(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014159
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】トレーラーハウス
(51)【国際特許分類】
B60P 3/335 20060101AFI20240125BHJP
B60P 3/36 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B60P3/335
B60P3/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116783
(22)【出願日】2022-07-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り [開示先] 株式会社LAMP [開示場所] WEB会議 [開示日] 令和3年9月2日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り [納品先] 株式会社LAMP [納品場所] 株式会社LAMP(長野県上水内郡信濃町野尻379番地2) [納品日] 令和3年12月16日
(71)【出願人】
【識別番号】522293021
【氏名又は名称】株式会社Country Works
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100104709
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 誠剛
(72)【発明者】
【氏名】岩本 淳兵
(57)【要約】
【課題】従来にはない新たな付加価値を有し、利用者が非日常的な新鮮さを味わうことができるトレーラーハウスを提供する。
【解決手段】牽引車両に連結するための連結部110を有するとともに車軸120を有する台車部100と、台車部100に一体化されているトレーラーハウス本体部200とを有し、牽引車両から切り離されたときには、台車部100及びトレーラーハウス本体部200における連結部110側の端部211及び反対側の端部212のうちの一方の端部が下降し、他方の端部が上昇することによって水平面Hに対して傾斜角度θを有して設置されるトレーラーハウス1であって、トレーラーハウス本体部200の内部には、台車部100及びトレーラーハウス本体部200が水平面Hに対して傾斜角度θを有して設置されるときの傾斜方向とは逆方向に傾斜角度θを有して傾斜した床部220が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
牽引車両に連結するための連結部を有するとともに車軸を有する台車部と、当該台車部に一体化されているトレーラーハウス本体部と、を有し、前記牽引車両から切り離されたときには、前記台車部及び前記トレーラーハウス本体部における前記連結部側の端部及び当該連結部側の端部と反対側の端部のうちの一方の端部が下降し、他方の端部が上昇することによって前記台車部及び前記トレーラーハウス本体部が水平面に対して所定の傾斜角度を有して設置されるトレーラーハウスであって、
前記トレーラーハウス本体部の内部には、前記台車部及び前記トレーラーハウス本体部が水平面に対して所定の傾斜角度を有して設置されるときの傾斜方向とは逆方向に前記所定の傾斜角度を有して傾斜した床部、ベンチ及びテーブルの少なくとも1つが設けられていることを特徴とするトレーラーハウス。
【請求項2】
請求項1に記載のトレーラーハウスにおいて、
前記所定の傾斜角度は、2度~45度の範囲であることを特徴とするトレーラーハウス。
【請求項3】
請求項1に記載のトレーラーハウスにおいて、
前記台車部の構成部材の一部をなすフレームの複数個所には、前記台車部及び前記トレーラーハウス本体部が前記所定の傾斜角度を有して設置された状態を保持するように前記台車部を支持するジャッキの荷重受けヘッドを当接させるための荷重受けヘッド当接部が設けられており、
前記荷重受けヘッド当接部は、前記荷重受けヘッドを面接触によって当接させる荷重受けヘッド当接面を有し、
当該荷重受けヘッド当接面は、前記台車部及び前記トレーラーハウス本体部が水平面に対して所定の傾斜角度を有して設置されるときの傾斜方向とは逆方向に傾斜しており、当該荷重受けヘッド当接面の傾斜角度は前記所定の傾斜角度であることを特徴とするトレーラーハウス。
【請求項4】
請求項3に記載のトレーラーハウスにおいて、
前記荷重受けヘッド当接部は、前記所定の傾斜角度を有するくさび状部材でなり、前記フレームに一体的に設けられていることを特徴とするトレーラーハウス。
【請求項5】
請求項1に記載のトレーラーハウスにおいて、
前記一方の端部の側に立設している前記トレーラーハウス本体部の端面及び前記他方の端部の側に立設している前記トレーラーハウス本体部の端面は、前記台車部及び前記トレーラーハウス本体部が水平面に対して所定の傾斜角度を有して設置されたときに、水平面に対して垂直となるように前記所定の斜角度を有して立設されていることを特徴とするトレーラーハウス。
【請求項6】
請求項1に記載のトレーラーハウスにおいて、
前記一方の端部の側に立設している前記トレーラーハウス本体部の端面又は当該端面に近い前記トレーラーハウス本体部の側面には、当該トレーラーハウス本体部の出入口が設けられ、
前記他方の端部の側に立設している前記トレーラーハウス本体部の端面には、窓が設けられていることを特徴とするトレーラーハウス。
【請求項7】
請求項6に記載のトレーラーハウスにおいて、
前記トレーラーハウス本体部の内部には、前記所定の傾斜角度を有して傾斜した床部が設けられており、前記床部は、前記出入口から前記トレーラーハウス本体部の内部に入った箇所に設けられている土間部から段差を有して当該土間部よりも高い位置に設けられていることを特徴とするトレーラーハウス。
【請求項8】
請求項7に記載のトレーラーハウスにおいて、
前記床部の前記台車側を向く裏面には、当該床部が前記土間部よりも高い位置に設けられている分に相当する空間部を有し、当該空間部には、前記トレーラーハウス本体部の内部に設置されている空気調和装置の室外機が設けられていることを特徴とするトレーラーハウス。
【請求項9】
請求項1に記載のトレーラーハウスにおいて、
前記車軸は、1つの車軸からなることを特徴とするトレーラーハウス。
【請求項10】
請求項1に記載のトレーラーハウスにおいて、
前記車軸は、2つ以上の車軸からなることを特徴とするトレーラーハウス。
【請求項11】
請求項10に記載のトレーラーハウスにおいて、
前記台車部には、前記2つ以上の車軸のうちの少なくとも1つの車軸を昇降させる車軸昇降機構が設けられており、前記台車部及び前記トレーラーハウス本体部が前記所定の傾斜角度を有して設置されたときには、前記少なくとも1つの車軸を下降させることによって、前記少なくとも2つの車軸に取り付けられているそれぞれの車輪を路面に接地させることを特徴とするトレーラーハウス。
【請求項12】
請求項1に記載のトレーラーハウスにおいて、
前記トレーラーハウス本体部の内部には、サウナ設備が設置されているとともに、前記前記所定の傾斜角度を有して傾斜したベンチが設けられていることを特徴とするトレーラーハウス。
【請求項13】
牽引車両に連結するための連結部を有するとともに車軸を有する台車部と、当該台車部に対して分離可能に載置されているトレーラーハウス本体部と、を有し、前記牽引車両から切り離されたときには、前記台車部及び前記トレーラーハウス本体部における前記連結部側の端部及び当該連結部側の端部と反対側の端部のうちの一方の端部が下降し、他方の端部が上昇することによって前記台車部及び前記トレーラーハウス本体部が水平面に対して所定の傾斜角度を有して設置されるトレーラーハウスであって、
前記トレーラーハウス本体部の内部には、前記台車部及び前記トレーラーハウス本体部が水平面に対して所定の傾斜角度を有して設置されるときの傾斜方向とは逆方向に前記所定の傾斜角度を有して傾斜した床部、ベンチ及びテーブルの少なくとも1つが設けられていることを特徴とするトレーラーハウス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレーラーハウスに関する。
【背景技術】
【0002】
牽引車両に連結されて移動可能となっているトレーラーハウスは、車両として取り扱われることとから、建築基準法上の建築確認申請が不要となるなど、一般的な建築物に比べて設置条件が大幅に緩和される。このため、柔軟な利用形態が可能となり、例えば、イベント会場での仮設店舗、リゾート地での宿泊設備など様々な分野で利用されつつある。また、牽引車両に連結されて移動可能であることから、キャンピング用としての需要も増大している。
【0003】
トレーラーハウスは、ワンボックスカーなどを改造した、いわゆるキャンピングカーに比べると、居住空間の広さや快適さ、設備の充実さなどにおいて格段に優れたものとなる。このため、今後、需要が増大すると期待される。なお、キャンピング用として使用するトレーラーハウスは、キャンピングトレーラーともいわれるが、この明細書においては、キャンピングトレーラーを含めてトレーラーハウスと呼ぶこととする。
【0004】
このようなトレーラーハウスにおいては、近年、様々な機能を備えるとともに居住性を高めて、様々な用途に適用できるように工夫されたトレーラーハウスが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
図8は、特許文献1に開示されているトレーラーハウス900を説明するために示す図である。特許文献1に記載されているトレーラーハウス900は、
図8に示すように、トレーラーハウス本体部(特許文献1においてはコンテナとしている。)910と、当該トレーラーハウス本体部910を載置する台車部920とを有している。また、特許文献1に開示されているトレーラーハウス900には、バイオトイレが設けられており、微生物の働きによって排泄物を分解処理する機能を有している。このように構成されているトレーラーハウス900は、牽引車両(図示せず。)から切り離されて路面に設置された状態においては、台車部920を構成するフレーム921と路面との間に複数のジャッキ930を介在させた状態で設置される。この場合、トレーラーハウス900は、水平となるように設置されるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されているトレーラーハウス900のように、居住性や快適性を高めるように工夫されたトレーラーハウスは種々提案されているが、従来にはない新たな付加価値を有し、利用者が非日常的な新鮮さを味わうことができるトレーラーハウスも要求されている。特に、リゾート地などにおいて、トレーラーハウスを貸別荘的な用途として利用者に提供する場合、あるいは、トレーラーハウスの所有者が、牽引車両に牽引引させて自分の好みの場所に移動させて別荘感覚で使用する場合などにおいては、そのような要求はより高いものとなる。例えば、トレーラーハウス内にいる利用者がより高い視点で外の景色を見ることができるようにすれば、視野が広がり、開放感や爽快感を味わうことができる。このようなトレーラーハウスが存在すれば、従来にはない新たな付加価値を有し、利用者が非日常的な新鮮さを味わうことができるトレーラーハウスとなることから、このようなトレーラーハウスの実現が期待される。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、従来にはない新たな付加価値を有し、利用者が非日常的な新鮮さを味わうことができるトレーラーハウスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]本発明のトレーラーハウスは、牽引車両に連結するための連結部を有するとともに車軸を有する台車部と、当該台車部に一体化されているトレーラーハウス本体部と、を有し、前記牽引車両から切り離されたときには、前記台車部及び前記トレーラーハウス本体部における前記連結部側の端部及び当該連結部側の端部と反対側の端部のうちの一方の端部が下降し、他方の端部が上昇することによって前記台車部及び前記トレーラーハウス本体部が水平面に対して所定の傾斜角度を有して設置されるトレーラーハウスであって、
前記トレーラーハウス本体部の内部には、前記台車部及び前記トレーラーハウス本体部が水平面に対して所定の傾斜角度を有して設置されるときの傾斜方向とは逆方向に前記所定の傾斜角度を有して傾斜した床部、ベンチ及びテーブルの少なくとも1つが設けられていることを特徴とする。
【0010】
[2]本発明のトレーラーハウスにおいては、前記所定の傾斜角度は、2度~45度の範囲であることが好ましい。
【0011】
[3]本発明のトレーラーハウスにおいては、前記台車部の構成部材の一部をなすフレームの複数個所には、前記台車部及び前記トレーラーハウス本体部が前記所定の傾斜角度を有して設置された状態を保持するように前記台車部を支持するジャッキの荷重受けヘッドを当接させるための荷重受けヘッド当接部が設けられており、前記荷重受けヘッド当接部は、前記荷重受けヘッドを面接触によって当接させる荷重受けヘッド当接面を有し、当該荷重受けヘッド当接面は、前記台車部及び前記トレーラーハウス本体部が水平面に対して所定の傾斜角度を有して設置されるときの傾斜方向とは逆方向に傾斜しており、当該荷重受けヘッド当接面の傾斜角度は前記所定の傾斜角度であることが好ましい。
【0012】
[4]本発明のトレーラーハウスにおいては、前記荷重受けヘッド当接部は、前記所定の傾斜角度を有するくさび状部材でなり、前記フレームに一体的に設けられていることが好ましい。
【0013】
[5]本発明のトレーラーハウスにおいては、前記一方の端部の側に立設している前記トレーラーハウス本体部の端面及び前記他方の端部の側に立設している前記トレーラーハウス本体部の端面は、前記台車部及び前記トレーラーハウス本体部が水平面に対して所定の傾斜角度を有して設置されたときに、水平面に対して垂直となるように前記所定の斜角度を有して立設されていることが好ましい。
【0014】
[6]本発明のトレーラーハウスにおいては、前記一方の端部の側に立設している前記トレーラーハウス本体部の端面又は当該端面に近い前記トレーラーハウス本体部の側面には、当該トレーラーハウス本体部の出入口が設けられ、前記他方の端部の側に立設している前記トレーラーハウス本体部の端面には、窓が設けられていることが好ましい。
【0015】
[7]本発明のトレーラーハウスにおいては、前記トレーラーハウス本体部の内部には、前記所定の傾斜角度を有して傾斜した床部が設けられており、前記床部は、前記出入口から前記トレーラーハウス本体部の内部に入った箇所に設けられている土間部から段差を有して当該土間部よりも高い位置に設けられていることが好ましい。
【0016】
[8]本発明のトレーラーハウスにおいては、前記床部の前記台車側を向く裏面には、当該床部が前記土間部よりも高い位置に設けられている分に相当する空間部を有し、当該空間部には、前記トレーラーハウス本体部の内部に設置されている空気調和装置の室外機が設けられていることが好ましい。
【0017】
[9]本発明のトレーラーハウスにおいては、前記車軸は、1つの車軸からなることが好ましい。
【0018】
[10]本発明のトレーラーハウスにおいては、前記車軸は、2つ以上の車軸からなることも好ましい。
【0019】
[11]本発明のトレーラーハウスにおいては、前記台車部には、前記2つ以上の車軸のうちの少なくとも1つの車軸を昇降させる車軸昇降機構が設けられており、前記台車部及び前記トレーラーハウス本体部が前記所定の傾斜角度を有して設置されたときには、前記少なくとも1つの車軸を下降させることによって、前記少なくとも2つの車軸に取り付けられているそれぞれの車輪を路面に接地させることが好ましい。
【0020】
[12]本発明のトレーラーハウスにおいては、前記トレーラーハウス本体部の内部には、サウナ設備が設置されているとともに、前記前記所定の傾斜角度を有して傾斜したベンチが設けられていることが好ましい。
【0021】
[13]本発明のトレーラーハウスは、牽引車両に連結するための連結部を有するとともに車軸を有する台車部と、当該台車部に対して分離可能に載置されているトレーラーハウス本体部と、を有し、前記牽引車両から切り離されたときには、前記台車部及び前記トレーラーハウス本体部における前記連結部側の端部及び当該連結部側の端部と反対側の端部のうちの一方の端部が下降し、他方の端部が上昇することによって前記台車部及び前記トレーラーハウス本体部が水平面に対して所定の傾斜角度を有して設置されるトレーラーハウスであって、前記トレーラーハウス本体部の内部には、前記台車部及び前記トレーラーハウス本体部が水平面に対して所定の傾斜角度を有して設置されるときの傾斜方向とは逆方向に前記所定の傾斜角度を有して傾斜した床部、ベンチ及びテーブルの少なくとも1つが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
上述の[1]に記載の本発明のトレーラーハウスは、トレーラーハウス(台車部及びトレーラーハウス本体部)が水平面に対して所定の傾斜角度を有して設置されることにより、トレーラーハウスが水平に設置されているときに比べて他方の端部(上昇する側の端部)が高い位置となる。このため、当該他方の端部側の面(例えば後面)に窓を設けることにより、トレーラーハウス本体部内にいる利用者が窓を通して外を見たときには、より高い視点で外の景色を見ることとなることから、視野が広がり、開放感や爽快感を味わうことができる。これにより、[1]に記載の本発明のトレーラーハウスによれば、従来にはない新たな付加価値を有し、利用者が非日常的な新鮮さを味わうことができるトレーラーハウスとなる。
【0023】
また、トレーラーハウス本体部の内部には、トレーラーハウス(台車部及びトレーラーハウス本体部)が水平面に対して所定の傾斜角度を有して設置されるときの傾斜方向とは逆方向に所定の傾斜角度を有して傾斜した床部、ベンチ及びテーブルの少なくとも1つが設けられている。これにより、トレーラーハウスを水平面に対して所定の傾斜角度を有するように設置しても、居住性が損なわれることがなく快適な居住空間を形成することができる。
【0024】
また、[13]に記載の本発明のトレーラーハウスは、トレーラーハウス本体部が台車部に対して分離可能となっているトレーラーハウスであり、このようなトレーラーハウスにおいても、[1]に記載のトレーラーハウスと同様の効果が得られる。なお、[13]に記載の本発明のトレーラーハウスも、[2]~[12]に記載の特徴を有することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】実施形態1に係るトレーラーハウス1を説明するために示す図である。
【
図2】実施形態1に係るトレーラーハウス1の外観を説明するために示す図である。
【
図3】ジャッキ20の荷重受けヘッド21を当接させるための荷重受けヘッド当接部150を説明するために示す図である。
【
図4】実施形態2に係るトレーラーハウス2を説明するために示す図である。
【
図5】実施形態3に係るトレーラーハウス3を説明するために示す図である。
【
図6】実施形態3に係るトレーラーハウス3の外観を説明するために示す図である。
【
図7】トレーラーハウス本体部200内に、床部220に加えてベンチ280及びテーブル290が存在する場合を説明するために示す図である。
【
図8】特許文献1に開示されているトレーラーハウス900を説明するために示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0027】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係るトレーラーハウス1を説明するために示す図である。
図1(a)は牽引車両(図示せず。)に牽引される際のトレーラーハウス1を示す側面図であり、
図1(b)は牽引車両(図示せず。)から切り離されて、路面上に設置されたときのトレーラーハウス1を示す側面図である。
【0028】
実施形態1に係るトレーラーハウス1は、
図1に示すように、牽引車両に連結するための連結部110を有するとともに車軸120を有する台車部100と、当該台車部100に一体化されているトレーラーハウス本体部200と、を有している。なお、
図1はトレーラーハウス本体部200の内部が目視できるようにトレーラーハウス本体部200における側面250の大部分が切り欠かれて示されている。なお、連結部110は簡略化して描かれているため、実際のものとは大きく異なる。これは連結部が描かれている他の図においても同様である。
【0029】
また、実施形態1に係るトレーラーハウス1は、キャンピングトレーラーとしての機能を有するものであるとする。
図1においては、トレーラーハウス本体部200の内部に設置されている設備、すなわち、キャンピングトレーラーとして本来備わっているキッチン、ベッドなどの設備の図示は省略されている。なお、以下の説明においては、トレーラーハウス1において連結部110の側を「前面側」とし、連結部110の側とは反対側を「後面側」として説明する。
【0030】
また、実施形態1に係るトレーラーハウス1は、車軸120は第1車軸121及び第2車軸122の2つの車軸からなる。第1車軸121には車輪としての1対のタイヤ131が車軸121の左右両端に取り付けられており、第2車軸122には車輪としての1対のタイヤ132が車軸122の左右両端に取り付けられている。
【0031】
なお、第1車軸121の左右両端に取り付けられている一対のタイヤ131及び第2車軸122の左右両端に取り付けられている一対のタイヤ132は互いに近接した位置に設けられている。以下、第1車軸121の左右両端に取り付けられている一対のタイヤ131をまとめて「第1タイヤ131」とし、第2車軸122の左右両端に取り付けられている一対のタイヤ132をまとめて「第2タイヤ132」として説明する。第1タイヤ131は、台車部100の前後方向において、やや後面側に位置しており、第2タイヤ132は、第1タイヤ131よりもさらに後面側に位置している。
【0032】
ここで、台車部100にトレーラーハウス本体部200が一体化されているというのは、台車部100とトレーラーハウス本体部200とがそれぞれ独立した構成となっているのではなく、トレーラーハウス本体部200の構成部材(床部など)が台車部100の構成部材の一部をなすフレームに直接的に固定された構造となっていることを意味している。なお、台車部100の構成部材の一部をなすフレームは、台車部100の前後方向(前面側から後面側に沿った方向)に配設されている複数本のフレームと、台車部100の幅方向(車軸120に沿った方向)に配設されている複数本のフレームなどによって構成されているが、
図1においては、前後方向に配設されている複数本のフレームのうち、
図1で目視できる位置に存在するフレーム140のみが示されている。
【0033】
このように、台車部100にトレーラーハウス本体部200が一体化されていることによって、トレーラーハウス本体部200が直接的に台車部100に固定されるため、トレーラーハウス本体部200が台車部100に対して分離可能型となっているトレーラーハウス(台車部100とトレーラーハウス本体部200がそれぞれ独立した構成となっているトレーラーハウス)に比べて、トレーラーハウス本体部200の構造(特にトレーラーハウス本体部における底面部の構造)を簡易化することができるなどの利点がある。一方、トレーラーハウス本体部が台車部から分離可能型となっているトレーラーハウスは、分離可能型ならではの利点もあるが、実施形態1に係るトレーラーハウス1は、台車部100にトレーラーハウス本体部200が一体化されているトレーラーハウスであるとして説明する。
【0034】
ところで、実施形態1に係るトレーラーハウス1は、
図1に示すように、牽引車両から切り離されて、路面10上に設置された状態となったときには、台車部100及びトレーラーハウス本体部200における連結部110側の端部(前面側端部211という。)及び連結部110側とは反対側の端部(後面側端部212という。)のうちの一方の端部が下降し、他方の端部が上昇する。実施形態1に係るトレーラーハウス1においては、前面側端部211が下降し、後面側端部212が上昇するものとする。
【0035】
これにより、トレーラーハウス1は、牽引車両から切り離されたときには、
図1(b)に示すように、台車部100及びトレーラーハウス本体部200の前面側端部211が下降し、台車部100及びトレーラーハウス本体部200の後面側端部212が上昇した状態で路面10上に設置される。このときの台車部100及びトレーラーハウス本体部200は、水平面Hに対して所定の傾斜角度を有するものとする。
【0036】
ここで、「所定の傾斜角度」は、台車部100の構造やタイヤの径、タイヤの上下方向の位置、タイヤの台車部100における前後方向の位置などによって所定範囲で設定可能である。なお、所定の傾斜角度をθで表し、「傾斜角度θ」と表記することとする。当該傾斜角度θは、2度~45度の範囲とすることが可能であるが、好ましくは3度~20度であり、より好ましくは3度~15度である。このことは後述する他の実施形態においても同様である。実施形態1に係るトレーラーハウス1及び後述する他の実施形態においては、θ=5度として説明する。
【0037】
なお、以下の説明においては、「台車部100及びトレーラーハウス本体部200」という表記は、これらをまとめて「トレーラーハウス1」と言い換えて説明する場合もある。例えば、「台車部100及びトレーラーハウス本体部200は、水平面Hに対して傾斜角度θを有する」という表記は、「トレーラーハウス1は、水平面Hに対して傾斜角度θを有する」というように表記する。これは、傾斜角度を表す場合だけでなく、例えば、「台車部100及びトレーラーハウス本体部200の前面側端部211」、「台車部100及びトレーラーハウス本体部200の後面側端部212」といった表記においても「トレーラーハウス1の前面側端部211」、「トレーラーハウス1の後面側端部212」というように表記する。このことは、後述する他の実施形態においても同様である。
【0038】
また、ここでは、路面10は水平であるとして説明する。このため、水平面Hは路面10と言い換えることもできる。従って、「水平面Hに対して傾斜角度θを有して設置される」というのは、「路面10に対して傾斜角度θを有して設置される」と言い換えることもできる。
【0039】
ところで、第1タイヤ131は、前述したように、台車部100のやや後面側に位置しており、第2タイヤ132は、第1タイヤ131よりもさらに後面側に位置している。このため、トレーラーハウス1が牽引車両から切り離されて、路面10上に設置されたときには、第1タイヤ131が路面10に接地した状態で、トレーラーハウス1の前面側端部211が下降し、後面側端部212が上昇する。これにより、トレーラーハウス1は、前面側端部211から後面側端部212に向かって上り傾斜となる。このとき、実施形態1に係るトレーラーハウス1においては、第2タイヤ132は路面10から離脱する。
【0040】
そして、トレーラーハウス1が牽引車両から切り離されたときは、まずは、トレーラーハウス1における連結部110の先端近くに取り付けられているジャッキ30によって、トレーラーハウス1を支持する。ジャッキ30は「トレーラーAフレームジャッキ」とも呼ばれているジャッキであり、以下、トレーラーAフレームジャッキ30として説明する。
【0041】
トレーラーAフレームジャッキ30は、高さ調節が可能となっており、トレーラーハウス1が牽引車から切り離されたときに、高さ調節を行ってトレーラーハウス1を所定の傾斜姿勢で自立させることができるようになっている。実施形態1に係るトレーラーハウス1においては、トレーラーハウス1が傾斜角度θ(θ=5度)を有した傾斜姿勢となるように高さ調整を行う。
【0042】
このようなトレーラーAフレームジャッキ30によって、トレーラーハウス1が傾斜角度θ(θ=5度)となるように支持した後、その状態を安定的に保持するように、後付けのジャッキ20によってトレーラーハウス1を支持する。ジャッキ20は、トレーラーハウス1が傾斜角度θを有して設置された状態を保持するように台車部100を支持するためのジャッキであり、実施形態1に係るトレーラーハウス1においては、4箇所でトレーラーハウス1を支持するものとする。ジャッキ20は、荷重受けヘッド21(
図1(b)及び後述の
図3参照。)がフレーム140に設けられている荷重受けヘッド当接部150に対向するように路面10上に設置して、荷重受けヘッド21を上昇させて、荷重受けヘッド当接部150に当接させることによってトレーラーハウス1を支持する。
【0043】
実施形態1に係るトレーラーハウス1においては、第1タイヤ131及び第2タイヤ132の前後の所定位置にジャッキ20の荷重受けヘッド21を当接させるための荷重受けヘッド当接部150が設けられている。なお、荷重受けヘッド当接部150は4箇所に限られるものではない。この荷重受けヘッド当接部150については後述する。
【0044】
また、
図1においては、荷重受けヘッド当接部150は、フレーム140に設けた例が示されているが、フレーム140に限られるものではなく、ジャッキ20が設置し易く、確実にトレーラーハウス1安定した状態で支持できれば、他のフレームに設けてもよい。
【0045】
以上の説明したように、牽引車両から切り離されたトレーラーハウス1は、トレーラーAフレームジャッキ30と後付けのジャッキ20とによって、水平面H(路面10)に対して傾斜角度θを有して安定した状態で設置される(
図1(b)参照。)。
【0046】
牽引車両から切り離されたトレーラーハウス1が、水平面H(路面10)に対して傾斜角度θを有して設置されたときには、トレーラーハウス1の一方の端部(前面側端部211)が下降し、他方の端部(後面側端部212)が上昇する。これは、トレーラーハウス1が牽引車両から切り離されたときのトレーラーハウス1の自然の姿勢といえる。すなわち、実施形態1に係るトレーラーハウス1においては、前述したように、第1タイヤ131は、台車部100の前後方向において、やや後面側に位置しており、第2タイヤ132は、第1タイヤ131よりもさらに後面側に位置している。このため、牽引車両から切り離されたトレーラーハウス1は、この場合、第1タイヤ131を支点としてトレーラーハウス1の一方の端部(前面側端部211)が下降し、他方の端部(後面側端部212)が上昇した傾斜姿勢となる。
【0047】
ところで、実施形態1に係るトレーラーハウス1においては、トレーラーハウス本体部200の内部には、トレーラーハウス1が水平面Hに対して傾斜角度θを有して設置されるときの傾斜方向とは逆方向に傾斜角度θを有して傾斜した床部220が設けられている。換言すれば、トレーラーハウス本体部200の内部に存在する床部220(床部220の表面221)は、トレーラーハウス1が水平面Hに対して傾斜角度θを有して設置されたときに水平となるようにトレーラーハウス本体部200の内部に敷設されている。すなわち、床部220は、トレーラーハウス1が水平な状態のときにおいては、前面側端部211から後面側端部212に向かって傾斜角度θ(θ=5度)の下り傾斜となるように敷設されている(
図1(a)参照。)。
【0048】
床部220がこのように敷設されていることによって、トレーラーハウス1が路面10上に設置されたとき、すなわち、
図1(b)に示すように、トレーラーハウス1が水平面Hに対して所定の傾斜角度θを有して設置されたときにおいては、床部220(床部220の表面221)は水平となる。これにより、トレーラーハウス1が水平面Hに対して所定の傾斜角度θを有して設置されたときに、居住性が損なわれることはなく快適な居住空間を形成できる。なお、床部220は床面221に段差がない平坦面となっていることが好ましい。但し、利用者が移動する範囲内が平坦面であればよく、それ以外の箇所(例えば、室内の隅の部分など)には多少の段差の存在は許容される。
【0049】
続いて、トレーラーハウス本体部200の他の構成部材について説明する。トレーラーハウス本体部200の一方の端部(前面側端部211)の側に立設している端面(前面230)には出入口としての扉231(後述する
図2(a)参照。)が設けられており、トレーラーハウス本体部200の他方の端部(後面側端部212)の側に立設している端面(後面240)には窓241(後述する
図2(b)参照。)が設けられている。そして、出入口としての扉231からトレーラーハウス本体部200の内部に入った箇所には、たたき部とも呼ばれる土間部225が設けられており、床部220は当該土間部225から段差Sを有して当該土間部225よりも高い位置に設けられている。
【0050】
また、床部220の台車部100を向く面(床部220の裏面222)には、当該床部220が土間部225よりも高い位置に設けられている分に相当する空間部227を有している。そして、空間部227には、トレーラーハウス本体部200の内部に設置されている空気調和装置(図示せず。)の室外機40が設けられている。なお、空間部227には、空気調和装置(図示せず。)の室外機40だけではなく、配電盤(図示せず。)や床下収納部(図示せず。)なども設けることができる。
【0051】
また、トレーラーハウス本体部200の前面230及びトレーラーハウス本体部200の後面240は、トレーラーハウス1が水平面Hに対して傾斜角度θを有して設置されたときに、水平面Hに対して垂直となるように(垂線Vに沿うように)立設されていることが好ましい。換言すれば、トレーラーハウス本体部200の前面230及び後面240は、トレーラーハウス1が水平な状態のときにおいて、前面230は後面240の側、後面240は当該後面240よりも後方に垂線Vに対してそれぞれ傾斜角度θ(θ=5度)を有して傾斜している。
【0052】
前面230及び後面240がこのような傾斜角度θを有して立設されていることによって、トレーラーハウス1が路面10上に設置されたとき、すなわち、トレーラーハウス1が水平面Hに対して傾斜角度θを有して設置されたときにおいては、前面230及び後面240は水平面H(路面10)に対してそれぞれ垂直となる。これにより、トレーラーハウス1を利用する利用者が違和感を抱くことがなくなり、快適に過ごすことができる。
【0053】
また、トレーラーハウス本体部200の内部に柱や仕切り壁などの造作物が立設されている場合には、これら造作物も前面230及び後面240と同様に、トレーラーハウス1が水平面Hに対して所定の傾斜角度θを有して設置されたときにおいては、水平面H(路面10)に対して垂直となるように(垂線Vに沿うように)立設されていることが好ましい。
【0054】
また、トレーラーハウス本体部200における左右の側面250の一部はガラス張り部252が設けられている。このガラス張り部252は、
図1においては、左右の側面250における前面230の側に設けられている場合が示されているが、ガラス張り部252を設ける位置は限定されるものではなく、例えば、左右の側面250の前後方向のほぼ中央部に設けるようにしてもよい。また、トレーラーハウス本体部200には当然のことながら屋根260が設けられているが、この屋根260については後述する。
【0055】
図2は、実施形態1に係るトレーラーハウス1の外観を説明するために示す図である。
図2(a)はトレーラーハウス1の前面230を示す図であり、
図2(b)はトレーラーハウス1の後面240を示す図であり、
図2(c)はトレーラーハウス1の斜視図である。なお、
図2(a)及び
図2(b)はトレーラーハウス1が水平の状態のときの前面230及び後面240を示している。一方、
図2(c)はトレーラーハウス1が水平面H(路面10)に対して傾斜角度θを有して設置されたときの斜視図を示している。また、
図2において、
図1に示す各構成要素と同一構成要素には同一符号が付されている。
【0056】
実施形態1に係るトレーラーハウス1は、前述したように、前面230には、トレーラーハウス本体部200の出入口としての扉231が設けられている(
図2(a)参照。)。このように、トレーラーハウス本体部200の出入口が前面230に設けられていることにより、出入りがしやすくなる。すなわち、トレーラーハウス1が
図1(c)に示すように、水平面Hに対して所定の傾斜角度θを有して設置されたときには、前面230は下降した状態となるため、出入口は路面10との段差を小さくすることができる。これにより、トレーラーハウス本体部200内に入ったり、トレーラーハウス本体部200から出たりすることが容易となる。
【0057】
また、前述したように、後面240には窓241が設けられている(
図2(b)参照。)。窓241は、後面240において大きな面積を占めるように設けられている。具体的には、窓241は、後面240全体の面積の2/3~3/4程度を占めている。このように、後面240において大きな面積を占める窓が設けられていることにより、視界が広がり、開放感を味わうことができる。
【0058】
すなわち、トレーラーハウス1が水平面Hに対して傾斜角度θを有して設置されたときには、後面240側は路面10から高い位置となる。このため、窓241はトレーラーハウス本体部200が水平に設置されているときに比べて路面10から高い位置に存在することとなる。従って、トレーラーハウス本体部200内にいる利用者が窓241を通して外を見たときには、より高い視点で外の景色を見ることとなり、視界が広がり、開放感や爽快感を味わうことができる。特に、実施形態1に係るトレーラーハウス1を森の中、高原、海辺などの自然環境の中に設置した場合には、より一層、開放感や爽快感を味わうことができる。
【0059】
ところで、水平に設置される従来のトレーラーハウスにおいて、視点を高い位置とするためには、水平に敷設されている床全体を嵩上げすることが考えられるが、車両としての高さ制限があるため、水平に敷設されている床全体を嵩上げすると、トレーラーハウス本体部の床と天井との間の高さが犠牲となり、居住性が損なわれることとなる。これに対して、実施形態1に係るトレーラーハウス1においては、トレーラーハウス1を水平面Hに対して傾斜角度θを有して設置することによって、窓241が存在している後面240が必然的に高くなる。このため、床部220全体を嵩上げするといったことをしなくても、利用者は窓241を通して、より高い視点で外の景色を見ることができる。
【0060】
このように、実施形態1に係るトレーラーハウス1においては、床部220全体を嵩上げすることなく、視点を高い位置とすることができるため、床220と天井(図示せず。)との間の本来の高さをほぼ維持できる。特に、
図1に示すように、床部220の後面240側は、当該後面240の下端部(台車部100側の端部)とほぼ同じ位置であるため、床部220の後面240側においては、床部220と天井との間の高さは本来の高さが維持されたものとなる。
【0061】
次に、実施形態1に係るトレーラーハウス1の外観などについて説明する。前面230及び後面240は、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、前面230と後面240とでは、左右の側面250の高さ、及び屋根260の勾配(以下、屋根勾配とする。)が異なる。
【0062】
前面230においては、側面250の高さがh1、前面230の高さ(側面250の下端辺から屋根260の頂部261までの高さ)がh2、前面230の幅(車軸121,122に沿った方向の長さ)がw1であるとする。また、前面230側の屋根勾配(a:b)は、ほぼ10:4であるとする。
【0063】
一方、後面240においては、側面250の高さがh3、後面240の高さ(側面250の下端辺から屋根260の頂部261までの高さ)がh4、後面240の幅(車軸121,122に沿った方向の長さ)がw2であるとする。また、屋根勾配(a:b)は、ほぼ10:9であるとする。
【0064】
ここで、前面230の高さh2と後面240の高さh4は同じ(h2=h4)であり、前面230の幅w1と後面240の幅w2も同じ(w1=w2)である。これに対して、
前面230における側面250の高さh1と、後面240における側面250の高さh3との関係はh1>h3であり、前面230の方が後面240よりも側面250が高くなっている。
【0065】
また、屋根勾配(a:b)は、前面230がほぼ10:4、後面240がほぼ10:9となっており、前面230の側の屋根勾配は小さく、後面240の側の屋根勾配は大きくなっている。なお、屋根勾配は、前面230の側から後面240の側に行くに従って徐々に大きくなっている。また、屋根260の前面230側の縁部の長さL1と後面240側の縁部の長さL2は、L1<L2である。
【0066】
このため、屋根260の頂部261から左右の側面250側に下り傾斜となっている左右それぞれの屋根面262の形状は、
図1及び
図2では表現されていないが、緩やかな「ねじれ」を有した曲面(トレーラーハウス本体部200の内側に緩やかに反った曲面)となっている。この緩やかな「ねじれ」を有した曲面は、哺乳類や魚類などの動物の胴体の一部にも似た優美でしなやかな曲面が表現されたものともいえる。トレーラーハウス本体部200の一部(この場合、屋根面262)が、緩やかな「ねじれ」を有した曲面となっているトレーラーハウス1は、直線で構成された箱型の一般的なトレーラーハウスと比べて、優美でしなやかな外観形状をなすトレーラーハウスとなる。
【0067】
また、後面240側における側面250の高さh3は、前面230側における側面250の高さh1よりも低くなっている(h3<h1)。このため、側面250の上辺251(側面250と屋根260との境界線251ともいう。)は、トレーラーハウス1が水平の状態では、前面230側から後面240側に向かうに従って下り傾斜となる(
図1(a)参照。)。
【0068】
なお、境界線251は水平面Hに対して傾斜角度θ(θ=5度)であるとする。これにより、トレーラーハウス1が、牽引車両から切り離されて、路面10上に設置された状態となったときには、側面250と屋根260との境界線251が水平となる(
図1(b)参照。)。このように、トレーラーハウス1が路面10上に設置された状態となったときには、側面250と屋根260との境界線251が水平となるため、見栄えが良くなるとともに安定感がある。
【0069】
また、屋根260は、左右両側の側面250から外方への出っ張りは有しないが、前面230及び後面240の側においては、多少の出っ張りを有していてもよい。特に、前面230側においては、多少の出っ張りがあると、ひさしの役目をなすため、雨の日などにおいては、出入口からの出入りを行う際に、傘を折り畳んだり、傘を開いたりするときに雨に濡れにくくすることができる。
【0070】
続いて、ジャッキ20の荷重受けヘッド21を当接させる荷重受けヘッド当接部150について説明する。
【0071】
図3は、ジャッキ20の荷重受けヘッド21を当接させるための荷重受けヘッド当接部150を説明するために示す図である。なお、
図3(a)は、
図1(b)における破線枠Aで囲った範囲を拡大して示す図であり、荷重受けヘッド21を荷重受けヘッド当接部150に当接させた状態を示している。また、
図3(b)は荷重受けヘッド21を荷重受けヘッド当接部150から離脱させた状態を示している。
【0072】
荷重受けヘッド当接部150は、荷重受けヘッド21を面接触によって当接させる荷重受けヘッド当接面151を有している。当該荷重受けヘッド当接面151は、荷重受けヘッド21を水平の状態で当接可能とするように、傾斜角度θ(θ=5度)を有してフレーム140に設けられている。この荷重受けヘッド当接部150は、水平面Hに対して傾斜角度θを有するくさび状部材でなり、フレーム140に溶接などによって一体的に設けられている。
【0073】
このような荷重受けヘッド当接部150は、第1タイヤ131及び第2タイヤ132の前後の所定位置に設けられている。実施形態1に係るトレーラーハウス1においては、荷重受けヘッド当接部150は、
図1に示すように、第1タイヤ131よりも前面側端部211側の所定箇所に左右それぞれに1箇所ずつと、第2タイヤ132よりも後面側端部212側の所定箇所に左右それぞれに1箇所ずつの合計4箇所に設けられている。
【0074】
そして、牽引車両から切り離したトレーラーハウス1を路面10上に設置する際には、前述したように、まずは、トレーラーハウス1の前面側端部211の側に設けられている左右それぞれ1個のトレーラーAフレームジャッキ30によってトレーラーハウス1の前面側端部211を支持する。そして、トレーラーAフレームジャッキ30の高さを調節して、トレーラーハウス1が傾斜角度θ(θ=5度)の傾斜角度となるようにする。
【0075】
その後、複数(ここでは4個)のジャッキ20をそれぞれ荷重受けヘッド当接部150に対応して設置する。このとき、4個の各ジャッキ20の荷重受けヘッド21がフレーム140に設けられている荷重受けヘッド当接部150に対向するように各ジャッキ20を設置する。そして、荷重受けヘッド21を上昇させて、
図3(a)に示すように荷重受けヘッド21を荷重受けヘッド当接部の荷重受けヘッド当接面151に当接させる。
【0076】
なお、ジャッキ20の荷重受けヘッド21が上昇する際は、当該荷重受けヘッド21は水平を保持して上昇し、水平を保持した状態で荷重受けヘッド当接部150の荷重受けヘッド当接面151に当接する。一方、荷重受けヘッド当接部150は、台車部100及びトレーラーハウス本体部200が傾斜角度θ(θ=5度)で設置された状態においては、当該荷重受けヘッド当接部150のヘッド当接面151は水平となる。
【0077】
このため、ジャッキ20の荷重受けヘッド21と荷重受けヘッド当接面151とは、互いに水平の状態で面接触することとなる。これにより、ジャッキ20の荷重受けヘッド21と荷重受けヘッド当接面151とがずれたりすることなく、トレーラーハウス1の傾斜姿勢(傾斜角度θを有した傾斜姿勢)を長期間、安定して保持することができる。
【0078】
なお、トレーラーハウス1は、精度よく傾斜角度θ(θ=5度)を有して路面10上に設置されることが望ましいが、トレーラーハウス1内にいる利用者が不快感を抱かない程度であれば多少の誤差は許容される。
【0079】
以上説明したように、実施形態1に係るトレーラーハウス1は、トレーラーハウス1が水平面Hに対して傾斜角度θ(実施形態1においてはθ=5度)を有して設置されることにより、トレーラーハウス1が水平に設置されているときに比べて、後面側端部212が高い位置となる。このため、トレーラーハウス本体部200内にいる利用者が後面側端部212側の面(後面240)に設けられている窓241を通して外を見たときには、より高い視点で外の景色を見ることとなり、視界が広がり、開放感や爽快感を味わうことができる。
【0080】
また、トレーラーハウス本体部200の下降する前面側端部211側の面(前面230)には、出入口となる扉231が設けられているため、出入口は路面10との段差を小さくすることができる。これにより、トレーラーハウス本体部200内に入ったり、トレーラーハウス本体部200から出たりすることが容易となる。
【0081】
また、トレーラーハウス本体部200の内部には、トレーラーハウス1が水平面Hに対して傾斜角度θを有して設置されるときの傾斜方向とは逆方向に傾斜角度θを有して傾斜した床部220が設けられている。このため、トレーラーハウス1が牽引車両から切り離されて水平面Hに対して傾斜角度θを有して設置されたときには、床220は水平となる。
【0082】
これにより、実施形態1に係るトレーラーハウス1によれば、トレーラーハウス1を水平面に対して傾斜角度θ(ここではθ=5度)を有するように設置したときに、居住性が損なわれることがなく快適な居住空間を形成することができる。
【0083】
また、トレーラーハウス1が水平面に対して傾斜角度θを有して設置されたときには、ジャッキ20の荷重受けヘッド21と荷重受けヘッド当接部150の荷重受け当接面151とが、互いに水平の状態で接触するように荷重受けヘッド当接部150がフレーム140に設けられている。これにより、ジャッキ20は、トレーラーハウス1が傾斜角度θを有して設置された状態を長期間、安定して保持することができる。
【0084】
このように、実施形態1に係るトレーラーハウス1は、従来にない新たな付加価値を有し、利用者が非日常的な新鮮さを味わうことができるものとなる。特に、トレーラーハウス1を、リゾート地において貸別荘的な用途として提供する場合、あるいは、トレーラーハウス1の所有者が、牽引車両に牽引引させて自分の好みの場所に移動させて別荘感覚で使用する場合などにおいては、利用者は非日常的な新鮮さを味わうことができるものとなる。また、実施形態1に係るトレーラーハウス1は、水平面Hに対して傾斜角度θを有するように設置したときにも、高い安定性を有するとともに居住性や使い勝手にも優れたトレーラーハウスとなる。
【0085】
[実施形態2]
図4は、実施形態2に係るトレーラーハウス2を説明するために示す図である。なお、
図4は牽引車両(図示せず。)から切り離されて、路面10上に設置されたときのトレーラーハウス2を示す側面図であり、
図1(b)に対応する図である。なお、実施形態2に係るトレーラーハウス2は、第1車軸121及び第2車軸122のうちの少なくとも一方の車軸を昇降させる車軸昇降機構60が設けられている点が実施形態1に係るトレーラーハウス1と異なる。その他の構成要素は、前述した実施形態1に係るトレーラーハウス1と同様であるため、同一構成要素には同一符号が付されている。
【0086】
実施形態2に係るトレーラーハウス2は、実施形態1に係るトレーラーハウス1と同様に、牽引車両から切り離されたときには、トレーラーハウス1における前面側端部211が下降し、後面側端部212が上昇する。この場合、車軸昇降機構60は、第2車軸122の側に設けられている。第2車軸の側に車軸昇降機構60を設けることにより、トレーラーハウス2を牽引車両から切り離して路面10上に所定の傾斜角度(傾斜角度θ)を有して設置したときには、第2車軸122を下降させて当該第2車軸122に取り付けられている第2タイヤ132を路面10に接地させることができる。なお、車軸昇降機構60は公知のものを使用できるため、ここでは説明は省略する。
【0087】
図4に示すように、トレーラーハウス2を牽引車両から切り離して路面10上に傾斜角度θを有して設置したときに、車軸昇降機構60により第2タイヤ132を下降させて、第2タイヤ132が路面10に接地した状態となると、第1タイヤ131及び第2タイヤ132の両方が接地する。これにより、第1タイヤ131のみが接地している場合に比べて、第1タイヤ131に加わる負荷を軽減できるとともにトレーラーハウス2の設置状態がより安定したものとなる。このように、実施形態2に係るトレーラーハウス2は、実施形態1に係るトレーラーハウス1において得られる効果に加えて、第1タイヤ131に加わる負荷を軽減できるとともにトレーラーハウス2の設置状態がより安定したものとなるといった効果が得られる。
【0088】
[実施形態3]
図5は、実施形態3に係るトレーラーハウス3を説明するために示す図である。
図5(a)は牽引車両(図示せず。)に牽引される際のトレーラーハウス3を示す側面図であり、
図5(b)は牽引車両(図示せず。)から切り離されて、路面上に設置されたときのトレーラーハウス3を示す側面図である。
【0089】
実施形態3に係るトレーラーハウス3は、
図5に示すように、牽引車両(図示せず。)に連結するための連結部310を有するとともに車軸320を有する台車部300と、当該台車部300に一体化されているトレーラーハウス本体部400と、を有している。なお、
図3はトレーラーハウス本体部400の内部が目視できるように側面470の大部分が切り欠かれて示されている。
【0090】
実施形態3に係るトレーラーハウス3は、ここでは、サウナハウスとしての機能を有するものであるとする。また、実施形態3に係るトレーラーハウス3は、車軸は1つの車軸320からなり、当該車軸320には車輪としての1対のタイヤ330が車軸320の左右両端に取り付けられている。なお、実施形態3に係るトレーラーハウス3においては、車軸は1軸とした場合で説明するが、実施形態1に係るトレーラーハウス1と同様に、車軸は2軸であってもよい。
【0091】
実施形態3に係るトレーラーハウス3は、サウナハウスとしての機能を有するものであるため、トレーラーハウス本体部400の内部には、床部420の他に、利用者が座るベンチ430、トレーラーハウス本体部400の内部を温めるための熱源としてのストーブ440、ストーブ440内で薪などが燃焼することによって発生する煙を外部に排出する煙突441、ストーブ440を設置するためのストーブ設置台442などが設けられている。
【0092】
また、実施形態3に係るトレーラーハウス3は、牽引車両から切り離されて、路面10上に設置された状態となったときには、台車部300及びトレーラーハウス本体部400における連結部310側の端部(前面側端部411という。)、及び連結部310側とは反対側の端部(後面側端部412という。)のうちの一方の端部が下降し、他方の端部(後面側端部412とする。)が上昇する。実施形態3に係るトレーラーハウス3においても、前面側端部411が下降し、後面側端部412が上昇するものとする。
【0093】
実施形態3に係るトレーラーハウス3においては、タイヤ330は、トレーラーハウス本体部400の前後方向の中心に対してやや後面側に位置している。このため、トレーラーハウス3は、牽引車両から切り離されて、路面10上に設置された状態となったときには、
図5(b)に示すように、トレーラーハウス3の前面側端部411が下降し、後面側端部412が上昇した状態で路面10上に設置される。
【0094】
実施形態3に係るトレーラーハウス3においても、トレーラーハウス3は、水平面Hに対して傾斜角度θ(θ=5度)を有して設置されるものとする。この場合も、実施形態3に係るトレーラーハウス3は、実施形態1に係るトレーラーハウス1と同様に、トレーラーハウス3の前面側端部411を支持するトレーラーAフレームジャッキ30と、トレーラーハウス3が傾斜角度θを有して設置された状態を保持するジャッキ20とによってトレーラーハウス3が支持される。
【0095】
また、実施形態3に係るトレーラーハウス3においても、フレーム340には、実施形態1に係るトレーラーハウス1において説明した荷重受けヘッド当接部150が設けられている。これにより、
図3において説明したように、ジャッキ20の荷重受けヘッド21と荷重受けヘッド当接部150の荷重受けヘッド当接面151とは、互いに水平の状態で接触することとなり、ジャッキ20は台車部300を安定した状態で支持できる。
【0096】
実施形態3に係るトレーラーハウス3も、路面10上に設置された状態のときには、トレーラーハウス3が水平面Hに対して傾斜角度θ(θ=5度)を有する。このため、トレーラーハウス本体部400の内部に設けられているベンチ430は、トレーラーハウス3が水平面Hに対して傾斜角度θを有して設置されるときの傾斜方向とは逆方向に傾斜角度θを有して傾斜して設けられている。換言すれば、トレーラーハウス本体部400の内部に存在するベンチ430(ベンチ430の座面4301)は、トレーラーハウス3が水平面Hに対して傾斜角度θを有して設置されたときに水平となるようにトレーラーハウス本体部400の内部に設けられている。
【0097】
なお、実施形態3に係るトレーラーハウス3においては、トレーラーハウス本体部400内に敷設されている床部420は、
図5(a)では、水平面Hに対して所定の傾斜角度を有して描かれていないが、当該床部420も実施形態1に係るトレーラーハウス1における床部220と同様に、所定の傾斜角度(傾斜角度θ)を有して設けるようにしてもよい。
【0098】
また、トレーラーハウス本体部400の一方の端部(前面側端部411)に立設しているトレーラーハウス本体部400の前面450及びトレーラーハウス本体部400の他方の端部(後面側端部412)に立設しているトレーラーハウス本体部の後面460は、トレーラーハウス3が水平面Hに対して傾斜角度θを有して設置されたときに、水平面Hに対して垂直となるように(垂線Vに沿うように)立設されていることが好ましい。換言すれば、トレーラーハウス本体部400の前面450はトレーラーハウス3が水平な状態のときにおいて、垂線Vに対して後面460側に傾斜角度θ(θ=5度)を有して立設しており、後面460はトレーラーハウス3が水平な状態のときにおいて、当該後面460よりも後方側に垂線Vに対して傾斜角度θ(θ=5度)を有して立設している。
【0099】
トレーラーハウス本体部400の前面450及び後面460がこのように立設されていることによって、トレーラーハウス1が水平面Hに対して傾斜角度θを有して設置されたときにおいては、前面450及び後面460は水平面Hに対してそれぞれ垂直となる。これにより、トレーラーハウス3を利用する利用者が違和感を抱くことがなくなり、快適に過ごすことができる。
【0100】
また、トレーラーハウス本体部400の内部に上下方向(縦方向)に立設されている柱や仕切り壁などの造作物が存在する場合には、これら造作物も前面450及び後面460と同様に、トレーラーハウス3が水平面に対して所定の傾斜角度を有して設置されたときにおいては、水平面Hに対して垂直となるように(垂線Vに沿うように)立設していることが好ましい。
【0101】
ところで、トレーラーハウス本体部400の内部に設置されているストーブ440は、トレーラーハウス本体部400の前面450側(トレーラーハウス3を路面10上に設置したときに下降する側)に設置されていることが好ましい。このように、ストーブ440を前面450側(トレーラーハウス3を路面10上に接地したときに下降する側)に設置することが好ましい理由としては、ストーブ440が発生する熱を効率よくトレーラーハウス本体部400内の全体に行き渡らせる効果を高めるためである。すなわち、ストーブ440がベンチ430の位置よりも下側に位置することにより、ストーブ440が発生する熱をストーブ440よりも高い位置に存在するベン430チ側に効率よく行き渡らせることができる。なお、ストーブ440がベンチ430の位置よりも下側に位置させることができるのは、トレーラーハウス3が水平面Hに対して傾斜角度θを有して設置されるからである。このように、ストーブ440を下降する側に設置することこれにより、ストーブ440の熱をベンチ430に座っている利用者の足元などにも効率よく伝えることができる。
【0102】
また、ストーブ440を設置するための設置台442は、ベンチ430と同様に傾斜角度θを有して床部420に取り付けられている。これにより、ストーブ440は、トレーラーハウス3が水平面Hに対して傾斜角度θを有して設置されたときにおいては、水平に設置されることとなる。
【0103】
図6は、実施形態3に係るトレーラーハウス3の外観を説明するために示す図である。
図6(a)は前面450を示す図であり、
図6(c)は後面460を示す図であり、
図6(c)は斜視図である。なお、
図6(a)及び
図6(b)はトレーラーハウス3が水平の状態のときの前面450及び後面460を示している。一方、
図6(c)はトレーラーハウス3が水平面H(路面10)に対して傾斜角度θを有して設置されたときの斜視図を示している。
【0104】
トレーラーハウス本体部400の前面450は、
図6(a)に示すように、縦長の三角形状をなしている。また、トレーラーハウス本体部400の後面460は、
図6(b)に示すように、四角形状(矩形状)をなしている。そして、トレーラーハウス本体部400の前面450の幅(三角形の底辺の幅)w11及び後面460の幅(四角形の下辺のの幅)w12は同じである。また、屋根480は、
図6(c)に示すように、平面視形状が三角形をなす平坦面となっている。
【0105】
また、トレーラーハウス本体部400の高さ(三角形をなす前面450の底辺から頂点までの高さ)h11は、後面460の高さ(四角形をなす後面460の下辺から上辺までの高さ)h12よりも高いものとなっている。このため、トレーラーハウス3が水平となっているときにおいては、トレーラーハウス本体部400の側面470の上辺471(屋根480と側面470との境界線471ともいう。)は、前面450から後面460に行くに従って低くなっている(
図5(a)参照。)。
【0106】
従って、屋根480は、トレーラーハウス3が水平となっているときにおいては、前面450の側から後面460の側に向かう下り傾斜となっている。なお、屋根480と側面470との境界線471は、水平面Hに対して傾斜角度θ(θ=5度)を有している。このため、トレーラーハウス3が水平面Hに対して傾斜角度θを有して設置されたときにおいては、当該境界線471は水平となる(
図5(b)参照。)。
【0107】
また、実施形態3に係るトレーラーハウス3においては、トレーラーハウス本体部400内の出入口(扉461)は、後面460に設けられている。また、前面450には三角形の窓451が設けられている。このように、実施形態3に係るトレーラーハウス3においては、トレーラーハウス本体部400の出入口(扉461)は、トレーラーハウス3を路面10に設置したときに高い位置となる後面460に設けられているが、踏み台などを設置することによって出入りには支障が生じることはない。
【0108】
なお、出入口となる後面460側の扉461には、ガラス張り部を設けて、窓としての役目を持たせるようにしてもよい。これにより、実施形態1に係るトレーラーハウス1と同様に、トレーラーハウス3を路面10に傾斜角度θを有して設置したときに、後面460の扉461に設けられているガラス張り部(窓)は、トレーラーハウス1が水平に設置されているときに比べて高い位置となる。このため、トレーラーハウス本体部200内でサウナの利用者がガラス張り部を通して外を見たときには、より高い視点で外の景色を見ることとなり、視界が広がり、開放感や爽快感を味わうことができる。
【0109】
また、実施形態3に係るトレーラーハウス3は、前面450が三角形であり、後面460が四角形であるため、
図5及び
図6では表現されていないが、左右のそれぞれの側面470は、緩やかな「ねじれ」を有した曲面(トレーラーハウス本体部400の内側に緩やかに反った曲面)となっている。この緩やかな「ねじれ」を有した曲面は、前述したように、哺乳類や魚類などの動物の胴体の一部にも似た優美でしなやかな曲面が表現されたものともいえる。トレーラーハウス本体部400の一部(この場合は側面470)が、緩やかな「ねじれ」を有した曲面となっているトレーラーハウス3は、全体的に直線で構成された箱型のトレーラーハウスと比べて、優美でしなやかな外観形状をなすトレーラーハウスとなる。
【0110】
以上説明したように、実施形態3に係るトレーラーハウス3は、トレーラーハウス本体部400内にサウナ設備が設けられており、トレーラーハウス3をサウナハウスとして利用できる。また、トレーラーハウス3が水平面Hに対して傾斜角度θを有して設置されときに、トレーラーハウス本体部400の内部に存在するベンチ430は水平となるため、居住性が損なわれることがなく、快適な居住区間を形成できる。また、実施形態3に係るトレーラーハウス3においても、実施形態1に係るトレーラーハウス1と同様の効果が得られる。
【0111】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能となるものである。たとえば、下記に示すような変形実施も可能である。
【0112】
(1)前述の各実施形態に係るトレーラーハウス1~3は、トレーラーハウス本体部200,400が台車部100,300に一体化されているトレーラーハウスについて説明したが、台車部100,300に対してトレーラーハウス本体部200,400が分離可能となっているトレーラーハウス(分離可能型のトレーラーハウス)であってもよい。
【0113】
すなわち、牽引車両に連結するための連結部を有するとともに車軸を有する台車部と、当該台車部に対して分離可能に載置されているトレーラーハウス本体部と、を有し、牽引車両から切り離されたときには、台車部及びトレーラーハウス本体部における連結部側の端部及び当該連結部側の端部と反対側の端部のうちの一方の端部が下降し、他方の端部が上昇することによって台車部及びトレーラーハウス本体部が水平面に対して所定の傾斜角度を有して設置されるトレーラーハウスであって、トレーラーハウス本体部の内部には、台車部及びトレーラーハウス本体部が水平面に対して所定の傾斜角度を有して設置されるときの傾斜方向とは逆方向に所定の傾斜角度を有して傾斜した床部、ベンチ及びテーブルの少なくとも1つが設けられている。
【0114】
このような分離可能型のトレーラーハウスにおいては、トレーラーハウス本体部が台車部に対して分離可能に載置されている点が上述の各実施形態と異なり、その他の構成は上述の各実施形態と同様の構成とすることができる。このため、上述の各実施形態において得られる効果と同様の効果を有するものとなる。
【0115】
(2)上述の実施形態1に係るトレーラーハウス1及び実施形態2に係るトレーラーハウス2においては、車軸は2軸とした場合を例示したが、トレーラーハウス本体部のサイズなどによって、1軸であってもよく、また、3軸以上であってもよい。
【0116】
なお、車軸が3つ以上である場合、3つの車軸のうちの少なくとも1つの車軸を昇降させる車軸昇降機構を設け、トレーラーハウスが所定の傾斜角度を有して設置されたときには、少なくとも1つの車軸を下降させることによって、少なくとも2つの車軸に取り付けられているそれぞれの車輪(タイヤ)を路面に接地させるようにすることが好ましい。
【0117】
(3)上述の各実施形態においては、ジャッキ20の荷重受けヘッド21を当接させるための荷重受けヘッド当接部150は、フレーム140に溶接などにより取り付ける場合を例示したが、これに限られるものではない。例えば、フレームの所定位置に、荷重受けヘッド21を当接させるための荷重受けヘッド当接部を凹部として設けるようにしてもよい。この場合、凹部として設けられた荷重受けヘッド当接部の荷重受けヘッド当接面は、ジャッキ20の荷重受けヘッド21が水平の状態で面接触するように、傾斜角度θを有して設けるようにする。
【0118】
(4)上述の実施形態1に係るトレーラーハウス1及び実施形態2に係るトレーラーハウス2においては、トレーラーハウス本体部200の内部に存在する床部220が、トレーラーハウス1,2の傾斜方向とは逆方向に所定の傾斜角度を有して敷設された場合を例示したが、トレーラーハウス本体部200内にベンチが存在する場合には、ベンチをトレーラーハウス1,2の傾斜方向とは逆方向に傾斜角度θを有して設けるようにしてもよい。また、トレーラーハウス本体部200内に、テーブルが存在する場合には、テーブルもトレーラーハウス1,2の傾斜方向とは逆方向に傾斜角度θを有して設けるようにしてもよい。
【0119】
図7は、トレーラーハウス本体部200内に、床部220に加えてベンチ280及びテーブル290が存在する場合を説明するために示す図である。なお、
図7は、実施形態1に係るトレーラーハウス1が例示されている。
図7に示すように、ベンチ280(ベンチ280の座面281)も床部220と同様に、傾斜角度θを有してトレーラーハウス本体部200の内部に設けられているともに、テーブル290(テーブル290の天板291)も床部220と同様に、傾斜角度θを有してトレーラーハウス本体部200の内部に設けられている。これにより、例えば、
図1(b)参照。)に示すように、トレーラーハウス1が路面10上に設置されたとき、すなわち、トレーラーハウス1が水平面Hに対して所定の傾斜角度θを有して設置されたときにおいては、図示は省略するが、ベンチ20(ベンチ280の座面281)及びテーブル290(テーブル290の天板291)は水平となる。
【0120】
なお、
図7においては、実施形態1に係るトレーラーハウス1について例示したが、実施形態2に係るトレーラーハウス2においてもテーブル及びベンチを設けるようにしてもよく、また、実施形態3に係るトレーラーハウス3においてもテーブルを設けるようにしてもよい。
【0121】
なお、実施形態1に係るトレーラーハウス1及び実施形態2に係るトレーラーハウス2においては、床部220が傾斜角度θを有して設けられている場合が示されているが、床部220が傾斜角度θを有して設けられていることは必須なものではない。すなわち、トレーラーハウス本体部200の内部には、トレーラーハウス1,2が水平面に対して所定の傾斜角度を有して設置されるときの傾斜方向とは逆方向に傾斜角度θを有して傾斜した床部、ベンチ及びテーブルの少なくとも1つが設けられているというものである。このことは、上記(1)において説明した分離可能型のトレーラーハウスにおいても同様である。
【0122】
(5)実施形態1に係るトレーラーハウス1及び実施形態2に係るトレーラーハウス2においては、サウナ設備については言及していないが、実施形態1に係るトレーラーハウス1及び実施形態2に係るトレーラーハウス2においても、実施形態3に係るトレーラーハウス3と同様のサウナ設備を設けるようにしてもよい。この場合、サウナ設備はトレーラーハウス本体部200内において下降する側に設けることが好ましい。なお、サウナ設備を設ける場合には、実施形態3に係るトレーラーハウス3と同様にベンチを設置することが好ましい。
【0123】
(6)上述の各実施形態に係るトレーラーハウス1~3においては、トレーラーハウス1~3が所定の傾斜角度を有して設置された状態を保持するためのジャッキは、左右それぞれ2箇所ずつの合計4箇所でトレーラーハウスを支持する場合を例示したが、トレーラーハウスのサイズが比較的小型である場合には、左右それぞれ1箇所の合計2箇所でトレーラーハウスを支持するようにしてもよく、また、トレーラーハウスのサイズが大型である場合には、左右それぞれ3箇所以上で支持するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0124】
1、2,3・・・トレーラーハウス、10・・・路面、20・・・ジャッキ(所定の傾斜角度を有して設置された状態を保持するように台車部を支持するジャッキ)、21・・・荷重受けヘッド、30・・・トレーラーAフレームジャッキ、40・・・空気調和装置の室外機、60・・・車軸昇降機構、100,300・・・台車部、200,400・・・トレーラーハウス本体部、110、310・・・連結部、120、320・・・車軸、121・・・第1車軸、122・・第2車軸、130・・・ガラス張り部、131・・・第1タイヤ、132・・・第2タイヤ、140,340・・・フレーム、150・・・荷重受けヘッド当接部、151・・・荷重受けヘッド当接面、211,411・・・前面側端部、212,412・・・後面側端部、220,420・・・床部、225・・・土間部、221・・・床部の表面、222・・・床部の裏面、230,450・・・前面、231,461・・・扉、240,460・・・後面、241・・・窓、250,470・・・側面、251,471・・・側面と屋根との境界線、260,480・・・屋根、261・・・屋根の頂部、262・・・屋根面、280,430・・・ベンチ、281、431・・・ベンチの座面、290・・・テーブル、291・・・テーブルの天板、440・・・ストーブ、H・・・水平面、θ・・・傾斜角度(所定の傾斜角度)