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特開2024-141522電子メール送受信システム、受信側中継装置及び電子メール送受信プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141522
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】電子メール送受信システム、受信側中継装置及び電子メール送受信プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 51/214 20220101AFI20241003BHJP
   H04L 51/08 20220101ALI20241003BHJP
   H04L 67/2876 20220101ALI20241003BHJP
【FI】
H04L51/214
H04L51/08
H04L67/2876
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053225
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】304014143
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】松井 直
(72)【発明者】
【氏名】中山 博章
(72)【発明者】
【氏名】山本 直樹
(72)【発明者】
【氏名】工藤 衣美
(57)【要約】
【課題】 電子メールに添付した添付ファイルを安全に送受信できるようにする。
【解決手段】 中継装置1は、添付ファイル付き電子メールを(ST1)、添付ファイルと電子メール本文とに分離し(ST2)、分離した添付ファイルを添付ファイルサーバ装置4にアップロードする(ST3)。添付ファイルサーバ装置4からの利用情報を(ST4)、分離された電子メール本文に付加してメールサーバ装置3に送信する(ST5)。中継装置1Rは、電子メールを受信し(ST6)、受信した電子メールから利用情報を抽出する(ST7)。この利用情報を用いて、添付ファイルサーバ装置4にアクセスし(ST8)、添付ファイルをダウンロードする(ST9)。この添付ファイルを、メールサーバ装置からの電子メール本文に添付し(ST10)、PC2Rに提供する(ST11)。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信側中継装置と受信側中継装置とを備えて構成される電子メール送受信システムであって、
前記送信側中継装置は、
送信側情報端末からの添付ファイル付き電子メールを受け付ける受付手段と、
前記受付手段を通じて受け付けた前記添付ファイル付き電子メールを、添付ファイルと電子メール本文とに分離する分離手段と、
前記分離手段で分離された前記添付ファイルを、所定の添付ファイルサーバ装置にアップロードするアップロード手段と、
前記所定の添付ファイルサーバ装置からアップロードした前記添付ファイルをダウンロードする場合に必要になる利用情報を取得する利用情報取得手段と、
前記取得手段で取得した前記利用情報を、前記分離手段で分離された前記電子メール本文に付加する付加手段と、
前記付加手段で前記利用情報が付加された前記電子メール本文を、メールサーバ装置に送信する送信手段と
を備え、
前記受信側中継装置は、
受信側情報端末からの電子メールの取得要求を受け付ける要求受付手段と、
前記要求受付手段を通じて受け付けた前記取得要求に応じて、メールサーバ装置から目的とする電子メールを受信する受信手段と、
前記受信手段を通じて受信した前記電子メールに付加されている前記利用情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段で抽出された前記利用情報を用いて、前記添付ファイルサーバ装置にアクセスし、目的とする添付ファイルをダウンロードするダウンロード手段と、
前記ダウンロード手段を通じてダウンロードされた前記添付ファイルを、前記受信手段を通じて受信した前記電子メールに対して添付し直す添付手段と、
前記添付手段で前記添付ファイルが添付された前記電子メールを、前記受信側情報端末に提供する提供手段と
を備える
ことを特徴とする電子メール送受信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電子メール送受信システムであって、
前記送信側中継装置の前記付加手段は、前記利用情報に加えて、当該送信側中継装置が、添付ファイル付き電子メールを添付ファイルと電子メール本文とに分離し、分離した添付ファイルを所定の前記添付ファイルサーバ装置にアップロードする機能を備えたものであることを示す所定の識別情報を付加することができるものであり、
前記受信側中継装置の前記抽出手段は、前記受信手段を通じて受信した前記電子メールに、前記所定に識別情報が付加されている場合に、当該電子メールに付加されている前記利用情報を抽出する
ことを特徴とする電子メール送受信システム。
【請求項3】
送信側中継装置と受信側中継装置とを備えて構成される電子メール送受信システムの前記受信側中継装置であって、
前記送信側中継装置は、送信側情報端末からの添付ファイル付き電子メールを受け付ける受付手段と、前記受付手段を通じて受け付けた前記添付ファイル付き電子メールを、添付ファイルと電子メール本文とに分離する分離手段と、前記分離手段で分離された前記添付ファイルを、所定の添付ファイルサーバ装置にアップロードするアップロード手段と、前記所定の添付ファイルサーバ装置からアップロードした前記添付ファイルをダウンロードする場合に必要になる利用情報を取得する利用情報取得手段と、前記取得手段で取得した前記利用情報を、前記分離手段で分離された前記電子メール本文に付加する付加手段と、前記付加手段で前記利用情報が付加された前記電子メール本文を、メールサーバ装置に送信する送信手段とを備えるものであり、
受信側情報端末からの電子メールの取得要求を受け付ける要求受付手段と、
前記要求受付手段を通じて受け付けた前記取得要求に応じて、メールサーバ装置から目的とする電子メールを受信する受信手段と、
前記受信手段を通じて受信した前記電子メールに付加されている前記利用情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段で抽出された前記利用情報を用いて、前記添付ファイルサーバ装置にアクセスし、目的とする添付ファイルをダウンロードするダウンロード手段と、
前記ダウンロード手段を通じてダウンロードされた前記添付ファイルを、前記受信手段を通じて受信した前記電子メールに対して添付し直す添付手段と、
前記添付手段で前記添付ファイルが添付された前記電子メールを、前記受信側情報端末に提供する提供手段と
を備えることを特徴とする受信側中継装置。
【請求項4】
送信側中継装置に搭載されたコンピュータで実行される送信側中継プログラムと受信側中継装置に搭載されたコンピュータで実行される受信側中継プログラムとで構成される電子メール送受信プログラムであって、
前記送信側中継プログラムは、
送信側情報端末からの添付ファイル付き電子メールを受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップで受け付けた前記添付ファイル付き電子メールを、添付ファイルと電子メール本文とに分離する分離ステップと、
前記分離ステップで分離された前記添付ファイルを、所定の添付ファイルサーバ装置にアップロードするアップロードステップと、
前記所定の添付ファイルサーバ装置からアップロードした前記添付ファイルをダウンロードする場合に必要になる利用情報を取得する利用情報取得ステップと、
前記取得ステップで取得した前記利用情報を、前記分離ステップで分離した前記電子メール本文に付加する付加ステップと、
前記付加ステップで前記利用情報が付加された前記電子メール本文を、メールサーバ装置に送信する送信ステップと
を実行するものであり、
前記受信側中継プログラムは、
受信側情報端末からの電子メールの取得要求を受け付ける要求受付ステップと、
前記要求受付ステップで受け付けた前記取得要求に応じて、メールサーバ装置から目的とする電子メールを受信する受信ステップと、
前記受信ステップで受信した前記電子メールに付加されている前記利用情報を抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップで抽出した前記利用情報を用いて、前記添付ファイルサーバ装置にアクセスし、目的とする添付ファイルをダウンロードするダウンロードステップと、
前記ダウンロードステップでダウンロードした前記添付ファイルを、前記受信ステップで受信した前記電子メールに対して添付し直す添付ステップと、
前記添付ステップで前記添付ファイルを添付した前記電子メールを、前記受信側情報端末に提供する提供ステップと
を実行するものであることを特徴とする電子メール送受信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子メールに添付された添付ファイルを安全に相手先に送信できるようにする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子メールの送受信に関する方式である、いわゆるPPAP方式には情報セキュリティ上の問題があることが指摘されている。PPAP方式は、(P)パスワード付きZip暗号化ファイルを電子メールに添付して送信し、(P)パスワードを別の電子メールで送信し、(A)暗号解読を行って添付ファイルを利用可能にする、(P)プロトコル(手順)を意味する。パスワードを別の電子メールで相手先に知らせるため、一見、暗号化した添付ファイルを安全に相手先に提供できるように思える。
【0003】
しかし、送信先を間違えてしまった場合には、間違えた送った先で添付ファイルの暗号解読を行って、当該添付ファイルを見ることができてしまう。また、暗号化した添付ファイルを添付した電子メールと、パスワードを記載した電子メールとを、連続して送信した場合には、同じ経路を辿って相手先に送信される場合もあると考えられ、情報の漏洩が懸念される。
【0004】
このため、後に記す特許文献1には、パスワードだけを所定のサーバ装置を介して、電子メールの送信先に提供する発明が開示されている。電子メールの送信元では、当該サーバ装置に対して、パスワードの公開指示や非公開指示を行うことができる。また、本来、電子メールに添付するはずの添付ファイル自体をサーバ装置に預け、電子メールを受け取った相手先が、パスワードの付与を請求し、付与されたパスワードを用いて、当該サーバ装置にアクセスして、預けられた添付ファイルを取得することも行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6931906号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示された発明の場合には、電子メールの受信者が、所定のサーバ装置にアクセスして、添付ファイルの暗号解読を行うためのパスワードの提供を受けなければならない。また、上述した添付ファイル自体を所定のサーバ装置に預ける技術の場合でも、電子メールの受信者が当該サーバ装置にアクセスして、添付ファイルの提供を受けなければならない。すなわち、最終的には、添付ファイルを利用可能にする操作は、電子メールの受信者に委ねられており、電子メールの受信者側の手間が増える結果となっている。もちろん、電子メールの送信者側においても、パスワードや添付ファイルを所定のサーバ装置にアップロードする手間がかかる。
【0007】
以上のことに鑑み、この発明は、電子メールの送信者と受信者との双方が特に意識したり、新たな操作を行ったりすることなく、電子メールに添付した添付ファイルを安全に送受信できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の電子メール中継システムは、
送信側中継装置と受信側中継装置とを備えて構成される電子メール送受信システムであって、
前記送信側中継装置は、
送信側情報端末からの添付ファイル付き電子メールを受け付ける受付手段と、
前記受付手段を通じて受け付けた前記添付ファイル付き電子メールを、添付ファイルと電子メール本文とに分離する分離手段と、
前記分離手段で分離された前記添付ファイルを、所定の添付ファイルサーバ装置にアップロードするアップロード手段と、
前記所定の添付ファイルサーバ装置からアップロードした前記添付ファイルをダウンロードする場合に必要になる利用情報を取得する利用情報取得手段と、
前記取得手段で取得した前記利用情報を、前記分離手段で分離された前記電子メール本文に付加する付加手段と、
前記付加手段で前記必要情報が付加された前記電子メール本文を、メールサーバ装置に送信する送信手段と
を備え、
前記受信側中継装置は、
受信側情報端末からの電子メールの取得要求を受け付ける要求受付手段と、
前記要求受付手段を通じて受け付けた前記取得要求に応じて、メールサーバ装置から目的とする電子メールを受信する受信手段と、
前記受信手段を通じて受信した前記電子メールに付加されている前記利用情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段で抽出された前記利用情報を用いて、前記添付ファイルサーバ装置にアクセスし、目的とする添付ファイルをダウンロードするダウンロード手段と、
前記ダウンロード手段を通じてダウンロードされた前記添付ファイルを、前記受信手段を通じて受信した前記電子メールに対して添付し直す添付手段と、
前記添付手段で前記添付ファイルが添付された前記電子メールを、前記受信側情報端末に提供する提供手段と
を備える
ことを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明の電子メール中継システムによれば、送信側中継装置では、受付手段を通じて受け付けた添付ファイル付き電子メールを、分離手段が、添付ファイルと電子メール本文とに分離する。この分離された添付ファイルをアップロード手段が、所定の添付ファイルサーバ装置にアップロードする。この場合に、利用情報取得手段が、当該所定の添付ファイルサーバ装置からの利用情報を取得し、これを付加手段が分離された電子メール本文に付加して、送信手段がメールサーバ装置に送信する。
【0010】
受信側中継装置では、要求受付手段が受信側情報端末からの電子メールの取得要求を受け付けた場合に、受信手段が、メールサーバ装置から目的とする電子メールを受信し、抽出手段が、受信した電子メールに付加されている利用情報を抽出する。この抽出された利用情報を用いて、ダウンロード手段が、添付ファイルサーバ装置にアクセスし、目的とする添付ファイルをダウンロードし、添付手段が、ダウンロードされた添付ファイルを、受信手段を通じて受信した電子メールに対して添付し直す。この添付ファイルが添付し直された電子メールを、提供手段が、受信側情報端末に提供する。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、送信側中継装置と受信側中継装置との機能により、添付ファイル付き電子メールを、添付ファイルと電子メール本文に分離し、それぞれを別経路で送受信することができる。これにより、電子メールの送信者と受信者の双方が特に意識したり、新たな操作を行ったりすることなく、電子メールに添付した添付ファイルを安全に送受信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明による電子メール送受信システムの一実施の形態の構成例を説明するための図である。
図2】実施の形態の電子メール送受信システムで用いられる電子メール中継装置の基本機能について説明するためのブロック図である。
図3】実施の形態の電子メール中継装置の構成例を説明するためのブロック図である。
図4】実施の形態の電子メール中継装置における電子メール送信時の処理を説明するためのフローチャートである。
図5】実施の形態の電子メール中継装置における電子メール受信時の処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図を参照しながら、この発明による電子メール送受信システム、電子メール中継装置、電子メール送受信プログラムの実施の形態について説明する。この発明による電子メール送受信システムは、この発明による電子メール中継装置を、電子メールの送信側と受信側との双方に設置して構成される。従って、この発明による電子メール中継装置は、電子メールの送受信を行う個人宅、会社、学校など、種々の施設等に設置することが可能なものである。しかし、以下に説明する実施の形態においては、添付ファイルを添付した電子メールの送受信を頻繁に行う、2つの会社の双方に、この発明による電子メール中継装置を設置して、この発明による電子メール送受信システムを構築する場合を例にして説明する。
【0014】
[電子メール送受信システムの概要]
図1は、この発明による電子メール送受信システムの一実施の形態の構成例を説明するための図である。この実施の形態においては、図1に示すように、添付ファイルを添付した電子メールの送受信を頻繁に行う会社Aと会社Bとのそれぞれに、この発明による電子メール中継装置1S、1Rを設置して、電子メール送受信システムを構築している。なお、以下においては、電子メール中継装置1S、1Rを、中継装置1S、1Rと記載する。また、添付ファイルを添付した電子メールを、以下においては、添付ファイル付き電子メールと記載する。
【0015】
会社A、Bには、複数の社員が使用する複数のPC(Personal Computer)が存在し、そのそれぞれが、中継装置1S、1Rに接続される。しかし、図1においては、中継装置1S、1Rのそれぞれに接続されている多数のPCの記載は省略し、今回、電子メールの送信、受信を行うPCのみを記載している。また、本来、会社Aと会社Bとの間では、相互に電子メールの送受信が行われるが、ここでは、説明を簡単にするため、会社Aの送信者Sから会社Bの受信者Rに添付ファイル付き電子メールを送信する場合を例にして説明する。従って、中継装置1Sは、送信者側中継装置であり、中継装置1Rは、受信者側中継装置である。
【0016】
図1に示すように、会社Aには、中継装置1Sが設置され、中継装置1Sには、添付ファイル付き電子メールを送信する送信者SのPC2Sが接続されている。また、会社Bには、中継装置1Rが設置され、中継装置1Rには、添付ファイル付きの電子メールを受信する受信者RのPC2Rが接続されている。図1に示すように、中継装置1Sと中継装置1Rのそれぞれは、メールサーバ装置3と添付ファイルサーバ装置4とに接続可能にされている。このため、会社Aにおいては、電子メールの送受信は、必ず中継装置1Sを通じて行われる。同様に、会社Bにおいては、電子メールの送受信は、必ず中継装置1Rを通じて行われる。
【0017】
メールサーバ装置3は、電子メールの送受信の役割を担う既存のサーバ装置である。電子メールが送信された場合、これを送信側メールサーバが受信して、受信側メールサーバを特定し、受信側メールサーバに送信して、電子メールの相手先が受信側メールサーバから当該電子メールを取得する。従って、メールサーバは、送信側メールサーバと受信側メールサーバとが存在する場合もある。しかし、メールサーバの構成部分については、変更はなく既存のメールサーバを利用できる。このため、図1では、送信側メールサーバと受信側メールサーバとを含めて、メールサーバ装置3として示している。
【0018】
添付ファイルサーバ装置4は、いわゆるクラウドサービスとして提供されているものであり、契約関係にある使用者から添付ファイルの提供を受けて、これを秘匿性高く記憶保持して管理する。添付ファイルサーバ装置4は、要件を満たすアクセス要求があった場合に、当該アクセス要求を受け付けて、要求元に対して要求のあった添付ファイルを提供する機能を実現する。添付ファイルサーバ装置4が提供するサービスは、無料で提供される場合もあるが、添付ファイルを預ける側(電子メールの送信側)に対して、サービス利用のための課金が発生する場合もある。
【0019】
図1に示す電子メール送受信システムにおいて、会社Aの送信者Sから会社Bの受信者Rに添付ファイル付き電子メールが送信される場合の処理の流れについて説明する。まず、会社Aの送信者Sは、自己のPC2Sでメーラー(メールソフト)を起動し、会社Bの受信者R宛ての添付ファイル付き電子メールを作成し、これを送信する(ステップST1)。会社Aの中継装置1Sは、当該電子メールを受信し、受信した電子メールを、添付ファイルと電子メール本文とに分離する(ステップST2)。この明細書において、電子メール本文は、添付ファイル以外の部分を意味し、いわゆるヘッダ(メールヘッダ部)と要件などのメッセージを記載したいわゆるボディ部とからなる部分である。
【0020】
会社Aの中継装置1Sは、分離した添付ファイルを添付ファイルサーバ装置4に保存する(ステップST3)。ステップST3の処理は、中継装置1Sが、送信用の電子メールから分離した添付ファイルのみを添付ファイルサーバ装置4にアップロードする処理である。添付ファイルサーバ装置4は、添付ファイルを受信すると、これを記憶装置に格納する。また、添付ファイルサーバ装置4は、記憶装置に格納した当該添付ファイルをダウンロードする場合に必要になるURL(Uniform Resource Locator)やパスワードといったクラウドサービス利用情報を、送信元の中継装置1Sに送信する(ステップST4)。
【0021】
会社Aの中継装置1Sは、分離したメール本文のヘッダの所定の部分に、中継装置1Sの識別情報や添付ファイルサーバ装置4から受信したクラウドサービス利用情報を付加して、これをメールサーバ装置3に送信する(ステップST5)。従って、ここで送信されるのは、添付ファイルが分離され、ヘッダに中継装置1Sの識別情報やクラウドサービス利用情報といった必要情報が付加された電子メール本文だけである。ここで、中継装置1Sの識別情報は、中継装置1Sの固有の識別情報でなくてもよい。例えば、送信側中継装置である中継装置1Sが、添付ファイル付き電子メールから添付ファイルを分離して、これを添付ファイルサーバ装置4に預ける機能を有するものであることを受信側中継装置である中継装置1Rにおいて認識可能な所定の識別情報を意味する。従って、以下においては、当該識別情報を所定の識別情報と記載する。
【0022】
また、必要情報を付加するヘッダの所定の部分は、既存のデータが格納されない空き領域であって、拡張フィールドなどと呼ばれる送信側クライアントと受信側クライアントが取り決めで使用できる部分であればよい。従って、受信者側中継装置である中継装置1Rは、受信した電子メールのヘッダのどの部分に送信側中継装置の識別情報やクラウドサービス利用情報といった必要情報が付加されているのかを把握しているものとする。
【0023】
会社Bの受信者Rは、自己のPC2Rでメーラーを(メールソフト)を起動し、メールサーバ装置3にアクセスして、自分宛ての電子メールを受信する操作を行う。この場合、メールサーバ装置3から受信者R宛て(受信者Rに割り当てられた電子メールアドレス宛て)の電子メールが読み出されて会社Bの中継装置1Rに提供される(ステップST6)。会社Bの中継装置1Rは、受信した電子メールのヘッダの所定の部分に付加されている情報を抽出する。
【0024】
中継装置1Rは、抽出した情報に、所定に識別情報が付加されているか否かを確認し、付加されていることが確認できない場合には、当該電子メールをそのまま受信者RのPC2Rに提供する。所定の識別情報の付加が確認できた場合には、中継装置1Rは、ヘッダの所定に部分から抽出した情報に含まれるクラウドサービス利用情報を抽出する(ステップST7)。会社Bの中継装置1Rは、抽出した中継装置の識別情報やクラウドサービス利用情報を用いて、添付ファイルサーバ装置4にアクセスする(ステップST8)。
【0025】
用いたクラウドサービス利用情報が正しければ、会社Aの中継装置1Sを通じてアップロードされた添付ファイルを、会社Bの中継装置1Rがダウンロードできる(ステップST9)。会社Bの中継装置1Rは、メールサーバ装置3から受信した電子メール本文に対して、ダウンロードした添付ファイルを添付する(ステップST10)。これにより、送信者SのPC2Sから送信された添付ファイル付きの電子メールが復元される。この復元された電子メールが受信者RのPC2Rに送信される(ステップST11)。
【0026】
これにより、受信者Rは、自ら添付ファイルサーバ装置4にアクセスするといった手間をかけることなく、従来通り自分宛ての電子メールを受信するようにするだけで、添付ファイル付き電子メールを受信して利用することができる。この場合、送信者Sから見れば、電子メールに添付した添付ファイルは、電子メールに添付されたまま送信されることはなく、添付ファイルサーバ装置4に預けられた後、会社Bの中継装置1Rにより取得されて、元の電子メールに添付し直されている。このため、添付ファイルと電子メール本文は別経路で受信者側に送られることになるので、添付ファイルを安全に送信者Sから受信者Rに提供できる。しかも、添付ファイルについて暗号化を施す必要もない。
【0027】
[電子メール中継装置1S、1Rの基本機能]
図2は、実施の形態の中継装置1S、1Rの基本機能について説明するためのブロック図である。図2に示すように、会社Aの中継装置1Sは、メール機能部1S1、アップロード機能部1S2、記憶機能部1S3を備える。メール機能部1S1は、PC2Sから添付ファイル付き電子メールを受信した場合には、添付ファイルと電子メール本文とを分離し、そのそれぞれを記憶機能部1S3に記録する。アップロード機能部1S2は、記憶機能部1S3に記録された添付ファイルを添付ファイルサーバ装置4にアップロードし、添付ファイルサーバ装置4からクラウドサービス利用情報の提供を受けて、これを記憶機能部1S3に記録する。
【0028】
また、メール機能部1S1は、添付ファイルと分離したメール本文のヘッダの所定の部分に、記憶機能部1S3に記録されている所定の識別情報やクラウドサービス利用情報を付加する。メール機能部1S1は、所定の識別情報やクラウドサービス利用情報を付加した電子メール本文をメールサーバ装置3に送信する。記憶機能部1S3は、上述したように、添付ファイル、電子メール本文、所定の識別情報、クラウドサービス利用情報といった、処理に必要となる種々の情報を記憶保持する。
【0029】
一方、図2に示すように、会社Bの中継装置1Rは、メール機能部1R1、ダウンロード機能部1R2、記憶機能部1R3を備える。メール機能部1R1は、メールサーバ装置3から受信者Rに対する電子メールを受信した場合には、これを記憶機能部1R3に記録し、当該電子メールのヘッダの所定の部分から情報を抽出して、記憶機能部1R3に記録する。メール機能部1R1は、抽出した情報の中に、所定の識別情報が存在するか否かを確認し、存在する場合には、ヘッダの所定の部分から抽出した情報に含まれるクラウドサービス利用情報を抽出する。
【0030】
ダウンロード機能部1R2は、抽出されたクラウドサービス利用情報を用いて、添付ファイルサーバ装置4にアクセスし、アップロードされている添付ファイルをダウンロードして、記憶機能部1R3に記録する。また、メール機能部1R1は、受信して記憶機能部1R3に記録した電子メール本文に対して、ダウンロードして記憶機能部1R3に記録した添付ファイルを添付して、会社AのPC2Sから送信された電子メールを復元する。メール機能部1R1は、復元した電子メールを受信者RのPC2Rに送信する。記憶機能部1R3は、処理に必要となる種々の情報を記憶保持する。具体的には、上述したように、メールサーバ装置3より受信した電子メール本文、電子メール本文のヘッダから抽出した情報(所定の識別情報やクラウドサービス利用情報)、添付ファイルサーバ装置4からダウンロードした添付ファイルといった情報である。
【0031】
また、添付ファイルサーバ装置4は、図2に示すように、アップロード機能部41、記憶機能部42、DB(Data Base)43、ダウンロード機能部44を備える。アップロード機能部41は、中継装置1Sなどからの添付ファイルの格納要求を受け付けた場合に、受信した添付ファイルを記憶機能部42に記録する処理を行う。また、アップロード機能部41は、受信した添付ファイルを記憶機能部42に記録した場合に、DB43の格納情報に従って、クラウドサービス利用情報を発行し、これを添付ファイルの提供元の中継装置1S等に提供する機能をも有する。なお、クラウドサービス利用情報は、上述もしたように、ダウンロード用のURLやパスワードからなる情報である。
【0032】
ダウンロード機能部44は、中継装置1Rなどからのクラウドサービス利用情報を含むダウンロード要求を受け付けた場合に、DB43に格納されているクラウドサービス利用情報に基づいて、認証を取るようにする。認証が取れた場合には、目的とする中継装置(この例の場合には中継装置1S)からアップロードされた添付ファイルを記憶機能部42から読み出し、これを要求元の中継装置(この例の場合には中継装置1R)に提供する。
【0033】
このように、中継装置1Sは、添付ファイルと電子メール本文との分離機能、分離した添付ファイルのアップロードする機能、分離した電子メール本文のヘッダにクラウドサービス利用情報等を付加する機能、電子メールのメールサーバへの送信機能を備える。また、中継装置1Rは、メールサーバ装置3からの電子メールの取得機能、クラウドサービス利用情報等の抽出機能、添付ファイルのダウンロード機能、受信した電子メール本文へのダウンロードした添付ファイルの付加機能、電子メールの受信者への提供機能を備える。
【0034】
図1図2を用いて、会社Aの送信者Sから会社Bの受信者Rに電子メールを送信する場合について説明したが、実際には、会社Bの受信者Rから会社Aの送信者Sに対して電子メールが送信される場合もある。このため、会社Aの中継装置1Sもまた、会社Bの中継装置1Rと同様の機能を備え、会社Bの中継装置1Rもまた、会社Aの中継装置1Sと同様の機能を備えたものとなる。次に、中継装置1Sが備える電子メールの送信機能と中継装置1Rが備える電子メールの受信機能とを合わせ持つ中継装置1の構成例について説明する。
【0035】
[中継装置1の構成例]
図3は、電子メールの送信機能と受信機能とを合わせ持つ、この実施の形態の中継装置1の構成例を説明するためのブロック図である。図3の左端側に設けられているLAN(Local Area Network)接続端子101Tは、会社内に構築されたLANへの接続端子である。LANI/F(interface)101は、LANを通じて接続されているPC等との間でデータの送受信を可能にする。
【0036】
図3の右端側に設けられているWAN(Wide Area Network)端子151Tは、WANへの接続端子である。なお、WANは、LANやMAN(Metropolitan Area Network)に比較して広い範囲におよぶネットワークを意味し、この明細書では、インターネットと同義の意味で用いる。WANI/F(interface)101は、WANに接続されている例えば種々のサーバ装置などとの間でデータの送受信を可能にする。制御部102は、図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリなどが接続されて構成されたマイクロプロセッサである。制御部102は、中継装置1の各部の制御を行う機能を実現する。
【0037】
管理ファイル103、本文格納部104、添付格納部105、元メール格納部106、中継装置ファイル107、データベース108は、図2を用いて上述した記憶機能部1S3、1R3の機能を実現する。これらの各ファイル、各格納部は、例えばSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)といった、記録媒体とそのドライバとからなる記憶装置の当該記録媒体に作成される。もちろん、各ファイル、各格納部が異なる記憶装置の記録媒体に作成されてもよい。
【0038】
管理ファイル103は、例えば、添付ファイルサーバ装置4へのアクセス用URL、添付ファイルサーバ装置4から提供を受けた送信時クラウドサービス利用情、メール本文のヘッダの所定に部分から抽出した情報などを記憶する。クラウドサービス利用情報は、上述もしたように、添付ファイルのダウンロード用URLやパスワードからなる情報である。その他にも、管理ファイル103は、処理に必要になる種々のデータ等を記憶保持することができる。
【0039】
本文格納部104、添付格納部105、元メール格納部106のそれぞれは、電子メールの送信時に用いられる送信時エリアと、電子メールの受信時に用いられる受信時エリアとを有する。電子メールの送信時において、本文格納部104の送信時エリアには、添付ファイルが分離された電子メール本文が格納され、添付格納部105の送信時エリアには、電子メール本文から分離された添付ファイルが格納される。また、元メール格納部106の送信時エリアには、本来の送信対象である添付ファイルが添付された電子メールが格納される。
【0040】
また、電子メールの受信時において、本文格納部104の受信時エリアには、メールサーバ装置3から受信した電子メール本文(添付ファイル無し)が格納され、添付格納部105の受信時エリアには、添付ファイルサーバ装置4からダウンロードした添付ファイルが格納される。また、元メール格納部106の受信時エリアには、受信した電子メール本文(添付ファイル無し)に対して、ダウンロードした添付ファイルを付加した電子メールが格納される。
【0041】
中継装置ファイル107には、添付ファイル付き電子メールから添付ファイルを分離して、これを添付ファイルサーバ装置4に預ける機能を有するものであることを示す所定の識別情報が記録されている。所定の識別情報には、自機が添付ファイル付き電子メールから添付ファイルを分離して、これを添付ファイルサーバ装置4に預ける機能を有するものであることを示すものがある。また、所定の識別情報には、受信した電子メールの送信先の中継装置が、添付ファイル付き電子メールから添付ファイルを分離して、これを添付ファイルサーバ装置4に預ける機能を有するものであることを示すものがある。
【0042】
また、当該識別情報は1つである場合に限るものではなく、複数種類が存在する場合もある。従って、中継装置ファイル107には、複数種類の所定の識別情報が格納されている場合もある。データベース108には、処理に必要になる種々のデータが記録されている。この他にも、図示しないが、例えば処理の途中結果を記憶保持するなど、作業領域として用いられる作業ファイルなどが設けられている。
【0043】
図3の中継装置1において、分離/添付処理部110、利用情報処理部130、メール制御部140が、図2を用いて説明したメール機能部1S1、1R1の機能を実現する。また、図3の中継装置1において、U/D制御部120が、図2を用いて説明したアップロード機能部1S2とダウンロード機能部1R2の機能を実現する。なお、U/D制御部120の「U/D」は、「アップロード/ダウンロード」の略称として用いている。以下、各部について説明する。
【0044】
分離/添付処理部110、U/D制御部120、利用情報処理部130、メール制御部140のそれぞれは、電子メールの送信時に機能する部分と、電子メールの受信時に機能する部分とからなる。このため、以下においては、まず、電子メールの送信時に機能する部分について説明し、その後に、電子メールの受信時に機能する部分について説明する。
【0045】
LAN接続端子101T及びLANI/F101を通じて送信すべき電子メールを受け付けると、当該電子メールは、制御部102を介して、分離/添付処理部110に供給される。この場合、分離/添付処理部110の分離処理部111が機能し、提供された電子メールを元メール格納部106の送信時エリアに格納する。更に、分離/添付処理部110は、当該電子メールを、電子メール本文と添付ファイルとに分離し、電子メール本文を本文格納部104の送信時エリアに格納し、添付ファイルを添付格納部105の送信時エリアに格納する。
【0046】
次に、制御部102の制御の下、U/D制御部120のアップロード制御部121が機能し、分離処理部111により添付格納部105の送信時エリアに格納された添付ファイルを、添付ファイルサーバ装置4にアップロードする処理を行う。この場合に、当該添付ファイルは、WANI/F151及びWAN接続端子151Tを通じてWANに送出されて、添付ファイルサーバ装置4において受信され、これが記憶されて管理される。また、添付ファイルサーバ装置4からは、記憶した添付ファイルのダウンロードを可能にするためのURLやパスワードからなるクラウドサービス利用情報が送信されて来る。当該クラウドサービス利用情報は、WAN接続端子151T及びWANI/F151を通じて受信され、制御部102を通じて、アップロード制御部121に供給される。アップロード制御部121は、提供されたクラウドサービス利用情報を送信時クラウドサービス利用情報として管理ファイル103に格納する。
【0047】
利用情報付加部131は、制御部102の制御の下、本文格納部104の送信時エリアに格納されている送信対象の電子メール本文のヘッダの所定の部分に、所定の識別情報と送信時クラウドサービス利用情報とを付加する。ここで、所定の識別情報は、中継装置ファイル107に格納されている情報であり、当該中継装置1が、添付ファイル付き電子メールから添付ファイルを分離して、これを添付ファイルサーバ装置4に預ける機能を有するものであることを示す情報である。また、送信時クラウドサービス利用情報は、アップロード制御部121により管理ファイル103に格納された情報である。
【0048】
添付ファイルが分離される共に、所定の識別情報と送信時クラウドサービス利用情報とがヘッダの所定の部分に付加された電子メール本文は、制御部102の制御の下、送信制御部141が機能して、メールサーバ装置3に送信される。すなわち、当該電子メール本文は、WANI/F151及びWAN接続端子151Tを通じてWANに送出され、目的とする受信者に割り当てられた電子メールアドレスにより特定されるメールサーバ装置3に送信される。
【0049】
次に、電子メールの受信時に機能する部分について説明する。受信者が使用するPCからの電子メールの取得要求が到来したとする。この場合、制御部102の制御の下、受信制御部142が機能して、WAN接続端子151T及びWANI/F151を通じて、メールサーバ装置3にアクセスし、受信者に提供すべき電子メールを取得し、これを利用情報抽出部132に供給する。利用情報抽出部132は、提供された電子メールを本文格納部104の受信時エリアに格納し、当該電子メールのヘッダの所定の部分に付加されている情報を抽出し、管理ファイル103の所定のエリアに記録する。
【0050】
この後、制御部102が、受信した電子メールのヘッダの所定の部分から抽出した情報に、中継装置ファイル107に記録されている情報と同じ、所定の識別情報が存在するか否かを確認する。所定の識別情報が存在すると確認できたとする。この場合、制御部102の制御の下、ダウンロード制御部122が機能し、受信した電子メールのヘッダの所定の部分から抽出した情報に含まれるクラウドサービス利用情報を用いて、添付ファイルサーバ装置4にアクセスする。そして、送信側の中継装置がアップロードした添付ファイルのダウンロードを要求する。
【0051】
これにより、制御部102の制御の下、受信制御部142が機能して、添付ファイルサーバ装置4からの添付ファイルを、WAN接続端子151T及びWANI/F151を通じて受け付けて、ダウンロード制御部122に供給する。ダウンロード制御部122は、提供を受けた添付ファイルを、添付格納部105の受信時エリアに記録する。
【0052】
この後、制御部102の制御の下、添付処理部112が機能し、本文格納部104の受信時エリアに格納されているメールサーバ装置3からの電子メール本文に対して、添付格納部105の受信時エリアに格納されている添付ファイルを添付し直す。これにより、本来、送信者より送信するようにされた添付ファイル付き電子メールが復元され、これが元メール格納部106の受信時エリアに格納される。制御部102は、元メール格納部106の受信時エリアに格納されている復元された添付ファイル付き電子メールを、LANI/F101及びLAN接続端子101Tを通じてLANに送出し、要求元となる受信者のPCに提供する。
【0053】
[中継装置1の処理のまとめ]
図3を用いて説明した、この実施の形態の中継装置1で行われる処理について、電子メールの送信時の処理と、電子メールの受信時の処理とに分けてまとめる。
【0054】
<中継装置1の電子メール送信時の処理>
図4は、実施の形態の中継装置1における電子メール送信時の処理を説明するためのフローチャートである。図4に示す処理は、LAN接続端子101T及びLANI/F101を通じて、送信用の電子メールを受け付けた場合に、制御部102が各部を制御して実行される処理である。制御部102は、送信用の電子メールを受け付けると、分離/添付処理部110の分離処理部111を制御して、添付ファイルと電子メール本文とを分離する(ステップS101)。分離した添付ファイルは、添付格納部105の受信時エリアに格納され、分離された電子メール本文は本文格納部104の受信時エリアに格納される。
【0055】
この後、制御部102は、U/D制御部120のアップロード制御部121を制御して、添付格納部105の受信時エリアに格納されている添付ファイルを、添付ファイルサーバ装置4にアップロードする処理を行う(ステップS102)。アップロード制御部121は、ステップS102の処理に応じて、添付ファイルサーバ装置4から送信されて来るクラウドサービス利用情報を受信する(ステップS103)。アップロード制御部121は、受信したクラウドサービス利用情報を、管理ファイル103に送信時クラウドサービス利用情報として格納する。
【0056】
次に、制御部102は、利用情報処理部130の利用情報付加部131を制御し、本文格納部104の送信時エリアに格納されている分離された電子メール本文のヘッダの所定の部分に、所定の識別情報とクラウドサービス利用情報を付加する(ステップS104)。具体的には、中継装置ファイル107に格納されている所定の識別情報と管理ファイル103に格納されている送信時クラウドサービス利用情報が付加される。
【0057】
この後、制御部102は、メール制御部140の送信制御部141を制御し、添付ファイルが分離され、ヘッダに必要情報が付加された電子メール本文を、送信先のメールサーバ装置3に送信する(ステップS105)。これにより、電子メールの送信処理が完了し、図4に示す処理が終了する。ここで、必要情報は、所定の識別情報と送信時クラウドサービス利用情報を意味する。
【0058】
このように、電子メールの送信時において、中継装置1は、添付ファイル付き電子メールについて、添付ファイルと電子メール本文とを分離する。この後、中継装置1は、分離した添付ファイルを添付ファイルサーバ装置4にアップロードする。そして、中継装置1は、分離した電子メール本文のヘッダの所定の部分に、必要情報を付加して、送信先のメールサーバ装置3に送信する。
【0059】
<中継装置1の電子メール受信時の処理>
図5は、実施の形態の電子メール中継装置における電子メール受信時の処理を説明するためのフローチャートである。すなわち、図5に示すフローチャートの処理は、中継装置1にLAN接続されたPCからの要求に応じて、当該PCの使用者(受信者)宛ての電子メールを受信(取得)する場合の処理である。図5に示すフローチャートの処理は、LAN接続端子101T及びLANI/F101を通じて、LAN接続されている例えばPCからの電子メールの取得要求を受け付けた場合に、制御部102が各部を制御して実行される処理である。
【0060】
まず、制御部102は、PCからの要求に応じて、メール制御部140の受信制御部142を制御して、メールサーバ装置3にアクセスし、自ユーザ宛ての電子メールを取得する(ステップS201)。すなわち、要求元のPCのユーザに割り当てられている電子メールアドレスが宛先となっている電子メールを取得する処理が、ステップS201の処理である。ステップS201において取得された電子メールは、本文格納部104の受信時エリアに格納される。
【0061】
次に、制御部102は、利用情報処理部130の利用情報抽出部132を制御し、本文格納部104の受信時エリアに格納された電子メール本文のヘッダの所定の部分に付加されている情報を抽出する(ステップS202)。抽出された情報は、管理ファイル103の所定のエリアに格納される。制御部102は、電子メール本文のヘッダの所定の部分から抽出された情報に、所定の識別情報が存在するか否かを判別する(ステップS203)。
【0062】
ステップS203の判別処理において、所定の識別情報が存在すると判別された場合には、制御部102の制御の下、U/D制御部120のダウンロード制御部122が機能する。ダウンロード制御部122は、電子メール本文のヘッダの所定の部分から抽出された情報に含まれるクラウドサービス利用情報を用いて、添付ファイルサーバ装置4にアクセスし、アップロードされている所定の添付ファイルをダウンロードする(ステップS204)。ステップS203でダウンロードされた添付ファイルは、添付格納部105の受信時エリアに格納される。
【0063】
次に、制御部102は、分離/添付処理部110の添付処理部112を制御し、本文格納部104の受信時エリアに格納した電子メール本文に対して、添付格納部105の受信時エリアに格納した添付ファイルを添付して電子メールを復元する(ステップS205)。この後、制御部102は、ステップS205で添付ファイルを添付して復元した電子メールを、LANI/F101及びLAN接続端子101Tを介してLANに送出し、要求元のPCへ提供するように処理する(ステップS206)。
【0064】
なお、ステップS203の判別処理において、所定の識別情報が存在しないと判別されたとする。この場合、制御部102は、ステップS201で取得した電子メールをそのまま、LANI/F101及びLAN接続端子101Tを介してLANに送出し、要求元のPCへ提供するように処理する。ステップS206の処理の後においては、電子メールの受信処理が完了し、図5に示す処理が終了する。
【0065】
このように、電子メールの受信時において、中継装置1は、メールサーバ装置3から受信者宛ての電子メールを取得し、取得した電子メールのヘッダの所定の部分に付加されている情報を抽出する。この抽出した情報に所定の識別情報が存在する場合には、当該抽出した情報に含まれるクラウドサービス利用情報を用いて、添付ファイルサーバ装置4にアクセスし、目的とする添付ファイルをダウンロードする。そして、ダウンロードした添付ファイルを、既に取得している電子メール本文に添付し直して、送信者が送信した状態の電子メールを復元する。中継装置1は、この復元した電子メールを、受信者に対して提供する。
【0066】
[実施の形態の効果]
上述した実施の形態の中継装置1は、添付ファイル付きの電子メールを、自動的に添付ファイルと電子メール本文とに分離し、分離した添付ファイルは添付ファイルサーバ装置4に預け、分離した電子メール本文にはヘッダに必要情報を付加して相手先に送信できる。また、上述した実施の形態の中継装置1は、メールサーバ装置3から取得した電子メール本文のヘッダに付加されている必要情報を抽出し、当該必要情報に所定の識別情報が存在していたとする。この場合には、当該必要情報に含まれるクラウドサービス利用情報を用いて添付ファイルサーバ装置4から添付ファイルを取得し、これを電子メール本文に添付できる。
【0067】
このようにして、受信側において、電子メール本文と添付ファイルとを別々に取得し、添付ファイル付き電子メールを復元して、受信者のPCに提供できる。従って、電子メールの送信者側と受信者側の双方が特に意識したり、新たな操作を行ったりすることなく、添付ファイル付き電子メールについて、添付ファイルと電子メール本文とを別経路を通じて、安全に送受信できる。しかも、送信する電子メールには、所定の識別情報やクラウドサービス利用情報が付加されるが、添付ファイルについての情報は格納されないため、添付ファイルの有無を含めて漏洩する可能性がなくなる。もちろん、電子メールの送信、受信について、何の影響も与えることなく実現できる。
【0068】
[変形例]
なお、上述した実施の形態においては、送信側中継装置において添付ファイルと電子メール本文とを分離し、分離した電子メール本文のヘッダの所定の部分に、所定の識別情報とクラウドサービス利用情報とを付加するようにしたが、これに限るものではない。例えば、電子メール本文のヘッダの所定の部分に、クラウドサービス利用情報だけを付加して送信するようにしてもよい。クラウドサービス利用情報は、上述もしたように、添付ファイルサーバ装置4にアップロードした添付ファイルをダウンロードするためのURLとパスワードである。このため、受信側中継装置において受信した電子メール本文の所定の部分から抽出した情報に、URLの特徴を有する文字列が存在する場合には、これを用いて添付ファイルのダウンロードを行うようにしてもよい。
【0069】
また、上述した実施の形態では、アップロードする添付ファイルに対しては、暗号化は施さないものとして説明したが、これに限るものではない。アップロードする添付ファイルに対して暗号化を施してアップロードし、暗号化に用いた暗号キーを、電子メール本文のヘッダの所定の部分に付加して、受信先に送信するようにしてもよい。この場合、受信先中継装置では、電子メール本文のヘッダの所定の部分に付加されているクラウドサービス利用情報を用いて添付ファイルをダウンロードする。この後に、電子メール本文のヘッダの所定の部分に付加されている暗号キーを用いて、ダウンロードした添付ファイルの暗号解読を行うようにすればよい。
【0070】
また、電子メール本文のヘッダの所定の部分に付加する必要情報について、所定の方式で暗号化した後に、当該ヘッダの所定の部分に付加してもよい。この場合、受信先中継装置では、電子メール本文のヘッダの所定の部分から抽出した情報について当該所定の方式に従って暗号解読を行い、必要情報を抽出するようにしてもよい。このように、必要情報を暗号化してヘッダの所定部分に付加する場合には、暗号解読できた場合に、当該情報は添付ファイルのダウンロードに必要なクラウドサービス利用情報であると特定できる。
【0071】
また、電子メール本文のヘッダの所定の部分のどの部分に、所定の識別情報を付加し、ダウンロードに必要なURLを付加し、ダウンロードに必要なURLを付加するというように、予め定めておく。これにより、受信側中継装置において、そのそれぞれを区別して、電子メールのヘッダの所定部分から目的とする情報を区別して取得することが可能である。この場合には、付加する情報ごとに暗号化して添付してもよい。
【0072】
なお、上述した実施の形態では、中継装置1が中継装置ファイル107を備えるものである。このため、中継装置1において、電子メール本文のヘッダの所定の部分に付加されている所定の識別情報に基づいて、送信側中継装置が、添付ファイルの分離機能及び添付ファイルのアップロード機能を備えるものか否を判別できた。しかし、これに限るものではない。例えば、WAN上に、中継装置ファイル107を備えたセンターサーバ装置を設けておく。この場合、中継装置1は、電子メール本文のヘッダの所定の部分に付加されている所定の識別情報に基づいて、当該センターサーバ装置に問い合わせを行うようにする。これにより、送信側中継装置が、添付ファイルの分離機能及び添付ファイルのアップロード機能を備えたものか否かを判別するようにしてもよい。
【0073】
また、添付ファイアをアップロードした添付ファイルサーバ装置4が何等かの障害により正常に機能しておらず、添付ファイルのダウンロードができない事象が発生したとする。このような場合には、受信側中継装置1Rが、送信側中継装置1Sに対して、添付ファイルの提供を要求し、添付ファイルのダウンロードを行えるように構成することも可能である。すなわち、送信側中継装置1Sは、分離した添付ファイルと電子メール本文のヘッダに付加したクラウドサービス利用情報を保持している。このため、送信側中継装置1Sは、これらの情報を関連付けて保持するようにして、送信側中継装置1Sに添付ファイルサーバ装置としての機能を持たせる。これにより、受信側中継装置1RからWANを通じて、クラウドサービス利用情報を含む添付ファイルの提供要求を送信側中継装置1Sに送信し、送信側中継装置1Sから受信側中継装置1Rが添付ファイルをダウンロードできる。
【0074】
なお、上述した実施の形態では、アップロードされた添付ファイルのダウンロードのために、ダウンロード用のURLとパスワードとを用いるものとして説明したが、これに限るものではない。少なくとも、ダウンロード用のURLは、目的とする添付ファイルを一意に特定することができる識別情報であればよい。
【0075】
また、上述した実施の形態では、送信側中継装置で所定の識別情報やクラウドサービス利用情報からなる必要情報を、電子メール本文のヘッダの所定の部分に付加するものとして説明した。しかし、これに限るものではない。ヘッダの所定の部分以外の部分、例えば、メール本文のメッセージが記載されるボディ部の所定の部分に付加することも可能である。要は、必要情報を付加する部分が、送信側と受信側との双方で特定可能な部分であって、通常は情報の記録エリアとして使用されていない部分であればよい。
【0076】
また、この発明の電子メール中継装置を単体で設けるだけでなく、例えば、UTM(Unified Threat Management)装置などと呼ばれる統合脅威管理装置の1つの機能として設けることも可能である。
【0077】
[その他]
上述した実施の形態の説明からも分かるように、請求項の送信側中継装置の受付手段の機能は、実施の形態の中継装置1のLAN接続端子101T及びLANI/F101が実現している。また、請求項の送信側中継装置の分離手段の機能は、中継装置1の分離処理部111が実現し、請求項の送信側中継装置のアップロード手段の機能は、中継装置1のアップロード制御部121が実現している。また、請求項の送信側中継装置の利用情報取得手段の機能は、中継装置1のWAN接続端子151T及びWANI/F151が実現し、請求項の送信側中継装置の付加手段の機能は、中継装置1の利用情報付加部131が実現している。また、請求項の送信側中継装置の送信手段の機能は、中継装置1の送信制御部とWANI/F151及びWAN接続端子151Tが実現している。
【0078】
また、請求項の受信側中継装置の要求受付手段の機能は、実施の形態の中継装置1のLAN接続端子101T及びLANI/F101が実現している。また、請求項の受信側中継装置の受信手段の機能は、中継装置1のWAN接続端子151T及びWANI/F151が実現し、請求項の受信側中継装置の抽出手段の機能は、中継装置1の利用情報抽出部132が実現している。また、請求項の受信側中継装置のダウンロード手段の機能は、中継装置1のダウンロード制御部122が実現し、請求項の受信側中継装置の添付手段の機能は、中継装置1の添付処理部112が実現している。また、請求項の受信側中継装置の提供手段の機能は、中継装置1のLANI/F101及びLAN接続端子101Tが実現している。
【0079】
また、図3を用いて説明した分離処理部111、アップロード制御部121、利用情報付加部131、送信制御部141の機能は、制御部102において実行されるプログラムによって、制御部102の機能として実現することもできる。すなわち、図4を用いて説明した処理を実行するプログラムを作成し、LANへの接続機能とWANへの接続機能を備えた情報処理装置に搭載して実行可能にしておくことにより、この発明の送信側中継装置を実現できる。
【0080】
また、図3を用いて説明した添付処理部112、ダウンロード制御部122、利用情報抽出部132、受信制御部142の機能は、制御部102において実行されるプログラムによって、制御部102の機能として実現することもできる。すなわち、図5を用いて説明した処理を実行するプログラムを作成し、LANへの接続機能とWANへの接続機能を備えた情報処理装置に搭載して実行可能にしておくことにより、この発明の受信側中継装置を実現できる。
【0081】
また、図4に示したフローチャートの処理を行う方法が、この発明による送信側中継方法の一実施の形態を実現するものである。また、図5に示したフローチャートの処理を行う方法が、この発明による受信側中継方法の一実施の形態を実現するものである。
【0082】
また、図4に示したフローチャートの処理を実行するプログラムが、送信側中継装置1Sに搭載されたコンピュータ(制御部102)で実行される、この発明による送信側中継プログラムの一実施の形態を実現するものである。なお、図4に示したフローチャートの処理は、上述もしたように、LAN接続端子101T及びLANI/F101を通じて、送信用の電子メールを受け付けた場合に、制御部102が各部を制御して実行される処理である。従って、図4では省略したが、送信側情報端末からの添付ファイル付き電子メールを受け付ける受付ステップを含んでいる。
【0083】
また、図5に示したフローチャートの処理を実行するプログラムが、受信側中継装置1Rに搭載されたコンピュータ(制御部102)で実行される、この発明による受信側中継プログラムの一実施の形態を実現するものである。なお、図5に示したフローチャートの処理は、上述もしたように、LAN接続端子101T及びLANI/F101を通じて、LAN接続されている例えばPCからの電子メールの取得要求を受け付けた場合に、制御部102が各部を制御して実行される処理である。従って、図5では省略したが、受信側情報端末からの電子メールの取得要求を受け付ける要求受付ステップを含んでいる。
【0084】
従って、中継装置1の分離処理部111、アップロード制御部121、利用情報付加部131、送信制御部141の各部の機能は、制御部102で実行されるプログラムにより制御部102の機能として実現することができる。同様に、中継装置1の添付処理部112、ダウンロード制御部122、利用情報抽出部132、受信制御部142の各部の機能は、制御部102で実行されるプログラムにより制御部102の機能として実現することができる。
【符号の説明】
【0085】
1…中継装置、101T…LAN接続端子、101…LANI/F、102…制御部、103…管理ファイル、104…本文格納部、105…添付格納部、106…元メール格納部、107…中継装置ファイル、108…データベース、110…分離/添付処理部、111…分離処理部、112…添付処理部、120…U/D制御部、121…アップロード制御部、122…ダウンロード制御部、130…利用情報処理部、131…利用情報付加部、132…利用情報抽出部、140…メール制御部、141…送信制御部、142…受信制御部、151T…WAN接続端子、151…WANI/F、1S…中継装置、1S1…メール機能部、1S2…アップロード機能部、1S3…記憶機能部、1R…中継装置、1R1…メール機能部、1R2…ダウンロード機能部、1R3…記憶機能部、2S、2R…PC、3…メールサーバ装置、4…添付ファイルサーバ装置、41…アップロード処理部、42…記憶機能部、43…データベース、44…ダウンロード処理部
図1
図2
図3
図4
図5