IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立建機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-作業機械の故障予測装置 図1
  • 特開-作業機械の故障予測装置 図2
  • 特開-作業機械の故障予測装置 図3
  • 特開-作業機械の故障予測装置 図4
  • 特開-作業機械の故障予測装置 図5
  • 特開-作業機械の故障予測装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141580
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】作業機械の故障予測装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20241003BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20241003BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20241003BHJP
   G06Q 10/30 20230101ALI20241003BHJP
   G06Q 50/02 20240101ALI20241003BHJP
【FI】
G06Q10/20
G06Q50/08
G06Q50/04
G06Q10/30
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053311
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 純平
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 博也
(72)【発明者】
【氏名】村里 裕太
(72)【発明者】
【氏名】奥 信一
(72)【発明者】
【氏名】高見 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】落合 剛志
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC01
5L049CC03
5L049CC07
5L049CC15
5L050CC01
5L050CC03
5L050CC07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】作業機械が使用されている業種をより確実に推定する作業機械の故障予測装置を提供する。
【解決手段】作業機械の故障予測装置52において、情報取得部521は、作業機械の作業現場を含む空中写真AP及び作業機械の稼働情報OIを取得する。画像分析部522は、空中写真APに基づいて作業機械の第1業種候補C1を推定する。稼働情報分析部523は、稼働情報OIに基づいて作業機械の第2業種候補C2を推定する。信頼度算出部524は、第1業種候補C1の第1信頼度R1と第2業種候補C2の第2信頼度R2を算出する。業種推定部525は、第1業種候補C1と第2業種候補C2が一致する場合は第1業種候補C1または第2業種候補C2を、第1業種候補C1と第2業種候補C2とが一致しない場合は第1信頼度R1と第2信頼度R2に基づいて第1業種候補C1と第2業種候補C2のいずれか一方を、業種推定結果BERとして出力する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械の作業現場を含む空中写真および前記作業機械の稼働情報を取得する情報取得部と、
前記空中写真に基づいて前記作業機械の第1業種候補を推定する画像分析部と、
前記稼働情報に基づいて前記作業機械の第2業種候補を推定する稼働情報分析部と、
前記画像分析部によって推定された前記第1業種候補の第1信頼度と前記稼働情報分析部によって推定された前記第2業種候補の第2信頼度を算出する信頼度算出部と、
前記画像分析部によって推定された前記第1業種候補と前記稼働情報分析部によって推定された前記第2業種候補が一致する場合に前記第1業種候補または前記第2業種候補を前記作業機械の業種推定結果として出力し、前記第1業種候補と前記第2業種候補が一致しない場合に前記第1信頼度と前記第2信頼度に基づいて前記第1業種候補と前記第2業種候補のいずれか一方を前記業種推定結果として出力する業種推定部と、
前記情報取得部によって取得された前記稼働情報と前記業種推定部による前記業種推定結果に基づいて前記作業機械の部品の交換時期を判定する交換時期判定部と、
を備えることを特徴とする作業機械の故障予測装置。
【請求項2】
前記業種推定部は、前記第1業種候補と前記第2業種候補が一致しない場合に前記第1信頼度と前記第2信頼度がそれぞれ第1閾値と第2閾値を超えているか否かを判定し、前記第1信頼度が前記第1閾値を超えかつ前記第2信頼度が前記第2閾値以下の場合に前記第1業種候補を前記業種推定結果として出力し、前記第1信頼度が前記第1閾値以下かつ前記第2信頼度が前記第2閾値を超えている場合に前記第2業種候補を前記業種推定結果として出力することを特徴とする請求項1に記載の作業機械の故障予測装置。
【請求項3】
前記業種推定部は、前記第1信頼度が前記第1閾値を超えかつ前記第2信頼度が前記第2閾値を超えている場合、または、前記第1信頼度が前記第1閾値以下かつ前記第2信頼度が前記第2閾値以下の場合に、前記第1信頼度と第1加重係数との積を前記第1閾値で除した第1評価値と、前記第2信頼度と第2加重係数との積を前記第2閾値で除した第2評価値とを算出し、前記第1評価値が前記第2評価値を超えた場合に前記第1業種候補を前記業種推定結果として出力し、前記第2評価値が前記第1評価値を超えた場合に前記第2業種候補を前記業種推定結果として出力することを特徴とする請求項2に記載の作業機械の故障予測装置。
【請求項4】
複数の前記作業機械の既知の業種と当該複数の前記作業機械に対応する複数の前記空中写真および複数の前記稼働情報を用いた前記業種推定部の前記業種推定結果とが最も多く一致するように前記第1加重係数および前記第2加重係数を設定する加重係数設定部をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の作業機械の故障予測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械の故障予測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から建設機械等に用いられる部品の補給部品生産予測システムに関する発明が知られている(下記特許文献1を参照)。この従来のシステムは、エラー警告情報取得手段と、稼働履歴取得手段と、稼動履歴蓄積手段と、交換可否判別手段と、生産予測手段とを備え、機械を構成する部品に異常が生じたときに、この部品と交換される補給部品の生産を予測する(特許文献1、第0006段落および請求項1)。
【0003】
上記エラー警告情報取得手段は、機械から送信出力され、機械の異常が生じた部品および異常の内容を知らせるエラー情報または警告情報を取得する。上記稼働履歴取得手段は、上記機械から送信出力された機械の稼働履歴を取得する。上記稼動履歴蓄積手段は、取得した稼働履歴を順次蓄積する。
【0004】
上記交換可否判別手段は、上記エラー警告情報取得手段により取得されたエラー情報または警告情報と、稼動履歴蓄積手段により蓄積された稼働履歴とに基づいて、異常が生じた部品が、この部品と対応する補給部品との交換対象となるか否かを判別する。上記生産予測手段は、上記交換可否判別手段で要交換と判別された際に、当該部品と交換する補給部品の生産を予測する。
【0005】
この従来のシステムによれば、機械から発せられたエラー情報または警告情報、稼働履歴に基づいて異常が生じた部品が交換すべき部品であるか否かを判別しており、現在稼働している機械の状態に応じて補給部品の生産を予測することができる(特許文献1、第0013段落)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-173979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来のシステムの交換可否判別手段では、位置情報データベースに記憶された位置情報から、建設機械の稼働地域を判定し、稼働環境負荷データベースから稼働地域における部品にかかる負荷(稼働地域における部品の寿命)を探索して、読み出す。そして、エラー情報または警告情報を発信した部品が、稼働地域における寿命に達しており、建設機械の積算稼働時間が所定稼働時間以上となった場合には、エラー情報または警告情報を発信した部品が補給部品との交換対象となると判別する(特許文献1、第0031段落)。
【0008】
このように、上記従来のシステムでは、エラー情報または警告情報を発信した部品が交換対象となるか否かを判別するために、稼働地域における部品にかかる負荷や寿命をあらかじめデータベースに登録しておく必要がある。そのため、新たな稼働地域では部品に係る負荷や寿命を取得することができない。これに対し、本願の発明者らは、作業を行う機械が使用されている業種を推定することができれば、データベースに部品の負荷や寿命が登録されていない新たな地域においても、部品の負荷や寿命を推定することが可能になることを見出し、本発明に至った。
【0009】
本発明は、作業機械が使用されている業種をより確実に推定することで部品の負荷や寿命を推定することが可能な作業機械の故障予測装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、作業機械の作業現場を含む空中写真および前記作業機械の稼働情報を取得する情報取得部と、前記空中写真に基づいて前記作業機械の第1業種候補を推定する画像分析部と、前記稼働情報に基づいて前記作業機械の第2業種候補を推定する稼働情報分析部と、前記画像分析部によって推定された前記第1業種候補の第1信頼度と前記稼働情報分析部によって推定された前記第2業種候補の第2信頼度を算出する信頼度算出部と、前記画像分析部によって推定された前記第1業種候補と前記稼働情報分析部によって推定された前記第2業種候補が一致する場合に前記第1業種候補または前記第2業種候補を前記作業機械の業種推定結果として出力し、前記第1業種候補と前記第2業種候補が一致しない場合に前記第1信頼度と前記第2信頼度に基づいて前記第1業種候補と前記第2業種候補のいずれか一方を前記業種推定結果として出力する業種推定部と、前記情報取得部によって取得された前記稼働情報と前記業種推定部による前記業種推定結果に基づいて前記作業機械の部品の交換時期を判定する交換時期判定部と、を備えることを特徴とする作業機械の故障予測装置である。
【発明の効果】
【0011】
本開示の上記一態様によれば、作業機械が使用されている業種をより確実に推定することで部品の負荷や寿命を推定することが可能な作業機械の故障予測装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る作業機械の故障予測装置の実施形態を示すブロック図。
図2図1に示す作業機械の故障予測装置の機能ブロック図。
図3図2に示す作業機械の故障予測装置の動作を説明するフロー図。
図4図2に示す作業機械の故障予測装置の動作を説明するフロー図。
図5図2に示す作業機械の故障予測装置の動作を説明するフロー図。
図6図1のユーザ端末の表示画面の一例を示す画像図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明に係る作業機械の故障予測装置の実施形態を説明する。
【0014】
図1は、本発明に係る作業機械の故障予測装置の実施形態を示すブロック図である。本実施形態の作業機械の故障予測装置52は、たとえば、作業機械管理システム1の一部であるサーバ装置5によって構成されている。作業機械管理システム1は、たとえば、各々の作業機械2の一つ以上の部品の交換時期やメンテナンス時期を管理し、作業機械2のユーザを含む関係者に通知するシステムである。作業機械管理システム1は、たとえば、一台以上の作業機械2と、作業機械管理サーバ3と、空中写真サーバ4と、サーバ装置5と、一台以上のユーザ端末6によって構成されている。
【0015】
作業機械2は、たとえば、ミニショベル、油圧ショベル、大型ショベル/ローディングショベル、ホイール式油圧ショベル、ホイールローダ、環境・リサイクル機、または道路機械などである。作業機械2は、たとえば、通信部21と、車体コントローラ22と、記憶部23と、車載センサ24と、全球測位衛星システム(GNSS)受信機25と、を備えている。
【0016】
通信部21は、たとえば、作業機械2に搭載された無線通信機である。通信部21は、たとえば、無線通信回線を介してインターネットなどのネットワーク7に接続され、作業機械管理サーバ3等の作業機械2の外部の装置と情報通信を行うように構成されている。車体コントローラ22は、たとえば、一つ以上のマイクロコントローラを含む電子制御装置(ECU)である。記憶部23は、たとえば、車体コントローラ22に接続された記憶装置であり、各種のプログラムやデータが格納されている。
【0017】
車載センサ24は、作業機械2に取り付けられた各種のセンサであり、作業機械2の稼働情報を取得して車体コントローラ22へ出力する。作業機械2の稼働情報は、たとえば、作業機械2の速度、走行距離、稼働時間を含む。また、作業機械2が油圧ショベルである場合、稼働情報は、たとえば、ブーム、アーム、およびバケットのそれぞれの回転角度および角速度、旋回体の旋回角度および角速度、各々の油圧シリンダ内の作動油の圧力などを含んでもよい。GNSS受信機25は、複数の測位衛星から送信される電波を受信して作業機械2の位置を検出し、車体コントローラ22へ出力する。
【0018】
車体コントローラ22は、車載センサ24から入力される作業機械2の稼働情報、および、GNSS受信機25から入力される作業機械2の位置情報を処理するとともに、これらの情報を記憶部23に格納する。また、車体コントローラ22は、たとえば、記憶部23に格納された作業機械2の稼働情報を、作業機械2の識別情報とともに、通信部21およびネットワーク7を介して作業機械管理サーバ3などの作業機械2の外部の装置へ送信する。また、車体コントローラ22は、たとえば、ネットワーク7および通信部21を介して作業機械2の外部の装置から各種の情報、指令、および更新プログラムなどを受信する。
【0019】
作業機械管理サーバ3は、たとえば、ネットワーク7に接続されたネットワークサーバである。作業機械管理サーバ3は、たとえば、通信部31と、稼働日報テーブル32と、部品交換履歴テーブル33と、顧客情報テーブル34と、を備えている。通信部31は、たとえば、ネットワーク7に接続され、ネットワーク7を介して作業機械管理サーバ3の外部の装置と情報通信を行う入出力装置である。
【0020】
稼働日報テーブル32は、たとえば、各々の作業機械2の稼働情報が記録されたデータベースである。以下の表1に、作業機械2が油圧ショベルである場合の稼働日報テーブル32の一例を示す。作業機械2の稼働情報は、たとえば、GNSS受信機25および車体コントローラ22によって取得される緯度と経度など、作業機械2の位置情報を含む。作業機械管理サーバ3は、たとえば、中央処理装置(CPU)によってROMやRAMなどの記憶装置に記憶されたプログラムを実行することで、ネットワーク7および通信部31を介して各々の作業機械2から稼働情報を受信して、稼働日報テーブル32を作成する。
【0021】
【表1】
【0022】
部品交換履歴テーブル33は、たとえば、各々の作業機械2の部品の交換履歴が記録されたデータベースである。以下の表2に、作業機械2が油圧ショベルである場合の部品交換履歴テーブル33の一例を示す。部品交換履歴テーブル33は、各々の作業機械2の識別情報である号機番号と、その号機番号の作業機械2の部品交換を行った交換日と、交換を行った部品の部品番号と、その個数が記録されている。作業機械管理サーバ3は、たとえば、CPUによってプログラムを実行し、ネットワーク7および通信部31を介して各々の作業機械2または各々のユーザ端末6から各々の作業機械2の個々の部品の交換履歴を受信して、部品交換履歴テーブル33を作成する。
【0023】
【表2】
【0024】
顧客情報テーブル34は、たとえば、各々の作業機械2の顧客情報が記録されたデータベースである。以下の表3に、顧客情報テーブル34の一例を示す。表3に示す例において、顧客情報テーブル34は、各々の作業機械2の識別情報である号機番号と、各々の作業機械2の所有者である顧客名が記録されている。作業機械管理サーバ3は、たとえば、CPUによってプログラムを実行することで、ネットワーク7および通信部31を介して各々のユーザ端末6から顧客情報を受信して、顧客情報テーブル34を作成する。
【0025】
【表3】
【0026】
空中写真サーバ4は、たとえば、ネットワーク7に接続されたネットワークサーバである。空中写真サーバ4は、たとえば、国土地理院などの行政機関、または、インターネット関連サービスを提供する民間企業などによって運営されていてもよい。空中写真サーバ4は、たとえば、通信部41と、空中写真記憶部42と、地図情報記憶部43とを備えている。
【0027】
通信部41は、たとえば、ネットワーク7に接続され、ネットワーク7を介して空中写真サーバ4の外部の装置と情報通信を行う入出力装置である。空中写真記憶部42は、たとえば、緯度および経度を含む位置情報と関連付けられた世界各地の空中写真が記憶されている。空中写真記憶部42に記憶される空中写真は、少なくとも航空写真を含み、衛星画像を含んでもよい。地図情報記憶部43は、たとえば、緯度および経度を含む位置情報と関連付けられた地図情報が記憶されている。なお、空中写真サーバ4は、地図情報記憶部43を有しなくてもよい。
【0028】
サーバ装置5は、ネットワーク7に接続されたネットワークサーバである。サーバ装置5は、たとえば、通信部51と作業機械の故障予測装置52とを備えている。通信部51は、たとえば、ネットワーク7に接続され、ネットワーク7を介してサーバ装置5の外部の装置と情報通信を行う入出力装置である。作業機械の故障予測装置52は、たとえば、一つ以上のマイクロコントローラによって構成され、RAMやROMに記憶されたプログラムをCPUによって実行することで、各々の作業機械2が使用されている業種を推定する。本実施形態の作業機械の故障予測装置52の詳細は、図2から図6までを参照して後述する。
【0029】
ユーザ端末6は、たとえば、スマートフォン、タブレット端末、またはノート型PCなどの携帯情報端末である。ユーザ端末6は、たとえば、無線通信装置などの通信部61と、サーバ装置5から送信される情報をネットワーク7および通信部61を介して取得する情報取得部62と、液晶表示装置または有機EL表示装置などによって構成される表示部63とを備えている。
【0030】
図2は、図1に示す作業機械の故障予測装置52の機能ブロック図である。作業機械の故障予測装置52は、たとえば、作業機械2の作業現場を含む空中写真APと、作業機械2の稼働情報OIとに基づいて、作業機械2が使用されている業種を推定する装置である。作業機械の故障予測装置52は、たとえば、情報取得部521と、画像分析部522と、稼働情報分析部523と、信頼度算出部524と、業種推定部525とを備えている。
【0031】
また、本実施形態の作業機械の故障予測装置52は、たとえば、加重係数設定部526と、交換時期判定部527とを、さらに備えている。図2に示す作業機械の故障予測装置52の各部は、たとえば、CPUによってプログラムを実行することで実現される作業機械の故障予測装置52の各機能を表している。以下、図3から図5を参照して、本実施形態の作業機械の故障予測装置52の動作を説明する。
【0032】
図3から図5は、図2に示す作業機械の故障予測装置52の動作を説明するフロー図である。作業機械の故障予測装置52は、図3に示す業種推定フローPF1を開始すると、まず、空中写真および稼働情報を取得する処理P101を実行する。この処理P101において、情報取得部521は、業種を推定する対象となる作業機械2の作業現場を含む空中写真APと、その作業機械2の稼働情報OIを取得する。
【0033】
より詳細には、作業機械の故障予測装置52の情報取得部521は、たとえば、業種を推定する対象となる作業機械2の稼働情報の送信要求を、その作業機械2の識別情報とともにサーバ装置5の通信部51を介して作業機械管理サーバ3へ送信する。作業機械管理サーバ3は、サーバ装置5の通信部51から送信された稼働情報の送信要求と作業機械2の識別情報を通信部31によって受信すると、その識別情報に一致する作業機械2の稼働情報OIを稼働日報テーブル32から抽出し、通信部31を介してサーバ装置5へ送信する。作業機械管理サーバ3からサーバ装置5へ送信された作業機械2の稼働情報OIは、サーバ装置5の通信部51によって受信され、情報取得部521によって取得される。
【0034】
また、作業機械の故障予測装置52の情報取得部521は、たとえば、業種を推定する対象となる作業機械2の作業現場を含む空中写真の送信要求を、その作業現場の位置情報とともにサーバ装置5の通信部51を介して空中写真サーバ4へ送信する。作業現場の位置情報は、作業機械2が作業する地点の緯度および経度を含む。空中写真サーバ4は、サーバ装置5の通信部51から送信された空中写真の要求と作業現場の位置情報を通信部41によって受信すると、その作業現場を含む空中写真APを空中写真記憶部42から抽出し、通信部41を介してサーバ装置5へ送信する。空中写真サーバ4からサーバ装置5へ送信された空中写真APは、サーバ装置5の通信部51によって受信され、情報取得部521によって取得される。
【0035】
次に、作業機械の故障予測装置52は、たとえば、機械学習モデルの学習用の教師データを作成する処理P102を実行する。この処理P102において、情報取得部521は、たとえば、通信部51を介して空中写真サーバ4から業種が既知の作業機械2の作業現場を含む空中写真APを取得する。また、情報取得部521は、たとえば、通信部51を介して作業機械管理サーバ3から業種が既知の作業機械2の稼働情報OIを取得する。
【0036】
さらに、情報取得部521は、たとえば、作業機械2の作業現場を含む空中写真APと、その作業機械2の既知の業種KBを関連付けた教師データを作成して、画像分析部522へ出力する。画像分析部522は、情報取得部521から入力された教師データを用いて、機械学習モデルを学習させる。画像分析部522の機械学習モデルは、作業機械2の作業現場を含む空中写真APを入力とし、その空中写真APに基づいて推定される作業機械2の業種の候補を第1業種候補C1として出力するモデルである。
【0037】
また、情報取得部521は、たとえば、作業機械2の稼働情報OIと、その作業機械2の既知の業種KBを関連付けた教師データを作成して、稼働情報分析部523へ出力する。稼働情報分析部523は、情報取得部521から入力された教師データを用いて、機械学習モデルを学習させる。稼働情報分析部523の機械学習モデルは、作業機械2の稼働情報OIを入力とし、その稼働情報OIに基づいて推定される作業機械2の業種の候補を第2業種候補C2として出力するモデルである。
【0038】
次に、作業機械の故障予測装置52は、たとえば、第1業種候補C1を推定する処理P103を実行する。この処理P103において、画像分析部522は、前述の処理P101で情報取得部521によって取得された業種を推定する対象の作業機械2の作業現場を含む空中写真APに基づいて、作業機械2の第1業種候補C1を推定する。より具体的には、画像分析部522は、前述の処理P102で学習させた機械学習モデルに業種を推定する対象の作業機械2の作業現場を含む空中写真APを入力する。その結果、画像分析部522の機械学習モデルは、入力された空中写真APから推定される作業機械2の業種である第1業種候補C1を出力する。
【0039】
次に、作業機械の故障予測装置52は、たとえば、第2業種候補C2を推定する処理P104を実行する。この処理P104において、稼働情報分析部523は、前述の処理P101で情報取得部521によって取得された業種を推定する対象の作業機械2の稼働情報OIに基づいて、作業機械2の第2業種候補C2を推定する。より具体的には、稼働情報分析部523は、前述の処理P102で学習させた機械学習モデルに業種を推定する対象の作業機械2の稼働情報OIを入力する。その結果、稼働情報分析部523の機械学習モデルは、入力された稼働情報OIから推定される作業機械2の業種である第2業種候補C2を出力する。
【0040】
画像分析部522および稼働情報分析部523によって推定される作業機械2の第1業種候補C1および第2業種候補C2は、たとえば、土木、解体、採石、製鉄所、港湾荷役、金属・自動車リサイクル、産業廃棄物処理、林業、海事浚渫、道路工事、畜産・農業、または、除雪などである。次に、作業機械の故障予測装置52は、第1信頼度R1および第2信頼度R2を算出する処理P105を実行する。
【0041】
この処理P105において、信頼度算出部524は、作業機械2の作業現場を含む空中写真APに基づく画像分析部522による作業機械2の業種の推定結果である第1業種候補C1の信頼度を、第1信頼度R1として算出する。また、信頼度算出部524は、作業機械2の稼働情報OIに基づく稼働情報分析部523による作業機械2の業種の推定結果である第2業種候補C2の信頼度を、第2信頼度R2として算出する。
【0042】
ここで、第1信頼度R1および第2信頼度R2は、画像分析部522および稼働情報分析部523によって推定された第1業種候補C1および第2業種候補C2が、作業機械2の真の業種に一致する確度を示す指標である。たとえば、第1信頼度R1および第2信頼度R2が1に近づくほど第1業種候補C1および第2業種候補C2が真の業種と一致する可能性が高くなり、0に近づくほど第1業種候補C1および第2業種候補C2が真の業種と一致しない可能性が高くなる。
【0043】
なお、信頼度算出部524は、たとえば、第1業種候補C1を推定する処理P103において第1信頼度R1を算出し、第2業種候補C2を推定する処理P104において第2信頼度R2を算出してもよい。すなわち、第1信頼度R1および第2信頼度R2を算出する処理P105は、第1業種候補C1を推定する処理P103および第2業種候補C2を推定する処理P104と同時に、または、並行して実施することができる。また、画像分析部522によって第1信頼度R1を算出し、稼働情報分析部523によって第2信頼度R2を算出してもよい。この場合、信頼度算出部524を省略することができる。
【0044】
次に、作業機械の故障予測装置52は、たとえば、第1業種候補C1と第2業種候補C2とが一致するか否かを判定する処理P106を実行する。この処理P106において、業種推定部525は、画像分析部522によって空中写真APに基づいて推定された作業機械2の第1業種候補C1と、稼働情報分析部523によって稼働情報OIに基づいて推定された作業機械2の第2業種候補C2とが一致しているか否かを判定する。
【0045】
この処理P106において、業種推定部525は、第1業種候補C1と第2業種候補C2とが一致していること(YES)を判定すると、第1業種候補C1または第2業種候補C2を作業機械2の業種推定結果BERとして出力する処理P107を実行する。その後、作業機械の故障予測装置52は、図3に示す処理フローPF1を終了する。一方、処理P106において、業種推定部525は、第1業種候補C1と第2業種候補C2が一致しないこと(NO)を判定すると、次の処理P108から処理P111を実行する。
【0046】
処理P108から処理P111では、業種推定部525は、たとえば、信頼度算出部524によって算出された第1信頼度R1と第2信頼度R2に基づいて、第1業種候補C1と第2業種候補C2のいずれか一方を作業機械2の業種推定結果BERとして出力する。具体的には、業種推定部525は、たとえば、処理P108と処理P110において、第1信頼度R1と第2信頼度R2がそれぞれ第1閾値Th1と第2閾値Th2を超えているか否かを判定する。
【0047】
なお、第1閾値Th1は、たとえば、業種が既知の複数の作業機械2の作業現場を含む複数の空中写真APを画像分析部522へ入力したときに出力される複数の第1業種候補C1に対する複数の第1信頼度R1の平均値を用いることができる。同様に、第2閾値Th2は、たとえば、業種が既知の複数の作業機械2の稼働情報OIを稼働情報分析部523へ入力したときに出力される複数の第2業種候補C2に対する複数の第2信頼度R2の平均値を用いることができる。以下の表4に、業種ごとの第1閾値Th1および第2閾値Th2の一例を示す。
【0048】
【表4】
【0049】
より詳細には、処理P108において、業種推定部525は、第1信頼度R1が第1閾値Th1を超え、かつ、第2信頼度R2が第2閾値Th2以下であること(YES)を判定したとする。すると、業種推定部525は、空中写真APに基づく第1業種候補C1を作業機械2の業種推定結果BERとして出力する処理P109を実行する。その後、作業機械の故障予測装置52は、図3に示す処理フローPF1を終了する。
【0050】
一方、処理P108において、業種推定部525は、第1信頼度R1が第1閾値Th1を超えていないか、または、第2信頼度R2が第2閾値Th2以下でないこと(NO)を判定すると、次の処理P110を実行する。この処理P110において、業種推定部525は、第1信頼度R1が第1閾値Th1以下、かつ、第2信頼度R2が第2信頼度R2を超えていること(YES)を判定したとする。すると、業種推定部525は、稼働情報OIに基づく第2業種候補C2を作業機械2の業種推定結果BERとして出力する処理P111を実行する。その後、作業機械の故障予測装置52は、図3に示す処理フローPF1を終了する。
【0051】
一方、処理P110において、業種推定部525は、第1信頼度R1が第1閾値Th1以下でないか、または、第2信頼度R2が第2信頼度R2を超えていないこと(NO)を判定すると、図4に示す処理P112を実行する。この処理P112において、業種推定部525は、たとえば、加重係数設定部526から第1加重係数W1と第2加重係数W2を取得する。その後、業種推定部525は、第1評価値E1および第2評価値E2を算出する処理P113を実行する。
【0052】
この処理P113において、業種推定部525は、たとえば、第1信頼度R1と第1加重係数W1との積を第1閾値Th1で除した値を第1評価値E1として算出する(E1=R1×W1/Th1)。また、業種推定部525は、たとえば、第2信頼度R2と第2加重係数W2との積を第2閾値Th2で除した値を第2評価値E2として算出する(E2=R2×W2/Th2)。
【0053】
なお、加重係数設定部526は、たとえば、次のように第1加重係数W1および第2加重係数W2を設定する。加重係数設定部526は、たとえば、情報取得部521から複数の作業機械2の既知の業種KBを取得する。さらに、加重係数設定部526は、その複数の作業機械2に対応する複数の空中写真APおよび複数の稼働情報OIがそれぞれ画像分析部522および稼働情報分析部523へ入力されたときに業種推定結果BERから出力される複数の業種推定結果BERを取得する。そして、加重係数設定部526は、複数の作業機械2の既知の業種KBと、業種推定部525から出力される複数の業種推定結果BERとが最も多く一致するように、繰り返し調整して第1加重係数W1および第2加重係数W2を設定する。
【0054】
上記の処理P113の終了後、業種推定部525は、第1評価値E1が第2評価値E2を超えているか否かを判定する処理P114を実行する。この処理P114において、業種推定部525は、第1評価値E1が第2評価値E2を超えていること(YES)を判定すると、第1業種候補C1を業種推定結果BERとして出力する処理P115を実行する。その後、作業機械の故障予測装置52は、図3に示す処理フローPF1を終了する。
【0055】
一方、処理P114において、業種推定部525は、第1評価値E1が第2評価値E2を超えていないこと(NO)を判定すると、第2評価値E2が第1評価値E1を超えているか否かを判定する処理P116を実行する。この処理P116において、業種推定部525は、第2評価値E2が第1評価値E1を超えていること(YES)を判定すると、第2業種候補C2を業種推定結果BERとして出力する処理P117を実行する。その後、作業機械の故障予測装置52は、図3に示す処理フローPF1を終了する。
【0056】
一方、処理P116において、業種推定部525は、第2評価値E2が第1評価値E1を超えていないこと(NO)を判定すると、たとえば、第1業種候補C1または第2業種候補C2を業種推定結果BERとして出力する処理P118を実行する。その後、作業機械の故障予測装置52は、図3に示す処理フローPF1を終了する。その後、作業機械の故障予測装置52は、たとえば、図5に示すように、作業機械2の部品の交換時期を判定して、必要に応じて通知を行う処理フローPF2を開始する。
【0057】
作業機械の故障予測装置52は、図5に示す処理フローPF2を開始すると、まず、稼働情報OIを取得する処理P201を実行する。この処理P201において、交換時期判定部527は、業種推定部525によって業種推定結果BERが出力された作業機械2の稼働情報OIを、情報取得部521から取得する。次に、交換時期判定部527は、業種推定部525から出力された業種推定結果BERを取得する処理P202を実行し、さらに作業機械2の各部品の使用期間が、業種推定結果BERに基づく閾値を超えているか否かを判定する処理P203を実行する。
【0058】
すなわち、処理P203において使用される作業機械2の各部品の使用期間の閾値は、業種推定結果BERによって異なる。これは、以下の表5に示すように、作業機械2が使用される業種によって、作業機械2の使用態様が異なるためである。すなわち、業種によって、その使用態様での使用頻度が異なるので、その頻度を多い、少ない、中程度、なし、設定するものである。交換時期判定部527が作業機械2の各部品の交換時期を判定するために使用する各部品の使用期間の閾値は、たとえば、表5に示すような作業機械2の使用態様の相違に応じて、作業機械2が使用される業種ごとに設定されている。
【0059】
【表5】
【0060】
表5に示す例に示すように、作業機械2のアタッチメントの装着および操作の頻度に関しては、作業機械2の使用されている業種が金属・自動車リサイクルのためのスクラップである場合、すべての業種における平均よりも多くなる。なお、スクラップでは、作業機械2のバケットによる掘削のような作業は、ほとんど行われない。また、機械式フォークなど、操作を必要としないアタッチメントも存在する。
【0061】
また、作業機械2のアタッチメントの装着および操作の頻度に関し、作業機械2の使用されている業種が原材料(採石)の場合、中型ショベルによる積込作業が主となるため、すべての業種の平均よりも少なくなる。また、作業機械2の使用されている業種が産業廃棄物処理の場合、プラント内の作業と、埋め立て地での作業では、作業機械2の使用態様が異なる。プラント内での産業廃棄物のハンドリング作業では、アタッチメントによる作業が主となるが、埋め立て地での作業では、アタッチメントの操作は、すべての業種の平均よりも少なくなる。
【0062】
また、作業機械2の旋回操作量については、比較的に大きい角度の旋回の頻度が多いため、作業機械2の業種が原材料およびアタッチメントを用いた解体(A)の場合に、すべての業種の平均に近い中程度になり、作業機械2の業種が土木の場合にそれよりも多くなる。また、作業機械2の無操作時間については、作業機械2の作業にもよるが、積込作業では作業機械2に待ち時間が発生するため、作業機械2の業種が原材料、土木、またはバケットを用いた解体(B)において、すべての業種の平均よりも少なくなる。
【0063】
このような作業機械2の使用される業種における作業機械2の使用態様の相違に加え、たとえば、業種が土木系の解体である場合には、作業機械2のバケットの爪部分の損傷が、他のスクラップや産業廃棄物処理などの業種よりも多くなる傾向がある。前述の作業機械2の部品の交換時期を判定するための部品の使用期間の閾値は、作業機械2の使用される業種による作業機械2の使用態様の相違に加え、上記のような業種に特有の傾向も考慮して決定される。また、稼働情報分析部523は、表5に示すような作業機械2の使用される業種による作業機械2の使用態様の相違に基づく稼働情報OIの傾向を、機械学習モデルによって学習し、稼働情報OIに基づいて第2業種候補C2を推定する。
【0064】
図5に示す処理P203において、業種推定部525は、前の処理P202において取得した作業機械2の業種推定結果BERに基づいて、作業機械2の各々の部品の使用期間の閾値を設定する。さらに、業種推定部525は、作業機械2の各々の使用期間を含む作業機械2の稼働情報OIを取得する。そして、業種推定部525によって、作業機械2の各々の部品の使用期間が、各々の部品の使用期間の閾値を超えていないこと(NO)が判定されると、作業機械の故障予測装置52は、図5に示す処理フローPF2を終了させ、所定の周期で繰り返す。
【0065】
一方、処理P203において、業種推定部525は、作業機械2の少なくとも一つの部品の使用期間がその部品の使用期間の閾値を超えていること(YES)を判定すると、通知を出力する処理P204を実行する。この処理P204において、業種推定部525は、たとえば、使用期間が閾値を超えた部品の交換時期TORを、通信部51を介してユーザ端末6へ送信することで、ユーザ端末6を介して作業機械2のユーザや関係者へ部品交換の通知を行う。その後、作業機械の故障予測装置52は、図5に示す処理フローPF2を終了させ、所定の周期で繰り返し実行する。
【0066】
図6は、図1のユーザ端末6の表示部63に表示される画像の一例を示す画像図である。図6に示す例において、ユーザ端末6の表示部63には、業種推定結果BERとして、林業が表示され、空中写真に基づく第1業種候補C1を業種推定結果BERとして採用したことが不等号によって示されている。また、表示部63には、各々の部品の累積損傷度と交換時期の予測結果を表示してもよく、累積損傷度と交換時期の相関を示すグラフを表示してもよい。
【0067】
以上のように、本実施形態の作業機械の故障予測装置52は、情報取得部521と、画像分析部522と、稼働情報分析部523と、信頼度算出部524と、業種推定部525とを備えている。情報取得部521は、作業機械2の作業現場を含む空中写真APおよび作業機械2の稼働情報OIを取得する。画像分析部522は、空中写真APに基づいて作業機械2の第1業種候補C1を推定する。稼働情報分析部523は、稼働情報OIに基づいて作業機械2の第2業種候補C2を推定する。信頼度算出部524は、画像分析部522によって推定された第1業種候補C1の第1信頼度R1と稼働情報分析部523によって推定された第2業種候補C2の第2信頼度R2を算出する。業種推定部525は、画像分析部522によって推定された第1業種候補C1と稼働情報分析部523によって推定された第2業種候補C2が一致する場合に第1業種候補C1または第2業種候補C2を作業機械2の業種推定結果として出力する。また、業種推定部525は、第1業種候補C1と第2業種候補C2が一致しない場合に第1信頼度R1と第2信頼度R2に基づいて第1業種候補C1と第2業種候補C2のいずれか一方を業種推定結果BERとして出力する。
【0068】
このような構成により、本実施形態の作業機械の故障予測装置52によれば、作業機械2の作業現場の環境を特定するための空中写真APと、作業機械2の使用態様に関連する稼働情報OIに基づいて、画像分析部522と稼働情報分析部523により第1業種候補C1と第2業種候補C2を推定することが可能になる。さらに、業種推定部525によって、第1業種候補C1と第2業種候補C2とを比較し、これらが一致する場合にいずれか一方を業種推定結果BERとして出力することで、空中写真APと稼働情報OIに基づいて、作業機械2が使用されている業種をより確実に推定することが可能になる。また、第1業種候補C1と第2業種候補C2が一致しない場合に、第1信頼度R1と第2信頼度R2に基づいて第1業種候補C1と第2業種候補C2のいずれか一方を業種推定結果BERとして出力することで、空中写真APと稼働情報OIに基づいて、作業機械2が使用されている業種をより確実に推定することが可能になる。その結果、データベースに部品の負荷や寿命が登録されていない新たな地域においても、業種推定部525から出力される業種推定結果BERに基づいて、作業機械2の各々の部品の負荷や寿命を推定することが可能になる。
【0069】
また、本実施形態の作業機械の故障予測装置52において、業種推定部525は、第1業種候補C1と第2業種候補C2が一致しない場合に第1信頼度R1と第2信頼度R2がそれぞれ第1閾値Th1と第2閾値Th2を超えているか否かを判定する。業種推定部525は、第1信頼度R1が第1閾値Th1を超えかつ第2信頼度R2が第2閾値Th2以下の場合に第1業種候補C1を業種推定結果BERとして出力する。また、業種推定部525は、第1信頼度R1が第1閾値Th1以下かつ第2信頼度R2が第2閾値Th2を超えている場合に第2業種候補C2を業種推定結果BERとして出力する。
【0070】
このような構成により、本実施形態の作業機械の故障予測装置52によれば、第1業種候補C1と第2業種候補C2のうち、作業機械2の真の業種に対する確度がより高い方を業種推定結果BERとして出力することが可能になる。したがって、本実施形態の作業機械の故障予測装置52によれば、作業機械2が使用されている業種をより確実に推定することが可能になる。
【0071】
また、作業機械の故障予測装置52において、業種推定部525は、第1信頼度R1が第1閾値Th1を超えかつ第2信頼度R2が第2閾値Th2を超えている場合、または、第1信頼度R1が第1閾値Th1以下かつ第2信頼度R2が第2閾値Th2以下の場合に次のように動作する。業種推定部525は、第1信頼度R1と第1加重係数W1との積を第1閾値Th1で除した第1評価値E1と、第2信頼度R2と第2加重係数W2との積を第2閾値Th2で除した第2評価値E2とを算出する。業種推定部525は、第1評価値E1が第2評価値E2を超えた場合に第1業種候補C1を業種推定結果BERとして出力し、第2評価値E2が第1評価値E1を超えた場合に第2業種候補C2を業種推定結果BERとして出力する。
【0072】
このような構成により、本実施形態の作業機械の故障予測装置52によれば、第1信頼度R1および第2信頼度R2、第1閾値Th1および第2閾値Th2、ならびに第1加重係数W1および第2加重係数W2を用いて、第1評価値E1および第2評価値E2を算出することができる。そして、第1評価値E1と第2評価値E2を比較することで、第1業種候補C1と第2業種候補C2の一方を業種推定結果BERとして出力することができる。したがって、第1信頼度R1が第1閾値Th1を超えかつ第2信頼度R2が第2閾値Th2を超えている場合、または、第1信頼度R1が第1閾値Th1以下かつ第2信頼度R2が第2閾値Th2以下の場合でも、作業機械2が使用されている業種をより確実に推定することが可能になる。
【0073】
また、作業機械の故障予測装置52は、加重係数設定部526をさらに備えている。加重係数設定部526は、複数の作業機械2の既知の業種KBとその複数の作業機械2に対応する複数の空中写真APおよび複数の稼働情報OIを用いた業種推定部525の業種推定結果BERとが最も多く一致するように第1加重係数W1および第2加重係数W2を設定する。
【0074】
このような構成により、本実施形態の作業機械の故障予測装置52によれば、第1加重係数W1および第2加重係数W2を用いて算出した第1評価値E1と第2評価値E2との比較に基づく業種推定結果BERの推定精度を向上させることができる。したがって、本実施形態の作業機械の故障予測装置52によれば、作業機械2が使用されている業種をより確実に推定することが可能になる。
【0075】
また、作業機械の故障予測装置52は、交換時期判定部527をさらに備えている。交換時期判定部527は、情報取得部521によって取得された各々の作業機械2の稼働情報と業種推定部525による業種推定結果BERに基づいて作業機械2の部品の交換時期TORを判定する。
【0076】
このような構成により、本実施形態の作業機械の故障予測装置52によれば、作業機械2が使用されている業種をより確実に推定することができるので、データベースに部品の負荷や寿命が登録されていない新たな地域においても、部品の負荷や寿命をより正確に推定することが可能になる。
【0077】
以上説明したように、本実施形態によれば、作業機械2が使用されている業種をより確実に推定することで部品の負荷や寿命を推定することが可能な作業機械の故障予測装置52を提供することができる。
【0078】
以上、図面を用いて本発明に係る作業機械の故障予測装置の実施形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0079】
2 作業機械
52 故障予測装置
521 情報取得部
522 画像分析部
523 稼働情報分析部
524 信頼度算出部
525 業種推定部
526 加重係数設定部
527 交換時期判定部
AP 空中写真
BER 業種推定結果
C1 第1業種候補
C2 第2業種候補
E1 第1評価値
E2 第2評価値
KB 既知の業種
OI 稼働情報
R1 第1信頼度
R2 第2信頼度
Th1 第1閾値
Th2 第2閾値
TOR 交換時期
W1 第1加重係数
W2 第2加重係数
図1
図2
図3
図4
図5
図6