(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141523
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】医療用長尺体
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20241003BHJP
A61M 25/06 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A61M25/00 622
A61M25/06 550
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053226
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大嶽 祐八
(72)【発明者】
【氏名】福岡 徹也
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA01
4C267AA28
4C267BB09
4C267CC08
4C267GG03
4C267GG05
4C267GG06
4C267GG07
4C267GG08
4C267GG22
4C267GG24
4C267HH04
(57)【要約】
【課題】ラピッドエクスチェンジタイプ方式の医療用長尺体において、比較的太いガイドワイヤが用いられる場合であっても、ガイディングカテーテルへの挿入が容易となる医療用長尺体を提供する。
【解決手段】医療用長尺体1は、軸方向に延在するとともに、ガイドワイヤGが通過可能なガイドワイヤルーメン11を備える本体部10と、軸方向に延在するとともに、本体部の基端側に連結されるシャフト部20と、本体部およびシャフト部の接続箇所に設けられ、ガイドワイヤが出入り可能なガイドワイヤポート30と、を有し、ガイドワイヤルーメンの内径d1は、シャフト部の外径D1以上である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルの内腔に先端が突出するように配置されて、前記カテーテルの挿入を補助する医療用長尺体であって、
軸方向に延在するとともに、ガイドワイヤが通過可能なガイドワイヤルーメンを備える本体部と、
前記軸方向に延在するとともに、前記本体部の基端側に連結されるシャフト部と、
前記本体部および前記シャフト部の接続箇所に設けられ、前記ガイドワイヤが出入り可能なガイドワイヤポートと、を有し、
前記ガイドワイヤルーメンの内径は、前記シャフト部の外径以上である、医療用長尺体。
【請求項2】
前記シャフト部の前記外径は0.4mm以上であって、
前記ガイドワイヤルーメンの前記内径は0.9mm以上である、請求項1に記載の医療用長尺体。
【請求項3】
前記シャフト部の前記外径は0.6mm以上である、請求項1に記載の医療用長尺体。
【請求項4】
前記シャフト部の断面積は、前記ガイドワイヤルーメンの断面積より小さい、請求項1または2に記載の医療用長尺体。
【請求項5】
前記シャフト部は3本設けられる、請求項1または2に記載の医療用長尺体。
【請求項6】
3本の前記シャフト部の断面積の合計は、前記ガイドワイヤルーメンの断面積以上である、請求項5に記載の医療用長尺体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用長尺体に関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルの1つであるガイディングカテーテルは、心臓の冠状動脈(以下冠動脈)や下肢動脈等を治療するためのバルーンカテーテル等を目的部位まで挿入する際に、使用するカテーテルである。
【0003】
特に、冠動脈や下肢動脈等を血管内治療に使用されるガイディングカテーテルにおいて、治療対象となる血管径が大きいことから、外径の大きな治療デバイスが選択されたり、一度に複数の治療デバイスを治療対象部位に送達させたりするために、より多くの治療デバイスを一度に先端に送ったりするために、ガイディングカテーテルの内径を大きくして、ガイディングカテーテルの肉厚を薄くすることが好ましい。
【0004】
このようにカテーテルの肉厚が薄い場合、カテーテルのキンクの発生、プッシャビリティの低下を防止することを目的に、カテーテルの内腔に、インナーカテーテルまたはダイレーター(総称して、医療用長尺体)を配置する構成が採用されている。
【0005】
上記のような医療用長尺体は、病変部へのプッシャビリティが求められるため、オーバーザワイヤ(OTW)タイプ方式が多く用いられてきた。しかしながら、オーバーザワイヤタイプ方式では、医療用長尺体を抜去するために、例えばガイディングカテーテルの全長が150cmとすると、ガイディングカテーテルの内腔に先端が突出するように配置される医療用長尺体の全長はガイディングカテーテルの全長より長く、医療用長尺体の全長の2倍以上、例えば400cm程度のガイドワイヤが必要となり、抜去時の操作が非常に煩雑である。また、オーバーザワイヤタイプ方式では、剛性の高い例えば0.035inchのガイドワイヤの交換も困難である。
【0006】
以上から、近年では、オーバーザワイヤタイプ方式に代わって、デバイスの交換が容易なラピッドエクスチェンジ(RX)タイプ方式が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般的なPCI(Percutaneous Coronary Intervention:経皮的冠動脈インターベンション)に用いられるラピッドエクスチェンジタイプ方式のバルーンカテーテルでは、ガイドワイヤが主に0.014inch(0.36mm)のものが用いられており、ガイドワイヤよりもラピッドエクスチェンジタイプ方式のカテーテルデバイスのシャフトの方が太いことが一般的である。
【0009】
これに対して、特に下肢動脈を治療するカテーテルでは、ガイドワイヤとして、0.035inch(0.89mm)のものが用いられる。本発明者らは、0.035inchのガイドワイヤに対して、より太いシャフト部が採用される場合、ガイドワイヤルーメンおよびシャフト部がそれぞれ太くなってしまい、ガイディングカテーテルへの挿入が困難である課題を見出した。
【0010】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、ラピッドエクスチェンジタイプ方式の医療用長尺体において、比較的太いガイドワイヤ(例えば、0.035inch)が用いられる場合であっても、ガイディングカテーテルへの挿入が容易となる医療用長尺体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0012】
(1)
カテーテルの内腔に先端が突出するように配置されて、前記カテーテルの挿入を補助する医療用長尺体であって、
軸方向に延在するとともに、ガイドワイヤが通過可能なガイドワイヤルーメンを備える本体部と、
前記軸方向に延在するとともに、前記本体部の基端側に連結されるシャフト部と、
前記本体部および前記シャフト部の接続箇所に設けられ、前記ガイドワイヤが出入り可能なガイドワイヤポートと、を有し、
前記ガイドワイヤルーメンの内径は、前記シャフト部の外径以上である、医療用長尺体。
【0013】
(2)
前記シャフト部の前記外径は0.4mm以上であって、
前記ガイドワイヤルーメンの前記内径は0.9mm以上である、(1)に記載の医療用長尺体。
【0014】
(3)
前記シャフト部の前記外径は0.6mm以上である、(1)または(2)に記載の医療用長尺体。
【0015】
(4)
前記シャフト部の断面積は、前記ガイドワイヤルーメンの断面積より小さい、(1)~(3)のいずれか1つに記載の医療用長尺体。
【0016】
(5)
前記シャフト部は3本設けられる、(1)~(3)のいずれか1つに記載の医療用長尺体。
【0017】
(6)
前記シャフト部の断面積は、前記ガイドワイヤルーメンの断面積以上である、(5)に記載の医療用長尺体。
【発明の効果】
【0018】
上記のように構成した医療用長尺体によれば、ガイドワイヤルーメンの内径は、前記シャフト部の外径以上であるため、シャフト部の外径を抑えることができ、医療用長尺体全体の外径を抑えることができる。したがって、ラピッドエクスチェンジタイプ方式の医療用長尺体において、比較的太いガイドワイヤ(例えば、0.035inch)が用いられる場合であっても、ガイディングカテーテルへの挿入が容易となる医療用長尺体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る医療用長尺体を示す全体図である。
【
図2】本実施形態に係る医療用長尺体が挿入されるガイディングカテーテルを示す全体図である。
【
図3】本実施形態に係る医療用長尺体がガイディングカテーテルに挿入された状態における、先端近傍を拡大して示す長軸に沿った正面断面図である。
【
図5】医療用長尺体の先端近傍を拡大して示す平面図である。
【
図6】医療用長尺体の先端近傍を拡大して示す長軸に沿った正面断面図であって、ガイドワイヤが挿入された状態を示す。
【
図10】変形例1に係る医療用長尺体の
図5に対応する図である。
【
図11】変形例1に係る医療用長尺体の
図6に対応する図である。
【
図14】変形例2に係る医療用長尺体の
図5に対応する図である。
【
図15】変形例2に係る医療用長尺体の
図6に対応する図である。
【
図18】変形例3に係る医療用長尺体の
図5に対応する図である。
【
図19】変形例3に係る医療用長尺体の
図6に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、
図1~
図9を参照して、本発明の実施形態に係る医療用長尺体1、および医療用長尺体1が挿入されるカテーテル9について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る医療用長尺体1を示す全体図である。
図2は、本実施形態に係る医療用長尺体1が挿入されるカテーテル9を示す全体図である。
図3は、本実施形態に係る医療用長尺体1がカテーテル9に挿入された状態における、先端近傍を拡大して示す長軸に沿った正面図である。
図4は、
図3の4-4線に沿う断面図である。
図5は、医療用長尺体1の先端近傍を拡大して示す平面図である。
図6は、医療用長尺体1の先端近傍を拡大して示す長軸に沿った正面断面図であって、ガイドワイヤGが挿入された状態を示す。
図7は、
図6の7-7線に沿う断面図である。
図8は、
図6の8-8線に沿う断面図である。
図9は、
図6の9-9線に沿う断面図である。
【0021】
図2に示すカテーテル9は、例えばPTCA用の拡張カテーテル(バルーンカテーテル)や、ステントを縮径状態で狭窄部まで搬送し、狭窄部にて拡径、留置して狭窄部を拡張維持するためのカテーテル(ステント運搬用カテーテル)のような処置用カテーテル(デバイス)を、冠動脈や下肢動脈の狭窄部のような目的部位まで誘導するためのガイディングカテーテルとして用いられるものである。
【0022】
カテーテル9は、
図2に示すように、チューブ91と、チューブ91の先端側に設けられた柔軟な先端チップ92と、チューブ91の基端側に設けられたハブ93と、ハブ93の先端側に設けられる耐キンクプロテクター94と、を有する。カテーテル9は公知の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0023】
図1に示す医療用長尺体1は、カテーテル9の内腔に先端が突出するように配置されて、カテーテル9の挿入を補助する医療器具である。つまり、医療用長尺体1は、インナーカテーテルまたはダイレーターとして用いられる。
【0024】
医療用長尺体1は、
図1~
図6に示すように、ガイドワイヤGが挿通可能なガイドワイヤルーメン11を備える本体部10と、本体部10の基端側に連結されるシャフト部20と、を有する。医療用長尺体1は、本体部10およびシャフト部20の接続箇所にガイドワイヤGが出入り可能なガイドワイヤポート30が形成された、いわゆるラピッドエクスチェンジ型の医療用長尺体として構成している。
【0025】
このように医療用長尺体1がラピッドエクスチェンジ型として構成することによって、手技の効率化を図ることができる。特に、術者は、医療用長尺体1を使用することによって、病変部を貫通させるために用いたガイドワイヤGを医療用長尺体1から抜去する操作を迅速に、かつ効率よく行うことができる。さらに剛性の高い0.035inchのガイドワイヤGの交換についても、迅速に、かつ効率よく行うことができる。
【0026】
本体部10は、
図1、
図3、
図5に示すように、軸方向に延在する。本体部10は、
図3、
図6、
図7に示すように、ガイドワイヤGが通過可能なガイドワイヤルーメン11と、シャフト部20が挿入される凹部12と、を有する。
【0027】
本体部10の先端は、テーパ形状を有することが好ましい。この構成によれば、カテーテル9に挿入された医療用長尺体1の、生体内への挿入が容易となる。
【0028】
本体部10の軸方向に沿う長さL1(
図6参照)は、特に限定されないが、50~900mmであり、好ましくは100mmから600mmである。また、本体部10のガイドワイヤルーメン11の内径d1(
図7参照)は、特に限定されないが、0.9~1.3mmである。
【0029】
本体部10を構成する材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラスストマー、シリコーンゴム、天然ゴムなどを用いてもよく、またブレンドあるいは内層と外層を有する多層チューブでもよく、SUSやタングステン、NiTiといった金属線あるいは樹脂線をコイルあるいはブレイドなどの補強体として埋設されたものでもよい。
【0030】
シャフト部20は、
図1、
図5、
図6に示すように、軸方向に延在する。シャフト部20の先端は、
図6に示すように、本体部10の凹部12に挿入された状態で、接着剤、あるいは融着によって固定される。なお、シャフト部20の本体部10に対する固定方法は、特に限定されない。また、シャフト部20の先端は、ラウンド形状に構成されている。
【0031】
シャフト部20の軸方向に沿う長さL2(
図1参照)は、特に限定されないがカテーテルの内腔に先端が突出するように配置されたときに、シャフト部20の基端がハブ93の基端開口部から基端側に突出していればよく、たとえば600~2000mmであり、好ましくは1000mmから1500mmである。シャフト部20の外径D1(
図9参照)は、きわめて太いガイドワイヤG(例えば、0.035inch以上)が挿入可能なガイドワイヤルーメンの内径より小さければ特に限定されないが、0.4~1.5mmであることが好ましく、0.6~0.8mmであることがより好ましい。
【0032】
このように、上述したガイドワイヤルーメン11の内径d1は、シャフト部20の外径D1以上である。本実施形態において、シャフト部20は1本から構成される。したがって、シャフト部20の断面積は、ガイドワイヤルーメン11の断面積よりも小さい。この構成によれば、シャフト部20の外径を抑えることができ、医療用長尺体1全体の外径を抑えることができる。したがって、ラピッドエクスチェンジタイプ方式の医療用長尺体1において、比較的太いガイドワイヤG(例えば、0.035inch)が用いられる場合であっても、カテーテル9への挿入が容易となる。
【0033】
シャフト部20を構成する材料としては、ステンレス、Ni-Ti、などの金属あるいはシャフト部20のすくなくとも一部にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)などのフッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂またはこれらの混合物、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、オレフィン系樹脂とエチレン・酢酸ビニル共重合体との混合物、シリコーン樹脂などが被覆されてもよい。
【0034】
ガイドワイヤポート30は、
図5、
図6、
図8に示すように、傾斜するように構成される。この構成によれば、ガイドワイヤGの医療用長尺体1への挿入が容易となる。
【0035】
<変形例1に係る医療用長尺体2>
次に、
図10~
図13を参照して、変形例1に係る医療用長尺体2の構成について説明する。
図10は、変形例1に係る医療用長尺体2の
図5に対応する図である。
図11は、変形例1に係る医療用長尺体2の
図6に対応する図である。
図12は、
図11の12-12線に沿う断面図である。
図13は、
図11の13-13線に沿う断面図である。
【0036】
変形例1に係る医療用長尺体2は、上述した実施形態に係る医療用長尺体1と比較して、シャフト部120の先端形状等が異なる。なお、上記実施形態に係る医療用長尺体1と同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0037】
変形例1に係る医療用長尺体2は、
図10~
図13に示すように、ガイドワイヤGが挿通可能なガイドワイヤルーメン111を備える本体部110と、本体部110の基端側に連結されるシャフト部120と、を有する。医療用長尺体2は、本体部110およびシャフト部120の接続箇所にガイドワイヤGが出入り可能なガイドワイヤポート30が形成された、いわゆるラピッドエクスチェンジ型の医療用長尺体として構成している。
【0038】
本体部110は、
図11、
図12、
図13に示すように、ガイドワイヤGが通過可能なガイドワイヤルーメン11と、シャフト部120が挿入される凹部112と、を有する。
【0039】
シャフト部120の先端は、
図11に示すように、本体部110の凹部112に挿入された状態で、接着剤または融着によって固定される。シャフト部120の先端は、
図11に示すように、先端に連れて先細りするテーパ形状を備える。この構成によれば、シャフト部120の先端近傍における物性の急激な変化を抑制できるため、耐キンク性を向上させることができる。
【0040】
<変形例2に係る医療用長尺体3>
次に、
図14~
図17を参照して、変形例2に係る医療用長尺体3の構成について説明する。
図14は、変形例2に係る医療用長尺体3の
図5に対応する図である。
図15は、変形例2に係る医療用長尺体3の
図6に対応する図である。
図16は、
図15の16-16線に沿う断面図である。
図17は、
図15の17-17線に沿う断面図である。
【0041】
変形例2に係る医療用長尺体3は、上述した実施形態に係る医療用長尺体1と比較して、シャフト部220の本数が異なる。なお、上記実施形態に係る医療用長尺体1と同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0042】
変形例2に係る医療用長尺体3は、
図14~
図17に示すように、ガイドワイヤGが挿通可能なガイドワイヤルーメン11を備える本体部10と、本体部10の基端側に連結されるシャフト部220と、を有する。医療用長尺体3は、本体部10およびシャフト部220の接続箇所にガイドワイヤGが出入り可能なガイドワイヤポート30が形成された、いわゆるラピッドエクスチェンジ型の医療用長尺体として構成している。変形例2に係る医療用長尺体3の本体部10は、上述した実施形態に係る医療用長尺体1の本体部10と同一の構成であるため、説明を省略する。
【0043】
シャフト部220は、
図14~
図17に示すように、3本のシャフト部221、222、223から構成される。シャフト部220は、3本のシャフト部221、222、223が互いにねじられて構成されてもよいし、3本のシャフト部221、222、223が互いに接着剤によって接着されて構成されてもよい。変形例2において、3本のシャフト部221、222、223はすべて同じ太さであって、例えば直径が0.6mmである。
【0044】
図14、
図17に示すように、第1シャフト部221は、第2シャフト部222および第3シャフト部223の間、かつ第2シャフト部222および第3シャフト部223の下方に配置される。この構成によれば、シャフト部220は、
図17に示すように、凹んだ形状を備えることになり、当該凹んだ形状の箇所に、ガイドワイヤGを配置することができ、ガイドワイヤGを好適に進退移動させることができる。
【0045】
シャフト部220の第1シャフト部221の先端は、
図15に示すように、本体部10の凹部12に挿入された状態で、接着剤あるいははんだによって固定される。
【0046】
変形例2においても、ガイドワイヤルーメン11の内径d1は、1本の第1シャフト部221(または、第2シャフト部222、第3シャフト部223)の外径D1以上である。変形例2に係る医療用長尺体3では、シャフト部220は3本設けられているため、3本のシャフト部220の断面積の合計は、ガイドワイヤルーメン11の断面積以上である。このように構成された医療用長尺体3によれば、上述した実施形態に係る医療用長尺体1のシャフト部20と比較してシャフト部220を太くすることができるため、シャフト部220の剛性が大きくなり医療用長尺体3のプッシャビリティを向上させることができる。
【0047】
<変形例3に係る医療用長尺体4>
次に、
図18~
図24を参照して、変形例3に係る医療用長尺体4の構成について説明する。
図18は、変形例3に係る医療用長尺体4の
図5に対応する図である。
図19は、変形例3に係る医療用長尺体4の
図6に対応する図である。
図20は、
図19の20-20線に沿う断面図である。
図21は、
図19の21-21線に沿う断面図である。
図22は、
図19の22-22線に沿う断面図である。
図23は、
図19の23-23線に沿う断面図である。
図24は、
図19の24-24線に沿う断面図である。
【0048】
変形例3に係る医療用長尺体4は、上述した実施形態に係る医療用長尺体1と比較して、シャフト部320の構成が異なる。なお、上記実施形態に係る医療用長尺体1と同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0049】
変形例3に係る医療用長尺体4は、
図18~
図24に示すように、ガイドワイヤGが挿通可能なガイドワイヤルーメン311を備える本体部310と、本体部310の基端側に連結されるシャフト部320と、を有する。医療用長尺体4は、本体部310およびシャフト部320の接続箇所にガイドワイヤGが出入り可能なガイドワイヤポート30が形成された、いわゆるラピッドエクスチェンジ型の医療用長尺体として構成している。
【0050】
本体部310は、
図18~
図22に示すように、ガイドワイヤGが通過可能なガイドワイヤルーメン311と、シャフト部320の第1シャフト部321が挿入される第1凹部312と、シャフト部320の第2シャフト部322が挿入される第2凹部313と、シャフト部320の第3シャフト部323が挿入される第3凹部314と、を有する。
【0051】
第2凹部313および第3凹部314は、
図18に示すように、第1凹部312よりも先端側まで形成されている。また、第2凹部313および第3凹部314は、
図20、
図22に示すように、第1凹部312よりも上方側に形成されている。また、第2凹部313および第3凹部314は、
図18に示すように、第1凹部312よりも細く形成されている。
【0052】
シャフト部320は、
図18~
図24に示すように、3本のシャフト部321、322、323から構成される。シャフト部320は、3本のシャフト部321、322、323が互いにねじられて構成されてもよいし、3本のシャフト部321、322、323が互いに接着剤またははんだによって接着されて構成されてもよい。変形例3において、第1シャフト部321は、第2シャフト部322および第3シャフト部323よりも太く、例えば直径が0.6mmであって、第2シャフト部322および第3シャフト部323は略同一の太さで、例えば直径が0.3mmである。
【0053】
図19の24-24線の箇所において、
図24に示すように、第1シャフト部321は、第2シャフト部322および第3シャフト部323に接触しつつ、第2シャフト部322および第3シャフト部323と同一の高さに配置される。
【0054】
図19の24-24線の箇所から、23-23線の箇所の間において、第2シャフト部322および第3シャフト部323は、上方に、かつ中央から幅方向(
図23の左右方向)に湾曲する。一方、第1シャフト部321は、軸方向に沿って同一の高さに配置される。このため、
図19の23-23線の箇所において、
図23に示すように、第2シャフト部322および第3シャフト部323は、第1シャフト部321の上方に配置される。
【0055】
シャフト部320の第1シャフト部321の先端は、
図19に示すように、本体部310の第1凹部312に挿入された状態で、接着剤によって固定される。シャフト部320の第2シャフト部322の先端は、
図18に示すように、本体部310の第2凹部313に挿入された状態で、接着剤によって固定される。シャフト部320の第3シャフト部323の先端は、
図18に示すように、本体部310の第3凹部314に挿入された状態で、接着剤によって固定される。
【0056】
変形例3においても、ガイドワイヤルーメン311の内径d1は、1本の第1シャフト部321(または、第2シャフト部322、第3シャフト部323)の外径D1以上である。変形例3に係る医療用長尺体4では、シャフト部320は3本設けられているため、3本のシャフト部320の断面積の合計は、ガイドワイヤルーメン311の断面積以上である。このように構成された医療用長尺体4によれば、上述した実施形態に係る医療用長尺体1のシャフト部20と比較してシャフト部320を太くするとともに、シャフト部220の剛性が大きくなりまたほぼ樹脂からなる本体部310、半円状の基端開口部330とほぼ金属からなるシャフト部320の急激な物性段差を緩和することで医療用長尺体4のプッシャビリティを向上させるととともに蛇行血管内でのたわみを防止することができる。
【0057】
さらに、変形例3に係る医療用長尺体4では、第2シャフト部322が第2凹部313に固定されるとともに、および第3シャフト部323が第3凹部314に固定されるため、医療用長尺体4の座屈を好適に抑制することができる。なお、シャフト部320、第2シャフト部322先端およびおよび第3シャフト部323は、先端がラウンド形状またはテーパ形状に構成されている。
【0058】
以上、実施形態をおよび変形例を通じて本発明に係る医療用長尺体1、2、3、4を説明したが、本発明は実施形態において説明した構成のみに限定されることはなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
【0059】
例えば、上述した変形例3、4では、シャフト部は3本設けられたが、2本または4本以上であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1、2、3、4 医療用長尺体、
9 カテーテル、
10、110、310 本体部、
11、111、311 ガイドワイヤルーメン、
20、120、220、320 シャフト部、
30 ガイドワイヤポート、
D1 シャフト部の外径、
d1 ガイドワイヤルーメンの内径、
G ガイドワイヤ。