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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141633
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
H02M7/12 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053389
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆弘
【テーマコード(参考)】
5H006
【Fターム(参考)】
5H006CA02
5H006CB07
5H006CC02
5H006DA04
5H006DB01
5H006HA08
(57)【要約】
【課題】単相交流電源が電気的に接続された場合にAC/DC変換器から出力される電圧と、三相交流電源が電気的に接続された場合にAC/DC変換器から出力される電圧とを近づけたい場合であっても、単相交流電源が電気的に接続された場合のAC/DC変換器の昇圧率を抑えること。
【解決手段】第1コンデンサC1の一端は、第1上アームスイッチング素子Q1、第2上アームスイッチング素子Q3及び第3上アームスイッチング素子Q5の接続点と接続される。第2コンデンサC2の一端は、第1下アームスイッチング素子Q2、第2下アームスイッチング素子Q4及び第3下アームスイッチング素子Q6の接続点と接続される。第2コンデンサC2の他端は、第1コンデンサC1の他端と接続される。第4配線60の一端は、第1コンデンサC1と第2コンデンサC2との接続点と接続される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された交流電力を直流電力に変換して出力するAC/DC変換器と、
前記AC/DC変換器に接続されたコンデンサユニットと、を有する電力変換装置であって、
前記AC/DC変換器は、
第1上アームスイッチング素子と第1下アームスイッチング素子とを直列接続した第1直列接続体と、
第2上アームスイッチング素子と第2下アームスイッチング素子とを直列接続した第2直列接続体と、
第3上アームスイッチング素子と第3下アームスイッチング素子とを直列接続した第3直列接続体と、
一端が前記第1上アームスイッチング素子と前記第1下アームスイッチング素子との接続点と電気的に接続される第1リアクトルと、
一端が前記第1リアクトルの他端と接続される配線であって、前記AC/DC変換器に、三相交流電源を電気的に接続する場合、他端が前記三相交流電源の第1相と電気的に接続され、前記AC/DC変換器に、中性点が接地された単相交流電源を電気的に接続する場合、他端が前記単相交流電源と電気的に接続されることで非接地配線として使用される第1配線と、
一端が前記第2上アームスイッチング素子と前記第2下アームスイッチング素子との接続点と電気的に接続される第2リアクトルと、
一端が前記第2リアクトルの他端と接続される配線であって、前記AC/DC変換器に、三相交流電源を電気的に接続する場合、他端が前記三相交流電源の第2相と電気的に接続される第2配線と、
一端が前記第3上アームスイッチング素子と前記第3下アームスイッチング素子との接続点と電気的に接続される第3リアクトルと、
一端が前記第3リアクトルの他端と接続される配線であって、前記AC/DC変換器に、三相交流電源を電気的に接続する場合、他端が前記三相交流電源の第3相と電気的に接続される第3配線と、を備え、
前記コンデンサユニットは、
一端が、前記第1上アームスイッチング素子、前記第2上アームスイッチング素子及び前記第3上アームスイッチング素子の接続点と接続される第1コンデンサと、
一端が、前記第1下アームスイッチング素子、前記第2下アームスイッチング素子及び前記第3下アームスイッチング素子の接続点と接続されるとともに、他端が、前記第1コンデンサの他端と接続される第2コンデンサと、
一端が前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの接続点と接続される第4配線と、を備え、
前記AC/DC変換器に、中性点が接地された単相交流電源を電気的に接続する場合、前記第4配線の他端は前記単相交流電源に電気的に接続されて非接地配線として使用される、電力変換装置。
【請求項2】
前記第1配線と前記第2配線とを電気的に接続するか、前記第2配線と三相交流電源の第2相とを電気的に接続するかを切り替え可能とする第1切替部と、
前記第1配線と前記第3配線とを電気的に接続するか、前記第3配線と三相交流電源の第3相とを電気的に接続するかを切り替え可能とする第2切替部と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記AC/DC変換器に、三相交流電源を電気的に接続する場合、前記第2配線と前記三相交流電源の第2相とが電気的に接続されるように前記第1切替部を制御し、かつ、前記第3配線と前記三相交流電源の第3相とが電気的に接続されるように前記第2切替部を制御し、
前記AC/DC変換器に、前記単相交流電源を電気的に接続する場合、前記第1配線と前記第2配線とが電気的に接続させるように前記第1切替部を制御し、かつ、前記第1配線と前記第3配線とが電気的に接続させるように前記第2切替部を制御する、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記AC/DC変換器に接続されるDC/DC変換器を備える、請求項1又は請求項2に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の電力変換装置は、AC/DC変換器と、DC/DC変換器と、を備える。AC/DC変換器は、交流電源から加わる交流電力を直流電力に変換して出力する。DC/DC変換器には、AC/DC変換器から出力された直流電力が入力される。DC/DC変換器は、入力された直流電力を変圧して出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-11981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電力変換装置のAC/DC変換器は、単相交流電源と三相交流電源のどちらにも電気的に接続可能に構成される場合がある。この場合、AC/DC変換器に三相交流電源が電気的に接続されている場合にAC/DC変換器から出力される電圧と、AC/DC変換器に単相交流電源が電気的に接続されている場合にAC/DC変換器から出力される電圧の差を小さくすることが好ましいが、AC/DC変換器に単相交流電源が電気的に接続された場合のAC/DC変換器の昇圧率を、AC/DC変換器に三相交流電源が電気的に接続された場合の昇圧率よりも大幅に高くする必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する電力変換装置は、入力された交流電力を直流電力に変換して出力するAC/DC変換器と、前記AC/DC変換器に接続されたコンデンサユニットと、を有する電力変換装置であって、前記AC/DC変換器は、第1上アームスイッチング素子と第1下アームスイッチング素子とを直列接続した第1直列接続体と、第2上アームスイッチング素子と第2下アームスイッチング素子とを直列接続した第2直列接続体と、第3上アームスイッチング素子と第3下アームスイッチング素子とを直列接続した第3直列接続体と、一端が前記第1上アームスイッチング素子と前記第1下アームスイッチング素子との接続点と電気的に接続される第1リアクトルと、一端が前記第1リアクトルの他端と接続される配線であって、前記AC/DC変換器に、三相交流電源を電気的に接続する場合、他端が前記三相交流電源の第1相と電気的に接続され、前記AC/DC変換器に、中性点が接地された単相交流電源を電気的に接続する場合、他端が前記単相交流電源と電気的に接続されることで非接地配線として使用される第1配線と、一端が前記第2上アームスイッチング素子と前記第2下アームスイッチング素子との接続点と電気的に接続される第2リアクトルと、一端が前記第2リアクトルの他端と接続される配線であって、前記AC/DC変換器に、三相交流電源を電気的に接続する場合、他端が前記三相交流電源の第2相と電気的に接続される第2配線と、一端が前記第3上アームスイッチング素子と前記第3下アームスイッチング素子との接続点と電気的に接続される第3リアクトルと、一端が前記第3リアクトルの他端と接続される配線であって、前記AC/DC変換器に、三相交流電源を電気的に接続する場合、他端が前記三相交流電源の第3相と電気的に接続される第3配線と、を備え、前記コンデンサユニットは、一端が、前記第1上アームスイッチング素子、前記第2上アームスイッチング素子及び前記第3上アームスイッチング素子の接続点と接続される第1コンデンサと、一端が、前記第1下アームスイッチング素子、前記第2下アームスイッチング素子及び前記第3下アームスイッチング素子の接続点と接続されるとともに、他端が、前記第1コンデンサの他端と接続される第2コンデンサと、一端が前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの接続点と接続される第4配線と、を備え、前記AC/DC変換器に、中性点が接地された単相交流電源を電気的に接続する場合、前記第4配線の他端は前記単相交流電源に電気的に接続されて非接地配線として使用される。
【0006】
単相交流電源が電気的に接続された場合にAC/DC変換器から出力される電圧と、三相交流電源が電気的に接続された場合にAC/DC変換器から出力される電圧とを近づけたい場合であっても、単相交流電源が電気的に接続された場合のAC/DC変換器の昇圧率を抑えることができる。
【0007】
上記電力変換装置について、前記第1配線と前記第2配線とを電気的に接続するか、前記第2配線と三相交流電源の第2相とを電気的に接続するかを切り替え可能とする第1切替部と、前記第1配線と前記第3配線とを電気的に接続するか、前記第3配線と三相交流電源の第3相とを電気的に接続するかを切り替え可能とする第2切替部と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記AC/DC変換器に、三相交流電源を電気的に接続する場合、前記第2配線と前記三相交流電源の第2相とが電気的に接続されるように前記第1切替部を制御し、かつ、前記第3配線と前記三相交流電源の第3相とが電気的に接続されるように前記第2切替部を制御し、前記AC/DC変換器に、前記単相交流電源を電気的に接続する場合、前記第1配線と前記第2配線とが電気的に接続させるように前記第1切替部を制御し、かつ、前記第1配線と前記第3配線とが電気的に接続させるように前記第2切替部を制御してもよい。
【0008】
上記電力変換装置について、前記AC/DC変換器に接続されるDC/DC変換器を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、単相交流電源が電気的に接続された場合にAC/DC変換器から出力される電圧と、三相交流電源が電気的に接続された場合にAC/DC変換器から出力される電圧とを近づけたい場合であっても、単相交流電源が電気的に接続された場合のAC/DC変換器の昇圧率を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】三相交流電源が接続されている場合の電力変換装置を示す回路図である。
図2】単相交流電源が接続されている場合の電力変換装置を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
電力変換装置の一実施形態について説明する。
図1に示すように、電力変換装置10は、バッテリB1に接続されている。バッテリB1は、充放電可能な二次電池を複数接続したものである。本実施形態の電力変換装置10は、バッテリB1に直流電力を供給することによってバッテリB1を充電する充電器である。
【0012】
図1及び図2に示すように、電力変換装置10には、三相交流電源AS1又は単相交流電源AS2が接続される。電力変換装置10は、三相交流電源AS1又は単相交流電源AS2から入力される交流電力を直流電力に変換して出力する。電力変換装置10は、三相交流電源AS1が接続されている場合であっても単相交流電源AS2が接続されている場合であっても直流電力を出力可能に構成されている。
【0013】
<電力変換装置に三相交流電源が電気的に接続される場合>
電力変換装置10に三相交流電源AS1が電気的に接続される場合について説明する。三相交流電源AS1の結線方式は、スター結線である。
【0014】
電力変換装置10は、AC/DC変換器30と、ACフィルタ22と、コンデンサユニットCと、DC/DC変換器40と、DCフィルタ51と、コンデンサ52と、を備える。
【0015】
AC/DC変換器30は、入力された交流電力を直流電力に変換して出力するものである。
AC/DC変換器30は、第1直列接続体34と、第2直列接続体35と、第3直列接続体36と、を備える。第1直列接続体34、第2直列接続体35、及び第3直列接続体36は、互いに並列接続されている。
【0016】
第1直列接続体34は、第1上アームスイッチング素子Q1と、第1下アームスイッチング素子Q2と、を備える。第1上アームスイッチング素子Q1と、第1下アームスイッチング素子Q2とは、互いに直列接続されている。
【0017】
第2直列接続体35は、第2上アームスイッチング素子Q3と、第2下アームスイッチング素子Q4と、を備える。第2上アームスイッチング素子Q3と、第2下アームスイッチング素子Q4とは、互いに直列接続されている。
【0018】
第3直列接続体36は、第3上アームスイッチング素子Q5と、第3下アームスイッチング素子Q6と、を備える。第3上アームスイッチング素子Q5と、第3下アームスイッチング素子Q6とは、互いに直列接続されている。
【0019】
スイッチング素子Q1~Q6は、例えば、半導体スイッチング素子である。半導体スイッチング素子は、例えば、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ、絶縁ゲート型バイポーラートランジスタ、Gan HEMT等である。
【0020】
AC/DC変換器30は、第1リアクトル31を備える。第1リアクトル31は、一端が第1上アームスイッチング素子Q1と第1下アームスイッチング素子Q2との接続点と電気的に接続される。
【0021】
AC/DC変換器30は、第1配線11を備える。第1配線11の一端は、第1リアクトル31の他端と接続される。AC/DC変換器30に、三相交流電源AS1を電気的に接続する場合、第1配線11の他端は三相交流電源AS1の第1相と電気的に接続される。三相交流電源AS1の第1相は、例えば、R相である。
【0022】
AC/DC変換器30は、第2リアクトル32を備える。第2リアクトル32の一端は、第2上アームスイッチング素子Q3と第2下アームスイッチング素子Q4との接続点と電気的に接続される。
【0023】
AC/DC変換器30は、第2配線12を備える。第2配線12の一端は、第2リアクトル32の他端と接続される。AC/DC変換器30に、三相交流電源AS1を電気的に接続する場合、第2配線12の他端が三相交流電源AS1の第2相と電気的に接続される。三相交流電源AS1の第2相は、例えば、S相である。
【0024】
AC/DC変換器30は、第3リアクトル33を備える。第3リアクトル33の一端は、第3上アームスイッチング素子Q5と第3下アームスイッチング素子Q6との接続点と電気的に接続される。
【0025】
AC/DC変換器30は、第3配線13を備える。第3配線13の一端は、第3リアクトル33の他端と接続される。AC/DC変換器30に、三相交流電源AS1を電気的に接続する場合、第3配線13の他端が三相交流電源AS1の第3相と電気的に接続される。三相交流電源AS1の第3相は、例えば、T相である。
【0026】
コンデンサユニットCは、第1コンデンサC1と、第2コンデンサC2と、を備える。
第1コンデンサC1の一端は、第1上アームスイッチング素子Q1、第2上アームスイッチング素子Q3及び第3上アームスイッチング素子Q5の接続点と接続される。
【0027】
第2コンデンサC2の一端は、第1下アームスイッチング素子Q2、第2下アームスイッチング素子Q4及び第3下アームスイッチング素子Q6の接続点と接続される。第2コンデンサC2の他端は、第1コンデンサC1の他端と接続される。
【0028】
コンデンサユニットCは、第4配線60を備える。第4配線60の一端は、第1コンデンサC1と第2コンデンサC2との接続点と接続される。
電力変換装置10は、第1スイッチ16を備える。第1スイッチ16は、第2配線12に設けられている。
【0029】
電力変換装置10は、第2スイッチ19を備える。第2スイッチ19は、第1配線11と第2配線12とを接続している。
第1スイッチ16がオン、かつ、第2スイッチ19がオフの場合、第2配線12と三相交流電源AS1の第2相とが電気的に接続される。第1スイッチ16がオフ、かつ、第2スイッチ19がオンの場合、第1配線11と第2配線12とが電気的に接続される。第1スイッチ16及び第2スイッチ19は、第1配線11と第2配線12とを電気的に接続するか、第2配線12と三相交流電源AS1の第2相とを電気的に接続するかを切り替え可能とする第1切替部である。
【0030】
電力変換装置10は、第3スイッチ17を備える。第3スイッチ17は、第3配線13に設けられている。
電力変換装置10は、第4スイッチ20を備える。第4スイッチ20は、第1配線11と第3配線13とを接続している。
【0031】
第3スイッチ17がオン、かつ、第4スイッチ20がオフの場合、第3配線13と三相交流電源AS1の第3相とが電気的に接続される。第3スイッチ17がオフ、かつ、第4スイッチ20がオンの場合、第1配線11と第3配線13とが電気的に接続される。第3スイッチ17及び第4スイッチ20は、第1配線11と第3配線13とを電気的に接続するか、第3配線13と三相交流電源AS1の第3相とを電気的に接続するかを切り替え可能とする第2切替部である。
【0032】
ACフィルタ22は、三相交流電源AS1に流出するノイズを低減させる。ACフィルタ22は、第1配線11、第2配線12及び第3配線13に設けられる。本実施形態では、第1配線11における第4スイッチ20との接続点と第1配線11の一端との間、第2配線12における第2スイッチ19との接続点と第2配線12の一端との間、第3配線13における第4スイッチ20との接続点と第3配線13の一端との間に設けられている。すなわち、ACフィルタ22は、三相交流電源AS1とAC/DC変換器30との間に設けられているといえる。
【0033】
DC/DC変換器40は、第1ブリッジ回路41と、第2ブリッジ回路44と、トランス47と、を備える。第1ブリッジ回路41は、2つの直列接続体42,43を備える。2つの直列接続体42,43は、互いに並列接続されている。直列接続体42は、直列に接続された2つのスイッチング素子Q11,Q12を備える。スイッチング素子Q11,Q12は、例えば、半導体スイッチング素子である。
【0034】
直列接続体43は、直列に接続された2つのスイッチング素子Q13,Q14を備える。スイッチング素子Q13,Q14は、例えば、半導体スイッチング素子である。
2つのスイッチング素子Q11,Q13の接続点は、コンデンサユニットCの一端と接続されている。
【0035】
2つのスイッチング素子Q12,Q14の接続点は、コンデンサユニットCの一端と接続されている。
すなわち、直列接続体42,43とコンデンサユニットCとは、並列接続されている。
【0036】
第2ブリッジ回路44は、2つの直列接続体45,46を備える。2つの直列接続体45,46は、互いに並列接続されている。直列接続体45は、直列に接続された2つのスイッチング素子Q21,Q22を備える。スイッチング素子Q21,Q22は、例えば、半導体スイッチング素子である。
【0037】
直列接続体46は、直列に接続された2つのスイッチング素子Q23,Q24を備える。スイッチング素子Q23,Q24は、例えば、半導体スイッチング素子である。
トランス47は、第1巻線48と、第2巻線49と、を備える。第1巻線48の一端は、2つのスイッチング素子Q11,Q12の接続点に接続されている。第1巻線48の他端は、2つのスイッチング素子Q13,Q14の接続点に接続されている。第2巻線49の一端は、2つのスイッチング素子Q21,Q22の接続点に接続されている。第2巻線49の他端は、2つのスイッチング素子Q23,Q24の接続点に接続されている。
【0038】
コンデンサ52は、リンクコンデンサ、又は平滑コンデンサである。
コンデンサ52の一端は、2つのスイッチング素子Q21,Q23の接続点に接続され、コンデンサ52の他端は、2つのスイッチング素子Q22,Q24の接続点に接続されている。
【0039】
すなわち、直列接続体45,46とコンデンサ52とは、並列接続されている。
DCフィルタ51は、コンデンサ52とバッテリB1との間に設けられる。DCフィルタ51は、直列接続体46から出力される直流電力に含まれるノイズを低減し、バッテリB1に出力する。
【0040】
電力変換装置10は、制御装置71を備える。制御装置71は、プロセッサと、記憶部と、を備える。プロセッサとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、及びDSP(Digital Signal Processor)を挙げることができる。記憶部は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部は、処理をプロセッサに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。記憶部、即ち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。制御装置71は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である制御装置71は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0041】
制御装置71は、電力変換装置10の制御を行う。本実施形態では、制御装置71により電力変換装置10の全体が制御される。電力変換装置10は、複数の制御装置によって制御されてもよい。
【0042】
制御装置71は、AC/DC変換器30に、三相交流電源AS1を電気的に接続する場合、第2配線12と三相交流電源AS1の第2相とが電気的に接続されるように第1スイッチ16及び第2スイッチ19を制御し、かつ、第3配線13と三相交流電源AS1の第3相とが電気的に接続されるように第3スイッチ17及び第4スイッチ20を制御する。詳細にいえば、制御装置71は、第1スイッチ16をオン、第2スイッチ19をオフ、第3スイッチ17をオン、第4スイッチ20をオフする。
【0043】
<電力変換装置に単相交流電源が電気的に接続される場合>
電力変換装置10に単相交流電源AS2が電気的に接続される場合について説明する。電力変換装置10に三相交流電源AS1が電気的に接続される場合と単相交流電源AS2が電気的に接続される場合とで、電力変換装置10のハードウェア構成は同一である。単相交流電源AS2の中性点は接地されている。
【0044】
図2に示すように、AC/DC変換器30に単相交流電源AS2を電気的に接続する場合、第1配線11の他端は、単相交流電源AS2と電気的に接続される。これにより、第1配線11は、非接地配線として使用される。
【0045】
AC/DC変換器30に、単相交流電源AS2を電気的に接続する場合、第4配線60の他端は単相交流電源AS2に電気的に接続される。これにより、第4配線60は、非接地配線として使用される。
【0046】
制御装置71は、AC/DC変換器30に、単相交流電源AS2を電気的に接続する場合、第1配線11と第2配線12とが電気的に接続させるように第2スイッチ19を制御し、かつ、第1配線11と第3配線13とが電気的に接続させるように第4スイッチ20を制御する。詳細にいえば、制御装置71は、第2スイッチ19をオン、第4スイッチ20をオンする。第1スイッチ16及び第3スイッチ17はオフであってもよいし、オンであってもよい。
【0047】
単相交流電源AS2から流れる電流が正の場合、線L11に示すように、電流は単相交流電源AS2→AC/DC変換器30→第1コンデンサC1→第4配線60の順に流れる。単相交流電源AS2から流れる電流が負の場合、線L12に示すように、電流は、単相交流電源AS2→第4配線60→第2コンデンサC2→AC/DC変換器30の順に流れる。
【0048】
[本実施形態の作用]
三相交流電源AS1の出力する交流電圧を200[V]とする。交流電圧は、線間電圧である。この場合、線間電圧の波高値は、200×√2×√3≒490[V]である。
【0049】
単相交流電源AS2の出力する交流電圧を200[V]とする。この場合、単相交流電源AS2から出力される交流電圧の波高値は、200×√2≒283[V]である。
AC/DC変換器30に三相交流電源AS1が電気的に接続されている場合と単相交流電源AS2が電気的に接続されている場合とで、AC/DC変換器30から出力される電圧を同一値(例えば、700V)にすることを想定する。この場合、第4配線60を備えていない従来のAC/DC変換器30に単相交流電源AS2を電気的に接続する場合、283Vから700Vに昇圧する必要がある。AC/DC変換器30の昇圧率を高くすると、リアクトル31,32,33での損失が大きくなる。
【0050】
一方、本発明のAC/DC変換器30は、単相交流電源AS2と電気的に接続されている場合、第1配線11及び第4配線60は、非接地配線として使用される。これにより、AC/DC変換器30及びコンデンサユニットCは、倍電圧整流回路として機能する。これにより、AC/DC変換器30は、566[V](200×2×√2≒566[V])から700Vに昇圧すればよく、AC/DC変換器30の昇圧率を抑えることができる。
【0051】
[本実施形態の効果]
(1)単相交流電源AS2とAC/DC変換器30とが電気的に接続されている場合、第1配線11及び第4配線60は、非接地配線として使用される。これにより、AC/DC変換器30に単相交流電源AS2が電気的に接続された場合にAC/DC変換器30から出力される電圧と、AC/DC変換器30に三相交流電源AS1が電気的に接続された場合にAC/DC変換器30から出力される電圧とを近づけたい場合であっても、従来のAC/DC変換器と比較して、AC/DC変換器30の昇圧率を抑えることができる。
【0052】
(2)制御装置71は、AC/DC変換器30に、三相交流電源AS1を電気的に接続する場合、第2配線12と三相交流電源AS1の第2相とが電気的に接続されるように第1スイッチ16及び第2スイッチ19を制御し、かつ、第3配線13と三相交流電源AS1の第3相とが電気的に接続されるように第3スイッチ17及び第4スイッチ20を制御する。制御装置71は、AC/DC変換器30に、単相交流電源AS2を電気的に接続する場合、第1配線11と第2配線12とが電気的に接続させるように第2スイッチ19を制御し、かつ、第1配線11と第3配線13とが電気的に接続させるように第4スイッチ20を制御する。これにより、AC/DC変換器30に、単相交流電源AS2を電気的に接続する場合に、電流を分散してAC/DC変換器30に入力することができるため、スイッチング素子Q1~Q6を安価なものとすることができる。
【0053】
[変更例]
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0054】
○電力変換装置10は、AC/DC変換器30のみを備えている構成であってもよい。
○第1切替部は、c接点スイッチであってもよい。この場合、c接点スイッチは、実施形態の第1スイッチ16と第2スイッチ19とを統合したものである。例えば、c接点スイッチは、第1配線11と第2配線12とを電気的に接続するか、第2配線12と三相交流電源AS1の第2相とを電気的に接続するかを選択的に切り替え可能である。c接点スイッチのCOM(共通端子)は、第2リアクトル32の他端と電気的に接続されている。
【0055】
○第2切替部は、c接点スイッチであってもよい。この場合、c接点スイッチは、実施形態の第3スイッチ17と第4スイッチ20とを統合したものである。例えば、c接点スイッチは、第1配線11と第3配線13とを電気的に接続するか、第3配線13と三相交流電源AS1の第3相とを電気的に接続するかを選択的に切り替え可能である。c接点スイッチのCOM(共通端子)は、第3リアクトル33の他端と電気的に接続されている。
【0056】
○電力変換装置10は、第4配線60に設けられたスイッチを備えていてもよい。この場合、制御装置71は、AC/DC変換器30に、三相交流電源AS1を電気的に接続する場合、スイッチをオフする。制御装置71は、AC/DC変換器30に、単相交流電源AS2を電気的に接続する場合、スイッチをオンする。これにより、第4配線60の他端は単相交流電源AS2に電気的に接続されて非接地配線として使用される。
【0057】
○電力変換装置10は、第1配線11に設けられたスイッチを備えていてもよい。
○電力変換装置10は、第1スイッチ16、第2スイッチ19、第3スイッチ17及び第4スイッチ20を備えていなくてもよい。
【符号の説明】
【0058】
AS1…三相交流電源、AS2…単相交流電源、C…コンデンサユニット、C1…第1コンデンサ、C2…第2コンデンサ、Q1…第1上アームスイッチング素子、Q2…第1下アームスイッチング素子、Q3…第2上アームスイッチング素子、Q4…第2下アームスイッチング素子、Q5…第3上アームスイッチング素子、Q6…第3下アームスイッチング素子、10…電力変換装置、11…第1配線、12…第2配線、13…第3配線、16…第1スイッチ、17…第3スイッチ、19…第2スイッチ、20…第4スイッチ、30…AC/DC変換器、31…第1リアクトル、32…第2リアクトル、33…第3リアクトル、34…第1直列接続体、35…第2直列接続体、36…第3直列接続体、40…DC/DC変換器、60…第4配線、71…制御装置。
図1
図2