイヤポート付近の拡大断面図である。
【
図5】
図4に示す矢印5A-5A線に沿う軸直交断面図である。
【
図6】
図4に示す矢印6A-6A線に沿う軸直交断面図である。
【
図7】
図4に示す矢印7A-7A線に沿う軸直交断面図である。
【
図8】実施例1及び実施例2のコアワイヤの断面二次モーメントを説明するための図である。
【
図9】比較例1及び比較例2のコアワイヤの断面二次モーメントを説明するための図である。
【
図10】変形例に係るバルーンカテーテルのガイドワイヤポート付近の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、各図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0023】
以下に説明する実施形態のバルーンカテーテル10及びコアワイヤ200において、「先端側」とは、生体内に導入される側であり、図中の矢印X1で示す。また、「基端側」とは、先端側と反対側であり、図中の印X2で示す。また、本明細書において、矢印X1-X2で示す方向を「軸方向」とし、軸方向と直交する断面(
図5、
図6、
図7に示す断面)を軸直交断面とする。
【0024】
本明細書では、コアワイヤ200を備えるバルーンカテーテル10を説明する。ただし、コアワイヤ200が適用されるカテーテルは、バルーンカテーテルのみに限定されることはなく、マイクロカテーテルやサポートカテーテル、その他生体内での使用が想定されう各種のカテーテル(治療用カテーテル等を含む)であってもよい。
【0025】
(バルーンカテーテル10)
図1、
図3に示すように、バルーンカテーテル10は、コアワイヤ200と、コアワイヤ200が内部に配置されたシャフト部100と、シャフト部100の先端部に配置されたバルーン300と、を備える。
【0026】
バルーンカテーテル10は、シャフト部100を生体管腔に挿通させ、シャフト部100の先端部に配置されたバルーン300を狭窄部(病変部位)において拡張させることにより、狭窄部を押し広げて治療する医療器具として構成している。
【0027】
バルーンカテーテル10は、例えば、冠動脈の狭窄部を広げるために使用されるPTCA拡張用バルーンカテーテルとして構成することができる。ただし、バルーンカテーテル10は、例えば、他の血管、胆管、気管、食道、その他消化管、尿道、耳鼻内腔、その他の臓器等の生体器官内に形成された狭窄部の治療および改善を目的として使用されるものとして構成することもできる。
【0028】
バルーンカテーテル10は、シャフト部100の先端部側寄りにガイドワイヤGWが出入り可能なガイドワイヤポート123aが形成された、いわゆるラピッドエクスチェンジ型のカテーテルとして構成している。
【0029】
(シャフト部100)
図1、
図2、
図3に示すように、シャフト部100は、先端シャフト110、中間シャフト140、及び基端シャフト150の3つのシャフトを有するように構成することができる。
【0030】
(先端シャフト110)
先端シャフト110は、
図2、
図3、
図4に示すように、内側シャフト120と外側シャフト130を有するように構成することができる。
【0031】
内側シャフト120は、
図3、
図4に示すように、ガイドワイヤGWが挿通可能なガイドワイヤルーメン125と、ガイドワイヤルーメン125の基端部に配置されたガイドワイヤポート123aと、を備える。ガイドワイヤポート123aは、内側シャフト120の基端部123に位置する基端開口部で構成することができる。
【0032】
図2に示すように、内側シャフト120の先端部121には、バルーン300の先端部301が接続されている。
【0033】
内側シャフト120の先端部121には、柔軟性を備える先端チップ20を配置することができる。先端チップ20は、例えば、熱収縮性を備える柔軟な樹脂製の部材で構成することが可能である。
【0034】
図2に示すように、内側シャフト120は、バルーン300の所定位置(例えば、バルーン300のストレート部305の中心位置)を示すための造影マーカー部30を有するように構成することができる。造影マーカー部30は、例えば、白金、金、銀、イリジウム、チタン、タングステン等の金属、またはこれらの合金等により構成することができる。
【0035】
内側シャフト120は、バルーン300の内部空間305aを挿通するように配置されている。内側シャフト120のガイドワイヤルーメン125は、バルーン300の内部空間305aよりも先端側まで延びている。内側シャフト120の先端部121には、ガイドワイヤGWを挿入可能な先端開口部121aが設けられている。
【0036】
図3、
図4に示すように、外側シャフト130は、内側シャフト120との間にバルーン300を拡張させるための流体が流通可能な流体ルーメン135を区画するように配置されている。
【0037】
内側シャフト120は、外側シャフト130の内部を挿通するように配置されている。流体ルーメン135は、内側シャフト120の外周面と外側シャフト130の内周面との間に区画された空間で構成されている。
【0038】
図2に示すように、外側シャフト130の先端部131は、内側シャフト120の先端部121よりも基端側に配置されている。外側シャフト130の先端部131にはバルーン300の基端部303が接続されている。
【0039】
外側シャフト130の先端部131には、バルーン300の内部空間305aと連通する先端開口部131aが設けられている。流体ルーメン135を介して供給された流体は、先端開口部131aを介してバルーン300の内部空間305a内に注入することができる。また、バルーン300の内部空間305aから流体を排出する際は、先端開口部131a及び流体ルーメン135を介して、シャフト部100の基端側へ移動させることができる。
【0040】
内側シャフト120及び外側シャフト130の構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、軟質ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂、ポリウレタンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等の各種エラストマー、ポリアミド、結晶性ポリエチレン、結晶性ポリプロピレン等の結晶性プラスチックを用いることができる。
【0041】
(中間シャフト140)
図3、
図4に示すように、中間シャフト140は、先端シャフト110(内側シャフト120及び外側シャフト130)の基端側に配置されている。中間シャフト140は、内側シャフト120及び外側シャフト130と接続されている。
【0042】
図4に示すように、内側シャフト120の基端部123は、ガイドワイヤポート123a付近において外側シャフト130の基端部133内に挿入された状態で、外側シャフト130と接続されている。また、中間シャフト140の先端部141は、周方向の一部(軸直交断面の上方側の一部)が外側シャフト130の内部に挿入された状態で、内側シャフト120及び外側シャフト130と接続されている。このようにして、ガイドワイヤポート123a付近では、内側シャフト120、外側シャフト130、及び中間シャフト140の3つのシャフトが接続されている。
【0043】
内側シャフト120、外側シャフト130、及び中間シャフト140を接続するための方法は特に限定されないが、例えば、熱融着を採用することができる。
図4においては、熱融着によって接続された被接続部fにドットを付して明示している。
【0044】
中間シャフト140は、軸方向に延びる流体ルーメン145を備える。中間シャフト140の流体ルーメン145は、ガイドワイヤポート123a付近において先端シャフト110の流体ルーメン135と連通するように配置されている。
【0045】
中間シャフト140の構成材料としては、例えば、内側シャフト120及び外側シャフト130の材料として例示したものと同様のものを用いることが可能である。
【0046】
本実施形態では、ガイドワイヤポート123a付近におけるシャフト部100の各部を次のように定義する。
【0047】
図4に示すように、ガイドワイヤポート123aの基端からガイドワイヤポート123aよりも先端側の所定の範囲において流体ルーメン135を形成している領域を「第1領域A1」とする。
【0048】
図5に示すように、第1領域A1では、軸直交断面上において、ガイドワイヤルーメン125と流体ルーメン135とがシャフト部100の管壁を間に挟んで離隔した状態で配置されている。流体ルーメン135は、熱融着を行う際に付与される圧力等の影響により、第1領域A1においては三日月や半円等の非円形の断面形状を呈するように構成することができる。ただし、流体ルーメン135の具体的な断面形状について特に制限はない。
【0049】
図4に示すように、第1領域A1よりも先端側の位置で流体ルーメン135を形成している領域を「第2領域A2」とする。
【0050】
図6に示すように、第2領域A2では、外側シャフト130の内周面と内側シャフト120の外周面との間にクリアランスが設けられている。また、コアワイヤ200と外側シャフト130の内周面との間、及びコアワイヤ200と内側シャフト120の外周面との間にもクリアランスが設けられている。
【0051】
図4に示すように、ガイドワイヤポート123aの基端からガイドワイヤポート123aよりも基端側の所定の範囲において流体ルーメン145を形成している領域を「第3領域A3」とする。
【0052】
図7に示すように、第3領域A3では、コアワイヤ200が中間シャフト140の内周面との間にクリアランスを設けて配置されている。
【0053】
(基端シャフト150)
図1、
図3に示すように、基端シャフト150は、中間シャフト140の基端側に配置されている。基端シャフト150の先端部151は、中間シャフト140の基端部143と接続されている。
【0054】
基端シャフト150の内部には、流体が流通可能な流体ルーメン155が設けられている。基端シャフト150の流体ルーメン155は、中間シャフト140の流体ルーメン145と連通するように配置されている。
【0055】
図3に示すように、基端シャフト150の所定位置(例えば、先端部151付近)には、コアワイヤ200を接続することができる。基端シャフト150にコアワイヤ200を固定する方法は、基端シャフト150及びコアワイヤ200の材質に応じて任意の方法を採用することができるが、例えば、溶接を採用することができる。なお、
図3において符号230は、基端シャフト150及びコアワイヤ200を固定する固定部を示している。
【0056】
図1に示すように、基端シャフト150の基端側には、流体ルーメン155内外への流体の移動を操作するための供給装置(例えば、インデフレーター)を接続可能なハブ40が接続されている。ハブ40の先端側にはカテーテルの分野において公知の耐キンクプロテクタ50を取り付けることができる。
【0057】
バルーン300を拡張させる際、ハブ40、基端シャフト150の流体ルーメン155、中間シャフト140の流体ルーメン145、及び先端シャフト110の流体ルーメン135を介してバルーン300の内部空間305aに流体を注入させることができる。また、バルーン300を収縮させる際、先端シャフト110の流体ルーメン135、中間シャフト140の流体ルーメン145、基端シャフト150の流体ルーメン155、及びハブ40を介してバルーンカテーテル10の外部へ流体を排出させることができる。
【0058】
基端シャフト150の構成材料としては、例えば、比較的大きな剛性を有する金属材料を選択することができる。そのような金属材料として、例えば、ステンレス鋼、ステンレス延伸性合金、Ni-Ti合金、真鍮、アルミニウムを挙げることができる。また、基端シャフト150の材料には、必要に応じて、比較的大きな剛性を有する樹脂材料、例えば、ポリイミド、塩化ビニル、ポリカーボネートを使用することも可能である。
【0059】
(バルーン300)
バルーン300は、
図2に示すように、内側シャフト120と外側シャフト130に接続されている。バルーン300は、内側シャフト120に接続された先端部301と、外側シャフト130に接続された基端部303と、先端部301と基端部303の間に略直線状に延びるストレート部305と、を有している。なお、
図2では、拡張した状態のバルーン300を例示している。
【0060】
バルーン300は、バルーン300と内側シャフト120との間に区画された内部空間305a内に流体が注入されることにより、内側シャフト120の放射方向に拡張する。バルーン300の拡張に使用される流体としては、例えば、造影剤と生理食塩水の混合液を使用することができる。
【0061】
バルーン300の構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、架橋型エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリスチレンエラストマー、シリコーンゴム、ラテックスゴム等を用いることができる。
【0062】
(コアワイヤ200)
コアワイヤ200は、バルーンカテーテル10等のカテーテル(カテーテルデバイスを含む)のシャフト部100内に配置されることにより、シャフト部100を補強する目的で使用される。
【0063】
コアワイヤ200は、
図4に示すように、軸方向に沿って所定の長さで略直線状に延びる先端部201と、先端部201よりも基端側に位置し、先端部201よりも大きな断面積を備え、かつ軸方向に沿って所定の長さで略直線状に延びる基端部203と、先端部201と基端部203とを繋ぐ移行部205と、を有する。
【0064】
移行部205は、基端部203から先端部201に向けて断面積が漸減する複数のテーパー部205a、205bを有する。移行部205に設けられる複数のテーパー部205a、205bは、それぞれの断面積の減少率(つまり、先端側に向けて断面積が減少する割合)が異なるように構成することができる。
【0065】
コアワイヤ200の各部201、203、205は、例えば、軸直交断面の形状を円形(
図5、
図6、
図7を参照)に形成することができる。ただし、コアワイヤ200の各部201、203、205の断面形状は、円形のみに限定されず、例えば、矩形や楕円形等であってもよい。また、コアワイヤ200の各部201、203、205の断面積の大小関係(先端部201の断面積<基端部203の断面積)が満たされるようであれば、各部201、203、205の断面形状は異なるものであってもよい。
【0066】
移行部205は、第1テーパー部205aと、第1テーパー部205aよりも軸方向の基端側に配置された第2テーパー部205bと、を少なくとも有するように構成することができる。なお、移行部205に形成されるテーパー部の個数は、2つに限定されず、3つ以上であってもよい。
【0067】
第1テーパー部205aにおける移行部205の断面積の減少率は、第2テーパー部205bにおける移行部205の断面積の減少率よりも大きくなるように構成することができる。つまり、軸方向の先端側に位置する第1テーパー部205aは、軸方向の基端側に位置する第2テーパー部205bよりも
図4に示す断面図において傾きが大きくなるように構成することができる。このように構成することにより、コアワイヤ200は、ガイドワイヤポート123aに近接した位置まで基端部203が備える比較的大きな断面積を備えることができる。それにより、第3領域A3における耐キンク性を効果的に高めることができる。
【0068】
先端部201の外径は、例えば、0.11mm以上0.16mm以下で構成することができる。また、基端部203の外径は、例えば、0.33mm以上、0.35mm以下で構成することができる。コアワイヤ200の各部201、203の外径を上記のように構成した場合、第1テーパー部205aの単位長さ当たりの断面積の減少率は、例えば、4.7%以上9.3%以下とすることができ、第2テーパー部205bの単位長さ当たりの断面積の減少率は、例えば、1.6%以上2.4%以下とすることができる。
【0069】
なお、移行部205が3つ以上のテーパー部を備えるように構成される場合、例えば、先端側から基端側に位置するテーパー部にかけて、それぞれの断面積の減少率が次第に小さくなるように構成することができる。
【0070】
各テーパー部205a、205bの軸方向に沿う断面形状は、
図4に示すように直線形状のみに限定されない。例えば、各テーパー部205a、205bの軸方向に沿う断面形状を曲線形状で形成したり、一方のテーパー部を曲線状に形成し、他方のテーパー部を直線状に形成したりしてもよい。
【0071】
コアワイヤ200の構成材料としては、良好な剛性および加工性を有する金属材料が好ましく、例えば、ステンレス鋼、ステンレス延伸性合金、Ni-Ti合金等を使用することができる。
【0072】
本実施形態に係るバルーンカテーテル10では、
図4に示すように、第1領域A1にコアワイヤ200の先端部201と移行部205の一部(第1テーパー部205aの一部)を配置し、第2領域A2にコアワイヤ200の先端部201を配置し、第3領域A3にコアワイヤ200の基端部203を配置している。そのため、下記のような効果を奏することができる。
【0073】
先端部201は、基端部203と比較して断面積(外径)が小さい。そのため、第1領域A1の先端付近(ガイドワイヤポート123aと第2領域A2の間の範囲)及び第2領域A2では、細径化された先端部201によって流体ルーメン135の断面積が過度に狭められることを防止できる。したがって、先端シャフト110側に位置する第1領域A1と中間シャフト140側に位置する第3領域A3との間の流体の流通を阻害することを防止でき、バルーン300の円滑な拡張及び収縮を実現できる。
【0074】
基端部203は、ガイドワイヤポート123aよりも基端側に位置する第3領域A3(中間シャフト140によって構成される領域)において、ガイドワイヤポート123aに近接した位置まで細径化されない(断面積が減少しない)ように構成されている。そのため、第3領域A3における剛性を効果的に高めることができる。バルーンカテーテル10を生体内で操作する際にはガイドワイヤルーメン125内にガイドワイヤGWが挿入される。したがって、ガイドワイヤポート123aよりも先端側の位置では先端シャフト110の剛性をガイドワイヤGWによって補強することができる。一方で、第3領域A3側ではガイドワイヤGWによる補強効果を得ることができない。本実施形態のように、比較的大きな断面積を備える基端部203を第3領域A3に配置することにより、第3領域A3でキンクが発生することを効果的に防止できる。さらに、コアワイヤ200の基端部203が中間シャフト140の基端部143及び基端シャフト150まで延在していることにより、シャフト部100の基端部側におけるプッシャビリティを効果的に高めることができる。
【0075】
移行部205は、第1領域A1のガイドワイヤポート123a付近に配置されており、先端部201と基端部203の間をテーパー状に繋ぐことにより、両者の間の急激な剛性段差の変化を低減する。さらに、移行部205は、軸方向に連続して繋がる異なる角度(異なる断面積の減少率)を持つ2つ以上のテーパー部205a、205bを備える。そのため、移行部205は、1つのテーパー部のみを備えるように構成された場合と比較して、軸方向に沿う比較的短い距離で先端部201と基端部203の間の大きな断面積の差(外径差)を緩やかに解消することができる。それにより、先端部201と基端部203の間の緩やか剛性変化を実現することができる。
【0076】
上記のように、本実施形態では、移行部205を備えるコアワイヤ200をバルーンカテーテル10に適用することにより、バルーンカテーテル10のシャフト部100の耐キンク性を向上させつつ、シャフト部100の流体ルーメン135内における流体の流通性の向上を図ることができる。
【0077】
図4に示すように、第2テーパー部205bの軸方向に沿う長さは、第1テーパー部205aの軸方向に沿う長さよりも長く形成することができる。このように構成することにより、断面積の減少率の小さな第2テーパー部205bの軸方向の長さが長くなるため、第2テーパー部205bにおける曲げ剛性を軸方向に沿って緩やかに変化させることができる。したがって、第2テーパー部205bにおいて破断等が生じることを効果的に防止できる。
【0078】
コアワイヤ200の移行部205の軸方向に沿う長さは、例えば、32mm以上40mm以下で構成することができる。また、移行部205の軸方向に沿う長さを上記のように構成した場合、第1テーパー部205aの軸方向の長さは、例えば、5mm以上7mm以下とすることができ、第2テーパー部205bの軸方向の長さは、例えば、27mm以上33mm以下とすることができる。
【0079】
コアワイヤ200の基端部203の中心軸C2(
図4を参照)は、当該コアワイヤ200の先端と当該コアワイヤ200の基端を結ぶ中心軸C1(
図3を参照)と平行に配置することができる。そのように配置することにより、コアワイヤ200は、シャフト部100において基端部203の軸方向と重なる領域の剛性を軸方向に沿って均一に向上させることができる。
【0080】
コアワイヤ200の先端部201の中心軸C3(
図4を参照)は、当該コアワイヤ200の先端と当該コアワイヤ200の基端を結ぶ中心軸C1(
図3を参照)と平行に配置することができる。そのように配置することにより、コアワイヤ200は、シャフト部100において先端部201の軸方向と重なる領域の剛性を軸方向に沿って均一に向上させることができる。
【0081】
コアワイヤ200の移行部205は、コアワイヤ200の先端部201よりも軸方向の長さが短くなるように構成することができる。このように構成することにより、複数のテーパー部205a、205bにより、軸方向の比較的短い範囲で先端部201と基端部203の間の剛性段差を緩やかに変化させることができる。また、移行部205の軸方向の長さが短くなることにより、ガイドワイヤポート123a付近及び第2領域A2における流体ルーメン135の断面積をより確実に大きく確保しつつ、第3領域A3において基端部203の断面積をより大きく確保することができる。
【0082】
図4に示すように、コアワイヤ200の移行部205の基端部(第2テーパー部205bの基端部)は、ガイドワイヤポート123aよりも基端側に配置することができる。また、コアワイヤ200の先端部201及び移行部205は、内側シャフト120との間にクリアランスを設けた状態で配置することができる。このようにコアワイヤ200を配置することにより、内側シャフト120と外側シャフト130の間に区画される流体ルーメン135内における流体の流通性を確保しつつ、流体ルーメン135内に可能な限り大きな断面積の先端部201を配置することができる。また、ガイドワイヤポート123aよりも基端側に移行部205の基端部を配置することにより、ガイドワイヤポート123aよりも基端側の位置からコアワイヤ200の断面積が徐々に減少するため、ガイドワイヤポート123a付近における流体ルーメン135の流体が流通可能な断面積を可能な限り広く確保することができる。
【0083】
以上のように、本実施形態に係るコアワイヤ200は、軸方向に沿って所定の長さで略直線状に延びる先端部201と、先端部201よりも基端側に位置し、先端部201よりも大きな断面積を備え、かつ軸方向に沿って所定の長さで略直線状に延びる基端部203
3と、先端部201と基端部203とを繋ぐ移行部205と、を有し、移行部205は、基端部203から先端部201に向けて断面積が漸減する複数のテーパー部205a、205bを有する。
【0084】
上記のように構成されたコアワイヤ200によれば、比較的小さな断面積を備える先端部201によってルーメン(例えば、流体ルーメン)の断面積が過度に狭められることを防止できる。また、比較的大きな断面積を備える基端部によってシャフト部100の特定の部位の耐キンク性を効果的に高めることができる。そして、先端部201と基端部203の間を繋ぐ複数のテーパー部205a、205bによって軸方向に沿う比較的短い距離で先端部201と基端部203の間の大きな断面積の差(外径差)を緩やかに解消することができ、両者の間の緩やかな剛性変化を実現することができる。
【0085】
なお、上述した実施形態では、バルーンカテーテル10の所定の位置にコアワイヤ200を配置した際の効果等を主に説明したが、コアワイヤ200を適用する対象となるカテーテルやカテーテルに対するコアワイヤ200の配置形態等について特に制限はない。本発明のコアワイヤは、バルーンカテーテル以外のカテーテルにおいて、所定のルーメンの断面積の確保、耐キンク性の向上、及び剛性段差の変化の調整等が求められ場合に、それらの課題の解決を目的として任意に適用することができる。
【0086】
(実施例)
図8、
図9を参照して、コアワイヤ200の好適な構造の一例を説明する。
【0087】
図8には、2つのテーパー部205a、205bを備える実施例1及び実施例2のコアワイヤ200の断面二次モーメントを計測した結果を示す。図中のプロット×は第2テーパー部205bの基端の位置(基端部203の先端の位置)を示しており、プロット●は第2テーパー部205bの先端の位置(第1テーパー部205aの基端の位置)を示しており、プロット〇は第1テーパー部205aの先端の位置(先端部201の基端の位置)を示している。
【0088】
実施例1のコアワイヤ200として下記のサンプルを準備した。
・構成材料:ステンレス鋼
・第2テーパー部205bの軸方向の長さ23mm
・第2テーパー部205bの基端の外径(=基端部203の外径)0.34mm
・第2テーパー部205bの先端の外径(=第1テーパー部205aの基端の外径)0.25mm
・第1テーパー部205aの軸方向の長さ15mm
・第1テーパー部205aの先端の外径(=先端部201の外径)0.12mm。
【0089】
実施例2のコアワイヤ200として下記のサンプルを準備した。
・構成材料:ステンレス鋼
・第2テーパー部205bの軸方向の長さ30mm
・第2テーパー部205bの基端の外径(=基端部203の外径)0.34mm
・第2テーパー部205bの先端の外径(=第1テーパー部205aの基端の外径)0.20mm
・第1テーパー部205aの軸方向の長さ6mm
・第1テーパー部205aの先端の外径(=先端部201の外径)0.15mm。
【0090】
図9には、テーパー部を一つのみ備える比較例1及び比較例2のコアワイヤの断面二次モーメントを計測した結果を示す。
図9に示す実線は比較例1のコアワイヤの軸方向の各部における断面二次モーメントを示し、破線は比較例2のコアワイヤの軸方向の各部における断面二次モーメントを示す。図中のプロット×はテーパー部の基端の位置(基端部の先端の位置)を示しており、図中のプロット●はテーパー部の先端の位置(先端部の基端の位置)を示している。
【0091】
比較例1のコアワイヤとして下記のサンプルを準備した。
・構成材料:ステンレス鋼
・テーパー部の軸方向の長さ36mm
・テーパー部の基端の外径(=基端部の外径)0.34mm
・テーパー部の先端の外径(=先端部の外径)0.15mm。
【0092】
比較例2のコアワイヤとして下記のサンプルを準備した。
・構成材料:ステンレス鋼
・テーパー部の軸方向の長さ30mm
・テーパー部の基端の外径(=基端部の外径)0.34mm
・テーパー部の先端の外径(=先端部の外径)0.20mm。
【0093】
図8及び
図9に示す結果より、実施例1及び実施例2の2つのテーパー部205a、205bを備えるコアワイヤ200は、比較例1及び比較例2に係るコアワイヤと比較して、第1テーパー部205a及び第2テーパー部205bが設けられた領域において、断面二次モーメントが段階的に緩やかに減少していることが確認できる。このことより、第1テーパー部205a及び第2テーパー部205bによって剛性段差が緩やかに変化していることがわかる。
図9に示すように、比較例1及び比較例2に係るコアワイヤは、テーパー部が1つしか設けられていないため、テーパー部の基端(プロット×の位置)からテーパー部の先端(プロット●の位置)に向けて断面二次モーメントの減少率が大きく、テーパー部において剛性段差が急激に変化していることがわかる。
【0094】
以上の実施例及び比較例の比較より、コアワイヤ200は、複数(2つ以上)のテーパー部205a、205bを備えることにより、移行部205における剛性段差が緩やかに変化するように構成されることを確認できた。
【0095】
図8に示す実施例1及び実施例2をバルーンカテーテルのシャフト部に適用し、コアワイヤ200の耐キンク性に関する試験を実施したところ、製品仕様を満たす所望の耐キンク性が発揮されることを確認できた。この結果より、コアワイヤ200をバルーンカテーテル等に使用する場合、コアワイヤ200の第2テーパー部205bの断面二次モーメントは、7.9×10
-5mm
4以上6.6×10
-4mm
4以下であることが好ましく、またコアワイヤ200の第1テーパー部205aの断面二次モーメントは、1.0×10
-5mm
4以上1.9×10
-4mm
4以下であることが好ましいことを確認できた。なお、計測された上記の各断面二次モーメントの値は、コアワイヤ200の寸法公差を考慮すると、第2テーパー部205bについては、6.3×10
-5mm
4以上7.4×10
-4mm
4以下であることが好ましく、第1テーパー部205aの断面二次モーメントについては、7.1×10
-6mm
4以上2.2×10
-4mm
4以下であることが好ましい。
【0096】
<変形例>
図10には、変形例に係るバルーンカテーテル10を示している。
【0097】
変形例に係るバルーンカテーテル10は、第1テーパー部205aが第2テーパー部205bよりも軸方向の長さが長い。このように構成することにより、断面積の減少率が大きな第1テーパー部205aの長さが長くなるため、ガイドワイヤポート123a付近まで基端部203の大きな断面積が維持されるようにコアワイヤ200を構成することができる。したがって、ガイドワイヤポート123a付近における耐キンク性をより一層効果的に向上させることができる。
【符号の説明】
【0098】
10 バルーンカテーテル
100 シャフト部
110 先端シャフト
120 内側シャフト
123a ガイドワイヤポート
125 ガイドワイヤルーメン
130 外側シャフト
135 流体ルーメン
140 中間シャフト
145 流体ルーメン
150 基端シャフト
155 流体ルーメン
200 コアワイヤ
201 コアワイヤの先端部
203 コアワイヤの基端部
205 コアワイヤの移行部
205a 第1テーパー部
205b 第2テーパー部
300 バルーン
A1 第1領域
A2 第2領域
A3 第3領域
C1 コアワイヤの中心軸
C2 コアワイヤの基端部の中心軸
C3 コアワイヤの先端部の中心軸
GW ガイドワイヤ