(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141632
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/34 20060101AFI20241003BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241003BHJP
B60L 50/60 20190101ALN20241003BHJP
B60L 53/14 20190101ALN20241003BHJP
B60L 9/18 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
H02J7/34 J
H02J7/00 P
B60L50/60
B60L53/14
B60L9/18 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053388
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆弘
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA03
5G503BB01
5G503CA11
5G503CC02
5G503DA06
5G503DA08
5G503FA06
5G503GB06
5G503GD03
5G503GD06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC22
5H125BB05
(57)【要約】
【課題】電力変換装置の出力電圧範囲を広くすることができる。
【解決手段】電力変換装置10は、充電器11と、バッテリ42と、インバータ51と、モータ61と、第1正母線L1と、第1負母線L3と、第1スイッチ43と、接続線71と、第2切替部72と、を備える。接続線71は、第1正母線L1における充電器11と第1スイッチ43との間の箇所とモータ61の中性点とを接続する。第2切替部72は、接続線71に設けられ、第1正母線L1とモータ61の中性点との接続/非接続を切り替え可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された交流電力を直流電力に変換する充電器と、
前記充電器に接続され、前記充電器から出力される直流電力が供給されるバッテリと、
前記バッテリに接続され、前記バッテリから出力される直流電力が供給されるインバータと、
スター結線された3つのコイルを備えるとともに前記インバータに接続され、前記インバータから出力される交流電力が供給されるモータと、
前記充電器と前記バッテリの正極とを接続する正母線と、
前記充電器と前記バッテリの負極とを接続する負母線と、
前記正母線に設けられ、前記充電器と前記バッテリとの接続/非接続を切り替え可能な第1切替部と、
前記正母線における前記充電器と前記第1切替部との間の箇所と前記モータの中性点とを接続する接続線と、
前記接続線に設けられ、前記正母線と前記モータの中性点との接続/非接続を切り替え可能な第2切替部と、を備える電力変換装置。
【請求項2】
制御装置を備え、
前記制御装置は、前記第1切替部をオフ、かつ、前記第2切替部をオンした状態で前記インバータによる昇圧動作を行うことで前記バッテリを充電する、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記バッテリに供給すべき電圧値が閾値電圧値以下の場合、前記第1切替部をオン、かつ、前記第2切替部をオフした状態で前記バッテリの充電を行い、
前記バッテリに供給すべき電圧値が前記閾値電圧値より高い場合、前記第1切替部をオフ、かつ、前記第2切替部をオンした状態で前記インバータによる昇圧動作を行うことで前記バッテリを充電する、請求項2に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の充電器は、交流電源から入力された交流電力を直流電力に変換してバッテリに出力する。充電器は、バッテリの端子間電圧よりも高い電圧を出力することによってバッテリの充電を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バッテリによって公称電圧が異なる場合がある。例えば、車両に搭載されるバッテリであれば、車種によってバッテリの公称電圧が異なる場合がある。充電器を公称電圧が異なる複数のバッテリを充電可能に構成する場合、充電器の出力電圧範囲を広くする必要がある。また、充電器の出力電圧とバッテリの充電効率には相関がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する電力変換装置は、入力された交流電力を直流電力に変換する充電器と、前記充電器に接続され、前記充電器から出力される直流電力が供給されるバッテリと、前記バッテリに接続され、前記バッテリから出力される直流電力が供給されるインバータと、スター結線された3つのコイルを備えるとともに前記インバータに接続され、前記インバータから出力される交流電力が供給されるモータと、前記充電器と前記バッテリの正極とを接続する正母線と、前記充電器と前記バッテリの負極とを接続する負母線と、
前記正母線に設けられ、前記充電器と前記バッテリとの接続/非接続を切り替え可能な第1切替部と、前記正母線における前記充電器と前記第1切替部との間の箇所と前記モータの中性点とを接続する接続線と、前記接続線に設けられ、前記正母線と前記モータの中性点との接続/非接続を切り替え可能な第2切替部と、を備える。
【0006】
第1切替部がオフされるとともに第2切替部をオフされることによって、モータとインバータとを用いて充電器から出力される直流電力の電圧を昇圧させてバッテリに供給することができる。これにより、電力変換装置は、充電器から出力可能な最大の電力値を超える電力をバッテリに供給することが可能となる。すなわち、言い換えると、電力変換装置は、充電器から出力可能な最大の電圧値を超える電圧値をバッテリに印加させることが可能となる。従って、電力変換装置の出力電圧範囲を広くすることができる。
【0007】
上記電力変換装置について、制御装置を備え、前記制御装置は、前記第1切替部をオフ、かつ、前記第2切替部をオンした状態で前記インバータによる昇圧動作を行うことで前記バッテリを充電してもよい。
【0008】
上記電力変換装置について、前記制御装置は、前記バッテリに供給すべき電圧値が閾値電圧値以下の場合、前記第1切替部をオン、かつ、前記第2切替部をオフした状態で前記バッテリの充電を行い、前記バッテリに供給すべき電圧値が前記閾値電圧値より高い場合、前記第1切替部をオフ、かつ、前記第2切替部をオンした状態で前記インバータによる昇圧動作を行うことで前記バッテリを充電してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電力変換装置の出力電圧範囲を広くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】車両の走行時の電力変換装置の回路図である。
【
図3】
図1の制御装置が行う充電制御を示すフローチャートである。
【
図4】
図3の充電制御でバッテリに供給すべき電圧値が閾値電圧値以下と判定された場合の電力変換装置を示す回路図である。
【
図5】
図3の充電制御でバッテリに供給すべき電圧値が閾値電圧値より高いと判定された場合の電力変換装置を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
電力変換装置の一実施形態について説明する。一例として車両に搭載される電力変換装置について説明する。
<電力変換装置>
図1に示すように、電力変換装置10は、充電器11と、バッテリパック41と、インバータ51と、モータ61とを備える。
【0012】
充電器11は、入力される交流電力を直流電力に変換するものであり、本実施形態の充電器11は、ACフィルタ12と、AC/DC変換器14と、コンデンサC1と、DC/DC変換器30と、コンデンサC2と、DCフィルタ13とを備える。
【0013】
充電器11には、車両の外部に設けられた外部交流電源ASから交流電力が入力される。外部交流電源ASから入力される交流電力は、三相交流であってもよいし単相交流であってもよい。
【0014】
ACフィルタ12は、外部交流電源ASに流出するノイズを低減させる。
AC/DC変換器14は、2つのリアクトル21,22と、2つの直列接続体23,24と、を備える。リアクトル21の一端とリアクトル22の一端は、ACフィルタ12に接続され、ACフィルタ12を介して外部交流電源ASに接続されている。
【0015】
2つの直列接続体23,24は、互いに並列接続されている。直列接続体23は、直列に接続された2つのスイッチング素子Q11,Q12を備える。2つのスイッチング素子Q11,Q12の接続点には、リアクトル21の他端が接続されている。スイッチング素子Q11,Q12は、例えば、半導体スイッチング素子である。半導体スイッチング素子は、例えば、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ、絶縁ゲート型バイポーラートランジスタ、Gan HEMT等である。
【0016】
直列接続体24は、直列に接続された2つのスイッチング素子Q13,Q14を備える。2つのスイッチング素子Q13,Q14の接続点には、リアクトル22の他端が接続されている。スイッチング素子Q13,Q14は、例えば、半導体スイッチング素子である。
【0017】
AC/DC変換器14は、ACフィルタ12を介して入力された交流電力を直流電力に変換しつつ力率の改善を行う。
コンデンサC1は、AC/DC変換器14とDC/DC変換器30との間に設けられている。コンデンサC1は、リンクコンデンサ、又は平滑コンデンサである。
【0018】
コンデンサC1の一端は、2つのスイッチング素子Q11,Q13の接続点と接続されている。
コンデンサC1の他端は、2つのスイッチング素子Q12,Q14の接続点と接続されている。
【0019】
すなわち、直列接続体23,24とコンデンサC1とは、並列接続されている。
DC/DC変換器30は、第1ブリッジ回路31と、第2ブリッジ回路34と、トランス37と、を備える。第1ブリッジ回路31は、2つの直列接続体32,33を備える。2つの直列接続体32,33は、互いに並列接続されている。直列接続体32は、直列に接続された2つのスイッチング素子Q21,Q22を備える。スイッチング素子Q21,Q22は、例えば、半導体スイッチング素子である。
【0020】
直列接続体33は、直列に接続された2つのスイッチング素子Q23,Q24を備える。スイッチング素子Q23,Q24は、例えば、半導体スイッチング素子である。
2つのスイッチング素子Q21,Q23の接続点は、コンデンサC1の一端と接続されている。
【0021】
2つのスイッチング素子Q22,Q24の接続点は、コンデンサC1の他端と接続されている。
すなわち、直列接続体32,33とコンデンサC1とは、並列接続されている。
【0022】
第2ブリッジ回路34は、2つの直列接続体35,36を備える。2つの直列接続体35,36は、互いに並列接続されている。直列接続体35は、直列に接続された2つのスイッチング素子Q31,Q32を備える。スイッチング素子Q31,Q32は、例えば、半導体スイッチング素子である。
【0023】
直列接続体36は、直列に接続された2つのスイッチング素子Q33,Q34を備える。スイッチング素子Q33,Q34は、例えば、半導体スイッチング素子である。
トランス37は、第1巻線38と、第2巻線39と、を備える。第1巻線38の一端は、2つのスイッチング素子Q21,Q22の接続点に接続されている。第1巻線38の他端は、2つのスイッチング素子Q23,Q24の接続点に接続されている。第2巻線39の一端は、2つのスイッチング素子Q31,Q32の接続点に接続されている。第2巻線39の他端は、2つのスイッチング素子Q33,Q34の接続点に接続されている。
【0024】
コンデンサC2は、リンクコンデンサ、又は平滑コンデンサである。
コンデンサC2の一端は、2つのスイッチング素子Q31,Q33の接続点に接続され、コンデンサC2の他端は、2つのスイッチング素子Q32,Q34の接続点に接続されている。
【0025】
すなわち、直列接続体35,36とコンデンサC2とは、並列接続されている。
DCフィルタ13は、直列接続体36とバッテリパック41との間に設けられ、直列接続体36から出力される直流電力に含まれるノイズを低減し、バッテリパック41に出力する。
【0026】
バッテリパック41は、バッテリ42と、正母線としての第1正母線L1及び第2正母線L2と、負母線としての第1負母線L3及び第2負母線L4と、第1~第4スイッチ43~46とを備える。
【0027】
バッテリ42は、充放電可能な二次電池を複数接続したものである。バッテリ42の正極は第1正母線L1に接続されている。バッテリ42の負極は、第1負母線L3に接続されている。
【0028】
第1正母線L1は、充電器11とバッテリ42の正極とを接続している。第1負母線L3は、充電器11とバッテリ42の負極とを接続している。本実施形態における第1正母線L1及び第1負母線L3は、DCフィルタ13とバッテリ42とを接続している。
【0029】
第1スイッチ43は、第1正母線L1に設けられている。第1スイッチ43は、例えば、リレースイッチである。第1スイッチ43は、第1正母線L1に設けられ、充電器11とバッテリ42との接続/非接続を切り替え可能な第1切替部である。
【0030】
第2スイッチ44は、第1負母線L3に設けられている。第2スイッチ44は、例えば、リレースイッチであり、充電器11とバッテリ42との接続/非接続を切り替え可能なスイッチである。
【0031】
第2正母線L2は、バッテリ42の正極とインバータ51とに接続されている。第2負母線L4は、バッテリ42の負極とインバータ51とに接続されている。
第3スイッチ45は、第2正母線L2に設けられている。第3スイッチ45は、例えば、リレースイッチである。第3スイッチ45は、バッテリ42とインバータ51との接続/非接続を切り替え可能なスイッチである。
【0032】
第4スイッチ46は、第2負母線L4に設けられている。第4スイッチ46は、例えば、リレースイッチである。第4スイッチ46は、バッテリ42とインバータ51との接続/非接続を切り替え可能なスイッチである。
【0033】
バッテリパック41は、電圧センサ47を備える。電圧センサ47は、バッテリ42の電圧を検出する。
インバータ51は、三相インバータである。インバータ51は、3つの直列接続体52,53,54を備える。直列接続体52,53,54は、互いに並列接続されている。直列接続体52は、U相上アームスイッチング素子Q41と、U相下アームスイッチング素子Q42と、を備える。U相上アームスイッチング素子Q41とU相下アームスイッチング素子Q42とは、第2正母線L2と第2負母線L4との間で直列接続されている。直列接続体53は、V相上アームスイッチング素子Q43と、V相下アームスイッチング素子Q44と、を備える。V相上アームスイッチング素子Q43とV相下アームスイッチング素子Q44とは、第2正母線L2と第2負母線L4との間で直列接続されている。直列接続体54は、W相上アームスイッチング素子Q45と、W相下アームスイッチング素子Q46と、を備える。W相上アームスイッチング素子Q45とW相下アームスイッチング素子Q46とは、第2正母線L2と第2負母線L4との間で直列接続されている。U相上アームスイッチング素子Q41、U相下アームスイッチング素子Q42、V相上アームスイッチング素子Q43、V相下アームスイッチング素子Q44、W相上アームスイッチング素子Q45及びW相下アームスイッチング素子Q46は、例えば、半導体スイッチング素子である。インバータ51は、第2正母線L2及び第2負母線L4によってバッテリ42に接続されている。
【0034】
モータ61は、三相モータである。モータ61は、3つのコイル62,63,64を備える。3つのコイル62,63,64は、スター結線されている。コイル62の一端は、U相上アームスイッチング素子Q41とU相下アームスイッチング素子Q42との接続点に接続されている。コイル63の一端は、V相上アームスイッチング素子Q43とV相下アームスイッチング素子Q44との接続点に接続されている。コイル64の一端は、W相上アームスイッチング素子Q45とW相下アームスイッチング素子Q46との接続点に接続されている。コイル62の他端とコイル63の他端とコイル64の他端は、互いに接続されている。コイル62の他端とコイル63の他端とコイル64の他端との接続点は、モータ61の中性点である。
【0035】
電力変換装置10は、接続線71を備える。接続線71は、第1正母線L1における充電器11と第1スイッチ43との間の箇所と、モータ61の中性点と、を接続している。
電力変換装置10は、第2切替部72を備える。第2切替部72は、接続線71に設けられており、第1正母線L1とモータ61の中性点との接続/非接続を切り替える。第2切替部72は、例えば、リレースイッチである。
【0036】
電力変換装置10は、制御装置81を備える。制御装置81は、プロセッサと、記憶部と、を備える。プロセッサとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、及びDSP(Digital Signal Processor)を挙げることができる。記憶部は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部は、処理をプロセッサに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。記憶部、即ち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。制御装置は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である制御装置は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0037】
制御装置81は、電力変換装置10の制御を行う。本実施形態では、制御装置81により電力変換装置10の全体が制御される。電力変換装置10は、複数の制御装置によって制御されてもよい。例えば、電力変換装置10は、充電器11を制御する制御装置、バッテリパック41を制御する制御装置、及びインバータ51を制御する制御装置を備えていてもよい。制御装置81は、電圧センサ47の検出結果を取得可能である。
【0038】
<車両の走行時に制御装置が行う走行制御>
車両の走行時に制御装置81が行う走行制御について説明する。
図2に示すように、制御装置81は、第3スイッチ45をオンする。制御装置81は、第4スイッチ46をオンする。制御装置81は、第2切替部72をオフする。第1スイッチ43及び第2スイッチ44は、オンであってもよいし、オフであってもよい。これにより、バッテリ42から放電された直流電力をインバータ51に供給可能になる。
【0039】
制御装置81は、インバータ51を制御することによってバッテリ42から入力された直流電力を交流電力に変換して出力する。インバータ51から出力される交流電力は、モータ61に入力される。モータ61は、入力された交流電力によって駆動する。これにより、車両が走行する。モータ61は、車両を走行させるためのトラクションモータである。インバータ51は、トラクションモータを駆動させるトラクションインバータである。
【0040】
<バッテリの充電時に制御装置が行う充電制御>
バッテリ42の充電時に制御装置81が行う充電制御について
図3~
図5を用いて説明する。充電制御は、例えば、充電器11と外部交流電源ASとが接続されると実行される。充電器11と外部交流電源ASとが接続されたことの検知は、例えば、充電プラグが車両に接続されたことを制御装置81が検知することで行われればよい。
【0041】
まず、ステップS1において、制御装置81は、バッテリ42に供給すべき電圧値が閾値電圧値よりも高いか否かを判断する。本実施形態では、制御装置81には、バッテリ42の充電量に基づく要求電圧値が入力されるものとし、この要求電圧値がバッテリ42に供給すべき電圧値に相当する。また、本実施形態における閾値電圧値は、充電器11が出力できる最大の電圧値に設定されているものとする。
【0042】
ステップS1の判定結果がNOの場合、ステップS2に進む。
ステップS2では、制御装置81は、
図4に示すように第1スイッチ43及び第2スイッチ44をオンするとともに、第3スイッチ45、第4スイッチ46及び第2切替部72をオフし、ステップS3に進む。
【0043】
次に、ステップS3において、制御装置81は、充電器11によって交流電力を直流電力に変換してバッテリ42に出力する。これにより、充電器11から出力される直流電力によってバッテリ42が充電される。
【0044】
次に、ステップS4に進み、制御装置81は、バッテリ42の充電量が要求される充電量か否かを判定する。バッテリ42の充電量が要求される充電量か否かは、バッテリ42の電圧から判定してもよいし、電力変換装置10が、バッテリ42の状態を監視するバッテリマネジメントシステムを備えている場合、制御装置81がバッテリマネジメントシステムからバッテリ42の充電率を取得することによって判定してもよい。
【0045】
ステップS4の判定結果がNOの場合、制御装置81は、ステップS1に戻る。ステップS4の判定結果がYESの場合、制御装置81は、充電制御を終了する。
ステップS1の判定結果がYESの場合、ステップS5に進む。
【0046】
ステップS5において、制御装置81は、
図5に示すように、第1スイッチ43をオフするとともに、第2スイッチ44、第3スイッチ45、第4スイッチ46及び第2切替部72をオンし、ステップS6に進む。
【0047】
次に、ステップS6において、制御装置81は、充電器11を制御することによって交流電力を直流電力に変換するとともに、インバータ51を制御することによって、モータ61とインバータ51を用いて充電器11の出力電力の電圧を昇圧する昇圧動作を行う。本実施形態においては、制御装置81は、上アームスイッチング素子Q41,Q43,Q45を同時オフするとともに下アームスイッチング素子Q42,Q44,Q46を同時オンする第1動作と、上アームスイッチング素子Q41,Q43,Q45を同時オンするとともに下アームスイッチング素子Q42,Q44,Q46を同時オフする第2動作とを交互に行うことによって昇圧動作を行う。第1動作を行うことによってコイル62,63,64に電磁エネルギーが蓄えられ、第2動作を行うことによってコイル62,63,64に蓄えられた電磁エネルギーがバッテリ42に放出される。これにより、インバータ51による昇圧動作によって昇圧された直流電力がバッテリ42に出力され、バッテリ42は充電される。
【0048】
その後、ステップS4に進む。
[本実施形態の作用]
上記電力変換装置10によれば、充電器11が出力できる最大の電力値以上の電力をバッテリ42に供給したい場合であっても、モータ61とインバータ51とを用いて充電器11から出力される直流電力の電圧を昇圧させてバッテリ42に供給することが可能となる。
【0049】
[本実施形態の効果]
(1)電力変換装置10は、第1スイッチ43と、接続線71と、第2切替部72と、を備える。制御装置81が、第1スイッチ43をオフするとともに第2切替部72をオンすることによって、モータ61とインバータ51とを用いて充電器11から出力される直流電力の電圧を昇圧させてバッテリ42に供給することができる。これにより、電力変換装置10は、充電器11から出力可能な最大の電力値を超える電力をバッテリ42に供給することが可能となる。すなわち、言い換えると、電力変換装置10は、充電器11から出力可能な最大の電圧値を超える電圧値をバッテリ42に印加させることが可能となる。
【0050】
(2)別途昇圧回路を備えることなく、電力変換装置10の出力電圧範囲を広くすることができる。
(3)充電器11から高い電力(高い電圧)を出力させる場合、充電器11の半導体スイッチング素子に印加される電圧も高くなるため、高耐圧の半導体スイッチング素子を使用する必要がある。一般的にモータ61(特にトラクションモータ)に電力を供給するインバータ51は、充電器11と比べ高い電力をモータ61に供給するため、インバータ51に使用される半導体スイッチング素子には、充電器11に使用される半導体スイッチング素子と比較して、高耐圧の半導体スイッチング素子が使用される。
【0051】
本実施形態の電力変換装置10では、充電器11から出力できない電力をバッテリ42に供給する際、モータ61とインバータ51を使用して昇圧させる構成であるため、充電器11の半導体スイッチング素子を比較的安価なものとすることができる。
【0052】
[変更例]
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0053】
○上記実施形態のバッテリパック41は、第2スイッチ44を備えていなくてもよい。
○上記実施形態のバッテリパック41は、第3スイッチ45及び第4スイッチ46の一方、又は両方を備えていなくてもよい。
【0054】
○上記実施形態の充電器11は、ACフィルタ12と、AC/DC変換器14と、コンデンサC1と、DC/DC変換器30と、コンデンサC2と、DCフィルタ13とを備えているが、入力された交流電力を直流電力に変換できるものであればどのような構成であってもよい。
【0055】
○上記実施形態のDC/DC変換器30は、所謂双方向DC/DCコンバータだが、第1ブリッジ回路31から第2ブリッジ回路34に直流電力を伝送できる構成であればよい。
【0056】
○上記実施形態では、モータ61とインバータ51を用いて昇圧動作を行う際、三相(U相、V相、W相)の上アームスイッチング素子Q41,Q43,Q45を同時オン/オフするとともに下アームスイッチング素子Q42,Q44,Q46を同時オン/オフしているが、各相のスイッチングタイミングをずらす所謂インターリーブ制御方式で上アームスイッチング素子Q41,Q43,Q45及び下アームスイッチング素子Q42,Q44,Q46をオン/オフさせてもよい。
【0057】
○上記実施形態の閾値電圧値は、充電器11が出力できる最大の電圧値に設定されているが、これに限らず、充電器11が予め設定した電力変換効率で出力できる最大の電圧値に設定されていてもよい。充電器11は、一般的に、出力できる電圧範囲において、最小値から電圧値が上がっていくにつれて電力変換効率が上がっていき、ある電圧値を電力変換効率のピークとして、それ以降電圧値が上がるにつれて電力変換効率が下がっていく。そこで、閾値電圧値を充電器11が予め設定した電力変換効率で出力できる最大の電圧値に設定することで、充電器11を電力変換効率が高い状態で使用することが可能となる。
【0058】
また、上記実施形態では、閾値電圧値を設定しているが、閾値電力値を設定してもよい。この場合、バッテリ42に供給すべき電圧値と比較するのではなく、バッテリ42に供給すべき電力値と比較することになる。
【0059】
○上記実施形態のモータ61は、電動圧縮機の備えるモータであってもよい。インバータ51は、電動圧縮機の備えるモータを駆動するためのインバータであってもよい。
【符号の説明】
【0060】
L1…正母線である第1正母線、L3…負母線である第1負母線、10…電力変換装置、11…充電器、42…バッテリ、43…第1切替部である第1スイッチ、51…インバータ、61…モータ、62,63,64…コイル、71…接続線、72…第2切替部、81…制御装置。