(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141660
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】更新情報通知装置、車両システム及び更新情報通知プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 8/65 20180101AFI20241003BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G06F8/65
B60R16/02 660U
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053438
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】高木 孝一
(72)【発明者】
【氏名】蓬莱 明日
(72)【発明者】
【氏名】間根山 しおり
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376CA19
5B376CA39
5B376GA08
(57)【要約】
【課題】ソフトウェアの更新に関する更新情報をシーンに応じて適切に通知する。
【解決手段】更新情報通知装置7は、更新対象の電子制御装置のソフトウェアが配信装置から取得された更新ソフトウェアにより更新される際のソフトウェアの更新に関する更新情報を通知装置から通知させる。更新情報通知装置は、更新情報を取得する更新情報取得部16aと、乗員の状態を示す乗員状態を特定する乗員状態特定部16bと、車両の状態を示す車両状態を特定する車両状態特定部16cと、乗員の操作入力を特定する操作入力特定部16dと、更新情報の通知態様を決定し、その決定した通知態様にしたがって更新情報を通知装置から通知させる通知制御部16eと、を備える。通知制御部は、車両電源がオフであることが特定され、且つ車内に乗員が不在であることが特定された状況で更新情報の通知要求を示す操作入力が特定された場合に、更新情報の通知態様を車内に乗員が存在していることが特定された場合よりも簡易に決定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
更新対象の電子制御装置のソフトウェアが配信装置から取得された更新ソフトウェアにより更新される際のソフトウェアの更新に関する更新情報を通知装置から通知させる更新情報通知装置(7)であって、
前記更新情報を取得する更新情報取得部(16a)と、
乗員の状態を示す乗員状態を特定する乗員状態特定部(16b)と、
車両の状態を示す車両状態を特定する車両状態特定部(16c)と、
乗員の操作入力を特定する操作入力特定部(16d)と、
前記更新情報の通知態様を決定し、その決定した通知態様にしたがって前記更新情報を前記通知装置から通知させる通知制御部(16e)と、を備え、
前記通知制御部は、車両電源がオフであることが前記車両状態特定部により特定され、且つ車内に乗員が不在であることが前記乗員状態特定部により特定された状況で前記更新情報の通知要求を示す操作入力が前記操作入力特定部により特定された場合に、前記更新情報の通知態様を車内に乗員が存在していることが前記乗員状態特定部により特定された場合よりも簡易に決定する更新情報通知装置。
【請求項2】
前記通知装置は、インジケータを備え、
前記通知制御部は、前記更新情報を前記インジケータの点灯、点滅又は消灯の何れかにより通知させる請求項1に記載した更新情報通知装置。
【請求項3】
前記通知装置は、車外の外部機器を含み、
前記通知制御部は、車両電源がオフであることが前記車両状態特定部により特定され、且つ車内に乗員が不在であることが前記乗員状態特定部により特定された状況で前記更新情報の通知要求を示す操作入力が前記操作入力特定部により特定された場合に、前記更新情報を前記外部機器から通知させる請求項1に記載した更新情報通知装置。
【請求項4】
前記通知制御部は、ソフトウェアの更新中に車両電源がオフであることが前記車両状態特定部により特定された場合に、前記更新情報の通知を継続する請求項1に記載した更新情報通知装置。
【請求項5】
更新対象の電子制御装置のソフトウェアが配信装置から取得された更新ソフトウェアにより更新される際のソフトウェアの更新に関する更新情報を通知する通知装置(11~14)と、
前記更新情報を前記通知装置から通知させる更新情報通知装置(7)と、を備えた車両システム(2)であって、
前記更新情報通知装置は、
前記更新情報を取得する更新情報取得部(16a)と、
乗員の状態を示す乗員状態を特定する乗員状態特定部(16b)と、
車両の状態を示す車両状態を特定する車両状態特定部(16c)と、
乗員の操作入力を特定する操作入力特定部(16d)と、
前記更新情報の通知態様を決定し、その決定した通知態様にしたがって前記更新情報を前記通知装置から通知させる通知制御部(16e)と、を備え、
前記通知制御部は、車両電源がオフであることが前記車両状態特定部により特定され、且つ車内に乗員が不在であることが前記乗員状態特定部により特定された状況で前記更新情報の通知要求を示す操作入力が前記操作入力特定部により特定された場合に、前記更新情報の通知態様を車内に乗員が存在していることが前記乗員状態特定部により特定された場合よりも簡易に決定する車両システム。
【請求項6】
更新対象の電子制御装置のソフトウェアが配信装置から取得された更新ソフトウェアにより更新される際のソフトウェアの更新に関する更新情報を通知装置から通知させる更新情報通知装置(7)の制御部(16)に、
前記更新情報を取得する更新情報取得手順と、
乗員の状態を示す乗員状態を特定する乗員状態特定手順と、
車両の状態を示す車両状態を特定する車両状態特定手順と、
乗員の操作入力を特定する操作入力特定手順と、
車両電源がオフであることを前記車両状態特定手順により特定し、且つ車内に乗員が不在であることが前記乗員状態特定手順により特定した状況で前記更新情報の通知要求を示す操作入力を前記操作入力特定手順により特定した場合に、前記更新情報の通知態様を車内に乗員が存在していることを前記乗員状態特定手順により特定した場合よりも簡易に決定する前記更新情報の通知態様を決定する通知態様決定手順と、
前記通知態様決定手順により決定した通知態様にしたがって前記更新情報を前記通知装置から通知させる通知制御手順と、を実行させる更新情報通知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、更新情報通知装置、車両システム及び更新情報通知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば機能向上やバグ改修等を目的とし、車載の電子制御装置(以下、ECU(Electronic Control Unit)と称する)のソフトウェアを更新する技術が供されている。このものでは、サーバが更新ソフトウェアをソフトウェア更新装置へ配信し、ソフトウェア更新装置が更新ソフトウェアを更新対象ECUへ送信することで、更新対象ECUのソフトウェアを更新する。ソフトウェアの更新は、ソフトウェアの更新をドライバへ推奨するキャンペーン通知のフェーズ、ソフトウェア更新装置がサーバから更新ソフトウェアを取得するダウンロードのフェーズ、更新対象ECUが更新ソフトウェアを記憶領域へ書き込むインストールのフェーズ、更新対象ECUが更新ソフトウェアを有効化するアクティベートのフェーズを順次実施する。この場合、ソフトウェアの更新に関する更新情報を、例えば車載表示装置や携帯情報端末等に表示させることでドライバ等へ通知する。例えば特許文献1には、ソフトウェアの更新に関する更新情報をドライバ等へ通知する構成として、更新ソフトウェアの特徴に基づいてドライバ等への通知を異ならせる手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ソフトウェアの更新が実施されるシーンは様々であり、多数のシーンに分類される。例えば更新情報を駐車中に通知する場合がある。更新情報を駐車中に通知する場合には、車内に乗員が不在の状況で更新情報を通知する虞があり、情報量を多くして詳細な更新情報を通知しても車両バッテリの電力を不要に消費する虞がある。このような事情により、更新情報をシーンに応じて適切に通知することが求められる。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ソフトウェアの更新に関する更新情報をシーンに応じて適切に通知することができる更新情報通知装置、車両システム及び更新情報通知プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した発明によれば、更新情報通知装置(7)は、更新対象の電子制御装置のソフトウェアが配信装置から取得された更新ソフトウェアにより更新される際のソフトウェアの更新に関する更新情報を通知装置から通知させる。更新報取得部(16a)は、前記更新情報を取得する。乗員状態特定部(16b)は、乗員の状態を示す乗員状態を特定する。車両状態特定部(16c)は、車両の状態を示す車両状態を特定する。操作入力特定部(16d)は、乗員の操作入力を特定する。通知制御部(16e)は、前記更新情報の通知態様を決定し、その決定した通知態様にしたがって前記更新情報を前記通知装置から通知させる。前記通知制御部は、車両電源がオフであることが前記車両状態特定部により特定され、且つ車内に乗員が不在であることが前記乗員状態特定部により特定された状況で前記更新情報の通知要求を示す操作入力が前記操作入力特定部により特定された場合に、前記更新情報の通知態様を車内に乗員が存在していることが前記乗員状態特定部により特定された場合よりも簡易に決定する。
【0007】
車両電源がオフであることが特定され、且つ車内に乗員が不在であることが特定された状況で更新情報の通知要求を示す操作入力が特定された場合に、更新情報の通知態様を車内に乗員が存在していることが特定された場合よりも簡易に決定し、その決定した通知態様にしたがって更新情報を通知させるようにした。情報量を多くして更新情報を詳細な通知態様で通知するのではなく、情報量を少なくして更新情報を簡易な通知態様で通知することで、ソフトウェアの更新に関する更新情報をシーンに応じて適切に通知することができる。
【0008】
車両電源がオフであり、且つ車内に乗員が不在である状況で更新情報の通知要求を示す操作入力があると、車内に乗員が存在している場合よりも簡易な通知態様で更新情報を通知することで車両バッテリの不要な電力消費を未然に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図16】更新情報通知信号の受信判定処理を示すフローチャート
【
図17】エラー情報通知信号の受信判定処理を示すフローチャート
【
図18】簡易表示要求の操作判定処理を示すフローチャート
【
図23】詳細表示要求の操作判定処理を示すフローチャート
【
図24】詳細表示へ切り替え不能である理由の表示を説明する図
【
図26】中止要求の操作判定処理を示すフローチャート
【
図27】中止要求を破棄した理由を示すメッセージの表示を説明する図
【
図30】車両電源オフ時の更新情報の表示要求判定処理を示すフローチャート
【
図31】ソフトウェア更新中の車両電源オフ判定処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態について図面を参照して説明する。ソフトウェア更新システム1は、車両に搭載されている車両システム2と、OTA(Over The Air)センターとして機能するサーバ3(配信装置に相当する)とが通信ネットワーク4を介してデータ通信可能に構成されている。車両システム2は、OTAマスタとして機能するソフトウェア更新装置(以下、セントラルゲートウェイ(CGW(Central Gateway)と称する)5と、多数のECU6と、HMI(Human Machine Interface)制御ユニット(以下、HCU(HMI Control Unitと称する)7(更新情報通知装置に相当する)とが車載ネットワーク8を介してデータ通信可能に構成されている。
【0011】
車載ネットワーク8は、例えばCAN(Controller Area Network)(登録商標)である。車載ネットワーク8は、FLEXRAY(登録商標)、CXPI(Clock Extension Peripheral Interface)(登録商標)、Ethernet(登録商標)等であっても良い。本実施形態では、4つのECU6が車載ネットワーク8と接続されている構成を例示しているが、車載ネットワーク8と接続されるECU6の個数は任意である。又、車載ネットワーク8の本数も任意である。
【0012】
ECU6は、例えば駆動系の制御を行う装置、ADAS(Advanced Driving Assistant System)系の制御を行う装置、マルチメディア系の制御を行う装置等であり、ソフトウェアの改修や機能向上等によりソフトウェアの更新対象である更新対象ECU6となり得る。ソフトウェアとは、コンピュータに動作を行わせるための処理手順を命令する所謂プログラムに加え、プログラムを実行する上で参照されるファイル、データ、ライブラリ等を含む。ECU6の種別として、ソフトウェアの記憶領域の構成により、ソフトウェアの記憶領域を2面で持つ2面メモリを備えるECUと、ソフトウェアの記憶領域を1面で持つ1面メモリを備えるECUとがある。2面メモリはデュアルバンクメモリと称される場合があり、1面メモリはシングルバンクメモリと称される場合がある。又、HCU7もソフトウェアの更新対象となり得る。
【0013】
CGW5には、車載通信機(以下、DCM(Data Communication Module)と称する)9が接続されている。DCM9は、サーバ3と通信ネットワーク4を介して無線接続することで当該サーバ3から配信された更新パッケージを受信可能となる。サーバ3から配信される更新パッケージには、更新対象ECU6を特定可能な諸元データと、更新対象ECU6に書き込まれる更新ソフトウェアとが含まれる。更新ソフトウェアは、ソフトウェアを全体的に書き換える場合には所謂全データに相当し、ソフトウェアを部分的に書き換える場合には所謂差分データに相当する。DCM9は、サーバ3から配信された更新パッケージを取得すると、その取得した更新パッケージをCGW5へ転送する。
【0014】
CGW5は、DCM9から更新パッケージが転送されると、その転送された更新パッケージから諸元データ及び更新ソフトウェアを抽出し、その抽出した諸元データから更新対象ECU6を特定し、その抽出した更新ソフトウェアを更新対象ECU6へ送信すると共に更新指示を更新対象ECU6へ送信し、更新対象ECU6にソフトウェアの更新を実施させる。即ち、更新対象ECU6は、CGW5から更新ソフトウェアを受信すると共に更新指示を受信し、更新ソフトウェアを記憶領域へ書き込むことでソフトウェアの更新を実施する。サーバ3から通信ネットワーク4を介して取得された更新ソフトウェアが更新対象ECU6に書き込まれる態様は所謂無線リプロと称される。本実施形態では、DCM9がCGW5とは別に配置されている構成を例示しているが、DCM9の機能がCGW5に組み込まれている構成でも良い。
【0015】
又、車載ネットワーク8にはリプログツール10(配信装置に相当する)が着脱可能に接続される。リプログツール10は、車載ネットワーク8と接続されている状態で更新ソフトウェアを更新対象ECU6へ配信すると共に更新指示を更新対象ECU6へ送信し、更新対象ECU6にソフトウェアの更新を実施させる。即ち、更新対象ECU6は、リプログツール10から更新ソフトウェアを受信すると共に更新指示を受信し、更新ソフトウェアを記憶領域へ書き込むことでソフトウェアの更新を実施する。リプログツール10から通信ネットワーク4を介さずに取得された更新ソフトウェアが更新対象ECU6に書き込まれる態様は所謂有線リプロと称される。本実施形態では、リプログツール10が車載ネットワーク8と直接接続される構成を例示しているが、リプログツール10がCGW5を介して車載ネットワーク8と接続される構成でも良い。
【0016】
ソフトウェアの更新のフェーズとして、サーバ3からソフトウェアの更新を車両システム2へ推奨するキャンぺーン通知のフェーズ、CGW5がサーバ3から更新パッケージを取得するダウンロードのフェーズ、CGW5が更新ソフトウェアの書き込みを更新対象ECU6へ指示することで更新対象ECU6が更新ソフトウェアを記憶領域へ書き込むインストールのフェーズ、CGW5が更新ソフトウェアの有効化を更新対象ECU6へ指示することで更新対象ECU6が更新ソフトウェアを有効化するアクティベートのフェーズとがある。ドライバが各フェーズを適宜承諾することで各フェーズが進行する。CGW5は、これらのキャンぺーン通知、ダウンロード、インストール、アクティベートの各フェーズにおいてソフトウェアの更新状況を管理し、その更新状況を示す更新情報通知信号をHCU7へ送信する。
【0017】
更新情報とは、ソフトウェアの更新に関する様々な情報であり、ソフトウェアの更新の進捗状況、ソフトウェアの更新中において使用制限の対象となる機能等を特定可能な情報含む。例えばキャンペーン通知のフェーズであれば、更新ソフトウェアのファイル名、ファイルサイズ、機能説明等である。例えばダウンロードのフェーズであれば、ダウンロードの開始を示す情報、ダウンロードの実行中を示す情報、ダウンロードの進捗としてダウンロード予定のデータ量に対するダウンロード完了済みのデータ量を百分率で示す数値等の情報、何らかの原因によりダウンロードを中断した場合に当該中断の理由を通知する情報、ダウンロード完了を示す情報等である。例えばインストールのフェーズであれば、インストールの開始を示す情報、インストールの実行中を示す情報、インストールの進捗としてインストール予定のデータ量に対するインストール完了済みのデータ量を百分率で示す数値等の情報、何らかの原因によりインストールを中断した場合に当該中断の理由を通知する情報、インストール完了を示す情報等である。例えばアクティベートのフェーズであれば、アクティベートの開始を示す情報、アクティベートの実行中を示す情報、アクティベートの進捗としてアクティベート予定のデータ量に対するアクティベート完了済みのデータ量を百分率で示す数値等の情報、何らかの原因によりアクティベートを中断した場合に当該中断の理由を通知する情報、アクティベート完了を示す情報等である。又、例えば走行制御に関与するソフトウェアの更新中であれば、走行制御に関与して使用制限の対象となる機能等を特定可能な情報である。
【0018】
CGW5は、更新情報通知信号を所定周期でHCU7へ送信する。又、CGW5は、ソフトウェアの更新にエラーが発生すると、エラー情報通知信号を割り込みでHCU7へ送信する。
【0019】
HCU7には、センターインフォメーションディスプレイ(以下、CID(Center Information Display)と称する)11(通知装置に相当する)と、メータ装置12(通知装置に相当する)と、ヘッドアップディスプレイ(以下、HUD(Head-Up Display)と称する)13(通知装置に相当する)とが接続されている。CIDは、ドライバ席前方に配置され、例えばナビゲーション機能に利用される地図、パーキングアシスト機能によるカメラ映像、オーディオに関するオーディオ情報、空調に関する空調情報等を表示する。メータ装置12は、ドライバ席前方に配置され、各種インジケータを含み、車速、シフト位置、燃料の残量、警告等を表示する。HUD13は、車速、シフト位置、経路案内等の情報をドライバ席前方の虚像としてフロントウィンドウに投影する。又、外部機器14は、DCM9と通信ネットワーク4を介して無線接続することで車両システム2とデータ通信可能である。外部機器14は、乗員が携帯可能な例えばスマートフォンやタブレット端末等の携帯情報端末であり、乗員が車外において使用可能な端末である。
【0020】
HCU7は、ソフトウェアの更新に伴い、CGW5から更新情報通知信号を受信すると、その更新情報通知信号に基づいた更新情報をCID11やメータ装置12に表示可能である。更新情報をメータ装置12に表示する場合として、更新情報をインジケータの点灯、点滅又は消灯の何れかにより通知することも含む。又、HCU7は、外部機器14とDCM9とが通信ネットワーク4を介して無線接続されており、外部機器14と車両システム2とがデータ通信可能な状況であれば、ソフトウェアの更新に伴い、CGW5から更新情報通知信号を受信すると、その更新情報通知信号に基づいた更新情報を外部機器14に表示可能である。
【0021】
更新情報がCID11やメータ装置12に表示されることで、ソフトウェアの更新に関する様々な情報を車内において乗員が確認可能となる。又、乗員が外部機器14を車外で使用している状況で更新情報が外部機器14に表示されることで、ソフトウェアの更新に関する様々な情報を車外においても乗員が確認可能となる。本実施形態では、更新情報をCID11、メータ装置12及び外部機器14に表示させる構成を例示しているが、更新情報をHUD13に表示させても良い。
【0022】
HCU7には、乗員が操作入力可能な操作入力部15が接続されている。操作入力部15は、例えばCID11のタッチパネル、外部機器14のタッチパネル、ステアリングに配置されているステアリングスイッチ等である。操作入力部15は、乗員の操作入力を検知すると、操作入力検知信号をHCU7へ送信する。乗員は更新情報に対して操作入力部15により操作入力を行うことができる。例えばキャンペーン通知後にダウンロードの承諾を問う承諾画面が表示されれば、ダウンロードを承諾するか否かの操作入力を行うことができる。例えばダウンロード後にインストールの承諾を問う承諾画面が表示されれば、インストールを承諾するか否かの操作入力を行うことができる。例えばインストール後にアクティベートの承諾を問う承諾画面が表示されれば、アクティベートを承諾するか否かの操作入力を行うことができる。
【0023】
図2に示すように、HCU7は、制御部16と、CAN通信部17とを備える。制御部16は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びI/O(Input/Output)等を有するマイクロコンピュータを主体として構成されている。制御部16は、非遷移的実体的記憶媒体に格納されている制御プログラムを実行することで当該制御プログラムに対応する処理を実行し、HCU7の動作全般を制御する。CAN通信部17は、車載ネットワーク8との間でのCAN信号の送受信を制御する。尚、HCU7は、車両バッテリから供給されるバッテリ電源(+B)に接続されており、車両電源のオフ状態でも動作可能である。
【0024】
制御部16は、更新情報取得部16aと、乗員状態特定部16bと、車両状態特定部16cと、操作入力特定部16dと、表示制御部16e(通知制御部に相当する)とを備える。これらの各部16a~16eは、更新情報通知プログラムを実行する。
【0025】
更新情報取得部16aは、CGW5から更新情報通知信号を受信すると、その受信した更新情報通知信号に基づいて更新情報を取得する。
【0026】
乗員状態特定部16bは、乗員の状態を示す乗員状態を特定する。乗員状態特定部16bは、例えば車内を撮影する画像センサにより撮影された画像の解析結果、着座を検知するシートセンサの検知結果、シートベルトの装着を検知するシートベルトセンサの検知結果、生体を検知する生体センサの検知結果等を示す乗員状態通知信号を受信すると、その受信した乗員状態通知信号に基づいて乗員状態を特定する。乗員状態特定部16bは、乗員状態として、例えば乗員がドライバのみであるか、乗員がドライバと同乗者であるか、乗員が同乗者のみであるか、乗員が車内に不在であるか、乗員が乗車したか、乗員が降車したか等を特定する。
【0027】
車両状態特定部16cは、車両の状態を示す車両状態を特定する。車両状態特定部16cは、例えばイグニッション信号のオンオフ状態、アクセサリ信号のオンオフ状態、自動運転機能のオンオフ状態等を示す車両状態通知信号を受信すると、その受信した車両状態通知信号に基づいて車両状態を特定する。車両状態特定部16cは、車両状態として、例えば車両走行中、停車中又は駐車中の何れであるか、自動運転中又は手動運転中の何れであるか等を特定する。本実施形態では、エンジン自動車を想定し、イグニッション信号のオンオフ状態により車両走行中又は駐車中の何れであるかを特定する構成を例示しているが、電気自動車を想定する場合であれば、EV(Electric Vehicle)システムのオンオフ状態により車両走行中又は駐車中の何れであるかを特定しても良い。
【0028】
操作入力特定部16dは、乗員の操作入力を特定する。操作入力特定部16dは、操作入力部15から操作入力検知信号を受信すると、その受信した操作入力検知信号に基づいて乗員の操作入力を特定する。
【0029】
表示制御部16eは、上記した乗員状態特定部16bの特定結果、車両状態特定部16cの特定結果及び操作入力特定部16dの特定結果に基づいて更新情報の表示態様を決定する。即ち、表示制御部16eは、更新情報を一律の表示態様で表示させるのではなく、乗員状態、車両状態及び乗員の操作入力の状況に応じて異なる表示態様で表示させる。表示制御部16eは、更新情報の表示態様を決定すると、表示指示信号をCID11やメータ装置12に送信し、その決定した表示態様にしたがって更新情報をCID11やメータ装置12に表示させる。又、表示制御部16eは、車両システム2と外部機器14とがデータ通信可能であれば、更新情報の表示態様を決定すると、表示指示信号をDCM5から外部機器14に送信させ、その決定した表示態様にしたがって更新情報を外部機器14に表示させる。
【0030】
更新情報の表示態様について説明する。表示制御部16eは、
図3に示すように、乗員状態、車両状態及び乗員の操作入力に基づいてケースを区分したケース区分テーブルを保持している。表示制御部16eは、乗員状態特定部16bの特定結果、車両状態特定部16cの特定結果及び操作入力特定部16dの特定結果に基づいて該当するケースを特定する。表示制御部16eは、例えば車内の乗員がドライバのみであり、手動運転による車両走行中であり、CID11等に対する操作入力がある場合には、ケース1-1を特定する。又、表示制御部16eは、例えば車内の乗員がドライバと同乗者であり、駐車中であり、アクセサリがオフであり、イグニッションオフ後から所定時間が経過した場合には、ケース2-10を特定する。
【0031】
表示制御部16eは、ケース区分テーブルにより区分されている各ケースについて、
図4から
図9に示すように、更新情報の表示態様の内容を予め定義している。更新情報の表示態様の内容は、キャンペーン通知、ダウンロード、インストール及びアクティベートの各フェーズにおける表示パターン、ソフトウェア更新の対象が重要な機能の場合の表示優先度、操作優先度及び表示情報量、ソフトウェア更新の対象が重要でない機能の場合の表示優先度、操作優先度及び表示情報量を含む。
【0032】
表示制御部16eは、
図10に示すように、表示パターンとして表示パターン1~5を示す表示パターンテーブルを保持しており、それぞれ該当する機器を有効又は無効の何れかに設定する。表示パターン1~5は、
図11から
図12に示すように、それぞれCID11、メータ装置12、HUD13及び外部機器14の有効又は無効のパターンである。表示制御部16eは、有効に設定している機器において更新情報を表示させ、無効に設定している機器において更新情報を表示させない。表示制御部16eは、表示パターン1,3,4では複数の機器を有効に設定しているので、表示パターン1,3,4を選択すると、更新情報を複数の機器で表示させる。
【0033】
表示制御部16eは、
図13に示すように、表示優先度として優先度1~3の何れかを設定する。それぞれ優先度1は「必ず表示する」、優先度2は「表示可能な状態であれば表示する」、優先度3は「表示可能な状態であっても表示しない」という主旨である。
【0034】
表示制御部16eは、
図14に示すように、操作優先度として優先度1~4の何れかを設定する。それぞれ優先度1は「ドライバのみが操作可能」、優先度2は「ドライバがいても条件付きで同乗者が操作可能」、優先度3は「ドライバがいなくても同乗者が操作可能(例えば購入済みのアプリや無料のアプリは使用可能)」、優先度4は「ドライバ及び同乗車の何れも操作不能」という主旨である。
【0035】
表示制御部16eは、
図15に示すように、表示情報量として情報量1~4の何れかを設定する。情報量1は「詳細説明」、情報量2は「簡易説明」、情報量3は「アイコンや図」、情報量4は「なし」という主旨である。
【0036】
表示制御部16eは、例えば車内の乗員がドライバのみであり、手動運転による車両走行中であり、CID11等に対する操作入力があり、ケース1-1を特定した場合には、キャンペーン通知のフェーズにおいて、表示パターン1を選択することでCID11と外部機器14を有効に設定すると共にメータ装置12とHUD13を無効に設定する。即ち、表示制御部16eは、キャンペーン通知に関する更新情報をCID11と外部機器14に表示させる。表示制御部16eは、ダウンロードのフェーズにおいて、表示パターン5を選択することでCID11を有効に設定すると共にメータ装置12とHUD13と外部機器14を無効に設定する。即ち、表示制御部16eは、ダウンロードに関する更新情報をCID11に表示させる。表示制御部16eは、インストールのフェーズにおいて、表示パターン4を選択することでCID11とメータ装置12を有効に設定すると共にHUD13と外部機器14を無効に設定する。即ち、表示制御部16eは、インストールに関する更新情報をCID11とメータ装置12に表示させる。表示制御部16eは、アクティベートのフェーズにおいて、表示パターン4を選択することでCID11とメータ装置12を有効に設定すると共にHUD13と外部機器14を無効に設定する。即ち、表示制御部16eは、アクティベートに関する更新情報をCID11とメータ装置12に表示させる。
【0037】
又、表示制御部16eは、例えばケース1-1を特定した場合では、ソフトウェア更新の対象が重要な機能であれば、表示優先度を優先度2、操作優先度を優先度4、表示情報量を情報量1から3の何れかに設定する。又、表示制御部16eは、例えばケース1-1を特定した場合では、ソフトウェア更新の対象が重要でない機能であれば、表示優先度を優先度3に設定し、操作優先度及び表示情報量を設定しない。
【0038】
このように表示制御部16eは、乗員状態、車両状態及び乗員の操作入力に応じて該当するケースを特定し、その特定したケースにより予め定義している表示態様にしたがって更新情報を表示する。
【0039】
例えば手動運転による車両走行中のケース1-1と自動運転による車両走行中のケース1-3とを対比した場合、ダウンロードのフェーズについて、ケース1-1で表示パターン5を定義し、ケース1-3で表示パターン4を定義している。これは、手動運転による車両走行中に更新情報をメータ装置12に表示させるとドライバの運転操作の妨げになる虞があるが、自動運転による車両走行中では更新情報をメータ装置12に表示させても不具合が生じないことを根拠として定義している。
【0040】
同じく例えばケース1-1とケース1-3とを対比した場合、重要な機能のソフトウェア更新の操作優先度について、ケース1-1で優先度4を定義し、ケース1-3で優先度1を定義している。これは、手動運転による車両走行中に操作を許容するとドライバの運転操作の妨げになる虞があるが、自動運転による車両走行中では操作を許容しても不具合が生じないことを根拠として定義している。
【0041】
例えば手動運転による車両走行中のケース1-1と駐車中の降車時のケース1-9とを対比した場合、重要な機能のソフトウェア更新の表示優先度について、ケース1-1で優先度2を定義し、ケース1-9で優先度1を定義している。これは、手動運転による車両走行中では更新情報の表示を必須としないが、駐車中の降車時では更新情報の表示を必須とすることを意図して定義している。
【0042】
例えば手動運転による車両走行中のケース1-1と停車中のケース1-5とを対比した場合、重要でない機能のソフトウェア更新の表示情報量について、ケース1-1で情報量を定義せず、ケース1-5で優先度1,2,3を定義しても良い。これは、手動運転による車両走行中に情報量を多くするとドライバの運転操作の妨げになる虞があるが、停車中に情報量を多くしても不具合が生じないことを根拠として定義している。
【0043】
次に、上記した構成の作用について
図16から
図31を参照して説明する。ここでは、乗員状態の特定結果及び車両状態の特定結果に基づいて更新情報の表示態様を決定する処理、操作入力の特定結果に基づいて更新情報の表示態様を決定する処理、車両電源オフ時に更新情報を表示する処理について順次説明する。
【0044】
(1)乗員状態の特定結果及び車両状態の特定結果に基づいて更新情報の表示態様を決定する処理(
図16から
図17参照)。ここでは、更新情報通知信号の受信判定処理、エラー情報通知信号の受信判定処理について順次説明する。
【0045】
(1-1)更新情報通知信号の受信判定処理(
図16参照)
制御部16は、更新情報通知信号の受信判定処理を所定周期で行う。制御部16は、更新情報通知信号の受信判定処理を開始すると、CGW5から更新情報通知信号を受信したか否かを判定する(S101)。制御部16は、更新情報通知信号を受信していないと判定すると(S101:NO)、更新情報通知信号の受信判定処理を終了する。
【0046】
制御部16は、更新情報通知信号を受信したと判定すると(S101:YES)、その受信した更新情報通知信号に基づいて更新情報を取得する(S102、更新情報取得手順に相当する)。制御部16は、乗員状態通知信号に基づいて乗員状態を特定する(S103、乗員状態特定手順に相当する)。制御部16は、車両状態通知信号に基づいて車両状態を特定する(S104、車両状態特定手順に相当する)。制御部16は、操作入力検知信号に基づいて乗員の操作入力を特定する(S105、操作入力特定手順に相当する)。
【0047】
制御部16は、乗員状態の特定結果、車両状態の特定結果及び乗員の操作入力の特定結果に基づいて更新情報の表示態様を決定する(S106、通知態様決定手順に相当する)。即ち、制御部16は、
図3に示したケース区分テーブルを参照して該当するケースを選択する。制御部16は、該当するケースを選択すると、その選択したケースにしたがって表示指示信号を該当する機器に送信し、更新情報を該当する機器に表示させ(S107、通知制御手順に相当する)、更新情報通知信号の受信判定処理を終了する。
【0048】
制御部16は、
図3に示したケース区分テーブルにより、例えば乗員状態の特定結果として「ドライバのみ」を特定し、車両状態の特定結果として「車両走行中、且つ手動運転中」を特定し、乗員の操作入力の特定結果として「操作入力あり」を特定すると、ケース1-1を特定する。制御部16は、
図4に示したケース1-1に該当する表示態様により、例えばキャンペーン通知のフェーズであれば表示パターン1を選択し、キャンペーン通知に関する更新情報をCID11及び外部機器14に表示させる。即ち、ドライバは、キャンペーン通知に関する更新情報をCID11及び外部機器14により確認することができる。
【0049】
キャンペーン通知のフェーズからダウンロードのフェーズへ移行すると、制御部16は、表示パターン5を選択し、ダウンロードに関する更新情報をCID11に表示させる。即ち、ドライバは、ダウンロードに関する更新情報をCID11により確認することができる。ダウロードのフェーズからインストールのフェーズへ移行すると、制御部16は、表示パターン4を選択し、インストールに関する更新情報をCID11及びメータ装置12に表示させる。即ち、ドライバは、インストールに関する更新情報をCID11及びメータ装置12により確認することができる。インストールのフェーズからアクティベートのフェーズへ移行すると、制御部16は、表示パターン4の選択を継続し、アクティベートに関する更新情報をCID11及びメータ装置12に表示させる。即ち、ドライバは、アクティベートに関する更新情報をCID11及びメータ装置12により確認することができる。
【0050】
以上は、キャンペーン通知のフェーズからアクティベートのフェーズまでケース1-1を継続する場合を例示したが、制御部16は、キャンペーン通知のフェーズからアクティベートのフェーズまでの途中で乗員状態、車両状態又は乗員の操作入力の変化を特定すると、その変化にしたがって該当する新たなケースを選択する。制御部16は、その選択した新たなケースにしたがって表示指示信号を該当する機器に送信し、更新情報を該当する機器に表示させる。例えば乗員状態の特定結果として「ドライバのみ」を特定し、車両状態の特定結果として「停車中」を特定し、乗員の操作入力の特定結果として「操作入力あり」を特定すると、新たにケース1-5を特定する。制御部16は、
図4に示したケース1-5に該当する表示態様により更新情報を該当する機器に表示させる。即ち、制御部16は、ケース1-1からケース1-5へ切り替えて更新情報を該当する機器に表示させる。
【0051】
(1-2)エラー情報通知信号の受信判定処理(
図17参照)
制御部16は、エラー情報通知信号の受信判定処理を所定周期で行う。制御部16は、エラー情報通知信号の受信判定処理を開始すると、CGW5からエラー情報通知信号を受信したか否かを判定する(S111)。制御部16は、エラー情報通知信号を受信していないと判定すると(S111:NO)、エラー情報通知信号の受信判定処理を終了する。
【0052】
制御部16は、エラー情報通知信号を受信したと判定すると(S111:YES)、その受信したエラー情報通知信号に基づいてエラー情報を取得する(S112)。制御部16は、乗員状態通知信号に基づいて乗員状態を特定する(S113)。制御部16は、車両状態通知信号に基づいて車両状態を特定する(S114)。制御部16は、操作入力検知信号に基づいて乗員の操作入力を特定する(S115)。
【0053】
制御部16は、乗員状態の特定結果、車両状態の特定結果及び乗員の操作入力の特定結果に基づいてエラー情報の表示態様を決定する(S116)。即ち、制御部16は、
図3に示したケース区分テーブルを参照して該当するケースを選択する。制御部16は、該当するケースを選択すると、その選択したケースにしたがって表示指示信号を該当する機器に送信し、エラー情報を該当する機器に表示させ(S117)、エラー情報通知信号の受信判定処理を終了する。
【0054】
(2)操作入力の特定結果に基づいて更新情報の表示態様を決定する処理(
図18から
図29参照)。ここでは、簡易表示要求の操作判定処理、詳細表示要求の操作判定処理、中止要求の操作判定処理について順次説明する。
【0055】
(2-1)簡易表示要求の操作判定処理(
図18から
図22参照)
例えば更新情報の簡易表示を望むドライバは簡易表示要求の操作入力を行う。制御部16は、更新情報を表示中において簡易表示要求の操作判定処理を所定周期で行う。制御部16は、簡易表示要求の操作判定処理を開始すると、操作入力部15からの操作入力検知信号により簡易表示要求の操作入力が発生したか否かを判定する(S201)。制御部16は、簡易表示要求の操作入力が発生していないと判定すると(S201:NO)、簡易表示要求の操作判定処理を終了する。
【0056】
制御部16は、簡易表示要求の操作入力が発生したと判定すると(S201:YES)、表示中の更新情報を簡易表示へ切り替え可能であるか否かを判定する(S202)。制御部16は、表示中の更新情報を簡易表示へ切り替え可能でないと判定すると(S202:NO)、表示中の更新情報を簡易表示へ切り替えず、簡易表示要求の操作判定処理を終了する。制御部16は、表示中の更新情報を簡易表示へ切り替え可能であると判定すると(S202:YES)、表示中の更新情報を簡易表示へ切り替え(S203)、簡易表示要求の操作判定処理を終了する。
【0057】
図19に示すように、制御部16は、更新情報として例えばダウンロード状況としてのプログレスバーA1及びアップデート機能詳細として機能説明A2をCID11に表示中に、簡易表示へ切り替え可能であると判定すると、更新情報としてプログレスバーA3のみを表示すると共に更新情報とは無関係な情報としてメニューボタン群A4を表示する画面へ切り替える。更新情報とは無関係な情報は、メニューボタン群A4以外であっても良く、例えばナビゲーション機能に利用される地図、パーキングアシスト機能によるカメラ映像、オーディオに関するオーディオ情報、空調に関する空調情報等でも良い。
【0058】
又、
図20に示すように、制御部16は、更新ソフトウェアが複数の場合も同様であり、更新情報としてプログレスバーA3,A5のみを更新ソフトウェア毎に表示すると共にメニューボタン群A4を表示する画面へ切り替える。
【0059】
又、
図21に示すように、制御部16は、更新情報としてプログレスバーA3に代えて更新中ボタンA6を点滅表示すると共にメニューボタン群A4を表示する画面へ切り替えても良い。
【0060】
又、
図22に示すように、制御部16は、インジケータA7~A9をメータ装置12に表示させ、ソフトウェアを更新中の機能に対応するインジケータA8,A9についてソフトウェアの更新を完了するまでの残り時間を表示させても良い。
【0061】
(2-2)詳細表示要求の操作判定処理(
図23から
図25参照)
例えば更新情報の詳細表示を望むドライバは詳細表示要求の操作入力を行う。制御部16は、更新情報を表示中において詳細表示要求の操作判定処理を所定周期で行う。制御部16は、詳細表示要求の操作判定処理を開始すると、操作入力部15からの操作入力検知信号により詳細表示要求の操作入力が発生したか否かを判定する(S211)。制御部16は、詳細表示要求の操作入力が発生していないと判定すると(S211:NO)、詳細表示要求の操作判定処理を終了する。
【0062】
制御部16は、詳細表示要求の操作入力が発生したと判定すると(S211:YES)、表示中の更新情報を詳細表示へ切り替え可能であるか否かを判定する(S212)。制御部16は、表示中の更新情報を詳細表示へ切り替え可能でないと判定すると(S212:NO)、表示中の更新情報を詳細表示へ切り替えず、詳細表示へ切り替え不能である理由を示すメッセージ表示させ(S213)、詳細表示要求の操作判定処理を終了する。
【0063】
制御部16は、表示中の更新情報を詳細表示へ切り替え可能であると判定すると(S212:YES)、乗員状態通知信号に基づいて乗員状態を特定し(S214)、車両状態通知信号に基づいて車両状態を特定し(S215)、操作入力検知信号に基づいて乗員の操作入力を特定し(S216)、乗員状態の特定結果、車両状態の特定結果及び乗員の操作入力の特定結果に基づいて更新情報の表示態様を決定する(S217)。制御部16は、その決定した表示態様にしたがって表示中の更新情報を詳細表示へ切り替え(S218)、詳細表示要求の操作判定処理を終了する。
【0064】
図24に示すように、制御部16は、更新情報として更新中ボタンA6を表示すると共にメニューボタン群A4をCID11に表示中に、詳細表示へ切り替え可能でないと判定すると、表示中の更新情報を詳細表示へ切り替えず、詳細表示へ切り替え不能である理由を示す「車両走行中のため詳細表示できません」というメッセージA10を表示させる。
【0065】
図25に示すように、制御部16は、更新情報として更新中ボタンA6を表示すると共にメニューボタン群A4をCID11に表示中に、詳細表示へ切り替え可能であると判定すると、更新情報として例えばダウンロード状況としてのプログレスバーA1及びアップデート機能詳細として機能説明A2を表示する画面へ切り替える。
【0066】
(2-3)中止要求の操作判定処理(
図26から
図29参照)
例えばソフトウェア更新の中止を望むドライバは中止要求の操作入力を行う。制御部16は、更新情報を表示中において中止要求の操作判定処理を所定周期で行う。制御部16は、中止要求の操作判定処理を開始すると、操作入力部15からの操作入力検知信号により中止要求の操作入力が発生したか否かを判定する(S221)。制御部16は、中止要求の操作入力が発生していないと判定すると(S221:NO)、中止要求の操作判定処理を終了する。
【0067】
制御部16は、中止要求の操作入力が発生したと判定すると(S221:YES)、中止要求の対象が重要な機能であるか否かを判定する(S222)。制御部16は、中止要求の操作入力が発生したと判定すると(S221:YES)、中止要求のソフトウェア更新の対象が重要な機能であるか否かを判定する(S222)。
【0068】
制御部16は、中止要求のソフトウェア更新の対象が重要な機能であると判定すると(S222:YES)、中止要求を破棄する(S223)。制御部16は、中止要求を破棄した理由を示すメッセージを表示させ(S224)、中止要求の操作判定処理を終了する。
【0069】
制御部16は、中止要求のソフトウェア更新の対象が重要な機能でないと判定すると(S222:NO)、更新情報を簡易表示中であるか否かを判定する(S225)。制御部16は、更新情報を簡易表示中であると判定すると(S225:YES)、ソフトウェア更新の中止を示す中止情報を該当する機器に表示させ(S226)、中止要求の操作判定処理を終了する。
【0070】
制御部16は、更新情報を簡易表示中でないと判定すると(S225:NO)、乗員状態通知信号に基づいて乗員状態を特定し(S227)、車両状態通知信号に基づいて車両状態を特定し(S228)、操作入力検知信号に基づいて乗員の操作入力を特定し(S229)、乗員状態の特定結果、車両状態の特定結果及び乗員の操作入力の特定結果に基づいて更新情報の表示態様を決定する(S230)。制御部16は、その決定した表示態様にしたがってソフトウェア更新の中止を示す中止情報を該当する機器に表示させ(S231)、中止要求の操作判定処理を終了する。この場合、制御部16は、乗員状態の特定結果、車両状態の特定結果及び乗員の操作入力の特定結果により詳細表示可能であれば中止情報を詳細表示させ、詳細表示可能でなければ中止情報を簡易表示させる。
【0071】
図27に示すように、制御部16は、例えば中止ボタンA11の操作入力が発生したと判定し、中止要求のソフトウェア更新の対象が重要な機能であると判定すると、中止要求を破棄し、中止要求を破棄した理由を示す「車両の根幹となる機能であるためソフトウェア更新を中止できません」というメッセージA12をポップアップ表示させる。
【0072】
図28に示すように、制御部16は、更新情報を簡易表示中であると判定すると、ソフトウェア更新の中止を示す中止情報を該当する機器に表示させる。制御部16は、例えば更新中ボタンA6をグレイアウトすることで中止情報を表示させる。
【0073】
図29に示すように、制御部16は、更新情報を簡易表示中でないと判定すると、乗員状態の特定結果、車両状態の特定結果及び乗員の操作入力の特定結果に基づいて更新情報の表示態様を決定し、その決定した表示態様にしたがってソフトウェア更新の中止を示す中止情報を該当する機器に表示させる。制御部16は、ソフトウェア更新を中止したことを示す「ソフトウェア更新を中止しました 再開する場合は「再開」ボタンを操作してください」というメッセージA13を表示させる。
【0074】
(3)車両電源オフ時に更新情報を表示する処理(
図30から
図31参照)。ここでは、車両電源オフ時の更新情報の表示要求判定処理、ソフトウェア更新中の車両電源オフ判定処理について順次説明する。
【0075】
(3-1)車両電源オフ時の更新情報の表示要求判定処理
制御部16は、車両電源オフ時の更新情報の表示要求判定処理を所定周期で行う。制御部16は、更新情報の表示要求判定処理を開始すると、乗員状態通知信号に基づいて乗員状態を特定し(S301)、車内に乗員が車内に存在するか否かを判定する(S302)。制御部16は、車内に乗員が車内に存在すると判定すると(S302:YES)、車両電源オフ時の更新情報の表示要求判定処理を終了する。
【0076】
制御部16は、車内に乗員が車内に存在しないと判定する、即ち、乗員が不在であると判定すると(S302:NO)、操作入力検知信号に基づいて乗員の操作入力を特定し(S303)、更新情報の表示要求を示す操作入力が発生したか否かを判定する(S304)。更新情報の表示要求を示す操作入力が発生していないと判定する(S304:NO)、車両電源オフ時の更新情報の表示要求判定処理を終了する。
【0077】
制御部16は、更新情報の表示要求を示す操作入力が発生したと判定する(S304:YES)、乗員状態の特定結果及び乗員の操作入力の特定結果に基づいて更新情報の表示態様を決定する(S305)。制御部16は、その決定した表示態様にしたがって更新情報を該当する機器に表示させ(S306)、車両電源オフ時の更新情報の表示要求判定処理を終了する。
【0078】
(3-2)ソフトウェア更新中の車両電源オフ判定処理
制御部16は、ソフトウェア更新中の車両電源オフ判定処理を所定周期で行う。制御部16は、ソフトウェア更新中の車両電源オフ判定処理を開始すると、ソフトウェアを更新中であるか否かを判定する(S311)。制御部16は、ソフトウェアを更新中でないと判定すると(S311:NO)、ソフトウェア更新中の車両電源オフ判定処理を終了する。
【0079】
制御部16は、ソフトウェアを更新中であると判定すると(S311:YES)、車両状態通知信号に基づいて車両状態を特定し(S312)、車両電源がオフであるか否かを判定する(S313)。制御部16は、車両電源がオフでないと判定すると(S313:NO)、ソフトウェア更新中の車両電源オフ判定処理を終了する。
【0080】
制御部16は、車両電源がオフであると判定すると(S313:YES)、更新情報の表示を継続し(S314)、ソフトウェア更新中の車両電源オフ判定処理を終了する。
【0081】
以上は、更新情報取得部16a、乗員状態特定部16b、車両状態特定部16c、操作入力特定部16d及び表示制御部16eがHCU7に配置されている構成を例示したが、各部16a~16eの機能が別々の機器に分散されて配置されても良い。例えば乗員状態を特定するECU、車両状態を特定するECU、乗員の操作入力を特定するECUが別々に配置され、それら各ECUが特定結果をHCU7へそ送信する構成でも良い。又、各部16a~16eの機能がCGW5に配置されている構成でも良い。
【0082】
以上に説明した本実施形態によれば、以下に示す作用効果を得ることができる。HCU7において、車両電源がオフであることが特定され、且つ車内に乗員が不在であることが特定された状況で更新情報の表示要求を示す操作入力が特定された場合に、更新情報の表示態様を車内に乗員が存在していることが特定された場合よりも簡易に決定し、その決定した表示態様にしたがって更新情報を表示させるようにした。情報量を多くして更新情報を詳細な表示態様で表示するのではなく、情報量を少なくして更新情報を簡易な表示態様で表示することで、ソフトウェアの更新に関する更新情報をシーンに応じて適切に表示することができる。
【0083】
車両電源がオフであり、且つ車内に乗員が不在である状況で更新情報の表示要求を示す操作入力があると、車内に乗員が存在している場合よりも簡易な表示態様で更新情報を表示することで車両バッテリの不要な電力消費を未然に回避することができる。
【0084】
更新情報をインジケータの点灯、点滅又は消灯の何れかにより通知させるようにした。インジケータの点灯、点滅又は消灯により、簡易な表示態様で更新情報を表示することができる。
【0085】
更新情報を車外の外部機器から表示させるようにした。更新情報を車外の乗員へ知らせることができる。
【0086】
ソフトウェアの更新中に車両電源がオフであることが特定された場合に、更新情報の通知を継続するようにした。ソフトウェアの更新中に車両電源がオフされても、更新情報を乗員へ知らせることができる。
【0087】
本開示は、特許請求の範囲の記載に加え、以下の発明も含む。
[1]
更新対象の電子制御装置のソフトウェアが配信装置から取得された更新ソフトウェアにより更新される際のソフトウェアの更新に関する更新情報を通知装置から通知させる更新情報通知装置(7)であって、
前記更新情報を取得する更新情報取得部(16a)と、
乗員の状態を示す乗員状態を特定する乗員状態特定部(16b)と、
車両の状態を示す車両状態を特定する車両状態特定部(16c)と、
乗員の操作入力を特定する操作入力特定部(16d)と、
前記更新情報の通知態様を決定し、その決定した通知態様にしたがって前記更新情報を前記通知装置から通知させる通知制御部(16e)と、を備え、
前記通知制御部は、車両電源がオフであることが前記車両状態特定部により特定され、且つ車内に乗員が不在であることが前記乗員状態特定部により特定された状況で前記更新情報の通知要求を示す操作入力が前記操作入力特定部により特定された場合に、前記更新情報の通知態様を車内に乗員が存在していることが前記乗員状態特定部により特定された場合よりも簡易に決定する更新情報通知装置。
【0088】
[2]
前記通知装置は、インジケータを備え、
前記通知制御部は、前記更新情報を前記インジケータの点灯、点滅又は消灯の何れかにより通知させる[1]に記載した更新情報通知装置。
【0089】
[3]
前記通知装置は、車外の外部機器を含み、
前記通知制御部は、車両電源がオフであることが前記車両状態特定部により特定され、且つ車内に乗員が不在であることが前記乗員状態特定部により特定された状況で前記更新情報の通知要求を示す操作入力が前記操作入力特定部により特定された場合に、前記更新情報を前記外部機器から通知させる[1]又は[2]に記載した更新情報通知装置。
【0090】
[4]
前記通知制御部は、ソフトウェアの更新中に車両電源がオフであることが前記車両状態特定部により特定された場合に、前記更新情報の通知を継続する[1]から[3]の何れか一項に記載した更新情報通知装置。
【0091】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、更には、それらに一要素のみ、それ以上、或いはそれ以下を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0092】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。或いは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によりプロセッサを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。若しくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路により構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより実現されても良い。又、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていても良い。
【符号の説明】
【0093】
図面中、1はソフトウェア更新システム、2は車両システム、3はサーバ(配信装置)、7はHCU(更新情報通知装置)、6はECU(電子制御装置)、10はリプログツール(配信装置)、11はCID(通知装置)、12はメータ装置(通知装置)、13はHUD(通知装置)、14は携帯情報端末(通知装置)、16は制御部、16aは更新情報取得部、16bは乗員状態特定部、16cは車両状態特定部、16dは操作入力特定部、16eは表示制御部(通知制御部)である。