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特開2024-141666再帰性反射シート、粘着剤組成物及びオーバーラミネートフィルム
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  • 特開-再帰性反射シート、粘着剤組成物及びオーバーラミネートフィルム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141666
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】再帰性反射シート、粘着剤組成物及びオーバーラミネートフィルム
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/12 20060101AFI20241003BHJP
   C09J 133/14 20060101ALI20241003BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20241003BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20241003BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20241003BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20241003BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20241003BHJP
   G09F 3/02 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G02B5/12
C09J133/14
C09J11/04
C09J7/38
B32B27/30 A
B32B27/20 Z
B32B7/023
G09F3/02 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053449
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】工藤 進平
(72)【発明者】
【氏名】荒木 好則
【テーマコード(参考)】
2H042
4F100
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
2H042EA04
2H042EA12
2H042EA13
2H042EA17
4F100AB19
4F100AB19C
4F100AK25
4F100AK25A
4F100AK25C
4F100AR00C
4F100AR00E
4F100AT00A
4F100BA03
4F100BA05
4F100BA07
4F100CB05
4F100CB05D
4F100DE01
4F100DE01C
4F100EH46
4F100EJ42
4F100EJ86
4F100HB31B
4F100JL13
4F100JL13D
4F100JN06
4F100JN06A
4F100JN10
4F100JN10A
4F100JN18
4F100JN18C
4J004AA10
4J004AA18
4J004AB01
4J004CA03
4J004CA05
4J004CA06
4J004CB03
4J004CC02
4J004CE01
4J004FA01
4J004FA04
4J040DF061
4J040HA116
4J040JA09
4J040JB05
4J040JB09
4J040KA03
4J040KA42
4J040LA10
4J040MA10
4J040MB03
4J040MB09
4J040NA17
4J040NA21
4J040PA23
(57)【要約】
【課題】
本開示は、再帰反射性が改善された再帰性反射シート、並びにこれに利用可能な、粘着剤組成物及びオーバーラミネートフィルムを提供すること。
【解決手段】
複数の層を有する再帰性反射シートであって、
少なくとも印刷層とこれに接する隣接層とを有し、
隣接層は、(メタ)アクリル酸とエトキシル化アルキルアルコールとのエステル由来の構成単位を有するアクリル樹脂と無機ナノ粒子とを含有し、
隣接層の屈折率が1.50~1.55である、再帰性反射シート。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の層を有する再帰性反射シートであって、
少なくとも印刷層とこれに接する隣接層とを有し、
隣接層は、(メタ)アクリル酸とエトキシル化アルキルアルコールとのエステル由来の構成単位を有するアクリル樹脂と無機ナノ粒子とを含有し、
隣接層の屈折率が1.50~1.55である、再帰性反射シート。
【請求項2】
隣接層が粘着剤層であり、再帰反射層と、印刷層と、粘着剤層と、保護フィルム層とをこの順で有する、請求項1に記載の再帰性反射シート。
【請求項3】
(メタ)アクリル酸とエトキシル化アルキルアルコールとのエステルが、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート又はポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレートである、請求項1又は2に記載の再帰性反射シート。
【請求項4】
無機ナノ粒子がジルコニア粒子である、請求項1又は2に記載の再帰性反射シート。
【請求項5】
(メタ)アクリル酸とエトキシル化アルキルアルコールとのエステル由来の構成単位を有するアクリル樹脂と無機ナノ粒子とを含有する粘着剤組成物。
【請求項6】
透明基材層と粘着剤層とを有するオーバーラミネートフィルムであって、
粘着層が(メタ)アクリル酸とエトキシル化アルキルアルコールとのエステル由来の構成単位を有するアクリル樹脂と無機ナノ粒子とを含有する、オーバーラミネートフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は再帰性反射シート、粘着剤組成物及びオーバーラミネートフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
道路標識、案内表示板等において、夜間でも高い視認性が得られることから、入射光をそのまま光源の方向に向かって反射する、すなわち再帰反射性を有する再帰性反射シートが広く利用されている。
【0003】
この再帰性反射シートは、通常、再帰反射性を付与するための再帰反射層と、必要な情報を表示するための印刷層と、印刷層を保護するための保護層(隣接層)とを備える。これらのうち印刷層の形成には、一般的にシルク印刷が適用されている。
【0004】
このシルク印刷では、色別に版板を作った上で印刷するため、同一の印刷物を多数作製する用途には適しているものの、少量多種の印刷物を作製する用途には適していない。これに対して、例えば特許文献1では、再帰性反射シートの印刷層を、オンデマンド印刷可能なインクジェット印刷により形成する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開2013/145946号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、本発明者等の検討の結果、インクジェット印刷により印刷層を形成した再帰性反射シートは、シルク印刷により印刷層を形成した再帰性反射シートと比べて、再帰反射性について改善の余地があることが明らかとなった。
【0007】
そこで本開示は、再帰反射性が改善された再帰性反射シート、並びにこれに利用可能な、粘着剤組成物及びオーバーラミネートフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一側面は、複数の層を有する再帰性反射シートであって、少なくとも印刷層とこれに接する隣接層とを有し、隣接層は、(メタ)アクリル酸とエトキシル化アルキルアルコールとのエステル由来の構成単位を有するアクリル樹脂と無機ナノ粒子とを含有し、隣接層の屈折率が1.50~1.55である再帰性反射シートに関する。
【0009】
かかる再帰性反射シートによれば、インクジェット印刷により印刷層が形成されていても、再帰反射性に優れる。さらに、かかる再帰性反射シートによれば、耐久性、耐候性等に優れる。
【0010】
上記再帰性反射シートは、隣接層が粘着剤層であり、再帰反射層と、印刷層と、粘着剤層と、保護フィルム層とをこの順で有するものであってもよい。
【0011】
上記(メタ)アクリル酸とエトキシル化アルキルアルコールとのエステルは、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート又はポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレートであってもよい。これにより、隣接層における無機ナノ粒子の分散性がより向上し、屈折率の調整が更に容易となる。
【0012】
上記無機ナノ粒子はジルコニア粒子であってもよい。これにより、隣接層における無機ナノ粒子の分散性がより向上し、屈折率の調整が更に容易となる。
【0013】
本開示の他の一側面は、(メタ)アクリル酸とエトキシル化アルキルアルコールとのエステル由来の構成単位を有するアクリル樹脂と無機ナノ粒子とを含有する粘着剤組成物に関する。
【0014】
かかる粘着剤組成物は、上記再帰性反射シートに好適に利用することができる。さらに、かかる粘着剤組成物によれば、用途に応じて屈折率を調整することができる。
【0015】
本開示の更に他の一側面は、透明基材層と粘着剤層とを有するオーバーラミネートフィルムであって、粘着層が(メタ)アクリル酸とエトキシル化アルキルアルコールとのエステル由来の構成単位を有するアクリル樹脂と無機ナノ粒子とを含有する、オーバーラミネートフィルムに関する。
【0016】
かかるオーバーラミネートフィルムは、上記再帰性反射シートに好適に利用することができる。さらに、かかるオーバーラミネートフィルムによれば、用途に応じて屈折率を調整することができる。
【発明の効果】
【0017】
本開示の再帰性反射シートによれば、インクジェット印刷により印刷層が形成されていても、再帰反射性に優れる。また、本開示の再帰性反射シートによれば、耐久性、耐候性等に優れる。
【0018】
本開示の粘着剤組成物及びオーバーラミネートフィルムは、上記再帰性反射シートに利用することができる。また、本開示の粘着剤組成物及びオーバーラミネートフィルムによれば、用途に応じて屈折率を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態の再帰性反射シートの一例を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の一実施形態について詳細に説明する。なお、図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0021】
<再帰性反射シート>
本実施形態の再帰性反射シートは、少なくとも印刷層とこれに接する隣接層とを含む複数の層を有する。本実施形態の再帰性反射シートは、再帰反射層と、印刷層と、粘着剤層と、保護フィルムとを、この順で有するものであってもよい。隣接層は粘着剤層であってもよい。以下、各層について説明する。
【0022】
(再帰反射層)
再帰反射層としては、斜め方向の入射光線をその入射方向に逆平行又はほぼ逆平行な方向に反射することによって、入射光線が光源又はその近傍に戻るような属性、すなわち再帰反射性を有するシート、フィルム等を用いることができる。再帰反射層は、従来知られているビーズ状又はプリズム状のものであり得る。
【0023】
再帰反射層としては、標識用途で一般的に使用されている多くのフィルムを用いることができる。その具体例としては、3M社から、「3MTM ダイヤモンドグレードTM DG超高輝度反射シート広角プリズム型(フルキューブ)」の商品名で販売される印刷プリズムシート等が挙げられる。
【0024】
(印刷層)
印刷層は、再帰反射層上に、インク、トナー等の着色剤を、グラビア印刷、シルク印刷、オフセット印刷、静電印刷、インクジェット印刷、熱転写印刷等の印刷技術を用いて形成することができる。これらの中で、オンデマンド印刷が可能となる点等から、インクジェット印刷が好ましく、UVインクジェットプリンターを用いたインクジェット印刷がより好ましい。
【0025】
印刷層は、紫外線硬化性インクから形成されることが好ましい。紫外線硬化性インクは、通常1.50~1.55(特に1.51~1.54)の屈折率を有する。紫外線硬化性インクとしては、例えば3M社から「3MTM Piezo Inkjet Series 8900UV Ink」の商品名で販売される各色(Blue,Black,Red,Yellow,Magenta,Cyan)のインクを用いることができる。
【0026】
(隣接層(粘着剤層))
隣接層は、印刷層と接するように形成される。隣接層は、粘着性を有する粘着剤層であってもよい。
【0027】
隣接層の屈折率は、1.50~1.55である。これにより、インクジェット印刷により印刷層を形成した場合であっても再帰性反射シートの再帰反射性を向上させることができる。その理由は必ずしも明らかでないが、本発明者等は以下のように推察する。
【0028】
インクジェット印刷においては、液滴状のインクを直接吹き付けることにより印刷が行われる。このため、インクジェット印刷により形成される印刷層は、表面に液滴に起因する凹凸が生じる。ここで、印刷層と隣接層との屈折率の差が比較的大きいと、これらの層の界面で、凹凸に起因した光の散乱が生じ、再帰反射性が低下する。一方、隣接層の屈折率を1.50~1.55として、印刷層を構成する紫外線硬化性インクの屈折率と合わせることで、凹凸に起因した光の散乱を抑制することが可能となり、再帰反射性を向上させることができるものと考えられる。
【0029】
隣接層の屈折率と印刷層の屈折率との差は、再帰反射性をより向上させる観点から、3.5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、2.5%以下であることが更に好ましい。なお、隣接層の屈折率と印刷層の屈折率との差は、下記式(1)により算出されるものを言う。
|隣接層の屈折率-印刷層の屈折率|/隣接層の屈折率×100(%) …(1)
【0030】
ここで、印刷層が単一のインクにより形成されている場合には、隣接層の屈折率と当該インクの屈折率との差が上記所定の範囲であることが好ましい。一方、印刷層が屈折率の異なる複数種のインクにより形成されている場合には、隣接層の屈折率と少なくとも一種のインクの屈折率との差が上記所定の範囲であることが好ましく、隣接層の屈折率と全てのインクの屈折率との差が上記所定の範囲であることがより好ましい。
【0031】
隣接層は、(メタ)アクリル酸とエトキシル化アルキルアルコールとのエステル由来の構成単位を有するアクリル樹脂と無機ナノ粒子とを含有する。当該アクリル樹脂は、樹脂中に無機ナノ粒子を分散させることが可能であり、屈折率を調整可能である点で好ましい。また、当該アクリル樹脂における上記構成単位は水酸基を有しないので、水酸基の存在に起因する腐食や他の材料との反応を抑制することが可能である。さらに当該アクリル樹脂における上記構成単位は芳香環を有しないので、再帰性反射シートの耐候性に優れる。
【0032】
エトキシル化アルキルアルコールとは、アルキルアルコールに1又は2以上のエチレンオキシドが付加した構造を有するアルコール、すなわちアルキルアルコールにおけるアルキル基と水酸基との間に1つ又は連続した複数のオキシエチレン基を有するアルコールを意味する。
【0033】
アルキルアルコールにおけるアルキル基は、例えば炭素数1~10のアルキル基であってもよく、炭素数1~5のアルキル基であってもよく、メチル基又はエチル基であってもよい。
【0034】
(メタ)アクリル酸とエトキシル化アルキルアルコールとのエステルの具体例としては、メトキシ(ポリエチレングリコール)(メタ)アクリレート、エトキシ(ポリエチレングリコール)(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールエチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールエチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール-2-エチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中で、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート又はポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレートが好ましい。なお、メトキシ(ポリエチレングリコール)(メタ)アクリレート又はエトキシ(ポリエチレングリコール)(メタ)アクリレートの分子量は、例えば300~1000とすることができる。
【0035】
上記アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸とエトキシル化アルキルアルコールとのエステル由来の構成単位のみから構成されるものであってもよく、発明の効果を損なわない範囲で、他の構成単位を有していてもよい。他の構成単位を構成するモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートの他、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02.6]デカニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0036】
上記アクリル樹脂は、上記(メタ)アクリル酸とエトキシル化アルキルアルコールとのエステルを、通常のラジカル重合方法、例えば溶液重合、懸濁重合、乳化重合、塊状重合などを用いて重合することにより得ることができる。重合開始剤として、過酸化ベンゾイル、ラウロイルペルオキシド、ビス(4-tert-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネートなどの有機過酸化物、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、ジメチル-2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリアン酸)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(AVN)等のアゾ系重合開始剤を用いることができる。
【0037】
無機ナノ粒子は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは更には10nm、又は最大で約15、20、25、30、35、40、45、若しくは更には50nmの平均粒子径を有する粒子として定義される。なお、平均粒子径は、例えば動的光散乱法により測定することができる。無機ナノ粒子は離散(即ち、凝集していない)粒子、粒子の凝集体、又はその両方であってよい。
【0038】
無機ナノ粒子は、酸化物ナノ粒子を含み得る。このような酸化物としては、例えば、二酸化ケイ素(シリカ)、ジルコニア、チタニア、セリア、アルミナ、酸化鉄、酸化亜鉛、バナジア、酸化アンチモン、酸化スズ、アルミナ/シリカが挙げられる。
【0039】
無機ナノ粒子は、コロイド状分散物の形態であってよい。有用な市販の無機ナノ粒子の例としては、商品名「ナノユース(登録商標)OZ」(日産化学株式会社製)として入手可能なジルコニアゾル、商品名「ナノユース(登録商標)OT」(日産化学株式会社製)として入手可能なチタニアゾル、商品名「NALCO COLLOIDAL SILICAS」(Nalco Chemical Co.製)として入手可能なコロイド状シリカ等が挙げられる。
【0040】
隣接層は、例えば以下の方法で形成することができる。溶液重合により(メタ)アクリル酸とエトキシル化アルキルアルコールとのエステル等を重合することによりアクリル樹脂溶液を調製する。アクリル樹脂溶液に無機ナノ粒子を加えてコーティング溶液を調製する。コーティング溶液を基材上に塗布した後に、加熱乾燥することで隣接層を形成する。基材としては、後述する保護フィルムを用いることがでできる。
【0041】
隣接層における無機ナノ粒子の含有量は、隣接層の屈折率が1.50~1.55となるように適宜調整することができるが、隣接層全体を基準として、例えば25~55質量%であることが好ましく、20~50質量%であることがより好ましい。
【0042】
(保護フィルム層)
保護フィルム層としては、一般的に光学材料の保護のために用いられるフィルムを用いることができる。その素材としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、及びこれらの混合物等を使用することができる。これらの中で、アクリル樹脂又はフッ素樹脂とアクリル樹脂との混合物が好ましく、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)又はポリフッ化ビニリデン(PVDF)とポリメタクリル酸メチル(PMMA)との混合物がより好ましい。
【0043】
図1は、本実施形態の再帰性反射シートの一例を示す模式断面図である。図1の再帰性反射シート10は、再帰性反射層1と、印刷層3と、粘着剤層(隣接層)5と、保護フィルム層7とが、この順で積層された構造を有する。粘着剤層(隣接層)5は、アクリル樹脂5aと無機ナノ粒子5bとから構成される。また、保護フィルム層(透明基材層)7と、粘着剤層5とから構成される積層体は、後述するオーバーラミネートフィルム20に相当する。
【0044】
<再帰性反射シートの作製方法>
再帰性反射シートの作製方法は、特に限定されないが、例えば以下に示す方法で作製することができる。まず、再帰反射層上にインクジェット印刷により印刷層を形成する。別途、保護フィルム上に上述のアクリル樹脂と無機ナノ粒子とを含有する粘着剤層を形成する。印刷層が形成された再帰反射層と、粘着剤層が形成された保護フィルムとを、印刷層と粘着剤層とが接するように貼り合わせることにより、再帰性反射シートを作製することができる。
【0045】
<粘着剤組成物>
本実施形態の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル酸とエトキシル化アルキルアルコールとのエステル由来の構成単位を有するアクリル樹脂と無機ナノ粒子とを含有する。通常、粘着剤に用いられるアクリル樹脂の屈折率は約1.47程度であるが、本実施形態の粘着剤組成物によれば、比較的高屈折率である無機ナノ粒子を分散させることにより、粘着剤組成物全体の屈折率を調整することができる。また、アクリル樹脂における上記構成単位は水酸基を有しないので、水酸基の存在に起因する腐食や他の材料との反応を抑制することが可能である。さらにアクリル樹脂における上記構成単位は芳香環を有しないので、耐候性に優れる。
【0046】
粘着剤組成物における無機ナノ粒子の含有量は、要求される粘着剤組成物の屈折率に応じて適宜調整することができるが、粘着剤組成物全体を基準として、例えば10~90質量%又は20~80質量%の間で調整することができる。
【0047】
<オーバーラミネートフィルム>
本実施形態のオーバーラミネートフィルムは、透明基材層と粘着剤層とを有するオーバーラミネートフィルムであって、粘着層は(メタ)アクリル酸とエトキシル化アルキルアルコールとのエステル由来の構成単位を有するアクリル樹脂と無機ナノ粒子とを含有する。かかるオーバーラミネートフィルムは、光学材料の表面保護に好適に適用することが可能であり、さらに上述の粘着剤組成物を用いているので、屈折率を調整することができる点で優れる。
【0048】
なお、粘着剤組成物及びオーバーラミネートフィルムに関して、アクリル樹脂、無機ナノ粒子としては、上述の隣接層で説明したものと同様のものを採用することができる。また、透明基材層としては、例えば上述の保護フィルムと同様のものを採用することができる。また、「透明」とは、可視光線、すなわち波長範囲380nm~780nmにおける平均透過率が、約60%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上であることを意味する。
【0049】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0050】
本発明は、例えば以下の形態に関するものであってよい。
[A1]
複数の層を有する再帰性反射シートであって、
少なくとも印刷層とこれに接する隣接層とを有し、
隣接層は、(メタ)アクリル酸とエトキシル化アルキルアルコールとのエステル由来の構成単位を有するアクリル樹脂と無機ナノ粒子とを含有し、
隣接層の屈折率が1.50~1.55である、再帰性反射シート。
[A2]
隣接層が粘着剤層であり、再帰反射層と、印刷層と、粘着剤層と、保護フィルム層とをこの順で有する、[A1]に記載の再帰性反射シート。
[A3]
(メタ)アクリル酸とエトキシル化アルキルアルコールとのエステルが、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート又はポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレートである、[A1]又は[A2]に記載の再帰性反射シート。
[A4]
無機ナノ粒子がジルコニア粒子である、[A1]~[A3]のいずれか一つに記載の再帰性反射シート。
[A5]
印刷層がインクジェット印刷により形成された印刷層である、[A1]~[A4]のいずれか一つに記載の再帰性反射シート。
[A6]
インクジェット印刷がUVインクジェットプリンターを用いて行われる、[A5]に記載の再帰性反射シート。
[A7]
印刷層が紫外線硬化性インクから形成される、[A1]~[A6]のいずれか一つに記載の再帰性反射シート。
[B1]
(メタ)アクリル酸とエトキシル化アルキルアルコールとのエステル由来の構成単位を有するアクリル樹脂と無機ナノ粒子とを含有する粘着剤組成物。
[B2]
(メタ)アクリル酸とエトキシル化アルキルアルコールとのエステルが、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート又はポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレートである、[B1]に記載の粘着剤組成物。
[B3]
無機ナノ粒子がジルコニア粒子である、[B1]又は[B2]に記載の粘着剤組成物。
[C1]
透明基材層と粘着剤層とを有するオーバーラミネートフィルムであって、
粘着層が(メタ)アクリル酸とエトキシル化アルキルアルコールとのエステル由来の構成単位を有するアクリル樹脂と無機ナノ粒子とを含有する、オーバーラミネートフィルム。
[C2]
(メタ)アクリル酸とエトキシル化アルキルアルコールとのエステルが、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート又はポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレートである、[C1]に記載のオーバーラミネートフィルム。
[C3]
無機ナノ粒子がジルコニア粒子である、[C1]又は[C2]に記載のオーバーラミネートフィルム。
【実施例0051】
以下、本発明の内容を実施例及び比較例を用いてより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例で使用した材料の略称、化合物名、商品名、入手先等は以下のとおりである。
EEEA:2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート(エチルカルビトールアクリレート)(商品名:ビスコート#190、大阪有機化学工業製)
PEGME:ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリラート(メトキシポリエチレングリコールアクリレート)(分子量:620g/mol、商品名:MPE550A、大阪有機化学工業製)
AVN:2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(商品名:V-65、富士フイルム和光純薬製)
ナノ粒子分散液:ジルコニアナノ粒子分散液(粒子屈折率:1.85~1.90、分散媒:メチルエチルケトン、粒子径:10~30nm(動的光散乱法による分散粒子径)、商品名:ナノユース OZ-S40K-AC、日産化学製)
MEK:メチルエチルケトン(山一化学工業製)
酢酸エチル:酢酸エチル(富士フイルム和光純薬製)
【0052】
<(メタ)アクリル系ポリマー溶液A1の調製>
2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート(EEEA)100質量部をメチルエチルケトン(MEK)45質量部と酢酸エチル103質量部に溶解させて、重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(AVN)0.4質量部を加えた後、窒素雰囲気下50℃で24時間反応させ、(メタ)アクリル系ポリマー溶液A1を調製した。
【0053】
<(メタ)アクリル系ポリマー溶液A2の調製>
上記(メタ)アクリル系ポリマー溶液A1の調製と同様の方法で、(メタ)アクリル系ポリマー溶液を調製した。得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液に、ナノ粒子分散液(日産化学製、ナノユース OZ-S40K-AC、固形分40質量%)を加え無機成分含有率が10質量%となるように混合、攪拌して、(メタ)アクリル系ポリマー溶液A2を調製した。
【0054】
<(メタ)アクリル系ポリマー溶液A3の調製>
無機成分含有率が30質量%となるように調整した他は(メタ)アクリル系ポリマー溶液A2の調製と同様の方法で、(メタ)アクリル系ポリマー溶液A3を調製した。
【0055】
<(メタ)アクリル系ポリマー溶液A4の調製>
無機成分含有率が50質量%となるように調整した他は(メタ)アクリル系ポリマー溶液A2の調製と同様の方法で、(メタ)アクリル系ポリマー溶液A4を調製した。
【0056】
<(メタ)アクリル系ポリマー溶液A5の調製>
無機成分含有率が70質量%となるように調整した他は(メタ)アクリル系ポリマー溶液A2の調製と同様の方法で、(メタ)アクリル系ポリマー溶液A5を調製した。
【0057】
<(メタ)アクリル系ポリマー溶液B1の調製>
ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリラート(PEGME)100質量部をメチルエチルケトン(MEK)45質量部と酢酸エチル103質量部に溶解させて、重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(AVN)0.4質量部を加えた後、窒素雰囲気下50℃で24時間反応させ、(メタ)アクリル系ポリマー溶液B1を調製した。
【0058】
<(メタ)アクリル系ポリマー溶液B2の調製>
上記(メタ)アクリル系ポリマー溶液B1の調製と同様の方法で、(メタ)アクリル系ポリマー溶液を調製した。得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液に、ナノ粒子分散液(日産化学製、ナノユース OZ-S40K-AC、固形分40質量%)を加え無機成分含有率が30質量%となるように混合,攪拌して、(メタ)アクリル系ポリマー溶液B2を調製した。
【0059】
<(メタ)アクリル系ポリマー溶液B3の調製>
無機成分含有率が50質量%となるように調整した他は(メタ)アクリル系ポリマー溶液B2の調製と同様の方法で、(メタ)アクリル系ポリマー溶液B3を調製した。
【0060】
<(メタ)アクリル系ポリマー溶液C1の調製>
大阪有機化学工業製の2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)50質量部と富士フイルム和光純薬製のアクリル酸ブチル(BA)50質量部をメチルエチルケトン(MEK)45質量部と酢酸エチル103質量部に溶解させて、重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(AVN)0.4質量部を加えた後、窒素雰囲気下50℃で24時間反応させ、(メタ)アクリル系ポリマーの溶液を調製した。得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液に、ナノ粒子分散液(日産化学製、ナノユース OZ-S40K-AC、固形分40質量%)を加え無機成分含有率が10質量%となるように混合、攪拌して、(メタ)アクリル系ポリマー溶液C1を調製した。得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液C1は、白濁し沈殿物が生じたため、以降の検討は行わなかった。
【0061】
<(メタ)アクリル系ポリマー溶液C2の調製>
大阪有機化学工業製の2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)90質量部と日本触媒製のアクリル酸(AA)10質量部をメチルエチルケトン(MEK)45質量部と酢酸エチル103質量部に溶解させて、重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(AVN)0.4質量部を加えた後、窒素雰囲気下50℃で24時間反応させ、(メタ)アクリル系ポリマーの溶液を調製した。得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液に、ナノ粒子分散液(日産化学製、ナノユース OZ-S40K-AC、固形分40質量%)を加え無機成分含有率が10質量%となるように混合,攪拌して、(メタ)アクリル系ポリマー溶液C2を調製した。得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液C2は、白濁し沈殿物が生じたため、以降の検討は行わなかった。
【0062】
<再帰性反射シートA1の作製>
上記(メタ)アクリル系ポリマー溶液A1を、75μm厚のポリメタクリル酸メチル(PMMA)フィルムに、乾燥後の厚みが40μmになるようにナイフコーターを用いて塗布した。65℃で2分間、95℃で3分間乾燥した後、(メタ)アクリル系粘着剤つきPMMAオーバーラミネートフィルムを得た。
印刷プリズムシート(「3MTM ダイヤモンドグレードTM DG超高輝度反射シート広角プリズム型(フルキューブ)DG4090」の商品名で製造販売されるもの)表面に、MIMAKI ENGINEERING社により「UJF-3042FX UV PRINTER」の商品名で販売されるUVインクジェットプリンターに、MIMAKI ENGINEERING社により「LUS-200」の商品名で販売されるインク(インク色:イエロー、ホワイト、マゼンダ、シアン、ブラック)を装着して、ベタ印刷を行った。プリンターの設定は解像度[720 X 600VD]、その他条件[Pass8、Overprint 1 times]、印刷色設定[M100]の条件とした。
得られたインク付き印刷プリズムシートと、上記オーバーラミネートフィルムとを、それぞれの印刷層と粘着剤層とが接するように、ハンドスクイーズローラーにて貼り合わせ、再帰性反射シートA1を得た。
なお、印刷色設定[M100]で印刷した印刷層におけるインクの屈折率は1.543である。
【0063】
<再帰性反射シートA2~A5及びB1~B3の作製>
(メタ)アクリル系ポリマー溶液A1に代えて、(メタ)アクリル系ポリマー溶液A2~A5及びB1~B3を用いた他は、上記再帰性反射シートA1の作製と同様にして、再帰性反射シートA2~A5及びB1~B3を得た。
【0064】
<再帰性反射シートC3の作製>
(メタ)アクリル系粘着剤つきPMMAオーバーラミネートフィルムとして、3M社製「3MTM エレクトロカットTM フィルムECF1170C」を用いた他は、上記再帰性反射シートA1の作製と同様にして、再帰性反射シートC3を得た。
【0065】
(再帰性反射シートの評価)
上記で得られた再帰性反射シートA1~A5、B1~B2及びC3について、以下の方法で、再帰性反射係数、粘着剤層の屈折率及び無機成分含有率を測定した。その結果を表1に示す。
【0066】
<再帰性反射係数の測定>
再帰性反射係数(cd/lx/m)は、観測角0.2度、入射角5度、すなわち0.2°/5°における再帰性反射係数を再帰性反射測定装置RetroSign GRX(DELTA製)で測定することによって得た。具体的には、シート巻取り方向に対して、測定機の持ち手ハンドルを平行および直角に当てて測定した。作製した反射シートから適宜の3カ所について測定し、平行と垂直での測定値の平均をもって反射シートの再帰性反射係数とした。
【0067】
<屈折率の測定>
印刷層または粘着剤層について、Metricon Model 2010 Prism Coupler(メトリコン社製)を使用して、室温で633nmの波長を有する光の屈折率を測定した。
【0068】
<無機成分含有率の測定>
得られた粘着剤を、空気供給下、600℃にて、10分間加熱した。加熱後の残留物を無機成分とし、残留物重量から初期常温での粘着剤重量を除した値を無機成分含有率とした。
【0069】
【表1】
【0070】
<(メタ)アクリル系ポリマー溶液A6の調製>
2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート(EEEA)100質量部をメチルエチルケトン(MEK)45質量部と酢酸エチル103質量部に溶解させて、重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(AVN)0.4質量部を加えた後、窒素雰囲気下50℃で24時間反応させ、(メタ)アクリル系ポリマー溶液A6を調製した。
【0071】
<(メタ)アクリル系ポリマー溶液A7の調製>
上記(メタ)アクリル系ポリマー溶液A6の調製と同様の方法で、(メタ)アクリル系ポリマー溶液を調製した。得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液に、ナノ粒子分散液(日産化学製、ナノユース OZ-S40K-AC、固形分40質量%)を加え無機成分含有率が20質量%となるように混合、攪拌して、(メタ)アクリル系ポリマー溶液A7を調製した。
【0072】
<(メタ)アクリル系ポリマー溶液A8の調製>
無機成分含有率が30質量%となるように調整した他は(メタ)アクリル系ポリマー溶液A6の調製と同様の方法で、(メタ)アクリル系ポリマー溶液A8を調製した。
【0073】
<(メタ)アクリル系ポリマー溶液A9の調製>
無機成分含有率が40質量%となるように調整した他は(メタ)アクリル系ポリマー溶液A6の調製と同様の方法で、(メタ)アクリル系ポリマー溶液A9を調製した。
【0074】
<(メタ)アクリル系ポリマー溶液A10の調製>
無機成分含有率が50質量%となるように調整した他は(メタ)アクリル系ポリマー溶液A6の調製と同様の方法で、(メタ)アクリル系ポリマー溶液A10を調製した。
【0075】
<(メタ)アクリル系ポリマー溶液A11の調製>
無機成分含有率が60質量%となるように調整した他は(メタ)アクリル系ポリマー溶液A6の調製と同様の方法で、(メタ)アクリル系ポリマー溶液A11を調製した。
【0076】
<再帰性反射シートA6の作製>
上記(メタ)アクリル系ポリマー溶液A6を、75μm厚のポリメタクリル酸メチル(PMMA)フィルムに、乾燥後の厚みが40μmになるようにナイフコーターを用いて塗布した。65℃で2分間、95℃で3分間乾燥した後、(メタ)アクリル系粘着剤つきPMMAオーバーラミネートフィルムを得た。
印刷プリズムシート(「3MTM ダイヤモンドグレードTM DG超高輝度反射シート広角プリズム型(フルキューブ)DG4090」の商品名で製造販売されるもの)表面に、Durst社により「Rho 163 TS」の商品名で販売されるUVインクジェットプリンターを使用して、ベタ印刷を行った。プリンターの設定は、解像度[600 X 600 dpi]、その他条件[Pass 2]、印刷色設定[M100、Y100、及びトラフィックカラー(Red、Yellow、Brown、Purple)]の条件でベタ印刷を行った。印刷用のインクとしては、3MTM Piezo Inkjet Series 8900UV Ink(インク色:Blue、Black、Red、Yellow、Magenta、Cyan)を使用した。
得られたインク付き印刷プリズムシートと、上記オーバーラミネートフィルムとを、それぞれの印刷層と粘着剤層とが接するように、ハンドスクイーズローラーにて貼り合わせ、再帰性反射シートA6を得た。
なお、UVインクジェットプリンターのトラフィックカラー設定によって出力されるRed、Yellowの屈折率は、それぞれ1.519、1.532である。
【0077】
<再帰性反射シートA7~A11の作製>
(メタ)アクリル系ポリマー溶液A6に代えて、(メタ)アクリル系ポリマー溶液A7~A11を用いた他は、上記再帰性反射シートA6の作製と同様にして、再帰性反射シートA7~A11を得た。
【0078】
<再帰性反射シートC4の作製>
(メタ)アクリル系粘着剤つきPMMAオーバーラミネートフィルムとして、3M社製「3MTM エレクトロカットTM フィルムECF1170C」を用いた他は、上記再帰性反射シートA6の作製と同様にして、再帰性反射シートC4を得た。
【0079】
(再帰性反射シートの評価)
上記で得られた再帰性反射シートA6~A11及びC4について、上述の方法で、再帰性反射係数、粘着剤層の屈折率及び無機成分含有率を測定した。その結果を表2に示す。
【0080】
【表2】
【0081】
(耐候性試験)
上記再帰性反射シートA1及びA3について、JIS Z 9117:2011_8.5.1サンシャインカーボンアーク灯式促進耐候性試験(SWOM)を用いて、耐候性試験を行った。その結果を表3に示す。なお、ΔEが5以下であると、黄変が十分に抑制されており、耐候性に優れるものと評価される。
【0082】
【表3】
【符号の説明】
【0083】
1…再帰性反射層、3…印刷層、5…粘着剤層(隣接層)、5a…アクリル樹脂、5b…無機ナノ粒子、7…保護フィルム層(透明基材層)、10…再帰性反射シート、20…オーバーラミネートフィルム。
図1