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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001417
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】電気電子機器収納用箱
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20231227BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20231227BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
H05K7/20 G
H05K7/20 Y
H05K5/03 A
H05K5/02 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100034
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増井 基温
【テーマコード(参考)】
4E360
5E322
【Fターム(参考)】
4E360AB08
4E360BA01
4E360BA06
4E360BD02
4E360EA12
4E360EA18
4E360EB02
4E360EC16
4E360ED02
4E360ED07
4E360ED28
4E360GA08
4E360GA25
4E360GA29
4E360GA53
4E360GB99
4E360GC02
5E322AB01
5E322BA01
5E322BA05
5E322BB03
5E322BC02
5E322CA06
5E322EA11
(57)【要約】
【課題】遮光板及び通気部材を備えた吸排気効率のよい電気電子機器収納用箱を提供すること。
【解決手段】筐体10と、筐体10の換気に利用される通気経路を筐体10の外側に設ける通気部材2と、通気部材2を覆う遮光板3とを備えた電気電子機器収納用箱1であって、通気部材2は、筐体10の被取付面と対向する壁部21と、壁部21から筐体10の被取付面に直交するように延びる一対の側面部22とを有し、遮光板3は、筐体10の被取付面と対向する遮光面31と、遮光面31から筐体10の被取付面と直交するように延びる一対の遮光板側面32とを有し、通気部材2の側面部22には通気部23が設けられており、遮光板側面32には通気部2の少なくとも一部に臨む通風口33が形成されている構成とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、筐体の換気に利用される通気経路を筐体の外側に設ける通気部材と、前記通気部材を覆う遮光板とを備えた電気電子機器収納用箱であって、
前記通気部材は、筐体の被取付面と対向する壁部と、前記壁部から筐体の被取付面に直交するように延びる一対の側面部とを有し、
前記遮光板は、筐体の被取付面と対向する遮光面と、前記遮光面から筐体の被取付面と直交するように延びる一対の遮光板側面とを有し、
前記通気部材の前記側面部には通気部が設けられており、
前記遮光板側面には前記通気部の少なくとも一部に臨む通風口が形成されている電気電子機器収納用箱。
【請求項2】
筐体の左側面及び/または右側面に設けられた前記通気部材及び前記遮光板は、正面視において、前記通風口が前記通気部の少なくとも一部及び前記側面部を構成する壁面の一部と重なるように配置されている請求項1に記載の電気電子機器収納用箱。
【請求項3】
前記通気部材の内側に前記通気部と対向する防水片が設けられており、筐体の左側面及び/または右側面に設けられた前記通気部材及び前記遮光板は、正面視において前記防水片が前記通風口の左右方向の両端部と重なるように配置されている請求項1または2に記載の電気電子機器収納用箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気電子機器収納用箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、外面に遮光板が設けられた電気電子機器収納用箱が知られている。この遮光板は側面に通気孔が形成されたものである。また、特許文献2に記載されているように、電気電子機器収納用箱の筐体の外側に排熱のための通気が可能なルーバー部材が設けられることがある。特許文献2記載のルーバー部材は、被取付面であるキャビネット外壁と平行となる面に、雨水の浸入を防ぐ膨出部を備え下向きに排気するルーバー換気孔を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-203939号公報
【特許文献2】特開2007-305885号公報
【0004】
特許文献2記載のルーバー部材を特許文献1記載の遮光板で覆う場合、ルーバー部材と遮光板の通気方向が異なっているために吸排気効率が低下してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、遮光板及び通気部材を備えた吸排気効率のよい電気電子機器収納用箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、筐体と、筐体の換気に利用される通気経路を筐体の外側に設ける通気部材と、前記通気部材を覆う遮光板とを備えた電気電子機器収納用箱であって、前記通気部材は、筐体の被取付面と対向する壁部と、前記壁部から筐体の被取付面に直交するように延びる一対の側面部とを有し、前記遮光板は、筐体の被取付面と対向する遮光面と、前記遮光面から筐体の被取付面と直交するように延びる一対の遮光板側面とを有し、前記通気部材の前記側面部には通気部が設けられており、前記遮光板側面には前記通気部の少なくとも一部に臨む通風口が形成されている電気電子機器収納用箱とする。
【0007】
また、筐体の左側面及び/または右側面に設けられた前記通気部材及び前記遮光板は、正面視において、前記通風口が前記通気部の少なくとも一部及び前記側面部を構成する壁面の一部と重なるように配置されている構成とすることが好ましい。
【0008】
また、前記通気部材の内側に前記通気部と対向する防水片が設けられており、筐体の左側面及び/または右側面に設けられた前記通気部材及び前記遮光板は、正面視において前記防水片が前記通風口の左右方向の両端部と重なるように配置されている構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、遮光板及び通気部材を備えた吸排気効率のよい電気電子機器収納用箱を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態における電気電子機器収納用箱の斜視図である。
図2図1に示す電気電子機器収納用箱の正面図である。
図3図1に示す電気電子機器収納用箱の左側面を前方斜め上側から見た部分拡大分解図である。
図4図1に示す電気電子機器収納用箱の左側面を後方斜め下側から見た部分拡大分解図である。
図5図1のV-V断面図である。
図6図2の部分拡大図である。
図7図5の部分拡大図である。なお、図中のL1、L2は、横断面視において通風口の左右方向の端部から通気部材の内側へ向かって延ばした仮想線である。
図8】実施形態における通気部材の分解図である。
図9】実施形態における通気部材を筐体への取付面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に発明を実施するための形態を示す。本明細書においては、図1などに示したとおり、電気電子機器収納用箱1の設置面側すなわち鉛直下側を電気電子機器収納用箱1の下側とし、その反対側を上側とする。また、電気電子機器収納用箱1の開口を塞ぐ扉11が設けられた側を前側とし、その反対側を後側とする。さらに、上下方向及び前後方向に対して直角となる方向を、電気電子機器収納用箱1の左右方向とする。また、本明細書において正面視とは、筐体10の前面側から見た正面視をいう。
【0012】
図1乃至図4に示されていることから理解されるように、本実施形態の電気電子機器収納用箱1は、筐体10と、筐体10の換気に利用される通気経路を筐体10の外側に設ける通気部材2と、通気部材2を覆う遮光板3とを備えている。通気部材2は、筐体10の被取付面と対向する壁部21と、壁部21から筐体10の被取付面に直交するように延びる一対の側面部22とを有している。遮光板3は、筐体10の被取付面と対向する遮光面31と、遮光面31から筐体10の被取付面と直交するように延びる一対の遮光板側面32とを有している。通気部材2の側面部22には通気部23が設けられており、遮光板側面32には通気部23の少なくとも一部に臨む通風口33が形成されている。これにより、通気部材2と遮光板3の通気方向が同一となるため、吸排気効率のよい電気電子機器収納用箱1とすることができる。
【0013】
図2乃至図4に示す例の電気電子機器収納用箱1は、前面側に扉11を備えている。また、実施形態の通気部材2は電気電子機器収納用箱1の側面12に設けられている。実施形態では、電気電子機器収納用箱1の右側にある側面12と、左側にある側面12とに通気部材2が設けられている。さらに、この例では1つの側面12に対して2つの通気部材2が上下に配置されており、上側の通気部材2が排気用、下側の通気部材2が吸気用となっている。通気部材2の数や配置構造はこれに限定されず、通気用部材2が一方の側面12のみに設けられていてもよい。また、一方の側面12に排気用の通気部材2を設け、他方の側面12に吸気用の通気部材2を設けてもよい。
【0014】
図3乃至図5に示されることから理解されるように、実施形態の通気部材2はいずれも金属製で、内部に空間を有する略矩形薄箱型のカバーである。この例の通気部材2は、筐体10に取り付けられた状態において、筐体10の被取付面である側面12と平行となる壁部21と、壁部21の端部から側面12と略直交するように延びる一対の側面部22とを備えている。また、通気部材2は、壁部21と対向する面に、筐体10へ取り付けられる取付面26を備えている。実施形態の通気部材2には、側面12に取り付けられたときに前側と後側となる位置に一対の取付面26が設けられているが、取付面26の数や配置はこれに限定されない。また、通気部材2の壁部21と対向する面には取付側開口部28が形成されている。実施形態の取付側開口部28は、壁部21と対向する面の略中央の位置に開口している。実施形態の取付側開口部28は、後述する筐体10の側面12の開口121とほぼ同じ大きさである。
【0015】
実施形態では、一対の側面部22にそれぞれ複数の通気部23が形成されている。図5に示されていることから理解されるように、取付側開口部28と通気部23との間には空気が通ることが可能な空間が形成されているため、通気部材2の内部に通気経路を形成することが可能である。
【0016】
通気部23の形状や個数は特に限定されないが、本実施形態の通気部23は縦長に形成された長孔であって、1つの側面部22に縦2列で各列4個の合計8個配置されている。通気部23を、側面22の外表面から突出する羽板や切り起こし形成された膨出部等を備えたいわゆるルーバー換気孔ではなく、外表面全体が平坦である側面22に穿孔された換気孔とすれば、通気部材2を低コストかつ簡易に製造することができる。
【0017】
ところで、下方に向けて開口したルーバー換気孔を備えた通気部材2を用いる場合、排気用の通気部材2の排気方向は下向きとなる。よって、排気用の通気部材2の下側に吸気用の通気部材2が配置され、かつ、これらの通気部材2が1枚の遮光板3によって覆われている場合、遮光板3の内側において排気用の通気部材2から下向きに排気された暖かい空気が、吸気用の通気部材2を通じて筐体10の内部に戻りやすくなる。一方、本実施形態では、排気用の通気部材2の排気方向が下向きではないため、上側の排気用の通気部材2から排気された暖かい空気が下側の吸気用の通気部材2の方向へ向かうことを抑制することができる。
【0018】
実施形態の筐体10の側面12には通気用の開口121が設けられている。実施形態の通気部材2は、取付側開口部28が開口121に連通するように、筐体10の外側で側面12に取り付けられている。また、図5に示されていることから理解されるように、この例の筐体10の内部には、吸気用または排気用のファン4と、フィルタ5とが、固定部材6によって開口121に面する位置に取り付けられている。ファン4及びフィルタ5は必須の構成ではないが、換気効率を向上させるためにこれらを備えていることが好ましい。
【0019】
実施形態の遮光板3は、筐体10の被取付面のほぼ全体を覆う大きさを有し横断面略コ字状に形成された金属製の板材である。図1に示されることから理解されるように、本実施形態では扉11と筐体10の左右に位置する側面12に遮光板3が取り付けられている。扉11に取り付けられた遮光板3の遮光面31には、扉11に設けられたハンドルと対向する位置に開口が設けられており、この開口を通して筐体10の外部から前記ハンドルを操作することができる。なお、扉11や側面12だけではなく、このほかの面にも遮光板3を設けることができる。
【0020】
また、一対の遮光板側面32には、それぞれ複数の通風口33が設けられている。通風口33の形状及び個数は特に限定されないが、本実施形態の通風口33は縦長に形成された長孔であり、1つの遮光板側面32に縦1列で合計4個配置されている。この例では、通風口33が通気部23より開口幅及び開口長さともに大きくなるように形成されているが、両者のサイズ比はこれに限定されず、適宜設定することができる。
【0021】
図6に示されていることから理解されるように、本実施形態においては、通気部材2及び遮光板3は、通風口33が通気部23の少なくとも一部に臨むように配置されている。前述したように、この構成により通気部材2と遮光板3との吸排気方向がほぼ同一となり吸排気効率がよい。
【0022】
さらに、本実施形態では、防水性の観点から、正面視において通風口33が通気部23の少なくとも一部、及び、通気部材2の側面部22を構成する壁面の一部と重なるように配置されていることが好ましい。
【0023】
以下、通風口33と通気部23の配置に関し具体的に説明する。実施形態の通気部材2には、複数の通気部23同士を仕切るように側面部22の表面に沿って延びる隔離片24が設けられている。隔離片24は側面部22の壁面の一部を構成している。本実施形態の隔離片24は、図6に示されることから理解されるように、左右に隣り合う通気部23の間に位置し上下方向に延びる縦部241と、上下に隣り合う通気部23の間に位置し左右方向に延びる横部242とを備え、正面視格子状となっている。また、この例では1本の縦部241に対して複数の横部242が直交しており、これにより上下方向に長い縦部241の変形を抑制することができる。
【0024】
なお、隔離片24の構成はこれに限定されない。例えば、隔離片24は縦部241のみから構成されていてもよいし、横部242のみから構成されていてもよい。実施形態のように縦部241と横部242の両方を備えた構成としてもよい。また、縦部241及び横部242の数は限定されず、縦部241及び/または横部242が2つ以上設けられていてもよい。また、隔離片24が正面視千鳥格子状となっていてもよい。
【0025】
図6に示されることから理解されるように、本実施形態では、通風口33の上下方向に延びる中心軸と、通気部23の上下方向に延びる中心軸の位置が左右方向にずれるように配置されている。したがって、この例の通風口33は、正面視において、通気部23の一部と、隔離片24を含む側面部22の壁面の一部との両方に重なる。これにより、通風経路は確保しつつ水の浸入経路を狭めることができるので、水の浸入を防ぐ羽板や膨出部を備えない通気部23であっても、吸排気効率と防水性能とを両立させることができる。
【0026】
本実施形態のように通風口33が通気部23より大きい場合においては、1つの通風口33と、当該通風口33に重なる通気部23との面積比は、「通風口33の面積」:「当該通風口33に重なる通気部23の面積」が5:1から15:1程度となるように構成されることが好ましい。より好ましくは前記面積比が6:1から12:1程度であり、7:1から10:1程度とすることがさらに好ましい。
【0027】
また、1つの通風口33に重なる、通気部23と側面部22を構成する壁面との面積比は、「通気部23の面積」:「側面部22を構成する壁面の面積」が1:2から1:7程度となるように構成されることが好ましい。より好ましくは前記面積比が1:3から1:6程度であり、1:4から1:5程度とすることがさらに好ましい。
【0028】
なお、図6に示されることから理解されるように、実施形態の遮光板3には、複数の通風口33同士を仕切るように遮光板側面32の表面に沿って延びる遮光板隔離片34が設けられている。実施形態の遮光板隔離片34は、上下に隣り合う通風口33の間に位置し左右方向に延びる横部のみを備えた構成であるが、これに限定されず、左右に隣り合う通風口33の間に位置し上下方向に延びる縦部のみを備えた構成であってもよいし、前記縦部及び前記横部を備えた構成であってもよい。
【0029】
また、通風口33と通気部23のサイズ比や位置関係は特に限定されず、本実施形態と異なるものであってもよい。例えば、通気部23が通風口33より大きく、正面視において通気部23が通風口33の一部並びに遮光板隔離片34及び/または遮光板側面32の一部と重なる構成としてもよい。通風口33と通気部23のサイズ比にかかわらず、通風口33または通気部23の少なくとも一部は、正面視において一方が他方及び他方の周囲の壁面と重なる構成とすることが好ましい。
【0030】
また、防水性をさらに高めるために、通気部材2の内側に防水片25が設けられていることが好ましい。図5及び図7に示されていることから理解されるように、本実施形態の通気部材2の内側には、各側面部22に対して対向して配置され、通気部23から通気部材2の内側へ浸入した水がさらに通気部材2の中央側へ浸入することを抑制する2つの防水片25が設けられている。
【0031】
図7に示す例の防水片25は、横断面視形状が略V字状となるように形成された金属製の板材である。この例の防水片25は、後述するように側面部22を構成する部材の端部が折り曲げられて形成されたものである。防水片25は、側面部22と別部材であって通気部材2に対して溶接固定またはねじ等を用いて固定されるものであってもよいが、防水片25を側面部22と一体の部材とすれば、製造コストを低くし組立作業性を向上させることができるため好ましい。
【0032】
図7及び図8に示されることから理解されるように、実施形態の側面部22を構成する部材は1枚の金属板が横断面略コ字状に折り曲げ成形されたものであって、側面部22と、側面部22と直交する取付面26と、基端側が取付面26と略直交し側面部22と対向する防水片25とを備えている。この例の防水片25は、取付面26の端部から通気部材2の内側へ向かって形成されており、取付面26と接する方の端部が防水片25の基端部251となっている。防水片25は、基端部251から壁部21に近付く方向へ延び、壁部21に近い方の端部が先端部253となっている。先端部253と壁部21との間には通気可能な空隙が設けられている。また、実施形態の防水片25は、基端部251と先端部253との略中間部に折曲部252を有し、折曲部252を折り目として先端側が側面部22に近付く方向に折り曲げられている。
【0033】
遮光板3の外部から通風口33及び通気部23を通過して通気部材2の中に浸入した雨水等の液体は、防水片25に当たって流下し、通気部材2の中央側への浸入を阻まれる。このため、筐体10の内部への水の浸入を抑制することができる。図8に示されることから理解されるように、防水片25に当たった水は下方へ流れ落ち、通気部材2の底面212に形成された排水孔213から外部へ排出される。排水孔213は防水片25、25より外側(側面部22に近い側)の位置に形成されていることが好ましく、これにより防水片25より内側への水の浸入をさらに抑制できる。
【0034】
なお、図7に示されていることから理解されるように、横断面視において通風口33の左右方向の端部から通気部材2の内側へ向かって延ばした仮想線をL1、L2とすると、防水片25の基端部251が仮想線L2より図中右側に位置し、かつ、先端部253が仮想線L1よりも図中左側に位置することが好ましい。このとき、正面視では防水片25が通風口33の左右方向の両端部と重なっている。すなわち、少なくとも通風口33と防水片25とが正面視で重なる領域においては、通風口33の全体が防水片25によってカバーされる。これにより、水が遮光板側面32に略直交するように真横から吹き込んで勢いよく浸入した場合であっても、筐体10内部への水の浸入を抑制することができ、防水性能の高い電気電子機器収納用箱1とすることができる。
【0035】
また、図8に示されることから理解されるように、実施形態の防水片25は、上下方向において最上段の通気部23から最下段の通気部23までの全体を覆うことができる長さで形成されている。これにより、通気部23を通過した水をより効果的に遮断することができる。
【0036】
なお、本実施形態の通気部材2は、図8に示されることから理解されるように、壁部21を構成する部材と、側面部22を構成する一対の部材とがそれぞれ別の部材であって、これらが組み立てられて溶接固定されるものである。通気部材2の組み立てにおける固定方法は溶接に限定されず、また、全体が一体に成形されたものであってもよい。
【0037】
図8に示されることから理解されるように、実施形態の壁部21を構成する部材は1枚の金属板が縦断面略コ字状に折り曲げ成形されたものであって、矩形の壁部21と、壁部21の上辺と接する天面211と、壁部21の下辺と接する底面212とを備えている。天面211及び底面212の長手方向の両端部には、壁部21から離れる方向へ延びる突部214が形成されている。また、側面部22を構成する一対の部材には、取付面26の上端部及び下端部に突部214と係合する凹部である段差部221が形成されている。
【0038】
図9に示されることから理解されるように、通気部材2を組み立てる際は、突部214と段差部221とを係合させ、各部材を溶接して接合する。突部214及び段差部221を設けることにより、各部材の位置合わせが容易となるとともに溶接の強度を向上させることができる。また、実施形態の取付面26には、筐体10の被取付面に固定するための固定部27が設けられている。この例の固定部27はねじ孔であるが、通気部材2の筐体10への取付方法は、ねじを用いたものに限定されず任意の方法によることができる。
【0039】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、通気部材2及び遮光板3が、筐体10の側面12以外の面に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 電気電子機器収納用箱
10 筐体
12 側面
2 通気部材
2a 排気用部材
2b 吸気用部材
22 側面部
23 通気部
24 隔離片
25 防水片
3 遮光板
32 遮光板側面
33 通風口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9