(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141624
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】鋼管部材の連結構造および鋼管部材の連結方法
(51)【国際特許分類】
E04B 1/58 20060101AFI20241003BHJP
E04B 1/24 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
E04B1/58 503H
E04B1/24 P
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053373
(22)【出願日】2023-03-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-19
(71)【出願人】
【識別番号】593071971
【氏名又は名称】株式会社ユニテック
(71)【出願人】
【識別番号】594162515
【氏名又は名称】阪和興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】内藤 勤伍
(72)【発明者】
【氏名】内藤 浩行
(72)【発明者】
【氏名】平田 研二
(72)【発明者】
【氏名】坂井 秀彰
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA03
2E125AB16
2E125AC16
2E125AG03
2E125AG41
2E125AG57
2E125BB09
2E125BB14
2E125BB16
2E125BB22
2E125BC09
2E125BD01
2E125BE02
2E125BF05
2E125BF08
2E125CA03
2E125CA06
2E125CA14
2E125EA33
(57)【要約】
【課題】屋外での溶接作業を不要とする、鋼管部材の連結構造および鋼管部材の連結方法を提供する。
【解決手段】第1方向に延在する第1鋼管部材に固定される第1継手部材と、第1方向に延在する第2鋼管部材に固定される第2継手部材とを有する連結継手と、第2方向に延在するとともに連結継手に対して挿入可能に構成される連結部材と、を備え、第1継手部材は、第1延在溝部と、第3方向に溝幅が拡大している第1係合溝部と、を有し、第2継手部材は、第2延在溝部と、第3方向に溝幅が拡大している第2係合溝部と、を有し、連結部材は、第1延在溝部および第2延在溝部に収容される係合連通部と、係合連通部に対して第3方向に突出するとともに第1係合溝部に収容される第1係合凸部と、係合連通部に対して第3方向に突出するとともに第2係合溝部に収容される第2係合凸部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延在する第1鋼管部材の第1側端部に固定される第1継手部材と、前記第1鋼管部材に対向するとともに前記第1方向に延在する第2鋼管部材の第2側端部に固定される第2継手部材とを有する連結継手と、
前記第1方向に交差する第2方向に延在するとともに前記連結継手に対して挿入可能に構成される連結部材と、を備え、
前記第1継手部材は、前記第2継手部材の側において開口するとともに前記第2方向に延在する第1延在溝部と、前記第1延在溝部の底部側と連通するとともに前記第1方向および前記第2方向に交差する第3方向に溝幅が拡大している第1係合溝部と、を有し、
前記第2継手部材は、前記第1継手部材の側において開口するとともに前記第2方向に延在する第2延在溝部と、前記第2延在溝部の底部側と連通するとともに前記第3方向に溝幅が拡大している第2係合溝部と、を有し、
前記連結部材は、前記第1延在溝部および前記第2延在溝部に収容される係合連通部と、前記係合連通部に対して前記第3方向に突出するとともに前記第1係合溝部に収容される第1係合凸部と、前記係合連通部に対して前記第3方向に突出するとともに前記第2係合溝部に収容される第2係合凸部と、を有する、鋼管部材の連結構造。
【請求項2】
前記第1継手部材および前記第2継手部材が対面した前記連結継手に対して前記連結部材を挿入した状態で、前記連結継手および前記連結部材を継手用締結部材で締結することによって、前記第1鋼管部材および前記第2鋼管部材が連結される、請求項1に記載の鋼管部材の連結構造。
【請求項3】
前記連結部材における前記第1係合凸部および前記第2係合凸部は、前記第3方向の一側および/または他側に突出する、請求項1に記載の鋼管部材の連結構造。
【請求項4】
前記連結部材は、断面視で、I字形状を有する、請求項1に記載の鋼管部材の連結構造。
【請求項5】
前記第1継手部材は、第1端部を有し、前記第2継手部材は、前記第1端部に対面する第2端部を有し、
前記第1端部または前記第2端部のいずれか一方には、シアキーが配設され、前記第1端部または前記第2端部のいずれか他方には、前記シアキーに係合するキー溝が配設される、請求項1に記載の鋼管部材の連結構造。
【請求項6】
前記第1継手部材は、それぞれが平面視で台形状を有する4つの第1継手要素で構成されるとともに、前記第2継手部材は、それぞれが平面視で台形状を有する4つの第2継手要素で構成され、
前記連結部材は、前記第1継手要素および前記第2継手要素に対応する4つの連結要素で構成される、請求項1に記載の鋼管部材の連結構造。
【請求項7】
前記4つの連結要素は、3対の前記第1継手要素および前記第2継手要素に係合する1つの長尺連結要素と、2対の前記第1継手要素および前記第2継手要素に係合する一方の中間連結要素および他方の中間連結要素と、1対の前記第1継手要素および前記第2継手要素に係合する1つの短尺連結要素と、によって構成され、
前記長尺連結要素、前記一方の中間連結要素、前記短尺連結要素、前記他方の中間連結要素の順で前記連結継手に挿入される、請求項6に記載の鋼管部材の連結構造。
【請求項8】
前記短尺連結要素と前記他方の中間連結要素とは、連結要素用係止部材で係止される、請求項7に記載の鋼管部材の連結構造。
【請求項9】
前記第1鋼管部材および前記第2鋼管部材は、中空の角形鋼管または中空の円形鋼管である、請求項1に記載の鋼管部材の連結構造。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の連結構造を用いて構築される、建造物。
【請求項11】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の連結構造を用いる鋼管部材の連結方法であって、
前記連結継手および前記連結部材を連結して一体化するステップと、
一体化した前記連結継手および前記連結部材を、互いに対向する前記第1鋼管部材および前記第2鋼管部材の間にセットするステップと、
エレクションピースを用いて前記第1鋼管部材および前記第2鋼管部材を仮固定するステップと、
前記第1継手部材を前記第1鋼管部材に固定するとともに前記第2継手部材を前記第2鋼管部材に固定するステップと、
前記連結継手から前記連結部材を取り外すステップと、
前記第1鋼管部材および前記第2鋼管部材を現場で組み立てるステップと、
前記エレクションピースを用いて前記第1鋼管部材および前記第2鋼管部材を仮固定するステップと、
前記連結部材を前記連結継手に挿入するステップと、
前記エレクションピースを除去するステップと、を備える、鋼管部材の連結方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鋼管部材の連結構造および鋼管部材の連結方法に関する。
【背景技術】
【0002】
柱などに用いられる鋼管部材を上下方向に連結(接合)する構造として、例えば特許文献1に示すように、上鋼管部材の端部と下鋼管部材の端部とを工事現場で溶接して連結する溶接継手構造が広く用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示される溶接継手構造では、工事現場における屋外作業(以下、単に屋外作業という)による溶接を必要とする。そのため、天候の影響を受けて工期が長くなること、熟練した溶接工を必要とすること、溶接品質が安定しないこと、溶接部に対する超音波探傷試験等の現場検査を必要とすることなどの課題を有する。
【0005】
また、近年、地球温暖化を防止するために、工事現場においても、温室効果ガスとして働く二酸化炭素の排出量を削減することが求められている。溶接作業では、二酸化炭素がシールドガスとして用いられるともに、溶接自体に多量の電気を消費する。化石燃料を用いた発電では、多くの二酸化炭素が排出される。屋外における溶接作業は、工場などの屋内における溶接作業よりも溶接時間が長くなるため、二酸化炭素の排出量が多くなるという課題を有する。
【0006】
そこで、この発明の課題は、屋外での溶接作業を不要とする、鋼管部材の連結構造および鋼管部材の連結方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明の一態様に係る鋼管部材の連結構造は、
第1方向に延在する第1鋼管部材の第1側端部に固定される第1継手部材と、前記第1鋼管部材に対向するとともに前記第1方向に延在する第2鋼管部材の第2側端部に固定される第2継手部材とを有する連結継手と、
前記第1方向に交差する第2方向に延在するとともに前記連結継手に対して挿入可能に構成される連結部材と、を備え、
前記第1継手部材は、前記第2継手部材の側において開口するとともに前記第2方向に延在する第1延在溝部と、前記第1延在溝部の底部側と連通するとともに前記第1方向および前記第2方向に交差する第3方向に溝幅が拡大している第1係合溝部と、を有し、
前記第2継手部材は、前記第1継手部材の側において開口するとともに前記第2方向に延在する第2延在溝部と、前記第2延在溝部の底部側と連通するとともに前記第3方向に溝幅が拡大している第2係合溝部と、を有し、
前記連結部材は、前記第1延在溝部および前記第2延在溝部に収容される係合連通部と、前記係合連通部に対して前記第3方向に突出するとともに前記第1係合溝部に収容される第1係合凸部と、前記係合連通部に対して前記第3方向に突出するとともに前記第2係合溝部に収容される第2係合凸部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、連結部材を連結継手に挿入することによって第1鋼管部材および第2鋼管部材を連結できるので、屋外での溶接作業が不要になり、安定した高品質な連結が得られ、二酸化炭素の排出量を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明の一実施形態に係る鋼管部材の連結構造を説明する模式的断面図である。
【
図2】
図1に示した鋼管部材の連結構造を説明する模式的側面図である。
【
図3】
図1に示した鋼管部材の連結構造を説明する模式的平面図である。
【
図4A】
図1に示した連結構造における第1継手部材を説明する要部平面図である。
【
図5】
図1に示した連結構造における第2継手部材を説明する平面図である。
【
図6A】
図5に示した第2継手部材を説明する要部平面図である。
【
図7】
図1に示した連結構造における連結部材を説明する模式的平面図である。
【
図8A】
図1に示した連結構造における連結板の正面図である。
【
図8B】
図1に示した連結構造におけるシアキーの正面図である。
【
図8C】
図1に示した連結構造における連結ボルトの正面図である。
【
図9】エレクションピースを用いた鋼管部材の仮固定を説明する模式的平面図である。
【
図10】
図9に示した仮固定の要部を説明する模式的側面図である。
【
図11】この発明に係る鋼管部材の連結方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、この発明に係る鋼管部材1,2の連結構造10の実施の形態を説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向あるいは位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」を含む用語)を用いるが、それらの用語の使用は、図面を参照した本開示の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本開示の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の説明は、単なる例示に過ぎず、本開示、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。さらに、図面は模式的なものであり、各部材や部分の寸法比率などは、現実のものとは必ずしも合致するものではない。
【0011】
〔実施形態〕
図1から
図8Cを参照しながら、一実施形態に係る鋼管部材1,2の連結構造10を説明する。
【0012】
図1は、この発明の一実施形態に係る鋼管部材1,2の連結構造10を説明する模式的断面図である。
図2は、
図1に示した鋼管部材1,2の連結構造10を説明する模式的側面図である。
図3は、
図1に示した鋼管部材1,2の連結構造10を説明する模式的平面図である。
図4Aは、
図1に示した連結構造10における第1継手部材3を説明する要部平面図である。
図4Bは、
図4Aに示した第1継手部材3の要部側面図である。
図4Cは、
図4Aの4C-4C線に沿った断面図である。
図5は、
図1に示した連結構造10における第2継手部材4を説明する平面図である。
図6Aは、
図5に示した第2継手部材4を説明する要部平面図である。
図6Bは、
図6Aに示した第2継手部材4の要部側面図である。
図6Cは、
図6Aの6C-6C線に沿った断面図である。
図7は、
図1に示した連結構造10における連結部材5を説明する模式的平面図である。
図8Aは、
図1に示した連結構造10における連結板9の正面図である。
図8Bは、
図1に示した連結構造10におけるシアキー29の正面図である。
図8Cは、
図1に示した連結構造10における連結ボルト19の正面図である。
【0013】
工事現場において第1鋼管部材1の端部および第2鋼管部材2の端部を対面させて鋼管部材1,2を第1方向(例えば、上下方向)に順次連結(接合)することで建造物の柱を構築する場合において、この発明に係る連結構造10を適用する実施の形態を説明する。
【0014】
図1から
図8Cに示すように、連結構造10は、連結継手7と、連結部材5と、を備える。
図1に示すように、連結継手7は、連結構造10の略中央に位置して、第1継手部材3および第2継手部材4を有する。
図7に示すように、連結部材5は、複数の連結要素から構成され、例えば4個の連結要素5-1,5-2,5-3,5-4から構成される。連結部材5は、連結構造10の内部に位置して、連結継手7の収容部25に対して挿入可能に構成される。これらの詳細は後述する。
【0015】
連結構造10は、さらに、
図8Aに示す連結板9と、
図8Bに示すシアキー29と、
図8Cに示す連結ボルト19と、を有する。連結継手7、連結部材5、連結板9、シアキー29および連結ボルト19は、例えば、第1鋼管部材1および第2鋼管部材2と同じ材質であり、鋼材からなる。
【0016】
図2において、第1鋼管部材1は、柱の上側部分に対応して第1方向(上下方向)に延びる中空の角形鋼管であり、第2鋼管部材2は、柱の下側部分に対応して第1方向(上下方向)に延びる中空の角形鋼管である。工事現場では、第2鋼管部材2は、第1方向(上下方向)において第1鋼管部材1の下側に対向配置される。第1鋼管部材1および第2鋼管部材2は、第1方向(上下方向)に対して交差する第2方向(具体的には、第1方向に直交する方向であり左右方向である)の断面が同じ形状および同じ寸法を有する。第1鋼管部材1および第2鋼管部材2は、直線状の柱辺部およびわずかに湾曲した柱コーナー部を有する多角形断面形状を有し、例えば、4つの柱辺部および4つの柱コーナー部を有する大略四角形断面形状を有する。
【0017】
連結継手7は、第1継手部材3と、第1継手部材3に対面する第2継手部材4とを有する。
【0018】
第1継手部材3は、第1鋼管部材1の下端に位置する第1側端部1aに対して、例えば全周に形成される溶接部8によって固定される。第2継手部材4は、第2鋼管部材2の上端に位置する第2側端部2aに対して、例えば全周に形成される溶接部8によって固定される。なお、後述するように、溶接部8を形成するための溶接作業は、天候の影響を受ける屋外ではなくて、天候の影響を受けない屋内において行われる。
【0019】
第1継手部材3は、第1鋼管部材1の第1側端部1aでの断面形状に対応した多角形断面形状を有する。第1継手部材3は、第1方向(上下方向)の断面が、第2継手部材4に対向する側の第1端部3hが開口したU字形状を有する。
【0020】
図3および
図4Aに示すように、第1継手部材3は、複数の第1継手要素から構成され、例えば4個の第1継手要素3-1,3-2,3-3,3-4から構成される。第1継手要素3-1,3-2,3-3,3-4は、例えば、平面視で台形状を有する。直交方向断面が正方形や長方形の四角形という汎用的な断面形状を有する第1鋼管部材1および第2鋼管部材2に適用することが容易である。第1継手要素3-1,3-2,3-3,3-4は、例えば、平面視で等脚台形状を有する。第1継手要素3-1,3-2,3-3,3-4のコーナー部では、外側面と第1接合面3gとが、例えば45度の角度をなす。例えば、或る第1継手要素3-1の第1接合面3gと、或る第1継手要素3-1の隣に位置する第1継手要素3-2の第1接合面3gとが当接することにより、或る第1継手要素3-1と隣の第1継手要素3-2とが直交した形状を画定する。
【0021】
図1、
図3、
図4A、
図4Bおよび
図4Cに示すように、第1継手部材3の第1継手要素3-1,3-2,3-3,3-4は、それぞれ、第1係合溝部3cと、第1延在溝部3dとを有する。
【0022】
第1延在溝部3dは、第2継手部材4の側において開口している。第1延在溝部3dは、第1係合溝部3cに連通するとともに第2継手部材4の第2延在溝部4dにつなぐように第1方向(上下方向)に延在する。第1係合溝部3cは、第1延在溝部3dの底部側に位置して底部側と連通している。第1係合溝部3cは、第3方向(第1方向および第2方向に交差する方向)の一側および/または他側に凹んだ形状、言い換えると第1延在溝部3dに対して第3方向での溝幅が拡大した形状を有する。例えば、第1係合溝部3cは、第3方向(第1方向および第2方向に直交する方向)の一側(例えば外側)および他側(例えば内側)に凹んだ形状を有する。この場合、第1継手要素3-1,3-2,3-3,3-4には、断面視でT字状の溝が形成される。
【0023】
第1継手要素3-1,3-2,3-3,3-4の各第1端部3hには、複数のキー溝39が形成される。キー溝39は、第1端部3hに対して第1方向(上下方向)に凹んでいて、後述するシアキー29に係合するように構成される。
【0024】
第1継手要素3-1,3-2,3-3,3-4は、その外側において挿通穴34を有するとともに、その内側において雌ネジ部35を有する。挿通穴34および雌ネジ部35は、第1継手要素3-1,3-2,3-3,3-4の長手方向に直交する長手直交方向に整列して延在している。
【0025】
第2継手部材4は、第2鋼管部材2の第2側端部2aでの断面形状に対応した多角形断面形状を有する。第2継手部材4は、第1方向(上下方向)の断面が、第1継手部材3に対向する側の第2端部4hが開口したU字形状を有する。
【0026】
図5および
図6Aに示すように、第2継手部材4は、複数の第2継手要素から構成され、例えば4個の第2継手要素4-1,4-2,4-3,4-4から構成される。第2継手要素4-1,4-2,4-3,4-4は、例えば、平面視で台形状を有する。これにより、直交方向断面が正方形や長方形の四角形という汎用的な断面形状を有する第1鋼管部材1および第2鋼管部材2に適用することが容易である。第2継手要素4-1,4-2,4-3,4-4は、例えば、平面視で等脚台形状を有する。第2継手要素4-1,4-2,4-3,4-4のコーナー部では、外側面と第2接合面4gとが、例えば45度の角度をなす。例えば、或る第2継手要素4-1の第2接合面4gと、或る第2継手要素4-1の隣に位置する第2継手要素4-2の第2接合面4gとが当接することにより、或る第2継手要素4-1と隣の第2継手要素4-2とが直交した形状を画定する。
【0027】
図1、
図5、
図6A、
図6Bおよび
図6Cに示すように、第2継手部材4の第2継手要素4-1,4-2,4-3,4-4は、それぞれ、第2係合溝部4cと、第2延在溝部4dとを有する。
【0028】
第2延在溝部4dは、第1継手部材3の側において開口している。第2延在溝部4dは、第2係合溝部4cに連通するとともに第1継手部材3の第1延在溝部3dにつなぐように第1方向(上下方向)に延在する。第2係合溝部4cは、第2延在溝部4dの底部側に位置して底部側と連通している。第2係合溝部4cは、第3方向(第1方向および第2方向に交差する方向)の一側および/または他側に凹んだ形状、言い換えると第2延在溝部4dに対して第3方向での溝幅が拡大した形状を有する。例えば、第2係合溝部4cは、第3方向(第1方向および第2方向に直交する方向)の一側(例えば外側)および他側(例えば内側)に凹んだ形状を有する。この場合、第2継手要素4-1,4-2,4-3,4-4には、断面視で逆T字状の溝が形成される。
【0029】
図4Bに示す第1継手部材3の第1係合溝部3cおよび第1延在溝部3dと、
図6Bに示す第2継手部材4の第2係合溝部4cおよび第2延在溝部4dとによって、収容部25が形成される。
図2に示すように、収容部25は、連結部材5を挿入可能に収容するべく、例えば、断面視でI字形状の空洞を有する。
【0030】
第2継手要素4-1,4-2,4-3,4-4は、その外側において挿通穴34を有するとともに、その内側において雌ネジ部35を有する。挿通穴34および雌ネジ部35は、第2継手要素4-1,4-2,4-3,4-4の長手方向に直交する長手直交方向に整列して延在している。
【0031】
第2継手要素4-1,4-2,4-3,4-4の各第2端部4hには、複数のシアキー29が配設される。シアキー29は、例えば、
図8Bに示すように、直方体形状を有する。シアキー29は、第2端部4hに対して第1方向(上下方向)に突出するように連結ボルト33で固定されて、キー溝39と係合するように構成される。これにより、交差方向(直交方向であり左右方向)に作用するせん断力に抗することができる。
【0032】
図1に示すように、連結部材5は、例えば、断面視で、I字形状を有する。連結部材5は、第1係合凸部5cと、係合連通部5dと、第2係合凸部5eとを有する。第1係合凸部5cは、第1鋼管部材1の第1側端部1aの側に位置する。第1係合凸部5cは、交差方向(直交方向であり左右方向)の一側(例えば外側)および他側(例えば内側)に突出して、第1係合溝部3cに収容されるように構成される。第2係合凸部5eは、第2鋼管部材2の第2側端部2aの側に位置する。第2係合凸部5eは、交差方向(直交方向であり左右方向)の一側(例えば外側)および他側(例えば内側)に突出して、第2係合溝部4cに収容されるように構成される。係合連通部5dは、第1方向(上下方向)に延在して、第1係合凸部5cおよび第2係合凸部5eをつなぐ。
【0033】
図7に示すように、連結部材5は、複数の連結要素から構成され、例えば4個の連結要素5-1,5-2,5-3,5-4から構成される。連結要素5-1,5-2,5-3,5-4は、例えば、平面視で、矩形状を有し、例えば正方形状を有する。
【0034】
連結要素5-1は、3対の第1継手要素および第2継手要素に係合する長尺連結要素5-1に該当する。具体的には、長尺連結要素5-1は、1対の第1継手要素3-4および第2継手要素4-4と部分的に係合し、1対の第1継手要素3-1および第2継手要素4-1と全体的に係合し、1対の第1継手要素3-2および第2継手要素4-2と部分的に係合する。そして、長尺連結要素5-1は、1対の第1継手要素3-4および第2継手要素4-4の側から挿入されて、1対の第1継手要素3-1および第2継手要素4-1の長手方向に延在する。
【0035】
連結要素5-2は、2対の第1継手要素および第2継手要素に係合する一方の中間連結要素5-2に該当する。具体的には、一方の中間連結要素5-2は、1対の第1継手要素3-2および第2継手要素4-2と全体的に係合し、1対の第1継手要素3-3および第2継手要素4-3と部分的に係合する。そして、一方の中間連結要素5-2は、1対の第1継手要素3-3および第2継手要素4-3の側から挿入されて、1対の第1継手要素3-2および第2継手要素4-2の長手方向に延在する。
【0036】
連結要素5-3は、1対の第1継手要素および第2継手要素に係合する短尺連結要素5-3に該当する。具体的には、短尺連結要素5-3は、1対の第1継手要素3-3および第2継手要素4-3と全体的に係合する。そして、短尺連結要素5-3は、1対の第1継手要素3-4および第2継手要素4-4の側から挿入されて、1対の第1継手要素3-3および第2継手要素4-3の長手方向に延在する。
【0037】
連結要素5-4は、2対の第1継手要素および第2継手要素に係合する他方の中間連結要素5-4に該当する。具体的には、他方の中間連結要素5-4は、1対の第1継手要素3-4および第2継手要素4-4と全体的に係合するとともに、1対の第1継手要素3-3および第2継手要素4-3と部分的に係合する。そして、他方の中間連結要素5-4は、1対の第1継手要素3-3および第2継手要素4-3の側から挿入されて、1対の第1継手要素3-4および第2継手要素4-4の長手方向に延在する。
【0038】
したがって、連結部材5は、長尺連結要素5-1、一方の中間連結要素5-2、短尺連結要素5-3、他方の中間連結要素5-4の順で連結継手7に挿入される。すなわち、
図7に示すように、長尺連結要素5-1が第1挿入方向F1で挿入され、一方の中間連結要素5-2が第2挿入方向F2で挿入され、短尺連結要素5-3が第3挿入方向F3で挿入され、他方の中間連結要素5-4が第4挿入方向F4で挿入される。これにより、長尺連結要素5-1、一方の中間連結要素5-2、短尺連結要素5-3および他方の中間連結要素5-4における相互の位置決めが容易である。そして、一方の中間連結要素5-2の端面および他方の中間連結要素5-4の端面が長尺連結要素5-1の内側面に当接し、短尺連結要素5-3の端面が一方の中間連結要素5-2の内側面に当接し、短尺連結要素5-3の端面が他方の中間連結要素5-4の内側面に当接する。これにより、連結要素5-1,5-2,5-3,5-4のガタつきを防止できる。
【0039】
また、
図7に示すように、1対の第1継手要素3-4および第2継手要素4-4の各外面側に凹部を設け、他方の中間連結要素5-4に挿通穴を設け、短尺連結要素5-3の端面側に雌ネジ穴を設けて、それらが整列するように構成される。それとともに、凹部、挿通穴および雌ネジ穴に挿通および螺合を行って連結要素用係止部材として働く係止ボルト31を用いて、短尺連結要素5-3および他方の中間連結要素5-4を係止して固定することができる。これにより、最後に挿入される連結要素(すなわち他方の中間連結要素)5-4の抜けを防止できる。
【0040】
連結部材5を連結継手7の収容部25に挿入したあと、連結部材5は、継手用締結部材として働く連結ボルト19を用いて、連結継手7に締結される。これにより、連結部材5は連結継手7に強固に連結固定される。具体的には、連結継手7に挿通穴34および雌ネジ部35を設け、連結部材5に連通穴38を設けるとともに、第1方向(上下方向)に貫通穴9a,9bを有する連結板9を介在配置した状態で、連結ボルト19の雄ネジ部37が雌ネジ部35に螺合する。そして、
図2に示すように、連結構造10の或る1つの側面では、2対の(合計4個の)連結ボルト19によって、連結継手7を構成する第1継手部材3および第2継手部材4と、連結部材5とが連結される。
【0041】
〔鋼管部材の連結方法〕
図9、
図10および
図11を参照しながら、この発明に係る鋼管部材1,2の連結方法を説明する。
図9は、エレクションピース11,12を用いた鋼管部材1,2の仮固定を説明する模式的平面図である。
図10は、
図9に示した仮固定の要部を説明する模式的側面図である。
図11は、この発明に係る鋼管部材1,2の連結方法を説明するフローチャートである。
【0042】
図11に示すように、ステップS1では、連結構造10による第1鋼管部材1および第2鋼管部材2の連結工程が開始される。
【0043】
ステップS3では、連結部材5の係合凹部5fが連結継手7の係合凸部7eに係合することによって、連結継手7と複数の連結部材5とを挿入可能に一体化させる一体化工程が行われる。
【0044】
ステップS5では、連結部材5および連結継手7の一体化物を、互いに対向する第1鋼管部材1および第2鋼管部材2の間にセットするセッティング工程が行われる。連結継手7の一方を構成する第1継手部材3の第1係合溝部3cが第1鋼管部材1の第1側端部1aに対面し、連結継手7の他方を構成する第2継手部材4の第2係合溝部4cが第2鋼管部材2の第2側端部2aに対面するように一体化物がセットされる。このとき、第1鋼管部材1と第2鋼管部材2とが、非常に正確に第1方向(上下方向)に延在するように、高精度に位置決めされる。
【0045】
ステップS7では、第1エレクションピース11および第2エレクションピース12を用いた第1鋼管部材1および第2鋼管部材2の仮固定工程が行われる。ここで、
図9および
図10を参照しながら、仮固定工程について説明する。
【0046】
図9および
図10に示すように、第1エレクションピース11および第2エレクションピース12のそれぞれが、高精度に位置決めされた状態にある第1鋼管部材1および第2鋼管部材2に対して、例えば溶接で固定される。第1エレクションピース11および第2エレクションピース12は、第1方向(上下方向)に延在する板形状を有する。第1エレクションピース11および第2エレクションピース12は、第1鋼管部材1および第2鋼管部材2の各側面部から垂直に突出するとともに、非常に正確に第1方向(上下方向)に延在するように配設される。第1エレクションピース11および第2エレクションピース12のそれぞれには、複数のボルト挿通孔が形成される。ボルト挿通孔は、第1エレクションピース11および第2エレクションピース12の板厚方向を貫通するように形成される。
【0047】
第1エレクションピース11および第2エレクションピース12のそれぞれは、一対のスプライスプレート13,13で挟持されて、ボルト挿通孔に挿通される仮ボルト15と、仮ボルト15に螺合する仮ナット16とによってボルト止めされる。第1エレクションピース11の外側には第1フランジ11aが配設され、第2エレクションピース12の外側には第2フランジ12aが配設される。第1フランジ11aおよび第2フランジ12aは、連結ボルト17および連結ナット18によってボルト止めされる。これらのボルト止めによって、第1エレクションピース11および第2エレクションピース12は、一体的に仮固定される。仮ボルト15および連結ボルト17には、例えば高力ボルトが使用される。
【0048】
図11に示すステップS9では、上記の仮固定状態で、連結継手7の第1継手部材3を第1鋼管部材1に溶接で固定するとともに、連結継手7の第2継手部材4を第2鋼管部材2に溶接で固定するという固定工程が行われる。このとき、第1継手部材3の第1係合溝部3cと第1鋼管部材1の第1側端部1aとの間で溶接部8が形成されるとともに、第2継手部材4の第2係合溝部4cと第2鋼管部材2の第2側端部2aとの間で溶接部8が形成される。これにより、連結構造10を介して高精度に位置決めされた第1鋼管部材1および第2鋼管部材2は、非常に正確に第1方向(上下方向)に延在する。
【0049】
なお、ステップS3からステップS9のいずれかのステップにおいて、連結継手7の各辺に対する各連結部材5の対応関係が直ちに分かるように、対応関係の目印となるマーキングを連結部材5に付すマーキング作業が行われる。これにより、連結部材5を連結継手7の正しい所定の位置に挿入可能になる。
【0050】
ステップS11では、第1鋼管部材1および第2鋼管部材2を一体的に連結した連結構造10において、連結部材5を連結継手7から取り外して展開する展開工程が行われる。
【0051】
ステップS13では、展開された第1鋼管部材1と第2鋼管部材2と連結部材5とを工事現場に運搬して、工事現場においてこれらを組み立てる組立工程が行われる。組立工程は、例えば、上方に位置する第1鋼管部材1と下方に位置する第2鋼管部材2とを第1方向(上下方向)に立設させる立設工程と、この状態で連結部材5を連結継手7に挿入する挿入工程を含む。
【0052】
ステップS15では、第1エレクションピース11および第2エレクションピース12を用いた鋼管部材1,2の仮固定工程が行われる。ステップS15の仮固定工程は、マーキングを付した第1鋼管部材1および第2鋼管部材2を連結構造10によって一体的に連結したステップS9の状態に戻す(言い換えると、一体的な連結状態を再現する)ことを目的としている。したがって、ステップS7の仮固定工程のうち、スプライスプレート13で挟持された第1エレクションピース11および第2エレクションピース12のボルト止めによる仮固定工程が行われる。
【0053】
ステップS17では、第1鋼管部材1および第2鋼管部材2を仮固定した状態で、マーキングを付した連結部材5を、対応する連結継手7に挿入して連結コーナー部5bを締結部材17,18で締結することによって連結部材5および連結継手7を連結させる挿入連結工程が行われる。
【0054】
ステップS19では、仮固定に使用したスプライスプレート13のボルト止めを解除し、その後、第1エレクションピース11および第2エレクションピース12のそれぞれを第1鋼管部材1および第2鋼管部材2から溶断などによって切り離して除去する除去工程が行われる。
【0055】
ステップS21では、連結構造10による第1鋼管部材1および第2鋼管部材2の連結工程を終了する。
【0056】
上記一連の工程において、少なくともステップS9の固定工程における溶接作業が、屋内において行われる。屋外での溶接作業が行われないので、安定した高品質な連結が得られ、二酸化炭素の排出量を削減できる。上記一連の工程において、好ましくはステップS3からステップS11での全ての工程が、屋内において行われる。これにより、屋外での溶接作業よりも、安定した高品質な連結が得られ、二酸化炭素の排出量を削減できる。また、非常に正確に第1方向(上下方向)に延在して垂直度の高い柱を立設できる。
【0057】
高層ビルや高架橋などの高くそびえる建造物における柱は、上述した連結構造10を用いて構築することができる。これにより、複数の連結部材5を連結継手7に挿入して連結コーナー部5bを締結部材17,18で締結することによって、第1鋼管部材1および第2鋼管部材2を連結できるので、屋外での溶接作業が不要になり、安定した高品質な連結が得られ、二酸化炭素の排出量を削減できる。
【0058】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【0059】
一例として、この発明に係る連結構造10を、鋼管部材1,2を第1方向(上下方向)に順次連結(接合)する建造物の柱に適用した場合について説明した。この発明に係る連結構造10は、鋼管部材1,2を交差方向(直交方向であり左右方向)に順次連結(接合)する建造物の梁にも適用することができる。
【0060】
また、第1鋼管部材1および第2鋼管部材2の交差方向(直交方向であり左右方向)における大略断面形状は、正方形や長方形の四角形に限らず、三角形、五角形、六角形、七角形、八角形などであってもよい。
【0061】
上記の実施の形態では、連結部材5の第1係合凸部5cおよび第2係合凸部5eは、それぞれ、交差方向(直交方向であり左右方向)の一側(例えば外側)および他側(例えば内側)の両方に突出していて、連結部材5は断面視でI字形状を有する。これにより、交差方向(直交方向であり左右方向)において、より確実な係合が得られる。
【0062】
第1係合凸部5cおよび第2係合凸部5eは、それぞれ、交差方向(直交方向であり左右方向)の一側(例えば外側)または他側(例えば内側)のどちらか片方に突出していてもよい。第1係合凸部5cおよび第2係合凸部5eが交差方向(直交方向であり左右方向)の一側に突出する場合、連結部材5は断面視でコの字状(C字形状)を有する。第1係合凸部5cが交差方向(直交方向であり左右方向)の一側に突出するとともに第2係合凸部5eが交差方向(直交方向であり左右方向)の他側に突出する場合、連結部材5は断面視でクランク形状を有する。
【0063】
このように、連結部材5における第1係合凸部5cおよび第2係合凸部5eは、交差方向(直交方向であり左右方向)の一側(例えば外側)および/または他側(例えば内側)に突出する。これにより、交差方向(直交方向であり左右方向)において、確実な係合が得られる。
【0064】
第1係合凸部5cおよび第2係合凸部5eの突出量は、一側(例えば外側)および他側(例えば内側)において、同じであってもいいし、異なっていてもよい。
【0065】
上記の実施の形態では、第1端部3hにキー溝39が配設されるとともに第2端部4hにシアキー29が配設されているが、第2端部4hにキー溝39が配設されるとともに第1端部3hにシアキー29が配設されてもよい。
【0066】
この発明および実施形態をまとめると、次のようになる。
【0067】
この発明の第1態様に係る鋼管部材1,2の連結構造10は、
第1方向に延在する第1鋼管部材1の第1側端部1aに固定される第1継手部材3と、前記第1鋼管部材1に対向するとともに前記第1方向に延在する第2鋼管部材2の第2側端部2aに固定される第2継手部材4とを有する連結継手7と、
前記第1方向に交差する第2方向に延在するとともに前記連結継手7に対して挿入可能に構成される連結部材5と、を備え、
前記第1継手部材3は、前記第2継手部材4の側において開口するとともに前記第2方向に延在する第1延在溝部3dと、前記第1延在溝部3dの底部側と連通するとともに前記第1方向および前記第2方向に交差する第3方向に溝幅が拡大している第1係合溝部3cと、を有し、
前記第2継手部材4は、前記第1継手部材3の側において開口するとともに前記第2方向に延在する第2延在溝部4dと、前記第2延在溝部4dの底部側と連通するとともに前記第3方向に溝幅が拡大している第2係合溝部4cと、を有し、
前記連結部材5は、前記第1延在溝部3dおよび前記第2延在溝部4dに収容される係合連通部5dと、前記係合連通部5dに対して前記交差方向に突出するとともに前記第1係合溝部3cに収容される第1係合凸部5cと、前記係合連通部5dに対して前記交差方向に突出するとともに前記第2係合溝部4cに収容される第2係合凸部5eと、を有することを特徴とする。
【0068】
上記態様によれば、連結部材5を連結継手7に挿入することによって第1鋼管部材1および第2鋼管部材2を連結できるので、屋外での溶接作業が不要になり、安定した高品質な連結が得られ、二酸化炭素の排出量を削減できる。
【0069】
また、第2態様に係る連結構造10は、上記第1態様において、
前記第1継手部材3および前記第2継手部材4が対面した前記連結継手7に対して前記連結部材5を挿入した状態で、前記連結継手7および前記連結部材5を継手用締結部材19で締結することによって、前記第1鋼管部材1および前記第2鋼管部材2が連結される。
【0070】
上記態様によれば、連結部材5は連結継手7に強固に連結固定される。
【0071】
また、第3態様に係る連結構造10は、上記第1態様において、
前記連結部材5における前記第1係合凸部5cおよび前記第2係合凸部5eは、前記交差方向の一側および/または他側に突出する。
【0072】
上記態様によれば、交差方向において、確実な係合が得られる。
【0073】
また、第4態様に係る連結構造10は、上記第1態様において、
前記連結部材5は、断面視で、I字形状を有する。
【0074】
上記態様によれば、交差方向において、より確実な係合が得られる。
【0075】
また、第5態様に係る連結構造10は、上記第1態様において、
前記第1継手部材3は、第1端部3hを有し、前記第2継手部材4は、前記第1端部3hに対面する第2端部4hを有し、
前記第1端部3hまたは前記第2端部4hのいずれか一方には、シアキー29が配設され、前記第1端部3hまたは前記第2端部4hのいずれか他方には、前記シアキー29に係合するキー溝39が配設される。
【0076】
上記態様によれば、交差方向に作用するせん断力に抗することができる。
【0077】
また、第6態様に係る連結構造10は、上記第1態様において、
前記第1継手部材3は、それぞれが平面視で台形状を有する4つの第1継手要素3-1,3-2,3-3,3-4で構成されるとともに、前記第2継手部材4は、それぞれが平面視で台形状を有する4つの第2継手要素4-1,4-2,4-3,4-4で構成され、
前記連結部材5は、前記第1継手要素3-1,3-2,3-3,3-4および前記第2継手要素4-1,4-2,4-3,4-4に対応する4つの連結要素5-1,5-2,5-3,5-4で構成される。
【0078】
上記態様によれば、交差方向断面が正方形や長方形の四角形という汎用的な断面形状を有する第1鋼管部材1および第2鋼管部材2に適用することが容易である。
【0079】
また、第7態様に係る連結構造10は、上記第6態様において、
前記4つの連結要素5-1,5-2,5-3,5-4は、3対の前記第1継手要素3-1,3-2,3-3,3-4および前記第2継手要素4-1,4-2,4-3,4-4に係合する1つの長尺連結要素5-1と、2対の前記第1継手要素3-1,3-2,3-3,3-4および前記第2継手要素4-1,4-2,4-3,4-4に係合する一方の中間連結要素5-2および他方の中間連結要素5-4と、1対の前記第1継手要素3-1,3-2,3-3,3-4および前記第2継手要素4-1,4-2,4-3,4-4に係合する1つの短尺連結要素5-3と、によって構成され、
前記長尺連結要素5-1、前記一方の中間連結要素5-2、前記短尺連結要素5-3、前記他方の中間連結要素5-4の順で前記連結継手7に挿入される。
【0080】
上記態様によれば、長尺連結要素5-1、一方の中間連結要素5-2、短尺連結要素5-3および他方の中間連結要素5-4における相互の位置決めが容易である。
【0081】
また、第8態様に係る連結構造10は、上記第7態様において、
前記短尺連結要素5-3と前記他方の中間連結要素5-4とは、連結要素用係止部材31で係止される。
【0082】
上記態様によれば、最後に挿入される前記他方の中間連結要素5-4の抜けを防止できる。
【0083】
また、第9態様に係る連結構造10は、上記第1態様において、
前記第1鋼管部材1および前記第2鋼管部材2は、中空の角形鋼管または中空の円形鋼管である。
【0084】
上記態様によれば、第1鋼管部材1および第2鋼管部材2が汎用的な鋼管であるので、連結構造10を様々な建造物に適用できる。
【0085】
また、第10態様に係る建造物は、第1態様から第9態様の連結構造10を用いて構築される。
【0086】
上記態様によれば、連結部材5を連結継手7に挿入することによって第1鋼管部材1および第2鋼管部材2を連結できるので、屋外での溶接作業が不要になり、安定した高品質な連結が得られ、二酸化炭素の排出量を削減できる。
【0087】
また、第11態様に係る、第1態様から第9態様の連結構造10を用いる鋼管部材1,2の連結方法は、
前記連結継手7および前記連結部材5を連結して一体化するステップと、
一体化した前記連結継手7および前記連結部材5を、互いに対向する前記第1鋼管部材1および前記第2鋼管部材2の間にセットするステップと、
エレクションピース11,12を用いて前記第1鋼管部材1および前記第2鋼管部材2を仮固定するステップと、
前記第1継手部材3を前記第1鋼管部材1に固定するとともに前記第2継手部材4を前記第2鋼管部材2に固定するステップと、
前記連結継手7から前記連結部材5を取り外すステップと、
前記第1鋼管部材1および前記第2鋼管部材2を現場で組み立てるステップと、
前記エレクションピース11,12を用いて前記第1鋼管部材1および前記第2鋼管部材2を仮固定するステップと、
前記連結部材5を前記連結継手7に挿入するステップと、
前記エレクションピース11,12を除去するステップと、を備える。
【0088】
上記態様によれば、連結部材5を連結継手7に挿入することによって第1鋼管部材1および第2鋼管部材2を連結できるので、屋外での溶接作業が不要になり、安定した高品質な連結が得られ、二酸化炭素の排出量を削減できる。また、非常に正確に第1方向(上下方向)に延在して垂直度の高い柱を立設できる。
【符号の説明】
【0089】
1…第1鋼管部材(鋼管部材)
1a…第1側端部
2…第2鋼管部材(鋼管部材)
2a…第2側端部
3…第1継手部材
3-1,3-2,3-3,3-4…第1継手要素
3c…第1係合溝部
3d…第1延在溝部
3h…第1端部
3g…第1接合面
4…第2継手部材
4-1,4-2,4-3,4-4…第2継手要素
4c…第2係合溝部
4d…第2延在溝部
4h…第2端部
4g…第2接合面
5…連結部材
5-1…長尺連結要素
5-2…一方の中間連結要素
5-3…短尺連結要素
5-4…他方の中間連結要素
5c…第1係合凸部
5d…係合連通部
5e…第2係合凸部
6…ガイド部
6a…傾斜部
7…連結継手
8…溶接部
9…連結板
9a,9b…貫通穴
10…連結構造
11…第1エレクションピース(エレクションピース)
12…第2エレクションピース(エレクションピース)
13…スプライスプレート
15…仮ボルト
16…仮ナット
17…連結ボルト
18…連結ナット
19…連結ボルト(継手用締結部材)
25…収容部
29…シアキー
31…係止ボルト(連結要素用係止部材)
33…連結ボルト
34…挿通穴
35…雌ネジ部
37…雄ネジ部
38…連通穴
39…キー溝
F1…第1挿入方向
F2…第2挿入方向
F3…第3挿入方向
F4…第4挿入方向
【手続補正書】
【提出日】2023-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1鋼管部材の第1側端部に固定される複数の第1継手要素を有し、前記複数の第1継手要素のそれぞれにおいて、長手方向の両端部が相互に当接可能に構成された第1継手部材と、
第2鋼管部材の第2側端部に固定される複数の第2継手要素を有し、前記複数の第2継手要素は前記複数の第1継手要素に対応して対を形成し、前記複数の第2継手要素のそれぞれにおいて、前記長手方向の両端部が相互に当接可能に構成された第2継手部材と、を有する連結継手と、
対を形成し且つ対応する前記複数の第1継手要素および前記複数の第2継手要素のそれぞれの長手方向に延在するとともに、前記複数の第1継手要素および前記複数の第2継手要素のそれぞれに対して、前記複数の第1継手要素および前記複数の第2継手要素のそれぞれの前記長手方向に沿って挿入可能に構成される複数の連結要素を有する連結部材と、を備え、
前記複数の第1継手要素のそれぞれは、前記第2継手要素の側において開口するとともに前記長手方向に延在する第1延在溝部と、前記第1延在溝部の底部側と連通するとともに前記長手方向に交差する厚み方向に溝幅が拡大している第1係合溝部と、を有し、
前記複数の第2継手要素のそれぞれは、前記第1継手要素の側において開口するとともに前記長手方向に延在する第2延在溝部と、前記第2延在溝部の底部側と連通するとともに前記厚み方向に溝幅が拡大している第2係合溝部と、を有し、
前記複数の連結要素のそれぞれは、前記第1延在溝部および前記第2延在溝部に収容される係合連通部と、前記係合連通部に対して前記厚み方向に突出するとともに前記第1係合溝部に収容される第1係合凸部と、前記係合連通部に対して前記厚み方向に突出するとともに前記第2係合溝部に収容される第2係合凸部と、を有し、
前記複数の連結要素のそれぞれは、前記対を形成し且つ対応する前記複数の第1継手要素および前記複数の第2継手要素に対して、前記長手方向に沿って挿入される、鋼管部材の連結構造。
【請求項2】
前記複数の第1継手要素および前記複数の第2継手要素のそれぞれに対して前記複数の連結要素のそれぞれを挿入することによって連結された前記連結継手および前記連結部材を継手用締結部材で締結することによって、前記第1鋼管部材および前記第2鋼管部材が連結される、請求項1に記載の鋼管部材の連結構造。
【請求項3】
前記複数の連結要素における前記第1係合凸部および前記第2係合凸部は、前記厚み方向の一側および/または他側に突出する、請求項1に記載の鋼管部材の連結構造。
【請求項4】
前記複数の連結要素は、断面視で、I字形状を有する、請求項1に記載の鋼管部材の連結構造。
【請求項5】
前記複数の第1継手要素は、第1端部を有し、前記複数の第2継手要素は、前記第1端部に対面する第2端部を有し、
前記第1端部または前記第2端部のいずれか一方には、シアキーが配設され、前記第1端部または前記第2端部のいずれか他方には、前記シアキーに係合するキー溝が配設される、請求項1に記載の鋼管部材の連結構造。
【請求項6】
前記複数の第1継手要素は、平面視で台形状を有する4つの第1継手要素で構成されるとともに、前記複数の第2継手要素は、平面視で台形状を有する4つの第2継手要素で構成され、
前記複数の連結要素は、前記第1継手要素および前記第2継手要素に対応する4つの連結要素で構成される、請求項1に記載の鋼管部材の連結構造。
【請求項7】
前記4つの連結要素は、3対の前記第1継手要素および前記第2継手要素に係合する1つの長尺連結要素と、2対の前記第1継手要素および前記第2継手要素に係合する一方の中間連結要素および他方の中間連結要素と、1対の前記第1継手要素および前記第2継手要素に係合する1つの短尺連結要素と、によって構成され、
前記長尺連結要素、前記一方の中間連結要素、前記短尺連結要素、前記他方の中間連結要素の順で前記連結継手に挿入される、請求項6に記載の鋼管部材の連結構造。
【請求項8】
前記短尺連結要素と前記他方の中間連結要素とは、連結要素用係止部材で係止される、請求項7に記載の鋼管部材の連結構造。
【請求項9】
前記第1鋼管部材および前記第2鋼管部材は、中空の角形鋼管または中空の円形鋼管である、請求項1に記載の鋼管部材の連結構造。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の連結構造を用いて構築される、建造物。
【請求項11】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の連結構造を用いる鋼管部材の連結方法であって、
前記連結継手および前記連結部材を連結して一体化するステップと、
一体化した前記連結継手および前記連結部材を、互いに対向する前記第1鋼管部材および前記第2鋼管部材の間にセットするステップと、
エレクションピースを用いて前記第1鋼管部材および前記第2鋼管部材を仮固定するステップと、
前記第1継手部材を前記第1鋼管部材に固定するとともに前記第2継手部材を前記第2鋼管部材に固定するステップと、
前記連結継手から前記連結部材を取り外すステップと、
前記第1鋼管部材および前記第2鋼管部材を現場で組み立てるステップと、
前記エレクションピースを用いて前記第1鋼管部材および前記第2鋼管部材を仮固定するステップと、
前記連結部材を前記連結継手に挿入するステップと、
前記エレクションピースを除去するステップと、を備える、鋼管部材の連結方法。