(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141501
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】バッテリモジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/291 20210101AFI20241003BHJP
H01M 50/242 20210101ALI20241003BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20241003BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20241003BHJP
H01M 50/293 20210101ALI20241003BHJP
H01M 50/262 20210101ALI20241003BHJP
【FI】
H01M50/291
H01M50/242
H01M10/0562
H01M50/204 401Z
H01M50/204 401H
H01M50/293
H01M50/262 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053194
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】藤井 健雄
(72)【発明者】
【氏名】金子 遼太郎
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 洋介
(72)【発明者】
【氏名】平脇 聡志
【テーマコード(参考)】
5H029
5H040
【Fターム(参考)】
5H029AJ01
5H029AK02
5H029AK03
5H029AK05
5H029AL12
5H029AM11
5H040AA14
5H040AA28
5H040AY06
5H040CC26
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】クッション材の面圧の均一性を高くすることが可能なバッテリモジュールを提供する。
【解決手段】バッテリモジュールは、複数のバッテリセル11aが積層されているバッテリセル積層体と、バッテリセル積層体の積層方向の両端に設けられている一対のエンドプレートと、複数のバッテリセル11aの間、および、バッテリセル積層体とエンドプレートとの間に配置されているクッション材14と、を備える。クッション材14は、バッテリセル積層体の積層方向の両外側に配置されている一対の発泡体14aと、一対の発泡体14aの間に配置されている板バネ積層体14bと、を有する。板バネ積層体14bは、波状の板バネWがバッテリセル積層体の積層方向に積層されている。波状の板バネWは、凹部および凸部が交互に連続して配置されているとともに、所定方向に延びている。隣接する波状の板バネWは、凹部および凸部が対向接触している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリセルが積層されているバッテリセル積層体と、
前記バッテリセル積層体の積層方向の両端に設けられている一対の板状部材と、
前記複数のバッテリセルの間、および/または、前記バッテリセル積層体と前記板状部材との間に配置されているクッション材と、を備え、
前記クッション材は、前記バッテリセル積層体の積層方向の両外側に配置されている一対の第1弾性部材と、前記一対の第1弾性部材の間に配置されている第2弾性部材と、を有し、
前記第2弾性部材は、波状の板バネが前記バッテリセル積層体の積層方向に積層されており、
前記波状の板バネは、凹部および凸部が交互に連続して配置されているとともに、所定の方向に延びており、
隣接する前記波状の板バネは、前記凹部および前記凸部が対向接触している、バッテリモジュール。
【請求項2】
前記対向接触している凹部および凸部の一部が接合されている、請求項1に記載のバッテリモジュール。
【請求項3】
前記凹部および凸部が延びている方向から前記第2弾性部材を断面視すると、中央部のみにおいて、前記対向接触している凹部および凸部が接合されている、請求項2に記載のバッテリモジュール。
【請求項4】
前記バッテリセルは、固体電池セルである、請求項1から3のいずれか一項に記載のバッテリモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの人々が手頃で信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する二次電池に関する研究開発が実施されている。
【0003】
バッテリセルは、充放電に伴い、膨張収縮するため、バッテリモジュールは、例えば、バッテリセル積層体の積層方向の両端に設けられている一対のエンドプレートと、一対のエンドプレートの間にバッテリセル積層体を拘束するバインドバーと、を備えている。
【0004】
特許文献1には、積層方向に積層された複数の蓄電セルを含む蓄電モジュールと、蓄電モジュールを収容する収容ケースと、蓄電セル間に配置された制限ユニットと、を備える蓄電装置が記載されている。ここで、制限ユニットは、積層方向に間隔をあけて配置された第1平板および第2平板と、第1平板および第2平板の間に配置された波板と、を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、引用文献1に記載されている蓄電装置は、蓄電セルの充電時の膨張に伴い、制限ユニットが圧縮される際に、第1平板および第2平板の波板と接触している部分と、第1平板および第2平板の波板と接触していない部分との間で、面圧の差が大きくなり、制限ユニットの面圧の均一性が低くなる。
【0007】
本発明は、クッション材の面圧の均一性を高くすることが可能なバッテリモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)複数のバッテリセルが積層されているバッテリセル積層体と、前記バッテリセル積層体の積層方向の両端に設けられている一対の板状部材と、前記複数のバッテリセルの間、および/または、前記バッテリセル積層体と前記板状部材との間に配置されているクッション材と、を備え、前記クッション材は、前記バッテリセル積層体の積層方向の両外側に配置されている一対の第1弾性部材と、前記一対の第1弾性部材の間に配置されている第2弾性部材と、を有し、前記第2弾性部材は、波状の板バネが前記バッテリセル積層体の積層方向に積層されており、前記波状の板バネは、凹部および凸部が交互に連続して配置されているとともに、所定の方向に延びており、隣接する前記波状の板バネは、前記凹部および前記凸部が対向接触している、バッテリモジュール。
【0009】
(2)前記対向接触している凹部および凸部の一部が接合されている、(1)に記載のバッテリモジュール。
【0010】
(3)前記凹部および凸部が延びている方向から前記第2弾性部材を断面視すると、中央部のみにおいて、前記対向接触している凹部および凸部が接合されている、(2)に記載のバッテリモジュール。
【0011】
(4)前記バッテリセルは、固体電池セルである、(1)から(3)のいずれか一項に記載のバッテリモジュール。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、クッション材の面圧の均一性を高くすることが可能なバッテリモジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態のバッテリモジュールの一例を示す断面図である。
【
図2】
図1のバッテリモジュールの部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1に、本実施形態のバッテリモジュールの一例を示す。
【0016】
バッテリモジュール10は、複数のバッテリセル11aが積層されているバッテリセル積層体11と、バッテリセル積層体11の積層方向の両端に設けられている一対の板状部材としての、エンドプレート12と、一対のエンドプレート12の間にバッテリセル積層体11を拘束する拘束部材としての、バインドバー13と、を備える。ここで、バインドバー13は、図中、上部および下部の2箇所に設置されている。
【0017】
バッテリモジュール10は、複数のバッテリセル11aの間、および、バッテリセル積層体11とエンドプレート12との間に、クッション材14が配置されている。
【0018】
なお、クッション材14は、複数のバッテリセル11aの間、または、バッテリセル積層体11とエンドプレート12との間に配置されていてもよい。
【0019】
クッション材14は、
図2に示すように、バッテリセル積層体11の積層方向の両外側に配置されている一対の第1弾性部材としての、発泡体14aと、一対の発泡体14aの間に配置されている第2弾性部材としての、波状の板バネWがバッテリセル積層体11の積層方向に積層されている板バネ積層体14bと、を有する。これにより、クッション材14のヒステリシスロスが低減される。波状の板バネWは、
図3に示すように、凹部Rおよび凸部Cが交互に連続して配置されているとともに、図中、奥行き方向に延びている。このとき、隣接する波状の板バネWは、凹部Rおよび凸部Cが対向接触している。なお、凹部Rおよび凸部Cは、それぞれ、バッテリセル積層体11の積層方向の下側および上側に凸となる。
【0020】
ここで、バッテリセル11aの充電時の膨張に伴い、クッション材14が圧縮される際に、バッテリセル11aおよび板バネ積層体14bの間に、発泡体14aが介在するため、発泡体14aの板バネ積層体14bと接触している部分と、発泡体14aの板バネ積層体14bと接触していない部分との間で、面圧の差が小さくなり、面圧の均一性が高くなる。
【0021】
また、板バネ積層体14bは、中空構造を有するため、隣り合うバッテリセル11a間の伝熱が抑制される。また、ファン等の送風機を使用して、板バネ積層体14bに送風することにより、バッテリセル11aを空冷することができる。
【0022】
なお、波状の板バネWの積層数は、特に限定されないが、例えば、2層以上6層以下であり、2層以上4層以下であることが好ましい。
【0023】
隣接する波状の板バネWは、対向接触している凹部Rおよび凸部Cの一部が接合されていることが好ましい。これにより、板バネ積層体14bの強度が向上する。
【0024】
対向接触している凹部Rおよび凸部Cの一部を接合する方法としては、特に限定されないが、例えば、波状の板バネWを治具で位置決めした後、接着剤で接合する方法が挙げられる。
【0025】
接着剤としては、波状の板バネWを接合することが可能であれば、特に限定されないが、板バネ積層体14bのヒステリシスロスを考慮すると、弾性接着剤が好ましい。
【0026】
凹部Rおよび凸部Cが延びている方向から板バネ積層体14bを断面視すると、中央部(
図2中、点線部)のみにおいて、対向接触している凹部Rおよび凸部Cが接合されていることが好ましい。これにより、板バネ積層体14bのヒステリシスロスが低減される。
【0027】
このとき、対向接触している凹部Rおよび凸部Cのうち、中央に最も近い凹部Rおよび凸部Cと、その両隣の凹部Rおよび凸部Cが接合されているが、中央に最も近い凹部Rおよび凸部Cのみが接合されていてもよい。
【0028】
板バネ積層体14bの一部が発泡体14aに接合されていてもよい。これにより、クッション材14の強度が向上する。
【0029】
板バネ積層体14bの一部を発泡体14aに接合する方法としては、特に限定されないが、例えば、板バネ積層体14bを治具で位置決めした後、接着剤で接合する方法が挙げられる。
【0030】
接着剤としては、板バネ積層体14bを発泡体14aに接合することが可能であれば、特に限定されないが、クッション材14のヒステリシスロスを考慮すると、弾性接着剤が好ましい。
【0031】
凹部Rおよび凸部Cが延びている方向からクッション材14を断面視すると、中央部(
図2中、点線部)のみにおいて、板バネ積層体14bが発泡体14aに接合されていてもよい。これにより、クッション材14のヒステリシスロスが低減される。
【0032】
このとき、板バネ積層体14bの凹部Rおよび凸部Cのうち、中央に最も近い2個の凹部Rおよび凸部Cが発泡体14aに接合されている。
【0033】
発泡体14aのヤング率は、150MPa以上であることが好ましい。発泡体14aのヤング率が150MPa以上であると、面圧の均一性が高くなる。なお、発泡体14aのヤング率は、特に限定されないが、例えば、4.5MPa以上410MPa以下である。
【0034】
発泡体14aのポアソン比は、0.3以下であることが好ましい。発泡体14aのポアソン比が0.3以下であると、バッテリセル11aの膨張収縮に伴う厚さの変化を発泡体14aが吸収しやすくなる。なお、発泡体14aのポアソン比は、特に限定されないが、例えば、0以上である。
【0035】
発泡体14aの空隙率は、特に限定されないが、例えば、30%以上95%以下である。
【0036】
発泡体14aのSOC100%における厚さは、特に限定されないが、例えば、0.05mm以上0.1mm以下である。
【0037】
発泡体14aを構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリウレタン、シリコーン樹脂、エチレンプロピレンゴム、スチレン樹脂、オレフィン樹脂、ポリアミド、ポリエステル等が挙げられる。
【0038】
波状の板バネWのヤング率は、35GPa以上であることが好ましい。波状の板バネWのヤング率が35GPa以上であると、バッテリセル11aの膨張収縮に伴う厚さの変化を板バネ積層体14bが吸収しやすくなる。なお、波状の板バネWのヤング率は、特に限定されないが、例えば、200GPa以下である。
【0039】
波状の板バネWを構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼、炭素鋼等の金属、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ナイロン樹脂等の樹脂、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)等の繊維強化プラスチック(FRP)等が挙げられる。これらの中でも、バッテリモジュール10のエネルギー密度を考慮すると、FRPが好ましい。
【0040】
板バネ積層体14bのSOC100%における厚さは、特に限定されないが、例えば、1.0mm以上1.2mm以下である。
【0041】
バッテリセル11aとしては、特に限定されないが、例えば、全固体リチウムイオン電池セル、全固体リチウム金属電池セル等の固体電池セル、リチウム金属電池セルが挙げられる。これらの中でも、固体電池セルが好ましい。
【0042】
以下、バッテリセル11aが全固体リチウム金属電池セルである場合について説明する。
【0043】
全固体リチウム金属電池セルは、例えば、正極集電体と、正極合材層と、固体電解質層と、リチウム金属層と、負極集電体と、が順次積層されている。
【0044】
正極集電体としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム箔等が挙げられる。
【0045】
正極合材層は、正極活物質を含み、固体電解質、導電助剤、結着剤等をさらに含んでいてもよい。
【0046】
正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵および放出することが可能であれば、特に限定されないが、例えば、LiCoO2、Li(Ni5/10Co2/10Mn3/10)O2、Li(Ni6/10Co2/10Mn2/10)O2、Li(Ni8/10Co1/10Mn1/10)O2、Li(Ni0.8Co0.15Al0.05)O2、Li(Ni1/6Co4/6Mn1/6)O2、Li(Ni1/3Co1/3Mn1/3)O2、LiCoO4、LiMn2O4、LiNiO2、LiFePO4、硫化リチウム、硫黄等が挙げられる。
【0047】
固体電解質層を構成する固体電解質としては、リチウムイオンを伝導することが可能な材料であれば、特に限定されないが、例えば、酸化物系電解質、硫化物系電解質等が挙げられる。
【0048】
負極集電体としては、特に限定されないが、例えば、銅箔等が挙げられる。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨の範囲内で、上記の実施形態を適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 バッテリモジュール
11 バッテリセル積層体
11a バッテリセル
12 エンドプレート
13 バインドバー
14 クッション材
14a 発泡体
14b 板バネ積層体
W 波状の板バネ
R 凹部
C 凸部