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  • 特開-包装装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141610
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】包装装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 61/02 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B65B61/02
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053352
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】593129342
【氏名又は名称】株式会社タカゾノ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 浩史
【テーマコード(参考)】
3E056
【Fターム(参考)】
3E056AA02
3E056BA11
3E056CA02
3E056DA01
3E056EA01
3E056FA01
3E056GA05
(57)【要約】
【課題】感熱発熱層を有する包材をヒートシールする際に包材が発色することを抑制する。
【解決手段】包材31は、基材32と、基材32上に積層される感熱発色層34とを有している。収容部形成部7は、加熱部材71と、加熱部材71と対向して配置される受け部材72とを有している。収容部形成部7を搬送される包材31において、感熱発色層34は、基材32よりも加熱部材71から離れて配置されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺シート状の包材を用いて包装対象物を収容する収容部を形成する、収容部形成部と、
前記包装対象物に関連する情報を前記包材に印刷する印刷部とを備え、
前記包材は、基材と、前記基材上に積層される感熱発色層とを有し、
前記収容部形成部は、加熱部材と、前記加熱部材と対向して配置される受け部材とを有し、前記加熱部材と前記受け部材とが前記包材を両側から加圧することにより前記収容部を形成し、
前記収容部形成部を搬送される前記包材において、前記感熱発色層は、前記基材よりも前記加熱部材から離れて配置されている、包装装置。
【請求項2】
前記基材は、前記感熱発色層が積層される第一面と、前記第一面と反対側の第二面とを有し、
前記包材は、前記第二面に積層され、前記加熱部材によって加熱されて溶融するシール層を有し、
前記シール層が溶融する温度は、前記感熱発色層が発色する温度以上である、請求項1に記載の包装装置。
【請求項3】
前記印刷部は、サーマルヘッドを有し、
前記印刷部を搬送される前記包材において、前記感熱発色層は、前記基材よりも前記サーマルヘッドに近く配置されている、請求項1または請求項2に記載の包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平9-188314号公報(特許文献1)には、片面に発色材料が塗布されている第1層と第2層とで形成される包装紙を使用して、サーマルプリントヘッドで発色材料を発色させて包装紙の片面に印字し、ついでシールヒーターで包装紙の第2層を溶融してシールして一包ずつの包装袋に区画する、ダイレクトサーマル式印字包装機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-188314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献には、包装紙を熱溶着するときは、包装紙が熱により発色しないサーマルプリントヘッドの温度よりも低い温度で熱溶着すると記載されている。発色材料よりも低い温度で溶融する第2層を選定することが求められるので、材料の選定の自由度が低い。
【0005】
本開示では、感熱発色層を有する包材をヒートシールする際に包材が発色することを抑制できる技術が提案される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る包装装置は、長尺シート状の包材を用いて包装対象物を収容する収容部を形成する、収容部形成部と、包装対象物に関連する情報を包材に印刷する印刷部とを備えている。包材は、基材と、基材上に積層される感熱発色層とを有している。収容部形成部は、加熱部材と、加熱部材と対向して配置される受け部材とを有しており、加熱部材と受け部材とが包材を両側から加圧することにより収容部を形成する。収容部形成部を搬送される包材において、感熱発色層は、基材よりも加熱部材から離れて配置されている。
【0007】
上記の包装装置において、基材は、感熱発色層が積層される第一面と、第一面と反対側の第二面とを有し、包材は、第二面に積層され、加熱部材によって加熱されて溶融するシール層を有し、シール層が溶融する温度は、感熱発色層が発色する温度以上であってもよい。
【0008】
上記の包装装置において、印刷部は、サーマルヘッドを有し、印刷部を搬送される包材において、感熱発色層は、基材よりもサーマルヘッドに近く配置されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示の包装装置によると、包材をヒートシールする際の発色を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る包装装置の概略構成図である。
図2】印刷部の概略構成図である。
図3】収容部形成部の概略構成図である。
図4】比較例の収容部形成部の概略構成図である。
図5】包材に負荷される温度と感熱発色層の発色との関係を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について図に基づいて説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。実施形態から任意の構成が抽出され、それらが任意に組み合わされることも、当初から予定されている。
【0012】
図1は実施形態に係る包装装置1の概略構成図である。
包装装置1は、包装対象物を包装するために用いられる。包装対象物は、薬剤であり、具体的には固形の薬剤である。固形の薬剤としては、散剤、顆粒剤、錠剤、丸剤およびカプセル剤などが挙げられる。包装対象物は、固形の薬剤に限られない。包装対象物は、半固形の薬剤であってもよく、または、液状の薬剤であってもよい。
【0013】
包装装置1は、処方箋に基づいて薬剤を包装するための薬剤包装装置である。処方箋は、医師が患者に交付するものである。処方箋には、患者情報および薬剤情報が記載されている。患者情報は、患者の氏名および年齢を含む。薬剤情報は、薬名、分量、用法および用量を含む。このような処方箋に基づいて薬剤を1回の服用分ずつ包装するために、包装装置1が用いられる。
【0014】
包装装置1に、包材ロール2,3が取り付けられる。包材ロール2は、包材21がロール状に巻回されたものである。包材21は、包材ロール2から送り出される。包材ロール3は、包材31がロール状に巻回されたものである。包材31は、包材ロール3から送り出される。
【0015】
包装装置1は、包材ロール2から巻き出される包材21と、包材ロール3から巻き出される包材31とをヒートシールすることにより合体させて、薬剤が収容された分包袋19を形成する。包材21,31は、長尺シート状である。包装装置1は、包材搬送部9を備えている。包材搬送部9は、包材21,31に駆動力を作用し、包材21,31を搬送する。包材21,31は、その長手方向に搬送される。図1中の矢印は、包材21,31の搬送方向DRを示す。
【0016】
包材21の搬送方向DRの上流(包材ロール2に近い側)から下流(包材ロール2から離れる側)に向けて順に、ガイドローラ11A,12A,13Aが設けられている。ガイドローラ11A,12A,13Aは、搬送される包材21を案内するとともに、包材21に一定の張力を作用する機能を有している。包材31の搬送方向DRの上流(包材ロール3に近い側)から下流(包材ロール3から離れる側)に向けて順に、ガイドローラ11B,12B,13Bが設けられている。ガイドローラ11B,12B,13Bは、搬送される包材31を案内するとともに、包材31に一定の張力を作用する機能を有している。
【0017】
包装装置1は、包装部5を備えている。包装部5は、薬剤供給部6と、収容部形成部7と、ミシン目形成部8とを備えている。
【0018】
薬剤供給部6は、包材搬送部9によって搬送される包材21,31の間に、薬剤を供給する。図示しないホッパの先端が包材21と包材31との間に配置され、ホッパの先端から薬剤が包材21と包材31との間に投入される。薬剤は、処方箋に基づいて1回の服用分ずつ供給される。
【0019】
収容部形成部7は、包材搬送部9によって搬送される包材21,31を用いて、収容部を形成する。収容部には、薬剤が収容される。収容部形成部7は、薬剤供給部6から薬剤が供給された後に、包材21と包材31とを熱融着して個包装化し、薬剤が内部に収容された包装物である分包袋19を形成する。
【0020】
ミシン目形成部8は、収容部形成部7に設けられている。ミシン目形成部8は、包材搬送部9によって搬送される包材21,31に、搬送方向DRに直交する方向に延びるミシン目を形成する。ミシン目は、複数の細孔が包材21,31の短手方向に連続して並んだものである。包材21,31が熱融着したシール部分に、ミシン目が形成される。ミシン目は、包材21,31の長手方向において隣り合う分包袋19を仕切る位置に形成される。ミシン目に沿って包材21,31を切り裂くことで、隣り合う分包袋19が容易に分離される。
【0021】
包装装置1は、印刷部4をさらに備えている。印刷部4は、包材ロール3から巻き出され包材搬送部9によって搬送される包材31に、所定の情報を印刷する。所定の情報は、薬剤に関連する情報である。印刷部4は、包材31の搬送方向において、包装部5の上流に配置されている。印刷部4は、収容部形成部7による包材21,31の熱融着に先駆けて、薬剤に関連する情報を包材31に印刷する。薬剤に関する情報としては、患者名、服用時期、薬剤名および数量などが挙げられる。
【0022】
図2は、印刷部4の概略構成図である。図2に示されるように、包材31は、基材32と、シール層33と、感熱発色層34とを有している。基材32は、第一面と、第一面と反対側の第二面とを有している。感熱発色層34は、基材32の第一面に積層されている。シール層33は、基材32の第二面に積層されている。包材31は、シール層33、基材32、および感熱発色層34が、この順に積層された、積層構造を有している。
【0023】
基材32は、たとえば紙製である。基材32はグラシン紙製であってもよい。グラシン紙の厚みは30g/mであってもよい。基材32は、フィルム製であってもよい。基材32はPET(polyethylene terephthalate)製であってもよい。フィルムの厚みは25μmであってもよい。シール層33は、ポリエチレンなどの低融点材料製である。シール層33の厚みは15μmであってもよい。シール層33の厚みは、基材32の厚みより小さくても大きくてもよい。感熱発色層34は、シール層33が溶融する温度よりも高い温度で発色する材料製であってもよい。感熱発色層34は、感熱材料が基材32の第一面に塗布されることにより、形成されてもよい。
【0024】
上述した例に限られず、包材31は、感熱紙であってもよい。感熱紙は、約80~90℃に加熱されることで発色する。したがって感熱紙の場合、シール層33が溶融する温度は、感熱発色層34が発色する温度以上となる。
【0025】
印刷部4は、サーマルヘッド41と、プラテンローラ42とを有している。サーマルヘッド41は、発熱素子を有している。プラテンローラ42は、包材31を支える。サーマルヘッド41とプラテンローラ42とは、包材31を間に挟んで、対向して配置されている。
【0026】
印刷部4は、印刷ヘッドであるサーマルヘッド41を用いて、包材31のうちの感熱発色層34を加熱することにより、感熱発色層34を発色させる。サーマルヘッド41は包材31を介してプラテンローラ42に圧接させ、この状態でサーマルヘッド41の発熱素子を発熱させることにより、包装対象物である薬剤に関連する所定の情報が、包材31に一包装分ずつ印刷される。
【0027】
印刷部4を搬送される包材31において、感熱発色層34は、基材32よりもサーマルヘッド41に近く配置されている。
【0028】
図3は、収容部形成部7の概略構成図である。なお図3では、ミシン目形成部8は図示を省略されている。図3に示されるように、包材21は、基材22と、シール層23とを有している。包材21は、基材22とシール層23とが積層された積層構造を有している。包材21は、感熱発色層を有しない。包材21は、加熱されても発色しない。
【0029】
基材22は、たとえばOPP(二軸延伸ポリプロピレン)製であってもよい。基材22の厚みは25μmであってもよい。シール層23は、たとえばポリエチレン製であってもよい。シール層23の厚みは15μmであってもよい。
【0030】
収容部形成部7は、加熱部材71と、受け部材72とを有している。加熱部材71には、ヒータが内蔵されており、ヒータによって加熱される。受け部材72は、加熱部材71を受ける部材である。受け部材72は、発熱する構成を有さず、基本的に常温とされる。加熱部材71および受け部材72は、包材21と包材31とを間に挟んで、対向して配置されている。
【0031】
加熱部材71は、たとえば、アルミニウムに無電解ニッケル-リン-PTFE(フッ素樹脂)複合めっきを施したものでもよい。受け部材72は、たとえば、硬度30度のシリコーンゴムにフッ素繊維シートを焼き付けたものでもよい。
【0032】
加熱部材71がヒータによって加熱された状態で、加熱部材71と受け部材72とが図示しない駆動源により駆動されて包材21,31を両側から加圧することにより、包材21のシール層23と包材31のシール層33とが熱融着して、収容部が形成される。薬剤は、収容部内に収容されている。収容部形成部7は、包装対象物である薬剤を一包装分ずつ包装している。
【0033】
収容部形成部7を搬送される包材21,31において、包材21が加熱部材71に近く配置され、包材31が受け部材72に近く配置されている。包材21のシール層23と、包材31のシール層33とが、互いに向き合っている。包材21,31の内側となるシール層23,33が互いに重ね合わされる。加熱部材71から熱を受けてシール層23,33が溶融することにより、シール層23とシール層33とが熱融着して、収容部が形成される。
【0034】
包材31において、シール層33は、基材32よりも加熱部材71に近く配置されており、加熱部材71に最も近く配置されている。包材31において、感熱発色層34は、基材32よりも加熱部材71から離れて配置されており、加熱部材71から最も離れて配置されている。感熱発色層34は、受け部材72と向き合っている。感熱発色層34は、加熱部材71のヒータが発生する熱が最も伝導されにくい位置に、配置されている。加熱部材71から感熱発色層34へ伝達される熱量は、加熱部材71からシール層23,33に伝達される熱量よりも小さい。
【0035】
印刷部4のサーマルヘッド41は、収容部形成部7の加熱部材71よりも高い温度に加熱されてもよい。サーマルヘッド41は、加熱部材71のヒータよりも温度の高い熱源であってもよい。サーマルヘッド41から感熱発色層34に、加熱部材71の温度よりも高い温度の熱が、伝達されてもよい。なお、サーマルヘッド41を加熱部材71よりも高い温度に加熱しても、印刷部4を通過するときに包材31のシール層33は加圧されておらず、また印刷部4を通過する時間が短いので、印刷部4においてシール層33が溶融することが抑制されている。
【0036】
以上説明した実施形態の包装装置1においては、図3に示されるように、包材31は、基材32と、基材32上に積層される感熱発色層34とを有している。収容部形成部7は、加熱部材71と、加熱部材71と対向して配置される受け部材72とを有している。収容部形成部7を搬送される包材31において、感熱発色層34は、基材32よりも加熱部材71から離れて配置されている。
【0037】
包材31が感熱発色層34を有し、感熱発色層34が発色することで包材31に薬剤に関連する所定の情報を印刷するようにしたので、インクリボンを使用せずに包材31に印刷をすることができる。これにより、印刷部4を小型化できる。インクリボンを包装装置1に装填する作業を省くことができる。使用済みインクリボンが発生しないので、回収作業もなくなり、インクリボン上の個人情報の管理も不要となる。
【0038】
収容部形成部7において、感熱発色層34を加熱部材71から離れて配置させることにより、シール層23,33を熱融着するヒートシールが行なわれるときに、感熱発色層34には発色に必要な熱量が伝わらず、感熱発色層34が発色しない仕組みとする。これにより、感熱発色層34を有する包材31をヒートシールする際に感熱発色層34が発色することを、抑制することができる。感熱発色層34が発色する温度よりも低い温度で溶融するシール層33に限定されず使用することができるので、材料選定の自由度を向上することができる。
【0039】
図3に示されるように、包材31はシール層33を有し、シール層33が溶融する温度は、感熱発色層34が発色する温度以上であってもよい。この場合に、収容部形成部7においてシール層33が溶融できる温度にまで包材31が加熱されても、感熱発色層34が加熱部材71から離れて配置されているので、感熱発色層34には発色に必要な熱量が伝わらない。したがって、感熱発色層34の発色を抑制することができる。
【0040】
図2に示されるように、印刷部4を搬送される包材31において、感熱発色層34は、基材32よりもサーマルヘッド41に近く配置されていてもよい。このようにすれば、サーマルヘッド41から感熱発色層34に効率よく熱を伝達できるので、印刷部4において感熱発色層34を確実に発色させて、包材31に必要な情報を印刷することができる。
【0041】
サーマルヘッド41は、加熱部材71よりも高い温度に加熱されてもよい。印刷部4において感熱発色層34に伝達される熱量を増大することにより、感熱発色層34を確実に発色させることができる。
【0042】
なお、これまでの説明においては、2つの包材ロール2,3から巻き出される平らな包材21,31がヒートシールされて分包袋19が形成される例について説明したが、この例に限られるものではない。二つ折りされた包材をヒートシールして分包袋19を形成してもよい。この場合、予め二つ折りされた包材がロール状に巻回された包材ロールから、二つ折りされた包材が送り出されてもよい。または、包材を二つ折りするための機構が、包材ロールと包装部5との間に設けられて、包材ロールから送り出された包材が包装部5よりも上流で二つ折りされてもよい。
【0043】
二つ折りされた包材を使用する場合、二つ折りする前の包材に、長尺シート状の包材の短手方向(幅方向)における半分に感熱発色層を形成する。この包材を二つ折りして使用し、収容部形成部7においては図3と同様に加熱部材71から最も離れる位置に感熱発色層を配置する。このようにすることで、ヒートシールする際の感熱発色層の発色を抑制できる効果を、同様に得ることができる。
【0044】
受け部材72は、温度制御されず雰囲気温度とされてもよいが、冷却制御されてもよい。任意の方法によって、受け部材72を冷却してもよい。たとえば、水冷式または空冷式などの、冷却媒体との熱交換によって受け部材72を冷却する方式としてもよい。または、電流が印加されて熱を移動させるペルチェ素子などの、受け部材72を冷却する任意の温度調整装置が受け部材72に設けられてもよい。
【実施例0045】
以下、実施例について説明する。実施例および比較例の包材を、加熱部材71と受け部材72との間で加熱加圧した場合の、包材の発色を確認する実験を行なった。実施例では、加熱部材71と受け部材72との間に、図3に示されるように包材21,31を配置した。
【0046】
図4は、比較例の収容部形成部7の概略構成図である。比較例では、加熱部材71と受け部材72との間に、図4に示されるように包材21,31を配置した。図4に示されるように、比較例では、実施例とは逆に、包材31を加熱部材71に近く配置し、包材21を受け部材72に近く配置した。比較例の包材31においては、感熱発色層34を、基材32よりも加熱部材71に近く配置し、加熱部材71に最も近く配置し、加熱部材71と向き合わせて配置した。すなわち、比較例では、感熱発色層34を、加熱部材71のヒータが発生する熱が最も伝導されやすい位置に配置した。
【0047】
図5は、実施例および比較例における、包材31に負荷される温度と感熱発色層34の発色との関係を示す表である。図5には、加熱部材71を80℃~140℃に加熱した場合の、感熱発色層34の発色の有無を取りまとめた。
【0048】
図5に示されるように、比較例では、加熱部材71を110℃以上に加熱したときに、感熱発色層34が発色した。一方、実施例では、加熱部材71を130℃まで加熱しても感熱発色層34の発色はせず、加熱部材71を140℃に加熱したときに感熱発色層34が発色した。
【0049】
シール層23,33がポリエチレン製である場合、110℃程度の温度負荷でシール層23,33が溶け始めるので、収容部形成部7における加熱部材71の温度をたとえば125℃程度にすることができる。比較例では、加熱部材71を125℃に加熱すると感熱発色層34が発色してしまう。これに対し、実施例では、加熱部材71を125℃に加熱しても、感熱発色層34は発色しない。実施例では、包材をヒートシールするときに、感熱発色層34を発色させずにシール層23,33を熱融着できる条件が成立し得る。
【0050】
したがって、加熱部材71と受け部材72との間に包材21,31を配置する場合に、実施例のように感熱発色層34を加熱部材71から離して配置することにより、包材をヒートシールする際の発色を抑制することができることが示された。
【0051】
以上のように本発明の実施形態について説明を行なったが、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0052】
1 包装装置、2,3 包材ロール、4 印刷部、5 包装部、6 薬剤供給部、7 収容部形成部、8 ミシン目形成部、9 包材搬送部、11A,11B,12A,12B,13A,13B ガイドローラ、19 分包袋、21,31 包材、22,32 基材、23,33 シール層、34 感熱発色層、41 サーマルヘッド、42 プラテンローラ、71 加熱部材、72 受け部材、DR 搬送方向。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺シート状の包材を用いて包装対象物を収容する収容部を形成する、収容部形成部と、
前記包装対象物に関連する情報を前記包材に印刷する印刷部とを備え、
前記包材は、基材と、前記基材上に積層される感熱発色層とを有し、
前記収容部形成部は、
ヒータによって加熱される加熱部材と、
発熱する構成を有さず、前記加熱部材と対向して配置される受け部材とを有し、
前記加熱部材と前記受け部材とが前記包材を両側から加圧することにより前記収容部を形成し、
前記収容部形成部を搬送される前記包材において、前記感熱発色層は、前記基材よりも前記加熱部材から離れて配置されている、包装装置。
【請求項2】
前記基材は、前記感熱発色層が積層される第一面と、前記第一面と反対側の第二面とを有し、
前記包材は、前記第二面に積層され、前記加熱部材によって加熱されて溶融するシール層を有し、
前記シール層が溶融する温度は、前記感熱発色層が発色する温度以上である、請求項1に記載の包装装置。
【請求項3】
前記印刷部は、サーマルヘッドを有し、前記包材の搬送方向において、前記収容部形成部の上流に配置されており、
前記印刷部を搬送される前記包材において、前記感熱発色層は、前記基材よりも前記サーマルヘッドに近く配置されている、請求項1または請求項2に記載の包装装置。