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特開2024-141640積層体の製造方法、積層体、容器、詰め替え用包装袋及びチューブ容器
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  • 特開-積層体の製造方法、積層体、容器、詰め替え用包装袋及びチューブ容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141640
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】積層体の製造方法、積層体、容器、詰め替え用包装袋及びチューブ容器
(51)【国際特許分類】
   B29C 59/16 20060101AFI20241003BHJP
   B65D 30/02 20060101ALI20241003BHJP
   B65D 33/36 20060101ALI20241003BHJP
   B65D 35/02 20060101ALI20241003BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20241003BHJP
   B32B 3/26 20060101ALI20241003BHJP
   B32B 3/30 20060101ALI20241003BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20241003BHJP
   B32B 7/022 20190101ALI20241003BHJP
   B32B 7/12 20060101ALI20241003BHJP
   B29L 9/00 20060101ALN20241003BHJP
   B29L 23/20 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
B29C59/16
B65D30/02
B65D33/36
B65D35/02 Z
B65D65/40 D
B32B3/26 A
B32B3/30
B32B27/32 E
B32B7/022
B32B7/12
B29L9:00
B29L23:20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053401
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(72)【発明者】
【氏名】佐々 志歩
【テーマコード(参考)】
3E064
3E065
3E086
4F100
4F209
【Fターム(参考)】
3E064AB26
3E064AB28
3E064BA17
3E064BA28
3E064BA30
3E064BA36
3E064BA40
3E064BA55
3E064BB03
3E064BC01
3E064BC08
3E064BC20
3E064EA06
3E064EA09
3E064FA03
3E064GA01
3E064HA06
3E064HB03
3E064HB05
3E064HC10
3E064HM01
3E064HN05
3E064HS05
3E065AA02
3E065BA02
3E065BA16
3E065BA18
3E065BA25
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3E065CA01
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3E086AA23
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3E086AD03
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3E086BA15
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3E086BB23
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3E086DA08
4F100AK05A
4F100AK51B
4F100AK63C
4F100AR00E
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100CB00B
4F100DD01A
4F100DD21B
4F100EH66E
4F100EJ52B
4F100GB16
4F100HB31D
4F100JA04
4F100JA06
4F100JA13
4F100JK02A
4F100JL11B
4F100JL12C
4F100YY00A
4F209AA05
4F209AF01
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4F209AH81
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4F209PN03
4F209PW41
(57)【要約】
【課題】モノマテリアル化を実現すべき容器の製造に適用可能な積層体の製造方法であって、容器の未シール部であっても隆起部を形成可能な積層体の製造方法を提供すること。
【解決手段】本開示の一側面に係る積層体の製造方法は、基材層、接着層及びシーラント層をこの順序で備える積層構造を有する積層体を準備する工程と、積層体にレーザ光を照射して接着層の一部を揮発させ、基材層とシーラント層との間に空隙を形成することで、空隙に由来する隆起部を有する積層体を得る工程と、を備え、基材層及びシーラント層がポリエチレン樹脂を含み、基材層に含まれるポリエチレン樹脂が高密度ポリエチレン樹脂であり、基材層の流れ方向の引張強度が、10MPa以上100MPa以下である。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層、接着層及びシーラント層をこの順序で備える積層構造を有する積層体を準備する工程と、
前記積層体にレーザ光を照射して前記接着層の一部を揮発させ、前記基材層と前記シーラント層との間に空隙を形成することで、前記空隙に由来する隆起部を有する積層体を得る工程と、
を備え、
前記基材層及び前記シーラント層がポリエチレン樹脂を含み、
前記基材層に含まれるポリエチレン樹脂が高密度ポリエチレン樹脂であり、
前記基材層の流れ方向の引張強度が、10MPa以上100MPa以下である、積層体の製造方法。
【請求項2】
高密度ポリエチレン樹脂を含み且つ流れ方向の引張強度が10MPa以上100MPa以下である基材層と、
接着層と、
ポリエチレン樹脂を含むシーラント層と、
をこの順序で備える積層構造を有し、
前記基材層と前記シーラント層との間に空隙を有し、
前記空隙に由来する隆起部を有する、積層体。
【請求項3】
ポリエチレン樹脂の含有量が、当該積層体の全量を基準として、90質量%以上である、請求項2に記載の積層体。
【請求項4】
前記基材層の厚さが、30μm以上である、請求項2に記載の積層体。
【請求項5】
印刷層を更に備える、請求項2に記載の積層体。
【請求項6】
蒸着層を更に備える、請求項2に記載の積層体。
【請求項7】
請求項2~6のいずれか一項に記載の積層体を含む、容器。
【請求項8】
互いに対向された一対の胴部と、
前記一対の胴部の間に折り込まれた底部と、
を有し、内部に内容物を収容するための収容領域が形成され、少なくとも前記一対の胴部が請求項2~6のいずれか一項に記載の積層体により形成された詰め替え用包装袋であって、
前記一対の胴部のそれぞれは、前記収容領域を形成する本体部と、前記収容領域に収容された前記内容物を注ぎ出すために前記収容領域から延びる注出路を形成する注出部と、を有し、
前記注出部が、前記隆起部を有する、詰め替え用包装袋。
【請求項9】
互いに対向された一対の胴部と、
前記一対の胴部の間に折り込まれた底部と、
を有し、内部に内容物を収容するための収容領域が形成され、少なくとも前記一対の胴部が請求項2~6のいずれか一項に記載の積層体により形成された詰め替え用包装袋であって、
前記一対の胴部のそれぞれは、前記収容領域を形成する本体部と、前記収容領域に収容された前記内容物を注ぎ出すために前記収容領域から延びる注出路を形成する注出部と、を有し、
前記胴部の印刷が際立つように前記隆起部が設けられている、詰め替え用包装袋。
【請求項10】
請求項2~6のいずれか一項に記載の積層体により形成された胴部と、
前記胴部の一端に取り付けられた注出口部と、
前記注出口部に取り付けられるキャップと、
を備え、
前記胴部の印刷が際立つように前記隆起部が設けられている、チューブ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層体の製造方法、積層体、容器、詰め替え用包装袋及びチューブ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
シャンプーや化粧品等を収容する容器(例えば、詰め替え用包装袋及びチューブ容器)が知られている。このような容器には、手等で容器を持ったときに滑りにくいことが求められる。
【0003】
滑りにくい容器として、例えば、特許文献1には、液体又は粒体の収容袋のつまみ部に多数のバリのできる小穴を貫通させた滑り止めつき袋が開示されている。また、特許文献2には、包装袋の表裏面を構成する積層体の間に空気層を設けることでもたらされた膨らみを有する特定の包装袋が開示されている。また、特許文献3には、エンボス模様付き袋状容器の成形方法であって、形成しようとするエンボス模様にしたがって形成された凸部を有する上部材を加熱し、少なくとも凸部が所定温度に加熱されるようにした後に、凸部を軟包材の表面に接触させて、軟包材を部分的に収縮させて外側に盛り上がらせることにより所定形状の第一のエンボス模様を形成することを特徴とするエンボス模様付き袋状容器の成形方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3155416号公報
【特許文献2】特開2015-54706号公報
【特許文献3】特許第4370768号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のように多数のバリのできる小穴を貫通させて滑り止めを形成する場合には、容器を構成する積層体のシーラント層同士がヒートシールされていない未シール部に滑り止めを形成することができない。特許文献2のように積層体の間に空気層を設ける場合も同様である。
【0006】
ところで、近年の環境問題への意識の高まりから、各種製品の省資源、再利用などの機能が求められるようになり、容器にも同様の機能が求められている。
【0007】
各種素材が複合化された容器を再利用する一つの方法は、素材ごとに再分離する方法である。しかし、所定の強度を付与した容器を分離するには熱的、化学的、機械的な各種作用を行う必要がある。また、分離された素材を分別するためにも、比重による物理的な作用や、素材ごとに異なる分光学的な手法などにより行わねばならず、効率的ではなかった。
【0008】
他の手法として、容器のモノマテリアル化が挙げられる。すなわち、容器を同系統の素材で構成して、容器を一体の素材として再利用する取り組みである。
【0009】
本発明者らはこのようなモノマテリアル化の材料としてポリエチレン樹脂を選択した。そして、本発明者らは、基材層及びシーラント層がポリエチレン樹脂である積層体について、特許文献3のように熱加工による凹凸の形成を検討した。すると、熱加工により基材層が低融点のため収縮してしまい、成型性や袋の寸法精度が悪くなることが判明した。
【0010】
本開示は、モノマテリアル化を実現すべき容器の製造に適用可能な積層体の製造方法であって、容器の未シール部であっても隆起部を形成可能な積層体の製造方法を提供する。また、本開示は、モノマテリアル化を実現すべき容器の製造に適用可能な積層体であって、容器の未シール部であっても隆起部を形成可能な積層体、それを含む容器、詰め替え用包装袋及びチューブ容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の一側面に係る積層体の製造方法は、基材層、接着層及びシーラント層をこの順序で備える積層構造を有する積層体を準備する工程と、積層体にレーザ光を照射して接着層の一部を揮発させ、基材層とシーラント層との間に空隙を形成することで、空隙に由来する隆起部を有する積層体を得る工程と、を備え、基材層及びシーラント層がポリエチレン樹脂を含み、基材層に含まれるポリエチレン樹脂が高密度ポリエチレン樹脂であり、基材層の流れ方向の引張強度が、10MPa以上100MPa以下である。基材層の流れ方向の引張強度がこの範囲にあることで基材層が破れることなく積層体に隆起部を形成することができる。
【0012】
本開示の他の一側面に係る積層体は、高密度ポリエチレン樹脂を含み且つ流れ方向の引張強度が10MPa以上100MPa以下である基材層と、接着層と、ポリエチレン樹脂を含むシーラント層と、をこの順序で備える積層構造を有し、基材層とシーラント層との間に空隙を有し、空隙に由来する隆起部を有する。
【0013】
一態様において、ポリエチレン樹脂の含有量は、当該積層体の全量を基準として、90質量%以上であってよい。一態様において、基材層の厚さは、30μm以上であってよい。一態様において、上記積層体は、印刷層を更に備えていてよい。一態様において、上記積層体は、蒸着層を更に備えていてよい。
【0014】
本開示の更に他の一側面に係る容器は、上記積層体を含む。
【0015】
本開示の更に他の一側面に係る詰め替え用包装袋は、互いに対向された一対の胴部と、一対の胴部の間に折り込まれた底部と、を有し、内部に内容物を収容するための収容領域が形成され、少なくとも一対の胴部が上記積層体により形成された詰め替え用包装袋であって、一対の胴部のそれぞれは、収容領域を形成する本体部と、収容領域に収容された内容物を注ぎ出すために収容領域から延びる注出路を形成する注出部と、を有し、注出部が、隆起部を有する。
【0016】
本開示の更に他の一側面に係る詰め替え用包装袋は、互いに対向された一対の胴部と、一対の胴部の間に折り込まれた底部と、を有し、内部に内容物を収容するための収容領域が形成され、少なくとも一対の胴部が上記積層体により形成された詰め替え用包装袋であって、一対の胴部のそれぞれは、収容領域を形成する本体部と、収容領域に収容された内容物を注ぎ出すために収容領域から延びる注出路を形成する注出部と、を有し、胴部の印刷が際立つように隆起部が設けられている。
【0017】
本開示の更に他の一側面に係るチューブ容器は、上記積層体により形成された胴部と、胴部の一端に取り付けられた注出口部と、注出口部に取り付けられるキャップと、を備え、胴部の印刷が際立つように隆起部が設けられている。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、モノマテリアル化を実現すべき容器の製造に適用可能な積層体の製造方法であって、容器の未シール部であっても隆起部を形成可能な積層体の製造方法が提供される。また、本開示によれば、モノマテリアル化を実現すべき容器の製造に適用可能な積層体であって、容器の未シール部であっても隆起部を形成可能な積層体、それを含む容器、詰め替え用包装袋及びチューブ容器が提供される。
【0019】
本開示の積層体、それを含む容器、詰め替え用包装袋及びチューブ容器は、隆起部を有するため、例えば、滑りにくいものとなる。また、本開示の積層体、それを含む容器、詰め替え用包装袋及びチューブ容器は、隆起部を有するため、例えば、意匠性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、一実施形態に係る積層体を模式的に示す断面図である。
図2図2は、図1の積層体の製造方法を示す模式図である。
図3図3は、一実施形態に係る詰め替え用包装袋を示す正面図である。
図4図4は、図3に示すII-II線における断面図である。
図5図5は、一実施形態に係るチューブ容器を示す正面図である。
図6図6(a)~(e)は、それぞれ、実施例1、実施例2、実施例3、比較例1及び実施例4で得られた第2の積層体の切断面の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示の一実施形態に係る積層体について詳細に説明する。
【0022】
<積層体>
図1は、本実施形態に係る積層体を模式的に示す断面図である。積層体20は、基材層1、接着層3a、中間層5、接着層3b及びシーラント層7をこの順序で備える積層構造を有する。積層体20は、基材層1と接着層3aとの間に空隙9aを有する。積層体20は、接着層3bとシーラント層7との間に空隙9bを有する。積層体20は、空隙9a及び空隙9bに由来する隆起部R1を有する。隆起部R1では、基材層1が隆起している。
【0023】
以下、基材層1、接着層3a、中間層5、接着層3b及びシーラント層7について詳述する。
【0024】
[基材層1]
基材層1は、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)を含み且つ流れ方向(MD)の引張強度が10MPa以上100MPa以下である。基材層1はポリエチレン樹脂フィルムで構成されていることが好ましい。ポリエチレン樹脂フィルムは未延伸であることが好ましい。ポリエチレン樹脂フィルムが未延伸であることで、樹脂の配向性がほとんどなく、引っ張りやせん断のような外部応力に対して伸びやすく破断しにくい。基材層1の厚さは、例えば、5~800μmであり、5~500μm、10~50μm又は30~50μmであってよい。基材層1の厚さは、5μm以上、10μm以上又は30μm以上であってよい。基材層1の厚さは、800μm以下、500μm以下又は50μm以下であってよい。
【0025】
基材層1の融点は、好ましくは120℃以上であり、より好ましくは125℃以上である。基材層1に含まれる高密度ポリエチレン樹脂の密度は、0.925g/cm以上であることが好ましく、0.93~0.98g/cmであることが好ましい。
【0026】
基材層1に含まれる高密度ポリエチレン樹脂は、石油由来のものに限定されず、その一部又は全部が生物由来の樹脂材料(例えば、バイオマス由来のエチレンを原材料に用いたバイオマスポリエチレン)であってもよい。バイオマス由来のポリエチレン樹脂の製造方法は、例えば、特表2010-511634号公報に開示されている。基材層1は、市販のバイオマスポリエチレン(ブラスケム社製グリーンPE等)を含んでもよいし、使用済みのポリエチレン製品やポリエチレン製品の製造過程で発生した樹脂(いわゆるバリ)を原料とするメカニカルリサイクルポリエチレンを含んでもよい。
【0027】
基材層1は、ポリエチレン樹脂以外の成分を含んでいてもよい。かかる成分としては、例えば、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、生分解性の樹脂材料(例えば、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリグリコール酸、変性ポリビニルアルコール、カゼイン、変性澱粉等)などが挙げられる。基材層1は、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤等の添加剤を含んでもよい。基材層1における高密度ポリエチレン樹脂以外の成分の量は、基材層1の全量を基準として、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。
【0028】
基材層1の流れ方向の引張強度は、100MPa以下であり、70MPa以下、又は50MPa以下であってよく、10MPa以上であり、30MPa以上又は40MPa以上であってよい。引張強度の具体的な測定方法は実施例に示すとおりである。
【0029】
[接着層3a,3b]
接着層3a,3bを形成する接着剤は、接着方法に合わせて選定することができるが、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤などを用いることができる。接着層3a,3bを設けることで、基材層1と中間層5との層間及び中間層5とシーラント層7との層間の密着性が高くなりデラミネーションしにくくなり、容器としての耐圧性や耐衝撃性を保持することができる。
【0030】
接着層3a,3bは、塩素を含まないことが好ましい。接着層3a,3bが塩素を含まないことで、接着剤やリサイクル後の再生樹脂が着色したり、加熱処理によって臭いが発生したりすることを防ぐことができる。接着層3a,3bは、バイオマス材料を使用すると環境配慮の観点から好ましい。また、ポリエチレンにはバイオマスポリエチレンを使用することができる。環境配慮の観点から、接着剤には溶剤を含まないものが好ましい。
【0031】
接着層3a,3bの厚さは、例えば、0.1~10μm、0.1~5.0μm、又は0.2~2.0μmであってよい。
【0032】
[中間層5]
中間層5は、ポリエチレン樹脂を含む。中間層5はポリエチレン樹脂フィルムで構成されていることが好ましい。ポリエチレン樹脂フィルムは未延伸であることが好ましい。ポリエチレン樹脂フィルムが未延伸であることで、樹脂の配向性がほとんどなく、引っ張りやせん断のような外部応力に対して伸びやすく破断しにくい。中間層5の厚さは、例えば、5~800μmであり、5~500μm又は10~50μmであってよい。
【0033】
中間層5の融点は、好ましくは120℃以上であり、より好ましくは125℃以上である。中間層5を構成するポリエチレンとして、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)等が挙げられる。これらのうち、耐熱性の観点から、HDPE及びMDPEで密度が0.925g/cm以上のものを使用することが好ましい。特に、密度が0.93~0.98g/cmの範囲の高密度ポリエチレンを用いることが好ましい。中間層5の引張強度は基材層1と同様であってよい。
【0034】
中間層5を構成するポリエチレン樹脂は、基材層1と同様に生物由来の樹脂材料であってもよい。中間層5は、ポリエチレン樹脂以外の成分を含んでいてもよい。そのような成分としては基材層1と同様の成分が挙げられる。当該成分の含有量は、基材層1と同様であってよい。
【0035】
[シーラント層7]
シーラント層7は、ポリエチレン樹脂を含む。シーラント層7の厚さは、例えば、40~150μmであり、20~250μmであってもよい。シーラント層7の融点は、好ましくは120℃以下であり、より好ましくは95~110℃である。シーラント層7は、密度0.925g/cm未満(より好ましくは0.900~0.920g/cm)のポリエチレン樹脂で構成されていることが好ましい。具体例として、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及び超低密度ポリエチレン(VLDPE)が挙げられる。これらのポリエチレンをブレンドして使用してもよい。
【0036】
シーラント層7に含まれるポリエチレン樹脂の一部又は全部として、バイオマス由来のエチレンを原材料に用いたバイオマスポリエチレンを用いてもよい。このようなシーラントフィルムは、例えば、特開2013-177531号公報に開示されている。シーラント層7は、使用済みのポリエチレン製品やポリエチレン製品の製造過程で発生した樹脂(いわゆるバリ)を原料とするメカニカルリサイクルポリエチレンを含んでもよい。
【0037】
隆起部R1の積層体20の平坦部を基準とした高さは、例えば、10~300μm、10~200μm又は10~100mmであってよい。
【0038】
リサイクル性の観点から、積層体20におけるポリエチレン樹脂の含有量は90質量%以上であることが好ましい。モノマテリアル化をより高度に達成する観点から、積層体20におけるポリエチレン樹脂の含有量は、92質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが更に好ましい。
【0039】
以上、一実施形態に係る積層体について詳細に説明したが、本開示の積層体は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、積層体は、基材層、中間層、シーラント層及び接着層に加えてその他の層を更に備えていてもよい。
【0040】
[その他の層]
積層体は、例えば、水蒸気や酸素に対するガスバリア性向上の観点から、ガスバリア層を更に含んでもよい。ガスバリア層は、接着層3aと中間層5との間に設けられてもよく、中間層5と接着層3bとの間に設けられてもよく、接着層3bとシーラント層7との間に設けられてもよい。積層体の水蒸気透過量は、例えば、5g/m・dayであり、1g/m・day以下又は0.5g/m・day以下であってもよい。積層体の酸素透過量は、例えば、1cc/m・atm・dayであり、0.5g/m・atm・day以下又は0.2g/m・atm・day以下であってもよい。積層体がガスバリア層を含むことで、内容物を水蒸気や酸素による劣化から保護し、長期的に品質を保持しやすくなる。
【0041】
ガスバリア層の一例として、無機酸化物の蒸着層が挙げられる。無機酸化物の蒸着層を用いることにより、積層体のリサイクル性に影響を与えない範囲のごく薄い層で、高いバリア性を得ることができる。無機酸化物としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化錫等が挙げられる。透明性及びバリア性の観点から、無機酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、及び酸化マグネシウムからなる群より選択されてよい。無機酸化物の蒸着層の厚さは、例えば5nm以上100nm以下とすることができ、10nm以上50nm以下であってよい。厚さが5nm以上であることでバリア性が良好に発揮されやすく、厚さが100nm以下であることで、積層体の可撓性が維持されやすい。蒸着層は、例えば物理気相成長法、化学気相成長法等によって形成することができる。
【0042】
積層体は、無機酸化物の蒸着層に代えて、あるいは加えて、金属層(金属箔)を含んでもよい。金属層としては、アルミニウム、ステンレス鋼等からなる各種金属箔を使用することができ、これらのうち、防湿性、延展性等の加工性、コスト等の面から、アルミニウム箔が好ましい。アルミニウム箔としては、一般の軟質アルミニウム箔を用いることができる。なかでも、耐ピンホール性及び成型時の延展性に優れる点から、鉄を含むアルミニウム箔が好ましい。金属層を設ける場合、その厚さは、バリア性、耐ピンホール性、加工性等の点から、7~50μmであってよく、9~15μmであってよい。
【0043】
積層体は、基材層1とシーラント層7との間にアンカーコート層を備えていてもよい。アンカーコート層は、積層体のリサイクル性に影響を与えない範囲のごく薄い層でよく、アンカーコート剤を用いて形成することができる。アンカーコート剤としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂等が挙げられる。アンカーコート剤としては、耐熱性及び層間接着強度の観点から、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂が好ましい。
【0044】
積層体は、例えば、印刷層を更に含んでもよい。印刷層は、基材層1と接着層3aとの間に設けられていてもよく、接着層3aと中間層5との間に設けられてもよく、中間層5と接着層3bとの間に設けられてもよく、接着層3bとシーラント層7との間に設けられてもよい。
印刷層を設ける場合、印刷インキには塩素を含まないものを用いることが、印刷層が再溶融時に着色したり、臭いが発生したりすることを防ぐ観点から好ましい。また、印刷インキに含まれる化合物にはバイオマス材料を使用することが、環境配慮の観点から好ましい。
【0045】
例えば、積層体は、中間層5を備えていなくてもよい。また、積層体は、接着層3bを備えていなくてもよい。中間層は、ポリエチレン樹脂を含んでいなくてもよい。
【0046】
以下、本開示の一実施形態に係る積層体の製造方法について詳細に説明する。
【0047】
<積層体の製造方法>
本実施形態に係る積層体の製造方法は、下記の工程(a)及び工程(b)を備える。
工程(a):基材層、接着層及びシーラント層をこの順序で備える積層構造を有する積層体を準備する工程
工程(b):積層体にレーザ光を照射して接着層の一部を揮発させ、基材層とシーラント層との間に空隙を形成することで、空隙に由来する隆起部を有する積層体を得る工程
【0048】
[工程(a)]
図2(a)は、工程(a)において準備される積層体の一例を模式的に示す断面図である。積層体10は、基材層1、接着層3a、中間層5、接着層3b及びシーラント層7を備える。基材層1、接着層3a、中間層5、接着層3b及びシーラント層7は、上述した積層体20と同様であってよい。
【0049】
[工程(b)]
工程(b)では積層体10にレーザ光を照射して接着層3a,3bの一部を揮発させる。レーザ光は、積層体に対して基材層1側から照射してもよく、シーラント層7側から照射してもよい。レーザ光を積層体に対して基材層1側から照射する場合には、基材層1及び中間層5は、ポリエチレン樹脂を含むためレーザ光を吸収せずに透過してレーザ光が接着層3a,3bに達する。これにより、接着層3a,3bの一部が揮発する。レーザ光を積層体に対してシーラント層7側から照射する場合には、シーラント層7及び中間層5は、ポリエチレン樹脂を含むためレーザ光を吸収せずに透過してレーザ光が接着層3a,3bに達する。これにより、接着層3a,3bの一部が揮発する。接着層3a,3bの一部が揮発することで空隙9a,9bが形成される。その結果、図2(b)に示すように隆起部R1を有する積層体20が得られる。
【0050】
積層体10に照射するレーザ光としては、レーザ光としては、具体的には、炭酸ガスレーザ又はYAGレーザから出射されるレーザ光が挙げられ、生産性の観点から、炭酸ガスレーザから出射されるレーザー光が好ましい。
【0051】
照射するレーザ光の波長は、例えば、9.2~10.8μmであってよい。
【0052】
以上、一実施形態に係る積層体の製造方法について詳細に説明したが、本開示の積層体の製造方法は上記実施形態に限定されるものではない。
【0053】
以下、本開示の一実施形態に係る容器について詳細に説明する。本実施形態に係る容器は、上記実施形態に係る積層体20を含む。本実施形態に係る容器は包装用途に用いることができる。
【0054】
[詰め替え用包装袋]
図3は、容器の一例として詰め替え用包装袋を示す。詰め替え用包装袋31は、内容物が収容されることで自立するスタンディングパウチであり、詰め替え用ボトル等の容器(不図示)に対する内容物の詰め替え等に用いられる。詰め替え用包装袋31の上下等の方向は、詰め替え用包装袋31が自立した際の上下等の方向をいう。また、詰め替え用包装袋31の上下の方向を縦方向D1といい、縦方向D1と直交する方向を横方向D2という。
【0055】
図4は、図3に示すII-II線における断面図である。図3及び図4に示すように、詰め替え用包装袋31は、互いに対向された一対の胴部である胴部32A及び胴部32Bと、胴部32Aと胴部32Bとの間に折り込まれた底部33と、を備える。そして、詰め替え用包装袋31は、その内部に、内容物を収容するための収容領域42が形成されている。収容領域42は、胴部32A、胴部32B、及び底部33により形成される。なお、胴部32Aと胴部32Bとは、互いに同じ形状、構造等を有しているため、以下では、特に分けて説明する場合を除き、胴部32A及び胴部32Bを胴部32として纏めて説明する。
【0056】
胴部32は、上記実施形態に係る積層体20により形成されている(接着層3a,3bは不図示)。底部33は、基材層38と、中間層39と、シーラント層40と、が積層された積層体41により形成されている。
【0057】
胴部32A及び胴部32Bは、略矩形状に形成されて、それぞれのシーラント層7が対向するように互いに重ね合わされている。底部33は、略矩形状に形成されて、その下端が胴部32A及び胴部32Bの下端と合わさるとともに、そのシーラント層40が胴部32A及び胴部32Bのシーラント層7と対向するように、胴部32A及び胴部32Bの間に折り込まれている。つまり、底部33は、胴部32A側に位置する第一底部33aと胴部32B側に位置する第二底部33bとが折り畳まれた状態となっている。
【0058】
そして、詰め替え用包装袋31の内部に内容物を収容可能とするために、胴部32A及び胴部32Bが、その上端部の少なくとも一部を除き、その外縁部において互いに又は底部33とヒートシールされている。これにより、内容物を収容するための収容領域42と、収容領域42に内容物を注入するために収容領域42を開口する注入口43と、収容領域42に収容された内容物を注ぎ出すために収容領域42から延びる注出路44と、が形成されている。収容領域42に対して注出路44が延びる方向は、特に限定されるものではないが、例えば、縦方向D1及び横方向D2に対して傾斜した方向である。
【0059】
胴部32は、略矩形に形成されて収容領域42を形成する本体部45と、本体部45から突出して注出路44を形成する注出部46と、滑り止め部47と、印刷Aと、を有する。また、胴部32は、互いに縦方向D1に対向する上辺部45a及び底辺部45bと、互いに横方向D2に対向する第一側辺部45c及び第二側辺部45dと、を有する。上辺部45aは、本体部45の外縁部を成すとともに、胴部32の上辺に沿って横方向D2に延びる部分である。底辺部45bは、本体部45の外縁部を成すとともに、胴部32の底辺に沿って横方向D2に延びる部分である。第一側辺部45cは、本体部45の外縁部を成すとともに、胴部32の一方の側辺に沿って縦方向D1に延びる部分である。第二側辺部45dは、本体部45の外縁部を成すとともに、胴部32の他方の側辺に沿って縦方向D1に延びる部分である。
【0060】
注出部46は、胴部32の上辺部45aと第一側辺部45cとの間の隅部45eに位置している。隅部は、角部ともいう。注出部46は、例えば、隅部45eにおいて上辺部45a及び第一側辺部45cを切り欠くことにより形成することができる。つまり、上辺部45aの横方向D2における第一側辺部45c側の端部に第一切欠き48を形成するとともに、第一側辺部45cの縦方向D1における上辺部45a側の端部に第二切欠き49を形成することで、注出部46を形成することができる。
【0061】
胴部32A及び胴部32Bの、互いに又は底部33とヒートシールされている部分を、シール部50という。シール部50は、第一サイドシール部51と、注出シール部52と、第二サイドシール部53と、底シール部54と、を有する。
【0062】
第一サイドシール部51は、胴部32Aと胴部32Bとが互いにヒートシールされている部分である。第一サイドシール部51は、第一側辺部45cに沿って縦方向D1に延びている。
【0063】
注出シール部52は、胴部32Aと胴部32Bとが互いにヒートシールされている部分である。注出シール部52は、第一サイドシール部51の上端に接続されて、注出部46の外縁に沿って注出路44を囲むように延びている。注出路44は、注出シール部52に囲まれて胴部32Aと胴部32Bとが互いにヒートシールされていない部分である。このため、注出シール部52により、注出路44が画成される。
【0064】
第二サイドシール部53は、胴部32Aと胴部32Bとが互いにヒートシールされている部分である。第二サイドシール部53は、第二側辺部45dに沿って縦方向D1に延びている。
【0065】
底シール部54は、胴部32A及び胴部32Bと底部33とがヒートされている部分である。つまり、底シール部54は、胴部32Aと第一底部33aとがヒートシールされている部分、及び胴部32Bと第二底部33bとがヒートされている部分である。底シール部54は、第一サイドシール部51の下端と第二サイドシール部53の下端とに接続されている。
【0066】
注出シール部52の上端と第二サイドシール部53の上端との間に位置する上辺部45aは、胴部32Aと胴部32Bとが互いにヒートシールされていない。この上辺部45aの胴部32Aと胴部32Bとが互いにヒートシールされていない部分が、注入口43となる。但し、上辺部45aの一部に注入口43が形成されていれば、上辺部45aの一部において胴部32A及び胴部32Bが互いにヒートシールされていてもよい。
【0067】
また、詰め替え用包装袋31では、内容物が収容された際に安定して自立するように、第一底部33a及び第二底部33bの横方向D2における両端部が半月状に切り取られて、胴部32Aと胴部32Bとが部分的にヒートシールされている。この第一底部33a及び第二底部33bが半月状に切り取られて胴部32Aと胴部32Bとが部分的にヒートシールされている部分を、ポイントシール部55という。
【0068】
滑り止め部47は、詰め替え用包装袋31の滑りを抑制するものである。滑り止め部47は、積層体20の点状の隆起部R1によって構成されている。つまり、滑り止め部47は、シーラント層7側から基材層1側に凸となっている。収容領域42に収容されている内容物の注ぎ出しは、注出部46をハサミ等で切断して詰め替え用包装袋31を傾けることにより行う。
【0069】
切断予定線L1は、手指等による切断を予定している仮想線であり、例えば、注出部46に印刷された破線等の線であってもよく、微細なエンボス等により脆性化された線であってもよい。
【0070】
印刷Aには、印刷が際立つように隆起部が設けられている。つまり、印刷Aは、シーラント層7側から基材層1側に凸となっている。印刷Aは、その全体が隆起部である。
【0071】
[チューブ容器]
図5は、容器の一例としてチューブ容器を示す。図5に示すチューブ容器500は、ガスバリア積層体からなる胴部510と、胴部510の一端に取り付けられた注出口部520と、注出口部520に取り付けられるキャップ530と、を備える。胴部510は、チューブ容器500の裏面のシール部513で積層体20のシーラント層7同士が貼り合わされ、かつ注出口部520が取り付けられる一端とは反対側の他端に位置する底部511が閉塞されることで、内容物を収容することができるように形成された筒状の部材である。注出口部520は、内容物を排出する口栓部522と、胴部510に保持された内容物を口栓部522に導くための肩部521とで構成される。キャップ530は、口栓部522の開口の閉塞及び開放を可能とする部材である。
【0072】
胴部510には、印刷Aが設けられている。胴部510には、印刷Aが際立つように隆起部が設けられている。印刷Aはその全体が隆起部である。印刷Aは、シーラント層7側から基材層1側に凸となっている。
【0073】
以上、本実施形態の容器の例を説明したが、本開示の容器は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、容器の隆起部は、点状ではなく線状であってもよい。また、印刷は、その一部が隆起部であってもよい。印刷の一部が隆起している場合、例えば、印刷の周縁部が隆起していてもよい。また、印刷が文字や模様を含む場合には、その文字や模様が隆起していてもよい。
【0074】
リサイクル性の観点から、容器におけるポリエチレン樹脂の含有量は90質量%以上であることが好ましい。モノマテリアル化をより高度に達成する観点から、容器におけるポリエチレン樹脂の含有量は、92質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが更に好ましい。
【0075】
容器に収容される内容物は、例えば、化粧品、シャンプー、コンディショナー、ボディソープ、衣料用洗剤及び歯磨き粉が挙げられる。
【実施例0076】
以下、実施例により本開示を更に詳細に説明するが、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
【0077】
<積層体の作製>
(実施例1)
基材層、第1の接着層、中間層、第2の接着層、シーラント層として、下記の材料を準備した。
・基材層…未延伸HDPEフィルム(厚さ:35μm、密度:0.948g/cm、融点:135℃)
・第1の接着層…ウレタン系接着剤
・中間層…未延伸HDPEフィルム(厚さ:32μm、密度:0.948g/cm、融点:135℃)
・第2の接着層…ウレタン系接着剤
・シーラント層…LLDPE(厚さ:100μm、密度:0.915g/cm、MFR:7g/10分、融点:104℃)
【0078】
基材層と、中間層とを第1の接着層(厚さ:1~2μm)を介して貼り合わせた。次いで、中間層と、シーラント層とを第2の接着層(厚さ:1~2μm)を介して貼り合わせることで第1の積層体を得た。第1の積層体に基材層側からレーザ光を照射することで隆起部が形成された第2の積層体を得た。レーザ光の照射条件は下記のとおりとした。
【0079】
・レーザ:LP-430U(商品名、パナソニック株式会社製)
・レーザ光のパワー:80%
・スキャンスピード:500mm/s
・レーザ光の波長:10.6μm
【0080】
(実施例2)
実施例1と同様にして基材層、第1の接着層、中間層、第2の接着層、シーラント層の材料を準備した。基材層の一方の主面に印刷層(厚さ:1~3μm)を形成した。基材層と中間層とを基材層の印刷層が設けられた面と中間層とが対向するように第1の接着層(厚さ:1~2μm)を介して貼り合わせることで第1の積層体を得た。第1の積層体について実施例1と同様にしてレーザ光を照射することで第2の積層体を得た。
【0081】
(実施例3)
第1の積層体のシーラント層側からレーザ光を照射したこと以外は実施例1と同様にして第2の積層体を得た。
【0082】
(比較例1)
基材層として下記の材料を用いたこと以外は、実施例1と同様にして第2の積層体を得た。
・基材層…未延伸HDPEフィルム(厚さ:10μm、密度:0.948g/cm、融点:135℃)
【0083】
(実施例4)
基材層、第1の接着層、シーラント層として実施例1と同様の材料を準備した。基材層とシーラント層とを第1の接着層を用いて貼り合わせることで第1の積層体を得た。第1の積層体について実施例1と同様にしてレーザ光を照射することで隆起部が形成された第2の積層体を得た。
【0084】
(実施例5)
基材層として下記の材料を用いたこと以外は、実施例4と同様にして第2の積層体を得た。
・基材層:未延伸HDPEフィルム(厚さ:32μm、密度:0.95g/cm、融点:132℃)
【0085】
<積層体の断面観察>
(実施例1~5及び比較例1)
各実施例及び比較例で作製した第2の積層体の隆起部について断面観察した。具体的には、第2の積層体を厚さ方向に沿って切断して得た切断面を走査型電子顕微鏡(SEM、倍率:500倍)で観察して画像を撮影した。図6(a)~(e)は、それぞれ、実施例1、実施例2、実施例3、比較例1及び実施例4で得られた第2の積層体の切断面の画像である。図6(a)、(b)、(c)及び(e)では、基材層が破れずに隆起していることが確認できる。図6(d)では、基材層が破れていることが確認できる。また、実施例5では、基材層が破れずに隆起していることが確認された。
【0086】
<基材層の引張強度の測定>
(実施例1~5及び比較例1)
各実施例及び比較例の基材層について、JIS K 7161-1に準拠して流れ方向の引張強度を測定した。基材層から切り出した試験片の大きさは幅15.0mm、長さ50.0mmとした。測定は恒温槽内で行い、測定温度は、25.0℃とした。測定は、恒温槽内の温度が設定温度に達してから1分後に開始した。引張速度は300mm/分とし、チャック間距離は10mmとした。結果を表1に示した。
【0087】
【表1】
【0088】
本開示の要旨は以下の[1]~[10]に存する。
[1]基材層、接着層及びシーラント層をこの順序で備える積層構造を有する積層体を準備する工程と、
積層体にレーザ光を照射して接着層の一部を揮発させ、基材層とシーラント層との間に空隙を形成することで、空隙に由来する隆起部を有する積層体を得る工程と、
を備え、
基材層及びシーラント層がポリエチレン樹脂を含み、
基材層に含まれるポリエチレン樹脂が高密度ポリエチレン樹脂であり、
基材層の流れ方向の引張強度が、10MPa以上100MPa以下である、積層体の製造方法。
[2]高密度ポリエチレン樹脂を含み且つ流れ方向の引張強度が10MPa以上100MPa以下である基材層と、
接着層と、
ポリエチレン樹脂を含むシーラント層と、
をこの順序で備える積層構造を有し、
基材層とシーラント層との間に空隙を有し、
空隙に由来する隆起部を有する、積層体。
[3]ポリエチレン樹脂の含有量が、当該積層体の全量を基準として、90質量%以上である、[2]に記載の積層体。
[4]基材層の厚さが、30μm以上である、[2]又は[3]に記載の積層体。
[5]印刷層を更に備える、[2]~[4]のいずれかに記載の積層体。
[6]蒸着層を更に備える、[2]~[5]のいずれかに記載の積層体。
[7][2]~[6]のいずれかに記載の積層体を含む、容器。
[8]互いに対向された一対の胴部と、
一対の胴部の間に折り込まれた底部と、
を有し、内部に内容物を収容するための収容領域が形成され、少なくとも一対の胴部が[2]~[6]のいずれかに記載の積層体により形成された詰め替え用包装袋であって、
一対の胴部のそれぞれは、収容領域を形成する本体部と、収容領域に収容された内容物を注ぎ出すために収容領域から延びる注出路を形成する注出部と、を有し、
注出部が、隆起部を有する、詰め替え用包装袋。
[9]互いに対向された一対の胴部と、
一対の胴部の間に折り込まれた底部と、
を有し、内部に内容物を収容するための収容領域が形成され、少なくとも一対の胴部が[2]~[6]のいずれかに記載の積層体により形成された詰め替え用包装袋であって、
一対の胴部のそれぞれは、収容領域を形成する本体部と、収容領域に収容された内容物を注ぎ出すために収容領域から延びる注出路を形成する注出部と、を有し、
胴部の印刷が際立つように隆起部が設けられている、詰め替え用包装袋。
[10][2]~[6]のいずれかに記載の積層体により形成された胴部と、
胴部の一端に取り付けられた注出口部と、
注出口部に取り付けられるキャップと、
を備え、
胴部の印刷が際立つように隆起部が設けられている、チューブ容器。
【符号の説明】
【0089】
1,38…基材層、3a,3b…接着層、7,40…シーラント層、9a,9b…空隙、10,20,41…積層体、31…詰め替え用包装袋、32,510…胴部、33,511…底部、42…収容領域、44…注出路、46…注出部、500…チューブ容器、520…注出口部、530…キャップ、A…印刷、R1…隆起部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6