(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141620
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】水中カメラシステム及び水中装置
(51)【国際特許分類】
G03B 17/24 20210101AFI20241003BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20241003BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20241003BHJP
【FI】
G03B17/24
G03B17/56 Z
H04N23/60 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053366
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】西谷 明彦
【テーマコード(参考)】
2H105
5C122
【Fターム(参考)】
2H105EE07
5C122DA10
5C122EA42
5C122FJ01
5C122FJ03
5C122GC52
5C122HA01
5C122HB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】水中におけるカメラ10の撮像位置を撮像画像に付与可能な水中カメラシステム及び水中装置を提供する。
【解決手段】水中カメラシステムS100は、水中で対象物を撮影し撮像画像を生成するカメラ10と、水上に位置する水上装置20の絶対位置を測位する第1測位手段と、カメラ10に接続された水中装置30と水上装置20との相対位置を測位する第2測位手段と、第1測位手段が測位した水上装置20の絶対位置と、第2測位手段が測位した相対位置とに基づき、水中における水中装置30の絶対位置である水中位置を算出する位置特定部と、位置特定部が算出した水中位置をカメラ10に送信する送信部と、を備え、カメラ10は、送信部から受信した水中位置を、水中位置を受信した時点の前後の所定の時間内に撮影された撮像画像に関連付けて保存する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中で対象物を撮影し撮像画像を生成するカメラと、
水上に位置する水上装置の絶対位置を測位する第1測位手段と、
前記カメラに接続された水中装置と前記水上装置との相対位置を測位する第2測位手段と、
前記第1測位手段が測位した前記水上装置の絶対位置と、前記第2測位手段が測位した前記相対位置とに基づき、水中における前記水中装置の絶対位置である水中位置を算出する位置特定部と、
前記位置特定部が算出した前記水中位置を前記カメラに送信する送信部と、
を備え、
前記カメラは、前記送信部から受信した前記水中位置を、前記水中位置を受信した時点の前後の所定の時間内に撮影された前記撮像画像に関連付けて保存する、
水中カメラシステム。
【請求項2】
前記送信部は、前記カメラのシャッターボタンが押されたことに応じて、前記水中位置を前記カメラに送信する、
請求項1に記載の水中カメラシステム。
【請求項3】
前記送信部は、前記シャッターボタンが押されてから前記シャッターボタンが再度押されるまでの経過時間が閾値以下の場合には、前記水中位置を前記カメラに送信しない、
請求項2に記載の水中カメラシステム。
【請求項4】
前記位置特定部は、連続的に前記水中装置の前記水中位置を特定し、
前記送信部は、第1時刻の前記水中装置の第1水中位置と、第2時刻の前記水中装置の第2水中位置との距離が閾値未満の場合、第2水中位置を前記カメラに送信しない、
請求項1又は2に記載の水中カメラシステム。
【請求項5】
前記送信部は、前記位置特定部が一定時間以上にわたって前記水中装置の前記水中位置を特定できなかったことを示す測位エラーを前記カメラに送信し、
前記カメラは、前記測位エラーを、前記測位エラーを受信した時点の前後の所定の時間内に撮影された撮像画像に関連付けて保存する、
請求項1又は2に記載の水中カメラシステム。
【請求項6】
前記送信部は、前記位置特定部が一定時間以上にわたって前記水中装置の前記水中位置を特定できなかったことを示す測位エラーを前記カメラに送信し、
前記カメラは、前記測位エラーを受信する前に受信していた第1水中位置とともに、前記第1水中位置を受信した時点から前記測位エラーを受信した時点までの経過時間を、前記測位エラーを受信した時点の前後の所定の時間内に撮影された撮像画像に関連付けて保存する、
請求項1又は2に記載の水中カメラシステム。
【請求項7】
前記位置特定部は、前記水中装置として、水中の第1カメラに接続された第1水中装置の水中位置と、水中の第2カメラに接続された第2水中装置の水中位置とを特定し、
前記送信部は、前記第1水中装置の水中位置と、前記第2水中装置の水中位置との間の距離が閾値未満である場合に、前記第1カメラに、前記第1水中装置の前記水中位置とともに前記第2水中装置の前記水中位置も送信し、
前記第1カメラは、前記第1水中装置の水中位置と前記第2水中装置の水中位置とを前記撮像画像に関連付けて保存する、
請求項1又は2に記載の水中カメラシステム。
【請求項8】
水中で対象物を撮影し撮像画像を生成するカメラに取り付けられる水中装置であって
水上に位置する水上装置の絶対位置を測位する第1測位手段が測位した前記水上装置の絶対位置と、前記水上装置と前記水中装置との相対位置を測位する第2測位手段が測位した前記相対位置とに基づき、水中における前記水中装置の絶対位置である水中位置を算出する位置特定部と、
前記位置特定部が算出した前記水中位置を前記カメラに送信する送信部と、
を備える、
水中装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中カメラシステム及び水中装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラで撮影された写真は、例えば撮影日時、GPS情報(緯度、経度)、及びカメラの機種名等のデータを含む(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水中ではGPSによる位置の検出ができないため、従来の技術では水中においてカメラの位置を測位できず、カメラの撮像画像に撮影位置の情報を付与できないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、水中におけるカメラの撮像位置を撮像画像に付与可能な水中カメラシステム及び水中装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の水中カメラシステムは、水中で対象物を撮影し撮像画像を生成するカメラと、水上に位置する水上装置の絶対位置を測位する第1測位手段と、前記カメラに接続された水中装置と前記水上装置との相対位置を測位する第2測位手段と、前記第1測位手段が測位した前記水上装置の絶対位置と、前記第2測位手段が測位した前記相対位置とに基づき、水中における前記水中装置の絶対位置である水中位置を算出する位置特定部と、前記位置特定部が算出した前記水中位置を前記カメラに送信する送信部と、を備え、前記カメラは、前記送信部から受信した前記水中位置を、前記水中位置を受信した時点の前後の所定の時間内に撮影された前記撮像画像に関連付けて保存する。
【0007】
前記送信部は、前記カメラのシャッターボタンが押されたことに応じて、前記水中位置を前記カメラに送信してもよい。
【0008】
前記送信部は、前記シャッターボタンが押されてから前記シャッターボタンが再度押されるまでの経過時間が閾値以下の場合には、前記水中位置を前記カメラに送信しないように設けられていてもよい。
【0009】
前記位置特定部は、連続的に前記水中装置の前記水中位置を特定し、前記送信部は、第1時刻の前記水中装置の第1水中位置と、第2時刻の前記水中装置の第2水中位置との距離が閾値未満の場合、第2水中位置を前記カメラに送信しないように設けられていてもよい。
【0010】
前記送信部は、前記位置特定部が一定時間以上にわたって前記水中装置の前記水中位置を特定できなかったことを示す測位エラーを前記カメラに送信し、前記カメラは、前記測位エラーを、前記測位エラーを受信した時点の前後の所定の時間内に撮影された撮像画像に関連付けて保存してもよい。
【0011】
前記送信部は、前記位置特定部が一定時間以上にわたって前記水中装置の前記水中位置を特定できなかったことを示す測位エラーを前記カメラに送信し、前記カメラは、前記測位エラーを受信する前に受信していた第1水中位置とともに、前記第1水中位置を受信した時点から前記測位エラーを受信した時点までの経過時間を、前記測位エラーを受信した時点の前後の所定の時間内に撮影された撮像画像に関連付けて保存してもよい。
【0012】
前記位置特定部は、前記水中装置として、水中の第1カメラに接続された第1水中装置の水中位置と、水中の第2カメラに接続された第2水中装置の水中位置とを特定し、前記送信部は、前記第1水中装置の水中位置と、前記第2水中装置の水中位置との間の距離が閾値未満である場合に、前記第1カメラに、前記第1水中装置の前記水中位置とともに前記第2水中装置の前記水中位置も送信し、前記第1カメラは、前記第1水中装置の水中位置と前記第2水中装置の水中位置とを前記撮像画像に関連付けて保存してもよい。
【0013】
本発明の一形態の水中装置は、水中で対象物を撮影し撮像画像を生成するカメラに取り付けられる水中装置であって水上に位置する水上装置の絶対位置を測位する第1測位手段が測位した前記水上装置の絶対位置と、前記水上装置と前記水中装置との相対位置を測位する第2測位手段が測位した前記相対位置とに基づき、水中における前記水中装置の絶対位置である水中位置を算出する位置特定部と、前記位置特定部が算出した前記水中位置を前記カメラに送信する送信部と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、水中におけるカメラの撮像位置を撮像画像に付与可能な水中カメラシステム及び水中装置を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一形態の水中カメラシステムを示す図である。
【
図2】水中カメラシステムの構成を示すブロック図である。
【
図3】水中カメラシステムの動作例を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の他の形態の水中カメラシステムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の一形態の水中カメラシステムS100を示す図である。
図2は、水中カメラシステムS100の構成を示すブロック図である。水中カメラシステムS100は、カメラ10と、水上装置20と、水中装置30とを備えている。
【0017】
本実施形態の水中カメラシステムS100は、(1)まず、水上装置20が例えばGPS衛星を利用して自身の絶対位置を測位し、(2)次いで、水中装置30が、例えば音響測位技術を利用して水上装置20と水中装置30との相対位置を測位するとともに、測位した相対位置と水上装置20の絶対位置とに基づき、水中装置30の絶対位置である水中位置を算出する。水中装置30は、算出した水中位置を近傍のカメラ10に通知する。(3)その後、水中位置を受信したカメラ10は、その水中位置の情報を撮像画像に関連付けて保存する。水中ではGPS衛星による測位は行えないが、本実施形態の構成によれば、水中装置30が水中における絶対位置を算出でき、カメラ10は、水中位置の情報を撮像画像に関連付けて保存することができる。
【0018】
(カメラ10)
カメラ10は、シャッターボタン11、撮像部12、制御部13、及び記憶部14を有している。カメラ10は、水中で対象物を撮像し撮像画像を生成する。カメラ10は、水中装置30と通信可能に接続されている。
【0019】
シャッターボタン11は、ユーザによって押されるボタンである。シャッターボタン11は、例えば物理的なボタンである。シャッターボタン11は、カメラ10のディスプレイに表示される画面上のボタンであってもよい。撮像部12は、レンズ及び撮像素子等を有し、対象物の撮像画像を生成する。記憶部14は、撮像部12によって生成された撮像画像を記憶する。
【0020】
制御部13は、カメラ10の各部の動作を制御する。制御部13は、シャッターボタン11が押された場合にシャッター信号を不図示の通信インターフェースを介して水中装置30に送信する。
【0021】
制御部13は、後述するように水中装置30が送信した水上装置20の水中位置を受信し、その水中位置を、撮像画像に関連付けて記憶部14に記憶させる。制御部13は、具体的には、カメラ10が水中装置30から水中位置を受信した時点の前後の所定の時間内に撮影された撮像画像に関連付けて水中位置を記憶させる。制御部13は、例えば、水中位置を受信した後、所定の時間内に撮影が行われた場合、その撮像画像に水中位置を関連付ける。
【0022】
制御部13は、水中位置を受信した後に撮影された撮像画像ではなく、受信する前の撮像画像に水中位置を関連付けてもよい。例えば、シャッターボタン11が押されたことに応じて水中装置30がカメラ10に水中位置を送信する場合、制御部13は、そのシャッターボタン11が押されたことにより生成された撮像画像に、受信した水中位置を関連付けてもよい。
【0023】
制御部13は、撮像画像が、カメラ10が水中装置30から水中位置を受信した時点の前後の所定の時間内に撮影されたものでない場合には、撮像画像と水中位置の関連付けを行わない。
【0024】
(水上装置20)
水上装置20は、例えば水上の設備又は乗り物に設けられ水中装置30と通信する。水上装置20は、例えば船に設けられている。水上装置20は、第1測位手段21、制御部22、及び通信部23を有している。
【0025】
第1測位手段21は、水上装置20の絶対位置を測位する。第1測位手段21は、具体的には、GNSS(Global Navigation Satellite System、全球測位衛星システム)の衛星(以下、GNSS衛星ともいう)との通信により水上装置20の緯度及び経度(例えば位置情報(x1、y1))を取得する。
【0026】
制御部22は、水上装置20の各部の動作を制御する。制御部22は、第1測位手段21が取得した水上装置20の絶対位置を通信部23を介して水中装置30へ送信する。
【0027】
通信部23は、水中での通信が可能な通信デバイスである。通信部23は、例えば既知の音響通信デバイスである。
【0028】
(水中装置30)
水中装置30は、例えば、カメラ10に取り付けられた装置である。水中装置30は、第2測位手段31、制御部32、及び通信部33を有している。第2測位手段31、制御部32、及び通信部33は例えばハウジング内に収容されている。なお、「水中装置30がカメラ10に取り付けられる」とは、必ずしも、水中装置30がカメラ10に対して機械的に固定されることを意味するものではない。水中装置30は、カメラ10の近傍に位置し、水中装置30を実質的にカメラ10の位置と見なすことができるような位置に存在すればよい。水中装置30は、一例として好ましくはカメラ10から1m以内の範囲に設けられる。水中装置30は、カメラ10とは別体であり、互いに固定はされていないが、有線又は無線で通信可能に接続されていてもよい。
【0029】
第2測位手段31は、水中装置30と水上装置20との相対位置を測位する。第2測位手段31は、
図2では、水中装置30に設けられた単一の構成要素として描かれているが、第2測位手段31は水中装置30と水上装置20との相対位置を測位できるものであればどのようなデバイスであってもよい。第2測位手段31は、水上装置20に設けられていてもよい。
【0030】
第2測位手段31は、例えば、水中で音響測位を行う、親機と子機とで構成されたデバイスであってもよい。音響測位としては、SSBL(Super Short Baseline(USBL:Ultra Short Baselineともいう))方式の測位技術が利用可能である。本実施形態では、親機が水中装置30に設けられ、子機が水上装置20に設けられる。これとは逆に、親機が水上装置20に設けられ、子機が水中装置30に設けられてもよい。
【0031】
音響測位は例えば次のように実施される。まず、親機が水中で音を発し、子機がその音を受信すると、それに対する応答として子機が音を発する。親機は、複数のマイクで子機からの音を受信し、音の発生源である子機の方向及び親機と子機との間の距離を計算する。このようにして、機器間の相対位置が測位される。他の方式として、子機が断続的に発している音を親機が受信し、親機が、子機の方向及び親機と子機との間の距離を計算することも可能である。
【0032】
第2測位手段31は、水中装置30の水上装置20に対する位置を測位できるものであればよいので、例えば慣性航法装置などであってもよい。慣性航法装置は、移動する物体の加速度を連続的に測定して所定の基準地点からの移動経路を算出する。慣性航法装置は、例えば、水中装置30のハウジング内に設けられていてもよい。
【0033】
通信部33は、他の機器に情報を送信し、他の機器から情報を受信する。通信部33は、例えば音響通信により水上装置20と通信する。通信部33は、また、有線接続又は無線接続されたカメラ10と通信する。水中装置30とカメラ10とは、例えば有線ケーブルにより接続される。水中装置30とカメラ10とが、例えば、防水カバー(不図示)の内部空間に一緒に配置されるような構成の場合、水中装置30とカメラ10とは、例えば、赤外線通信を含む光無線通信、Bluetooth(登録商標)、又は無線LAN等により接続されてもよい。
【0034】
(制御部32)
制御部32は、CPU(Central Processing Unit)を含むプロセッサであり、コンピュータプログラムを実行することにより、位置特定部321及び送信部322として機能する。なお、この例では位置特定部321が水中装置30に設けられているが、本発明の他の形態では、水上装置20が位置特定部321を有していてもよい。
【0035】
位置特定部321は、水中装置30の位置を特定する。水中では、水中装置30はGNNS衛星と通信を行うことができないため、水中における水中装置30の絶対位置を直接的に測位することはできない。そこで、位置特定部321は、第1測位手段21が測位した水上装置20の絶対位置と、第2測位手段31が測位した相対位置とに基づき水中装置30の水中位置を算出する。
【0036】
具体的には、位置特定部321は、水上装置20の絶対位置に、水上装置20と水中装置30との間の相対位置に対応する差分を加えて水中装置30の水中位置を算出する。一例として、水上装置20の絶対位置を(x1、y1)とし、水上装置20と水中装置30との相対位置を(Δx、Δy)とした場合に、位置特定部321は、(x1+Δx、y1+Δy)を、水中位置(x2、y2)として算出する。これにより、位置特定部321は、水中であっても水中装置30の絶対位置を算出することができる。なお、ここでは水中位置を(x2、y2)と記載したが、後述するように水中においては水中装置30の深度も計測可能であるので、水中位置は、深度zを含む三次元位置として算出されてもよい。
【0037】
位置特定部321は、例えば所定の時間間隔で連続的に水中装置30の水中位置を算出する。位置特定部321は、例えば1秒間隔で水中位置を算出する。
【0038】
送信部322は、位置特定部321が特定した水中位置を、通信部33を介して、カメラ10に送信する。送信部322は、例えば、位置特定部321による測位と同様、所定の時間間隔で連続的に水中位置をカメラ10に送信する。
【0039】
位置特定部321が特定した水中位置は、例えば、水中のどの位置で撮影が行われたかを示すものとして利用される。水中位置のこのような利用態様に鑑みると、シャッターボタン11が押されず、カメラ10が単に水中を移動しているような状態では、水中位置の情報が不要ということも考えられる。
【0040】
そこで、送信部322は、例えば、水中位置をカメラ10に対して常時送信するのではなく、カメラ10のシャッターボタン11が押されたことに応じて、水中位置を送信してもよい。具体的には、送信部322は、シャッターボタン11が押された場合にカメラ10が送信するシャッター信号を水中装置30が受信したことに応じて、カメラ10に水中位置を送信する。このような構成によれば、水中装置30とカメラ10との通信頻度が低減するため、カメラ10及び水中装置30のバッテリの減りが抑えられ、カメラ10及び水中装置30を長時間にわたって水中で利用できる。
【0041】
(シャッターボタン11が複数回押された場合の動作)
例えばダイビングにおいては、ユーザが水中の同じ位置に留まって、対象物を複数回撮影する場合がある。このような場合、水中装置30の水中位置は変わらないため、シャッターボタン11が押される都度通信を行う必要はない。
【0042】
そこで、送信部322は、例えば、シャッターボタン11が押されてからシャッターボタン11が再度押されるまでの経過時間が閾値以下の場合には、水中位置をカメラ10に送信しないように設けられていてもよい。具体例として、例えば閾値が5秒に設定されている場合、5秒間にシャッターボタン11が複数回押されたとしても、送信部322は、最初にシャッターボタン11が押されたタイミングで1回のみ水中位置を送信し、以降は水中位置を送信しない。このような構成によっても、水中装置30とカメラ10との通信頻度が低減するので、カメラ10及び水中装置30を長時間にわたって水中で利用できる。
【0043】
(水中装置30の移動量が少ない場合の動作)
水中装置30からカメラ10への水中位置の送信は、水中装置30の移動量に応じて行われてもよい。ユーザが水中の同じ位置に留まって、対象物を複数回撮影する場合、位置特定部321が特定する水中位置が僅かに違っていたとしても、実質的には、同じ水中位置で対象物が撮影されたと見なしてよいことが想定される。位置特定部321によって特定された第1水中位置と第2水中位置との距離が例えば1m程度の場合、これらの水中位置は、同じと見なしてよい。
【0044】
そこで、送信部322は、第1時刻の水中装置30の第1水中位置と、第2時刻の水中装置30の第2水中位置との距離が閾値未満の場合、第2水中位置を前記カメラ10に送信しないように設けられていてもよい。このような構成によっても、カメラ10と水中装置30との通信頻度が低減するので、カメラ10及び水中装置30を長時間にわたって水中で利用できる。
【0045】
距離の閾値は、例えば予め設定されたデフォルト値である。制御部32は、ユーザが入力した値を変更後の閾値として受け付け、変更後の閾値で上記動作が実施されてもよい。
【0046】
(測位エラーの保存)
水中においては、水上装置20と水中装置30との間の通信が正しく行われず、水上装置20と水中装置30との相対位置が測位できないことが想定される。このような測位エラーが発生した場合、カメラ10はその測位エラーの情報を撮像画像に関連付けて保存してもよい。
【0047】
具体的には、送信部322は、位置特定部321が一定時間以上にわたって水中装置30の水中位置を特定できなかった場合に、水中位置を算出できなかったことを示す測位エラーをカメラ10に送信する。そして、カメラ10の制御部13は、受信した測位エラーを撮像画像に関連付けて保存する。カメラ10の制御部13は、測位エラーを受信した時点の前後の所定の時間内に撮影された撮像画像に測位エラーを関連付ける。
【0048】
このような構成によれば、撮像画像に、測位が正しく行われなかった測位エラーの情報が付与されるので、ユーザは、事後的に、この撮像画像が、水中位置を算出できない状態で撮影されたものであることを確認できる。
【0049】
なお、カメラ10は、測位エラーの情報とともに、測位エラーを受信する前に既に受信していた水中装置30の水中位置(例えば、測位エラーの受信前の所定の時間内に受信していた水中位置)を、撮像画像に関連付けて保存してもよい。このような構成によれば、正確な位置ではないものの、この撮像画像が撮影された付近の位置を知ることが可能となる。
【0050】
上記の場合、カメラ10が既に受信していた水中装置30の水中位置が、例えば数分前に受信していた位置であるとすると、その水中位置(第1水中位置)と、実際に撮影した水中位置(第2水中位置)とが大きくずれてしまう可能性もある。このように位置がずれている場合であっても、経過時間の情報が付与されていれば、第1水中位置と第2水中位置との位置関係をユーザが事後的に知るのに役立ち得る。そこで、カメラ10は、測位エラーを受信する前に受信していた第1水中位置とともに、その第1水中位置を受信した時点から測位エラーを受信した時点までの経過時間を、測位エラーを受信した時点の前後の所定の時間内に撮影された撮像画像に関連付けて保存してもよい。
【0051】
(動作例)
図3は、水中カメラシステムS100の動作例を示すフローチャートである。上述のように構成された水中カメラシステムS100の動作例について
図3を参照して説明する。なお、このフローチャートでは、水中位置が正しく測位されたかを判定するステップS4が例示されているが、このステップは本発明において必須ではない。
【0052】
まず、ステップS1において、第1測位手段21が、GNSS衛星と通信して水上装置20の絶対位置を測位する。水上装置20の制御部22は、第1測位手段21が取得した水上装置20の絶対位置を水中装置30へ送信する。
【0053】
次いで、ステップS2において、水中装置30の第2測位手段31が、例えば音響測位により水上装置20と水中装置30との相対位置を測位する。
【0054】
次いで、ステップS3において、制御部32の位置特定部321が、水上装置20から受信した水上装置20の絶対位置に、第2測位手段31が測位した相対位置に対応する差分を加えることによって水中装置30の水中位置を算出する。
【0055】
次いで、ステップS4において、送信部322は、水中位置が正しく測位されたかを判定し、ステップS4でYesの場合、ステップS5aにおいて、送信部322は水中位置をカメラ10に送信する。
【0056】
次いで、ステップS6aにおいて、カメラ10は水中装置30が送信した水中位置を受信し、その水中位置を撮像画像に関連付けて保存する。
【0057】
一方、ステップS4でNoの場合、ステップS5bにおいて、水中装置30の送信部322は、位置特定部321が一定時間以上にわたって水中位置を特定できなかったことを示す測位エラーをカメラ10に送信する。そして、ステップS6bにおいて、カメラ10は水中装置30が送信した測位エラーを撮像画像に関連付けて保存する。
【0058】
以上一連の工程により、水中カメラシステムS100では、GNSS衛星による測位が不可能な水中においても、水中装置30の水中における絶対位置である水中位置を算出して、カメラ10がその水中位置を撮像画像に関連付けて保存することができる。
【0059】
(水中カメラシステムS100の効果)
以上説明した水中カメラシステムS100によれば、上記のとおり、水中装置30の水中位置を算出でき、その水中位置を撮像画像に関連付けて保存できる。したがって、ユーザは事後的に撮像画像の撮影位置を確認することが可能となる。
【0060】
<第2の実施形態>
図4は、本発明の他の形態の水中カメラシステムの構成を示すブロック図である。上述した実施形態では、水中装置30に位置特定部321が設けられていたが、位置特定部は水上装置20に設けられていてもよい。また、複数のユーザが水中でカメラ10を用いて水中で撮影する場合のように、本発明の一形態の水中カメラシステムは、複数の水中装置30を備えていてもよい。
【0061】
図4の水中カメラシステムS101は、複数のカメラ10と、水上装置20と、複数の水中装置30とを備えている。カメラ10、水上装置20及び水中装置30の基本的な機能は上述した実施形態と共通するため、以下、上述した実施形態と相違する部分について説明する。
【0062】
複数のカメラ10として、第1カメラ10a、第2カメラ10b、及び第3カメラ10cが設けられている。各カメラ10に、第1水中装置30a、第2水中装置30b、及び第3水中装置30cがそれぞれ取り付けられている。
【0063】
水上装置20は、第1測位手段21、制御部22、通信部23及び第2測位手段24を有している。第2測位手段24は、
図1の第2測位手段31に相当し、水上装置20と各水中装置30との相対位置を測位する。
【0064】
制御部22は、位置特定部221及び送信部222を有する。位置特定部221は、
図1の位置特定部321に相当し、複数の水中装置30の水中における水中位置を算出する。位置特定部221は、例えば、第1水中装置30aの水中位置と、第2水中装置30bの水中位置と、第3水中装置30cの水中位置とを、各水中装置の識別情報に関連付けて特定する。
【0065】
ここで、例えば、複数人のユーザが潜水するダイビングにおいては、所定の対象物を撮影したときに、あるユーザの近くに他のユーザが居たかどうかの情報が有用となることがある。そこで、
図4の構成では、一例として、送信部222は、位置特定部221が特定した第1水中装置30aの水中位置と、第2水中装置30bの水中位置との間の距離が閾値未満である場合に、第1水中装置30aを介して、第1カメラ10aに、第1水中装置30aの水中位置とともに第2水中装置30bの水中位置も送信する。送信部222は、具体的には、第2水中装置30bの水中位置を、第2水中装置30bの識別情報に関連付けて送信する。
【0066】
水中装置30は、制御部32及び通信部33を備える。制御部32は、取得部323及び送信部322を有している。取得部323は、水上装置20が送信した情報を受信する。第1水中装置30aの取得部323は、例えば、水上装置20が第1水中装置30aの識別情報に関連付けて送信した第1水中装置30aの水中位置と第2水中装置30bの水中位置とを取得する。
【0067】
送信部322は、取得部323が取得した第1水中装置30aの水中位置と第2水中装置30bの水上位置を第1カメラ10aに送信する。第1カメラ10aは、第1水中装置30aの水中位置と第2水中装置30bの水中位置とを撮像画像に関連付けて保存する。
【0068】
このような構成によれば、第1カメラ10aは、ある対象物を撮影した際に近くに存在していた他のカメラ(正確には水中装置)の水中位置を撮像画像に関連付けて保存できる。
【0069】
<変形例>
上述した実施形態では、水中装置30の水中位置として緯度経度情報を例示したが、水中カメラシステムS100においては、さらに、水中装置30の深度が計測され、水中装置30が深度情報をカメラ10に送信し、カメラ10がその深度情報を撮像画像に関連付けて保存してもよい。
【0070】
また、水中装置30が水中の濁度、塩分濃度、及び潮流の少なくとも1つを計測するセンサデバイスを有し、計測された濁度、塩分濃度、及び潮流の少なくとも1つの情報が、カメラ10に送信され、カメラ10がその情報を撮像画像に関連付けて保存してもよい。
【0071】
上述した実施形態では、撮像位置の特定のために水中位置を算出することを例示したが、水中装置30の水中での位置を連続的に算出及び記録できるということは、水中で水中装置30を所持するユーザの移動経路をトラッキングできることを意味する。したがって、本発明の一形態の水中カメラシステムS100では、水中装置30が算出した時系列の複数の水中位置の情報を、カメラ10が、撮像画像に関連付けて保存してもよい。
【0072】
本発明によれば、水中装置30の水中での水中位置を算出できるため、水中カメラシステムS100においては、水中装置30が、予め設定された目的の緯度、経度、及び/又は深度に到着した場合に、例えば、水中装置30がカメラ10に通知したり、水中装置30がアラートを発したりしてもよい。カメラ10は、水中装置30からの通知を受け取った場合に、自動的に撮像を行ったり、ユーザに対して撮像を促すアラートを発したりしてもよい。
【0073】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0074】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0075】
10 カメラ
11 シャッターボタン
12 撮像部
13 制御部
14 記憶部
20 水上装置
21 第1測位手段
22 制御部
23 通信部
24 第2測位手段
30 水中装置
31 第2測位手段
32 制御部
33 通信部
221 位置特定部
222 送信部
321 位置特定部
322 送信部
323 取得部
S100、S101 水中カメラシステム