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  • 特開-圧縮空気の供給装置 図1
  • 特開-圧縮空気の供給装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141559
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】圧縮空気の供給装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/26 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B01D53/26 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053287
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 宏
(72)【発明者】
【氏名】高見 計行
【テーマコード(参考)】
4D052
【Fターム(参考)】
4D052AA01
4D052AA05
4D052BA00
4D052CB00
4D052DA03
4D052DB01
4D052FA06
4D052GA02
4D052GA03
4D052GB02
4D052GB03
4D052GB08
4D052HA00
4D052HA01
4D052HA02
4D052HA03
(57)【要約】
【課題】露点温度が低い圧縮空気のみを圧縮空気の使用機器に送ることができる圧縮空気の供給装置を提供する。
【解決手段】コンプレッサとドライヤと排出部とを備え、コンプレッサは、第一の圧縮空気と、第一の圧縮空気よりも高温である第二の圧縮空気とを生成する圧縮部を備え、ドライヤは、除湿剤と、第一の圧縮空気を除湿剤に通すことによって除湿された圧縮空気を排出する第一流路と、第一の圧縮空気が通された除湿剤に第二の圧縮空気を通すことによって加湿された圧縮空気を排出する第二流路と、加湿された圧縮空気を第一流路における除湿剤の上流に合流させる第三流路とを備え、排出部は、除湿された圧縮空気を圧縮空気の使用機器に送る第一排出口と、除湿された圧縮空気を空間に放出する第二排出口と、除湿された圧縮空気の露点温度に応じて、第一排出口と第二排出口との切り替えを行う切替部とを備える、圧縮空気の供給装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を圧縮するコンプレッサと、
前記コンプレッサから供給された圧縮空気を除湿するドライヤと、
前記ドライヤによって除湿された圧縮空気を送り出す排出部と、を備え、
前記コンプレッサは、
第一の圧縮空気と、前記第一の圧縮空気よりも高温である第二の圧縮空気とを生成する圧縮部を備え、
前記ドライヤは、
除湿剤と、
前記第一の圧縮空気を前記除湿剤に通すことによって前記除湿された圧縮空気を排出する第一流路と、
前記第一の圧縮空気が通された前記除湿剤に前記第二の圧縮空気を通すことによって加湿された圧縮空気を排出する第二流路と、
前記加湿された圧縮空気を前記第一流路における前記除湿剤の上流に合流させる第三流路と、を備え、
前記排出部は、
前記除湿された圧縮空気を圧縮空気の使用機器に送る第一排出口と、
前記除湿された圧縮空気を空間に放出する第二排出口と、
前記除湿された圧縮空気の露点温度に応じて、前記第一排出口と前記第二排出口との切り替えを行う切替部と、を備える、
圧縮空気の供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除湿された圧縮空気を送り出す圧縮空気の供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車の塗装工場では、コンプレッサから供給された圧縮空気がドライヤによって除湿され、除湿された圧縮空気が圧縮空気を使用する機器に送られている。圧縮空気の使用機器は、例えば、スプレーガンなどの塗装機器である。スプレーガンは、圧縮空気によって塗料を吹き付ける。
【0003】
特許文献1から特許文献3は、コンプレッサから供給された圧縮空気を除湿するドライヤに関する技術を開示する。このドライヤは、除湿剤による圧縮空気の除湿と、コンプレッサで発生した高温の圧縮空気の一部を利用する除湿剤の再生とを並行して行う。圧縮空気の除湿は、除湿剤によって圧縮空気中の水分を吸着することにより行う。除湿剤の再生は、コンプレッサから供給された高温の圧縮空気によって除湿剤に吸着された水分を蒸発させることにより行う。このドライヤは、コンプレッサの排熱を利用して除湿剤を再生する機能を有することから、排熱再生式圧縮エアドライヤと呼ばれる。排熱再生式圧縮エアドライヤは、アトラスコプコ株式会社からMDドライヤの名称で販売されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-28832号公報
【特許文献2】特表2003-533343号公報
【特許文献3】特表2004-512465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
圧縮空気によって塗料を吹き付ける塗装機器において、圧縮空気中の水分が多いと、塗装品質に影響するおそれがある。そのため、供給装置から圧縮空気の使用機器に送られる圧縮空気の露点温度が所定の温度以下になるように管理することが望まれる。上述した排熱再生式圧縮エアドライヤでは、コンプレッサの起動時は圧縮空気が十分に高温にならないため、除湿剤が十分に再生されないおそれがある。その場合、露点温度の高い圧縮空気が圧縮空気の使用機器に供給されることがある。
【0006】
本発明の目的の一つは、露点温度が低い圧縮空気のみを圧縮空気の使用機器に送ることができる圧縮空気の供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る圧縮空気の供給装置は、
空気を圧縮するコンプレッサと、
前記コンプレッサから供給された圧縮空気を除湿するドライヤと、
前記ドライヤによって除湿された圧縮空気を送り出す排出部と、を備え、
前記コンプレッサは、
第一の圧縮空気と、前記第一の圧縮空気よりも高温である第二の圧縮空気とを生成する圧縮部を備え、
前記ドライヤは、
除湿剤と、
前記第一の圧縮空気を前記除湿剤に通すことによって前記除湿された圧縮空気を排出する第一流路と、
前記第一の圧縮空気が通された前記除湿剤に前記第二の圧縮空気を通すことによって加湿された圧縮空気を排出する第二流路と、
前記加湿された圧縮空気を前記第一流路における前記除湿剤の上流に合流させる第三流路と、を備え、
前記排出部は、
前記除湿された圧縮空気を圧縮空気の使用機器に送る第一排出口と、
前記除湿された圧縮空気を空間に放出する第二排出口と、
前記除湿された圧縮空気の露点温度に応じて、前記第一排出口と前記第二排出口との切り替えを行う切替部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
上記の圧縮空気の供給装置は、露点温度が低い圧縮空気のみを圧縮空気の使用機器に送ることができる。上記の圧縮空気の供給装置は、排出部によって、圧縮空気の露点温度に応じて圧縮空気の送り先を切り替えることができる。圧縮空気の露点温度が所定の温度以下のとき、第一排出口から圧縮空気を圧縮空気の使用機器に送ることができる。圧縮空気の露点温度が所定の温度を超えるとき、圧縮空気を使用せずに、第二排出口から圧縮空気を空間に放出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る圧縮空気の供給装置の基本構成を示す模式図である。
図2図2は、実施形態に係る圧縮空気の供給装置に備わるドライヤの内部構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態に係る圧縮空気の供給装置の具体例を、図面を参照して説明する。各図において、同一又は相当する部分には同じ符号を付している。
【0011】
<圧縮空気の供給装置>
図1を参照して、実施形態の圧縮空気の供給装置1を説明する。供給装置1は、コンプレッサ2と、ドライヤ3と、排出部5とを備える。供給装置1は、コンプレッサ2によって圧縮した空気をドライヤ3によって除湿して、除湿された圧縮空気を排出部5から送り出す。以下の説明では、「除湿された圧縮空気」のことを「乾燥空気」と呼ぶ場合がある。供給装置1の特徴の1つは、排出部5が第一排出口51と第二排出口52とを有し、乾燥空気7の露点温度に応じて第一排出口51又は第二排出口52から乾燥空気7を排出する点にある。第一排出口51から排出された乾燥空気7は圧縮空気の使用機器8に送られる。第二排出口52から排出された乾燥空気7は空間9に放出される。以下、供給装置1の構成を詳しく説明する。
【0012】
(コンプレッサ)
コンプレッサ2は、空気を圧縮する機器である。コンプレッサ2は、圧縮部20を備える。
【0013】
圧縮部20は、吸気口201から取り込まれた空気6を圧縮して、圧縮空気60を生成する。本例の圧縮部20は、第一の圧縮空気61と、第二の圧縮空気62とを生成する。第二の圧縮空気62は、第一の圧縮空気61よりも高温である。具体的には、圧縮部20は、圧縮空気60を第一の圧縮空気61と第二の圧縮空気62とに分岐する分岐部202と、第一の圧縮空気61を冷却する冷却器203とを含む。圧縮空気60は、空気6が圧縮されることによって高温になる。冷却器203は、第一の圧縮空気61を冷却して、第一の圧縮空気61中に含まれる水分の一部を凝縮・分離する。第一の圧縮空気61は低温の飽和空気である。第一の圧縮空気61の温度は、例えば30℃以下である。第一の圧縮空気61の温度は、さらに20℃以下でもよい。「飽和空気」とは、水蒸気量が飽和状態になっている空気のことをいう。第一の圧縮空気61は、冷却器203によって冷却されることで結露が発生し、第一の圧縮空気61中に含まれる水分の一部が除去される。第一の圧縮空気61は、第一供給部21を通ってドライヤ3に送られる。第二の圧縮空気62は、冷却せずに高温の状態で、第二供給部22を通ってドライヤ3に送られる。第二の圧縮空気62は高温の圧縮空気である。第二の圧縮空気62の温度は、例えば60℃以上である。第二の圧縮空気62の温度は、さらに80℃以上でもよい。コンプレッサ2は公知のものを利用してもよい。
【0014】
第一の圧縮空気61と第二の圧縮空気62との割合は適宜設定される。第一の圧縮空気61と第二の圧縮空気62との合計体積、即ち圧縮空気60の体積を100%としたとき、第一の圧縮空気61の割合は、例えば50%以上75%以下である。つまり、第二の圧縮空気62の割合は、例えば25%以上50%以下である。第一の圧縮空気61の割合は、さらに55%以上70%以下でもよい。第二の圧縮空気62の割合は、さらに30%以上45%以下でもよい。本例では、第一の圧縮空気61の割合が60%、第二の圧縮空気62の割合が40%である。
【0015】
(ドライヤ)
ドライヤ3は、コンプレッサ2から供給された圧縮空気を除湿する機器である。図2を参照して、本例のドライヤ3の内部構成を説明する。ドライヤ3は、除湿剤4と、第一流路31と、第二流路32と、第三流路33とを備える。以下、ドライヤ3の構成を詳しく説明する。
【0016】
本例のドライヤ3は、除湿ロータ4rと、除湿ロータ4rを収容する容器30とを備える。除湿ロータ4rは、空気中の水分を吸着する除湿剤4を含有する。具体的には、除湿ロータ4rは、除湿剤4が含浸された除湿シートを何重にも巻いたロールである。除湿ロータ4rの形状は円筒形である。図2では、除湿ロータ4rの中心軸に沿う断面を示している。除湿シートは表面に凹凸が形成された波形のシートである。除湿ロータ4rは、重なり合う除湿シートの間には隙間が形成されている。除湿剤4は、再生することで繰り返し使用することができる。除湿剤4は、例えば、シリカゲル、ゼオライト、酸化チタン又は酸化アルミニウムである。
【0017】
容器30は、第一入口301、第二入口302及び出口303を備える。第一入口301は、図1に示す第一供給部21に接続されている。第二入口302は、第二供給部22に接続されている。出口303は排出部5に接続されている。容器30の内部空間は、仕切り304によって、除湿領域30aと再生領域30bとに区分けされている。仕切り304は容器30に固定されている。除湿領域30aには、除湿ロータ4rの一部が収容される。再生領域30bには、除湿ロータ4rの残部が収容される。除湿ロータ4rは、図示しないモータによって、容器30内で除湿ロータ4rの中心軸を回転軸として回転する。除湿ロータ4rは、回転することによって、除湿領域30aと再生領域30bとを交互に通過する。つまり、除湿ロータ4rが回転している間、除湿領域30aに配置された除湿ロータ4rの一部に含まれる除湿剤4は、再生領域30bに移動した後、除湿領域30aに戻ることを繰り返す。
【0018】
除湿領域30aには、第一入口301から第一の圧縮空気61が導入される。除湿領域30aは、第一の圧縮空気61が流れる第一流路31である。再生領域30bには、第二入口302から第二の圧縮空気62が導入される。再生領域30bは、第二の圧縮空気62が流れる第二流路32である。
【0019】
第一流路31は、第一の圧縮空気61を除湿剤4に通すことによって除湿された圧縮空気、即ち乾燥空気7を排出する。図2では、第一の圧縮空気61は、下から上に向かって流れる。第一の圧縮空気61は、除湿領域30aに配置された除湿ロータ4rの一部を通過する。第一の圧縮空気61中の水分が除湿剤4に吸着されることで、第一の圧縮空気61が除湿される。乾燥空気7は、出口303から排出される。
【0020】
第二流路32は、第一の圧縮空気61が通された除湿剤4に第二の圧縮空気62を通すことによって加湿された圧縮空気63を排出する。図2では、第二の圧縮空気62は、上から下に向かって流れる。上述したように、第一流路31において、第一の圧縮空気61が通された除湿剤4には水分が吸着されている。除湿ロータ4rが回転することで、第一の圧縮空気61が通された除湿剤4は再生領域30bに移動する。第二の圧縮空気62は、再生領域30bに配置された除湿ロータ4rの残部を通過する。除湿剤4に吸着された水分が高温の第二の圧縮空気62の熱によって蒸発して、第二の圧縮空気62に取り込まれる。つまり、第二の圧縮空気62が加湿される。加湿された圧縮空気63は高温の飽和空気である。除湿剤4に吸着された水分が脱離することで、除湿剤4が再生される。再生された除湿剤4は、除湿ロータ4rの回転によって除湿領域30aに再び戻る。つまり、除湿剤4は水分の吸着と脱離を繰り返す。
【0021】
第三流路33は、加湿された圧縮空気63を第一流路31における除湿剤4の上流に合流させる。加湿された圧縮空気63は、第二流路32から第三流路33を通って第一流路31に送られる。第三流路33には、冷却器33cが設けられている。冷却器33cは、加湿された圧縮空気63を冷却して、加湿された圧縮空気63中に含まれる水分の一部を凝縮・分離する。加湿された圧縮空気63は、冷却されることによって、低温の飽和空気になる。冷却後の加湿された圧縮空気63の温度は、例えば30℃以下、さらに20℃以下である。加湿された圧縮空気63は、第三流路33を通って第一流路31の上流、具体的には除湿剤4の上流に合流する。図2では、除湿剤4の上流は、第一流路31における除湿ロータ4rよりも下方である。加湿された圧縮空気63は、第一の圧縮空気61と合流し、除湿領域30aに配置された除湿ロータ4rの一部を通過する。加湿された圧縮空気63中の水分が除湿剤4に吸着されることで、加湿された圧縮空気63が除湿される。乾燥空気7は、出口303から排出される。
【0022】
出口303から排出された乾燥空気7は、図1に示す排出部5に送られる。乾燥空気7の露点温度は、例えばゼロ℃以下である。乾燥空気7の露点温度は、さらに-10℃以下、-20℃以下又は-30℃以下でもよい。乾燥空気7の温度は、例えば30℃以下、さらに20℃以下である。
【0023】
第二流路32に流れる第二の圧縮空気62の温度が高いほど、除湿剤4に吸着された水分を蒸発させやすく、除湿剤4を再生しやすい。つまり、第二供給部22から供給される第二の圧縮空気62の温度が高い方がよい。コンプレッサ2の起動時及び起動直後は、圧縮部20で生成された圧縮空気60が十分に高圧にならず、圧縮空気60の温度が低い。つまり、第二の圧縮空気62の温度が低い。コンプレッサ2の起動時から一定時間経過すると、圧縮空気60の圧力が上昇して、圧縮空気60の温度が高くなることで、高温の第二の圧縮空気62が得られる。つまり、コンプレッサ2の起動時から一定時間の間は、第二の圧縮空気62の温度が除湿剤4の再生に適した温度に達していない場合がある。そのため、コンプレッサ2の起動時から一定時間の間は、第二の圧縮空気62によって除湿剤4が十分に再生されないおそれがある。除湿剤4の再生が不十分であると、除湿剤4の除湿能力が低下するため、乾燥空気7の露点温度が所定の温度以下になっていない場合がある。
【0024】
ドライヤ3は公知のものを利用してもよい。ドライヤ3は、上述した市販の排熱再生式圧縮エアドライヤでもよい。
【0025】
(排出部)
図1に示すように、排出部5は、第一排出口51と、第二排出口52と、切替部53とを備える。
【0026】
第一排出口51及び第二排出口52は、ドライヤ3から排出された乾燥空気7を送り出す。第一排出口51は、乾燥空気7を圧縮空気の使用機器8に送る。使用機器8は、例えば、スプレーガンなどの塗装機器である。第一排出口51は、供給装置1から使用機器8に送る配管(図示せず)に接続される。使用機器8は、供給装置1と同じ室に設置されていてもよいし、供給装置1が設置された室とは異なる室に設置されていてもよい。第二排出口52は、乾燥空気7を空間9に放出する。「空間9に放出する」とは、乾燥空気7を使用することなく、乾燥空気7を空間9に排気することを意味する。空間9は、供給装置1が設置された室内でもよいし、室外空間でもよい。
【0027】
切替部53は、乾燥空気7の露点温度に応じて、第一排出口51と第二排出口52との切り替えを行う。第一排出口51と第二排出口52とを切り替えることによって、第一排出口51又は第二排出口52から乾燥空気7を送り出すことができる。本例の切替部53は、第一バルブ531及び第二バルブ532と、タイマー533と、排出制御部534とを有する。第一バルブ531は第一排出口51を開閉する。第二バルブ532は第二排出口52を開閉する。本例の第一バルブ531及び第二バルブ532は電動バルブである。排出制御部534は、第一バルブ531及び第二バルブ532をそれぞれ操作して、第一排出口51及び第二排出口52のそれぞれの開閉を制御する。
【0028】
第一排出口51から乾燥空気7を使用機器8に送るときは、第一排出口51を開き、かつ第二排出口52を閉じる。第二排出口52から乾燥空気7を空間9に放出するときは、第二排出口52を開き、かつ第一排出口51を閉じる。本例では、第一排出口51の開閉は第一バルブ531によって行い、第二排出口52の開閉は第二バルブ532によって行う。
【0029】
例えば、切替部53は、乾燥空気7の露点温度が設定温度以下のときは第一排出口51に切り替える。切替部53は、乾燥空気7の露点温度が設定温度を超えるときは第二排出口52に切り替える。つまり、乾燥空気7の露点温度が設定温度以下のとき、第一排出口51から乾燥空気7が使用機器8に送られる。乾燥空気7の露点温度が設定温度を超えるとき、第二排出口52から乾燥空気7が放出される。上記設定温度は、使用機器8に応じて適宜設定される。上記設定温度は、例えばゼロ℃以下である。上記設定温度は、さらに-10℃以下、-20℃以下又は-30℃以下でもよい。本例では、上記設定温度は-30℃以下である。
【0030】
タイマー533は、コンプレッサ2の起動時からの時間を計測する。コンプレッサ2の起動時の状態では、第二バルブ532が開いており、かつ第一バルブ531が閉じられている。つまり、第二排出口52から乾燥空気7が放出される。排出制御部534は、タイマー533によって計測された時間が設定時間になったとき、第一バルブ531及び第二バルブ532のそれぞれに電気信号を送り、第一バルブ531を開き、かつ第二バルブ532を閉じる。この操作により、コンプレッサ2の起動時から設定時間経過後、第一排出口51から乾燥空気7が使用機器8に送られる。
【0031】
排出制御部534は、代表的には、コンピュータにより構成されている。コンピュータは、プロセッサ及びメモリなどを備える。メモリは、プロセッサに実行させるための制御プログラム及び各種データが格納されている。プロセッサは、メモリに格納された制御プログラムを読み出して実行する。
【0032】
上記設定時間は、コンプレッサ2の起動時から、乾燥空気7の露点温度が設定温度以下になるまでの時間が設定される。上記設定時間は、例えば10分である。上記設定時間は、さらに15分又は20分でもよい。上記設定時間は、コンプレッサの起動時からの経過時間と乾燥空気7の露点温度との関係を予め調べておき、露点温度が設定温度以下になるまでの時間を把握しておいてから設定してもよい。
【0033】
切替部53は、タイマー533に代えて、乾燥空気7の露点温度を直接又は間接的に検出する検知部(図示せず)を備えてもよい。検知部は、露点温度センサによって露点温度を検出してもよい。検知部は、乾燥空気7の温度と相対湿度とから露点温度を算出してもよい。温度と相対湿度とから露点温度を算出する場合、検知部は、温度センサと湿度センサとを含む。露点温度の算出は、例えば排出制御部534により演算する。
【0034】
本発明は、これらの例示に限定されず、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0035】
1 圧縮空気の供給装置
2 コンプレッサ
20 圧縮部
201 吸気口、202 分岐部、203 冷却器
21 第一供給部、22 第二供給部
3 ドライヤ
30 容器
301 第一入口、302 第二入口、303 出口、304 仕切り
30a 除湿領域、30b 再生領域
31 第一流路
32 第二流路
33 第三流路、33c 冷却器
4 除湿剤、4r 除湿ロータ
5 排出部
51 第一排出口
52 第二排出口
53 切替部
531 第一バルブ、532 第二バルブ
533 タイマー、534 排出制御部
6 空気
60 圧縮空気
61 第一の圧縮空気
62 第二の圧縮空気
63 加湿された圧縮空気
7 乾燥空気
8 圧縮空気の使用機器
9 空間
図1
図2