(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141621
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】熱交換器ユニットおよび室外機
(51)【国際特許分類】
F24F 1/38 20110101AFI20241003BHJP
F24F 1/16 20110101ALI20241003BHJP
F04D 29/02 20060101ALI20241003BHJP
F04D 29/66 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F24F1/38
F24F1/16
F04D29/02
F04D29/66 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053367
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】陳 作舟
(72)【発明者】
【氏名】太田黒 竜佑
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 明楠
(72)【発明者】
【氏名】丸山 要
(72)【発明者】
【氏名】石橋 知大
【テーマコード(参考)】
3H130
3L054
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB05
3H130AB12
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC11
3H130BA16A
3H130CA04
3H130DD01Z
3H130EA02A
3H130EA04A
3H130EA07A
3H130EA08A
3H130EB02A
3L054BA03
3L054BA05
(57)【要約】
【課題】ベルマウスの表面で発生する風切り音を好適に低減する。
【解決手段】熱交換器ユニット20は、軸流ファン30と、ベルマウス40と、熱交換器50と、軸流ファン30、ベルマウス40および熱交換器50が収容されるケース60と、を備える。ベルマウス40は、圧力変動成分透過部70を有する。圧力変動成分透過部70と、ケース60または熱交換器50との最短距離Lは、10mm以上である。圧力変動成分透過部70は、軸流ファン30とベルマウス40との間に生じる圧力変動を低減するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸流ファン(30)と、
ベルマウス(40)と、
熱交換器(50)と、
前記軸流ファン(30)、前記ベルマウス(40)および前記熱交換器(50)が収容されるケース(60)と、を備える熱交換器ユニット(20)において、
前記ベルマウス(40)は、圧力変動成分透過部(70)を有し、
前記圧力変動成分透過部(70)と、前記ケース(60)または前記熱交換器(50)との最短距離(L)は、10mm以上であり、
前記圧力変動成分透過部(70)は、前記軸流ファン(30)と前記ベルマウス(40)との間に生じる圧力変動を低減するように構成される、熱交換器ユニット。
【請求項2】
前記圧力変動成分透過部(70)に、前記ベルマウス(40)の強度を保持するための補強部材(80)が設けられ、
前記補強部材(80)は、前記ベルマウス(40)の周方向において、前記圧力変動成分透過部(70)に1つ以上設けられ、
前記補強部材(80)の幅(W)は、50mm以下であり、
前記圧力変動成分透過部(70)に前記補強部材(80)が2つ以上設けられる場合、前記補強部材(80)は、前記ベルマウス(40)の周方向において間隔をあけて設けられる、
請求項1に記載の熱交換器ユニット。
【請求項3】
前記圧力変動成分透過部(70)は、前記ベルマウス(40)の周壁(41)のうち、前記ケース(60)または前記熱交換器(50)と最も接近する最接近部分(47)以外の部分に、設けられる、
請求項1に記載の熱交換器ユニット。
【請求項4】
前記ケース(60)は、天板(61)と、底板(62)と、前記ケース(60)内の空間(S)を熱交換室(12)と機械室(13)とに仕切る仕切板(63)とを含む、
請求項1に記載の熱交換器ユニット。
【請求項5】
前記圧力変動成分透過部(70)は、前記ベルマウス(40)の周壁(41)を厚さ方向に連通する平均気孔径が1000μm以下の気孔を有する、
請求項1に記載の熱交換器ユニット。
【請求項6】
前記圧力変動成分透過部(70)は、前記周壁(41)を厚さ方向に連通する平均気孔径が700μm以下の気孔を有する、
請求項5に記載の熱交換器ユニット。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の熱交換器ユニット(20)を備える、室外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱交換器ユニットおよび室外機に関する。
【背景技術】
【0002】
軸流ファンのファンシュラウドに関する技術として、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、ファンシュラウドの全体もしくは一部を、アルミニウム焼結合金もしくは樹脂等の貫通多孔質材で形成することが記載されている。特許文献1のファンシュラウドは、軸流ファンの羽根がファンシュラウドに接近した際に、風圧の急激な変化によって発生する風の衝撃音を貫通多孔質材で吸収することによって、翼ピッチ音であるNZ音を低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
軸流ファンを備えるベルマウスには、NZ音とは別に、ベルマウスの表面で発生する風切り音を低減できることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決する第1観点の熱交換器ユニットは、軸流ファンと、ベルマウスと、熱交換器と、前記軸流ファン、前記ベルマウスおよび前記熱交換器が収容されるケースと、を備え、前記ベルマウスは、圧力変動成分透過部を有し、前記圧力変動成分透過部と、前記ケースまたは前記熱交換器との最短距離は、10mm以上であり、前記圧力変動成分透過部は、前記軸流ファンと前記ベルマウスとの間に生じる圧力変動を低減するように構成される。
この構成によれば、上記最短距離が10mm以上に確保されていることによって、ベルマウスと軸流ファンとの間を通過する空気に圧力変動が生じた際に、空気が圧力変動成分透過部を透過しやすくなるため、圧力変動を小さくすることができる。これによって、ベルマウスに発生する表面渦を軽減することができるため、表面渦に起因する風切り音を好適に低減できる。
【0006】
第2観点の熱交換器ユニットは、第1観点の熱交換器ユニットにおいて、前記圧力変動成分透過部に、前記ベルマウスの強度を保持するための補強部材が設けられ、前記補強部材は、前記ベルマウスの周方向において、前記圧力変動成分透過部に1つ以上設けられ、前記補強部材の幅は、50mm以下であり、前記圧力変動成分透過部に前記補強部材が2つ以上設けられる場合、前記補強部材は、前記ベルマウスの周方向において間隔をあけて設けられる。
この構成によれば、ベルマウスに圧力変動成分透過部を配置しつつ、ベルマウスの強度を向上できる。
【0007】
第3観点の熱交換器ユニットは、第1および第2観点の熱交換器ユニットにおいて、前記圧力変動成分透過部は、前記ベルマウスの周壁のうち、前記ケースまたは前記熱交換器と最も接近する最接近部分以外の部分に、設けられる。
この構成によれば、ベルマウスと軸流ファンとの間を通過する空気に圧力変動が生じた際に、空気が圧力変動成分透過部を透過しやすくなるため、圧力変動を小さくすることができる。
【0008】
第4観点の熱交換器ユニットは、第1から第3観点の熱交換器ユニットにおいて、前記ケースは、天板と、底板と、前記ケース内の空間を熱交換室と機械室とに仕切る仕切板とを含む。
この構成によれば、ベルマウスの強度を好適に保持しつつ、圧力変動成分透過部を配置することができる。
【0009】
第5観点の熱交換器ユニットは、第1から第4観点の熱交換器ユニットにおいて、前記圧力変動成分透過部は、前記ベルマウスの周壁を厚さ方向に連通する平均気孔径が1000μm以下の気孔を有する。
この構成によれば、ベルマウスと軸流ファンとの間を通過する空気に圧力変動が生じた際に、周壁付近の空気が圧力変動成分透過部を透過することを許容しつつ、過剰の空気が圧力変動成分透過部を透過することが抑制される。これによって、軸流ファンを通過する空気のロスを低減することができる。
【0010】
第6観点の熱交換器ユニットは、第5観点の熱交換器ユニットにおいて、前記圧力変動成分透過部は、前記周壁を厚さ方向に連通する平均気孔径が700μm以下の気孔を有する。
この構成によれば、ベルマウスと軸流ファンとの間を通過する空気に圧力変動が生じた際に、周壁付近の空気が圧力変動成分透過部を透過することを許容しつつ、過剰の空気が圧力変動成分透過部を透過することが抑制される。これによって、軸流ファンを通過する空気のロスを低減することができる。
【0011】
上記課題を解決する第7観点の室外機は、第1から第6観点の熱交換器ユニットを備える。
この構成によれば、ベルマウスと軸流ファンとの間を通過する空気に圧力変動が生じた際に、空気が圧力変動成分透過部を透過しやすくなるため、圧力変動を小さくすることができる。これによって、ベルマウスに発生する表面渦を軽減することができるため、表面渦に起因する風切り音を好適に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】熱交換器ユニットを備える室外機の内部を模式的に示す正面図である。
【
図2】
図1の室外機の内部を模式的に示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<室外機>
図1および
図2に示すように、室外機10は、熱交換器ユニット20を備える。室外機10は、居室内の空間の冷房や暖房を行う空気調和機の室外機である。室外機10は、横長の直方体の形状を有する。室外機10は、例えば、トランク型の室外機である。室外機10は、室内機に冷媒配管によって接続される。
【0014】
<熱交換器ユニット>
図1および
図2に示すように、熱交換器ユニット20は、軸流ファン30と、ベルマウス40と、熱交換器50と、ケース60とを備える。軸流ファン30、ベルマウス40および熱交換器50は、ケース60に収容される。ケース60は、天板61と、底板62と、仕切板63とを含む。
【0015】
天板61は、ケース60の上面を構成する。底板62は、ケース60の底面を構成する。天板61および底板62は、矩形板状である。ケース60は、底板62の厚さ方向に延びる外壁64をさらに含む。ケース60は、外壁64における底板62とは反対側の端部に天板61を有する。
【0016】
外壁64は、第1外壁65と、第2外壁66と、第3外壁67と、第4外壁68とを含む。第1外壁65は、ベルマウス40の軸心Cに直交する第1方向A1の一方の外周壁面を構成する。第2外壁66は、ベルマウス40の軸心Cに直交する第1方向A1の他方の外周壁面を構成する。例えば、第1外壁65は、正面視において、ケース60の左側の外周壁面を構成する。例えば、第2外壁66は、正面視において、ケース60の右側の外周壁面を構成する。
【0017】
第3外壁67は、ベルマウス40の軸心Cに沿う第2方向A2の一方の外周壁面を構成する。第4外壁68は、ベルマウス40の軸心Cに沿う第2方向A2の他方の外周壁面を構成する。例えば、第3外壁67は、ケース60の前側の外周壁面を構成し、第4外壁68は、ケース60の後側の外周壁面を構成する。
【0018】
第3外壁67は、円形の開口部67aを有する。開口部67aには、網状の吹き出しグリル11が取り付けられる。第1外壁65は、第1吸込口65aを有する。第4外壁68は、第2吸込口68aを有する。
【0019】
仕切板63は、ケース60内の空間Sを、熱交換室12と機械室13とに仕切る。熱交換室12は、ケース60内の第1外壁65側の空間Sである。熱交換室12には、軸流ファン30、ベルマウス40および熱交換器50等が設けられる。
【0020】
機械室13は、ケース60内の第2外壁66側の空間Sである。機械室13には、圧縮機14および電装品箱15等が設けられる。圧縮機14は、機械室13内の下方に設けられる。電装品箱15は、縦長の箱型であって、仕切板63に沿うように配置されている。電装品箱15には、圧縮機14、軸流ファンモータ16および電子膨張弁等を制御するように構成される電子回路を構成する電装品を搭載した基板等が収容される。
【0021】
軸流ファン30は、回転軸部31と、回転軸部31に接続された翼32とを有する。翼32の枚数は、5枚以下である。例えば、翼32の枚数は、3枚である。軸流ファン30は、回転軸部31が軸流ファンモータ16に接続された状態でケース60に収容されている。軸流ファンモータ16は、熱交換室12に設けられるファンモータ台(図示略)によって支持される。軸流ファンモータ16は、ファンモータ台に取り付けられる。軸流ファンモータ16は、ファンモータ台によって所定位置に配置される。軸流ファン30は、軸流ファンモータ16の回転軸16aに接続され、軸流ファンモータ16の回転によって一方向に回転する。
【0022】
熱交換器50は、第1外壁65に設けられる第1吸込口65aおよび第4外壁68に設けられる第2吸込口68aに沿うように熱交換室12内に配置されている。熱交換器50は、1個の熱交換器であって、第1吸込口65aおよび第2吸込口68aの内面に沿うように平面視L字型に形成されている。熱交換器50は、伝熱管と多数のフィンとにより構成される。熱交換器50は、例えば、クロス・フィン・チューブ方式またはマイクロチャネル方式の熱交換器である。
【0023】
熱交換器ユニット20は、第1外壁65に設けられる第1吸込口65aおよび第4外壁68に設けられる第2吸込口68aから導入された空気を、軸流ファン30の翼32の回転によって、ケース60の開口部67aから吹き出すように構成されている。開口部67aは、吹き出し口ともいう。軸流ファン30によってケース60の外から吸い込まれる外気は、熱交換器50の伝熱管およびフィンを介して伝熱管内の冷媒と熱交換を行う。
【0024】
<ベルマウス>
図2および
図3を参照して、ベルマウス40を説明する。ベルマウス40は、ケース60の開口部67aの周縁に取り付けられた状態でケース60に収容されている。
図3に示すように、ベルマウス40は、正面視で円環状に繋がった周壁41を有している。周壁41は、吹出部42と、円筒部43と、吸込部44とを有する。
【0025】
吹出部42は、ベルマウス40の下流側の端部45に位置する。吹出部42は、ベルマウス40の上流側の端部46に向かうにつれて、内径が小さくなるように湾曲する。円筒部43は、吹出部42の上流側の端部から連続してベルマウス40の上流側の端部46に向かって延びる。円筒部43の内径は、吹出部42の上流側の端部から吸込部44の下流側の端部にわたって一定である。円筒部43の軸心は、ベルマウス40の軸心Cと一致する。
【0026】
吸込部44は、円筒部43の上流側の端部から連続して延びる。吸込部44は、円筒部43の上流側の端部からベルマウス40の上流側の端部46に向かうにつれて、内径が大きくなるように湾曲する。
【0027】
周壁41の厚さは特に制限されない。周壁41の厚さは、例えば、1mm以上である。周壁41の厚さは、2mm以上であることが好ましい。周壁41の厚さは、例えば、10mm以下である。周壁41の厚さは、5mm以下であることが好ましい。周壁41の厚さは、2mm以上かつ5mm以下であることが好ましい。
【0028】
周壁41の材質は特に制限されない。周壁41の材質は、例えば、樹脂、セラミックス、金属等である。周壁41の材質が樹脂である場合、ベルマウス40の強度を保持しつつ軽量化できるため好ましい。
【0029】
図1および
図3に示すように、ベルマウス40は、圧力変動成分透過部70を有する。
図1および
図3では、圧力変動成分透過部70がドットによって表示される。
【0030】
<圧力変動成分透過部>
図3を参照して、圧力変動成分透過部70を説明する。圧力変動成分透過部70は、軸流ファン30とベルマウス40との間に生じる圧力変動を低減するように構成される。
ベルマウス40に設けられる圧力変動成分透過部70と、ケース60または熱交換器50との最短距離Lは、10mm以上である。圧力変動成分透過部70と、ケース60または熱交換器50との最短距離Lは、20mm以上であることが好ましい。最短距離Lは、ベルマウス40の径方向の外側面40aから天板61、底板62、仕切板63または熱交換器50までの最短距離である。
【0031】
ベルマウス40の周壁41のうち、ケース60または熱交換器50と最も接近する最接近部分47が10mm未満である場合がある。この場合、圧力変動成分透過部70は、ベルマウス40の周壁41のうち、ケース60または熱交換器50と最も接近する最接近部分47以外の部分に、設けられる。具体的には、圧力変動成分透過部70は、ベルマウス40の周壁41のうち、ケース60と最も接近する最接近部分47以外の部分に、設けられる。または、圧力変動成分透過部70は、ベルマウス40の周壁41のうち、熱交換器50と最も接近する最接近部分47以外の部分に、設けられる。
【0032】
一例では、圧力変動成分透過部70は、ベルマウス40の周壁41において、圧力変動成分透過部70と、ケース60または熱交換器50との最短距離Lが10mm以上である部分に周方向に沿って4つ設けられる。例えば、圧力変動成分透過部70は、周壁41の円筒部43に設けられる。圧力変動成分透過部70は、周壁41の円筒部43と、吹出部42の一部と、吸込部44の一部とに跨って設けられてもよい。
【0033】
圧力変動成分透過部70は、周壁41の円筒部43、吹出部42および吸込部44の表面に沿って面一である。圧力変動成分透過部70の厚さは、周壁41の圧力変動成分透過部70以外の箇所の厚さと実質的に同じ厚さである。
【0034】
圧力変動成分透過部70は、多孔質体で構成される。多孔質体は、周壁41を厚さ方向に貫通する。多孔質体は、外部に連通した開気孔を有する。開気孔は、周壁41を厚さ方向に連通した気孔となっている。開気孔の平均気孔径は、特に制限されない。開気孔の平均気孔径は、1000μm以下であることが好ましく、700μm以下であることがより好ましい。平均気孔径の測定方法は特に制限されない。平均気孔径は、例えば、BET法ともいうガス吸着法によって測定できる。
【0035】
圧力変動成分透過部70の材質は特に制限されない。多孔質体の材質は、例えば、樹脂、セラミックス、金属等である。例えば、樹脂は、発泡樹脂である。例えば、セラミックスまたは金属は、多孔質焼結体である。金属は、メッシュともいう網状体であってもよい。多孔質体の材質は、多孔質焼結体であると平均気孔径を制御しやすいため好ましい。
【0036】
ベルマウス40の周壁41に圧力変動成分透過部70を設ける方法は特に制限されない。例えば、ベルマウス40の周壁41に圧力変動成分透過部70を嵌合させるための開口を設け、所定形状を有する圧力変動成分透過部70を、開口に嵌合させることによって、周壁41に圧力変動成分透過部70を設けることができる。圧力変動成分透過部70は、公知の接着剤を用いて、圧力変動成分透過部70をベルマウス40の周壁41の開口に対応する部分に取り付けられてもよい。圧力変動成分透過部70は、インサート成型によって、ベルマウス40に設けられてもよい。
【0037】
図3に示すように、圧力変動成分透過部70には、ベルマウス40の強度を保持するための補強部材80が設けられる。補強部材80については後述する。
【0038】
<補強部材>
図3を参照して、補強部材80を説明する。補強部材80は、ベルマウス40の周方向において、圧力変動成分透過部70に1つ以上設けられる。補強部材80は、圧力変動成分透過部70のうちの圧縮を受ける部分に設けることが好ましい。例えば、補強部材80は、圧力変動成分透過部70の内側面71において、ベルマウス40の径方向に対して垂直となるように、内側面71に設けられる。例えば、補強部材80は、圧力変動成分透過部70の内側面71の中央部分に設けられる。
図3では、斜視において内側面71に設けられる補強部材80が見える場合は実線によって示し、内側面71に設けられる補強部材80が見えない場合は破線によって示している。
【0039】
補強部材80の幅Wは、50mm以下であることが好ましい。圧力変動成分透過部70がベルマウス40の異なる箇所に複数設けられる場合、補強部材80は、1つ以上の圧力変動成分透過部70に設けられる。ベルマウス40に補強部材80が2つ以上設けられる場合、補強部材80は、ベルマウス40の周方向において、間隔をあけて圧力変動成分透過部70に設けられる。圧力変動成分透過部70の1つに補強部材80が2つ以上設けられる場合、補強部材80は、ベルマウス40の周方向において間隔をあけて設けられる。
【0040】
補強部材80は、例えば、リブである。リブは、例えば、金属製である。補強部材80がリブである場合、内側面71に対して突出するように構成される。補強部材80は、樹脂製のシール部材であってもよい。
【0041】
<実施形態の作用>
本実施形態の熱交換器ユニット20および室外機10は、ベルマウス40に設けられる圧力変動成分透過部70と、ケース60または熱交換器50との最短距離Lが10mm以上である。したがって、軸流ファン30の周囲を通過する空気に圧力変動が生じた際に、圧力変動成分透過部70を空気が通過しやすくなる。言い換えれば、圧力変動が生じた空気が圧力変動成分透過部70を通して逃げやすくなる。
【0042】
<実施形態の効果>
実施形態の効果について説明する。
(1)熱交換器ユニット20は、軸流ファン30と、ベルマウス40と、熱交換器50と、軸流ファン30、ベルマウス40および熱交換器50が収容されるケース60と、を備える熱交換器ユニット20において、ベルマウス40は、圧力変動成分透過部70を有し、圧力変動成分透過部70と、ケース60または熱交換器50との最短距離Lは、10mm以上であり、圧力変動成分透過部70は、軸流ファン30とベルマウス40との間に生じる圧力変動を低減するように構成される。
この構成によれば、最短距離Lが10mm以上に確保されていることによって、ベルマウス40と軸流ファン30との間を通過する空気に圧力変動が生じた際に、空気が圧力変動成分透過部70を透過しやすくなるため、圧力変動を小さくすることができる。これによって、ベルマウス40に発生する表面渦を軽減することができるため、表面渦に起因する風切り音を好適に低減できる。また、最短距離Lが10mm以上となる部分に選択的に圧力変動成分透過部70を設けることができる。
【0043】
(2)圧力変動成分透過部70に、ベルマウス40の強度を保持するための補強部材80が設けられ、補強部材80は、ベルマウス40の周方向において、圧力変動成分透過部70に1つ以上設けられ、補強部材80の幅Wは、50mm以下であり、圧力変動成分透過部70に補強部材80が2つ以上設けられる場合、補強部材80は、ベルマウス40の周方向において間隔をあけて設けられる。
この構成によれば、ベルマウス40に圧力変動成分透過部70を配置しつつ、ベルマウス40の強度を向上できる。
【0044】
(3)圧力変動成分透過部70は、ベルマウス40の周壁41のうち、前記ケースまたは熱交換器50と最も接近する最接近部分47以外の部分に、設けられる。
この構成によれば、ベルマウス40と軸流ファン30との間を通過する空気に圧力変動が生じた際に、空気が圧力変動成分透過部70を透過しやすくなるため、圧力変動を小さくすることができる。
【0045】
(4)ケース60は、天板61と、底板62と、ケース60内の空間Sを熱交換室12と機械室13とに仕切る仕切板63とを含む。
この構成によれば、ベルマウス40と軸流ファン30との間を通過する空気に圧力変動が生じた際に、空気が圧力変動成分透過部70を透過しやすくなるため、圧力変動を小さくすることができる。
【0046】
(5)圧力変動成分透過部70は、ベルマウス40の周壁41を厚さ方向に連通する平均気孔径が1000μm以下の気孔を有する。
この構成によれば、ベルマウス40と軸流ファン30との間を通過する空気に圧力変動が生じた際に、周壁41付近の空気が圧力変動成分透過部70を透過することを許容しつつ、過剰の空気が圧力変動成分透過部70を透過することが抑制される。これによって、軸流ファン30を通過する空気のロスを低減することができる。
【0047】
(6)圧力変動成分透過部70は、ベルマウス40の周壁41を厚さ方向に連通する平均気孔径が700μm以下の気孔を有する。
この構成によれば、ベルマウス40と軸流ファン30との間を通過する空気に圧力変動が生じた際に、周壁41付近の空気が圧力変動成分透過部70を透過することを許容しつつ、過剰の空気が圧力変動成分透過部70を透過することが抑制される。これによって、軸流ファン30を通過する空気のロスを低減することができる。
【0048】
(7)室外機10は、熱交換器ユニット20を備える。
この構成によれば、ベルマウス40と軸流ファン30との間を通過する空気に圧力変動が生じた際に、空気が圧力変動成分透過部70を透過しやすくなるため、圧力変動を小さくすることができる。これによって、ベルマウス40に発生する表面渦を軽減することができるため、表面渦に起因する風切り音を好適に低減できる。
【0049】
<変更例>
本開示の熱交換器ユニット20および室外機10は、上記実施形態以外に、例えば以下に示される変更例、及び相互に矛盾しない少なくとも二つの変更例を組み合わせた形態としてもよい。
【0050】
・室外機10は、冷凍サイクルによって温水を生成し、かつ、生成された温水を貯湯するヒートポンプ式給湯装置の室外機であってもよい。
【0051】
・補強部材80は、ベルマウス40の周方向において、1つの圧力変動成分透過部70に対して2つ以上設けられてもよい。
【0052】
・圧力変動成分透過部70の数は、4つに限定されない。圧力変動成分透過部70の数は、3つ以下であってもよいし、5つ以上であってもよい。1つの圧力変動成分透過部70と、他の圧力変動成分透過部70との間隔はランダムであってもよい。
【0053】
・本実施形態において、圧力変動成分透過部70は、周壁41の円筒部43に設けられているとともに、吹出部42の一部と、吸込部44の一部とに跨って設けられていたが、この態様に限定されない。圧力変動成分透過部70は、周壁41の円筒部43のみに設けられていてもよい。
【0054】
・本実施形態において、ベルマウス40の周壁41は、吹出部42と、円筒部43と、吸込部44とを有していたが、この態様に限定されない。ベルマウス40の周壁41は、円筒部43を有していなくてもよい。ベルマウス40の周壁41が、吹出部42と吸込部44とが連続した状態で構成されていてもよい。
【0055】
・本実施形態において、圧力変動成分透過部70を構成する多孔質体は、発泡樹脂や、多孔質焼結体に限定されない。圧力変動成分透過部70は、一方向に沿った多数の貫通孔を有する多孔質体であってもよい。例えば、樹脂製の中実体に対して、一方向から針状部材を複数回挿入することによって、一方向に沿った多数の貫通孔を有する多孔質体を作製することができる。
【0056】
・圧力変動成分透過部70からケース60までの最短距離と、圧力変動成分透過部70から熱交換器50までの最短距離とは、ともに10mm以上であってもよい。ベルマウス40の外側面40aから天板61までの最短距離と、外側面40aから底板62までの最短距離と、外側面40aから仕切板63までの最短距離と、外側面40aから熱交換器50までの最短距離とは、全て10mm以上であってもよい。
【0057】
・圧力変動成分透過部70は、ベルマウス40の周壁41のうちケース60と最も接近する最接近部分47以外の部分に設けられ、かつ、周壁41のうち熱交換器50と最も接近する最接近部分47以外の部分に設けられてもよい。
【0058】
・以上、熱交換器ユニット20および室外機10の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された熱交換器ユニット20および室外機10の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0059】
10…室外機、12…熱交換室、13…機械室、20…熱交換器ユニット、30…軸流ファン、40…ベルマウス、41…周壁、47…最接近部分、50…熱交換器、60…ケース、61…天板、62…底板、63…仕切板、70…圧力変動成分透過部、80…補強部材、L…最短距離、S…空間、W…幅。