(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141678
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】足部材取外し用治具
(51)【国際特許分類】
A47K 13/04 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
A47K13/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053466
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】沓澤 寛人
(72)【発明者】
【氏名】前川 直毅
(72)【発明者】
【氏名】中村 亮介
【テーマコード(参考)】
2D037
【Fターム(参考)】
2D037AB18
(57)【要約】
【課題】足部材を便座や便蓋から容易に取り外すことが可能な足部材取外し用治具を提供すること。
【解決手段】便器に設けられた便座、又は、便蓋に固定される足部材を取り外すための足部材取外し用治具1であって、足部材と、便座又は便蓋と、の間に差し込まれる差し込み部20と、差し込み部20に接続された把持部10とを備える足部材取外し用治具1である。差し込み部20は、二股に分岐している分岐部21を有する。分岐部21は、分岐部21の周囲を構成する厚肉部22と、厚肉部22よりも分岐部21の中央寄りの部分を構成する薄肉部23と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器に設けられた便座、又は、便蓋に固定される足部材を取り外すための足部材取外し用治具であって、
前記足部材と、前記便座又は便蓋と、の間に差し込まれる差し込み部と、
前記差し込み部に接続された把持部と、を備える足部材取外し用治具。
【請求項2】
前記差し込み部は、二股に分岐している分岐部を有する請求項1に記載の足部材取外し用治具。
【請求項3】
前記分岐部は、前記分岐部の周囲を構成する厚肉部と、前記厚肉部よりも前記分岐部の中央寄りの部分を構成する薄肉部と、を有する請求項2に記載の足部材取外し用治具。
【請求項4】
前記薄肉部における前記分岐部の中央位置には、切り欠きが形成され、
前記薄肉部は、前記切り欠きに向かって肉厚が薄くなるように傾斜する傾斜面を有する請求項3に記載の足部材取外し用治具。
【請求項5】
前記薄肉部は、前記切り欠きに向かって足部材を導入する導入部を有する請求項4に記載の足部材取外し用治具。
【請求項6】
前記把持部は、前記差し込み部に対して所定の角度で傾斜する請求項1に記載の足部材取外し用治具。
【請求項7】
前記差し込み部の周囲の部分は、面取り形状に形成される請求項1に記載の足部材取外し用治具。
【請求項8】
少なくとも前記差し込み部は、樹脂材料により構成される請求項1に記載の足部材取外し用治具。
【請求項9】
前記把持部には、貫通孔が形成されている請求項1に記載の足部材取外し用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、足部材取外し用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、足部材が取り付けられる便座が知られている(例えば、特許文献1参照)。足部材は、その内部に空隙を有している。治具により足部材を挟むことにより、空隙の部分が縮小することで足部材は変形し、便座から取り外される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の治具では、足部材が空隙を有している等、足部材自体が変形する構成を有していない場合には、治具を使用しても便座から足部材を取り外すことは容易ではなかった。
【0005】
本開示は、足部材を便座や便蓋から容易に取り外すことが可能な足部材取外し用治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、便器に設けられた便座、又は、便蓋に固定される足部材を取り外すための足部材取外し用治具であって、前記足部材と、前記便座又は便蓋と、の間に差し込まれる差し込み部と、前記差し込み部に接続された把持部とを備える足部材取外し用治具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】足部材取外し用治具を示す上方斜視図である。
【
図2】足部材取外し用治具を示す下方斜視図である。
【
図3】
図1のIII-III線に沿った断面図である。
【
図5】足部材が便座に取り付けられた状態を示す図である。
【
図6】足部材取外し用治具により足部材が便座から取り外される様子を示す図である。
【
図7】第1の変形例による足部材取外し用治具を示す上方斜視図である。
【
図8】第2の変形例による足部材取外し用治具を示す上方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、足部材取外し用治具の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。足部材取外し用治具1は、便器の便座が閉位置にあるときの下面に固定されている弾性変形可能な足部材、例えばゴム足等を、便座から取り外すための治具である。以下、
図1における上下方向における上方向を上方向と定義し、その反対の方向を下方向と定義して説明する。
【0009】
足部材取外し用治具1は、
図1~
図4、
図6に示すように、把持部10と、差し込み部20と、を有しており、これらは、一体成形されて接続されている。一体成形される材料は、ガラス繊維強化ナイロン、ABS樹脂、PP樹脂、金属等により構成されるが、好ましくは、便座を傷付けない材料である樹脂材料が用いられる。本実施形態においては、材料としては、ガラス繊維強化ナイロンが用いられる。これにより、差し込み部20が便座に当接したときに、便座を傷付けることを抑えることが可能である。
【0010】
把持部10は、幅方向よりも長手方向の方が長い板状に形成された把持部本体11を有している。把持部本体11の一端部には、把持部本体11の厚み方向に把持部本体11を貫通する貫通孔12が形成されている。これにより、足部材取外し用治具1を使用しないときには、図示しないフックを貫通孔12に貫通させて、フックに足部材取外し用治具1を掛けた状態で収納することが可能である。
【0011】
把持部本体11の他端部は、差し込み部20に一体成形されて接続されている。差し込み部20は、把持部本体11の他端部に一体成形されている基部から先端部にかけて、U字形状に二股に分岐している分岐部21を有している。分岐部21は、分岐部21の周囲を構成する厚肉部22と、厚肉部22よりも分岐部21の中央寄りの部分を構成する薄肉部23と、を有している。これにより、後述の便座B(
図5等参照)に設けられゴム足Fの周囲において便座Bの裏面から突出する壁部Wの先端とゴム足Fとの間に肉厚の薄い薄肉部23を容易に差し込むことが可能となる。
【0012】
厚肉部22の周囲の部分は、エッジを有していない、R面取り形状に形成されている。これにより、差し込み部20を便座Bとゴム足Fとの間に差し込んだときに、厚肉部22の周囲の部分が便座Bを傷付けてしまうことを抑えることが可能となる。
【0013】
薄肉部23における分岐部21の中央位置には、半円形状の切り欠き24が形成されている。これにより、薄肉部23を便座Bとゴム足Fとの間に差し込んだときに、ゴム足Fの足F1を半円形状の切り欠き24に嵌め込むことが可能となる。このため、この状態でゴム足Fを取り外すことができ、取り外しを容易とすることができる。
【0014】
薄肉部23の肉厚は、厚肉部22の肉厚よりも薄く構成されている。薄肉部23の下面は、平坦面により構成されており、
図3等に示すように、厚肉部22の下面よりも一段高い位置にある。薄肉部23において、最も高い位置にある薄肉部23の上面の周縁の部分は、厚肉部22の上面よりも一段低い位置にある。これにより、便座Bに設けられゴム足Fの周囲において便座Bの裏面から突出する壁部Wの高さに、厚肉部22の下面から薄肉部23の下面までの高さを一致させることが可能となる。この結果、壁部Wの上端部とゴム足Fとの間に、薄肉部23を容易に差し込むことが可能となる。
【0015】
薄肉部23の上面は、
図3等に示すように、半円形状の切り欠き24に向かって肉厚が薄くなるようにすり鉢状に傾斜する傾斜面25により構成されている。これにより、半円形状の切り欠き24を中心として薄肉部23が楔形の断面形状となっており、ゴム足Fと便座Bとの間に差し込みやすい構成とすることが可能となる。また、楔形の断面形状の先端縁が極めて薄い構成とすることが可能となり、様々なサイズのゴム足に対応することができる。
【0016】
薄肉部23は、半円形状の切り欠き24から、把持部10に一体成形されることにより接続されている差し込み部20の基部に対する差し込み部20の先端部側に向かう部分において、導入部26を有している。導入部26は、半円形状の切り欠き24からV字形状に広がる薄肉部23の先端縁により構成されている。
【0017】
これにより、二股に分岐している分岐部21にゴム足Fを容易に導入することができることと相まって、導入部26に沿ってゴム足Fの足F1を、半円形状の切り欠き24に導入することが可能となる。また、差し込み部20の導入部26は、便座Bとゴム足Fとの間に差し込まれたときに、差し込み部20の差し込み方向に対して斜めになっているため、導入部26のゴム足Fの足F1への初期接触を線当たりとすることが可能となる。この結果、ゴム足Fの足F1の半円形状の切り欠き24への導入の際に、ゴム足Fへの傷つけを防止することが可能となる。
【0018】
図4に示すように、差し込み部20の厚肉部22の上面又は下面に対して把持部10の長手方向は、所定の角度Aをなして傾斜している。これにより、使用者が把持部10を把持して差し込み部20の薄肉部23を壁部Wの上端部とゴム足Fとの間に差し込んでゆく際に、使用者の手が、足部材取外し用治具1と便座Bの裏面との間に挟まれることを防止することが可能となる。
【0019】
また、二股に分岐している分岐部21は、U字形状を有してゴム足Fよりも大きいラウンド形状に形成されているため、把持部10に一体成形されて接続されている差し込み部20の基部の部分を支点として、把持部10を力点とし、半円形状の切り欠き24が形成された薄肉部23の部分を作用点として、把持部10を便座Bの方向へ押すことにより、テコの原理により大きな力を必要とせずに、ゴム足を容易に外すことができる。この結果、簡単にゴム足Fを便座Bに対して着脱できる。このため、容易にゴム足Fを交換または丸洗いできる。
【0020】
次に、足部材取外し用治具1によるゴム足Fの取外しについて説明する。ゴム足Fは、
図5に示すように、複数の足F1、F2が、便座Bに形成された図示しない貫通孔に圧入されて固定されることにより、便座Bに固定されている。便座Bにおいては、便座Bの裏面から立ち上がり、
図5に示す底面視で長円形状の壁部Wが、ゴム足Fの全周を取り囲んでいる。
【0021】
先ず、足部材取外し用治具1の分岐部21において、厚肉部22の一対の先端部の間に便座Bのゴム足F(
図5参照)の長手方向における端部を配置させる。次に、
図6に示すように、薄肉部23の導入部26を、壁部Wの上端部とゴム足Fとの間に差し込んでゆき、導入部26にゴム足Fの足F1を当接させて半円形状の切り欠き24に導入する。
【0022】
次に、把持部10に一体成形されて接続されている差し込み部20の基部の部分を支点とし、把持部10を力点とし、半円形状の切り欠き24が形成された薄肉部23の部分を作用点として、把持部10を便座Bの方向へ押して回動させる。これにより、テコの原理により大きな力を必要とせずに、ゴム足Fが便座Bから持ち上がり、ゴム足Fが便座Bから取り外される。
【0023】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。本開示は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0024】
例えば、差し込み部の構成は、本実施形態における差し込み部20の構成に限定されない。例えば、
図7に示すように、差し込み部20Aの分岐部21Aにおいては、半円形状の切り欠き24に代えて、長円形状を半割にしたような切り欠き24Aを、薄肉部23Aは有し、導入部26を短く構成してもよい。また、例えば、
図8に示すように、差し込み部20Bの分岐部21Bにおいては、導入部26に代えて直線状の端部26Bを薄肉部23Bは有していてもよい。また、薄肉部23の上面は、半円形状の切り欠き24に向かって肉厚が薄くなるようにすり鉢状に傾斜する傾斜面25により構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、薄肉部の上面は、薄肉部23の下面と同様に、平坦面により構成されていてもよい。
【0025】
また、把持部10と差し込み部20とは、樹脂材料が一体成形されて構成されたが、これに限定されない。例えば、差し込み部20が樹脂材料により構成され、把持部10は、他の材料により構成されてもよい。また、差し込み部20は、二股に分岐した分岐部21を有していたが、この構成に限定されない。例えば、差し込み部は、分岐した分岐部を有していなくてもよい。
【符号の説明】
【0026】
1 足部材取外し用治具、10 把持部、12 貫通孔、20 差し込み部、21 分岐部、22 厚肉部、23 薄肉部、24 半円形状の切り欠き、25 傾斜面、26 導入部、A 角度、B 便座、F 足部材