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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141634
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02H 7/00 20060101AFI20241003BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20241003BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241003BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H02H7/00 L
H02J7/34 J
H02J7/00 S
H02H7/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053390
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆弘
【テーマコード(参考)】
5G053
5G503
【Fターム(参考)】
5G053AA05
5G053CA04
5G053EA03
5G053EB01
5G053EB05
5G053EC01
5G053FA05
5G503AA01
5G503BA03
5G503BB01
5G503CC02
5G503DA06
5G503GB06
(57)【要約】
【課題】電力変換装置の大型化を抑制すること。
【解決手段】制御装置81は、第4スイッチ46をオフ、かつ、第4切替部48をオンすることによって第2コンデンサC3をプリチャージする。制御装置81は、第2コンデンサC3をプリチャージした後に第2切替部72及び第4スイッチ46をオン、かつ、第1スイッチ43及び第4切替部48をオフした状態でインバータ52を降圧動作させることによって第1コンデンサC2をプリチャージする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された交流電力を直流電力に変換する充電器と、
前記充電器から出力される直流電力が供給されるバッテリと、
前記充電器と前記バッテリとの間に設けられた第1コンデンサと、
前記バッテリから出力される直流電力が供給されるインバータと、
前記バッテリと前記インバータとの間に設けられた第2コンデンサと、
スター結線された3つのコイルを備えるとともに前記インバータから出力される交流電力が供給されるモータと、
前記充電器と前記バッテリの正極とを接続する正母線と、
前記充電器と前記バッテリの負極とを接続する負母線と、
前記正母線に設けられ、前記充電器と前記バッテリとの接続/非接続を切り替え可能な第1切替部と、
前記正母線における前記充電器と前記第1切替部との間の箇所と前記モータの中性点とを接続する接続線と、
前記接続線に設けられ、前記正母線と前記モータの中性点との接続/非接続を切り替え可能な第2切替部と、
前記バッテリと前記第2コンデンサとを接続する配線と、
前記配線に設けられるとともに前記バッテリと前記第2コンデンサとの接続/非接続を切り替え可能な第3切替部と、
前記第3切替部に並列接続されるとともに、抵抗素子と当該抵抗素子を介して前記バッテリと前記第2コンデンサとの接続/非接続を切り替え可能な第4切替部とを有する突入電流抑制回路と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記第3切替部をオフ、かつ、前記第4切替部をオンすることによって前記第2コンデンサをプリチャージし、
前記第2コンデンサをプリチャージした後に前記第2切替部及び前記第3切替部をオン、かつ、前記第1切替部及び前記第4切替部をオフした状態で前記インバータを降圧動作させることによって前記第1コンデンサをプリチャージする、電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の電力変換装置は、インバータと、入力コンデンサと、リレーと、突入電流抑制回路と、充電装置と、を備える。インバータは、バッテリから入力された直流電力を交流電力に変換して出力する。入力コンデンサは、バッテリとインバータとの間に設けられている。リレーは、バッテリとインバータとを接続する配線に設けられている。突入電流抑制回路は、スイッチと、抵抗素子と、を備える。スイッチと抵抗素子とは互いに直列接続されている。突入電流抑制回路は、リレーと並列に設けられている。インバータの始動時には、スイッチをオンすることによって抵抗素子を介して入力コンデンサのプリチャージを行う。これにより、突入電流抑制回路は、突入電流を抑制している。充電装置は、外部交流電源から入力された交流電力を直流電力に変換して出力する。充電装置から出力される直流電力によってバッテリは充電される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-259274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
充電装置によってバッテリを充電する場合、充電装置が備えているコンデンサにも電流が流れる。充電装置によってバッテリを充電する場合に突入電流を抑制するためには、充電装置が備えているコンデンサに対応する突入電流抑制回路を設ける必要がある。この場合、入力コンデンサに対応する突入電流抑制回路と充電装置が備えるコンデンサに対応する突入電流抑制回路とを個別に設ける必要がある。このため、電力変換装置の大型化を招くおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する電力変換装置は、入力された交流電力を直流電力に変換する充電器と、前記充電器から出力される直流電力が供給されるバッテリと、前記充電器と前記バッテリとの間に設けられた第1コンデンサと、前記バッテリから出力される直流電力が供給されるインバータと、前記バッテリと前記インバータとの間に設けられた第2コンデンサと、スター結線された3つのコイルを備えるとともに前記インバータから出力される交流電力が供給されるモータと、前記充電器と前記バッテリの正極とを接続する正母線と、前記充電器と前記バッテリの負極とを接続する負母線と、前記正母線に設けられ、前記充電器と前記バッテリとの接続/非接続を切り替え可能な第1切替部と、前記正母線における前記充電器と前記第1切替部との間の箇所と前記モータの中性点とを接続する接続線 と、前記接続線に設けられ、前記正母線と前記モータの中性点との接続/非接続を切り替え可能な第2切替部と、前記バッテリと前記第2コンデンサとを接続する配線と、前記配線に設けられるとともに前記バッテリと前記第2コンデンサとの接続/非接続を切り替え可能な第3切替部と、前記第3切替部に並列接続されるとともに、抵抗素子と当該抵抗素子を介して前記バッテリと前記第2コンデンサとの接続/非接続を切り替え可能な第4切替部とを有する突入電流抑制回路と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記第3切替部をオフ、かつ、前記第4切替部をオンすることによって前記第2コンデンサをプリチャージし、前記第2コンデンサをプリチャージした後に前記第2切替部及び前記第3切替部をオン、かつ、前記第1切替部及び前記第4切替部をオフした状態で前記インバータを降圧動作させることによって前記第1コンデンサをプリチャージする。
【0006】
制御装置は、第3切替部をオフ、かつ、第4切替部をオンすることによって抵抗素子を介して第2コンデンサをプリチャージできる。制御装置は、第2切替部及び第3切替部をオン、かつ、第1切替部及び第4切替部をオフした状態でインバータを降圧動作させることによって第1コンデンサをプリチャージ。インバータによって第1コンデンサをプリチャージすることによって、第1コンデンサに対応して突入電流抑制回路を設ける必要がない。従って、第2コンデンサと第1コンデンサのそれぞれに対応して突入電流抑制回路を設ける場合に比べて、電力変換装置の大型化を抑制できる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電力変換装置の大型化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電力変換装置の回路図である。
図2図1の制御装置が行うプリチャージ制御を示すフローチャートである。
図3図2のプリチャージ制御で第2コンデンサをプリチャージする際の電力変換装置を示す回路図である。
図4図2のプリチャージ制御で第1コンデンサをプリチャージする際の電力変換装置を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
電力変換装置の一実施形態について説明する。一例として車両に搭載される電力変換装置について説明する。
<電力変換装置>
図1に示すように、電力変換装置10は、充電器11と、ACフィルタ12と、第1コンデンサC2と、DCフィルタ13と、バッテリパック41と、インバータ回路部51と、モータ61とを備える。インバータ回路部51は、インバータ52と、第2コンデンサC3とを備える。
【0010】
充電器11は、入力される交流電力を直流電力に変換するものであり、本実施形態の充電器11は、AC/DC変換器20と、コンデンサC1と、DC/DC変換器30とを備える。
【0011】
充電器11には、車両の外部に設けられた外部交流電源ASから交流電力が入力される。外部交流電源ASから入力される交流電力は、三相交流であってもよいし単相交流であってもよい。
【0012】
ACフィルタ12は、外部交流電源ASに流出するノイズを低減させる。
AC/DC変換器20は、2つのリアクトル21,22と、2つの直列接続体23,24と、を備える。リアクトル21の一端とリアクトル22の一端は、ACフィルタ12に接続され、ACフィルタ12を介して外部交流電源ASに接続されている。
【0013】
2つの直列接続体23,24は、互いに並列接続されている。直列接続体23は、直列に接続された2つのスイッチング素子Q11,Q12を備える。2つのスイッチング素子Q11,Q12の接続点には、リアクトル21の他端が接続されている。スイッチング素子Q11,Q12は、例えば、半導体スイッチング素子である。半導体スイッチング素子は、例えば、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ、絶縁ゲート型バイポーラートランジスタ、Gan HEMT等である。
【0014】
直列接続体24は、直列に接続された2つのスイッチング素子Q13,Q14を備える。2つのスイッチング素子Q13,Q14の接続点には、リアクトル22の他端が接続されている。スイッチング素子Q13,Q14は、例えば、半導体スイッチング素子である。
【0015】
AC/DC変換器20は、ACフィルタ12を介して入力された交流電力を直流電力に変換しつつ力率の改善を行う。
コンデンサC1は、AC/DC変換器20とDC/DC変換器30との間に設けられている。コンデンサC1は、リンクコンデンサ、又は平滑コンデンサである。
【0016】
コンデンサC1の一端は、2つのスイッチング素子Q11,Q13の接続点と接続されている。
コンデンサC1の他端は、2つのスイッチング素子Q12,Q14の接続点と接続されている。
【0017】
すなわち、直列接続体23,24とコンデンサC1とは、並列接続されている。
DC/DC変換器30は、第1ブリッジ回路31と、第2ブリッジ回路34と、トランス37と、を備える。第1ブリッジ回路31は、2つの直列接続体32,33を備える。2つの直列接続体32,33は、互いに並列接続されている。直列接続体32は、直列に接続された2つのスイッチング素子Q21,Q22を備える。スイッチング素子Q21,Q22は、例えば、半導体スイッチング素子である。
【0018】
直列接続体33は、直列に接続された2つのスイッチング素子Q23,Q24を備える。スイッチング素子Q23,Q24は、例えば、半導体スイッチング素子である。
2つのスイッチング素子Q21,Q23との接続点は、コンデンサC1の一端と接続されている。
【0019】
2つのスイッチング素子Q22,Q24との接続点は、コンデンサC1の他端と接続されている。
すなわち、直列接続体32,33とコンデンサC1とは、並列接続されている。
【0020】
第2ブリッジ回路34は、2つの直列接続体35,36を備える。2つの直列接続体35,36は、互いに並列接続されている。直列接続体35は、直列に接続された2つのスイッチング素子Q31,Q32を備える。スイッチング素子Q31,Q32は、例えば、半導体スイッチング素子である。
【0021】
直列接続体36は、直列に接続された2つのスイッチング素子Q33,Q34を備える。スイッチング素子Q33,Q34は、例えば、半導体スイッチング素子である。
トランス37は、第1巻線38と、第2巻線39と、を備える。第1巻線38の一端は、2つのスイッチング素子Q21,Q22の接続点に接続されている。第1巻線38の他端は、2つのスイッチング素子Q23,Q24の接続点に接続されている。第2巻線39の一端は、2つのスイッチング素子Q31,Q32の接続点に接続されている。第2巻線39の他端は、2つのスイッチング素子Q33,Q34の接続点に接続されている。
【0022】
第1コンデンサC2は、リンクコンデンサ、又は平滑コンデンサである。
第1コンデンサC2の一端は、2つのスイッチング素子Q31,Q33の接続点に接続され、第1コンデンサC2の他端は、2つのスイッチング素子Q32,Q34の接続点に接続されている。
【0023】
すなわち、直列接続体35,36と第1コンデンサC2とは、並列接続されている。
DCフィルタ13は、直列接続体36とバッテリパック41との間に設けられ、直列接続体36から出力される直流電力に含まれるノイズを低減し、バッテリパック41に出力する。
【0024】
バッテリパック41は、バッテリ42と、正母線としての第1正母線L1及び第2正母線L2と、負母線としての第1負母線L3及び第2負母線L4と、第1~第4スイッチ43~46とを備える。
【0025】
バッテリ42は、充放電可能な二次電池を複数接続したものである。バッテリ42の正極は第1正母線L1に接続されている。バッテリ42の負極は、第1負母線L3に接続されている。第1コンデンサC2は、充電器11とバッテリ42との間に設けられている。
【0026】
第1正母線L1は、充電器11とバッテリ42の正極とを接続している。第1負母線L3は、充電器11とバッテリ42の負極とを接続している。本実施形態における第1正母線L1及び第1負母線L3は、DCフィルタ13とバッテリ42とを接続している。バッテリ42には、充電器11から出力される直流電力が供給される。
【0027】
第1スイッチ43は、第1正母線L1に設けられている。第1スイッチ43は、例えば、リレースイッチである。第1スイッチ43は、第1正母線L1に設けられ、充電器11とバッテリ42との接続/非接続を切り替え可能な第1切替部である。
【0028】
第2スイッチ44は、第1負母線L3に設けられている。第2スイッチ44は、例えば、リレースイッチであり、充電器11とバッテリ42との接続/非接続を切り替え可能なスイッチである。
【0029】
第2正母線L2は、バッテリ42の正極とインバータ52とに接続されている。第2負母線L4は、バッテリ42の負極とインバータ52とに接続されている。
第3スイッチ45は、第2正母線L2に設けられている。第3スイッチ45は、例えば、リレースイッチである。第3スイッチ45は、バッテリ42とインバータ52との接続/非接続を切り替え可能なスイッチである。
【0030】
第4スイッチ46は、第2負母線L4に設けられている。第4スイッチ46は、例えば、リレースイッチである。第4スイッチ46は、バッテリ42とインバータ52との接続/非接続を切り替え可能なスイッチである。
【0031】
インバータ52は、三相インバータである。インバータ52は、3つの直列接続体53,54,55を備える。直列接続体53,54,55は、互いに並列接続されている。直列接続体53は、U相上アームスイッチング素子Q41と、U相下アームスイッチング素子Q42と、を備える。U相上アームスイッチング素子Q41とU相下アームスイッチング素子Q42とは、第2正母線L2と第2負母線L4との間で直列接続されている。直列接続体54は、V相上アームスイッチング素子Q43と、V相下アームスイッチング素子Q44と、を備える。V相上アームスイッチング素子Q43とV相下アームスイッチング素子Q44とは、第2正母線L2と第2負母線L4との間で直列接続されている。直列接続体55は、W相上アームスイッチング素子Q45と、W相下アームスイッチング素子Q46と、を備える。W相上アームスイッチング素子Q45とW相下アームスイッチング素子Q46とは、第2正母線L2と第2負母線L4との間で直列接続されている。U相上アームスイッチング素子Q41、U相下アームスイッチング素子Q42、V相上アームスイッチング素子Q43、V相下アームスイッチング素子Q44、W相上アームスイッチング素子Q45及びW相下アームスイッチング素子Q46は、例えば、半導体スイッチング素子である。インバータ52は、第2正母線L2及び第2負母線L4によってバッテリ42に接続されている。
【0032】
第2コンデンサC3は、バッテリ42とインバータ52との間に設けられている。第2コンデンサC3は、一端が第2正母線L2に接続され、他端が第2負母線L4に接続されている。第2コンデンサC3は、平滑コンデンサ、又はリンクコンデンサである。
【0033】
モータ61は、三相モータである。モータ61は、3つのコイル62,63,64を備える。3つのコイル62,63,64は、スター結線されている。コイル62の一端は、U相上アームスイッチング素子Q41とU相下アームスイッチング素子Q42との接続点に接続されている。コイル63の一端は、V相上アームスイッチング素子Q43とV相下アームスイッチング素子Q44との接続点に接続されている。コイル64の一端は、W相上アームスイッチング素子Q45とW相下アームスイッチング素子Q46との接続点に接続されている。コイル62の他端とコイル63の他端とコイル64の他端は、互いに接続されている。コイル62の他端とコイル63の他端とコイル64の他端との接続点は、モータ61の中性点である。
【0034】
電力変換装置10は、接続線71を備える。接続線71は、第1正母線L1における充電器11と第1スイッチ43との間の箇所と、モータ61の中性点と、を接続している。
電力変換装置10は、第2切替部72を備える。第2切替部72は、接続線71に設けられており、第1正母線とモータ61の中性点との接続/非接続を切り替える。第2切替部72は、例えば、リレースイッチである。
【0035】
第2正母線L2及び第2負母線L4によってバッテリ42と第2コンデンサC3とは接続されている。第2負母線L4は、バッテリ42と第2コンデンサC3とを接続する配線である。第4スイッチ46は、バッテリ42と第2コンデンサC3との接続/非接続を切り替え可能な第3切替部である。
【0036】
バッテリパック41は、突入電流抑制回路47を備える。突入電流抑制回路47は、第4スイッチ46に並列接続される。突入電流抑制回路47は、抵抗素子49と、第4切替部48と、を備える。第4切替部48と抵抗素子49とは互いに直列接続されている。第4切替部48は、抵抗素子49を介してバッテリ42と第2コンデンサC3との接続/非接続を切り替え可能である。
【0037】
電力変換装置10は、制御装置81を備える。制御装置81は、プロセッサと、記憶部と、を備える。プロセッサとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、及びDSP(Digital Signal Processor)を挙げることができる。記憶部は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部は、処理をプロセッサに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。記憶部、即ち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。制御装置は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である制御装置は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0038】
制御装置81は、電力変換装置10の制御を行う。本実施形態では、制御装置81により電力変換装置10の全体が制御される。電力変換装置10は、複数の制御装置によって制御されてもよい。例えば、電力変換装置10は、充電器11を制御する制御装置、DC/DC変換器30を制御する制御装置、バッテリパック41を制御する制御装置、及びインバータ52を制御する制御装置を備えていてもよい。
【0039】
<バッテリの充電時に制御装置が行うプリチャージ制御>
バッテリ42の充電時に制御装置81が行うプリチャージ制御について説明する。プリチャージ制御は、例えば、充電器11と外部交流電源ASとが接続されると実行される。充電器11と外部交流電源ASとが接続されたことの検知は、例えば、充電プラグが車両に接続されたことを制御装置81が検知することで行われる。
【0040】
図2及び図3に示すように、ステップS1において、制御装置81は、第4スイッチ46をオフする。制御装置81は、第4切替部48をオンする。第1スイッチ43、第2スイッチ44、及び第2切替部72はオフにされている。第3スイッチ45は、オンにされている。これにより、バッテリ42から第2コンデンサC3に電流が流れることによって第2コンデンサC3がプリチャージされる。
【0041】
図2及び図4に示すように、次に、ステップS2において、制御装置81は、第2切替部72をオンする。制御装置81は、第4スイッチ46をオンする。制御装置81は、第1スイッチ43をオフする。制御装置81は、第4切替部48をオフする。第2スイッチ44、及び第3スイッチ45はオンにされている。
【0042】
次に、ステップS3において、制御装置81は、インバータ52による降圧動作を行う。例えば、制御装置81は、下アームスイッチング素子Q42,Q44,Q46をオフした状態で上アームスイッチング素子Q41,Q43,Q45をオンすることによってコイル62,63,64に電磁エネルギーを蓄える。そして、制御装置81は、上アームスイッチング素子Q41,Q43,Q45をオフすることによってコイル62,63,64から電磁エネルギーを放出させる。これにより、インバータ52による降圧動作が行われる。インバータ52の降圧動作は、U相、V相、W相のうちいずれか一相で行われればよい。インバータ52の降圧動作により、バッテリ42からインバータ52に入力された直流電圧が降圧されて出力される。インバータ52から出力された直流電圧によって接続線71を介して第1コンデンサC2に電流が流れる。これにより、第1コンデンサC2がプリチャージされる。
【0043】
次に、ステップS4において、制御装置81は、バッテリ42の充電を開始する。制御装置81は、AC/DC変換器20を制御することによってAC/DC変換器20に直流電圧を出力させる。これにより、バッテリ42の充電を行う。この際、第1スイッチ43はオン、第2スイッチ44はオン、第3スイッチ45はオフ、第4スイッチ46はオフ、第4切替部48はオフ、第2切替部72はオフである。
【0044】
[本実施形態の作用]
制御装置81は、第4スイッチ46をオフ、かつ、第4切替部48をオンすることによって抵抗素子49を介して第2コンデンサC3に電流を流すことができる。抵抗素子49を介して電流を流すことによって第2コンデンサC3を緩やかにプリチャージすることができる。制御装置81は、第2切替部72及び第4スイッチ46をオン、かつ、第1スイッチ43及び第4切替部48をオフした状態でインバータ52を降圧動作させることによって第1コンデンサC2に電流を流すことができる。制御装置81は、インバータ52に降圧動作を行わせることで、第1コンデンサC2を緩やかにプリチャージすることができる。
【0045】
[本実施形態の効果]
(1)制御装置81は、第4スイッチ46をオフ、かつ、第4切替部48をオンすることによって第2コンデンサC3をプリチャージできる。制御装置81は、第2切替部72及び第4スイッチ46をオン、かつ、第1スイッチ43及び第4切替部48をオフした状態でインバータ52を降圧動作させることによって第1コンデンサC2をプリチャージできる。第1コンデンサC2に対応して突入電流抑制回路を設ける必要がない。従って、第2コンデンサC3と第1コンデンサC2のそれぞれに対応して突入電流抑制回路を設ける場合に比べて、電力変換装置10の大型化を抑制できる。また、第2コンデンサC3と第1コンデンサC2のそれぞれに対応して突入電流抑制回路を設ける場合に比べて、電力変換装置10の製造コストを低減させることができる。
【0046】
[変更例]
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0047】
○上記実施形態のバッテリパック41は、第2スイッチ44を備えていなくてもよい。
○上記実施形態のバッテリパック41は、第3スイッチ45を備えていなくてもよい。
○上記実施形態の充電器11は、AC/DC変換器20と、コンデンサC1と、DC/DC変換器30と、を備えているが、入力された交流電力を直流電力に変換できるものであればどのような構成であってもよい。
【0048】
○上記実施形態のDC/DC変換器30は、所謂双方向DC/DCコンバータだが、第1ブリッジ回路31から第2ブリッジ回路34に直流電力を伝送できる構成であればよい。
【0049】
○上記実施形態のモータ61は、電動圧縮機の備えるモータであってもよい。インバータ52は、電動圧縮機の備えるモータを駆動するためのインバータであってもよい。
○上記実施形態の突入電流抑制回路47は、第3スイッチ45に並列接続されていてもよい。この場合、第2正母線L2は、バッテリ42とインバータ52とを接続する配線である。第3スイッチ45は、第3切替部である。
【符号の説明】
【0050】
C2…第1コンデンサ、C3…第2コンデンサ、L1…正母線である第1正母線、L3…負母線である第1負母線、L4…配線である第2負母線、10…電力変換装置、11…充電器、42…バッテリ、43…第1切替部である第1スイッチ、46…第3切替部である第4スイッチ、47…突入電流抑制回路、48…第4切替部、49…抵抗素子、52…インバータ、61…モータ、62,63,64…コイル、71…接続線、72…第2切替部、81…制御装置。
図1
図2
図3
図4