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特開2024-141521シミュレーション装置、シミュレーションシステム、シミュレーション方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141521
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】シミュレーション装置、シミュレーションシステム、シミュレーション方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 9/00 20060101AFI20241003BHJP
   G09B 19/00 20060101ALI20241003BHJP
   G09B 5/02 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G09B9/00 M
G09B19/00 H
G09B5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053224
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】山崎 隆道
(72)【発明者】
【氏名】横尾 崇史
(72)【発明者】
【氏名】小原 敏晴
(72)【発明者】
【氏名】山下 哲
(72)【発明者】
【氏名】本間 康文
(72)【発明者】
【氏名】太田 靖弘
(72)【発明者】
【氏名】川畑 里紗
(72)【発明者】
【氏名】小松 優太
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 泰明
【テーマコード(参考)】
2C028
【Fターム(参考)】
2C028AA10
2C028BA00
2C028BB01
2C028BC02
2C028BC04
(57)【要約】
【課題】 訓練対象者が、他の隊員と協力する方法を習得でき、かつ、訓練対象者が他の隊員と協力する方法を習得できていることを確認できるシミュレーション装置等を提供する。
【解決手段】 シミュレーション画像空間に配置されたプレイヤーキャラクタをプレイヤーが操作することで警防活動のシミュレーションを行うシミュレーション装置であって、プレイヤーキャラクタの行動を指示する入力情報に基づいて、プレイヤーキャラクタのシミュレーション画像空間内における位置およびプレイヤーキャラクタの行動を特定する特定手段と、特定された位置および行動に基づいてシミュレーションを進行させる制御手段と、プレイヤーキャラクタのチームにおける役割および特定された行動に基づいて、プレイヤーキャラクタの行動を評価する評価手段と、評価の結果を示す情報を生成し表示装置へ出力する出力手段とを備える、シミュレーション装置。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シミュレーション画像空間に配置されたプレイヤーキャラクタをプレイヤーが操作することで警防活動のシミュレーションを行うシミュレーション装置であって、
前記プレイヤーキャラクタの行動を指示する入力情報に基づいて、前記プレイヤーキャラクタの前記シミュレーション画像空間内における位置および前記プレイヤーキャラクタの行動を特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定された、前記位置および前記行動に基づいて、前記シミュレーションを進行させる制御手段と、
前記プレイヤーキャラクタのチームにおける役割、および前記特定手段で特定された前記行動に基づいて、前記プレイヤーキャラクタの行動を評価する評価手段と、
前記評価手段による評価の結果を示す情報を生成し、表示装置へ出力する出力手段と
を備える、シミュレーション装置。
【請求項2】
前記評価手段は、前記行動が少なくともチームにおける役割を果たしているか否か、または前記行動が少なくとも前記チームにおける役割を果たしていることの程度を評価する
ことを特徴とする、請求項1に記載のシミュレーション装置。
【請求項3】
前記評価手段はさらに、前記シミュレーションを開始してからの経過時間、焼損面積、または放水量の少なくともいずれかに基づいて評価を行う
ことを特徴とする、請求項1に記載のシミュレーション装置。
【請求項4】
前記位置および前記行動に基づいて、前記プレイヤーキャラクタが次に取り得る行動または行動指針の少なくともいずれかを含む示唆情報を生成する示唆情報生成手段をさらに備え、
前記制御手段は、シミュレーション映像に重畳して前記示唆情報を表示するよう制御する
ことを特徴とする、請求項1に記載のシミュレーション装置。
【請求項5】
前記示唆情報を前記シミュレーション映像に表示するか否かについて、前記プレイヤーへ入力を要求する入力要求手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記入力要求手段が受け付けた入力に応じて前記シミュレーション映像を制御する
ことを特徴とする、請求項4に記載のシミュレーション装置。
【請求項6】
前記位置および前記シミュレーションを開始してからの経過時間に基づき、前記プレイヤーキャラクタの移動経路を示す移動経路情報を生成する移動経路情報生成手段をさらに備え、
前記出力手段は、前記移動経路情報およびシミュレーション映像をさらに表示装置へ出力する
ことを特徴とする、請求項1に記載のシミュレーション装置。
【請求項7】
前記シミュレーションの設定について、前記プレイヤーへ入力を要求する入力要求手段をさらに備え、
前記入力要求手段は、火災が発生した建物の設定、緊急車両の設定、または被災者の設定の少なくともいずれか1つの入力を要求する
ことを特徴とする、請求項1に記載のシミュレーション装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシミュレーション装置と、
ユーザが入力を行うための入力装置と
を備える、シミュレーションシステム。
【請求項9】
シミュレーション画像空間に配置されたプレイヤーキャラクタをプレイヤーが操作することで警防活動のシミュレーションを行うシミュレーション方法であって、
前記プレイヤーキャラクタの行動を指示する入力情報に基づいて、前記プレイヤーキャラクタの前記シミュレーション画像空間内における位置および前記プレイヤーキャラクタの行動を特定し、
前記位置および前記行動に基づいて、前記シミュレーションを進行させ、
前記プレイヤーキャラクタのチームにおける役割、および前記行動に基づいて、前記プレイヤーキャラクタの行動を評価し、
前記評価の結果を示す情報を生成し、表示装置へ出力する
ことを特徴とする、シミュレーション方法。
【請求項10】
シミュレーション画像空間に配置されたプレイヤーキャラクタをプレイヤーが操作することで警防活動のシミュレーションを行うプログラムであって、
コンピュータに、
前記プレイヤーキャラクタの行動を指示する入力情報に基づいて、前記プレイヤーキャラクタの前記シミュレーション画像空間内における位置および前記プレイヤーキャラクタの行動を特定する処理と、
前記位置および前記行動に基づいて、前記シミュレーションを進行させる処理と、
前記プレイヤーキャラクタのチームにおける役割、および前記行動に基づいて、前記プレイヤーキャラクタの行動を評価する処理と、
前記評価の結果を示す情報を生成し、表示装置へ出力する処理と
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、警防活動の訓練をするための訓練装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
火災の発生件数の減少に伴い、消防関係者等の警防活動の経験が不足している。警防活動の技術向上のため、体験型のシミュレーション装置の開発が望まれる。
【0003】
消防関係者等の訓練対象者に向けた火災訓練装置が、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された火災訓練装置は、火災訓練の進行に応じて、中性帯の形成、ロールオーバーの発生および放水による中性帯の崩壊のいずれかの状況を設定する。火災訓練装置は、設定された状況を仮想空間の映像として描画する。火災訓練装置は、HMD(Head Mounted Display)から取得したデータを用いて、訓練対象者の頭の位置の高さ(頭の高さ)を算出する。火災訓練装置は、訓練対象者の頭の高さが、所定の条件を満たす場合に、警告を行う。
【0004】
消防関係者の業務を体験するためのシミュレーションゲームが、非特許文献1に開示されている。非特許文献1に記載のシミュレーションゲームは、消火活動や救出活動を行う。シミュレーションゲームは、活動開始から活動終了までに要した時間、水の使用量、救助された要救助者の人数等に基づき、評価を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-72725号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】”Firefighting Simulator - The Squad”[online]、ASTRAGON ENTERTAINMENT GMBH、[令和5年3月7日検索]、インターネット<https://www.playstation.com/ja-jp/games/firefighting-simulator-the-squad/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
警防活動にあたり、各隊員は、他の隊員と協力して活動する必要がある。警防活動を有効かつ安全に行うためには、チームワークの保持が重要である。体験型のシミュレーション装置では、訓練対象者が、他の隊員と協力する方法を習得でき、かつ、訓練対象者が他の隊員と協力する方法を習得できていることを確認できることが望ましい。しかしながら、特許文献1または非特許文献1に開示された技術では、上記を実現できていない。さらに、非特許文献1に開示された技術は、消防関係者の業務を体験することが目的であり、他の隊員と協力する方法を習得することを目的としていない。
【0008】
本開示の目的は、訓練対象者が、他の隊員と協力する方法を習得でき、かつ、訓練対象者が他の隊員と協力する方法を習得できていることを確認できるシミュレーション装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様のシミュレーション装置は、シミュレーション画像空間に配置されたプレイヤーキャラクタをプレイヤーが操作することで警防活動のシミュレーションを行うシミュレーション装置であって、プレイヤーキャラクタの行動を指示する入力情報に基づいて、プレイヤーキャラクタのシミュレーション画像空間内における位置およびプレイヤーキャラクタの行動を特定する特定手段と、特定手段によって特定された、位置および行動に基づいて、シミュレーションを進行させる制御手段と、プレイヤーキャラクタのチームにおける役割、および特定手段で特定された行動に基づいて、プレイヤーキャラクタの行動を評価する評価手段と、評価手段による評価の結果を示す情報を生成し、表示装置へ出力する出力手段とを備える。
【0010】
本開示の一態様のシミュレーション方法は、シミュレーション画像空間に配置されたプレイヤーキャラクタをプレイヤーが操作することで警防活動のシミュレーションを行うシミュレーション方法であって、プレイヤーキャラクタの行動を指示する入力情報に基づいて、プレイヤーキャラクタのシミュレーション画像空間内における位置およびプレイヤーキャラクタの行動を特定し、位置および行動に基づいて、シミュレーションを進行させ、プレイヤーキャラクタのチームにおける役割、および特定手段で特定された行動に基づいて、プレイヤーキャラクタの行動を評価し、評価の結果を示す情報を生成し、表示装置へ出力することを特徴とする。
【0011】
本開示の一態様のプログラムは、シミュレーション画像空間に配置されたプレイヤーキャラクタをプレイヤーが操作することで警防活動のシミュレーションを行うプログラムであって、コンピュータに、プレイヤーキャラクタの行動を指示する入力情報に基づいて、プレイヤーキャラクタのシミュレーション画像空間内における位置およびプレイヤーキャラクタの行動を特定する処理と、位置および行動に基づいて、シミュレーションを進行させる処理と、プレイヤーキャラクタのチームにおける役割、および特定手段で特定された行動に基づいて、プレイヤーキャラクタの行動を評価する処理と、評価の結果を示す情報を生成し、表示装置へ出力する処理とを実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、訓練対象者が、他の隊員と協力する方法を習得でき、かつ、訓練対象者が他の隊員と協力する方法を習得できているか否かを確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示に係る第1のシミュレーションシステムについて説明するための概念図である。
図2】本開示に係る第1のシミュレーションシステムの構成の一例を示すブロック図である。
図3】本開示に係る第1のシミュレーション装置の構成の一例を示すブロック図である。
図4】本開示に係る記憶装置が記憶する、入力情報に応じたプレイヤーキャラクタCの行動の一例である。
図5】本開示に係る記憶装置に記憶される行動指針情報の一例を示す図である。
図6】本開示に係る出力部が生成する情報の一例を示す図である。
図7】本開示に係る第1のシミュレーション装置の動作の一例を示す図である。
図8】本開示に係る第2のシミュレーションシステムの構成の一例を示すブロック図である。
図9】本開示に係る示唆情報生成部が生成する示唆情報について説明するための概念図である。
図10】本開示に係る移動経路情報生成部が生成する移動経路情報および制御部が生成する出力情報について説明するための概念図である。
図11】本開示に係る第2のシミュレーション装置が、シミュレーション実行前に行う動作の一例を示す図である。
図12】本開示に係る第2のシミュレーション装置が、シミュレーション実行中に行う動作の一例を示す図である。
図13】本開示に係る第2のシミュレーション装置による、シミュレーション進行処理の動作の一例を示す図である。
図14】本開示に係る第2のシミュレーション装置が、シミュレーション終了後に行う動作の一例を示す図である。
図15】本開示に係る第3のシミュレーションシステムについて説明するための概念図である。
図16】本開示に係る第3のシミュレーションシステムの構成の一例を示すブロック図である。
図17】本開示に係る第3のシミュレーション装置の動作の一例を示す図である。
図18】各実施形態に係る制御や処理を実行するハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。以下の実施形態の説明に用いる全図においては、特に理由がない限り、同様箇所には同一符号を付す。以下の実施形態において、同様の構成・動作に関しては繰り返しの説明を省略する場合がある。
【0015】
[第1実施形態]
図1は、本開示に係るシミュレーションシステムの一例について説明するための概念図である。シミュレーションシステム1は、警防活動のシミュレーションを行うためのものである。
【0016】
シミュレーションシステム1のプレイヤーP(P1)は、シミュレーション映像Vのシミュレーション画像空間に配置されたプレイヤーキャラクタC(例えば、C1)を操作する。プレイヤーPの操作は、プレイヤーキャラクタCの行動を介して評価される。シミュレーション映像Vは、例えば、仮想現実の空間を表現した映像である。プレイヤーキャラクタC(C1、C2、C3、およびC4)には、部隊の種類と、部隊における役割とが割り振られる。部隊の種類とは、警防活動の目的に応じて編成された集団を指す。部隊の種類は、例えば、ポンプ隊、特別消火隊、はしご隊、救助隊、または指揮隊を含む。部隊における役割とは、各部隊を構成する隊員の、警防活動における役割を指す。部隊における役割は、例えば、消防隊長、運転員、放水要員、放水補助要員、または伝令要員を含む。
【0017】
シミュレーションシステム1のプレイヤーPは、1人であっても複数人であってもよい。プレイヤーの人数が警防活動に必要な人数に満たない場合、シミュレーションシステム1は、不足人数分のオートキャラクタを用いる。オートキャラクタとは、プレイヤーキャラクタCのうち、シミュレーション装置100によって行動が自動で制御されるキャラクタを指す。シナリオは、部隊の種類と、部隊における役割ごとに予め用意されている。図1の表示装置200に表示されたシミュレーションの映像には、プレイヤーキャラクタCが4人(プレイヤーキャラクタC1、C2、C3、およびC4)含まれる。例えば、シミュレーションシステム1のプレイヤーが1人(プレイヤーP1)で、プレイヤーP1はプレイヤーキャラクタC1を操作するとする。プレイヤーが操作するキャラクタがC1のみである場合、プレイヤーキャラクタC2、C3、およびC4は、プレイヤーによって操作されないオートキャラクタである。
【0018】
シミュレーションは、シミュレーション装置100(図示せず)の制御部102によって進行される。シミュレーション映像Vは、シミュレーション装置100の制御部102によって制御される。制御部102がどのようにシミュレーション映像Vを制御するかについては、後述する。シミュレーション映像Vは、表示装置200に表示される。シミュレーション映像Vは、図1のようにプレイヤーキャラクタC全員が映るような画角であってもよいし、特定のプレイヤーキャラクタCの視点映像であってもよい。シミュレーションシステム1を使用するプレイヤーPは、入力装置300を介して入力を行う。入力装置300を介して入力された入力情報は、シミュレーション装置100に送信される。シミュレーション装置100は、受信した入力情報に基づいて、シミュレーションを進行させる。
【0019】
(シミュレーションシステムの構成)
図2は、第1実施形態に係るシミュレーションシステム1の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、シミュレーションシステム1は、シミュレーション装置100、表示装置200、入力装置300、および記憶装置400を含む。
【0020】
シミュレーション装置100は、シミュレーション画像空間に配置されたプレイヤーキャラクタをプレイヤーが操作して警防活動のシミュレーションを行うシミュレーション装置である。シミュレーション装置100の詳細については、後述する。
【0021】
表示装置200は、例えば、ディスプレイ、HMD(Head Mounted Display)等によって実現される。表示装置がHMDによって実現される具体例は、第3実施形態で後述する。表示装置200は、シミュレーション装置100と通信可能に接続されている。表示装置200は、シミュレーション装置100から受信したシミュレーションの映像を表示する。
【0022】
入力装置300は、各種のユーザインタフェースによって実現される。例えば、入力装置300は、キーボード、マウス、ジョイスティック等のコントローラ、またはマイクロホンにより実現される。入力装置300は、警防活動において実際に使用される道具を模して造られた専用のコントローラであってもよい。例えば、入力装置300は、放水ホース、投光器、救命策発射銃、またはその他の救助器具を模したコントローラによって実現されてもよい。実際に使用される道具を模したコントローラを使用することにより、シミュレーションにリアリティが生じるため、プレイヤーが技術を習得しやすくなるという効果が生じる。
【0023】
シミュレーション装置100は、入力装置300と通信可能に接続されている。プレイヤーPは、入力装置300を介して入力を行う。入力された情報は、入力情報としてシミュレーション装置100に送信される。入力情報は、プレイヤーキャラクタCの行動を指示する情報と、プレイヤーキャラクタのチームにおける役割を指定する情報とを含む。プレイヤーキャラクタCの行動を指示する情報とは、例えば、図4の「キー」に相当する情報である。プレイヤーキャラクタのチームにおける役割を指定する情報とは、例えば、図5の「誘導隊員」「隊員」「監視員」等を指す。これらの情報の詳細については、後述する。
【0024】
記憶装置400は、シミュレーション装置100による処理に用いられる情報を記憶する。記憶装置400は、シミュレーション装置100の構成の一部であってもよい。記憶装置400は、具体的には、シミュレーション画像情報、設定情報、オブジェクト情報、シナリオ情報、入力情報に応じたプレイヤーキャラクタ―Cの行動を指定する行動指定情報、および行動指針情報を記憶する。記憶装置400は、これら以外の情報を記憶してもよい。
【0025】
シミュレーション画像情報、設定情報、オブジェクト情報、およびシナリオ情報は、シミュレーション装置100がシミュレーションを進行するために必要な情報である。これらの情報は、制御部102によって参照される。
【0026】
シミュレーション画像情報は、表示装置200の画面に表示するシミュレーション画像に関する情報である。シミュレーション画像情報は、表示装置200に表示されるシミュレーション映像Vを含む。シミュレーション映像Vは、シミュレーションの進行とともに読み出されて、表示装置200に表示される。シミュレーション画像情報は、シナリオ情報と連動して、制御部102によって表示が制御されもよい。シミュレーション画像情報は、2次元あるいは3次元空間の複数の静止画情報または動画情報であってもよい。以降の説明において、静止画情報をシミュレーション画像と記し、動画情報をシミュレーション映像と記す。さらに、シミュレーション画像情報は、火災現場の建物の外観および建物の内部空間を映像化した建物情報を含む。建物情報は、実在の建物を3D(3-Dimension)スキャンした情報を含んでもよい。あるいは、建物情報は、スキャンした複数の実在する建物の情報をシミュレーション画像に加工した建物空間を示す情報を含んでもよい。
【0027】
設定情報とは、火災が発生する消火対象の建物に関する情報である。設定情報は、例えば、建物の種類、材質、階数、間取り、窓の数および窓の位置等の情報を含む。設定情報は、シミュレーションの実行前に、予めユーザによって設定されるものとする。設定情報は、ユーザが操作する入力装置300によって入力され、記憶装置400に記憶される。例えば、記憶装置400は、設定情報と建物情報とを関連付けて記憶してもよい。制御部102は、設定情報に基づいて、建物の種類、材質、階数、間取り、窓の数および窓の位置に応じた建物画像の建物情報を生成してもよい。制御部102は、生成した建物情報を、シミュレーション画像に合成してもよい。
【0028】
オブジェクト情報は、シミュレーション画像情報におけるシミュレーション画像空間に配置するオブジェクトの情報である。オブジェクト情報は、例えば、緊急車両、プレイヤーキャラクタC、炎、警防活動にあたり必要な用具、建物内で逃げ遅れた被災者等の画像情報、およびシミュレーション画像空間における表示位置を表す情報を含む。オブジェクト情報は、動画情報、すなわちオブジェクトの映像を含む。制御部102は、シミュレーションの進行に伴い、オブジェクト情報をシミュレーション画像空間に配置してもよい。オブジェクト情報は、シミュレーションの進行中に、プレイヤーPによる入力装置300の操作に応じて、選択、削除、または追加される。
【0029】
シナリオ情報は、シミュレーション進行にあたり必要な情報である。シナリオ情報は、例えば、オブジェクトごとに定められる。例えば、シナリオ情報は、プレイヤーキャラクタCの行動に応じて他のオブジェクトの映像を制御部102により変化させるための制御情報または指示情報、オブジェクトの映像を経時的に変化させるための制御情報または指示情報を含む。
【0030】
入力情報に応じたプレイヤーキャラクタCの行動を指定する行動指定情報とは、シミュレーション実行中における入力装置300からの入力情報と、プレイヤーキャラクタCの行動とを紐づけた情報である。入力情報に応じたプレイヤーキャラクタCの行動は、シミュレーションの進行中にシミュレーション装置100の特定部101によって特定される。具体的には、プレイヤーキャラクタCの行動は、特定部101が行動指定情報を参照することによって特定される。換言すれば、シミュレーション装置100は、入力装置300からの入力情報によって、シミュレーションの進行中におけるプレイヤーキャラクタCの行動を特定する。
【0031】
入力情報に応じたプレイヤーキャラクタCの行動の特定について、具体例を用いてさらに説明する。例えば、入力装置300がキーボードによって実現されるとする。この場合、記憶装置400は、入力装置300から入力されるキーの種類と、当該キーに応じたプレイヤーキャラクタCの行動とを紐づけて保存する。図4は、記憶装置400が記憶する、入力情報とプレイヤーキャラクタCの行動との関係を示す情報の一例である。図4に示すプレイヤーキャラクタCの行動は一例であり、これに限らない。具体的には、シミュレーション装置100の特定部101は、図4のような情報を参照して、入力されたキーに応じてプレイヤーキャラクタCの行動を特定する。
【0032】
図4に示す例では、キーAには、プレイヤーキャラクタCが左へ移動することが紐づけられている。キーDには、プレイヤーキャラクタCが右へ移動することが紐づけられている。キーWには、プレイヤーキャラクタCが前進することが紐づけられている。キーZには、プレイヤーキャラクタCが後退することが紐づけられている。図4では一例として、プレイヤーキャラクタCが上下左右にのみ移動するものとしたが、これに限らない。例えば、プレイヤーキャラクタCが左斜め上に移動することに対して、特定のキーを割り当ててもよい。制御部102は、キーの操作に応じて、キーにより指示した方向にプレイヤーキャラクタCが移動するよう、シミュレーション画像を変更する。
【0033】
キーFには、プレイヤーキャラクタCが特定のオブジェクトを選択することが紐づけられている。特定のオブジェクトとは、例えば、プレイヤーキャラクタCの最も近くにあるオブジェクトである。キーQには、プレイヤーキャラクタCが選択したオブジェクトの選択を解除することが紐づけられている。制御部102は、キー操作により選択したオブジェクトを、プレイヤーキャラクタCがシミュレーション画像空間で操作できるように制御する。
【0034】
キーEには、プレイヤーキャラクタCが他のプレイヤーキャラクタCに対して応援を要請することが紐づけられている。制御部102は、応援が要請されると、シミュレーション画像を変更する。例えば、制御部102は、他のプレイヤーPの表示画面に応援要請があったことを示す情報を表示させるように、シミュレーション画像を制御する。
【0035】
左右の矢印キーには、プレイヤーキャラクタCが選択したオブジェクトを変更することが紐づけられる。あるいは、左右の矢印キーには、プレイヤーキャラクタCが把持するオブジェクトの把持角度を変更することが紐づけられる。記憶装置400はこのように、同一のキーに複数の行動を紐づけて記憶してもよい。この場合、特定部101は、プレイヤーキャラクタCの状態によって、どの行動と特定するかを変化させる。例えば、プレイヤーキャラクタCがオブジェクトを選択した状態であれば、特定部101は、プレイヤーキャラクタCが選択したオブジェクトを変更する行動であると特定する。例えば、プレイヤーキャラクタCがオブジェクトを把持した状態であれば、特定部101は、プレイヤーキャラクタCが選択したオブジェクトを変更する行動であると特定する。制御部102は、キーの操作に応じて、プレイヤーキャラクタCがキーにより指示した行動を行うように、シミュレーション画像を変更する。
【0036】
上下の矢印キーには、プレイヤーキャラクタCの姿勢角度を変更させることが紐づけられる。制御部102は、キーの操作に応じて、プレイヤーキャラクタCの姿勢が変化して見えるように、シミュレーション画像を変更する。
【0037】
行動指針情報は、チームにおけるプレイヤーキャラクタCの役割に関連する行動指針を示す情報の一例である。行動指針情報は、予めユーザによって定められる。具体的には、行動指針情報は、過去の事故事例に基づいて定められた、消防関係者の行動指針の情報である。行動指針情報は、他の隊員とどのように連携して行動すべきかを定めた、隊員の行動指針に関する情報である。換言すれば、行動指針情報とは、隊員が他の隊員と協働して役割を果たすべき行動の内容を規定した行動指針に関する情報である。
【0038】
行動指針情報は、後述する評価部103によって参照される。行動指針情報は、プレイヤーキャラクタCの役割ごとに用意される。
【0039】
図5は、記憶装置400に記憶される行動指針情報の一例を示す図である。図5に示すように、記憶装置400は、プレイヤーキャラクタCの役割と、シーンと、行動指針と、行動指針を満たすプレイヤーキャラクタCの行動とを紐づけて、行動原則情報として記憶する。行動指針を満たすプレイヤーキャラクタCの行動とは、当該行動指針を満たすために、プレイヤーキャラクタCが行う行動を指す。行動指針を満たすプレイヤーキャラクタCの行動は、単一の行動である場合と、複数の行動の組合せである場合とがある。複数の行動の組合せである場合には、行動の順番が指定されていることが望ましい。例えば、図5に示す「合図」、「応援要請(警察官)」、「応援要請(監視員)」および「警告(進行列車が来たタイミングで)」の各々は、単一の行動である。図5に示す「確認→移動→確認」「姿勢変更→確認」「応援要請→オブジェクト選択→姿勢変更→移動」は、複数の行動の組合せである。図5の例では、矢印の指す方向に向けて行動の順番を指定している。
【0040】
(シミュレーション装置の構成)
次に、シミュレーション装置100の構成について説明する。図3は、第1実施形態に係るシミュレーション装置の構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、シミュレーション装置100は、特定部101、制御部102、評価部103、および出力部104を備える。
【0041】
特定部101は、プレイヤーキャラクタCの行動を指示する入力情報に基づいて、プレイヤーキャラクタCのシミュレーション画像空間内における表示位置およびプレイヤーキャラクタCの行動を特定する特定手段の一例である。
【0042】
特定部101は、例えば以下のようにしてプレイヤーキャラクタCのシミュレーション画像空間内における位置を特定する。プレイヤーキャラクタCのシミュレーション画像空間内における初期位置は、予め決められている。特定部101は、入力装置300からプレイヤーキャラクタCの移動に係る情報を受け付ける。例えば、特定部101は、左へ移動することを示す入力情報を受信する。特定部101は、入力情報に基づいて、プレイヤーキャラクタCを、プレイヤーキャラクタCの視点方向を基準として左へ移動させる。この際、プレイヤーキャラクタCは、予め決められた速度で移動するものとする。尚、上述した手法は一例でありこれに限らない。
【0043】
上述した、位置を特定する処理について、具体例を用いてさらに説明する。例えば、プレイヤーキャラクタCが配置されるシミュレーション画像空間が(x、y、z)の3軸座標系で定義された空間であるとする。プレイヤーキャラクタCの現在位置は(0、0、0)であり、プレイヤーキャラクタCはx軸の正の方向を向いているとする。入力装置300から受信した入力情報が、前方へ移動することを示す入力情報であるとする。プレイヤーキャラクタCは、1フレームで3[pixel]ずつ移動するものとする。この場合、特定部101は、プレイヤーキャラクタCの座標を(3、0、0)であると特定する。
【0044】
特定部101はまた、例えば以下のようにしてプレイヤーキャラクタCの行動を特定する。特定部101は、入力装置300からプレイヤーキャラクタCの行動を指示する入力情報を受信する。プレイヤーキャラクタCの行動を指示する入力情報は、例えば、キー入力である。特定部101は、記憶装置400に記憶された、入力情報に応じたプレイヤーキャラクタCの行動を参照して、入力情報に応じたプレイヤーキャラクタCの行動を特定する。
【0045】
制御部102は、特定部101によって特定された、プレイヤーキャラクタCの位置およびプレイヤーキャラクタCの行動に基づいて、シミュレーションを進行させる。制御部102は、記憶装置400に記憶されたシミュレーション画像情報、設定情報、オブジェクト情報、およびシナリオ情報を参照して、シミュレーションを進行させる。
【0046】
評価部103は、プレイヤーキャラクタCのチームにおける役割、および特定部101で特定されたプレイヤーキャラクタCの行動に基づいて、プレイヤーキャラクタCの行動を評価する評価手段の一例である。
【0047】
以下、評価部103が評価を行う手順について説明する。まず、評価部103は、入力装置300から、プレイヤーキャラクタCのチームにおける役割を表す入力情報を受信する。チームにおける役割を表す入力情報とは、例えば、「隊員」「誘導隊員」「監視員」等を指す情報である。次に、評価部103は、記憶装置400に記憶された行動指針情報を参照する。前述したように、行動指針情報は、隊員すなわちプレイヤーが、他の隊員すなわち他のプレイヤーと連携してどのような行動をすべきかを定めた行動指針に関する情報である。そのため、評価部103は、特定部101によって特定された行動が、記憶装置400に記憶された行動指針を満たすプレイヤーキャラクタCの行動と一致すれば、チームにおける役割を果たしているとして評価する。つまり、評価部103は、プレイヤーキャラクタCの行動が、チームにおける役割を果たしているか否かを評価する。
【0048】
あるいは、評価部103は、行動指針を満たした程度を示すスコアを算出することで評価を行ってもよい。具体的には、評価部103は、特定部101によって特定された行動と、記憶装置400に記憶された行動指針を満たすプレイヤーキャラクタCの行動との類似度を用いて、スコアを算出する。例えば、評価部103は、類似度が高いほど、スコアの値を大きくする。さらに、評価部103は、シミュレーション開始から終了までにプレイヤーPが獲得したスコアの合計を算出してもよい。評価部103は、プレイヤーキャラクタCの行動が、記憶装置400に記憶された行動指針情報を満たす場合に加点を行う。評価部103は、シミュレーション開始から終了までにプレイヤーPが獲得したスコアの合計点を算出することで評価を行う。つまり、評価部103は、プレイヤーキャラクタCの行動が、チームにおける役割を果たしていることの程度を評価する。
【0049】
また、評価部103は、プレイヤーが複数いる場合には、各プレイヤーがチームにおける役割を果たしていることに加えて、チーム全体の評価を行ってもよい。例えば、評価部103は、各シーンについて、各プレイヤーキャラクタCの行動が行動指針情報を全て満たす場合に、チーム全体を評価する。
【0050】
出力部104は、評価部103による評価の結果を示す情報を生成し、表示装置200へ出力する出力手段の一例である。図6は、出力部104が生成する情報の一例を示す図である。図6では、一例として、プレイヤーキャラクタCの役割が隊員である場合の出力情報を示す。出力部104は、プレイヤーキャラクタCの役割ごとに定められた行動指針を満たすか否かを示す情報を含む出力情報を生成する。図6に示す出力情報では、一例として、各行動指針を満たすか否かを「○」または「×」で表すこととしたが、これに限らない。例えば、出力情報は、行動指針ごとに算出されたスコアと、合計スコアとを含むものとしてもよい。あるいは、出力情報は、チーム全体の評価を含むものとしてもよい。また、出力情報は、プレイヤーPまたはチーム全体のランキングを示す情報を含んでもよい。
【0051】
(シミュレーション装置の動作)
次に、第1実施形態におけるシミュレーション装置100の動作の一例について、図7を参照して説明する。図7は、第1実施形態に係るシミュレーション装置100の動作の一例を示す図である。第1実施形態におけるシミュレーション装置100は、例えば、シミュレーション装置100が起動されることにより、処理を開始する。
【0052】
まず、特定部101は、入力装置300からプレイヤーキャラクタの行動を指示する入力情報を受信する。次に、特定部101は、受信した入力情報に基づいて、プレイヤーキャラクタCのシミュレーション画像空間内における位置およびプレイヤーキャラクタCの行動を特定する(ステップS101)。
【0053】
次に、制御部102は、特定部101によって特定された、プレイヤーキャラクタCのシミュレーション画像空間内における位置およびプレイヤーキャラクタCの行動に基づいて、シミュレーションを進行させる(ステップS102)。具体的には、制御部102は、記憶装置400に記憶されたシミュレーション画像情報、設定情報、オブジェクト情報、およびシナリオ情報を参照して、シミュレーションを進行させる。制御部102は、シミュレーション進行にあたり、シミュレーション映像Vを生成する。制御部102は、生成したシミュレーション映像Vを、逐次、表示装置200へ出力する。
【0054】
次に、評価部103は、入力装置300から、プレイヤーキャラクタCのチームにおける役割を表す入力情報を受信する。そして、評価部103は、プレイヤーキャラクタのチームにおける役割、および特定部101が特定した行動に基づいて、特定部101が特定した行動を評価する(ステップS103)。具体的には、評価部103は、記憶装置400が記憶する行動指針情報を参照して、特定部101が特定したプレイヤーキャラクタCの行動を評価する。
【0055】
次に、出力部104は、評価部103による評価の結果を示す情報を生成し、表示装置200へ出力する(ステップS104)。シミュレーション装置100は、ステップS104の動作を終えると、上述した一連の処理を終了する。
【0056】
(効果)
第1実施形態におけるシミュレーション装置は上記のように構成されている。次に、第1実施形態における効果を説明する。
【0057】
第1実施形態におけるシミュレーション装置は、特定手段と、制御手段と、評価手段と、出力手段とを備える。特定手段は、プレイヤーキャラクタの行動を指示する入力情報に基づいて、プレイヤーキャラクタのシミュレーション画像空間内における位置およびプレイヤーキャラクタの行動を特定する。制御手段は、特定手段によって特定された、位置および行動に基づいて、シミュレーションを進行させる。評価手段は、プレイヤーキャラクタのチームにおける役割、および特定手段が特定した行動に基づいて、特定手段が特定したプレイヤーキャラクタの行動を評価する。出力手段は、評価手段による評価の結果を示す情報を生成し、表示装置へ出力する。本実施形態におけるシミュレーション装置は、プレイヤーが操作するプレイヤーキャラクタの行動が、チームにおける役割を果たしていることを評価し、その評価の結果を示す情報を生成して表示装置へ出力する。これにより、プレイヤーすなわち訓練対象者は、当該役割において行うべき行動について、自身が習得できていることを確認できる。さらに、プレイヤーすなわち訓練対象者は、本実施形態のシミュレーション装置を用いて繰り返しシミュレーションを行うことで、当該役割において行うべき行動を習得できる。換言すれば、本実施形態におけるシミュレーション装置によれば、訓練対象者が、他の隊員と協力する方法を習得でき、かつ、訓練対象者が他の隊員と協力する方法を習得できていることを確認できる。
【0058】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係るシミュレーションシステム2およびシミュレーション装置110について、図面を参照しながら説明する。
【0059】
図8は、第2実施形態に係るシミュレーションシステム2の構成を示す図である。図8に示すように、シミュレーションシステム2は、シミュレーション装置110、表示装置200、入力装置300、および記憶装置400を備える。表示装置200、入力装置300、および記憶装置400は、第1実施形態のものと同一であるため、説明を省略する。
【0060】
(シミュレーション装置の構成)
図8に示すように、シミュレーション装置110は、特定部111、制御部112、評価部113、出力部114、示唆情報生成部115、移動経路情報生成部116、および入力要求部117を含む。特定部111は第1実施形態の特定部101と同一であり、制御部112は第1実施形態の制御部102と同一であるため、説明を省略する。
【0061】
制御部112は、制御部102と同様に、特定部101によって特定された、プレイヤーキャラクタCの位置およびプレイヤーキャラクタCの行動に基づいて、シミュレーションを進行させる。制御部112は、さらに、シミュレーション映像Vに重畳して示唆情報を表示するよう制御する。また、制御部112は、入力要求部117が受け付けた入力に応じてシミュレーション映像Vを制御する。示唆情報および入力要求部117の詳細は後述する。
【0062】
評価部113は、プレイヤーキャラクタCのチームにおける役割、および特定部111が特定したプレイヤーキャラクタCの行動に基づいて、特定部101が特定したプレイヤーキャラクタCの行動を評価する。評価部113は、さらに、シミュレーションを開始してからの経過時間、焼損面積、放水量または消火活動時間の少なくともいずれかに基づいて評価を行う。放水量に基づいて評価を行う場合、プレイヤーキャラクタCの行動は放水を含む。放水の行動は、少なくとも、プレイヤーキャラクタCにホース(オブジェクト)を選択させる入力情報、およびプレイヤーキャラクタCに放水を行わせる入力情報から行われる。
【0063】
シミュレーションを開始してからの経過時間は、例えばシミュレーション装置110が備えるタイマー(図示せず)によって取得される。評価部113は、シミュレーションを開始してからの経過時間が短いほど、評価を高く算出する。
【0064】
焼損面積は、シミュレーション終了時に建物が焼損した面積である。評価部113は、シミュレーション画像空間内で焼損した部分の面積を算出することにより、焼損面積を取得する。評価部113は、焼損面積が小さいほど、評価を高く算出する。
【0065】
放水量は、シミュレーション終了時までに使用した水量である。放水量は、例えば、プレイヤーキャラクタCがホースを把持して放水を行った時間の合計と、ホースの口径とを用いて算出される。評価部113は、放水量が少ないほど、評価を高く算出する。
【0066】
示唆情報生成部115は、プレイヤーキャラクタCの位置およびプレイヤーキャラクタCの行動に基づいて、プレイヤーキャラクタCが次に取り得る行動または行動指針の少なくともいずれかを含む示唆情報を生成する示唆情報生成手段の一例である。
【0067】
図9は、示唆情報生成部115が生成する示唆情報Hについて説明するための概念図である。図9には、プレイヤーキャラクタC1が防火水槽の前まで移動した際のシミュレーション映像Vを示す。具体的には、示唆情報生成部115は「防火水槽の前」という位置と「移動」という行動とに基づいて、示唆情報H(H1、H2)を生成する。示唆情報生成部115は、生成した示唆情報Hを、制御部112へ出力する。制御部112は、シミュレーション映像Vに重畳して示唆情報Hを表示するように制御する。
【0068】
示唆情報H1は、プレイヤーキャラクタC1が、特定部111によって特定された行動の次に取り得る行動を示す情報である。記憶装置400には、プレイヤーキャラクタCの位置および行動に紐づけて、プレイヤーキャラクタCが次に取り得る行動についての情報が記憶されている。示唆情報生成部115は、記憶装置400の情報を参照して、プレイヤーキャラクタCの位置および行動と紐づけられた示唆情報H1を検索する。そして、示唆情報生成部115は、示唆情報H1を生成して、表示装置200へ出力する。図9では、示唆情報H1の一例として、「応援要請」および「蓋を移動させる」の2つのポップアップブロックを示した。特定部111は、入力装置300によってポップアップブロックが選択されたことにより、プレイヤーキャラクタC1の行動を特定してもよい。
【0069】
示唆情報H2は、プレイヤーキャラクタC1の行動指針を示す情報である。示唆情報H2は、図9に示すように、当該行動指針を設ける原因となった過去の事故事例についての情報を含んでもよい。示唆情報生成部115は、プレイヤーキャラクタCの位置および行動から、現在のシーンを特定する。そして、示唆情報生成部115は、特定したシーンを用いて記憶装置400に記憶された行動指針情報を検索することにより、示唆情報H2を生成する。
【0070】
移動経路情報生成部116は、位置情報およびシミュレーション開始からの経過時間に基づき、プレイヤーキャラクタの移動経路を示す移動経路情報を生成する移動経路情報生成手段の一例である。
【0071】
図10を参照して、移動経路情報生成部116が生成する移動経路情報について説明する。特定部111は、プレイヤーキャラクタCの位置を特定すると、当該位置と、当該位置を特定した時間(シミュレーション開始からの経過時間)とを紐づけて、記憶装置400へ送信する。記憶装置400は、プレイヤーキャラクタCごとに、これらの位置情報を記憶する。移動経路情報生成部116は、記憶装置400に記憶された位置情報を参照して、移動経路情報を生成する。移動経路情報は、シミュレーション画像空間の地図情報M(M1、M2)および移動経路の軌跡Lを含む。地図情報Mは、シミュレーション画像空間全体の地図情報(M2)であっても、一部の地図情報(M1)であってもよい。移動経路情報生成部116は、生成した移動経路情報を出力部114へ出力する。出力部114は、移動経路情報を表示装置200へ出力する。移動経路情報生成部116は、生成した移動経路情報を制御部112へ出力してもよい。その場合、制御部112は、シミュレーション映像Vに重畳して移動経路情報を表示装置200に表示するように制御する。
【0072】
入力要求部117は、示唆情報をシミュレーション映像Vに重畳して表示するか否かについて、プレイヤーPへ入力を要求する入力手段の一例である。入力要求部117は、例えば、シミュレーション開始時に、表示装置200に対して、「示唆情報の表示を行いますか?」というメッセージを含むポップアップブロックを表示する。当該ポップアップブロックは、表示を行うか否かを選択するための選択ボタンを含む。入力要求部117が受け付けた入力の内容は、制御部112へ出力される。制御部112は、入力要求部117から示唆情報の表示が必要であるとの入力を受信した場合には、シミュレーション映像Vに示唆情報を重畳して表示するよう制御する。制御部112は、入力要求部117から示唆情報の表示が不要であるとの入力を受信した場合には、示唆情報を表示しない。
【0073】
また、入力要求部117は、シミュレーションの設定について、プレイヤーPへ入力を要求する入力要求手段の一例である。入力要求部117は、火災が発生した建物の設定、緊急車両の設定、または被災者の設定の少なくともいずれか1つの入力を要求する。火災が発生した建物の設定とは、具体的には、建物の種類、材質、階数、間取り、窓の数、および窓の位置等の設定である。緊急車両の設定とは、出動する緊急車両の数および種類の設定である。被災者の設定とは、被災者の人数、被災者の年齢、および被災者の避難訓練の練度の設定である。尚、被災者は、火災が発生した建物から逃げ遅れた者を指す。入力要求部117は、これらの設定についてプレイヤーPへ入力を要求する。例えば、入力要求部117は、各種設定の入力を促すポップアップブロックを表示することで、プレイヤーPへ入力を要求する。入力要求部117は、火災が発生した建物の設定については、記憶装置400に記憶された設定情報の一覧を表示して、ユーザに選択させるようにしてもよい。入力要求部117は、受け付けた入力を、制御部112に出力する。制御部112は、入力要求部117から受信した入力の内容に応じてシミュレーションを制御する。
【0074】
また、入力要求部117は、プレイヤーキャラクタのチームにおける役割について、プレイヤーへ入力を要求する。例えば、入力要求部117は、表示装置200に対して、「プレイヤーキャラクタの部隊および役割を入力してください」というメッセージを含むポップアップブロックを表示する。入力要求部117は、記憶装置400に予め記憶された部隊および役割の一覧をポップアップブロックに含め、ユーザに選択させるようにしてもよい。入力要求部117は、受け付けた入力を、評価部113に出力する。制御部112は、入力要求部117から受信した入力の内容に応じてシミュレーションを制御する。
【0075】
出力部114は、評価部113による評価の結果を示す情報を生成し、表示装置200へ出力する。評価部113による結果は、出力部114は、さらに、移動経路情報および制御部112によって生成されたシミュレーションの映像を、表示装置200へ出力する。制御部112によって生成されたシミュレーションの映像とは、シミュレーション開始からシミュレーション終了までのプレイヤーキャラクタCの視点映像である。評価部113による評価結果を示す情報、制御部112によって生成されたシミュレーションの映像、および移動経路情報は、シミュレーション終了後に表示装置200へ出力される。表示装置200は、これらの情報を表示する。これにより、ユーザは自身のシミュレーションについて振り返りをすることができる。
【0076】
(シミュレーション装置の動作)
次に、第2実施形態に係るシミュレーション装置110の動作について、図11図14を用いて説明する。
【0077】
<シミュレーション開始前の動作>
まず、シミュレーション開始前にシミュレーション装置110が行う処理について、図11を参照して説明する。図11は、シミュレーション開始前にシミュレーション装置110が行う動作の一例を示す図である。シミュレーション装置110は、例えば、シミュレーション装置110が起動されることにより処理を開始する。
【0078】
まず、入力要求部117は、示唆情報をシミュレーション映像Vに表示するか否かについて、プレイヤーPへ入力を要求する(ステップS201)。次に、入力要求部117は、受け付けた入力情報を、制御部112へ出力する(ステップS202)。
【0079】
次に、入力要求部117は、火災が発生した建物の設定、緊急車両の設定、または被災者の設定の少なくともいずれか1つの入力を要求する(ステップS203)。次に、入力要求部117は、受け付けた入力情報を、制御部112へ出力する(ステップS204)。
【0080】
次に、入力要求部117は、プレイヤーキャラクタCのチームにおける役割について、プレイヤーPへ入力を要求する(ステップS205)。次に、入力要求部は、受け付けた入力情報を、評価部113へ出力する(ステップS206)。尚、上述した処理において、ステップS201~ステップS202の処理と、ステップS203~ステップS204の処理と、ステップS205~ステップS206の処理とは、順番を入れ替えてもよい。
【0081】
<シミュレーション実行中の動作>
次に、シミュレーション実行中にシミュレーション装置110が行う処理について、図12および図13を参照して説明する。図12は、シミュレーション実行中にシミュレーション装置110が行う動作の一例を示す図である。図13は、シミュレーション進行処理の動作の一例を示す図である。
【0082】
まず、特定部111は、入力装置300から、プレイヤーキャラクタCの行動を指示する入力情報を受信する(ステップS207)。次に、特定部111は、入力情報に基づいて、プレイヤーキャラクタCの位置、およびプレイヤーキャラクタCの行動を特定する(ステップS208)。次に、特定部111は、プレイヤーキャラクタCの位置と、シミュレーション開始からの経過時間とを紐づけて、記憶装置400へ送信する(ステップS209)。また、特定部は、プレイヤーキャラクタCの行動と、シミュレーション開始からの経過時間とを紐づけて、記憶装置400へ送信する(ステップS210)。ステップS209の処理と、ステップS210の処理とは、順番を入れ替えてもよい。
【0083】
次に、制御部112は、シミュレーション進行処理を行う(ステップS211)。シミュレーション進行処理は、図13のステップS2111~ステップS2114の処理を指す。図13を用いて、シミュレーション進行処理について説明する。
【0084】
まず、制御部112は、シミュレーション映像Vに示唆情報を表示するか否かを確認する(ステップS2111)。示唆情報を表示しない場合(ステップS2111 No)、ステップS2114の処理へ進む。
【0085】
示唆情報を表示する場合(ステップS2111 Yes)、示唆情報生成部115は、示唆情報を生成する(ステップS2112)。次に、示唆情報生成部115は、生成した示唆情報を、制御部112へ送信する(ステップS2113)。
【0086】
次に、制御部112は、シミュレーションを進行させる(ステップS2114)。具体的には、制御部112は、記憶装置400に記憶されたシミュレーション画像情報、設定情報、オブジェクト情報、およびシナリオ情報を参照して、シミュレーションを進行させる。制御部112は、示唆情報を表示する場合(ステップS2111 Yes)、シミュレーション映像Vに示唆情報を重畳して表示するよう制御する。シミュレーション装置110は、上述したステップS2111~ステップS2114の処理を終えると、図12のステップS212の処理へ進む。
【0087】
ステップS211のシミュレーション進行処理を終了すると、制御部112は、プレイヤーキャラクタCの視点映像を記憶装置400へ送信する(ステップS212)。
【0088】
次に、制御部112は、シミュレーションが終了したか否かを判定する(ステップS213)。制御部112は、例えば、シミュレーションを開始してからの経過時間、および記憶装置400に記憶されたシナリオ情報の使用状況によって、シミュレーションが終了したか否かを判定する。シミュレーション装置110は、シミュレーションが終了するまで(ステップS213 No)、ステップS207~ステップS213の処理を繰り返す。シミュレーション装置110は、シミュレーションが終了すると(ステップS213 Yes)、ステップS214の処理へ進む。
【0089】
<シミュレーション終了後の処理>
次に、シミュレーション終了後にシミュレーション装置110が行う処理について、図14を参照して説明する。図14は、シミュレーション終了後にシミュレーション装置110が行う動作の一例を示す図である。
【0090】
まず、評価部113は、特定したプレイヤーキャラクタCの行動を評価する(ステップS214)。次に、評価部113は、シミュレーション終了時の経過時間を評価する(ステップS215)。具体的には、評価部113は、経過時間が短いほど評価を高く算出する。次に、評価部113は、火災が発生した建物の焼損面積を評価する(ステップS216)。具体的には、評価部113は、焼損面積が小さいほど評価を高く算出する。次に、評価部113は、放水量を評価する(ステップS217)。具体的には、評価部113は、放水量が少ないほど、評価を高く算出する。尚、ステップS214~ステップS217の処理は、順番を入れ替えてもよい。また、ステップS215~ステップS217の処理は、行わなくてもよい。
【0091】
次に、出力部114は、評価部113による評価(ステップS214~ステップS217)の結果を示す情報を生成し、表示装置200へ出力する(ステップS218)。また、出力部114は、生成した移動経路情報を、表示装置200へ出力する(ステップS219)。さらに、出力部114は、プレイヤーキャラクタCの視点映像を表示装置200へ出力する(ステップS220)。ステップS218~ステップS220の処理は、順番を入れ替えてもよい。シミュレーション装置110は、上述したステップS201~ステップS220の処理を終えると、一連の処理を終了する。
【0092】
(効果)
第2実施形態におけるシミュレーション装置は上記のように構成されている。第2実施形態におけるシミュレーション装置は、第1実施形態におけるシミュレーション装置の効果に加えて、以下のような効果を奏する。
【0093】
第2実施形態のシミュレーション装置に備えられた評価部は、シミュレーションを開始してからの経過時間、焼損面積、または放水量の少なくともいずれかに基づいて、評価を行う。シミュレーション装置に備えられた出力部は、これらの評価の結果を示す情報を生成し、表示装置へ出力する。これにより、プレイヤーすなわち訓練対象者は、自身の選択した行動が定量的な結果にどのように影響するのかを把握することができる。換言すれば、本実施形態におけるシミュレーション装置は、訓練対象者が他の隊員と協力する方法を、より効率的に習得することができる。
【0094】
第2実施形態におけるシミュレーション装置は、プレイヤーキャラクタが次に取り得る行動または行動指針の少なくともいずれかを含む示唆情報を生成する示唆情報生成部を備える。さらに、シミュレーション装置に備えられた制御部は、シミュレーション映像に重畳して示唆情報を表示するよう制御する。これにより、本実施形態におけるシミュレーション装置は、プレイヤーすなわち訓練対象者の警防活動についての知識が十分でない場合にも、他の隊員と協力する方法を習得することができる。
【0095】
第2実施形態におけるシミュレーション装置は、示唆情報をシミュレーション映像Vに表示するか否かについて、プレイヤーへ入力を要求する入力要求部を備える。さらに、シミュレーション装置に備えられた制御部は、入力要求部が受け付けた入力に応じてシミュレーション映像を制御する。これにより、本実施形態におけるシミュレーション装置は、プレイヤーすなわち訓練対象者の警防活動についての知識のレベルに応じて効率的に、他の隊員と協力する方法を習得することができる。
【0096】
第2実施形態におけるシミュレーション装置は、特定部が特定した位置およびシミュレーション開始からの経過時間に基づき、プレイヤーキャラクタの移動経路を示す移動経路情報を生成する移動経路情報生成手段を備える。さらに、シミュレーション装置に備えられた出力部は、移動経路情報およびシミュレーション映像を表示装置へ出力する。これにより、プレイヤーすなわち訓練対象者は、シミュレーション終了後に、自身の選択した行動を振り返ることができる。換言すれば、本実施形態におけるシミュレーション装置によれば、訓練対象者が、他の隊員と協力する方法を習得でき、かつ、訓練対象者が他の隊員と協力する方法を習得できていることを確認できる。
【0097】
第2実施形態におけるシミュレーション装置に備えられた入力要求部は、さらに、シミュレーションの設定について、プレイヤーへ入力を要求する。入力要求部は、火災が発生した建物の設定、緊急車両の設定、または被災者の設定の少なくともいずれか1つの入力を要求する。プレイヤーすなわち訓練対象者は、上記構成により、様々な状況下で訓練を行うことができる。また、実際の建物や過去の火災発生事例に則した設定を行えば、より実践に近い訓練を行うことができる。換言すれば、本実施形態におけるシミュレーション装置によれば、訓練対象者が、他の隊員と協力する方法を、より効率的に習得できる。
【0098】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係るシミュレーションシステム3およびシミュレーション装置120について、図面を参照しながら説明する。尚、以降の説明において、第1実施形態または第2実施形態と同一部分については説明を省略する。
【0099】
図15は、第3実施形態に係るシミュレーションシステム3について説明するための概念図である。尚、本図面では、説明のためプレイヤーPの人数を2人として図示したが、これは一例でありプレイヤーPの人数は限定されない。
【0100】
シミュレーションシステム3のプレイヤーP(P1、P2)は、HMD500を装着する。HMD500は、公知の通り、VR(Virtual Reality)、AR(Augmented Reality)、またはMR(Mixed Reality)の表示を行うためのヘッドマウントディスプレイである。HMD500は、スマートグラス等の他の装着型装置によって実現されてもよい。HMD500は、表示部(図示せず)を備える。表示部には、シミュレーション装置120によって制御されたシミュレーション映像Vが表示される。プレイヤーPは、表示部に表示されるシミュレーション映像Vに応じて、移動や行動をすることにより、訓練を行う。
【0101】
プレイヤーPの動きは、センサ600により取得される。センサ600は、例えば、訓練を行う空間全体を俯瞰できる位置に設置されたトラッキングセンサ、またはプレイヤーPが装着したVRコントローラ等によって実現される。センサ600は、プレイヤーPの動きおよび加速度を検知する。センサ600により取得された、プレイヤーPの動きおよび加速度についての検知信号は、特定部121に送信される。シミュレーションシステム3は、実際に使用される道具を模して造られた専用のコントローラにより実現される入力装置300(図示せず)を備える。シミュレーション装置120は、センサ600により取得された検知信号、または入力装置300から入力された入力情報を用いて、シミュレーションを進行させる。
【0102】
(シミュレーションシステムの構成)
図16は、第3実施形態に係るシミュレーションシステム3の構成の一例を示すブロック図である。図16に示すように、シミュレーションシステム3は、シミュレーション装置120、表示装置200、入力装置300、記憶装置400、HMD500、およびセンサ600を備える。本実施形態において、シミュレーション装置120およびHMD500は別々の構成として示すが、これに限らない。例えば、HMD500の構成の一部としてシミュレーション装置120が備えられてもよい。
【0103】
HMD500は、シミュレーション装置120と無線による通信を行う通信機能を有する。また、HMD500は、表示部(図示せず)を備える。HMD500は、シミュレーションを開始すると、制御部122によって制御されるシミュレーション映像Vを受信し、表示部に表示する。HMD500の表示部は、表示装置200を兼ねてもよい。この場合、図16における表示装置200は、不要である。
【0104】
また、HMD500は、入力装置300の一部の機能を備えてもよい。また、HMD500は、センサ600の一部機能を備えてもよい。
【0105】
(シミュレーション装置の構成)
図16に示すように、シミュレーション装置120は、特定部121、制御部122、評価部123、および出力部124を備える。シミュレーション装置120は、上記の構成に加えて、示唆情報生成部125、移動経路情報生成部126、および入力要求部127を備えてもよい。示唆情報生成部125、移動経路情報生成部126、および入力要求部127は、第2実施形態における示唆情報生成部115、移動経路情報生成部116、および入力要求部117と同一であるため、説明を省略する。
【0106】
特定部121は、入力装置300からの入力情報またはセンサ600が取得した検知信号に基づいて、プレイヤーキャラクタCの行動を特定する。特定部121は、センサ600から検知信号を受信すると、プレイヤーキャラクタCの行動を指示する入力情報を生成する。プレイヤーキャラクタCの行動を指示する入力情報は、プレイヤーキャラクタCの移動方向や移動距離を示す情報の他、HMD500の表示部に表示されるオブジェクトを選択する指示の情報を含んでもよい。特定部121は、センサ600によって取得されたプレイヤーPの姿勢または動作を、公知の技術によって特定する。
【0107】
特定部121は、センサ600が取得した情報に基づいて、プレイヤーキャラクタCのシミュレーション画像空間内における位置を特定する。例えば、シミュレーション画像空間内の表示位置の座標と、実空間上の座標とが対応付けられているとする。特定部121は、センサ600によって取得したプレイヤーPの座標を、シミュレーション画像空間内における座標に変換することで、プレイヤーキャラクタCのシミュレーション画像空間内における位置を特定する。
【0108】
制御部122は、特定部121によって特定された、プレイヤーキャラクタCの位置およびプレイヤーキャラクタCの行動に基づいて、シミュレーションを進行させる。シミュレーションを進行させる手順は第1実施形態の制御部102または第2実施形態の制御部112と同様であるため、説明を省略する。制御部122は、シミュレーション制御によって生成されたシミュレーション映像Vを、HMD500へ出力する。HMD500の表示部(図示せず)は、シミュレーション映像Vを表示する。
【0109】
評価部123は、第1実施形態の評価部103または第2実施形態の評価部113と同一である。出力部124は、第1実施形態の出力部104または第2実施形態の出力部114と同一である。尚、出力部124は、評価部123による評価の結果を示す情報をHMD500に出力してもよい。
【0110】
(シミュレーション装置の動作)
次に、第3実施形態に係るシミュレーション装置120の動作について、図17を用いて説明する。シミュレーション装置120は、例えば、シミュレーション装置120が起動されることにより処理を開始する。
【0111】
まず、特定部121は、入力装置300からの入力情報またはセンサ600が取得した情報に基づいて、プレイヤーキャラクタCの位置およびプレイヤーキャラクタCの行動を特定する(ステップS301)。
【0112】
次に、制御部122は、特定部121によって特定された、プレイヤーキャラクタCのシミュレーション画像空間内における位置およびプレイヤーキャラクタCの行動に基づいて、シミュレーションを進行させる(ステップS302)。制御部122は、シミュレーション進行にあたり、シミュレーション映像Vを生成する。制御部122は、生成したシミュレーション映像Vを、逐次、HMD500へ出力する。
【0113】
次に、評価部123は、入力装置300から、プレイヤーキャラクタCのチームにおける役割を表す入力情報を受信する。そして、評価部123は、受信した入力情報および特定部121が特定した行動に基づいて、特定部121が特定したプレイヤーキャラクタの行動を評価する(ステップS303)。
【0114】
次に、出力部124は、評価部123による評価の結果を示す情報を生成し、表示装置200またはHMD500の表示部へ出力する(ステップS304)。シミュレーション装置120は、ステップS304の動作を終えると、上述した一連の処理を終了する。
【0115】
(効果)
第3実施形態におけるシミュレーションシステムおよびシミュレーション装置は上記のように構成されている。第3実施形態におけるシミュレーションシステムは、第1実施形態または第2実施形態における効果に加えて、以下のような効果を奏する。
【0116】
第3実施形態におけるシミュレーションシステムは、HMDおよびセンサを備える。HMDの表示部には、シミュレーション装置に備えられた制御部によって制御されたシミュレーション映像Vが表示される。第3実施形態におけるシミュレーション装置に備えられた特定部は、センサが取得した情報に基づいて、プレイヤーキャラクタのシミュレーション画像空間内における位置およびプレイヤーキャラクタの行動を指示する情報を特定する。プレイヤーすなわち訓練対象者は、上記構成により、より実践に近い、リアリティのある訓練を行うことができる。換言すれば、本実施形態におけるシミュレーション装置は、訓練対象者が他の隊員と協力する方法を、より効率的に習得することができる。
【0117】
[コンピュータによるハードウェア構成]
以上説明した本開示の各実施形態における各構成要素は、その機能をハードウェア的に実現することは勿論、プログラム制御に基づくコンピュータ装置、ファームウェアによって実現することができる。
【0118】
図13は、本開示におけるシミュレーション装置を、プロセッサを含むコンピュータ装置10で実現したハードウェア構成の一例を示す図である。各実施形態のシミュレーション装置は、コンピュータ装置10によって実現される。コンピュータ装置10は、図13に示すように、CPU(Central Processing Unit)11、メモリ12、プログラムを格納するハードディスク等の記憶装置13、入力装置および出力装置接続用の入出力インタフェース14、およびネットワーク接続用の通信インタフェース15を含む。
【0119】
CPU11は、オペレーティングシステムを動作させて、本開示のシミュレーション装置を制御する。例えば、CPU11は、ドライブ装置等に装着された記憶媒体からメモリ12にプログラムやデータを読み出す。また、CPU11は、例えば、本開示のシミュレーション装置における特定部101、制御部102、評価部103、または出力部104の一部として機能し、プログラムに基づいて処理または命令を実行する。
【0120】
記憶装置13は、例えば光ディスク、フレキシブルディスク、磁気光ディスク、外付けハードディスク、または半導体メモリ等である。記憶装置の一部の記憶媒体は、不揮発性記憶装置であり、そこにプログラムを記録する。また、プログラムは、通信網に接続されている外部コンピュータ(図示せず)からダウンロードされてもよい。
【0121】
入出力インタフェース14に接続される入力装置は、例えばマウスやキーボード等により実現され、入力操作に用いられる。同様に、入出力インタフェース14に接続される出力装置は、例えばディスプレイ等によって実現され、出力結果の表示および確認に用いられる。
【0122】
以上、各実施形態を参照して本発明について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。例えば、複数の動作をフローチャートの形式で順番に記載してあるが、その記載の順番は複数の動作を実行する順番を限定するものではない。このため、各実施形態を実施するときには、その複数の動作の順番は、内容に支障がない範囲で変更することができる。
【0123】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載され得る。
【0124】
(付記1)
シミュレーション画像空間に配置されたプレイヤーキャラクタをプレイヤーが操作することで警防活動のシミュレーションを行うシミュレーション装置であって、
前記プレイヤーキャラクタの行動を指示する入力情報に基づいて、前記プレイヤーキャラクタの前記シミュレーション画像空間内における位置および前記プレイヤーキャラクタの行動を特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定された、前記位置および前記行動に基づいて、前記シミュレーションを進行させる制御手段と、
前記プレイヤーキャラクタのチームにおける役割、および前記特定手段で特定された前記行動に基づいて、前記プレイヤーキャラクタの行動を評価する評価手段と、
前記評価手段による評価の結果を示す情報を生成し、表示装置へ出力する出力手段と
を備える、シミュレーション装置。
【0125】
(付記2)
前記評価手段は、前記行動が少なくともチームにおける役割を果たしているか否か、または前記行動が少なくとも前記チームにおける役割を果たしていることの程度を評価する
ことを特徴とする、付記1に記載のシミュレーション装置。
【0126】
(付記3)
前記評価手段は、前記行動と、予め決められた行動指針情報に含まれる行動とが一致すると、前記行動が前記役割を果たしていると評価する
ことを特徴とする、付記1または2に記載のシミュレーション装置。
【0127】
(付記4)
前記評価手段はさらに、前記シミュレーションを開始してからの経過時間、焼損面積、または放水量の少なくともいずれかに基づいて評価を行う
ことを特徴とする、付記1乃至3のいずれか1つに記載のシミュレーション装置。
【0128】
(付記5)
前記位置および前記行動に基づいて、前記プレイヤーキャラクタが次に取り得る行動または行動指針の少なくともいずれかを含む示唆情報を生成する示唆情報生成手段をさらに備え、
前記制御手段は、シミュレーション映像に重畳して前記示唆情報を表示するよう制御する
ことを特徴とする、付記1乃至4のいずれか1つに記載のシミュレーション装置。
【0129】
(付記6)
前記示唆情報を前記シミュレーション映像に表示するか否かについて、前記プレイヤーへ入力を要求する入力要求手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記入力要求手段が受け付けた入力に応じて前記シミュレーション映像を制御する
ことを特徴とする、付記5に記載のシミュレーション装置。
【0130】
(付記7)
前記位置および前記シミュレーションを開始してからの経過時間に基づき、前記プレイヤーキャラクタの移動経路を示す移動経路情報を生成する移動経路情報生成手段をさらに備え、
前記出力手段は、前記移動経路情報およびシミュレーション映像をさらに表示装置へ出力する
ことを特徴とする、付記1乃至6のいずれか1つに記載のシミュレーション装置。
【0131】
(付記8)
前記シミュレーションの設定について、前記プレイヤーへ入力を要求する入力要求手段をさらに備え、
前記入力要求手段は、火災が発生した建物の設定、緊急車両の設定、または被災者の設定の少なくともいずれか1つの入力を要求する
ことを特徴とする、付記1乃至7のいずれか1つに記載のシミュレーション装置。
【0132】
(付記9)
付記1乃至8のいずれか1項に記載のシミュレーション装置と、
ユーザが入力を行うための入力装置と
を備える、シミュレーションシステム。
【0133】
(付記10)
シミュレーション画像空間に配置されたプレイヤーキャラクタをプレイヤーが操作することで警防活動のシミュレーションを行うシミュレーション方法であって、
前記プレイヤーキャラクタの行動を指示する入力情報に基づいて、前記プレイヤーキャラクタの前記シミュレーション画像空間内における位置および前記プレイヤーキャラクタの行動を特定し、
前記位置および前記行動に基づいて、前記シミュレーションを進行させ、
前記プレイヤーキャラクタのチームにおける役割、および前記行動に基づいて、前記プレイヤーキャラクタの行動を評価し、
前記評価の結果を示す情報を生成し、表示装置へ出力する
ことを特徴とする、シミュレーション方法。
【0134】
(付記11)
シミュレーション画像空間に配置されたプレイヤーキャラクタをプレイヤーが操作することで警防活動のシミュレーションを行うプログラムであって、
コンピュータに、
前記プレイヤーキャラクタの行動を指示する入力情報に基づいて、前記プレイヤーキャラクタの前記シミュレーション画像空間内における位置および前記プレイヤーキャラクタの行動を特定する処理と、
前記位置および前記行動に基づいて、前記シミュレーションを進行させる処理と、
前記プレイヤーキャラクタのチームにおける役割、および前記行動に基づいて、前記プレイヤーキャラクタの行動を評価する処理と、
前記評価の結果を示す情報を生成し、表示装置へ出力する処理と
を実行させる、プログラム。
【符号の説明】
【0135】
1、2、3 シミュレーションシステム
10 コンピュータ装置
11 CPU(Central Processing Unit)
12 メモリ
13 記憶装置
14 入出力インタフェース
15 通信インタフェース
100、110、120 シミュレーション装置
101、111、121 特定部
102、112、122 制御部
103、113、123 評価部
104、114、124 出力部
115、125 示唆情報生成部
116、126 移動経路情報生成部
117、127 入力要求部
200 表示装置
300 入力装置
400 記憶装置
500 HMD(Head Mounted Display)
600 センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
図11
図12
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