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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141579
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】吸気グリル及び吸気ダクト
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/08 20060101AFI20241003BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20241003BHJP
   B60K 11/06 20060101ALI20241003BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20241003BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20241003BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20241003BHJP
   H01M 10/6566 20140101ALI20241003BHJP
【FI】
B60K11/08 ZHV
B62D25/20 H
B60K11/06
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6563
H01M10/6566
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053310
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 光輝
【テーマコード(参考)】
3D038
3D203
5H031
【Fターム(参考)】
3D038AA01
3D038AA04
3D038AA09
3D038AB01
3D038AC04
3D038AC22
3D203AA01
3D203AA31
3D203AA33
3D203AA34
3D203BB72
3D203CB24
5H031AA09
5H031KK08
(57)【要約】
【課題】異物の侵入を防止しつつ、圧力損失や風切り音を低減することができる吸気グリル及び吸気ダクトを提供する。
【解決手段】車室内の空気を吸入する吸気グリル30は、吸気ダクト20の吸気口に接続される枠体31と、枠体31の内側に配置され、水平方向に延在する複数の水平ルーバー33と、枠体31の内側に配置され、鉛直方向に延在する複数の鉛直ルーバー35と、を備える。隣り合う水平ルーバー33の間隔D1は、隣り合う鉛直ルーバー35の間隔D2よりも狭く、鉛直ルーバー35は、吸気方向において、水平ルーバー33よりも下流側に配置される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内の空気を吸入する吸気グリルであって、
吸気ダクトの吸気口に接続される枠体と、
前記枠体の内側に配置され、水平方向に延在する複数の水平ルーバーと、
前記枠体の内側に配置され、鉛直方向に延在する複数の鉛直ルーバーと、を備え、
隣り合う水平ルーバーの間隔は、隣り合う鉛直ルーバーの間隔よりも狭く、
前記鉛直ルーバーは、吸気方向において、前記水平ルーバーよりも下流側に配置される、
吸気グリル。
【請求項2】
請求項1に記載の吸気グリルであって、
前記吸気方向において、各水平ルーバーの下流側端部は各鉛直ルーバーの上流側端部に当接する、
吸気グリル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の吸気グリルであって、
各水平ルーバーは、水平面に対して傾斜して設けられている、
吸気グリル。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の吸気グリルが設けられた吸気ダクトであって、
前記吸気グリルに隣り合って設けられ、車体に固定される固定部を備える、
吸気ダクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内の空気を吸入する吸気グリル、及び吸気グリルが設けられた吸気ダクトに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する二次電池(バッテリとも称する)に関する研究開発が行われている。
【0003】
車両の駆動源の電動化に伴って、車両にはモータ等に電力を供給するバッテリを収容したバッテリパックが搭載される。バッテリパックはバッテリを冷却する冷却構造を備え、例えば車室内の冷却空気をファンにより吸気し、冷却空気をバッテリに送風してバッテリを冷却する空冷式の冷却構造が広く採用されている。
【0004】
空冷式の冷却構造では、車室内の空気を吸気するときに異物等が吸気ダクトに侵入することを防止する構造が設けられる。例えば、特許文献1では、格子状に配置される複数の第1グリル形成部及び第2グリル形成部を備えた吸気グリルが吸気ダクトに取り付けられ、異物等の侵入を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2019/008871号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の吸気グリルでは、格子状に配置される複数の第1グリル形成部及び第2グリル形成部により吸気入口が狭くなる。このような構成によると、吸気グリルにおける圧力損失や風切り音が大きくなるので、バッテリの冷却効率が低下したり、乗員に不快感を与えたりする虞がある。一方で、吸気グリルを設けないと、吸気ダクト内に異物が侵入しやすくなる。
【0007】
本発明は、異物の侵入を防止しつつ、圧力損失や風切り音を低減することができる吸気グリル及び吸気ダクトを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
車室内の空気を吸入する吸気グリルであって、
吸気ダクトの吸気口に接続される枠体と、
前記枠体の内部に配置され、水平方向に延在する複数の水平ルーバーと、
前記枠体の内部に配置され、鉛直方向に延在する複数の鉛直ルーバーと、を備え、
隣り合う水平ルーバーの間隔は、隣り合う鉛直ルーバーの間隔よりも狭く、
前記鉛直ルーバーは、吸気方向において、前記水平ルーバーよりも下流側に配置される。
【0009】
また、本発明は、
上記吸気グリルが設けられた吸気ダクトであって、
前記吸気グリル近傍に車体との固定部が設けられている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、異物の侵入を防止しつつ、圧力損失や風切り音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】後部座席2の下方に設けられたバッテリパック10、及びバッテリパック10に接続される吸気ダクト20を示す斜視図である。
図2】吸気グリル30が設けられた吸気ダクト20の側面図である。
図3】吸気グリル30の正面図である。
図4図3のA-A線の断面を左前方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の吸気グリル及び吸気ダクトの一実施形態について、添付図面に基づいて説明する。なお、図面は、符号の向きに見るものとする。また、本明細書等では説明を簡単且つ明確にするために、前後、左右、上下の各方向は、車両の運転者から見た方向に従って記載し、図面には、車両の前方をFr、後方をRr、左方をL、右方をR、上方をU、下方をD、として示す。
【0013】
図1に示すように、本発明の一実施形態である吸気ダクト20は、例えば車両1の後部座席2及び荷室4の下方に配置されたバッテリパック10に接続される。また、本発明の一実施形態である吸気グリル30は、吸気ダクト20の吸気口に接続される。
【0014】
吸気ダクト20は、上面視で略L字形状を有し、バッテリパック10に接続し、前後方向に延在する下流側ダクト部20Aと、下流側ダクト部20Aと接続して左右方向に延在する上流側ダクト部20Bと、を有する。吸気ダクト20の上流側ダクト部20Bには、右方に開口した吸気口が設けられている。なお、吸気ダクト20は、上面視で略L字形状を有しなくてもよく、例えば前後方向に直線状に延びた形状であってもよい。
【0015】
後部座席2及び荷室4の下方には、凹部が設けられており、バッテリパック10は、左右方向の両端部に設けられた不図示の車体固定部が車両1のサイドフレーム5に固定された状態で凹部内に配置される。バッテリパック10の内側には、車両1の駆動源となるモータ等に供給される電力を蓄えたバッテリや、バッテリを冷却する冷却空気を車室から吸気する吸気ファン等の各種部品が設けられる。車両1は、例えばハイブリッド車、バッテリ式電気自動車、燃料電池車等の電動車両である。
【0016】
図2に示すように、吸気ダクト20は、ダクト本体21と、固定部23と、吸気グリル30と、を有する。
【0017】
ダクト本体21は、車室から吸気した冷却空気が流れる流路を内部に形成する。ダクト本体21に導入された冷却空気は、上流側ダクト部20Bから下流側ダクト部20Aを通ってバッテリパック10に導入される。
【0018】
固定部23は、ダクト本体21に設けられ、吸気ダクト20を車両1のフロアパネル7に固定する。固定部23は、ダクト本体21の左側及び右側に設けられ、ボルト等の締結部材が挿通可能なボルト穴を有する。固定部23は、吸気グリル30に隣り合って設けられており、吸気グリル30の剛性を向上させる。
【0019】
図3に示すように、吸気グリル30は、枠体31と、複数の水平ルーバー33と、複数の鉛直ルーバー35と、を備える。
【0020】
枠体31は、吸気ダクト20の吸気口に接続される。枠体31は、角筒形状を有し、正面視で左右方向の長さが鉛直方向の長さよりも長い。本実施形態では、枠体31は、ダクト本体21に一体に設けられているが、ダクト本体21とは別体で設けられてもよい。
【0021】
複数の水平ルーバー33は、枠体31の内側に配置され、水平方向に延在する。本実施形態では、一例として3つの水平ルーバー33が枠体31の内部に配置されている。各水平ルーバー33は、板形状を有し、枠体31の内側に等間隔(間隔D1)で配置されている。
【0022】
複数の鉛直ルーバー35は、枠体31の内側に配置され、鉛直方向に延在する。本実施形態では、一例として、8つの鉛直ルーバーが枠体31の内部に配置されている。各鉛直ルーバー35は、板形状を有し、枠体31の内側に等間隔(間隔D2)で配置されている。
【0023】
図4に示すように、鉛直ルーバー35は、吸気方向(図4中の前側から後側へ向かう方向)において、水平ルーバー33よりも下流側に配置される。水平ルーバー33の上流側端部33aは、吸気グリル30の吸気入口30aに位置し、水平ルーバー33は、吸気入口30aから吸気方向に沿って延在する。鉛直ルーバー35は、水平ルーバー33の下流側端部33bと同じ位置又は下流側端部33bよりも下流側に配置される。本実施形態では、各鉛直ルーバー35は、吸気方向において、上流側端部35aが各水平ルーバー33の下流側端部33bと同じ位置となるように配置される。
【0024】
このように、鉛直ルーバー35が水平ルーバー33よりも下流側に配置されるので、鉛直ルーバー35及び水平ルーバー33が吸気方向において重なる位置に配置される場合(すなわち、鉛直ルーバー35及び水平ルーバー33が吸気入口30aにおいて直交して配置される場合)と比較して、吸気グリル30の吸気入口30aの流路断面積が大きくなる。これにより、車室の冷却空気が吸気入口30aから吸気グリル30へ流入する際の圧力損失が低減し、バッテリパック10に設けられたバッテリの冷却効率を向上させることができる。また、冷却空気が吸気入口30aから吸気グリル30へ流入する際に発生する風切り音も低減することができる。
【0025】
一方で、吸気入口30aの流路断面積を大きくすると、吸気入口30aから異物が侵入し易くなるが、本実施形態では、隣り合う水平ルーバー33の間隔D1は、隣り合う鉛直ルーバー35の間隔D2よりも狭く構成される。間隔の狭い水平ルーバー33が上流側に配置されるので、吸気グリル30に異物が侵入することを防止することができる。したがって、本実施形態の吸気グリル30によれば、吸気入口30aの流路断面積を大きくし、且つ、異物の侵入も抑制することができる。
【0026】
また、各鉛直ルーバー35は、吸気方向において、上流側端部35aが各水平ルーバー33の下流側端部33bと同じ位置となるように配置されており、各水平ルーバー33の下流側端部33bは、各鉛直ルーバー35の上流側端部35aに当接する。このような構成によると、各水平ルーバー33の下流側端部33bと各鉛直ルーバー35の上流側端部35aとが離隔して配置される場合と比較して、吸気入口30a近傍の剛性、特に鉛直方向の荷重に対する剛性を向上させることができる。
【0027】
また、各水平ルーバー33は、水平面に対して傾斜して設けられている。より詳細には、各水平ルーバー33は、上流側端部33aが下流側端部33bよりも低く位置するように傾斜する。このような構成によると、水平ルーバー33に雨水等の液体がかかった場合であっても、液体は水平ルーバー33の上面から吸気入口30aの外側に排出され、吸気ダクト20に液体が浸入することを防止することができる。
【0028】
以上、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0029】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。括弧内には上記した実施形態において対応する構成要素等を一例として示しているが、これに限定されるものではない。
【0030】
(1) 車室内の空気を吸入する吸気グリル(吸気グリル30)であって、
吸気ダクト(吸気ダクト20)の吸気口に接続される枠体(枠体31)と、
前記枠体の内側に配置され、水平方向に延在する複数の水平ルーバー(水平ルーバー33)と、
前記枠体の内側に配置され、鉛直方向に延在する複数の鉛直ルーバー(鉛直ルーバー35)と、を備え、
隣り合う水平ルーバーの間隔(間隔D1)は、隣り合う鉛直ルーバーの間隔(間隔D2)よりも狭く、
前記鉛直ルーバーは、吸気方向において、前記水平ルーバーよりも下流側に配置される、
吸気グリル。
【0031】
(1)によれば、鉛直ルーバーが水平ルーバーよりも下流側に配置されるので、吸気グリルの吸気入口の断面積が大きくなる。よって、圧力損失及び風切り音を低減することができる。さらに、間隔の狭い水平ルーバーが上流側に配置されるので、吸気ダクトに異物が侵入することを防止できる。
【0032】
(2) (1)に記載の吸気グリルであって、
前記吸気方向において、各水平ルーバーの下流側端部(下流側端部33b)は各鉛直ルーバーの上流側端部(上流側端部35a)に当接する、
吸気グリル。
【0033】
(2)によれば、吸気グリルの吸気入口近傍の剛性を向上させることができる。
【0034】
(3) (1)又は(2)に記載の吸気グリルであって、
各水平ルーバーは、水平面に対して傾斜して設けられている、
吸気グリル。
【0035】
(3)によれば、水平ルーバーに液体がかかった場合であっても、吸気ダクトに液体が浸入することを防止できる。
【0036】
(4) (1)から(3)のいずれかに記載の吸気グリルが設けられた吸気ダクトであって、
前記吸気グリルに隣り合って設けられ、車体に固定される固定部(固定部23)を備える、
吸気ダクト。
【0037】
(4)によれば、固定部により吸気グリルの剛性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0038】
20 吸気ダクト
23 固定部
30 吸気グリル
31 枠体
33 水平ルーバー
33b 下流側端部
35 鉛直ルーバー
35a 上流側端部
図1
図2
図3
図4