(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141516
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】アクティブマトリクス基板、タッチセンサ機能付き表示パネル、及びアクティブマトリクス基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1368 20060101AFI20241003BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20241003BHJP
G02F 1/1345 20060101ALI20241003BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20241003BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20241003BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G02F1/1368
G02F1/1333
G02F1/1333 505
G02F1/1345
G06F3/041 412
G09F9/00 366A
G09F9/30 330
G09F9/00 338
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053214
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003926
【氏名又は名称】弁理士法人イノベンティア
(72)【発明者】
【氏名】菊池 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】大東 徹
(72)【発明者】
【氏名】西宮 節治
(72)【発明者】
【氏名】高畑 仁志
(72)【発明者】
【氏名】上田 輝幸
【テーマコード(参考)】
2H092
2H189
2H190
2H192
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
2H092GA14
2H092GA17
2H092GA32
2H092GA35
2H092GA62
2H092HA04
2H092JA26
2H092JB14
2H092NA25
2H189HA16
2H189LA03
2H189LA06
2H189LA10
2H189LA28
2H189LA31
2H190HA03
2H190HA04
2H190HB03
2H190HB04
2H190HB13
2H190LA01
2H190LA04
2H192AA24
2H192BB13
2H192BB84
2H192BC42
2H192CB05
2H192DA72
2H192EA22
2H192EA43
2H192EA67
2H192EA68
2H192EA72
2H192FB22
2H192GB33
2H192JA33
5C094AA02
5C094AA44
5C094BA03
5C094BA43
5C094CA19
5C094DA13
5C094DB01
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5C094FA02
5C094FA04
5C094FB01
5C094FB15
5G435AA01
5G435AA17
5G435BB12
5G435CC09
5G435EE49
5G435HH14
5G435KK05
5G435KK10
(57)【要約】
【課題】タッチセンサ機能付き表示パネルの高機能、コスト低減を実現するアクティブマトリクス基板を提供する。
【解決手段】アクティブマトリクス基板10Aはタッチセンサ機能付き表示パネルに搭載される。アクティブマトリクス基板10Aは、タッチセンサ線14が形成された第1層と、タッチセンサ線より上層の、画素電極16が形成された第2層と、第1層と第2層との間に形成された第3層としての共通電極13を含む。共通電極13は、タッチセンサ線に接続されてタッチセンサ電極としても機能するとともに、画素電極の対向電極としても機能する。アクティブマトリクス基板10Aは、第1層と第3層との間に形成された第1絶縁層11eと、第2層と第3層との間に形成された第2絶縁層11gと、をさらに備える。第1絶縁層は、有機樹脂膜からなる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチセンサ機能付き表示パネルに搭載されるアクティブマトリクス基板であって、
タッチセンサ線が形成された第1層と、
前記タッチセンサ線より上層の、画素電極が形成された第2層と、
前記タッチセンサ線に接続されてタッチセンサ電極として機能するとともに、前記画素電極の対向電極として機能する共通電極が形成された、前記第1層と前記第2層との間の第3層と、
前記第1層と前記第3層との間に形成された第1絶縁層と、
前記第2層と前記第3層との間に形成された第2絶縁層と、を備え、
前記第1絶縁層は有機樹脂膜からなる
アクティブマトリクス基板。
【請求項2】
前記第1絶縁層は、前記タッチセンサ線に接し、前記タッチセンサ線を覆うように前記第1層の上層に配置される
請求項1に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項3】
前記第1層には、さらに、薄膜トランジスタのドレイン電極との接続電極が形成され、
前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層は、前記接続電極の上方に第1コンタクトホールを有し、
前記第1コンタクトホールに前記画素電極の一部が配置される
請求項1に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項4】
前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層は、前記タッチセンサ線の上方に第2コンタクトホールを有し、
前記第2コンタクトホールに前記共通電極の一部が配置される
請求項1に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項5】
前記第1絶縁層は、上向きの凸部を有する
請求項1に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項6】
前記凸部は、前記タッチセンサ線の上方に配置される
請求項5に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項7】
請求項1に記載のアクティブマトリクス基板と、
前記アクティブマトリクス基板の上層の液晶層と、
前記アクティブマトリクス基板に、前記液晶層を挟んで配置された対向基板と、備える
タッチセンサ機能付き表示パネル。
【請求項8】
タッチセンサ機能付き表示パネルに搭載されるアクティブマトリクス基板の製造方法であって、
タッチセンサ線を形成し、
前記タッチセンサ線の少なくとも一部を覆うように第1絶縁層を形成し、
前記第1絶縁層の上層に共通電極を形成し、
前記共通電極の少なくとも一部を覆うように第2絶縁層を形成する、ことを備え、
前記第1絶縁層を形成することは第1開口を形成することを含み、
前記第2絶縁層を形成することは、前記第1開口と平面視において少なくとも一部が重複する位置に第2開口を形成することを含み、
前記第2絶縁層の上層、前記第1開口、及び、前記第2開口に、画素電極を形成する、ことをさらに備え、
前記第1絶縁層を形成することは、有機樹脂膜を形成することを含む
アクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項9】
前記第1絶縁層を形成することは、前記タッチセンサ線に接し、前記タッチセンサ線を覆うように前記有機樹脂膜を形成することを含む
請求項8に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項10】
前記第1絶縁層を形成することは、さらに、上層側に凸部を形成することを含む
請求項8に記載のタッチセンサ機能付き表示パネルの製造方法。
【請求項11】
前記第1絶縁層を形成することは、前記第1開口と、前記凸部と、それ以外とで異なる露光レベルとなるように成形されている多階調マスクを用いて前記有機樹脂膜を露光することを含む
請求項10に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アクティブマトリクス基板、タッチセンサ機能付き表示パネル、及びアクティブマトリクス基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アクティブマトリクス基板を用いた、フルインセル型のタッチセンサ機能付き表示パネル、及びアクティブマトリクス基板の製造方法が知られている。例えば、特許文献1は、画素開口率の低下又は補助容量の減少を抑制することが可能なアクティブマトリクス基板を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
このような表示パネルにおいては、タッチセンサの性能の向上が求められるとともに、表示品位の向上も求められる。このように高機能が求められる一方、コスト低減も求められる。
【0005】
ある実施の形態に従うと、アクティブマトリクス基板はタッチセンサ機能付き表示パネルに搭載されるアクティブマトリクス基板であって、タッチセンサ線が形成された第1層と、タッチセンサ線より上層の、画素電極が形成された第2層と、タッチセンサ線に接続されてタッチセンサ電極としても機能するとともに、画素電極の対向電極としても機能する共通電極が形成された、第1層と第2層との間の第3層と、第1層と第3層との間に形成された第1絶縁層と、第2層と第3層との間に形成された第2絶縁層と、を備え、第1絶縁層は有機樹脂膜からなる。
【0006】
更なる詳細は、後述の実施形態として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る表示装置の概略構成図である。
【
図2】
図2は、第1の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板の概略断面図である。
【
図3】
図3は、第1の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板の概略断面図である。
【
図4】
図4は、第1の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板の構成を模式的に示す概略平面図である。
【
図5】
図5は、アクティブマトリクス基板における、薄膜トランジスタとゲート線及びデータ線との接続を説明するための模式的な回路図である。
【
図6】
図6は、アクティブマトリクス基板の構成を模式的に示す概略平面図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係るアクティブマトリクス基板の製造方法の流れの一例を表したフローチャートである。
【
図8】
図8は、比較例に係るアクティブマトリクス基板の概略断面図である。
【
図9】
図9は、比較例に係るアクティブマトリクス基板の製造方法の流れの一例を表したフローチャートである。
【
図10】
図10は、第2の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板の概略断面図である。
【
図11】
図11は、第2の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[表示装置の説明]
図1は、本実施の形態に係る表示装置100の概略構成図である。表示装置100は、タッチセンサ機能付き表示パネル(以下、「表示パネル」)1と、コントローラ2と、を備える。
【0009】
[表示パネルの説明]
表示パネル1は、フルインセル型のタッチパネルである。表示パネル1は、映像又は画像を表示する機能、及び、指示体からのタッチ及びタッチ位置を検出する機能を有する。コントローラ2は、表示パネル1から取得したタッチ位置に基づいて、表示装置100における各制御処理を実行する。
【0010】
表示パネル1は、アクティブマトリクス基板10と、アクティブマトリクス基板10に液晶層を挟んで配置された対向基板20と、アクティブマトリクス基板10と対向基板20とに挟持された液晶層30と、を有する。液晶層30はアクティブマトリクス基板10の上層に配置されている。対向基板20は、アクティブマトリクス基板10に、液晶層30を挟んで配置されている。ユーザは、対向基板20の表面(以下、タッチ面)側から画像を視認する。表示パネル1は、タッチ面において、例えば、指等(指示体)によるタッチ操作を受け付ける。
【0011】
対向基板20には、タッチ面側から順に、ガラス基板21、ブラックマトリクス22、カラーフィルタ23、透光性固着層24、及び、配向膜25が配置されている。ブラックマトリクス22は開口22aを有する。当該開口22aは、液晶層30側からの光をタッチ面側に透過させる光透過部として機能する。
【0012】
[第1の実施の形態]
[アクティブマトリクス基板の説明]
図2及び
図3は、第1の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板10Aの概略断面図である。
図2及び
図3は、いずれも、後述の画素電極16とドレイン電極17との接続位置における概略断面図である。
図2は、後述の共通電極13とタッチセンサ線14との接続位置ではない位置での概略断面図、
図3は、共通電極13とタッチセンサ線14との接続位置での概略断面図である。
図2,3を用いて第1の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板10Aについて説明する。
【0013】
第1の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板10Aは、液晶層30とは反対側から順に、ガラス基板10a、ゲート電極18A、ゲート絶縁層(保護膜)11a、データ線12及びソース電極12A、ドレイン電極17、データ線絶縁層(保護膜)11b、有機絶縁層11c、半導体層50、タッチセンサ線14及び接続電極15(第1層)、タッチセンサ線絶縁層(保護膜)11d、第1絶縁層11e、共通電極13(第3層)、第2絶縁層11g、画素電極16(第2層)、並びに、配向膜19を備える。なお、以降の説明において、「上」とは、
図2及び
図3の上方向を意味するものとし、アクティブマトリクス基板10Aにおいて、液晶層30側を意味するものとする。また「下」とは、
図2及び
図3の上方向と反対側を意味し、アクティブマトリクス基板10Aにおいて、ガラス基板10a側を意味する。なお、
図2及び
図3において、データ線12及びソース電極12A並びにドレイン電極17として機能する層は、上面が平坦に図示されているが、実際は半導体層50と重なる部分において若干の段差が生じる。他の断面図においても同様である。ゲート電極18Aは、後に説明するゲート線18(
図4参照)に接続されている。ゲート線18は
図2及び
図3の断面には表れない。
【0014】
ゲート線18及びゲート電極18Aは、ガラス基板10aの上に配置されている。ゲート線18及びゲート電極18Aは金属膜からなり、例えば、チタンが積層された銅などからなる。ゲート絶縁層11aは、ゲート線18及びゲート電極18Aを覆うようにガラス基板10aの上層に配置され、保護膜として機能する。ゲート絶縁層11aは無機絶縁膜からなり、例えば、窒化珪素(SiNx)又は酸化珪素(SiO2)からなる。
【0015】
ソース線12、ソース電極12A及びドレイン電極17は、ゲート絶縁層11aの上に配置されている。ソース線12、ソース電極12A及びドレイン電極17は、金属膜からなり、例えば、銅が上層に積層されたチタンなどからなる。半導体層50は、ゲート絶縁層11aの上に配置されている。
【0016】
図4は、アクティブマトリクス基板10Aの構成を模式的に示す概略平面図である。アクティブマトリクス基板10Aは、ゲートドライバ41及びソースドライバ42を有する。複数のゲート線18と、複数のデータ線12とは、平面視において、互いに交差しており格子状に配置されている。ゲート線18とデータ線12との交差点の近傍に薄膜トランジスタ51(
図4には図示せず。
図5参照。)が配置されている。薄膜トランジスタ51は、前述の半導体層50、ソース電極12A、ゲート電極18A、及び、ドレイン電極17等から構成される。
【0017】
図5は、アクティブマトリクス基板10Aにおける、薄膜トランジスタ51とゲート線18及びデータ線12との接続を説明するための等価回路図である。薄膜トランジスタ51のゲート電極18Aは、ゲート線18に接続されている。ソース電極12Aは、データ線12に接続されている。ドレイン電極17は、画素電極16に接続されている。画素電極16は共通電極13との間に容量を形成する。
【0018】
複数のゲート線18は、薄膜トランジスタ51の各々とゲートドライバ41とを接続する。複数のデータ線12は、薄膜トランジスタ51の各々とソースドライバ42とを接続する。ゲートドライバ41及びソースドライバ42は、それぞれ、複数の画素電極16が配置される表示領域E1よりも外側の額縁領域に配置される。
【0019】
ゲートドライバ41及びソースドライバ42は、例えば、集積回路から構成される。ゲートドライバ41は、複数のゲート線18の各々に順次、ゲート信号(走査信号)を供給する。詳しくは、ゲートドライバ41は、コントローラ2からの水平同期信号に基づいて、複数のゲート線18に順次、電圧を印加する(走査する)。ソースドライバ42は、複数のデータ線12の各々に、データ信号(ソース信号)を供給する。
【0020】
データ線絶縁層11bは、ゲート絶縁層11aの上層に、データ線12及びソース電極12A、並びにドレイン電極17を覆うように配置され、保護膜として機能する。データ線絶縁層11bは、無機絶縁膜からなり、例えば、窒化珪素又は酸化珪素からなる。データ線絶縁層11bは、ドレイン電極17の上方に開口61aを有する。開口61aは、平面視においてブラックマトリクス22の開口22aと重複しない。
【0021】
有機絶縁層11cは、データ線絶縁層11bの上層に配置されている。有機絶縁層11cは、例えば感光性のアクリル樹脂からなる。有機絶縁層11cは、ドレイン電極17の上方に、平面視において開口61aと少なくとも一部が重複する開口65を有する。
【0022】
タッチセンサ線14は、有機絶縁層11cの一部の上層に配置されている。タッチセンサ線14は、データ線12と平行に配置されている。タッチセンサ線14は、例えば、銅が上層に積層された透明導電膜(例えば、ITO:Indium-tin-oxide)からなる。
【0023】
接続電極15は、有機絶縁層11cの一部の上層と、データ線絶縁層11bの開口61aと、有機絶縁層11cの開口65と、に配置されている。接続電極15は、開口61a及び開口65に配置されていることで、開口61a及び開口65を介してドレイン電極17に接続されている。接続電極15の有機絶縁層11cの一部の上層に配置されている部分は、タッチセンサ線14と同一の層に含まれる。接続電極15は、タッチセンサ線14と同一の材料からなる。
【0024】
タッチセンサ線絶縁層11dは、有機絶縁層11cの上層に、タッチセンサ線14、及び、接続電極15の有機絶縁層11cの一部の上層に配置された部分を覆うように配置され、保護膜として機能する。タッチセンサ線絶縁層11dは無機絶縁膜からなり、例えば、窒化珪素又は酸化珪素からなる。
【0025】
タッチセンサ線絶縁層11dは、タッチセンサ線14の上方に開口62を有する(
図3参照)。また、タッチセンサ線絶縁層11dは、タッチセンサ線14と同一の層に含まれる接続電極15の一部の上方に、開口63を有する。
【0026】
第1絶縁層11eは、タッチセンサ線絶縁層11dの上層に配置されている。第1絶縁層11eは有機樹脂膜からなり、例えば、感光性のアクリル樹脂からなる。第1絶縁層11eは、
図3に示すように、開口64(第1開口)と開口66(第1開口)とを有する。開口64と開口66とは、平面視において離れている。開口64は、タッチセンサ線14の上方において、開口62と平面視において少なくとも一部が重複する。
図2及び
図3の例では、開口64は、タッチセンサ線14の上方において、平面視において開口62のすべてを含んでいる。開口66は、タッチセンサ線14と同一の層に含まれる接続電極15の一部の上方において、開口63と平面視において少なくとも一部が重複する。
図2及び
図3の例では、開口66は、タッチセンサ線14と同一の層に含まれる接続電極15の一部の上方において、平面視において開口63のすべてを含んでいる。
【0027】
共通電極13は、第1絶縁層11eの一部の上層と、第1絶縁層11eの開口64と、タッチセンサ線絶縁層11dの開口62と、に配置されている。共通電極13は、例えば、透明導電膜(例えば、ITO)からなる。
【0028】
共通電極13が開口64及び開口62(第2コンタクトホール)に配置されていることで、開口64及び開口62を介して共通電極13とタッチセンサ線14とが接続されている。
図6は、アクティブマトリクス基板10Aの構成を模式的に示す概略平面図である。
図6は、共通電極13及びタッチセンサ線14を含む層での概略平面図である。タッチセンサ線14は、複数の共通電極13のうちの一つの共通電極13に接続されており、他の共通電極13には接続されていない。
【0029】
第2絶縁層11gは、第1絶縁層11eの上層に、共通電極13を覆うように配置されている。また、第2絶縁層11gは、開口66に配置されている。第2絶縁層11gの開口66に配置された部分は、開口67を有する。第2絶縁層11gは無機絶縁膜からなり、例えば、窒化珪素からなる。
【0030】
画素電極16は、第2絶縁層11gの上層と、開口67及び開口63(第1コンタクトホール)と、に配置されている。画素電極16は、例えば、透明導電膜(例えば、ITO)からなる。画素電極16が開口67及び開口63に配置されていることで、開口67及び開口63を介して画素電極16と接続電極15とが接続されている。接続電極15はドレイン電極17に接続されているため、接続電極15を介してドレイン電極17と画素電極16とが接続されている。従って、接続電極15は、ドレイン電極17と画素電極16とを電気的に接続させる機能を有する。
【0031】
第1絶縁層11eは、上向きの凸部11fを有する(
図2)。凸部11fは、タッチセンサ線14の上方に位置している。凸部11fの上に共通電極13の一部、第2絶縁層11g、及び、画素電極16の一部が順に配置される。そのため、アクティブマトリクス基板10Aは、凸部11fの上方において上に凸の形状となる。これにより、タッチ面が押下された際のセルギャップが確保される。すなわち、凸部11fはバンプとして機能する。
【0032】
画素電極16と共通電極13との間に電界を生じさせることにより、液晶層30に含まれる液晶分子が駆動する。画素電極16には、複数のスリット16aが設けられており、液晶分子は横電界駆動方式により駆動する。共通電極13は、複数の画素電極16に対して共通して設けられている。共通電極13は、画素電極16の対向電極として機能するとともに、タッチセンサ線14に接続されて、タッチセンサ電極としても機能する。
【0033】
アクティブマトリクス基板10Aは、タッチ検出ドライバ43を含む(
図6)。タッチ検出ドライバ43は、例えば、集積回路から構成される。タッチ検出ドライバ43と各共通電極13とは、それぞれ、タッチセンサ線14を介して接続されている。タッチ検出ドライバ43は、各共通電極13に駆動信号を送信するとともに、各共通電極13からの信号を受信する。そして、タッチ検出ドライバ43は、受信した信号に基づいて指示体(例えば、指)によるタッチ位置を検出する。
【0034】
[アクティブマトリクス基板の製造方法]
図7は、第1の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板10Aの製造方法の流れの一例を表したフローチャートである。初めに、ガラス基板10a上に、例えば、銅が上層に積層されたチタンなどの金属膜によって、ゲート線18及びゲート電極18Aが形成される(ステップS101)。形成されたゲート線18及びゲート電極18Aを覆うように、無機絶縁膜によってゲート絶縁層11aが形成される(ステップS103)。形成されたゲート絶縁層11aの上層に、例えば酸化物半導体単層によって半導体層50が形成される(ステップS105)。また、ゲート絶縁層11aに、ゲート線と同じ膜で構成された層とデータ線と同じ膜で構成された層とを接続するためのコンタクトホール(いずれの断面図にも図示せず)が形成される(ステップS107)。
【0035】
形成された半導体層50の上層に、例えば、銅が上層に積層されたチタンなどである金属膜によって、データ線12、ソース電極12A、及びドレイン電極17が形成される(ステップS109)。なお、ここでは、データ線12と、ソース電極12A及びドレイン電極17とを同じ材料で同時に形成するものとしたが、これらを異なる材料により複数工程で作成してもよい。
【0036】
ソース電極12A及びドレイン電極17、並びにソース電極12Aに接続されたデータ線12を覆うように、無機絶縁膜によってデータ線絶縁層11bが形成される(ステップS111)。形成されたデータ線絶縁層11bの上層に、有機絶縁層11cが形成される(ステップS113)。形成されたデータ線絶縁層11bのドレイン電極17の上方の部分に、開口61aが形成される。また、形成された有機絶縁層11cのドレイン電極17の上方の部分であって、開口61aと平面視において少なくとも一部が重複する位置に、開口65が形成される(ステップS115)。
【0037】
形成された有機絶縁層11cの一部の上層に、銅が上層に積層された透明導電膜(例えば、ITO)によって、タッチセンサ線14と接続電極15とが形成される(ステップS117)。また、ステップS117では、開口65及びデータ線絶縁層11bの開口61aにも接続電極15が形成される。これにより、接続電極15がドレイン電極17に接続される。
【0038】
形成された有機絶縁層11cの上層に、形成されたタッチセンサ線14及び接続電極15の有機絶縁層11cの上層に形成された部分を覆うように、例えば窒化珪素又は酸化珪素などの無機絶縁膜によって、タッチセンサ線絶縁層11dが形成される(ステップS119)。
【0039】
形成されたタッチセンサ線絶縁層11dの上層に、感光性の有機樹脂膜によって第1絶縁層11eが形成される(ステップS121)。ステップS121では、多階調マスクを用いて有機樹脂膜を露光する。多階調マスクは、開口64,66(第1開口)と、凸部11fと、それ以外とで異なる露光レベルとなるように成形されている。多階調マスクは中間露光を実現するマスクであって、例えば、ハーフトーンマスクである。
【0040】
多階調マスクは、1回の露光で、露光部分、中間(ハーフ)露光部分、及び、未露光部分(マスク黒部)の3段階の露光レベルとすることができる。ステップS121では、開口64,66(第1開口)を露光部分、凸部11fを未露光部分、及び、それ以外を中間露光部分、とした多階調マスクを用い、有機樹脂膜を露光する。これにより、ステップS121では、一工程で第1絶縁層11eの開口64,66と、凸部11fと、それ以外とが形成される。
【0041】
形成されたタッチセンサ線絶縁層11dのタッチセンサ線14の上方の部分であって、第1絶縁層11eに形成された開口64と平面視において少なくとも一部が重複する位置に、開口62が形成される(ステップS123)。
【0042】
形成された第1絶縁層11eの一部の上層と、第1絶縁層11eに形成された開口64と、タッチセンサ線絶縁層11dに形成された開口62とに、例えばITOなどである透明導電膜によって、共通電極13が形成される(ステップS125)。これにより、共通電極13は、開口64及び開口62を介してタッチセンサ線14に接続される。また、共通電極13と、タッチセンサ線14の共通電極13に接続されない部分とが絶縁される。
【0043】
形成された第1絶縁層11eの上層に、共通電極13の第1絶縁層11eの上層に形成された部分を覆うように、例えば窒化珪素又は酸化珪素などの無機絶縁膜によって、第2絶縁層11gが形成される(ステップS127)。形成された第2絶縁層11gの接続電極15の上方の部分であって、平面視において開口66に含まれる部分に、開口67が形成される。また、タッチセンサ線絶縁層11dの接続電極15の上方の部分であって、開口67と平面視において少なくとも一部が重複する位置に、開口63が形成される(ステップS129)。
【0044】
形成された第2絶縁層11gの上層と、第2絶縁層11gに形成された開口67及びタッチセンサ線絶縁層11dに形成された開口63とに、例えばITOなどである透明導電膜によって、画素電極16が形成される(ステップS131)。これにより、画素電極16は開口67及び開口63を介して接続電極15と接続される。接続電極15はドレイン電極17に接続されているため、画素電極16は、接続電極15を介してドレイン電極17と接続される。つまり、画素電極16とドレイン電極17とを接続させる接続電極15が形成される。
【0045】
以上により、アクティブマトリクス基板10Aが製造される。その後、アクティブマトリクス基板10Aと対向基板20と液晶層30とが組み合わせられることにより、表示パネル1が完成される。
【0046】
[第1の実施の形態の効果]
第1の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板10A、及びその製造方法の効果を、比較例に係るアクティブマトリクス基板、及びその製造方法と比較して説明する。
図8は、比較例に係るアクティブマトリクス基板10Cの概略断面図である。
図9は、比較例に係るアクティブマトリクス基板10Cの製造方法の流れの一例を表したフローチャートである。
【0047】
比較例に係るアクティブマトリクス基板10C(
図8)は、有機絶縁層11cの上層に、第1の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板10Aのタッチセンサ線絶縁層11d及び第1絶縁層11eに替えて、第1絶縁層11e-1を有する。第1絶縁層11e-1は無機絶縁膜からなり、例えば、窒化珪素又は酸化珪素からなる。
【0048】
これに対して、第1の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板10Aでは、共通電極13(第3層)とタッチセンサ線14(第1層)との間に、有機樹脂膜からなる第1絶縁層11eが配置されている。有機樹脂膜は無機材料による絶縁層に比べると誘電率が低い。また、有機樹脂膜は感光性を有するため、塗布で成膜が可能である。また、有機樹脂膜は、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学蒸着法)で成膜する無機材料と比較して厚膜での成膜が容易である。そのため、共通電極13とタッチセンサ線14との間の寄生容量を、比較例に係るアクティブマトリクス基板10Cにおける共通電極13とタッチセンサ線14との間の寄生容量より小さくすることができる。これにより、共通電極13とタッチセンサ線14との間の負荷容量が軽減される。その結果、アクティブマトリクス基板10Aが搭載された表示パネル1において、タッチ性能を向上させることができる。また、表示パネル1において、センシングのムラを低減させることができる。
【0049】
また、比較例に係るアクティブマトリクス基板10Cでは、バンプ部Buが第2絶縁層11gとは別個に形成されている(
図8)。これに対して、第1の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板10Aでは、第1絶縁層11eがバンプ機能を有する凸部11fを有する。すなわち、第1の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板10Aでは、第1絶縁層11eの一部分がバンプ機能を発揮する。
【0050】
このため、第1の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板10Aでは、比較例に係るアクティブマトリクス基板10Cのようにバンプ部が別個に配置されるものと異なり、アクティブマトリクス基板の上層とバンプ機能を有する部分との接続部分がなくなる。その結果、別個に配置される場合よりもバンプ機能を有する部分の上下方向以外の方向に対する強度を高めることができる。それゆえ、アクティブマトリクス基板10Aが搭載された表示パネル1の品質を向上させることができる。また、凸部11fがタッチセンサ線14の上方に形成されることで、バンプ部Buを別個に形成した場合、又は、バンプ部Buが無い場合と比較して、タッチセンサ線14と共通電極13との間の距離を大きくすることができる。そのため、タッチセンサ線14と共通電極13との間の負荷容量を小さくすることができる。
【0051】
比較例に係るアクティブマトリクス基板10Cの製造方法(
図9)は、第1の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板10Aの製造方法(
図7)と比較して、ステップS119の工程を含まない点が異なる。また、ステップS121の工程に替えてステップS121A,S122Aの工程を有する点、及び、ステップS133Aの工程をさらに含む点、が異なる。
【0052】
詳しくは、比較例に係るアクティブマトリクス基板10Cの製造方法では、ステップS113で形成された有機絶縁層11cの上層に、ステップS117で形成されたタッチセンサ線14の少なくとも一部及び接続電極15の少なくとも一部を覆うように、例えば窒化珪素又は酸化珪素などの無機絶縁膜によって、第1絶縁層11e-1が形成される(ステップS121A)。形成された第1絶縁層11e-1のタッチセンサ線14の上方の部分に、図示しない開口が形成される(ステップS122A)。
【0053】
比較例に係るアクティブマトリクス基板10Cの製造方法では、ステップS131で画素電極16が形成された後、ステップS127で形成された第2絶縁層11gの上層に、例えば有機樹脂膜によってバンプ部Buが形成される(ステップS133A)。
【0054】
第1の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板10Aの製造方法によれば、開口64,66は、ステップS121の第1絶縁層11eが形成される工程において一括して形成される。そのため、第1の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板10Aの製造方法では、比較例に係る製造方法より工程を簡略化することができる。これにより、第1の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板10Aを用いることで、表示パネル1の高機能とコスト低減とが実現される。
【0055】
第1の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板10Aの製造方法によれば、凸部11fは第1絶縁層11eの形成と同一の工程で形成される。そのため、第1の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板10Aの製造方法では比較例に係る製造方法より工程を簡略化することができる。これにより、第1の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板10Aを用いることで、表示パネル1の高機能とコスト低減とが実現される。
【0056】
また、第1の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板10Aの製造方法によれば、有機樹脂膜で第1絶縁層11eを形成するため、共通電極13とタッチセンサ線14との間の寄生容量を同レベルとすると、無機膜でCVDによって形成する場合より膜厚を薄くすることができる。また、有機樹脂膜で第1絶縁層11eを形成することによって、容易に凸部11fが形成でき、バンプ部を同時に形成することができる。そのため、処理時間とコストとを抑えることができる。
【0057】
[第2の実施の形態]
図10及び
図11は、第2の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板10Bの概略断面図である。第2の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板10Bの構成は、第1の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板10Aのタッチセンサ線14及び接続電極15に替えて、タッチセンサ線14A及び接続電極15Aを有する。第2の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板10Bは、アクティブマトリクス基板10Aと同様に
図4~
図6の構成を有する。
【0058】
タッチセンサ線14A及び接続電極15Aは、アクティブマトリクス基板10Aと同様に、有機絶縁層11cの一部の上層に配置されている。タッチセンサ線14及び接続電極15が、銅が積層された透明導電膜であるのに対し、タッチセンサ線14A及び接続電極15Aは、チタン(Ti)、アルミ(Al)、チタン(Ti)積層膜からなる。
【0059】
第1の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板10Aにおいては、タッチセンサ線14及び接続電極15が、銅が上層に積層された透明導電膜からなる。この場合、第1の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板10Aにおいては、タッチセンサ線14及び接続電極15を覆うように、無機絶縁膜からなるタッチセンサ線絶縁層11dが配置されているため、タッチセンサ線14及び接続電極15の外周に存在する銅が有機樹脂膜に含まれる水分によって酸化することが防止される。
【0060】
これに対して、アクティブマトリクス基板10Bでは、タッチセンサ線14A及び接続電極15Aが、チタン、アルミ、チタン積層膜からなる。この場合、タッチセンサ線14A及び接続電極15Aの外周に存在するチタンが酸化チタンとなってそれ以上の酸化が防がれるため、有機樹脂膜に含まれる水分によって内部が酸化することが防止される。そのため、第2の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板10Bでは、タッチセンサ線絶縁層11dを不要とすることができる。その結果、アクティブマトリクス基板10Bでは、有機絶縁層11cの上層に、タッチセンサ線14A及び接続電極15Aに接し、タッチセンサ線14A及び接続電極15Aを覆うように第1絶縁層11eが配置されている。なお、タッチセンサ線14A及び接続電極15Aの材料はチタン、アルミ、チタン積層膜に限定されず、外周が、有機樹脂膜に含まれる水分によって内部が酸化することが防止される材料であればよい。
【0061】
このような構成とすることによって、第2の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板10Bの製造方法では、タッチセンサ線絶縁層11dが形成される工程(ステップS119)、及び、タッチセンサ線絶縁層11dに開口62,63が形成される工程(ステップS123)を不要とすることができる。
【0062】
これにより、アクティブマトリクス基板10Bの製造コストをより削減できるとともに、製造方法をより簡略化することができる。そのため、第2の実施の形態に係るアクティブマトリクス基板10Bを用いることで、表示パネル1の高機能とコスト低減とがより実現される。
【0063】
[変形例]
なお、以上の例では、第1絶縁層11eが、バンプとして機能する凸部11fを有するものとしている。そして、その場合、ハーフトーンマスクなどの多階調マスクを用いることで、第1絶縁層11eの開口64,66と、凸部11fと、それ以外とを一工程で形成するものとしている。
【0064】
しかしながら、第1絶縁層11eが凸部11fを有することは必須ではない。変形例として、第1絶縁層11eは凸部11fを有さなくてもよい。このアクティブマトリクス基板は、例えば、比較例に係るアクティブマトリクス基板10Cのように、第1絶縁層11eを形成する工程とは別に、第2絶縁層11gの上層にバンプ部Buを形成する工程を有する製造方法で製造されてもよい。
【0065】
この場合も、上記の例と同様に、開口64,66を、第1絶縁層11eを形成する工程と同一の工程で形成することができる。これにより、第1絶縁層11eを形成する工程とは別に開口64,66を形成する製造方法と比較して、工程を簡略化することができる。また、第1絶縁層11eを無機膜でCVDによって形成する場合のように膜厚を厚くしたりドライエッチングをしたりすることなく、共通電極13とタッチセンサ線14との間の寄生容量を低減できる。
【0066】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。また、実施の形態に係るアクティブマトリクス基板、タッチセンサ機能付き表示パネル、及びアクティブマトリクス基板の製造方法は、次のように表すこともできる。
【0067】
(1)実施の形態に係るアクティブマトリクス基板はタッチセンサ機能付き表示パネルに搭載されるアクティブマトリクス基板であって、タッチセンサ線が形成された第1層と、タッチセンサ線より上層の、画素電極が形成された第2層と、タッチセンサ線に接続されてタッチセンサ電極としても機能するとともに、画素電極の対向電極としても機能する共通電極が形成された、第1層と第2層との間の第3層と、第1層と第3層との間に形成された第1絶縁層と、第2層と第3層との間に形成された第2絶縁層と、を備え、第1絶縁層は有機樹脂膜からなる。
【0068】
この構成を有することによって、実施の形態に係るアクティブマトリクス基板では、第3層と第1層との間に、有機樹脂膜からなる第1絶縁層が配置されている。有機樹脂膜は無機材料による膜に比べると誘電率が低いため、無機材料による絶縁層が配置されている場合と比較して、共通電極とタッチセンサ線との間の寄生容量を小さくすることができる。これにより、実施の形態に係るアクティブマトリクス基板では、共通電極とタッチセンサ線との間の負荷容量が軽減される。その結果、アクティブマトリクス基板を用いたタッチセンサ機能付き表示パネルにおいて、タッチ性能を向上させることができる。また、アクティブマトリクス基板を用いたタッチセンサ機能付き表示パネルにおいて、センシングのムラを低減させることができる。
【0069】
(2)(1)のアクティブマトリクス基板であって、好ましくは、第1絶縁層は、タッチセンサ線に接し、タッチセンサ線を覆うように第1層の上層に配置される。これにより、第1絶縁層はタッチセンサ線の保護膜としての機能を有し、別個の保護膜を不要とすることができる。その結果、アクティブマトリクス基板のコスト低減を図ることができる。
【0070】
(3)(1)又は(2)のアクティブマトリクス基板であって、好ましくは、第1層には、さらに、薄膜トランジスタのドレイン電極との接続電極が形成され、第1絶縁層及び第2絶縁層は、接続電極の上方に第1コンタクトホールを有し、第1コンタクトホールに画素電極の一部が配置される。これにより、画素電極とドレイン電極とを接続することができる。
【0071】
(4)(1)~(3)のいずれか1つのアクティブマトリクス基板であって、好ましくは、第1絶縁層及び第2絶縁層は、タッチセンサ線の上方に第2コンタクトホールを有し、第2コンタクトホールに共通電極の一部が配置される。これにより、共通電極とタッチセンサ線とを接続することができる。
【0072】
(5)(1)~(4)のいずれか1つのアクティブマトリクス基板であって、好ましくは、第1絶縁層は、上向きの凸部を有する。凸部は、搭載されたタッチセンサ機能付き表示パネルにおけるバンプ機能を有する。第1絶縁層がバンプ機能を有する凸部を有することで、第1絶縁層の一部分がバンプ機能を発揮する。このため、バンプ部が別個に配置されるものと異なり、アクティブマトリクス基板の上層とバンプ機能を有する部分との接続部分がなくなる。その結果、別個に配置される場合よりもバンプ機能を有する部分の上下方向以外の方向に対する強度を高めることができる。それゆえ、アクティブマトリクス基板が搭載されたタッチセンサ機能付き表示パネルの品質を向上させることができる。
【0073】
(6)(5)のアクティブマトリクス基板であって、好ましくは、凸部は、タッチセンサ線の上方に配置される。これにより、タッチセンサ線と共通電極との間の距離を大きくすることができる。そのため、タッチセンサ線と共通電極との間の負荷容量を小さくすることができる。
【0074】
(7)実施の形態に係るタッチセンサ機能付き表示パネルは、(1)~(4)のいずれか1つのアクティブマトリクス基板と、アクティブマトリクス基板の上層の液晶層と、アクティブマトリクス基板に、液晶層を挟んで配置された対向基板と、備える。
【0075】
タッチセンサ機能付き表示パネルは上記の特徴を有するアクティブマトリクス基板を備えることで、第3層と第1層との間に、有機樹脂膜からなる第1絶縁層が配置されている。これにより、タッチセンサ機能付き表示パネルでは、共通電極とタッチセンサ線との間の負荷容量が軽減される。その結果、タッチセンサ機能付き表示パネルにおいて、タッチ性能を向上させることができる。また、タッチセンサ機能付き表示パネルにおいて、センシングのムラを低減させることができる。
【0076】
(8)実施の形態に係るアクティブマトリクス基板の製造方法は、タッチセンサ機能付き表示パネルに搭載されるアクティブマトリクス基板の製造方法であって、タッチセンサ線を形成し、タッチセンサ線の少なくとも一部を覆うように第1絶縁層を形成し、第1絶縁層の上層に共通電極を形成し、共通電極の少なくとも一部を覆うように第2絶縁層を形成する、ことを備え、第1絶縁層を形成することは第1開口を形成することを含み、第2絶縁層を形成することは、第1開口と平面視において少なくとも一部が重複する位置に第2開口を形成することを含み、第2絶縁層の上層、第1開口、及び、第2開口に、画素電極を形成する、ことをさらに備え、第1絶縁層を形成することは、有機樹脂膜を形成することを含む。
【0077】
この製造方法で製造されたアクティブマトリクス基板では、第3層と第1層との間に、有機樹脂膜からなる第1絶縁層が配置されている。これにより、実施の形態に係るアクティブマトリクス基板の製造方法で製造されたアクティブマトリクス基板では、共通電極とタッチセンサ線との間の負荷容量が軽減される。その結果、アクティブマトリクス基板を用いたタッチセンサ機能付き表示パネルにおいて、タッチ性能を向上させることができる。また、アクティブマトリクス基板を用いたタッチセンサ機能付き表示パネルにおいて、センシングのムラを低減させることができる。
【0078】
(9)(8)のアクティブマトリクス基板の製造方法であって、好ましくは、第1絶縁層を形成することは、タッチセンサ線に接し、タッチセンサ線を覆うように有機樹脂膜を形成することを含む。これにより、無機絶縁膜からなるタッチセンサ線絶縁層が形成される工程を不要とすることができる。その結果、この製造方法によって製造されるアクティブマトリクス基板を用いたタッチセンサ機能付き表示パネルの高機能とコスト低減とが実現される。
【0079】
(10)(8)又は(9)のアクティブマトリクス基板の製造方法であって、好ましくは、第1絶縁層を形成することは、さらに、上層側に凸部を形成することを含む。凸部は、搭載されたタッチセンサ機能付き表示パネルにおけるバンプ機能を有する。この製造方法によれば、凸部は第1絶縁層の形成と同一の工程で形成される。そのため、この製造方法では、バンプ部が第1絶縁層とは別個に形成される製造方法と比較して、工程を簡略化することができる。これにより、この製造方法によって製造されるアクティブマトリクス基板を用いることで、タッチセンサ機能付き表示パネルの高機能とコスト低減とが実現される。
【0080】
(11)(10)のアクティブマトリクス基板の製造方法であって、好ましくは、第1絶縁層を形成することは、第1開口と、凸部と、それ以外とで異なる露光レベルとなるように成形されている多階調マスクを用いて有機樹脂膜を露光することを含む。これにより、第1絶縁層を形成する工程において、第1開口と、凸部と、それ以外とが一括して同一工程で形成される。
【符号の説明】
【0081】
1:表示パネル、10,10A,10B,10C:アクティブマトリクス基板、11e:第1絶縁層、11f:凸部、11g:第2絶縁層、13:共通電極(第3層)、14:タッチセンサ線(第1層)、16:画素電極(第2層)、20:対向基板、30:液晶層、64,66:開口(第1開口)