(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141534
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】亜鉛二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/28 20060101AFI20241003BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20241003BHJP
H01M 4/42 20060101ALI20241003BHJP
H01M 50/449 20210101ALI20241003BHJP
H01M 50/457 20210101ALI20241003BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20241003BHJP
H01M 50/44 20210101ALI20241003BHJP
H01M 50/489 20210101ALI20241003BHJP
【FI】
H01M10/28 Z
H01M4/38 Z
H01M4/42
H01M50/449
H01M50/457
H01M4/66 A
H01M50/44
H01M50/489
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053248
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 知志
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 聡真
(72)【発明者】
【氏名】山口 同通
(72)【発明者】
【氏名】伴野 嵩敏
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 武
【テーマコード(参考)】
5H017
5H021
5H028
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA02
5H017EE01
5H021CC02
5H021EE04
5H021EE07
5H021HH03
5H028AA05
5H028AA06
5H028HH05
5H050AA07
5H050BA11
5H050CA03
5H050CB13
(57)【要約】
【課題】従来よりもサイクル寿命特性に優れる亜鉛二次電池を提供する。
【解決手段】電池2は、外装缶10と、外装缶10内にアルカリ電解液とともに収容された電極群22とを備え、電極群22は、正極24と、負極26とがセパレータ28を介して重ね合わされてなり、負極26は、負極芯体と、この負極芯体に保持された負極合剤とを含み、負極合剤は、亜鉛、亜鉛合金及び亜鉛含有化合物のうちの少なくとも1種を含み、負極芯体は、銅製の無孔箔からなり、セパレータ28は、不織布42と、微多孔フィルム40とを厚さ方向に合わせた複合体であり、微多孔フィルム40の総厚さをAとし、不織布42の総厚さをBとした場合に、A/Bの値が0.28以上、0.53以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器と、前記容器内にアルカリ電解液とともに収容された電極群とを備え、
前記電極群は、正極と、負極とがセパレータを介して重ね合わされてなり、
前記負極は、負極芯体と、前記負極芯体に保持された負極合剤とを含み、
前記負極合剤は、亜鉛、亜鉛合金及び亜鉛含有化合物のうちの少なくとも1種を含み、
前記負極芯体は、無孔のシート状の金属製導電体からなり、
前記セパレータは、不織布と、微多孔フィルムとを厚さ方向に合わせた複合体であり、
前記微多孔フィルムの総厚さをAとし、前記不織布の総厚さをBとした場合に、A/Bの値が0.28以上、0.53以下である、亜鉛二次電池。
【請求項2】
前記セパレータは、前記不織布及び前記微多孔フィルムがそれぞれ複数枚含まれている複合体である、請求項1に記載の亜鉛二次電池。
【請求項3】
前記複合体は、前記不織布及び前記微多孔フィルムが、前記正極から前記負極にかけて、第1の不織布、第1の微多孔フィルム、第2の不織布、第2の微多孔フィルムの順に組み合わされた4層構造である、請求項2に記載の亜鉛二次電池。
【請求項4】
前記微多孔フィルムの総厚さAが、35μm以上、66μm以下である、請求項1に記載の亜鉛二次電池。
【請求項5】
前記金属製導電体は、銅製の無孔箔である、請求項1に記載の亜鉛二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、亜鉛二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
負極活物質に亜鉛、亜鉛合金又は亜鉛含有化合物を用いる亜鉛電池においては、一次電池、及び二次電池が研究開発されている。亜鉛電池は、正極活物質に用いられる物質により分類されている。このような亜鉛電池としては、例えば、正極活物質に空気中の酸素を用いる空気亜鉛電池、正極活物質にニッケル含有化合物を用いるニッケル亜鉛電池、正極活物質にマンガン含有化合物を用いるマンガン亜鉛電池、正極活物質に銀含有化合物を用いる銀亜鉛電池等が挙げられる。特に、空気亜鉛一次電池、マンガン亜鉛一次電池、銀亜鉛一次電池は実用化され、広く使用されている。
【0003】
一方、ニッケル亜鉛二次電池のような亜鉛二次電池は、電解質に水溶液を使うことができるので安全性が高い上に理論的な体積エネルギー密度が極めて高く、既存のリチウムイオン二次電池の性能を凌ぐ優れたポテンシャルを備えている。
【0004】
しかしながら、亜鉛二次電池は、充放電時に負極に亜鉛の析出物が樹枝状に形成される、いわゆるデンドライトを発生させてしまう。このデンドライトは、比較的少ない充放電サイクル数で成長してしまいセパレータを突き抜けて正極にまで到達して短絡を引き起こす原因となる。このため、亜鉛二次電池は、デンドライトによる短絡が原因でサイクル寿命が短くなるという課題がある。
【0005】
この課題を解決するために、種々の研究がなされており、例えば、特許文献1に開示されている亜鉛電池のように、セパレータに微多孔フィルムを組み込むことが行われている。これにより短絡の発生を少なくすることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年においては、各種のポータブル機器やハイブリッド電気自動車等の各種機器に電池が使用されるようになっており、電池の用途は拡大している。このような用途の拡大にともない、多くの産業において電池の開発や改良の重要性が高まっており、主に電池の高性能化が望まれている。このような状況において、亜鉛二次電池に対してもより高性能化が望まれている。ここで、亜鉛二次電池に求められる高度化すべき性能の一つとしては、充放電をより長い期間繰り返せる性能、すなわちサイクル寿命性能が挙げられる。
【0008】
亜鉛二次電池においてサイクル寿命が短くなる原因としては、上記したようなデンドライト成長による短絡の他に、正極が劣化により膨潤してセパレータを押圧し、セパレータから電解液が押し出されてセパレータで十分な電解液を保持できなくなる、いわゆるセパレータドライアウト現象がある。特許文献1のように微多孔フィルムをセパレータに組み込むとデンドライトが突き抜けることに対する耐性(以下、デンドライト耐性とも表記する)は向上するが、セパレータにおける電解液の保持能力が低下し、セパレータドライアウト現象により十分に充放電が出来なくなってサイクル寿命が低下することが起こる。
【0009】
現状の亜鉛二次電池では、デンドライト耐性については、特許文献1のように検討がなされている。しかしながら、亜鉛二次電池においては、ユーザーの要望に応えることができるだけの十分なサイクル寿命特性は未だ得られていないのが現状である。このため、更なるサイクル寿命向上のためには、デンドライト耐性の検討に偏らずに、より広い範囲で検討を行い、サイクル寿命特性の向上に寄与するファクターを見出し、それらのバランスをとることが重要であると考えられる。その観点から、デンドライト耐性を維持しつつ、セパレータドライアウト現象を抑制し、更にデンドライト成長をも抑制することを検討すれば、サイクル寿命を更に延ばせると考えられる。
【0010】
本発明は、上記の事情に基づいてなされたものであり、その目的とするところは、従来よりもサイクル寿命特性に優れる亜鉛二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、容器と、前記容器内にアルカリ電解液とともに収容された電極群とを備え、前記電極群は、正極と、負極とがセパレータを介して重ね合わされてなり、前記負極は、負極芯体と、前記負極芯体に保持された負極合剤とを含み、前記負極合剤は、亜鉛、亜鉛合金及び亜鉛含有化合物のうちの少なくとも1種を含み、前記負極芯体は、無孔のシート状の金属製導電体からなり、前記セパレータは、不織布と、微多孔フィルムとを厚さ方向に合わせた複合体であり、前記微多孔フィルムの総厚さをAとし、前記不織布の総厚さをBとした場合に、A/Bの値が0.28以上、0.53以下である、亜鉛二次電池が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る亜鉛二次電池は、容器と、前記容器内にアルカリ電解液とともに収容された電極群とを備え、前記電極群は、正極と、負極とがセパレータを介して重ね合わされてなり、前記負極は、負極芯体と、前記負極芯体に保持された負極合剤とを含み、前記負極合剤は、亜鉛、亜鉛合金及び亜鉛含有化合物のうちの少なくとも1種を含み、前記負極芯体は、無孔のシート状の金属製導電体からなり、前記セパレータは、不織布と、微多孔フィルムとを厚さ方向に合わせた複合体であり、前記微多孔フィルムの総厚さをAとし、前記不織布の総厚さをBとした場合に、A/Bの値が0.28以上、0.53以下である構成をとる。この構成により、本発明に係る亜鉛二次電池は、亜鉛デンドライトによる短絡の抑制と、正負極間の電解液の保持安定性とを両立することができ、長期にわたり高い容量維持率を保持することができる。このため、本発明によれば、従来よりもサイクル寿命特性が優れている亜鉛二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態に係るニッケル亜鉛電池を部分的に破断して示した斜視図である。
【
図2】2層構造のセパレータを挟む正極及び負極の配置の状態を概略的に示した断面図である。
【
図3】4層構造のセパレータを挟む正極及び負極の配置の状態を概略的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、一実施形態に係るニッケル亜鉛二次電池(以下、電池とも表記する)2を、図面を参照して説明する。
【0015】
電池2は、例えば、4/3FAサイズの円筒型電池である。詳しくは、
図1に示すように、電池2は、上端が開口した有底円筒形状をなす容器としての外装缶10を備えている。外装缶10は導電性を有し、その底壁35は負極端子として機能する。外装缶10の開口には封口体11が固定されている。この封口体11は、蓋板14及び正極端子20を含み、外装缶10を封口するとともに正極端子20を提供する。蓋板14は、導電性を有する円板形状の部材である。外装缶10の開口内には、蓋板14及びこの蓋板14を囲むリング形状の絶縁パッキン12が配置され、絶縁パッキン12は外装缶10の開口縁37をかしめ加工することにより外装缶10の開口縁37に固定されている。すなわち、蓋板14及び絶縁パッキン12は互いに協働して外装缶10の開口を気密に閉塞している。
【0016】
ここで、蓋板14は中央に中央貫通孔16を有し、蓋板14の外面上には中央貫通孔16を塞ぐゴム製の弁体18が配置されている。更に、蓋板14の外面上には、弁体18を覆うようにしてフランジ付き円筒形状をなす金属製の正極端子20が電気的に接続されている。この正極端子20は弁体18を蓋板14に向けて押圧している。なお、正極端子20には、図示しないガス抜き孔が設けられている。
【0017】
通常時、中央貫通孔16は弁体18によって気密に閉じられている。一方、外装缶10内にガスが発生し、その内圧が高まれば、弁体18は内圧によって圧縮され、中央貫通孔16を開き、その結果、外装缶10内から中央貫通孔16及び正極端子20のガス抜き孔(図示せず)を介して外部にガスが放出される。つまり、中央貫通孔16、弁体18及び正極端子20は電池のための安全弁を形成している。
【0018】
外装缶10には、電極群22が収容されている。この電極群22は、それぞれ帯状の正極24、負極26及びセパレータ28を含んでいる。詳しくは、これら正極24及び負極26は、セパレータ28を間に挟み込んだ状態で渦巻状に巻回されている。すなわち、セパレータ28を介して正極24及び負極26が互いに重ね合わされている。電極群22の最外周は負極26の一部(最外周部)により形成され、外装缶10の内周壁と接触している。すなわち、負極26と外装缶10とは互いに電気的に接続されている。
【0019】
外装缶10内には、電極群22の一端と蓋板14との間に正極リード30が配置されている。詳しくは、正極リード30は、その一端が正極24に接続され、その他端が蓋板14に接続されている。従って、正極端子20と正極24とは、正極リード30及び蓋板14を介して互いに電気的に接続されている。なお、蓋板14と電極群22との間には円形の上部絶縁部材32が配置され、正極リード30は上部絶縁部材32に設けられたスリット39内を通って延びている。また、電極群22と外装缶10の底部との間にも円形の下部絶縁部材34が配置されている。
【0020】
更に、外装缶10内には、所定量のアルカリ電解液(図示せず)が注入されている。アルカリ電解液は、電極群22に含浸されており、主にセパレータ28に保持されている。このアルカリ電解液は、正極24と負極26との間での充放電の際の電気化学反応(充放電反応)を進行させる。このアルカリ電解液としては、KOH、NaOH及びLiOHのうちの少なくとも一種を溶質として含む水溶液を用いることが好ましい。またアルカリ電解液の濃度についても特には限定されず、例えば7Nのものが用いられる。さらに、電池2は、ニッケル亜鉛電池であるので、上記したアルカリ電解液に酸化亜鉛を飽和濃度まで溶解させたものを用いることが好ましい。これにより、アルカリ電解液への負極からの亜鉛の溶け出しを少なく抑えることができる。
【0021】
正極24は、多孔質構造を有する導電性の正極芯体と、この正極芯体に保持された正極合剤とを含んでいる。上記したような正極芯体としては、例えば、3次元網目状の骨格を有するニッケル製の金属体である。この金属体の骨格は正極芯体の全体にわたって広がっており、この骨格の隙間により連通孔が形成されている。そして、この連通孔の中に正極合剤が充填されている。このような金属体としては、例えば、発泡ニッケルを用いることができる。
【0022】
正極合剤は、正極活物質、正極添加剤及び増粘剤を含む。増粘剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。また、必要に応じて結着剤を添加することが好ましい。結着剤としては、例えば、親水性若しくは疎水性のポリマーを挙げることができる。
【0023】
正極活物質としては、水酸化ニッケルが用いられる。この水酸化ニッケルの形態としては、粉末状のものが用いられる。つまり、水酸化ニッケル粒子の集合体である水酸化ニッケル粉末が用いられる。この水酸化ニッケル粒子は、高次化されている水酸化ニッケル粒子を採用することが好ましい。
【0024】
上記した水酸化ニッケル粒子は、Co、Zn、Cd等を固溶しているものを用いることが好ましい。
【0025】
また、上記した水酸化ニッケル粒子は、表面がコバルト化合物を含む表面層で覆われている態様とすることが好ましい。この表面層としては、3価以上に高次化されたコバルト化合物を含む高次コバルト化合物層を採用することが好ましい。
【0026】
上記した高次コバルト化合物層は、導電性に優れており、導電性ネットワークを形成する。この高次コバルト化合物層としては、3価以上に高次化されたオキシ水酸化コバルト(CoOOH)などのコバルト化合物を含む層を採用することが好ましい。
【0027】
導電性ネットワークを形成する他の方法として、水酸化ニッケル粒子の表面にコバルト化合物を含む表面層を形成する代わりにコバルト化合物の粉末を正極合剤に添加する方法を採用することが好ましい。このコバルト化合物の粉末としては、水酸化コバルト粉末を挙げることができる。コバルト化合物の粉末を添加する方法は、水酸化ニッケルの粒子の表面にコバルト化合物の表面層を形成する方法よりも簡便に導電性ネットワークを形成できるメリットがある。
【0028】
次に、正極添加剤としては、酸化イットリウムが挙げられる。また、酸化コバルト、金属コバルト、水酸化コバルト等のコバルト化合物、金属亜鉛、酸化亜鉛、水酸化亜鉛等の亜鉛化合物、酸化ニオブ、酸化エルビウム等を用いることも好ましい。
【0029】
次に、正極24は、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、上記したようにして得られた正極活物質粒子の集合体である正極活物質粉末に、正極添加剤、増粘剤、及び水を添加して混練し、正極合剤スラリーを調製する。得られた正極合剤スラリーは、例えば、発泡ニッケルに充填され、その後乾燥処理が施される。乾燥処理後、水酸化ニッケル粒子等が充填された発泡ニッケルは、ロール圧延されてから裁断される。これにより、正極合剤を含む正極24が得られる。
【0030】
次に、負極26について説明する。
負極26は、
図2、3に示すように、帯状をなす導電性の負極芯体27を有し、この負極芯体27に負極合剤29が保持されている。
【0031】
負極芯体27は、無孔のシート状の金属製導電体であり、いわゆる無孔箔である。ここで、無孔とは、シートの表面から裏面にかけて貫通する孔を備えていない状態を指す。負極芯体27としては、具体的には、厚さが20μm以上、50μm以下の銅箔を用いることが好ましい。
【0032】
上記した負極芯体27は、孔が設けられていないので、孔の部分の角やエッジ部が無く、全体的に平坦である。このように全体的に平坦な表面においては、充放電の際、全体的に均一な電流が流れる。
【0033】
ここで、亜鉛二次電池においては、正極及び負極の間で亜鉛イオンのやりとりで充電及び放電が繰り返されるが、電極の一部で形状的に不均一な部分があると、その不均一な部分に電流が集中する。そうすると、その電流が集中する部分に亜鉛がデンドライトの形で析出してくる。つまり、負極の形状が不均一であるとデンドライトが形成されやすい。
【0034】
本実施形態では、上記のように負極芯体27は全体的に平坦であるので、形状的に不均一な部分は少ないので、電流が集中する部分が少ない。よって、負極芯体27として無孔のシート状の金属製導電体用いると、亜鉛のデンドライト形成を抑制することに貢献することができる。
【0035】
負極合剤29は、負極芯体27の両面上に層状にして保持されている。この負極合剤29による層は、平坦な負極芯体27に倣って平坦で均一な形状をなしている。このため、負極26全体としても平坦で均一な形状をなしており、亜鉛のデンドライト形成を少なく抑えることができる。
【0036】
上記した負極合剤29は、負極活物質、及び結着剤を含み、必要に応じて負極添加剤及び増粘剤が添加される。
【0037】
負極活物質としては、亜鉛を少なくとも含んでおり、亜鉛合金及び亜鉛含有化合物のうちの少なくとも1種を更に含むことができる。ここで、亜鉛合金を構成する原材料としては、亜鉛の他にビスマス、アルミニウム、インジウム等を用いることが好ましい。亜鉛含有化合物としては、例えば、酸化亜鉛(1種/2種/3種)、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、テトラヒドロキシ亜鉛イオン塩、亜鉛ハロゲン化物、酢酸亜鉛や酒石酸亜鉛、シュウ酸亜鉛をはじめとする亜鉛カルボキシラート化合物、亜鉛酸マグネシウム、亜鉛酸カルシウム、亜鉛酸バリウム、ホウ酸亜鉛、ケイ酸亜鉛、アルミン酸亜鉛、フッ化亜鉛、炭酸亜鉛、炭酸水素亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛等が挙げられる。
【0038】
負極活物質の形態としては、粉末状のものが用いられる。つまり、負極活物質の粒子の集合体である負極活物質粉末が用いられる。負極活物質としての亜鉛の粒子の平均粒径は、49μm以上、71μm以下とすることが好ましい。
【0039】
ここで、亜鉛合金の粒子の平均粒径は10~1000μmとすることが好ましく、亜鉛含有化合物の粒子の平均粒径は0.1~100μmとすることが好ましい。なお、本明細書において、平均粒径とは、特に言及した場合を除き、粒子径分布測定装置を用いてレーザー回折・散乱法により求められる質量基準による積算が50%にあたる平均粒径を意味する。
【0040】
結着剤は、負極活物質、負極添加剤等を互いに結着させると同時に負極活物質、負極添加剤等を負極芯体に結着させる働きをする。ここで、結着剤としては、合成ゴムが用いられる。特に、スチレンブタジエンゴム(SBR)は結着効果が高いため、結着剤としてSBRを使用することが好ましい。
【0041】
負極添加剤は、負極の特性を改善する働きをする。この負極添加剤としては、例えば、酸化ビスマス、水酸化ビスマス、酸化インジウム、水酸化インジウム、シュウ酸カリウムおよびそれらの水和物等を挙げることができる。
【0042】
また、増粘剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースが用いられる。
【0043】
次に、負極26は、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、負極活物質(亜鉛等)の粒子の集合体である負極活物質粉末、負極添加剤、結着剤、増粘剤及び水を混錬することにより、負極合剤ペーストを調製する。得られた負極合剤ペーストは負極芯体に塗着され、乾燥処理が施される。乾燥後、負極活物質粉末、結着剤等を保持した負極芯体27は、全体的に圧延されて負極活物質の充填密度を高められ、これにより負極の中間製品が得られる。そして、この負極の中間製品は所定形状に裁断される。これにより負極26が製造される。
【0044】
セパレータ28は、正極24及び負極26の間の短絡を避けるために配設される。よって、セパレータ28には、電気絶縁性の材料が採用される。このセパレータ28は、微多孔フィルム40と、不織布42とが厚さ方向に合わされた複合体である。好ましくは、
図2に示すように、1枚の微多孔フィルム40と1枚の不織布42とが重ね合わされた2層構造をなしている複合体とする。この2層構造の複合体は、電極群22に組み込んだ際に不織布42が正極24の側に位置付けられ、微多孔フィルム40が負極26の側に位置付けられている。より好ましくは、
図3に示すように、2枚の不織布42(第1の不織布44及び第2の不織布46)と、2枚の微多孔フィルム40(第1の微多孔フィルム48及び第2の微多孔フィルム50)とを準備し、電極群22に組み込んだ際に、正極24から負極26にかけて、第1の不織布44、第1の微多孔フィルム48、第2の不織布46、第2の微多孔フィルム50の順に重ね合わされた4層構造をなしている複合体とする。
【0045】
微多孔フィルム40は、多数の細孔を含む高分子フィルムであり、ポリオレフィン製である。微多孔フィルム40の空孔率が大きすぎると、デンドライトが延びていくことを妨げることが難しくなる。一方、微多孔フィルム40の空孔率が小さすぎると、アルカリ電解液の通液性を阻害し、延いてはイオンの透過性を阻害してしまう。微多孔フィルムの空孔率は、34%以上、49%以下とすることが好ましい。ここで、微多孔フィルム40の空孔率とは、微多孔フィルムの全体積に占める細孔の空間の体積の割合を百分率で表した数値をいう。
【0046】
ここで、微多孔フィルムのセパレータとしては、リチウムイオン電池用のポリオレフィン製の微多孔フィルム系セパレータが知られており、本実施形態においては、このリチウムイオン電池用の微多孔フィルム系セパレータを利用することができる。ただし、亜鉛二次電池においては、電解液にアルカリ水溶液を用いるため、微多孔フィルムへの親水化処理を行うことが好ましい。この親水化処理には、酸素ラジカルによる表面改質により表面に極性官能基を付けるプラズマ処理や、三酸化硫黄ガスや発煙硫酸中で処理することで表面にスルホン基を生成するスルホン化処理や、界面活性剤による処理などが上げられる。本実施形態では、親水化処理として、微多孔フィルム40へのダメージをより少なく抑制するため界面活性剤による親水化処理を選択することが好ましい。
【0047】
また、リチウムイオン電池では、安全性を高めるために融点が130~140℃のポリエチレン製の微多孔フィルムが主に用いられている。これは短絡等で電池温度が異常に上昇した際に、微多孔フィルムを構成するポリエチレンが溶融することで細孔を閉塞させ、セパレータのイオンの透過を停止させる機能であるシャットダウン機能を狙ったものである。しかしながら、亜鉛二次電池ではアルカリ水溶液を用いるため、燃焼の危険性が低く、より融点が高いポリプロピレン製の微多孔フィルムを使用できる。なお、本実施形態では、ポリエチレン製の微多孔フィルムも勿論使用することは可能である。
【0048】
また、リチウムイオン電池では、微多孔フィルムを単独でセパレータとして用いるのが一般的である。しかしながら、微多孔フィルムは、水分を保持する能力(以下、保液性とも表記する)が低い。亜鉛二次電池ではセパレータ28におけるアルカリ水溶液を保持する能力が重要となるため、保液性が低い微多孔フィルム40と、ニッケル水素二次電池においてセパレータとして使用されている不織布42とを組み合わせて複合体としたものをセパレータとして使用することが有効である。つまり、不織布42は、微多孔フィルム40に比べ空隙率が高く保液性に優れることが特徴であるので、微多孔フィルム40の保液性を補完するのに好適である。
【0049】
不織布42としては、例えば、ポリアミド繊維製不織布に親水性官能基を付与したもの、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン繊維製不織布に親水性官能基を付与したもの等を用いることができる。具体的には、スルホン化処理が施されてスルホン基が付与されたポリオレフィン繊維を主体とする不織布を用いることが好ましい。ここで、スルホン基は、硫酸又は発煙硫酸等の硫酸基を含む酸を用いて不織布を処理することにより付与される。
【0050】
ここで、本実施形態では、微多孔フィルム40の総厚さをAとし、不織布42の総厚さをBとした場合に、これらA及びBの比であるA/Bの値が0.28以上、0.53以下とする。
【0051】
A/Bの値が0.28未満の場合、不織布42の割合が多く保液性に優れるので、ドライアウト現象は起こり難い。しかしながら、微多孔フィルム40の割合が少ないので、耐デンドライト性が低くなるので、デンドライトによる短絡が生じやすく、デンドライトに起因するサイクル寿命の低下が起こる。
【0052】
A/Bの値が0.53を超える場合、微多孔フィルム40の割合が増えるので、耐デンドライト性に優れるので、デンドライトがセパレータを突き抜けて短絡を起こすことは抑制される。しかしながら、不織布42の割合が少ないので、全体として保液性が低くなり、アルカリ電解液の保持量が少なく、ドライアウトを起こしやすくなる。このため、ドライアウトに起因するサイクル寿命の低下が起こる。
【0053】
よって、デンドライト耐性を高め、且つドライアウト現象も抑制させるためには、上記のように、A/Bの値を0.28以上、0.53以下とすることが重要である。
【0054】
以上のようにして製造された正極24及び負極26は、上記のセパレータ28を介在させた状態で、渦巻き状に巻回され、これにより電極群22が形成される。
【0055】
このようにして得られた電極群22は、外装缶10内に収容される。次いで、当該外装缶10内には所定量のアルカリ電解液が注入される。
【0056】
その後、電極群22及びアルカリ電解液を収容した外装缶10は、正極端子20を備えた封口体11により封口され、電池2が得られる。得られた電池2は、初期活性化処理が施され、使用可能状態とされる。
【0057】
[実施例]
1.電池の製造
(実施例1)
(1)正極の製造
正極活物質として準備された水酸化ニッケルの粉末100重量部に、水酸化コバルトの粉末25重量部、酸化イットリウムの粉末0.5重量部、酸化亜鉛の粉末0.5重量部、酸化ニオブの粉末0.3重量部、及び増粘剤としてのヒドロキシプロピルセルロースの粉末を0.2重量%含む水50.0重量部を添加して混練し、正極合剤のスラリーを調製した。
【0058】
ついで、この正極合剤のスラリーを正極芯体としてのシート状の発泡ニッケルに充填した。ここで、発泡ニッケルとしては、面密度(目付)が約350g/m2、多孔度が95%、厚さが1.3mmであるものを用いた。
【0059】
次いで、正極合剤のスラリーが充填された発泡ニッケルに乾燥処理を施した。その後、正極合剤が充填された発泡ニッケルの全体を圧延したのち、所定寸法に裁断して、4/3FAサイズ用の正極24を得た。なお、正極24の正極容量は2400mAhである。
【0060】
(2)負極の製造
酸化亜鉛の粉末100重量部、亜鉛の粉末25重量部、酸化ビスマスの粉末3重量部、シュウ酸カリウム一水和物2重量部、結着剤としてのスチレンブタジエンゴムの粉末4重量部、増粘剤としてのヒドロキシプロピルセルロースの粉末1重量部、及び水100重量部を準備した。そして、これら、酸化亜鉛の粉末、亜鉛の粉末、酸化ビスマスの粉末、シュウ酸カリウム一水和物、スチレンブタジエンゴムの粉末、ヒドロキシプロピルセルロースの粉末、及び水を25℃の環境下において混練し、負極合剤ペーストを調製した。
【0061】
ここで、酸化亜鉛の粉末を構成する酸化亜鉛の粒子の平均粒径は0.75μm、亜鉛の粉末を構成する亜鉛粒子の平均粒径は71μmであった。
【0062】
一方、負極芯体として、錫めっきを施した銅製の無孔箔を準備した。この銅製の無孔箔は、厚さが35μmであり、表面から裏面にかけて貫く孔を含んでいないシート形状をなしている。
【0063】
上記のようにして得られた負極合剤ペーストを負極芯体としての銅製の無孔箔の両面に均等、且つ、厚さが一定となるように塗布した。
【0064】
負極合剤ペーストの乾燥後、負極合剤を保持した銅製の無孔箔を圧延したのち、所定の寸法に切断して4/3FAサイズ用の負極26を得た。なお、負極26の負極容量は4500mAhである。
【0065】
(3)ニッケル亜鉛電池の組み立て
上記のようにして得られた正極24及び負極26をこれらの間にセパレータ28を挟んだ状態で渦巻状に巻回し、電極群22を製造した。
【0066】
ここでの電極群22の製造に使用したセパレータ28は、スルホン化処理が施されたポリプロピレン繊維製の不織布42と、界面活性剤による親水化処理が施されたポリプロピレン製の微多孔フィルム40とを厚さ方向に合わせた複合体である。詳しくは、
図3に示すように、不織布42として、第1の不織布44及び第2の不織布46の計2枚と、微多孔フィルム40として、第1の微多孔フィルム48及び第2の微多孔フィルム50の計2枚とを準備し、第1の不織布44、第1の微多孔フィルム48、第2の不織布46、第2の微多孔フィルム50の順に組み合わせて4層構造の複合体からなるセパレータ28を作製した。第1の微多孔フィルム48及び第2の微多孔フィルム50の合計の厚さをAとし、第1の不織布44及び第2の不織布46の合計の厚さをBとしたときに、A=35μm、B=124μmであり、A/Bの値は0.28であった。第1の微多孔フィルム48及び第2の微多孔フィルム50は、そこに含まれる細孔の孔径が0.2μmであり、空孔率が41%であった。第1の不織布44及び第2の不織布46は、目付量が100g/m
2であった。
【0067】
正極24、負極26及びセパレータ28を組み合わせて巻回する際、
図3に示すように、セパレータ28の第1の不織布44が正極24と接触し、第2の微多孔フィルム50が負極26と接触するように配置した。
【0068】
一方、アルカリ金属の水酸化物を溶質として含み、かつ酸化亜鉛を飽和した水溶液であるアルカリ電解液を準備した。このアルカリ電解液には、アルカリ金属の水酸化物として水酸化カリウムが30重量%含まれている。
【0069】
ついで、全面に錫めっきを施した鋼製の有底円筒形状の外装缶10内に上記した電極群22を収容するとともに、準備したアルカリ電解液を3.41mL注入した。その後、封口体11で外装缶10の開口を塞ぎ、公称容量2000mAhの4/3FAサイズの電池2を組み立てた。
【0070】
(4)初期活性化処理
得られた電池2に対し、温度25℃の環境下にて、0.2Aの充電電流で充電容量が2400mAhになるまで定電流充電を行った後、15分間の休止を行い、その後、0.4Aの放電電流で電池電圧が1.3Vになるまで定電流放電させる充放電作業を1サイクルとする充放電サイクルを1回行った。このようにして初期活性化処理を行い、電池2を使用可能状態とした。
【0071】
(実施例2)
第1の微多孔フィルム48及び第2の微多孔フィルム50の合計の厚さAを41μmとし、第1の不織布44及び第2の不織布46の合計の厚さBを124μmとし、A/Bの値を0.33としたことを除いて実施例1と同様にしてニッケル亜鉛二次電池を製造した。
【0072】
(実施例3)
第1の微多孔フィルム48及び第2の微多孔フィルム50の合計の厚さAを66μmとし、第1の不織布44及び第2の不織布46の合計の厚さBを124μmとし、A/Bの値を0.53としたことを除いて実施例1と同様にしてニッケル亜鉛二次電池を製造した。
【0073】
(比較例1)
第1の微多孔フィルム48及び第2の微多孔フィルム50の合計の厚さAを70μmとし、第1の不織布44及び第2の不織布46の合計の厚さBを90μmとし、A/Bの値を0.78としたことを除いて実施例1と同様にしてニッケル亜鉛二次電池を製造した。
【0074】
(比較例2)
第1の微多孔フィルム48及び第2の微多孔フィルム50の合計の厚さAを95μmとし、第1の不織布44及び第2の不織布46の合計の厚さBを90μmとし、A/Bの値を1.06としたことを除いて実施例1と同様にしてニッケル亜鉛二次電池を製造した。
【0075】
(比較例3)
負極芯体27として、錫めっきを施した銅製の無孔箔の代わりに錫めっきを施した銅製のパンチングメタル(厚さが60μm、貫通孔の孔径が1.0mm)を使用したこと、及び、第1の微多孔フィルム48及び第2の微多孔フィルム50の合計の厚さAを36μmとし、第1の不織布44及び第2の不織布46の合計の厚さBを124μmとし、A/Bの値を0.29としたことを除いて実施例1と同様にしてニッケル亜鉛二次電池を製造した。
【0076】
(比較例4)
第1の微多孔フィルム48及び第2の微多孔フィルム50の合計の厚さAを34μmとし、第1の不織布48及び第2の不織布50の合計の厚さBを124μmとし、A/Bの値を0.27としたことを除いて実施例1と同様にしてニッケル亜鉛二次電池を製造した。
【0077】
2.ニッケル亜鉛二次電池の評価
(1)サイクル寿命試験
初期活性化処理済みの実施例1~3、比較例1~4の各電池について、35℃の環境下にて、電流値が3.6A、維持電圧値が1.90Vの条件での定電流定電圧充電を、充電容量が960mAhになるまで行い、その後、15分間休止した。その後、同一の環境下にて電流値が3.6A、電池電圧が1.3Vに到達するまで定電流放電を行い、その後、15分間休止した。
【0078】
上記した充放電のサイクルを1サイクルとして、かかる充放電を300回繰り返し、各サイクルにおける放電容量を求めた。ここで、1サイクル目の充放電での放電容量を初期容量とし、以下の(I)式から各サイクルにおける容量維持率を算出した。
容量維持率[%]=(各サイクルにおける放電容量/初期容量)×100・・・(I)
【0079】
そして、各電池につき容量維持率が90%に到達するまでのサイクル数を数えた。その回数をサイクル寿命とした。サイクル寿命の結果を表1に示した。
【0080】
【0081】
(2)考察
表1の結果より、実施例1~3は、サイクル数が300回の時点で容量維持率が90%以上を維持しているのに対し、比較例1~4ではいずれもサイクル数が300回未満で容量維持率が90%に到達する結果となった。つまり、本実施形態によれば、ニッケル亜鉛二次電池のサイクル寿命特性が向上するといえる。このようにサイクル寿命特性が向上した原因については、以下のように推測できる。
【0082】
ニッケル亜鉛二次電池においてサイクル寿命が尽きる要因としては、亜鉛デンドライト析出による短絡や、ニッケル正極が劣化により膨潤しセパレータドライアウト現象が起こることで十分に充放電が出来なくなることなどが考えられる。上記した実施例では、微多孔フィルムの総厚さをA、不織布の総厚さをBとしたときに、A/Bの値が0.28~0.53となるように、微多孔フィルムと不織布とを組み合わせたセパレータを用いることで、デンドライトによる短絡への耐性とセパレータドライアウトの抑制とを両立することができ、しかも、負極芯体を無孔箔としていることで、従来のパンチングメタルに比べ亜鉛負極の反応性が均一化したことで亜鉛のデンドライト成長も抑制できたことから、これらの相乗効果でサイクル寿命特性が向上したと推測される。
【0083】
上記した実施例1のようにセパレータの全体の厚さが比較的小さい態様でも、セパレータを構成する微多孔フィルム及び不織布の総厚さの比であるA/Bが特定の範囲内にあれば、亜鉛二次電池のサイクル寿命を延ばせるので、本発明は、設計上セパレータ層の厚さにある程度の制限がある巻回型の電極群を使用する円筒形の亜鉛二次電池において、サイクル寿命特性を向上させるのに特に有効であると考えられる。
【0084】
なお、本発明は、上記した実施形態や実施例に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、負極合剤に亜鉛を含有させる電池であれば、ニッケル亜鉛二次電池に限定されるものではなく、空気亜鉛二次電池等の正極にニッケルを使用しないその他の亜鉛二次電池に本発明を適用することもできる。また、本発明は、電極群を巻回する円筒形二次電池に限定されるものではなく、平板状の正極及び負極を、セパレータを介して重ね合わせて形成される平板型の電極群を含む角形の亜鉛二次電池に用いても同様のサイクル寿命特性の向上効果が得られる。
【符号の説明】
【0085】
2 ニッケル亜鉛二次電池
22 電極群
24 正極
26 負極
27 負極芯体
28 セパレータ
29 負極合剤
40 微多孔フィルム
42 不織布
44 第1の不織布
46 第2の不織布
48 第1の微多孔フィルム
50 第2の微多孔フィルム
【手続補正書】
【提出日】2024-03-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0076
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0076】
(比較例4)
第1の微多孔フィルム48及び第2の微多孔フィルム50の合計の厚さAを34μmとし、第1の不織布44及び第2の不織布46の合計の厚さBを124μmとし、A/Bの値を0.27としたことを除いて実施例1と同様にしてニッケル亜鉛二次電池を製造した。