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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141642
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】セルモジュール劣化度診断装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/00 20060101AFI20241003BHJP
   G01R 31/392 20190101ALI20241003BHJP
   G01R 31/389 20190101ALI20241003BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20241003BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G01R31/00
G01R31/392
G01R31/389
H01M10/42 P
H01M10/48 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053403
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】酒井 政信
(72)【発明者】
【氏名】熊田 光徳
(72)【発明者】
【氏名】眞塩 徹也
(72)【発明者】
【氏名】平野 道人
(72)【発明者】
【氏名】矢野 智宏
【テーマコード(参考)】
2G036
2G216
5H030
【Fターム(参考)】
2G036AA24
2G036BB08
2G216BA23
2G216BA51
5H030AA01
5H030AS08
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
(57)【要約】
【課題】診断装置側の検査端子とセルモジュールの検査対象端子の接続状態を均一化して劣化状態を正確に検出することが可能なセルモジュール劣化度診断装置を提供する。
【解決手段】セルモジュール1を所定の姿勢で収容する収容部4を備え、収容部4は、セルモジュール1の検査対象端子2と接続される検査端子6と、検査対象端子2を検査端子6に所定当接力で当接させて両者を接続する接続構造と、を備え、制御装置7は、検査対象端子2が検査端子6に接続されている状態でセルモジュール1の内部インピーダンスを算出し(S9)、算出された内部インピーダンスに基づいてセルモジュールの劣化状態を検出する(S10)。
【選択図】図21
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大容量電池のセルモジュールの劣化状態を診断するセルモジュール劣化度診断装置であって、
前記セルモジュールを所定の姿勢で収容する収容部を備え、
前記収容部は、前記セルモジュールの検査対象端子と接続される検査端子と、前記検査対象端子を前記検査端子に所定当接力で当接させて両者を接続する接続構造と、を備え、
前記検査対象端子が前記検査端子に接続されている状態で前記セルモジュールの内部インピーダンスを算出し、算出された内部インピーダンスに基づいて前記セルモジュールの劣化状態を検出する劣化状態検出部を備えたことを特徴とするセルモジュール劣化度診断装置。
【請求項2】
前記接続構造は、少なくとも前記検査対象端子が前記検査端子に接続されている状態では、接続対象の検査端子に対して被接続対象の検査対象端子を上側に配置した状態で前記セルモジュールに作用する重力によって被接続対象の検査対象端子が接続対象の検査端子に押し付けられるように前記セルモジュールを所定の姿勢で前記収容部内に収容する構造であることを特徴とする請求項1に記載のセルモジュール劣化度診断装置。
【請求項3】
前記検査対象端子と検査端子との接続方向の対地傾斜角度を調整できるように前記収容部が回転軸を介して保管庫内に設けられ、前記保管庫は、前記対地傾斜角度を所定の角度に保持するための傾斜角度保持機構を備えたことを特徴とする請求項2に記載のセルモジュール劣化度診断装置。
【請求項4】
前記検査端子は、前記検査対象端子に対して所定方向に移動可能なように弾性部材で構成されるか又は前記収容部内で弾性的に支持され、前記検査対象端子毎にセル電圧測定用端子及び交流電力印加用端子と、前記検査対象端子に設けられた凹陥部に嵌入される位置決めピンと、を備えたことを特徴とする請求項1に記載のセルモジュール劣化度診断装置。
【請求項5】
前記収容部は、前記セルモジュールが所定の姿勢で収容されている状態でオンとなるスイッチを備え、前記劣化状態検出部は、前記スイッチがオンされた後、前記セル電圧測定用端子で測定された直流セル電圧が正常範囲である場合に、前記交流電力印加用端子を介して前記セルモジュールに交流電力を印加して前記セル電圧測定用端子で測定されたセル電圧の交流成分と前記交流電力の交流電流とから前記内部インピーダンスを算出することを特徴とする請求項4に記載のセルモジュール劣化度診断装置。
【請求項6】
診断対象のセルモジュールを含むセルモジュールの情報が予め記憶された記憶装置を備え、前記収容部は、前記セルモジュールに設けられた識別表示を撮像する撮像器を備え、前記劣化状態検出部は、前記撮像器による前記識別表示の画像から診断対象のセルモジュールの情報を記憶装置から読み込み、読み込まれた診断対象のセルモジュールの情報に基づいて、前記内部インピーダンスの算出条件及び/又は前記劣化状態の検出条件を設定することを特徴とする請求項5に記載のセルモジュール劣化度診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大容量電池のセルモジュールの劣化状態を診断するセルモジュール劣化度診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、鉛蓄電池などの負荷時間を自動的に診断するバッテリ診断装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5515181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、電気自動車に用いられた大容量電池を二次利用する場合には、電池を構成するセルモジュールの劣化状態を診断する必要がある。このようなセルモジュールの劣化度診断方法は様々であるが、検査装置(検査回路)の検査端子とセルモジュールの検査対象端子の接続状態が均一でないと、劣化状態を正確に検出することができない。
本発明は、診断装置側の検査端子とセルモジュールの検査対象端子の接続状態を均一化して劣化状態を正確に検出することが可能なセルモジュール劣化度診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、セルモジュールを所定の姿勢で収容する収容部を備え、収容部は、セルモジュールの検査対象端子と接続される検査端子と、検査対象端子を検査端子に所定当接力で当接させて両者を接続する接続構造と、を備え、検査対象端子が検査端子に接続されている状態でセルモジュールの内部インピーダンスを算出し、算出された内部インピーダンスに基づいてセルモジュールの劣化状態を検出する劣化状態検出部を備えたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様によれば、セルモジュールの検査対象端子と診断装置側の検査端子とが所定当接力で当接されるので、両者の接続状態が均一化される。従って、セルモジュールの内部インピーダンスを正確に求めることができ、その結果、セルモジュールの劣化状態を正確に検出することが可能となる。
本発明の目的及び利点は、特許請求の範囲に示した要素及びその組合せを用いて具現化され達成される。前述の一般的な記述及び以下の詳細な記述の両方は、単なる例示及び説明であり、特許請求の範囲のように本発明を限定するものでないと解するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】診断対象のセルモジュールの一例を示す斜視図である。
図2図1のセルモジュールが保管されている保管庫の斜視図である。
図3図2の保管庫が往復される恒温室と検査室の説明図である。
図4図2の保管庫に設けられた収容部の概略構成を示す斜視図である。
図5図4の収容部にセルモジュールを収容する説明図である。
図6】収容部に設けられた挿入スイッチの斜視図である。
図7】収容部に設けられたローラの説明図である。
図8】収容部に収容されるセルモジュールの姿勢の説明図である。
図9】収容部に収容されるセルモジュールの姿勢の説明図である。
図10】収容部に収容されるセルモジュールの姿勢の説明図である。
図11】保管庫に設けられた回転軸と傾斜角度保持機構の説明図である。
図12】診断装置の回路構成図である。
図13】検査回路と検査端子の概略構成図である。
図14図13の検査端子の斜視図である。
図15】検査端子の他の例を示す斜視図である。
図16図15の検査端子の第1変形例を示す三面図である。
図17図15の検査端子の第2変形例を示す三面図である。
図18】検査端子の更に他の例を示す斜視図である。
図19図18の検査端子の変形例を示す斜視図である。
図20】検査端子の異なる例を示す斜視図である。
図21図12の制御装置で実行される演算処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に示すセルモジュール1は、例えば、電動自動車に搭載されている大容量電池を解体して得られる。このセルモジュール1は、厚さの小さい直方体形状であり、図の左手前の側面に、3つの検査対象端子2が突設され、同じ面の下部に二次元コードなどで構成される識別表示3が設けられて(貼付されて)いる。この実施形態では、このセルモジュール1を所定の姿勢で収容部内に収容し、その状態で、保管及び劣化状態の診断を行う。この実施形態では、識別表示3を下側にした姿勢で、検査対象端子2が突設されている面を先行してセルモジュール1を保管庫51内の収容部4(図2参照)に差し込む。すなわち、図1のようにセルモジュール1を立てた姿勢で、図の左手前方向に移動させて収容部4に差し込む。
【0009】
図2は、保管庫51内に多数のセルモジュール1が保管されている状態を概略的に示している。この実施形態では、セルモジュール1の劣化状態を正確に検出するために、図3に示す恒温室53内に所定時間、保管庫51を保管してセルモジュール1の温度を所定の温度に保ち、その後、図3に示す検査室54に保管庫51を移動してセルモジュール1の診断を行う。そのため、保管庫51には、図示しない車輪などの可搬構造が設けられており、スムーズに恒温室53と検査室54を往復移動することができる。この実施形態では、例えば、大容量電池を恒温室53内又はその近傍で分解して、得られたセルモジュール1を保管庫51内に収容してそのまま保管する。これにより、重量物であるセルモジュール1の搬送や取り扱いに伴う労力が低減される。
【0010】
図1のセルモジュール1は、単一の電池セル52が2つ、直列に接続された構造を有し、それぞれの電池セル52の電極が検査対象端子2に接続されている(図12参照)。モジュールは、英単語moduleの意味する、機能単位、交換可能な構成部分などと規定される。従って、この規定に該当すれば、内蔵される電池セル52の数や検査対象端子2の諸元、全体の形状や大きさなどは上記に限定されるものではない。なお、検査対象端子2は、方形の一辺が電池セル52側に湾曲された平坦な金属製板部材(事実上の端子)からなる端子部材55を突出先端に配置して構成されており、その中央部には、後述するように、ネジ穴からなる円形の凹陥部56が設けられている(図14参照)。
【0011】
図4に示す収容部4では、セルモジュール1を立てた姿勢で、図の右奥方に移動させて、隣り合う区画壁57の間にセルモジュール1を差し込む。図4では、セルモジュール1を収容する収容部4は区画壁57間に形成されており、複数の収容部4が図の左右方向に並べて設けられている。従って、保管庫51内では並設された収容部4の列が棚を構成する。この例では、区画壁57は、それぞれのセルモジュール1の(差し込み方向の)側面の上部と下部のみに対向するように上下に分離して設けられているが、上から下まで連続していてもよい。前述のように、セルモジュール1は、検査対象端子2が先行するように収容部4に差し込まれるので、図の右奥方には、検査対象端子2に接続される検査端子6や検査回路58が配設されている(図13参照)。すなわち、セルモジュール1の収容部4への差し込み方向は、検査対象端子2と検査端子6の接続方向に一致する。
【0012】
図5は、収容部4へのセルモジュール1の差し込み状態を示している。図では、セルモジュール1の差し込み方向先方(収容部4としての奥方)に設けられている検査回路58を仮想線で示す。この収容部4の奥方には、差し込まれたセルモジュール1の識別表示3と対向する位置に撮像器(イメージセンサ)15が配設されている。この撮像器15で撮像された識別表示3の画像は、検査回路58を介して、後述する制御装置(劣化状態検出部)7に入力される。また、セルモジュール1の側面下部に対向する区画壁57の収容部奥方には、図6に明示するように、セルモジュール1の側面に当接してオン状態となる挿入スイッチ16が配設されている。この挿入スイッチ16は、例えばマイクロスイッチなどで構成され、セルモジュール1の側面が離隔するとオフ状態となる。また、セルモジュール1の下面と対向する収容部奥方には、図7に明示するように、セルモジュール1の下面に当接するローラ17が設けられている。このローラ17は、金属製又は樹脂製の円筒形状部材である。このローラ17は、例えば、弾性体59によって回転軸17a(又は軸受)が図の上方に付勢されており、セルモジュール1の下面が当接するとセルモジュール1を所定の押圧力で所定量だけ図の上方に持ち上げる。ローラ17を弾性体59によって付勢する代わりに、ローラ17の外周部分をゴムやウレタンなどの弾性部材で構成してもよい。また、ローラ17に代えて、弾性力を発現する板部材を収容部4の底面からセルモジュール1の差し込み方向先方に向けて斜め上方に傾斜するように配設してもよい。このように、セルモジュール1を所定量移動させることで、検査対象端子2と検査端子6の接続(当接)状態を一定にすることができる。なお、これらのセルモジュール上昇機構のセルモジュール1との当接面に、摩擦抵抗を軽減する滑り助長テープなどを貼付してもよい。
【0013】
セルモジュール1の収容部4への差し込み方向は、上記に限定されない。図8は、図5と同様に、セルモジュール1を水平方向に移動させて収容部4に差し込んでいる。これに対し、例えば、図9に示すように、セルモジュール1を鉛直方向下方に移動させて収容部4に差し込むようにしてもよい。同様に、図10に示すように、セルモジュール1を斜め下方に移動させて収容部4に差し込むようにしてもよい。例えば、セルモジュール1を収容部4に差し込むために必要な操作力を考えると、図9のようにセルモジュール1を鉛直方向下方に移動させる場合には、セルモジュール1の重量そのものが操作力となる。一方、図8のように、セルモジュール1を水平方向に移動させる場合には、セルモジュール1の下面が収容部4の底面と擦れる摩擦抵抗が操作力となるので、少なくとも図9のようにセルモジュール1を移動させる操作力よりも小さくなる。更に、図10のようにセルモジュール1を斜め下方に移動させる場合には、セルモジュール1の下面が収容部4の底面と擦れる摩擦抵抗が差し込み方向の傾斜角度に応じた抗力分だけ小さくなり、更に、セルモジュール1が傾斜方向に自重で落下する分力が差し引かれるので、図8のようにセルモジュール1を移動させる操作力よりも小さくなる。
【0014】
一方、図2に示すように、セルモジュール1を多段に保管する場合には、図10のようにセルモジュール1を傾斜状態にしておくよりも、図8のように横向きにしておいた方が所要スペースを小さくすることができる。そこで、この実施形態では、図11に示すように、セルモジュール1の収容部4への差し込み方向、換言すれば、検査対象端子2と検査端子6の接続方向の対地(地面に対する)傾斜角度を調整できるように、回転軸18を介して収容部4を保管庫51に接続した。また、この回転軸18には操作レバー60を取り付け、手動で回転軸18を回転させることにより、セルモジュール1の収容部4への差し込み方向、すなわち検査対象端子2と検査端子6の接続方向の対地傾斜角度θを調整できるようにした。更に、この操作レバー60の回動範囲に傾斜ストッパー19を配設し、この傾斜ストッパー19に操作レバー60が上方から当接することにより、収容部4やセルモジュール1の質量で下方に回転しようとする回転軸18の回転を規制して、セルモジュール1の収容部4への差し込み方向、すなわち検査対象端子2と検査端子6の接続方向の対地傾斜角度θを保持できるようにした(傾斜角度保持機構)。このように、セルモジュール1の収容部4への差し込み方向の対地傾斜角度θを調整可能とすることで、セルモジュール1を収容部4へ差し込むときの操作力を低減することができると共に、保管庫51内におけるセルモジュール1の保管スペースを小さくすることができる。また、上記より推察されるように、検査対象端子2と検査端子6の接続方向の対地傾斜角度θを被接続対象の検査対象端子2が接続対象の検査端子6の上側になるように所定角度で保持しておくことで、後述のようにセルモジュール1の劣化状態の診断時に、セルモジュール1に作用する重力によって被接続対象の検査対象端子2が接続対象の検査端子6に所定の接触圧力で接触される。このように、検査対象端子2を検査端子6に所定の接触圧力で接触させることは、検査対象端子2を所定の当接力で検査端子6に当接させることとなるので、両者の接続状態が一定となり、後述のようにセルモジュール1の内部インピーダンスを正確に算出することができる。そして、セルモジュール1の内部インピーダンスを正確に得ることができれば、そのセルモジュール1の劣化状態を正確に検出することができる。なお、回転軸18は、電動モータなどのアクチュエータによって回転するように構成してもよい。その場合、傾斜角度保持機構は、例えば、電動モータのロータを停止保持するブレーキで構成することもできる。
【0015】
この実施形態の診断装置は、図12に示す回路構成を有する。便宜上、セルモジュール1を収容する収容部4は省略し、またセルモジュール1は検査対象端子2が下向きになるようにレイアウトしている。この診断装置は、セルモジュール1の診断プロセスを司る制御装置7と、セルモジュール1の内部インピーダンスを算出するためにセルモジュール1に測定用交流電力を印加する交流電源14を備える。制御装置7は、高度な演算処理能力を有するコンピュータシステムを備える。このコンピュータシステムは、周知のコンピュータシステムと同様に、高度な演算処理能力を発揮するプロセッサ20と、プログラムやセンサ信号などの情報を記憶する記憶装置21を備えて構成される。プロセッサ20は、例えばCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)で構成される。記憶装置21は、半導体記憶装置、磁気記憶装置及び光学記憶装置で構成される。記憶装置21は、更に、レジスタ、キャッシュメモリ、主記憶装置として使用されるメモリを含んでよい。制御装置7により実行される演算処理は、例えば、制御装置7の記憶装置21に格納されたコンピュータプログラムを、プロセッサ20が実行することによって実現される。また、制御装置7により実行される演算処理を、汎用の半導体集積回路中に設定される機能的な論理回路で実行してもよい。例えば、制御装置7はフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ等のプログラマブル・ロジック・デバイス等を有していてもよい。
【0016】
挿入スイッチ16の出力信号は、検査回路58を介して制御装置7に入力される。同様に、撮像器15の画像信号も、検査回路58を介して制御装置7に入力される。また、図では、セルモジュール1の電池セル52の直流電圧V1、V2やセルモジュール1の直流電圧Vpが検査回路58で検出されるように示されているが、実際の検出(測定)は制御装置7内で行われ、検査回路58は電池セル52の電圧信号を制御装置7に伝送するだけである。後述するように、この実施形態では、電池セル52の直流電圧V1、V2が正常範囲であり、且つ両者の加算値がセルモジュール電圧Vpの許容誤差範囲にある場合に、制御装置7は交流電源14が測定用交流電力をセルモジュール1に印加するように指令する。この測定用交流電力を印加しているときにも各電池セル52の電圧V1、V2を測定するが、その場合も、実際の検出(測定)は制御装置7内で行われる。また、交流電源14内でモニタされる測定用交流電力印加時の測定用交流電力の交流電流の値が制御装置7に入力され、この交流電流値を用いてセルモジュール1(電池セル52)の内部インピーダンスが算出される。なお、制御装置7の記憶装置21には、診断対象となるセルモジュール1の製造情報が多数記憶されている。この製造情報は、例えば、プロセッサ20がセルモジュール1の製造番号を用いてアクセスすることで取得することができる。製造情報には、診断対象となるセルモジュール1のセル電池電圧V1、V2の正常値、印加する交流電力の測定周波数や電流振幅、各セル電池の内部インピーダンスの適正範囲、内部インピーダンスと劣化状態の相関特性などが記憶されている。
【0017】
図13は、3つの収容部4に対応して配置された検査端子6及び検査回路58を示している。前述のように、各セルモジュール1には3つの検査対象端子2が設けられているので、収容部4毎に3つの検査端子6が設けられており、それらの検査端子6の図示下方に検査回路58が配設されている。各検査端子6は、1つの方形平板部材からなる絶縁材料製の基板61に、1つのセル電圧測定用端子8と、1つの交流電力印加用端子9と、1つの位置決めピン5が、何れも図13の上向きに突出するようにして設けられている。検査端子6の詳細は、後述するとして、セル電圧測定用端子8は、それぞれ検査回路58に接続されており、検査回路58から更に制御装置7に接続されている。一方、交流電力印加用端子9のうち、図の最も奥方列の右端の交流電力印加用端子9と最も手前側列の左端の交流電力印加用端子9は、コネクタ62を介して交流電源14に接続される。そして、奥方列の左端の交流電力印加用端子9と中央列の右端の交流電力印加用端子9が接続され、同様に、中央列の左端の交流電力印加用端子9と手前側列の右端の交流電力印加用端子9が接続される。これにより、図12の交流電力印加回路が形成される。なお、この実施形態の検査回路58には、特別な機能は付加されていない。
【0018】
図14には、図13の検査端子6の詳細を示す。基板61は、収容部4内で(例えば検査回路58の基板61から)コイルスプリング22によって図の水平方向に揺動可能に支持されると共に上下方向にも移動可能に支持されている。方形の基板61の(図の奥方の)一辺の部分に半割の円柱形状の導電性の端子用部材23からなるセル電圧測定用端子8が湾曲面(円筒面)を上向きにして、その辺に沿うように取り付けられている。この一辺と対向する(図の手前側の)一辺の部分に同形状の導電性の端子用部材23からなる交流電力印加用端子9が湾曲面(円筒面)を上向きにして、その辺に沿うように取り付けられている。前述のように、検査対象端子2の端子部材55の中央部には凹陥部56(ねじ穴)が設けられており、この凹陥部56に嵌入する位置(基板61の中央部)に位置決めピン5が立設されている。この位置決めピン5は、上方突出先端部が先細りの円錐部63となっており、その下方に円柱形状の嵌合部64が形成されている。従って、この位置決めピン5は、凹陥部56によって円錐部63が案内されながら凹陥部56内に嵌合部64が嵌入して検査端子6を位置決めするように構成されている。例えば、図11の状態に収容部4内で支持されているセルモジュール1では、セルモジュール1に作用する重力によって検査対象端子2が検査端子6に押し付けられる。したがって、図14の端子部材55が基板61上のセル電圧測定用端子8及び交流電力印加用端子9に押し付けられると、コイルスプリング22によって基板61の位置が是正されながら、それらセル電圧測定用端子8及び交流電力印加用端子9が端子部材55にほぼ均等な当接力(接触圧力)で当接され、両者が確実に接続される。
【0019】
図15に示す検査端子6の他の例は、位置決めピン5の円柱形状の嵌合部64の外周面に半割円筒形状の導電性の端子用部材23が2つ対向位置に貼付されるようにして取り付けられて、それぞれがセル電圧測定用端子8及び交流電力印加用端子9を構成している。この例の位置決めピン5は絶縁性材料からなる。この検査端子6も、基板61が収容部4内でコイルスプリング22によって図の水平方向に揺動可能に且つ上下方向に移動可能に支持されている。従って、前述のようにして位置決めピン5の嵌合部64が検査対象端子2(端子部材55)の凹陥部56に嵌合されると、セル電圧測定用端子8及び交流電力印加用端子9がそれぞれ凹陥部56の内周面に当接されてセル電圧測定用端子8及び交流電力印加用端子9と検査対象端子2が接続される。図16に示す図15の検査端子6の第1変形例では、嵌合部64が円錐台形状に変更されている。この嵌合部64の円錐台の上底面の大きさは、円錐部63の下底面の大きさと同じである。セル電圧測定用端子8及び交流電力印加用端子9を構成する端子用部材23は、それぞれ、嵌合部64の円錐台の側面に沿う半割の円錐台の側面形状とされている。すなわち、セル電圧測定用端子8及び交流電力印加用端子9は、正面断面図において下方広がりとなっているので、端子部材55の凹陥部56に差し込まれた際に端子部材55(検査対象端子2)と確実に接触される。図17に示す図15の検査端子6の第2変形例では、端子用部材23が円錐台形状の嵌合部64そのものを半割した中実の導電性部材で構成され、そのそれぞれがセル電圧測定用端子8及び交流電力印加用端子9を構成している。この半割円錐台形状のセル電圧測定用端子8及び交流電力印加用端子9間には扇型の板状絶縁部材が介装されており、それらの端子間を絶縁している。この検査端子6でも、セル電圧測定用端子8及び交流電力印加用端子9は、正面断面図において下方広がりとなっているので、端子部材55の凹陥部56に差し込まれた際に端子部材55(検査対象端子2)と確実に接触される。
【0020】
図18に示す検査端子6の更に他の例は、セル電圧測定用端子8及び交流電力印加用端子9が異なる部材で構成されている。具体的には、上下方向に長手な円筒形状の収容部材65の内穴内に円柱形状の端子用部材23が摺動可能に収容され、この内穴内にコイルスプリング66が内装されている。端子用部材23の上方突出端部は、半球形状の接触部とされており、セル電圧測定用及び交流電力印加用の配線と導通している。この例のセル電圧測定用端子8及び交流電力印加用端子9は、端子用部材23が図の上下方向に移動可能とされているので、例えば位置決めピン5に案内された検査対象端子2の端子部材55が傾斜していたとしても、その傾斜に合わせて端子用部材23が移動し、セル電圧測定用端子8及び交流電力印加用端子9が検査対象端子2に確実に接続される。図19に示す検査端子6の変形例では、端子用部材23の上端部にフランジ23aが形成されると共に収容部材65の上端部にもフランジ65aが形成され、これらフランジ間でコイルスプリング66が端子用部材23の外周に被嵌されている。すなわち、図18の検査端子6ではコイルスプリング66が内装されているのに対し、図19の検査端子6ではコイルスプリング66が外装されている。検査端子6の機能としては、どちらも同等である。
【0021】
図20に示す検査端子6の異なる例は、弾性を有する導電性板部材、例えば金属製板部材からなる端子用部材23を折り曲げてセル電圧測定用端子8及び交流電力印加用端子9が形成されている。この例では、導電性板部材を上方に突出する山形に折り曲げてセル電圧測定用端子8及び交流電力印加用端子9を構成し、この山形に連続する下方の平坦部を基板61に固定し、その部分にセル電圧測定用及び交流電力印加用の配線を接続している。この例では、セル電圧測定用端子8及び交流電力印加用端子9が弾性部材で構成されているので、例えば位置決めピン5に案内された検査対象端子2の端子部材55が傾斜していたとしても、その傾斜に合わせて端子用部材23が変形し、セル電圧測定用端子8及び交流電力印加用端子9が検査対象端子2に確実に接続される。
【0022】
電気自動車などに用いられる大容量電池のセルモジュール1は重量物であり、搬送や取り扱いに労力を要する。また、診断装置の検査端子6とセルモジュール1の検査対象端子2の接続状態が均一でないと、劣化状態を正確に検出することができない。すなわち、SOH(State of health)などで表される劣化状態は、セルモジュール1(セル電池)の内部インピーダンスから得られる。しかし、セル電池そのものの内部インピーダンスが小さいことから、端子間の接続状態が不安定だと、内部インピーダンスを正確に求めることができない。そこで、従来は、診断装置の検査端子6とセルモジュール1の検査対象端子2をねじ(ボルト)で締結しているが、前述のように重量物であるセルモジュール1を取り扱いながらボルトを締め付ける(検査が終わればボルトを緩める)のは、手間と時間がかかる。このボルトを螺着するネジ穴が端子部材55に設けられている凹陥部56である。
【0023】
図21は、制御装置7内で実施されるセルモジュール1劣化診断のための演算処理を示すフローチャートである。この演算処理は、挿入スイッチ16がオンされると開始され、まずステップS1で、個別の演算処理に従って、診断対象のセルモジュール1の製造情報を読み込む。製造情報は、撮像器15で撮像されたセルモジュール1の識別表示3の画像を解析して製造番号を取得し、前述のように、そのセルモジュール1の製造番号から記憶装置21にアクセスして取得することができる。次にステップS2に移行して、個別の演算処理に従って、診断対象のセルモジュール1の電池診断基準値を設定する。この電池診断基準値は、セル電圧V1、V2の正常値、印加する交流電力の測定周波数や電流振幅、各セル電池の内部インピーダンスの適正範囲、内部インピーダンスと劣化状態の相関特性などが挙げられる。次にステップS3に移行して、個別の演算処理に従って、2つのセル電圧V1、V2とセルモジュール1電圧(直列セル電圧)Vpを測定する。次にステップS4に移行して、一方のセル電圧V1が正常範囲であるか否かを判定し、正常範囲である場合にはステップS5に移行し、そうでない場合にはステップS12に移行する。ステップS5では、他方のセル電圧V2が正常範囲であるか否かを判定し、正常範囲である場合にはステップS6に移行し、そうでない場合にはステップS12に移行する。ステップS6では、2つのセル電圧V1、V2の加算値が直列セル電圧から許容誤差を減じた値と直列セル電圧に許容誤差を加えた値の間にあるか否かを判定し、間にある場合にはステップS7に移行し、そうでない場合にはステップS12に移行する。
【0024】
ステップS7では、個別の演算処理に従って、測定用交流電力をセルモジュール1に印加する。具体的には、設定された測定周波数、電流振幅の交流電力を出力する出力許可指令を交流電源14に向けて出力する。なお、内部インピーダンスの算出が終わると交流電力の印加は停止される。次にステップS8に移行して、個別の演算処理に従って、交流電力印加中のセル電圧(交流成分)V1、V2を測定する。具体的には、先に測定されたセル電圧(直流成分)V1、V2が重畳されている交流のセル電圧から交流電圧を抽出して交流成分のセル電圧V1、V2を測定する。次にステップS9に移行して、個別の演算処理に従って、各電池セル52の内部インピーダンスZを算出する。具体的には、交流電源14でモニタされている測定用交流電力の電流値で交流成分のセル電圧V1、V2を除して内部インピーダンスZを算出する。次にステップS10に移行して、個別の演算処理に従って、各電池セル52からセルモジュール1の劣化状態(SOH)を検出する。具体的には、先に設定された診断対象のセルモジュール1における内部インピーダンスと劣化状態の相関特性に基づいて、内部インピーダンスに応じた劣化状態を検出する。次にステップS11に移行して、個別の演算処理に従って、診断対象のセルモジュール1の劣化データを記憶装置21に記憶してから終了する。一方、ステップS12では、個別の演算処理に従って、診断対象のセルモジュール1を異常と判定(検査を中止)し、その内容を記憶装置21に記憶してから終了する。
【0025】
この演算処理によれば、診断対象となるセルモジュール1が収容部4に収容されて挿入スイッチ16がオン状態となると、セルモジュール1の製造情報が読み込まれ、その情報、例えば製造番号に基づいて電池を診断するための各種の基準値が設定される。次いで、各電池セル52の直流電圧V1、V2及びセルモジュール1の直流電圧Vpを測定する。そして、各電池セル52の直流電圧V1、V2が正常範囲であり、それらの加算値がセルモジュール1の直流電圧Vpの許容誤差範囲であれば、セルモジュール1に測定用交流電力が印加される。そして、このときの交流成分のセル電圧V1、V2を測定し、交流電流で除して内部インピーダンスZを求める。この内部インピーダンスZからセルモジュール1の劣化状態を検出し、それを記憶装置21に記憶する。また、各電池セル52の直流電圧V1、V2が正常範囲でないか、又は、それらの加算値がセルモジュール1の直流電圧Vpの許容誤差範囲でない場合には、検査が中止され、セルモジュール1の異常が記憶装置21に記憶される。なお、この演算処理は、1つのセルモジュール1に対して劣化状態の診断を行うように構成されているが、複数のセルモジュール1に対して劣化状態の診断を行うようにすることで、システム化された診断装置を簡素化、効率化することができる。また、測定用交流電力の測定周波数は、例えば1kHz以上の電解質抵抗や1kz以下の電荷移動抵抗のように診断したい劣化モードに応じて選択(プログラム)することもできる。
【0026】
診断装置の別の回路構成として、セル電圧を測定するための配線を、診断対象となるセルモジュール1の内部インピーダンスより十分大きい入力抵抗(例として1000倍以上)の計測アンプに接続し、セル電圧を精密にAD変換ICに伝達する。一方、検査回路58に電流センサを実装し、この電流センサを介して交流電力印加用の配線を隣接の検査回路58の交流電力印加用の配線と接続する。電流センサの出力(振幅と位相)をセル電圧と同時刻にAD変換ICでアナログ-デジタル変換(同時サンプリング)して、例えば2位相ロックインアンプ処理などによりノイズ除去とセル電圧及び測定電流の夫々の振幅と位相角を算出する。そして、算出結果の電圧と電流の振幅比から内部インピーダンス値を、位相角からインピーダンス角を得ることができる。更に、インピーダンス値とインピーダンス角から複素数変換してインピーダンスの実軸成分が得られる。この実軸成分が診断対象のセルモジュール1の電気的な内部抵抗を示すものであり、電池の出力性能の劣化を示す代表的指標(SOH)とみなすことができる。
【0027】
このように、この実施形態のセルモジュール1の劣化状態診断装置では、検査対象端子2が検査端子6に接続されている状態でセルモジュール1の内部インピーダンスが算出され、算出された内部インピーダンスに基づいてセルモジュール1の劣化状態が検出される。このとき、セルモジュール1の検査対象端子2と診断装置側の検査端子6とが所定当接力で当接されるので、両者の接続状態が均一化される。従って、セルモジュール1の内部インピーダンスを正確に求めることができ、その結果、セルモジュール1の劣化状態を正確に検出することが可能となる。
【0028】
また、少なくとも検査対象端子2が検査端子6に接続されている状態では、接続対象の検査端子6に対して被接続対象の検査対象端子2を上側に配置した状態でセルモジュール1に作用する重力によって被接続対象の検査対象端子2が接続対象の検査端子6に押し付けられるようにセルモジュール1を所定の姿勢で収容部4内に収容する。これにより、セルモジュール1の質量(重量)が検査対象端子2の検査端子6への所定接触圧力として作用するので、検査対象端子2を検査端子6に所定当接力で当接させて両者を確実に接続することができる。
【0029】
また、検査対象端子2と検査端子6との接続方向の対地傾斜角度θを調整できるように収容部4が回転軸18を介して保管庫51内に設けられ、保管庫51は、対地傾斜角度θを所定の角度に保持できる構成とした。これにより、保管庫51内におけるセルモジュール1の収容に必要なスペースを小さくすることと、収容部4にセルモジュール1を収容するときの操作力を低減すること、及び/又は、検査対象端子2の検査端子6への接触圧力を一定にすることと、を両立することが可能となる。
【0030】
また、検査端子6は、検査対象端子2に対して所定方向に移動可能なように弾性部材で構成されるか又は収容部4内で弾性的に支持され、検査対象端子2毎にセル電圧測定用端子8及び交流電力印加用端子9と、検査対象端子2に設けられた凹陥部56に嵌入される位置決めピン5と、を備えた。これにより、検査対象端子2の製造誤差に関わらず、セル電圧測定用端子8及び交流電力印加用端子9を検査対象端子2に所定の接触圧力で接触させることができ、その結果、セルモジュール1の内部インピーダンスを正確に算出することが可能となる。
【0031】
また、セルモジュール1が所定の姿勢で収容部4に収容されている状態でオンとなる挿入スイッチ16を備え、この挿入スイッチ16がオンされた後、セル電圧測定用端子8で測定された直流セル電圧が正常範囲である場合に、交流電力印加用端子9を介してセルモジュール1に交流電力を印加してセル電圧測定用端子8で測定されたセル電圧の交流成分と交流電力の交流電流とから内部インピーダンスを算出する。これにより、セルモジュール1の異常を的確に判定することができると共に、正常状態におけるセルモジュール1の劣化状態を適切に検出することが可能となる。
【0032】
また、診断対象のセルモジュール1を含むセルモジュール1の情報を記憶装置21に予め記憶し、撮像器15によるセルモジュール1の識別表示3の画像から診断対象のセルモジュール1の情報を記憶装置21から読み込み、読み込まれた診断対象のセルモジュール1の情報に基づいて、内部インピーダンスの算出条件及び/又は前記劣化状態の検出条件を設定する。これにより、診断対象のセルモジュール1の内部インピーダンスを適切に算出することができると共に、そのセルモジュール1の劣化状態を適切に検出することが可能となる。
【符号の説明】
【0033】
1…セルモジュール、2…検査対象端子、3…識別表示、4…収容部、5…位置決めピン、6…検査端子、7…制御装置、8…セル電圧測定用端子、9…交流電力印加用端子、15…撮像器、16…挿入スイッチ(スイッチ)、18…回転軸、19…傾斜ストッパー、20…プロセッサ、21…記憶装置、51…保管庫、56…凹陥部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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