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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141631
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】食器洗浄乾燥機
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/46 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
A47L15/46 J
A47L15/46 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053386
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】安井 俊文
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082DB01
3B082DC03
(57)【要約】
【課題】除菌効果を低下させることなく乾燥工程時の排気温度を低く抑えることができ、しかもすすぎ工程から乾燥工程への移行時間を短縮することができる食器洗浄乾燥機を提供する。
【解決手段】
洗浄槽2内の被洗浄物Wに洗浄水を噴射する洗浄手段7と、洗浄水を加熱する第1加熱手段17と、洗浄槽2内に空気を供給する送風手段12と、洗浄槽2内の空気を加熱する第2加熱手段17と、排気口15と、制御手段21とを備える。被洗浄物Wの汚れを洗う洗浄工程と、すすぎを行うすすぎ工程と、加熱した洗浄水ですすぎを行う加熱すすぎ工程と、第2加熱手段17及び送風手段12を駆動して乾燥を行う乾燥工程とを制御手段21の制御で実行する。洗浄槽2の空気温度を検出する第2温度検出手段19を備える。制御手段21は、乾燥工程の直前の加熱すすぎ工程が終了し、第2温度検出手段19の検出温度が予め設定された排気可能温度以下になったとき、乾燥工程を実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、前記本体の内部に設けられて被洗浄物を収容する洗浄槽と、前記洗浄槽内に収容された前記被洗浄物に向けて洗浄水を噴射する洗浄手段と、前記洗浄手段に前記洗浄水を供給する洗浄ポンプと、前記洗浄水を加熱する第1加熱手段と、前記洗浄水の温度を検出する第1温度検出手段と、前記洗浄水を前記洗浄槽から排出する排水ポンプと、前記洗浄槽内に空気を供給する送風手段と、前記洗浄槽内の空気を加熱する第2加熱手段と、前記洗浄槽内の空気を前記本体の外部へ排出する排気口と、前記被洗浄物の洗浄運転を実行する制御手段とを備える食器洗浄乾燥機であって、
前記制御手段によって実行する洗浄運転が、前記被洗浄物の汚れを洗い流す洗浄工程と、前記洗浄工程の後に前記被洗浄物のすすぎを行うすすぎ工程と、前記第1加熱手段によって加熱した前記洗浄水を用いて前記被洗浄物のすすぎを行う加熱すすぎ工程と、前記加熱すすぎ工程の後に、前記第2加熱手段及び前記送風手段を駆動させて加熱した空気により被洗浄物を乾燥させる乾燥工程とを含み、前記乾燥工程時に洗浄槽内の空気を前記排出口から排出するものにおいて、
前記洗浄槽内の空気の温度を検出する第2温度検出手段を備え、
前記制御手段は、前記乾燥工程の直前に前記加熱すすぎ工程を実行し、前記加熱すすぎ工程が終了し、前記第2温度検出手段の検出温度が予め設定された排気可能温度以下になったとき、前記乾燥工程を実行することを特徴とする食器洗浄乾燥機。
【請求項2】
請求項1記載の食器洗浄乾燥機において、
前記制御手段は、前記加熱すすぎ工程から前記乾燥工程に移行するとき、前記乾燥工程に先立って、前記排水ポンプを駆動させて前記洗浄水を前記洗浄槽外へ排出する槽外排水工程を実行し、その後、前記第2温度検出手段の検出温度が予め設定された排気可能温度以下になったとき、前記乾燥工程を実行することを特徴とする食器洗浄乾燥機。
【請求項3】
請求項2記載の食器洗浄乾燥機において、
前記洗浄槽の外部に、前記洗浄槽から排出された前記洗浄水を貯留可能な排水タンクを備え、
前記排水タンクは、前記制御手段による前記槽外排水工程の実行時に、前記洗浄槽外へ排出された前記洗浄水を貯留することを特徴とする食器洗浄乾燥機。
【請求項4】
請求項3記載の食器洗浄乾燥機において、
前記排水タンクに貯留された前記洗浄水の温度を検出する第3温度検出手段を備え、
前記制御手段は、前記第3温度検出手段の検出温度が予め設定された排水可能温度以下になったとき、前記排水タンク内の前記洗浄水を前記本体の外部へ排出する機外排水工程を実行することを特徴とする食器洗浄乾燥機。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項記載の食器洗浄乾燥機において、
前記制御手段は、前記加熱すすぎ工程の実行により排出される前記洗浄水に、当該洗浄水よりも温度の低い水を混入させる低温水混入工程を実行することを特徴とする食器洗浄乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器洗浄乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食器類(スプーンや箸等も含む)を洗浄し乾燥させる食器洗浄乾燥機として、被洗浄物の洗浄を行った後、加熱された洗浄水を用いてすすぎを行うものが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
この種の食器洗浄装乾燥機では、次のようにして被洗浄物の洗浄および乾燥が行われる。即ち、先ず、洗浄槽に収容した食器等の被洗浄物に洗浄水を噴射することにより洗浄工程を行う。洗浄工程により、被洗浄物に付着した汚れが洗い流される。
【0004】
次いで、被洗浄物から洗い落とされた汚れを含む洗浄水を排水ポンプにより機外へ排出し、続いて、新たに供給された洗浄水を被洗浄物に噴射することにより、すすぎ工程を行う。すすぎ工程により、被洗浄物に付着していた洗剤等が洗い流される。
【0005】
すすぎ工程を終えると、洗浄水を機外へ排出される。新たな洗浄水の供給と汚れた洗浄水の排出とを含むすすぎ工程は、複数回行われる。
【0006】
すすぎ工程が所定回数行われた後には、乾燥工程が行われる。乾燥工程は、送風手段によって機外の空気を洗浄槽に送り込み、このとき送り込んだ空気によって被洗浄物を乾燥させる。乾燥に用いられた空気は排気口より機外へ排出される。
【0007】
ところで、複数回のすすぎ工程のうち、乾燥工程の直前に行われる最後のすすぎ工程では、発熱体により約70℃の高温になるまで加熱された洗浄水が用いられる(加熱すすぎ工程)。このように、高温の洗浄水を用いることにより、被洗浄物を除菌することができる。
【0008】
そして、乾燥工程で送風手段が作動すると、洗浄槽内部の空気が排気口より機外へ排出される。しかし、加熱すすぎ工程に続いて行われる乾燥工程では、加熱すすぎ工程で用いられた高温の洗浄水によって洗浄槽内が約70℃の高温状態となってる。このため、排気口より機外へ排出される空気は、高温であるだけでなく蒸気を含んで多湿である。
【0009】
そこで、従来のものでは、乾燥工程直前のすすぎ工程においては、加熱すすぎ工程の時に用いる洗浄水よりも低い温度で被洗浄物のすすぎを行い、これによって、洗浄槽内の温度を低下させてから乾燥工程を実行している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008-161364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、上記従来の食器洗浄乾燥機のように、乾燥工程の直前に行われる最後のすすぎ工程で洗浄水の温度を低下させるために、比較的低い温度でのすすぎ時間が長くなり、更に、被洗浄物の温度も比較的低くなってしまうため、乾燥工程での乾燥時間も長くなる不都合がある。
【0012】
また、乾燥工程の直前に行われる最後のすすぎ工程での温度低下を早めるために、加熱すすぎ工程でのすすぎ時間を短くすると、十分な除菌時間を確保できなくなる不都合がある。
【0013】
上記の点に鑑み、本発明は、除菌効果を低下させることなく乾燥工程時の排気温度を低く抑えることができ、しかもすすぎ工程から乾燥工程への移行時間を短縮することができる食器洗浄乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
かかる目的を達成するために、第1の発明は、本体と、前記本体の内部に設けられて被洗浄物を収容する洗浄槽と、前記洗浄槽内に収容された前記被洗浄物に向けて洗浄水を噴射する洗浄手段と、前記洗浄手段に前記洗浄水を供給する洗浄ポンプと、前記洗浄水を加熱する第1加熱手段と、前記洗浄水の温度を検出する第1温度検出手段と、前記洗浄水を前記洗浄槽から排出する排水ポンプと、前記洗浄槽内に空気を供給する送風手段と、前記洗浄槽内の空気を加熱する第2加熱手段と、前記洗浄槽内の空気を前記本体の外部へ排出する排気口と、前記被洗浄物の洗浄運転を実行する制御手段とを備える食器洗浄乾燥機であって、前記制御手段によって実行する洗浄運転が、前記被洗浄物の汚れを洗い流す洗浄工程と、前記洗浄工程の後に前記被洗浄物のすすぎを行うすすぎ工程と、前記第1加熱手段によって加熱した前記洗浄水を用いて前記被洗浄物のすすぎを行う加熱すすぎ工程と、前記加熱すすぎ工程の後に、前記第2加熱手段及び前記送風手段を駆動させて加熱した空気により被洗浄物を乾燥させる乾燥工程とを含み、前記乾燥工程時に洗浄槽内の空気を前記排出口から排出するものにおいて、前記洗浄槽内の空気の温度を検出する第2温度検出手段を備え、前記制御手段は、前記乾燥工程の直前に前記加熱すすぎ工程を実行し、前記加熱すすぎ工程が終了し、前記第2温度検出手段の検出温度が予め設定された排気可能温度以下になったとき、前記乾燥工程を実行することを特徴とする。
【0015】
予め設定される前記排気可能温度として、具体的には、蒸気が減少して本体の外部に結露等の発生が少なくなる温度(例えば50℃以下)を挙げることができる。
【0016】
第1の発明によれば、前記乾燥工程の直前に前記加熱すすぎ工程を実行するので、十分な除菌効果が得られる。また、第2温度検出手段の検出温度が予め設定された排気可能温度以下になったときでないと、乾燥工程が開始されないので、高温多湿の空気が機外に排出されることが防止できる。
【0017】
第2の発明は、上記第1の発明において、前記制御手段は、前記加熱すすぎ工程から前記乾燥工程に移行するとき、前記乾燥工程に先立って、前記排水ポンプを駆動させて前記洗浄水を前記洗浄槽外へ排出する槽外排水工程を実行し、その後、前記第2温度検出手段の検出温度が予め設定された排気可能温度以下になったとき、前記乾燥工程を実行することを特徴とする。
【0018】
第2の発明によれば、制御手段は、加熱すすぎ工程から乾燥工程に移行するとき、乾燥工程に先立って槽外排水工程を実行する。よって、乾燥工程の直前の加熱すすぎ工程で使用された高温の洗浄水は槽外排水工程によってすすぎ工程終了時に速やかに排出される。そして、第2温度検出手段の検出温度が予め設定された排気可能温度以下になったときに乾燥工程を実行する。
【0019】
これにより、被洗浄物の温度を殆ど低下させることなく、洗浄槽内の空気の温度や湿気を迅速に低減させることができるため、乾燥工程までの移行時間を比較的短くすることができる。しかも、被洗浄物の温度の低減を抑制することができるため、乾燥性能も向上させることができる。
【0020】
更に、高温の洗浄水による加熱すすぎ工程の終了と同時に槽外排水工程による高温の洗浄水が排出されるので、除菌に必要な洗浄水の高温状態を比較的長時間わたって継続させることが可能となり、除菌性能も向上させることができる。
【0021】
第3の発明は、上記第2の発明において、前記洗浄槽の外部に、前記洗浄槽から排出された前記洗浄水を貯留可能な排水タンクを備え、前記排水タンクは、前記制御手段による前記槽外排水工程の実行時に、前記洗浄槽外へ排出された前記洗浄水を貯留することを特徴とする。
【0022】
これによれば、加熱すすぎ工程の実行により洗浄槽から排出された高温の洗浄水を排水タンクに貯留することができるため、排水管などに対して熱による悪影響を与えることを抑制することができる。
【0023】
第4の発明は、上記第3の発明において、前記排水タンクに貯留された前記洗浄水の温度を検出する第3温度検出手段を備え、前記制御手段は、前記第3温度検出手段の検出温度が予め設定された排水可能温度以下になったとき、前記排水タンク内の前記洗浄水を前記本体の外部へ排出する機外排水工程を実行することを特徴とする。
【0024】
なお、制御手段が機外排水工程を実行するときの判断に用いる排水可能温度は、具体的には、例えば、排水管の耐熱温度を考慮して、排水管に熱による損傷が生じない温度とすることが挙げられる。
【0025】
第3の発明によれば、排水タンクに貯留された洗浄水が、排水可能温度以下になってから本体の外部(機外)に排出されるので、洗浄水を導出する排水管等による排水経路に悪影響を与えることを抑制することができる。
【0026】
第5の発明は、上記第1~第4の何れかの発明において、前記制御手段は、前記加熱すすぎ工程の実行により排出される前記洗浄水に、当該洗浄水よりも温度の低い水を混入させる低温水混入工程を実行することを特徴とする。
【0027】
前記低温水混入工程を実行することにより、洗浄槽から排出される高温の洗浄水に低温の水が混入され、速やかに洗浄水の温度を低下させることができる。従って、高温の洗浄水が本体の外部へ排出されるこによって生じる排水管等への悪影響を抑制することができ、しかも迅速に乾燥工程へ移行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態における食器洗浄乾燥機の構成を模式的に示す説明図。
図2】本実施形態の食器洗浄乾燥機による作動の一部と、洗浄水及び洗浄槽内の空気の温度の変化を示す図。
図3】本発明の他の実施形態の要部を模式的に示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の食器洗浄乾燥機は、図1に示すように、本体1と、本体1内部に設けられた引出し自在の洗浄槽2とを備えている。洗浄槽2の内部には食器カゴ3が設けられており、食器カゴ3には、椀、皿、コップ、スプーン、箸等の被洗浄物(以下、食器類Wという)が支持される。
【0030】
洗浄槽2の背面側には給水口4が形成されており、給水口4には、洗浄水を供給する給水管5が接続されている。給水管5には給水弁6が介設されており、給水弁6の開閉により洗浄槽2への洗浄水の供給及び供給停止が行われる。
【0031】
洗浄槽2には洗浄ノズル7(洗浄手段)が設けられている。洗浄ノズル7は、複数の噴射孔8を備え、噴射孔8からは、食器類Wに向けて洗浄水が噴射される。
【0032】
洗浄槽2の底部には、残菜フィルタ9と、洗浄排水ポンプ10とが設けられている。残菜フィルタ9は、洗浄槽2の底部に落下した洗浄水を通過させることで、残菜(洗浄により食器類Wから洗い落とされた汚れ)を捕捉する。
【0033】
洗浄槽2の底部には、洗浄排水ポンプ10を介して洗浄槽2の外部へ延びる排水管(以下、機内排水管11という)が接続されている。機内排水管11は、本体1の外部で、図示しない住宅用排水管(以下、機外排水管という)に接続される。
【0034】
洗浄排水ポンプ10は、本実施形態においては、本発明における洗浄ポンプの機能と排水ポンプの機能とを兼ね備えている。洗浄排水ポンプ10が洗浄ポンプとして機能するとき、洗浄槽2の底部に落下した洗浄水を洗浄ノズル7に強制的に供給する。洗浄排水ポンプ10が排水ポンプとして機能するとき、洗浄槽2の底部に落下した洗浄水を洗浄槽2の外部へ強制的に排出する。
【0035】
本実施形態における洗浄排水ポンプ10は、洗浄ポンプの機能と排水ポンプの機能とを備えるが、これに限らず、洗浄ポンプと排水ポンプとを各別に設けてもよい。
【0036】
また、洗浄槽2の外部には、送風ファン12(送風手段)が設けられている。送風ファン12は、ダクト13を介して洗浄槽2へ空気を送り込む。送風ファン12によって洗浄槽2へ送り込まれた空気は、排気流路14を介して本体1の前面側に設けられた排気口15から本体1の外部へ排出される。排気流路14は、ダンパ16によって開閉される。
【0037】
洗浄槽2内には、洗浄水を所定の温度に加熱するための発熱体17が設置されている。発熱体17は、本実施形態においては、シーズヒータ等の電気ヒーターが採用されている。発熱体17は、洗浄水を加熱するときには本発明における第1加熱手段として用いられ、洗浄槽2の内部の空気(送風ファン12から供給される空気)を加熱するときには第2加熱手段として用いられる。
【0038】
本実施形態における発熱体17は、洗浄水を加熱する第1加熱手段と空気を加熱する第2加熱手段とを兼用するが、これに限らず、第1加熱手段と第2加熱手段とで各別の発熱体を採用してもよい。
【0039】
更に、洗浄槽2には、洗浄槽2内の洗浄水の温度を検出する水温センサ18(第1温度検出手段)と、洗浄槽2内の空気の温度を検出する雰囲気温度センサ19(第2温度検出手段)とが設けられている。
【0040】
本体1の上部前面には、使用者によるON/OFF操作や各種設定操作を行うための複数の操作スイッチや表示部を備える操作部20が設けられている。操作部20での操作内容は、コントローラ21(制御手段)に入力される。
【0041】
コントローラ21は、図示しない記憶手段を備えており、この記憶手段は、洗浄工程、すすぎ工程(後述の加熱すすぎ工程を含む)、及び乾燥工程を実行するための運転プログラムが搭載されている。
【0042】
コントローラ21には、水温センサ18及び雰囲気温度センサ19の温度検出信号が入力される。コントローラ21は、前記運転プログラムに従い、各温度検出信号に基づいて、給水弁6、洗浄排水ポンプ10、送風ファン12、及び発熱体17を制御する。
【0043】
次に、本実施形態の食器洗浄乾燥機の運転及び本発明の要旨に係る制御について説明する。
【0044】
運転を開始するときには、先ず、本体1から洗浄槽2を引き出し、食器カゴ3に食器類Wをセットする。洗剤を投入して洗浄槽2を本体1内部に収め、操作パネルの運転スイッチをON操作して運転開始の指示を送る。
【0045】
コントローラ21は、操作パネルからの運転開始指示に応じ、運転プログラムに従って洗浄工程を実行する。洗浄工程では、コントローラ21は、先ず、給水弁6を開動作させる。洗浄水が給水管5を通して洗浄槽2に供給され、洗浄水が所定の水位に達すると、コントローラ21は、給水弁6を閉動作させて給水を停止させる。
【0046】
次いで、洗浄工程では、加熱された洗浄水による食器類の洗浄が所定時間行われる。即ち、コントローラは、発熱体17に通電し、洗浄排水ポンプ10を駆動させ、予め設定された洗浄時間が経過すると洗浄水を排出させる。
【0047】
洗浄槽2内の洗浄水は、、水温センサ18の検出温度が予め設定された洗浄温度になるまで発熱体17により加熱される。洗浄温度は、洗剤の活性温度と食器類に付着している油分の溶解温度とを考慮して設定されるものである。本実施形態においては、洗浄可能温度を約60℃に設定したが、これに限るものではない。
【0048】
また、洗浄工程において、洗浄排水ポンプ10は、洗浄水を加圧して洗浄ノズル7に供給し、複数の噴射孔8より食器類Wに向けて噴射する。加熱された洗浄水の噴射により、食器類Wの汚れが洗い落とされる。
【0049】
所定時間の洗浄が終了すると、コントローラ21は、発熱体17による洗浄水の加熱と、洗浄排水ポンプ10による洗浄ノズル7への洗浄水の供給を停止させ、食器類Wから洗い落とされた汚れを含む洗浄水を洗浄排水ポンプ10により排出する。
【0050】
続いて、コントローラ21は、すすぎ工程を実行する。すすぎ工程では、新たに洗浄水を洗浄槽2内部に供給し、洗浄ノズル7にの噴射孔8から再び噴射して、食器類Wに付着した状態で残る洗剤や残菜等をすすぐ。このすすぎ工程においては、発熱体17による洗浄水の加熱を行わず、新たに供給された洗浄水によって食器類Wのすすぎが行われる。
【0051】
すすぎ工程においても、コントローラ21は、予め設定されたすすぎ時間が経過すると、洗浄排水ポンプ10により洗浄槽2内部の洗浄水を排出する。そして、コントローラ21は、すすぎ工程を複数回繰り返した後、加熱すすぎ工程に移行する。加熱すすぎ工程は、後述する乾燥工程の直前に行われる。
【0052】
なお、乾燥工程の直前に行われる加熱すすぎ工程は、複数回実行されてもよく、(加熱すすぎ工程の前に行われる)すすぎ工程の一部または全てが加熱すすぎ工程であってもよい。
【0053】
加熱すすぎ工程において、コントローラ21は、発熱体17に通電し、洗浄水を加熱しがら食器類Wをすすぐ。加熱すすぎ工程では、水温センサ18の検出温度が予め設定された加熱すすぎ温度になるまで発熱体17により加熱される。加熱すすぎ温度は、食器類の減菌が可能となるように比較的高い温度に設定される。本実施形態においては、約70℃~80℃としているがこれに限らない。
【0054】
そして、コントローラ21は、加熱すすぎ工程を予め設定された加熱すすぎ時間行うと、発熱体17による洗浄水の加熱を停止させ、加熱すすぎ工程を終了させる。
【0055】
次いで、コントローラ21は、加熱すすぎ工程で用いた洗浄水を洗浄排水ポンプ10により強制的に排出させる(槽外排水工程)。
【0056】
続いて、コントローラ21は、雰囲気温度センサ19による検出温度が、予め設定された排気可能温度になるまで待機する。排気可能温度は、洗浄槽2内部の蒸気が減少して本体1の外部に排出しても結露等の発生が少なくなる温度に設定することが好ましい。
【0057】
本実施形態においては、排気可能温度を約40℃に設定したが、これに限るものではなく、排気口15から本体1の前方に排出される空気に使用者が触れても熱さによる不快感が生じないように50℃以下とすることが好ましい。
【0058】
そして、コントローラ21は、雰囲気温度センサ19による検出温度が排気可能温度になったところで、乾燥工程に移行する。乾燥工程では、コントローラ21は、送風ファン12を駆動して洗浄槽2の外部の空気を洗浄槽の内部へ送り込む。送り込まれた空気は、食器類Wを乾燥させて排気口15から本体1の外部へ排出される。
【0059】
本実施形態によれば、加熱すすぎ工程から乾燥工程に移行するとき、加熱すすぎ工程が終了して即座に乾燥工程を行うのではなく、図2に示すように、洗浄槽2内部の空気を雰囲気温度センサ19で監視し、洗浄槽2内部の空気の温度(図中、雰囲気温度と表記している)が十分に低下してから乾燥工程を開始する。
【0060】
これにより、乾燥工程を実行しているときに、排気口15からの湿気の拡散を抑制することができ、また、排気口15から排出される空気に使用者が触れても、熱さによる不快感を抑制することができる。
【0061】
また、加熱すすぎ工程が終了して直後に加熱すすぎ工程で用いた洗浄水を槽外排水工程排出するので、比較的温度の高い洗浄水が洗浄槽2の内部の空気の温度低下を阻害することがなく、迅速に洗浄槽2の内部の空気の温度を低下させることができる。しかも、加熱すすぎ工程を経た食器類W自体の温度は比較的高い状態で維持されるので、乾燥工程における食器類Wの乾燥が効率よく行える。更に、加熱すすぎ工程による除菌に必要な十分な時間を確保しながら、槽外排水工程によって洗浄槽2の内部の空気の温度を比較的迅速に低下させることができる。
【0062】
ここで、前述した槽外排水工程において排出される洗浄水の処理について説明する。槽外排水工程において排出される洗浄水は加熱すすぎ工程で用いられたものであり比較的高温となっている。このような高温の洗浄水を本体1の外部へ排出すると、機外排水管を損傷させるおそれがある。
【0063】
そこで、本実施形態におけるコントローラ21は、加熱すすぎ工程が終了して槽外排水工程を実行する直前に、給水弁6を開弁し、洗浄槽2の底部に溜まる高温の洗浄水に、当該洗浄水よりも温度の低い水を混入させる低温水混入工程を実行する。
【0064】
低温水混入工程においては、食器類Wに低温の水が殆ど触れることがない。このため、食器類Wの温度低下を抑えて、洗浄槽2の底部に溜まる洗浄水の温度を迅速に低下させることができる。食器類Wの温度低下が小さいことにより、乾燥工程において効率よく乾燥させることができる。そして、比較的少量の給水で洗浄水の温度を迅速に低下させることができ、洗浄水を本体1の外部へ排出しても機外排水管を損傷させることがない。
【0065】
なお、洗浄槽2における給水口4の位置は、例えば、食器カゴ3における食器類Wの載置位置よりも下方にしたり、遠方にしたりするなど、低温の水が食器類Wに直接かからない位置、または、低温水が混入された洗浄水が食器類Wに触れない位置にあるのが好ましい。
【0066】
更に、本実施形態においては、図1に示すように、洗浄槽2の底部に溜まる洗浄水の温度を検出するための排水温度検出手段として、水温センサ18を用い、コントローラ21により、水温センサ18の検出温度が排水可能温度以下となったとき、洗浄排水ポンプ10を駆動して槽外排水工程を実行する。排水可能温度は、機外排水管等に損傷が生じない温度に設定される。本実施形態においては、排水可能温度を50℃としたが、これに限るものではない。
【0067】
また、他の実施形態として、図3に要部を模式的に示すように、洗浄槽2から延びる機内排水管11の途中に排水タンク23を介設し、排水タンク23の下流の機内排水管11に排水弁24を設けたものを挙げることができる。更に、この排水タンク23には、貯留する洗浄水の温度を検出するためのタンク水温センサ25(第3温度検出手段)を設ける。符号26はオーバーフロー用の管路である。
【0068】
排水タンク23を設けることにより、槽外排水工程によって洗浄槽2から排出された高温の洗浄水を一時的に貯留することができる。これによれば、洗浄槽2の内部で洗浄水の温度を低下させる必要がなく、加熱すすぎ工程が終了した直後に槽外排水工程を実行することができ、加熱すすぎ工程から乾燥工程に移行する時間を短縮させることができる。
【0069】
そして、コントローラ21は、タンク水温センサ25の検出温度が排水可能温度まで低下したとき、排水弁24を開いて排水タンク23の洗浄水を本体1の外部へ排出する(機外排水工程)。これにより、機外排水管等への熱による悪影響を抑制することができる。
【0070】
更に、図示しないが、洗浄槽2へ給水する給水管5から分岐させた第2の給水管を排水タンク23に接続してもよい。そしてコントローラ21により、排水タンク23に貯留されている高温の洗浄水に比較的低温の水を混入する低温水混入工程を実行し、その後、タンク水温センサ25の検出温度が排水可能温度まで低下したとき、排水弁24を開いて、排水タンク23の洗浄水を本体1の外部へ排出する機外排水工程を行うようにしてもよい。
【0071】
また、図示しないが、洗浄槽2へ給水する給水管5から分岐させた第2の給水管を機内排水管11に接続してもよい。そしてコントローラ21により、槽外排水行程を実行しつつ、高温の洗浄水に比較的低温の水を混入する低温水混入工程を実行して、洗浄槽2内の洗浄水を本体1の外部へ排出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0072】
W…食器類(被洗浄物)、1…本体、2…洗浄槽、7…洗浄ノズル(洗浄手段)、10…洗浄排水ポンプ(洗浄ポンプ、排水ポンプ)、12…送風ファン(送風手段)、15…排気口、17…発熱体(第1加熱手段、第2加熱手段)、18…水温センサ(第1温度検出手段)、19…雰囲気温度センサ(第2温度検出手段)、21…コントローラ(制御手段)、23…排水タンク、25…タンク水温センサ(第3温度検出手段)。
図1
図2
図3