(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141520
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】電流センサ
(51)【国際特許分類】
G01R 15/20 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
G01R15/20 C
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053220
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】福原 聡明
【テーマコード(参考)】
2G025
【Fターム(参考)】
2G025AA05
2G025AB01
2G025AB02
2G025AC01
(57)【要約】
【課題】低コストで小型な構成で大電流に対応可能な磁気平衡式電流センサを提供する。
【解決手段】電流センサが、バスバと、第1の磁気センサと、第1のコイルと、を有し、前記バスバの長手方向をX軸方向とし、前記バスバの幅方向をY軸方向としたときに、前記第1の磁気センサは、Y軸方向の磁場を測定し、前記第1のコイルは、当該第1のコイルの軸がY軸方向に平行になるように配置され、前記第1の磁気センサは、前記第1のコイルの内部に配置される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスバと、
第1の磁気センサと、
第1のコイルと、を有し、
前記バスバの長手方向をX軸方向とし、前記バスバの幅方向をY軸方向としたときに、
前記第1の磁気センサは、Y軸方向の磁場を測定し、
前記第1のコイルは、当該第1のコイルの軸がY軸方向に平行になるように配置され、
前記第1の磁気センサは、前記第1のコイルの内部に配置される、電流センサ。
【請求項2】
第1の遮蔽部材と、
第2の遮蔽部材と、をさらに有し、
前記第1の遮蔽部材は、第1の部分と、第2の部分と、第3の部分と、を有し、
前記X軸方向および前記Y軸方向に垂直な方向をZ軸方向としたときに、
前記第1の遮蔽部材の第1の部分および第2の部分は、前記X軸方向および前記Z軸方向に広がっており、
前記第1の遮蔽部材の第3の部分は、前記X軸方向および前記Y軸方向に広がっており、
前記第1の遮蔽部材の第1の部分は、前記第1の遮蔽部材の第3の部分のY軸方向の一端に接続され、前記第1の遮蔽部材の第2の部分は、前記第1の遮蔽部材の第3の部分のY軸方向の他端に接続され、
前記第2の遮蔽部材は、第1の部分と、第2の部分と、第3の部分と、を有し、
前記第2の遮蔽部材の第1の部分および第2の部分は、前記X軸方向および前記Z軸方向に広がっており、
前記第2の遮蔽部材の第3の部分は、前記X軸方向および前記Y軸方向に広がっており、
前記第2の遮蔽部材の第1の部分は、前記第2の遮蔽部材の第3の部分のY軸方向の一端に接続されており、前記第2の遮蔽部材の第2の部分は、前記第2の遮蔽部材の第3の部分のY軸方向の他端に接続されており、
前記第1の遮蔽部材の前記Y軸方向の長さと、前記第2の遮蔽部材のY軸方向の長さと、は同じであり、
第1の遮蔽部材と第2の遮蔽部材は、前記第1の遮蔽部材の第1の部分の端部と、前記第2の遮蔽部材の第1の部分の端部と、が互いに向き合い、前記第1の遮蔽部材の第2の部分の端部と、前記第2の遮蔽部材の第2の部分の端部と、が互いに向き合いように、配置され、
前記バスバ、前記第1の磁気センサ、および前記第1のコイルは、前記第1の遮蔽部材と第2の遮蔽部材により囲まれる領域の内部に配置される、請求項1に記載の電流センサ。
【請求項3】
前記第1の磁気センサの前記Y軸方向の位置は、前記第1の遮蔽部材の第3の部分の前記Y軸方向の中心および前記第2の遮蔽部材の第3の部分の前記Y軸方向の中心を通る線と、X軸方向に平行な線と、により張られる面からずれている、請求項2に記載の電流センサ。
【請求項4】
前記第1の遮蔽部材の第1の部分のX軸方向およびZ軸方向に広がる2つの面のうちの前記第1の磁気センサ側の面を前記第1の遮蔽部材の第1の部分の内側面とし、前記第1の遮蔽部材の第3の部分のX軸方向およびY軸方向に広がる2つの面のうちの前記第1の磁気センサ側の面を前記第1の遮蔽部材の第3の部分の内側面とし、X軸方向に平行な線およびY軸方向に平行な線により張られる面を水平面とし、前記第1の遮蔽部材の第1の部分の内側面から前記第1の遮蔽部材の第1の部分の端部と前記第1の遮蔽部材の第3の部分の内側面を含む水平面との間の距離を第1の距離としたときに、
前記第1の磁気センサと、前記第1の遮蔽部材の第1の部分の内側面から前記第1の距離だけ離れて位置にする面と、の間の距離は、第1の値以下である、請求項3に記載の電流センサ。
【請求項5】
前記第2の遮蔽部材の第3の部分のX軸方向およびY軸方向に広がる2つの面のうちの前記第1の磁気センサ側の面を前記第2の遮蔽部材の第3の部分の内側面とし、
前記第1の遮蔽部材の第1の部分の端部と、前記第1の遮蔽部材の第3の部分の内側面を含む水平面と、の間の距離は、前記第1の遮蔽部材の第2の部分の端部と、前記第1の遮蔽部材の第3の部分の内側面を含む水平面と、の間の距離と同じであり、
前記第2の遮蔽部材の第1の部分の端部と、前記第2の遮蔽部材の第3の部分の内側面を含む水平面と、の間の距離は、前記第2の遮蔽部材の第2の部分の端部と、前記第2の遮蔽部材の第3の部分の内側面を含む水平面と、の間の距離と同じである、請求項4に記載の電流センサ。
【請求項6】
前記第1の磁気センサと、前記第1の遮蔽部材の第1の部分の端部と前記第2の遮蔽部材の第1の部分の端部との間の中心および前記第1の遮蔽部材の第2の部分の端部と前記第2の遮蔽部材の第2の部分の端部との間の中心を含む水平面と、の距離は、第2の値以上である、請求項5に記載の電流センサ。
【請求項7】
前記第1の遮蔽部材の第1の部分の端部と前記第1の遮蔽部材の第3の部分の内側面を含む水平面との間の距離は、前記第2の遮蔽部材の第1の部分の端部と前記第2の遮蔽部材の第3の部分の内側面を含む水平面との間の距離以上である、請求項5に記載の電流センサ。
【請求項8】
前記Y軸方向の磁場を測定する第2の磁気センサと、
第2のコイルと、を有し、
前記第2のコイルは、当該第2のコイルの軸がY軸方向に平行になるように配置され、
前記第2の磁気センサは、前記第2のコイルの内部に配置される、請求項4に記載の電流センサ。
【請求項9】
前記第1の遮蔽部材の第2の部分のX軸方向およびZ軸方向に広がる2つの面のうちの前記第1の磁気センサ側の面を前記第1の遮蔽部材の第2の部分の内側面としたときに、
前記第2の磁気センサと、前記第1の遮蔽部材の第2の部分の内側面から前記第1の距離だけ離れて位置にする面と、の距離は、第3の値以下である、請求項8に記載の電流センサ。
【請求項10】
前記第2の遮蔽部材の第3の部分のX軸方向およびY軸方向に広がる2つの面のうちの前記第1の磁気センサ側の面を前記第2の遮蔽部材の第3の部分の内側面とし、
前記第1の遮蔽部材の第1の部分の端部と、前記第1の遮蔽部材の第3の部分の内側面を含む水平面と、の間の距離は、前記第1の遮蔽部材の第2の部分の端部と、前記第1の遮蔽部材の第3の部分の内側面を含む水平面と、の間の距離と同じであり、
前記第2の遮蔽部材の第1の部分の端部と、前記第2の遮蔽部材の第3の部分の内側面を含む水平面と、の間の距離は、前記第2の遮蔽部材の第2の部分の端部と、前記第2の遮蔽部材の第3の部分の内側面を含む水平面と、の間の距離と同じであり、
前記第2の磁気センサと、前記第1の遮蔽部材の第1の部分の端部と前記第2の遮蔽部材の第1の部分の端部との間の中心および前記第1の遮蔽部材の第2の部分の端部と前記第2の遮蔽部材の第2の部分の端部との間の中心を含む水平面と、の距離は、第4の値以上である、請求項9に記載の電流センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流センサに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気平衡式電流センサが開発されている(例えば、特許文献1)。従来の磁気平衡式電流センサは、
図6に示すように、バスバと、磁性コアと、磁気センサと、電流変換器と、コイルと、測定抵抗と、を有する。磁気センサが、バスバを流れる被測定電流により磁性コアの内部に発生した磁場に比例する電圧値の電圧を出力し、電流変換器が、この電圧をフィードバック電流に変換する。このフィードバック電流は、コイルを流れるフィードバック電流により磁性コアの内部に発生する磁場が、バスバを流れる被測定電流により磁性コアの内部に発生する磁場を打ち消すように調整される。このため、フィードバック電流の値は、被測定電流の値にコイルの巻き数Nの逆数(1/N)を乗算した値に比例する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
磁気平衡式電流センサでは、上述したように、フィードバック電流の値は、被測定電流の値に比例する。このため、バスバに大電流が流れたときには、フィードバック電流の値が増大してしまう。上述したように、フィードバック電流の値は、コイルの巻き数Nの逆数(1/N)にも比例する。このため、コイルの巻き数Nを多くすることで、このフィードバック電流の増大を抑制することが可能である。しかしながら、コイルの巻き数Nを多くした場合、製造コストや、電流センサのサイズが大きくなってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、低コストで小型な構成で大電流に対応可能な磁気平衡式電流センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る一実施形態に係る電流センサは、バスバと、第1の磁気センサと、第1のコイルと、を有し、前記バスバの長手方向をX軸方向とし、前記バスバの幅方向をY軸方向としたときに、前記第1の磁気センサは、Y軸方向の磁場を測定し、前記第1のコイルは、当該第1のコイルの軸がY軸方向に平行になるように配置され、前記第1の磁気センサは、前記第1のコイルの内部に配置される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、低コストで小型な構成で大電流に対応可能な磁気平衡式電流センサを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電流センサ100を示す図である。
【
図2】電流センサ100を第1の磁気センサ120が存在する位置においてX軸方向に垂直な面により切断した際の電流センサ100の断面図である。
【
図3】第1の磁気センサ120と第1のコイル130により構成される磁気平衡式電流センサを説明する図である。
【
図4】外部磁場により第1の遮蔽部材140と第2の遮蔽部材150により囲まれる領域の内部に発生する磁場の、X軸方向に垂直な面における方向を説明する図である。
【
図5】第2の磁気センサ160と第2のコイル170により構成される磁気平衡式電流センサを説明する図である。
【
図6】従来の磁気平衡式電流センサの説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<電流センサ100>
図1は、本発明の一実施形態に係る電流センサ100を示す図である。電流センサ100は、バスバ110と、第1の磁気センサ120と、第1のコイル130と、を有する。本実施形態では、バスバ110の長手方向を、X軸方向とし、バスバ110の幅方向を、Y軸方向とし、バスバ110の長手方向および幅方向に垂直な方向を、Z軸方向とする。また、X軸方向に平行な線およびY軸方向に平行な線により張られる面を水平面とする。
図2は、電流センサ100を第1の磁気センサ120が存在する位置においてX軸方向に垂直な面により切断した際の電流センサ100の断面図である。
【0010】
バスバ110は、電気導電体により構成される。バスバ110には、測定対象となる電流が流される。
【0011】
第1の磁気センサ120は、Y軸方向の磁場を測定する磁気センサであり、例えば、ホール素子や磁気抵抗効果素子である。ホール素子は、ホール効果を利用し、磁場に比例した電圧を出力する素子である。磁気抵抗素子は、磁気抵抗効果を利用し、磁場の大きさを測定する素子であり、例えば、GMR(Giant Magneto Resistance)素子や、TMR(Tunnel Magneto Resistance)素子である。第1の磁気センサ120は、例えば、
図2に示すように、基板PBに設置される。
【0012】
第1のコイル130は、その軸がY軸方向に平行なコイルであり、第1の磁気セン120は、
図2の示すように、この第1のコイル130の内部に配置される。
【0013】
第1の磁気センサ120と第1のコイル130は、例えば、
図3に示すように、磁気平衡式電流センサを構成する。第1のコイル130に流される電流の向きは、第1のコイル130の内部において、第1のコイル130を流れる電流により発生する磁場の向きが、バスバ110を流れる電流により発生する磁場の向きとは逆になるように設定される。
【0014】
第1の磁気センサ120と第1のコイル130により構成される磁気平衡式電流センサでは、第1の磁気センサ120が、バスバ110を流れる被測定電流により発生する磁場に比例する電圧値(つまり、被測定電流の値に比例する電圧値)の電圧を出力する。第1の磁気センサ130から出力された電圧は、増幅器(例えば、オペアンプ)により増幅された後に電流変換器によりフィードバック電流に変換され、このフィードバック電流が第1のコイル130を流れる。
【0015】
上述したように、本実施形態に係る電流センサ100は、磁性コアを有しておらず、第1の磁気センサ120は、バスバ110を流れる被測定電流が発生する磁場を直接測定している。このため、本実施形態では、バスバ110に大電流が流れたとしても、磁性コアを有する電流センサに比べ、フィードバック電流が大きくなることを防ぐことが可能である。また、本実施形態では、磁性コアを有してない分、製造コストを低くすることが可能である。結果、本実施形態では、低コストで小型な構成で大電流に対応可能な磁気平衡式電流センサを提供することが可能である。
【0016】
<遮蔽部材140、150>
外部磁場(バスバ110を流れる電流により発生する磁場以外の磁場)を遮蔽するために、電流センサ100は、第1の遮蔽部材140と、第2の遮蔽部材150と、をさらに有するようにすると良い。第1の遮蔽部材140、第2の遮蔽部材150は、例えば、軟磁性体により構成される。
【0017】
第1の遮蔽部材140は、第1の部分141と、第2の部分142と、第3の部分143と、を有する。第1の遮蔽部材140の第1の部分141、第2の部分142は、X軸方向およびZ軸方向に広がっている。第1の遮蔽部材140の第3の部分143は、X軸方向およびY軸方向に広がっている。第1の遮蔽部材140の第3の部分143のY軸方向の一端に、第1の部分141が接続されており、他端に、第2の部分142が接続されている。このため、第1の遮蔽部材140の断面は、
図2に示すように、U字状をしている。
【0018】
また、第2の遮蔽部材150は、第1の部分151と、第2の部分152と、第3の部分153と、を有する。第2の遮蔽部材150の第1の部分151、第2の部分152は、X軸方向およびZ軸方向に広がっている。第2の遮蔽部材150の第3の部分153は、X軸方向およびY軸方向に広がっている。第2の遮蔽部材150の第3の部分153のY軸方向の一端に、第1の部分151が接続されており、他端に、第2の部分152が接続されている。このため、第2の遮蔽部材150の断面は、
図2に示すように、U字状をしている。
【0019】
図2に示すように、第1の遮蔽部材140のY軸方向の長さと、第2の遮蔽部材150のY軸方向の長さと、は同じである。また、第1の遮蔽部材140と第2の遮蔽部材150は、
図2に示すように、第1の遮蔽部材140の第1の部分141の端部1411と、第2の遮蔽部材150の第1の部分151の端部1511と、が互いに向き合い、第1の遮蔽部材140の第2の部分142の端部1421と、第2の遮蔽部材150の第2の部分152の端部1521と、が互いに向き合うように、配置される。
【0020】
また、第1の遮蔽部材140の第1の部分141の端部1411と、第1の遮蔽部材140の第3の部分143の内側面(第3の部分143のX軸方向およびY軸方向に広がる2つの面のうちの第1の磁気センサ120側の面)1431を含む水平面PH1と、の間の距離(第1の距離L1)は、
図2に示すように、第1の遮蔽部材140の第2の部分142の端部1421と、水平面PH1と、の間の距離と同じである。つまり、第1の遮蔽部材140の第1の部分141のZ軸方向の長さは、第1の遮蔽部材140の第2の部分142のZ軸方向の長さと同じである。
【0021】
また、第2の遮蔽部材150の第1の部分151の端部1511と、第2の遮蔽部材150の第1の部分151の端部1511と第2の遮蔽部材150の第3の部分153の内側面(第3の部分153のX軸方向およびY軸方向に広がる2つの面のうちの第1の磁気センサ120側の面)1531を含む水平面PH2と、の間の距離(第2の距離L2)は、第2の遮蔽部材150の第2の部分152の端部1521と、水平面PH2と、の間の距離と同じである。つまり、第2の遮蔽部材150の第1の部分151のZ軸方向の長さは、第2の遮蔽部材150の第2の部分152のZ軸方向の長さと同じである。
【0022】
バスバ110、第1の磁気センサ120、および第1のコイル130は、
図1、2に示すように、第1の遮蔽部材140と第2の遮蔽部材150により囲まれる領域の内部に配置される。このため、本実施形態に係る電流センサ100は、外部磁場の影響を低減した状態で、バスバを流れる被測定電流を測定することが可能である。
【0023】
図4は、外部磁場により第1の遮蔽部材140と第2の遮蔽部材150により囲まれる領域の内部に発生する磁場の、X軸方向に垂直な面における方向を説明する図である。外部磁場により発生する磁場は、
図4に示すように、中心面PC上においてY軸方向を向いている。中心面PCは、第1の遮蔽部材140の第3の部分143のY軸方向の中心およぶ第2の遮蔽部材150の第3の部分153の中心を通る線と、X軸方向に平行な線と、により張られる面である。
【0024】
そこで、第1の磁気センサ120のY軸方向の位置は、
図2に示すように、中心面PCからずれるようにすると良い。このようにすることで、外部磁場の影響をより低減した状態で、バスバを流れる被測定電流を測定することが可能になる。
【0025】
図4に示すように、X軸方向に垂直な面において、第1の遮蔽部材140の第1の部分141の内側面(第1の部分141のX軸方向およびZ軸方向に広がる2つの面のうちの第1の磁気センサ120側の面)1412から、Y軸方向に、第1の距離L1だけ離れて位置する線上において、外部磁場により発生する磁場は、Z軸方向を向いており、外部磁場により発生する磁場のY軸成分はゼロである。
【0026】
そこで、第1の磁気センサ120は、
図2に示すように、X軸方向に垂直な面において、第1の遮蔽部材140の第1の部分141の内側面1412から第1の距離L1だけ離れて位置する線の近傍に配置するようにする良い。つまり、第1の磁気センサ120(例えば、第1の磁気センサ120のセンサ領域の中心)と、第1の遮蔽部材140の第1の部分141の内側面1412から第1の距離L1だけ離れて位置にする面と、の距離は、第1の値以内にするようにすると良い。第1の値は、適宜設置される。このようにすることで、外部磁場の影響をより低減した状態で、バスバを流れる被測定電流を測定することが可能になる。
【0027】
また、X軸方向に垂直な面において、
図4に示すように、第1の遮蔽部材140の第1の部分141の内側面1412から第1の距離L1だけ離れて位置する線の近傍であっても、第1の遮蔽部材140の第1の部分141の端部1411と第2の遮蔽部材150の第1の部分151の端部1511との間の中心および第1の遮蔽部材140の第2の部分142の端部1421と第2の遮蔽部材150の第2の部分152の端部1521との間の中心を含む水平面PH3の近傍では、外部磁場により発生する磁場は、Y軸方向に向いている。
【0028】
そこで、第1の磁気センサ120は、
図2に示すように、水平面PH3の近傍から離れた位置に配置するようにする良い。つまり、第1の磁気センサ120(例えば、第1のセンサ120のセンサ領域の中心)と、水平面PH3と、の距離は、第2の値以上にするようにすると良い。第2の値は、適宜設置される。このようにすることで、外部磁場の影響をより低減した状態で、バスバを流れる被測定電流を測定することが可能になる。
【0029】
また、第1の遮蔽部材140の第1の部分141の端部1411と水平面PH1との間の距離である第1の距離L1は、第2の遮蔽部材150の第1の部分151の端部1511と水平面PH2との間の距離である第2の距離L2以上であるようにすると良い。つまり、第1の遮蔽部材140の第1の部分141のZ軸方向の長さは、第2の遮蔽部材150の第1の部分151のZ軸方向の長さ以上であるようにすると良い。このようにすることで、第1の遮蔽部材140に囲まれる領域のうち、磁場のY軸成分はゼロである領域が広がる。結果、第1の磁気センサ120の配置が容易になる。
【0030】
<第2の磁気センサ160、第2のコイル170>
電流センサ100は、
図1、2に示すように、第2の磁気センサ160と第2のコイル170を有するようにしも良い。
【0031】
第2の磁気センサ160は、Y軸方向の磁場を測定する磁気センサであり、例えば、ホール素子や磁気抵抗効果素子である。第2の磁気センサ160は、例えば、
図2に示すように、基板PBに設置される。
【0032】
第2のコイル170は、その軸がY軸方向に平行なコイルであり、第2の磁気センサ120は、
図2の示すように、この第2のコイル170の内部に配置される。
【0033】
第2の磁気センサ160と第2のコイル170も、例えば、
図5に示すように、磁気平衡式電流センサを構成する。第2のコイル170に流される電流の向きは、第2のコイル170の内部において、第2のコイル170を流れる電流により発生する磁場の向きが、バスバ110を流れる電流により発生する磁場の向きとは逆になるように設定される。
【0034】
第2の磁気センサ160と第2のコイル170により構成される磁気平衡式電流センサでは、第2の磁気センサ160が、バスバ110を流れる被測定電流により発生する磁場に比例する電圧値(つまり、被測定電流の値に比例する電圧値)の電圧を出力する。第2の磁気センサ160から出力された電圧は、増幅器(例えば、オペアンプ)により増幅された後に電流変換器によりフィードバック電流に変換され、このフィードバック電流が第2のコイル170を流れる。
【0035】
このようにすることで、電流センサ100は、第1の磁気センサ120と第1のコイル130により構成される磁気平衡式電流センサに加え、第2の磁気センサ160と第2のコイル170により構成される磁気平衡式電流センサも備えることになる。つまり、電流センサは、2つの磁気平衡式電流センサを備えることになり、冗長性が得られる。
【0036】
X軸方向に垂直な面において、
図4に示すように、第1の遮蔽部材140の第2の部分142の内側面(第2の部分142のX軸方向およびZ軸方向に広がる2つの面のうちの第1の磁気センサ120側の面)1422から、Y軸方向に、第1の距離L1だけ離れて位置する線上において、外部磁場により発生する磁場は、Z軸方向を向いており、外部磁場により発生する磁場のY軸成分はゼロである。
【0037】
そこで、第2の磁気センサ120は、
図2に示すように、X軸方向に垂直な面において、第1の遮蔽部材140の第2の部分142の内側面1422から第1の距離L1だけ離れて位置する線の近傍に配置するようにする良い。つまり、第2の磁気センサ120(例えば、第2のセンサ160のセンサ領域の中心)と、第1の遮蔽部材140の第2の部分142の内側面1422から第1の距離L1だけ離れて位置にする面と、の距離は、第3の値以内にするようにすると良い。第3の値は、適宜設置される。このようにすることで、外部磁場の影響をより低減した状態で、第2の磁気センサ160を用いて、バスバを流れる被測定電流を測定することが可能になる。
【0038】
また、X軸方向に垂直な面において、
図4に示すように、第1の遮蔽部材140の第2の部分142の内側面1422から第1の距離L1だけ離れて位置する線の近傍であっても、水平面PH3の近傍では、外部磁場により発生する磁場は、Y軸方向を向いている。
【0039】
そこで、第2の磁気センサ160は、
図2に示すように、X軸方向に垂直な面において、水平面PH3の近傍から離れた位置に配置するようにする良い。つまり、第2の磁気センサ160(例えば、第2のセンサ160のセンサ領域の中心)と、水平面PH3と、の距離は、第4の値以上にするようにすると良い。第4の値は、適宜設置される。このようにすることで、外部磁場の影響をより低減した状態で、第2の磁気センサ160を用いて、バスバを流れる被測定電流を測定することが可能になる。
【0040】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に記載した本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更が可能である。
【符号の説明】
【0041】
100 電流センサ
110 バスバ
120 第1の磁気センサ
130 第1のコイル
140 第1の遮蔽部材
141 第1の遮蔽部材140の第1の部分
1411 第1の部分141の端部
1412 第1の部分141の内側面
142 第1の遮蔽部材140の第2の部分
1421 第2の部分142の端部
1422 第2の部分142の内側面
143 第1の遮蔽部材140の第3の部分
1431 第3の部分143の内側面
150 第2の遮蔽部材
151 第2の遮蔽部材150の第1の部分
1511 第1の部分151の端部
1512 第1の部分151の内側面
152 第2の遮蔽部材150の第2の部分
1521 第2の部分152の端部
1522 第2の部分152の内側面
153 第2の遮蔽部材150の第3の部分
1531 第3の部分153の内側面
160 第2の磁気センサ
170 第2のコイル