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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014170
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/00 20060101AFI20240125BHJP
   A61F 13/42 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
G01N27/00 H
A61F13/42 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116803
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 伸匡
(72)【発明者】
【氏名】小野 靖博
【テーマコード(参考)】
2G060
3B200
【Fターム(参考)】
2G060AA15
2G060AC02
2G060AE11
2G060AF08
2G060AG06
2G060AG10
2G060AG15
2G060FA05
2G060HC16
2G060HD03
2G060KA05
3B200AA01
3B200DF04
(57)【要約】
【課題】使い捨てのおむつなどの吸収性物品における排尿等の体液を検知する仕組みへと適用されて、前記吸収性物品を使い捨てる際の無駄を低減させる。
【解決手段】一対の挟持片のうちの一方が、一対のコンタクト部材4a,4b各々の接触部41のそれぞれが別々に嵌まる一対の接触部用凹部511と、一対の接触部用凹部511どうしの間の仕切り52と、を有し、一対の挟持片が吸収性物品2を挟んで吸収性物品2へと着脱自在に取り付けられた状態で、トーションばね8の付勢力によって突起43が吸収性物品2に突き刺さり、一対のコンタクト部材4a,4bが、吸収性物品2に係止し、かつ、吸収性物品2の内層に設けられた一対の導電部材24a,24bと電気的に接続し、仕切り52のうちの少なくとも一部が、平面視において一対の導電部材24a,24bどうしの間24sに位置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側が開閉自在であるように相互に回動可能に連結された一対の挟持片と、
前記一対の挟持片を前記先端側が閉じる向きに付勢する付勢部材と、
前記一対の挟持片のうちの一方に前記一対の挟持片のうちの他方と対向するように備え付けられるとともに、前記一対の挟持片のうちの他方へと突出する突起が形成されている接触部を各々が有する一対のコンタクト部材と、を有し、
前記一対の挟持片のうちの一方が、前記一対のコンタクト部材各々の前記接触部のそれぞれが別々に嵌まる一対の接触部用凹部と、前記一対の接触部用凹部どうしの間の仕切りと、を有し、
前記一対の挟持片が吸収性物品を挟んで前記吸収性物品へと着脱自在に取り付けられた状態で、
前記付勢部材の付勢力によって前記突起が前記吸収性物品に突き刺さり、前記一対のコンタクト部材が、前記吸収性物品に係止し、かつ、前記吸収性物品の内層に設けられた一対の導電部材と電気的に接続し、
前記仕切りのうちの少なくとも一部が、平面視において前記一対の導電部材どうしの間に位置する、
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記一対の挟持片のうちの一方の、前記一対の挟持片のうちの他方の側と反対側の面と、前記一対の挟持片のうちの他方の、前記一対の挟持片のうちの一方の側と反対側の面と、のうちの少なくとも一方に、前記一対の挟持片の前記先端側が閉じた状態で平面視において前記仕切りの位置と重なる位置にリブが設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記一対のコンタクト部材のそれぞれが、前記接触部と連接するとともにコネクタハーネスの導体と電気的に接続する結節部を有し、
前記一対の挟持片のうちの一方が、前記一対の接触部用凹部のそれぞれと連通するとともに前記一対のコンタクト部材各々の前記結節部のそれぞれが別々に嵌まる一対の結節部用凹部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記コンタクト部材が1枚若しくは複数枚の金属板によって構成され、
前記突起は、前記金属板が切起し加工されて形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記突起が、前記コンタクト部材の幅側面視において直角三角形状に形成されている、
ことを特徴とする請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記突起が前記コンタクト部材の長手方向と幅方向とのうちの少なくとも一方向に沿って複数個並んで形成され、前記長手方向と幅方向とのうちの少なくとも一方向に沿って並ぶ複数の前記突起が、前記長手方向と幅方向とのうちの少なくとも一方向において隣り合う前記突起の垂直辺の位置が前記コンタクト部材の幅方向において反対となるように形成及び配置されている、
ことを特徴とする請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
一端が当該コネクタと電気的に接続するコネクタハーネスを介して発信機と電気的に接続され、
前記コネクタハーネスの他端は、前記発信機と着脱自在に電気的に接続する、
ことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨てのおむつなどにおける排尿等の体液を検知する仕組みへと組み込まれて好適なコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨てのおむつにおける、着用者の排尿等の体液をセンサーにより検知する従来の技術として、吸水性のよい布又は紙材よりなるテープ状の長方形のセンサー基布と、センサー基布に装着されたセンサー導線と、センサー導線に接続されセンサー基布に装着されたセンサー電極と、センサー導線の一端に接続されているコネクタと、を含むおむつの濡れ検知センサーが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-172426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の濡れ検知センサーでは、おむつに排尿等がされた場合にはおむつとともに漏れ検知センサーも使い捨てることを前提としており、排尿等とは接触しないように配置することも可能な特にコネクタ及びセンサー導線も使い捨てられることとなり、無駄が多い、という問題がある。
【0005】
そこで本発明は、1つの側面では、使い捨てのおむつなどの吸収性物品における排尿等の体液を検知する仕組みへと適用されて、前記吸収性物品を使い捨てる際の無駄を低減させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るコネクタは、先端側が開閉自在であるように相互に回動可能に連結された一対の挟持片と、前記一対の挟持片を前記先端側が閉じる向きに付勢する付勢部材と、前記一対の挟持片のうちの一方に前記一対の挟持片のうちの他方と対向するように備え付けられるとともに、前記一対の挟持片のうちの他方へと突出する突起が形成されている接触部を各々が有する一対のコンタクト部材と、を有し、前記一対の挟持片のうちの一方が、前記一対のコンタクト部材各々の前記接触部のそれぞれが別々に嵌まる一対の接触部用凹部と、前記一対の接触部用凹部どうしの間の仕切りと、を有し、前記一対の挟持片が吸収性物品を挟んで前記吸収性物品へと着脱自在に取り付けられた状態で、前記付勢部材の付勢力によって前記突起が前記吸収性物品に突き刺さり、前記一対のコンタクト部材が、前記吸収性物品に係止し、かつ、前記吸収性物品の内層に設けられた一対の導電部材と電気的に接続し、前記仕切りのうちの少なくとも一部が、平面視において前記一対の導電部材どうしの間に位置する、ことを特徴とする。
【0007】
本発明に係るコネクタは、前記一対の挟持片のうちの一方の、前記一対の挟持片のうちの他方の側と反対側の面と、前記一対の挟持片のうちの他方の、前記一対の挟持片のうちの一方の側と反対側の面と、のうちの少なくとも一方に、前記一対の挟持片の前記先端側が閉じた状態で平面視において前記仕切りの位置と重なる位置にリブが設けられている、ようにしてもよい。
【0008】
本発明に係るコネクタは、前記一対のコンタクト部材のそれぞれが、前記接触部と連接するとともにコネクタハーネスの導体と電気的に接続する結節部を有し、前記一対の挟持片のうちの一方が、前記一対の接触部用凹部のそれぞれと連通するとともに前記一対のコンタクト部材各々の前記結節部のそれぞれが別々に嵌まる一対の結節部用凹部を有する、ようにしてもよい。
【0009】
本発明に係るコネクタは、前記コンタクト部材が1枚若しくは複数枚の金属板によって構成され、前記突起は、前記金属板が切起し加工されて形成されている、ようにしてもよい。
【0010】
本発明に係るコネクタは、前記突起が、前記コンタクト部材の幅側面視において直角三角形状に形成されている、ようにしてもよい。
【0011】
本発明に係るコネクタは、前記突起が前記コンタクト部材の長手方向と幅方向とのうちの少なくとも一方向に沿って複数個並んで形成され、前記長手方向と幅方向とのうちの少なくとも一方向に沿って並ぶ複数の前記突起が、前記長手方向と幅方向とのうちの少なくとも一方向において隣り合う前記突起の垂直辺の位置が前記コンタクト部材の幅方向において反対となるように形成及び配置されている、ようにしてもよい。
【0012】
本発明に係るコネクタは、一端が当該コネクタと電気的に接続するコネクタハーネスを介して発信機と電気的に接続され、前記コネクタハーネスの他端は、前記発信機と着脱自在に電気的に接続する、ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、1つの側面では、使い捨てのおむつなどの吸収性物品における排尿等の体液を検知する仕組みへと適用されて、前記吸収性物品を使い捨てる際の無駄を低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態に係る体液の検知機構の全体構成の概略を模式的に示す図である。(A)は平面図である。(B)は長手側面図である。
図2図1の体液の検知機構の吸収性物品の長手方向における端部の構成を模式的に示す長手断面図である。
図3図2の吸収性物品のバックシートの表面における導電部の形成態様を模式的に示す平面図である。
図4図2の吸収性物品の長手方向における端部の構成を模式的に示す平面図である。
図5図1の体液の検知機構のコネクタであって本発明の実施の形態に係るコネクタの構成を示す図である。
図6図5のコネクタの外観を示す図である。
図7図5のコネクタのコンタクト部材の構造を示す図である。
図8図7のコンタクト部材の突起の形状の違いによる突起と吸収性物品との接触状態の違いを説明する図である。
図9図5のコネクタのボトムパーツの構造を示す図である。
図10図5のコネクタのトップパーツの構造を示す図である。
図11図2の吸収性物品の長手方向における端部にコネクタが取り付けられた状態を模式的に示す平面図である。
図12図2の吸収性物品の長手方向における端部に取り付けられた状態のコネクタを示す斜視図である。
図13図1の体液の検知機構のコネクタ及びコネクタハーネスと発信機との接続の構成の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。下記の実施の形態では、本発明に係るコネクタが図1に示す体液の検知機構1へと組み込まれている場合を例に挙げて説明する。なお、各図は、各構成部材の寸法の相互の大小関係や形状を規定するものではない。
【0016】
実施の形態の説明では、次のように定義する。吸収性物品2の着用とは、体液の吸収前後を問わず、吸収性物品2を身体(具体的には、下半身、下腹部)に装着した状態をいう。吸収性物品2は、衣服の内部で身体に装着するものであるが、少なくとも一部が外部に露出するように身体に装着してもよい。長手方向とは、吸収性物品2を着用したときに着用者の股間部を介して身体の前後に亘る方向であり、各図中のX軸方向である。幅方向とは、長手方向に対して直交する方向であり、各図中のY軸方向である。厚み方向とは、長手方向及び幅方向に対して直交する方向であって、各構成部材が積層される方向であり、各図中のZ軸方向である。平面とは、各図中のX軸及びY軸に沿うX-Y面である。長手側面とは、長手方向に沿う側面であり、各図中のX軸及びZ軸に沿うX-Z面である。長手断面とは、各図中のX軸及びZ軸に沿うX-Z断面である。幅側面とは、幅方向に沿う側面であり、各図中のY軸及びZ軸に沿うY-Z面である。肌側とは、吸収性物品2を着用したときに着用者の肌に当接する表面や肌を臨む表面の側であり、各図中のZ軸の矢印の向きの側である。非肌側とは、吸収性物品2を着用したときに着用者の衣服に接触する表面や衣服を臨む表面の側であり、各図中のZ軸の矢印の向きと反対の側である。体液とは、尿、血液、軟便中の水分などの体内から体外へと排出された液体をいう。
【0017】
(全体構成)
図1は、本発明に係るコネクタの具体的な構成態様の一例としての実施の形態に係るコネクタ3が組み込まれている体液の検知機構1の全体構成の概略を模式的に示す図である。
【0018】
実施の形態に係る体液の検知機構1は、体液を検知して前記体液の検知に関係するデータを外部端末へと送信するための仕組みであり、吸収性物品2と、コネクタ3と、発信機9と、を有する。コネクタ3と発信機9とはコネクタハーネス10を介して電気的に接続される。
【0019】
(吸収性物品)
図2は、吸収性物品2の長手方向における端部の構成を模式的に示す長手断面図である。図2では分かり易さを考慮して各構成部材を厚み方向において相互に離間させて図示しているが、各構成部材は厚み方向において基本的には相互に密接する。ただし、構成部材どうしの間に部分的に隙間を有するようにしてもよい。
【0020】
吸収性物品2は、ベビー用又は成人用を問わず吸収性を備える種々の物品として使用され、例えば、軽失禁パッド、尿吸収パッド、パンツ型紙おむつ、テープ止め紙おむつなどとして使用される。アウターとしての例えば紙おむつとインナーとしての吸収性物品2とが組み合わされてもよい。
【0021】
吸収性物品2は、この吸収性物品2を着用したときに相対的に着用者の肌側に位置して吸収性物品2の肌側の面を構成する液透過性の肌側面シート層21と、肌側面シート層21に対向して配置されて吸収性物品2を着用したときに相対的に着用者の肌側と反対側に位置して吸収性物品2の非肌側の面を構成する液不透過性のバックシート23と、肌側面シート層21とバックシート23との間に配設される吸収体22と、を有する。吸収性物品2は肌側面シート層21とバックシート23との間に吸収体22が挟まれている構造となり、体液は肌側面シート層21を通して吸収体22に吸収及び保持される。
【0022】
肌側面シート層21は、吸収体22へと向けて体液を速やかに通過させる液透過性のシート状部材であり、吸収体22を挟んで、バックシート23に対向して配置される。肌側面シート層21は、液透過性を有するものであれば、特定の構成や構造には限定されない。図に示す例では、肌側面シート層21は、肌側に露出するトップシート211と、非肌側のセカンドシート212と、を有する。トップシート211やセカンドシート212の平面視の形状は、特定の形状に限定されるものではなく、漏れがないように体液を吸収体22へと誘導するために必要とされる、吸収体22の肌側の面の一部又は全部を覆う形状であればよい。
【0023】
トップシート211用の基材やセカンドシート212用の基材は、液透過性を実現し得るものであれば、特定の材質には限定されない。
【0024】
トップシート211用の基材やセカンドシート212用の基材として、例えば、ポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)との複合繊維、又は、ポリエチレン(PE)とポリエステルとの複合繊維が用いられて公知の方法で加工することによって得られる不織布が挙げられる。
【0025】
上記における公知の方法として、例えば、エアスルー法、サーマルボンド法、スパンレース法、及びスパンボンド法などが挙げられる。
【0026】
吸収体22は、肌側面シート層21とバックシート23との間に配設され、体液を吸収及び保持する。吸収体22は、特定の構成や構造には限定されないものの、例えば、フラッフパルプと高吸収性ポリマーとを混合して形成される。吸収体22の平面視の形状は、特定の形状には限定されないものの、例えば、長方形状、砂時計状、I字状、長方形の4角が円弧状の角丸四角形状、楕円形状、滴形状などが挙げられる。
【0027】
バックシート23は、吸収体22が保持する体液が衣類を濡らしたり皮膚表面に付着したりしないようにするための、通気性又は非通気性の液不透過性のシート状部材である。バックシート23は、平面視において肌側面シート層21と概ね同様の形状及び大きさに形成され、吸収体22を挟んで、肌側面シート層21に対向して配置される。バックシート23用の基材は、液不透過性を実現し得るものであれば、特定の材質には限定されない。バックシート23用の基材として、例えば、ポリエチレン(PE)などの合成樹脂からなる樹脂フィルムが挙げられる。
【0028】
バックシート23の肌側の面に、各々が導電性を備える一対の導電部材24a,24bを有する導電部24が形成される(図3参照)。一対の導電部材24a,24bは、相互に接触したり交差したりしない態様で、したがって相互に非導通の態様で、設けられる。一対の導電部材24a,24bは、図に示す例では、バックシート23の幅方向の中央線を挟んで相互に離間して、各々が長手方向に沿って相互に平行に、また、バックシート23の長手方向の全長に亘って一定幅で連続する、平面視において一対の直線帯状に設けられる。
【0029】
導電部材24a,24bは、バックシート23の肌側の面に導電性インクが塗布されることによって形成される。導電性インクは、導電性粉体、ポリ塩化ビニル系樹脂などの固定材(「バインダ」などとも称される)、及び、粘度調整剤や分散材などの充填剤が所定の配合比(具体的には例えば、重量比)で配合され混練されて作成される。
【0030】
導電性粉体としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウムなどの導電性を備える金属粉、また、カーボン、黒鉛などの導電性を備える非金属粉が挙げられる。
【0031】
導電部材24a,24bを形成するための導電性インクの塗布の方法としては、例えば、スクリーン印刷、ダイレクトグラビア印刷、フレキソ印刷が挙げられる。
【0032】
ここで、吸収体22やバックシート23は導電性が低い。したがって、吸収体22やバックシート23が乾燥した状態であれば、一対の導電部材24a,24bの間は非導通の状態であり、電流が流れにくい。これに対し、平面視において一対の導電部材24a,24bに跨るように、あるいは、導電部材24a,24bどうしを少なくとも一部において繋げるように、体液が吸収体22やバックシート23へと浸入/浸透すると、一対の導電部材24a,24bにおける電流の流れ易さ(言い換えると、一対の導電部材24a,24bの間における通電の程度)に変化が発生する。すなわち、体液が浸入/浸透して吸収体22やバックシート23が湿潤状態になると、一対の導電部材24a,24bの間が導通状態となり、体液が浸入/浸透していない場合と比べて、一対の導電部材24a,24bに電流が流れ易くなる。
【0033】
バックシート23及び導電部24の肌側の面に接着層25が形成される。図に示す例では、接着層25は、バックシート23及び導電部24の肌側の面に霧状に塗布するスプレー塗布によって形成される第1の接着剤層251と、この第1の接着剤層251の表面にスパイラル線状に塗布するスパイラル塗布によって形成される第2の接着剤層252と、を有する。第1の接着剤層251や第2の接着剤層252は、例えば、ゴム系のホットメルト接着剤が用いられて形成される。
【0034】
バックシート23の肌側の面に、一対の導電部材24a,24bが形成されたうえで、接着層25により、吸収体22が接合固定され、さらに、肌側面シート層21が取り付けられる。これにより、肌側面シート層21とバックシート23との間に吸収体22が保持されて吸収性物品2が形成される。
【0035】
吸収性物品2の長手方向における両端部各々の、肌側面シート層21、接着層25、導電部24、及びバックシート23が積層している部分それぞれに圧着域26が形成される(図4参照)。圧着域26は、体液の漏れ防止のために、ローレットパタンで熱エンボス加工することにより、シール部として形成される。圧着域26は、例えば、0.1mm程度の厚みに形成される。ただし、吸収性物品2の端部に圧着域26が形成されることはこの発明において必須の構成ではなく、圧着域26が形成されないようにしてもよい。
【0036】
(コネクタ)
図5は、実施の形態に係る体液の検知機構1のコネクタ3であって本発明の実施の形態に係るコネクタ3の構成を示す図である。図6は、実施の形態に係るコネクタ3の外観を示す図である。
【0037】
実施の形態に係るコネクタ3は、先端側が開閉自在であるように相互に回動可能に連結された一対の挟持片と、一対の挟持片を先端側が閉じる向きに付勢する付勢部材としてのトーションばね8と、一対の挟持片のうちの一方に一対の挟持片のうちの他方と対向するように備え付けられるとともに、一対の挟持片のうちの他方へと突出する突起43が形成されている接触部41を各々が有する一対のコンタクト部材4a,4bと、を有し、一対の挟持片のうちの一方が、一対のコンタクト部材4a,4b各々の接触部41のそれぞれが別々に嵌まる一対の接触部用凹部511と、一対の接触部用凹部511どうしの間の仕切り52と、を有し、一対の挟持片が吸収性物品2を挟んで吸収性物品2へと着脱自在に取り付けられた状態で、トーションばね8の付勢力によって突起43が吸収性物品2に突き刺さり、一対のコンタクト部材4a,4bが、吸収性物品2に係止し、かつ、吸収性物品2の内層に設けられた一対の導電部材24a,24bと電気的に接続し、仕切り52のうちの少なくとも一部が、平面視において一対の導電部材24a,24bどうしの間24sに位置する、ようにしている。
【0038】
この実施の形態では、一対の挟持片のうちの一方のことを「ボトムパーツ5」と称し、一対の挟持片のうちの他方のことを「トップパーツ6」と称する。
【0039】
コネクタ3は、吸収性物品2の長手方向における端部(図に示す例では具体的には、圧着域26)へと着脱自在に取り付けられて、コネクタハーネス10を介して、吸収性物品2の導電部24と発信機9とを電気的に接続させるための仕組みである。コネクタ3は、吸収性物品2の長手方向における両端部それぞれに形成される圧着域26のうち、着用者の身体(具体的には、下半身、下腹部)に装着された状態で、着用者の前側/腹側に位置する圧着域26へと取り付けられるようにしてもよく、或いは、着用者の後側/背側に位置する圧着域26へと取り付けられるようにしてもよい。
【0040】
コネクタ3の外寸は特定の範囲には限定されないものの、例えば、平面視において1辺が15mm以上20mm以下の概ね矩形状で厚みが6mm以上8mm以下にコネクタ3が形成されることにより、コネクタ3が吸収性物品2へと取り付けられている時に着用者が感じる違和感が十分に低減するとともに、取り付けや取り外しの際のコネクタ3の指先での操作性が確保される。
【0041】
コネクタ3は、吸収性物品2の圧着域26へと取り付けられる側(「先端側」と称する)が開閉自在であるように相互に回動可能に連結されるボトムパーツ5及びトップパーツ6と、これらボトムパーツ5とトップパーツ6との間に介在するヒンジピン7及びトーションばね8と、ボトムパーツ5に備え付けられるコンタクト部4と、を有する。
【0042】
コンタクト部4は、一対のコンタクト部材4a,4bを有する。各コンタクト部材4a,4bは、導電性を備える金属製パーツとして形成され、吸収性物品2の導電部24と電気的に接続する接触部41と、接触部41とコネクタハーネス10とを電気的に接続する結節部42と、を有する。各コンタクト部材4a,4bは、リン青銅、コルソン銅、真鍮などにより形成されることが好ましい。
【0043】
各コンタクト部材4a,4bは、それぞれ、導電性を備える1枚の薄い金属板/金属片が用いられて突起43を含む部材として形成され、例えば、1枚のリン青銅製の金属板/金属片が用いられて形成される。なお、各コンタクト部材4a,4bは、それぞれ、複数枚の薄い金属板/金属片が用いられて形成されるようにしてもよい。
【0044】
コンタクト部材4a,4bが形成される際に用いられる金属板/金属片の厚みは、特定の値には限定されないものの、例えば0.12mm以上0.18mm以下の範囲のいずれかの値としてもよく、発明者の知見によると0.15mm程度とすることが好ましい。リン青銅製の厚みが0.12mm以上0.18mm以下の範囲の金属板/金属片が用いられてコンタクト部材4a,4bが形成されることにより、良好な導電性が確保され、また、突起43の後述する形態と相まって、突起43が吸収性物品2の構成部材(図に示す例では、肌側面シート層21、接着層25、導電部24、及びバックシート23が積層している圧着域26)を貫通可能な強度が確保されるとともに高い耐久性が確保される。
【0045】
接触部41には、複数の突起43が形成される。複数の突起43は、接触部41を構成する金属板/金属片の複数箇所を切曲げて前記金属板/金属片の板面に対して切り曲げた部分を垂直に若しくは概ね垂直に突出させる切起し加工によって形成される(図7参照)。接触部41を構成する金属板/金属片のうち、切り起こされた複数の突起43以外の部分を「板面部44」と称する。
【0046】
各突起43の形態は、特定の形状や大きさに限定されるものではなく、接触部41が吸収性物品2(具体的には、圧着域26)へと押し付けられた際に突起43が良好な係止力を発揮し得ることが考慮されるなどしたうえで、適当な形状や大きさに適宜設定される。
【0047】
図7に示すコンタクト部材4a,4bの形態は、好ましい形態の1つとして発明者によって特定されたものである。
【0048】
接触部41は、平面視において、特定の寸法や形状には限定されないものの、長手方向の寸法Lが8mm以上10mm以下で幅方向の寸法Wが5.2mm以上6.4mm以下の長方形の4角が円弧状の角丸四角形状が好ましく、長手方向の寸法Lが9mm程度で幅方向の寸法Wが5.8mm程度の長方形の4角が円弧状の角丸四角形状が一層好ましい。
【0049】
突起43は、接触部41を構成する金属板/金属片から切り起こされて形成され、幅側面視において直角三角形状が好ましい。図7(A)に、接触部41を構成する金属板/金属片から切り起こされて形成される突起43の幅側面視における形状を、この突起43が切り起こされることによって板面部44に形成される孔45の形状と対応させて示す。
【0050】
幅側面視において直角三角形をなす突起43の辺のうち、板面部44と連接する辺(「底辺431」と称する)の長さは、特定の値には限定されないものの、0.8mm以上1.2mm以下が好ましく、1.0mm程度が一層好ましい。底辺431と直角をなす辺(「垂直辺432」と称する)の長さは、吸収性物品2(具体的には、圧着域26)への接触部41の接触安定性、取付け安定性の向上を図る観点からは長いことが好ましく、0.9mm以上が好ましく、1.1mm以上が一層好ましい。
【0051】
底辺431よりも垂直辺432を長くすることにより、垂直辺432と斜辺433(即ち、底辺431の一端と垂直辺432の一端とを結ぶ辺)とがなす、突起43の先端の角の角度θが45°未満であることが好ましい。
【0052】
突起43は、長手方向に沿って複数個が並んで、また、前記の複数個の並びの列が幅方向において複数並んで、形成される。図に示す例では、接触部41の幅方向の中央線上に長手方向に沿って相互に離間して3個の突起43が並んで形成されるとともに、これら中央線上の3個の突起43の並びの列の幅方向における両側それぞれに、長手方向に沿って相互に離間して4個の突起43が並んで形成される。
【0053】
接触部41における突起43の個数や密度(即ち、単位面積当たりの突起43の個数)は、特定の値には限定されないものの、吸収性物品2(具体的には、圧着域26)への接触部41の接触安定性、取付け安定性の向上を図る観点からは、接触部41と吸収性物品2との接点数は多いことが好ましく、突起43の個数は多い方がよい。発明者の知見によると、突起43の底辺431の長さが0.8mm以上1.2mm以下であるとともに垂直辺432の長さが0.9mm以上1.3mm以下である場合、接触部41における突起43の密度は、「11個/(10mm×6.4mm)」以上が好ましく、「11個/(9mm×5.8mm)」が一層好ましい。
【0054】
長手方向に沿って並ぶ複数の突起43は、長手方向において隣り合う突起43の垂直辺432の位置が幅方向において反対(言い換えると、互い違い)となるように形成されることが好ましい。この場合、各突起43が垂直に若しくは概ね垂直に突出するように形成されることにより、長手方向に働く力に対して各突起43の幅側面が引っ掛かりとなって良好な係止力が発揮されることに加えて、長手方向において隣り合う突起43の垂直辺432の位置が幅方向において反対(互い違い)となるように複数の突起43が形成されることにより、幅方向に働く力に対して各突起43の互い違いの垂直辺432が引っ掛かりとなって良好な係止力が発揮される。
【0055】
また、突起43が底辺431と直角をなす垂直辺432を有することにより、吸収性物品2(具体的には、圧着域26)の位置がずれても突起43と吸収性物品2との接触状態が維持される。すなわち、図8(A)に示すように、突起が垂直辺を有しない(具体的には、幅側面視において二等辺三角形状である)場合は、吸収性物品2の位置がずれると、突起の幅方向における両側において、突起と吸収性物品2との間に隙間が生じ、突起と吸収性物品2との物理的及び電気的接触が無くなる。このため、少なくとも、幅方向に働く力に対する電気的接触及び係止力が失われる。これに対し、同図(B)に示すように、突起43が垂直辺432を有する場合は、吸収性物品2の位置がずれても、突起の幅方向における一方の側において、突起43と吸収性物品2との間に隙間が生じることがなく、突起43と吸収性物品2との物理的及び電気的接触状態が維持される。このため、少なくとも、幅方向に働く力に対して突起43の垂直辺432が引っ掛かりとなって電気的接触及び係止力が維持される。
【0056】
なお、図に示す例では、コンタクト部材4a,4bの長手方向に沿って並ぶ複数の突起43について、長手方向において隣り合う突起43の垂直辺432の位置が幅方向において反対(言い換えると、互い違い)となるように形成されるようにしているが、この態様に限られるものではなく、突起43がコンタクト部材4a,4bの幅方向に沿って複数個並んで形成され、幅方向に沿って並ぶ複数の突起43について、幅方向において隣り合う突起43の垂直辺432の位置がコンタクト部材4a,4bの幅方向において反対となるように形成及び配置されるようにしてもよい。また、突起43がコンタクト部材4a,4bの長手方向及び幅方向に沿って複数個並んで形成され、長手方向及び幅方向に沿って並ぶ複数の突起43について、長手方向において隣り合う突起43の垂直辺432の位置がコンタクト部材4a,4bの幅方向において反対となり、且つ/又は、幅方向において隣り合う突起43の垂直辺432の位置がコンタクト部材4a,4bの幅方向において反対となるように形成及び配置されるようにしてもよい。
【0057】
結節部42は、接触部41と連接して形成され、コネクタハーネス10の導体の外周面に接触して前記導体と電気的に接続する。結節部42により、接触部41とコネクタハーネス10の導体とが電気的に接続する。
【0058】
ボトムパーツ5は、非導電性を備えるパーツとして形成され、コンタクト部4を保持する。ボトムパーツ5の材質は、非導電性を実現し得るものであれば、特定の種類には限定されない。ボトムパーツ5の材質として、例えば、非導電性の、ABS樹脂などの合成樹脂が挙げられる。
【0059】
ボトムパーツ5は、肌側の面に一対のコンタクト部材4a,4bのそれぞれが別々に嵌まる一対の凹部51を有する(図9参照)。一対の凹部51のそれぞれは、コンタクト部材4a,4bの接触部41が嵌まる接触部用凹部511と、接触部用凹部511と連通するとともにコンタクト部材4a,4bの結節部42が嵌まる結節部用凹部512と、を有する。ボトムパーツ5は、すなわち、一対の接触部用凹部511と、一対の結節部用凹部512と、を有する。
【0060】
コンタクト部材4a,4bの接触部41の平面視における周端面と接触部用凹部511の周壁面とが接触嵌合することにより、コンタクト部材4a,4bが凹部51に保持される。
【0061】
コンタクト部4の一対のコンタクト部材4a,4bは、ボトムパーツ5の一対の凹部51に別々に嵌まることにより、相互の非接触状態が確保された状態で、延いては相互の非導通状態が確保された状態で、ボトムパーツ5に保持される。
【0062】
一対の接触部用凹部511どうしの間に仕切り52が設けられ、この仕切り52により、一対のコンタクト部材4a,4bの接触部41の相互の非導通状態が確実に確保される。仕切り52のうちの少なくとも一部は、コネクタ3が吸収性物品2へと取り付けられている状態で、平面視においてバックシート23の一対の導電部材24a,24bどうしの間24sに位置する。
【0063】
ボトムパーツ5の肌側の面の、接触部用凹部511と隣接する、結節部用凹部512側の位置に、軸心が幅方向に沿って配設されるヒンジピン7を支持する軸支部53が設けられる。軸支部53は、一対の結節部用凹部512の各々の、幅方向における両側それぞれに設けられ、幅方向に沿って合計4個並んで設けられる。軸支部53には、ヒンジピン7を貫通させて支持するために、幅方向に沿って貫通する貫通孔531が形成される。
【0064】
ボトムパーツ5のうち、幅方向に沿って並ぶ軸支部53の並びの列を境界として、接触部用凹部511が形成されている側を「先端部54」と称し、結節部用凹部512が形成されている側を「基端部55」と称する。
【0065】
ボトムパーツ5の非肌側の面に、長手方向に沿うリブが形成される。図に示す例では、3つのリブが形成され、具体的には、平面視において、ボトムパーツ5の幅方向において相互に離間して、各々が長手方向に沿って相互に平行の態様で、中央リブ56aと、中央リブ56aを挟んで幅方向における両側それぞれに側方リブ56bと、が形成されている。これら中央リブ56aおよび側方リブ56bはボトムパーツ5の強度を向上させる働きをし、さらに、中央リブ56aは仕切り52をバックシート23の一対の導電部材24a,24bどうしの間24sに位置させる際の目印として機能する。このため、中央リブ56aは、コネクタ3の先端側が閉じた状態で平面視において仕切り52と重なる位置に形成される。ボトムパーツ5の非肌側の面に形成されるリブは少なくとも1つ形成されればよく、そのうちの1つが、コネクタ3の先端側が閉じた状態で平面視において仕切り52と重なる位置に形成されればよい。
【0066】
トップパーツ6は、非導電性を備えるパーツとして形成され、ヒンジピン7を介してボトムパーツ5に対して回動可能に連結される。トップパーツ6の材質は、非導電性を実現し得るものであれば、特定の種類には限定されない。トップパーツ6の材質として、例えば、ボトムパーツ5と同様に、非導電性の、ABS樹脂などの合成樹脂が挙げられる。ボトムパーツ5の材質とトップパーツ6の材質とは、同種であってもよいし、異種であってもよい。
【0067】
トップパーツ6は、平面視においてボトムパーツ5と概ね同様の形状及び大きさに形成され、ボトムパーツ5の先端部54と平面視において重なる押圧部61と、ボトムパーツ5の基端部55と平面視において重なる操作部62と、を有する(図10参照)。トップパーツ6の押圧部61と操作部62とは、屈曲部を介して、長手側面視においてく字形に屈曲して連接する。
【0068】
ボトムパーツ5に結節部用凹部512が形成されてコンタクト部材4a,4bの結節部42が前記結節部用凹部512へと嵌まることにより、トップパーツ6がボトムパーツ5に対して回動する際にコンタクト部材4a,4bの結節部42が障害物とならないので、トップパーツ6の操作部62が移動する空間が十分に確保され、ボトムパーツ5に対するトップパーツ6の回動範囲が十分に確保される。また、コンタクト部材4a,4bの結節部42の長手方向における寸法がボトムパーツ5の結節部用凹部512の長手方向における寸法と同じ若しくは略同じに設定されることにより、コネクタハーネス10が結節部用凹部512から浮き上がることがなく、トップパーツ6がボトムパーツ5に対して回動する際にコネクタハーネス10が障害物とならないので、トップパーツ6の操作部62が移動する空間が十分に確保され、ボトムパーツ5に対するトップパーツ6の回動範囲が十分に確保される。
【0069】
トップパーツ6の非肌側の面の、ボトムパーツ5の先端部54とトップパーツ6の押圧部61とが閉じた状態でコンタクト部材4a,4bの複数の突起43が形成されている位置と平面視において重なる位置のそれぞれに、突起43のうちの少なくとも先端部分が入り込むための穴611が形成されている。
【0070】
トップパーツ6の非肌側の面の、押圧部61と操作部62とが連接する屈曲部の位置に、軸心が幅方向に沿って配設されるヒンジピン7を保持する軸保持部63が設けられる。軸保持部63は、ボトムパーツ5の一対の結節部用凹部512と厚み方向で重なる位置のそれぞれに、また、結節部用凹部512を挟んで設けられる軸支部53どうしの間に入り込むように、設けられる。軸保持部63には、ヒンジピン7を貫通させて保持するために、幅方向に沿って貫通する貫通孔631が形成される。
【0071】
トップパーツ6の軸保持部63は、ボトムパーツ5の一対の結節部用凹部512と厚み方向で重なる位置のそれぞれに設けられることにより、結節部用凹部512へと嵌められるコンタクト部材4a,4bの結節部42が浮いて外れないように止め押さえるストッパーとしても機能する。
【0072】
トップパーツ6の肌側の面に、長手方向に沿うリブが形成される。図に示す例では、3つのリブが形成され、具体的には、平面視において、トップパーツ6の幅方向において相互に離間して、各々が長手方向に沿って相互に平行の態様で、中央リブ64aと、中央リブ64aを挟んで幅方向における両側それぞれに側方リブ64bと、が形成されている。これら中央リブ64aおよび側方リブ64bはトップパーツ6の強度を向上させる働きをし、さらに、中央リブ64aはボトムパーツ5の仕切り52をバックシート23の一対の導電部材24a,24bどうしの間24sに位置させる際の目印として機能する。このため、中央リブ64aは、コネクタ3の先端側が閉じた状態で平面視においてボトムパーツ5の仕切り52と重なる位置に形成される。トップパーツ6の肌側の面に形成されるリブは少なくとも1つ形成されればよく、そのうちの1つが、コネクタ3の先端側が閉じた状態で平面視においてボトムパーツ5の仕切り52と重なる位置に形成されればよい。なお、ボトムパーツ5の非肌側の面に形成される、平面視において仕切り52と重なる位置のリブ(中央リブ56a)と、トップパーツ6の肌側の面に形成される、平面視において仕切り52と重なる位置のリブ(中央リブ64a)と、のうちのどちらか一方のみが形成されるようにしてもよい。
【0073】
ヒンジピン7は、軸心が幅方向に沿って配設され、ボトムパーツ5の結節部用凹部512を挟んで設けられる軸支部53どうしの間にトップパーツ6の軸保持部63が入り込んだ状態で、これら軸支部53及び軸保持部63を貫通する。ヒンジピン7は、このヒンジピン7の軸心を回動中心としてトップパーツ6がボトムパーツ5に対して周方向に回動可能であるように、これらボトムパーツ5とトップパーツ6とを連結する。
【0074】
トーションばね8は、コイル巻きの部分にヒンジピン7を貫通させて、ボトムパーツ5とトップパーツ6との間に介在して設けられる。トーションばね8は、ヒンジピン7を介して、ボトムパーツ5とトップパーツ6との先端側が閉じるように、すなわちトップパーツ6の押圧部61がボトムパーツ5の先端部54へと押し付けられように、トップパーツ6の操作部62をボトムパーツ5の基端部55から引き離す向きに付勢する。
【0075】
上記の構成により、コネクタ3のトップパーツ6の操作部62とボトムパーツ5の基端部55とが指で摘ままれて操作部62が基端部55へと向けて押圧されると、トップパーツ6がヒンジピン7を介してボトムパーツ5に対して回動し、トップパーツ6の押圧部61とボトムパーツ5の先端部54とが相互に離間してコネクタ3の先端側が開く。その状態でトップパーツ6の押圧部61とボトムパーツ5の先端部54との間に吸収性物品2の長手方向における端部(図に示す例では具体的には、圧着域26)を位置させたうえで、操作部62の押圧が解除されると、操作部62がトーションばね8の付勢力によって基端部55から引き離され、ヒンジピン7を介してコネクタ3の先端側が閉じてトップパーツ6の押圧部61がボトムパーツ5の先端部54へと押し付けられる。なお、図に示す例ではボトムパーツ5が非肌側でトップパーツ6が肌側になるようにしてコネクタ3が吸収性物品2へと取り付けられるようにしているが、ボトムパーツ5が肌側でトップパーツ6が非肌側になるようにしてコネクタ3が吸収性物品2へと取り付けられるようにしてもよい。
【0076】
コネクタ3が吸収性物品2へと取り付けられる際に、ボトムパーツ5の仕切り52のうちの少なくとも一部を平面視においてバックシート23の一対の導電部材24a,24bどうしの間24sに位置させるように調整するための位置合わせとして、ボトムパーツ5の非肌側の面に形成される中央リブ56aやトップパーツ6の肌側の面に形成される中央リブ64aが用いられる。なお、吸収性物品2の肌側面シート層21やバックシート23の表面に、一対の導電部材24a,24bどうしの間24sの位置を示す目印(言い換えると、中央リブ56a,64aの位置を合わせる目印)が設けられるようにしてもよい。
【0077】
コネクタ3の先端側が閉じてトップパーツ6の押圧部61がボトムパーツ5の先端部54へと押し付けられることにより、吸収性物品2の圧着域26が押圧部61と先端部54に備え付けられている一対のコンタクト部材4a,4bとによって挟持され(図11図12参照)、圧着域26へとコンタクト部材4a,4bの突起43が突き刺さる。突起43が圧着域26部分の内層の導電部材24a,24bへと到達し貫通することにより、コンタクト部4が圧着域26に係止してコネクタ3が吸収性物品2へと着脱自在に取り付けられ、加えて、コンタクト部材4a,4bと導電部材24a,24bとが電気的に接続してコンタクト部4と導電部24とが導通状態となる。
【0078】
コネクタ3が吸収性物品2へと取り付けられている状態で、トップパーツ6の中央リブ64aが、また、ボトムパーツ5の仕切り52のうちの少なくとも一部が、平面視においてバックシート23の一対の導電部材24a,24bどうしの間24sに位置し、これにより、コンタクト部4の一対のコンタクト部材4a,4bは、各々が、吸収性物品2の一対の導電部材24a,24bのうちの一方のみと電気的に接続する。すなわち、一対のコンタクト部材4a,4bのうちの一方のコンタクト部材4aは一対の導電部材24a,24bのうちの一方の導電部材24aのみと電気的に接続し、また、他方のコンタクト部材4bは他方の導電部材24bのみと電気的に接続する。
【0079】
(発信機)
発信機9は、吸収性物品2における体液を検知するとともに前記体液の検知に関係するデータを外部端末へと送信するための機序であり、電源、計測部、及び通信部(いずれも図示省略)を有する。発信機9は、吸収性物品2の着用者の衣服に装着されて使用される。
【0080】
電源は、例えば電池によって構成され、コネクタ3及びコネクタハーネス10を介して吸収性物品2の一対の導電部材24a,24bのそれぞれに正極または負極が電気的に接続される。
【0081】
計測部は、一対の導電部材24a,24bにおける電流の流れ易さ(言い換えると、一対の導電部材24a,24bの間における通電の程度)を計測する。計測部は、例えば、テスターが用いられて構成されてもよく、また、テスターと同等の機能を備える機序として構成されてもよい。
【0082】
計測部は、例えば、一対の導電部材24a,24bのうち一方を正極とするとともに他方を負極として微弱な電流を供給し、これら一対の導電部材24a,24bにおける電流の流れ易さを所定の時間間隔で計測して、前記電流の流れ易さを表す指標を出力する。計測部は、電流の流れ易さを表す指標として、例えば、電流値、電圧値、インピーダンスを出力する。
【0083】
通信部は、計測部から出力される電流の流れ易さを表す指標を、吸収性物品2における体液の検知に関係するデータとして、外部端末へと送信する。外部端末は、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末などの携帯情報端末でもよく、パーソナルコンピューターなどの固定端末でもよく、あるいは、サーバでもよい。通信部と外部端末とは、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット、無線通信網などを介して相互に通信可能に接続される。
【0084】
ここで、コネクタ3は、繰り返し使用されることによって破損することも想定される。そして、コネクタ3、コネクタハーネス10、及び発信機9が固定的に一体化されて不可分の構成であると、コネクタ3が破損した場合、発信機9も使えなくなってしまう。そこで、コネクタハーネス10と発信機9とが着脱自在であるように構成されるようにしてもよい。具体的には例えば、コネクタハーネス10の、コネクタ3とは反対側の端に差込みコネクタ101が設けられるとともに、発信機9に差込みコネクタ101と着脱自在に電気的に接続可能なコネクタ受け口91が設けられる(図13参照)。これにより、コネクタ3が破損したときは、破損したコネクタ3及びコネクタハーネス10を発信機9から取り外し、新しいコネクタ3及びコネクタハーネス10と交換して発信機9は使用し続けることが可能となる。
【0085】
(作用効果)
実施の形態に係るコネクタ3によれば、一対の挟持片のうちの一方が、一対のコンタクト部材4a,4b各々の接触部41のそれぞれが別々に嵌まる一対の接触部用凹部511と、一対の接触部用凹部511どうしの間の仕切り52と、を有し、一対の挟持片が吸収性物品2を挟んで吸収性物品2へと着脱自在に取り付けられた状態で、トーションばね8の付勢力によって突起43が吸収性物品2に突き刺さり、一対のコンタクト部材4a,4bが、吸収性物品2に係止し、かつ、吸収性物品2の内層に設けられた一対の導電部材24a,24bと電気的に接続するようにしているので、簡易な操作でコネクタ3を吸収性物品2へと取り付けたり吸収性物品2から取り外したりすることができ、延いては簡易な操作でコネクタ3を吸収性物品2から取り外して吸収性物品2のみを使い捨ててコネクタ3は繰り返し使用することができ、使い捨てのおむつなどの吸収性物品2における体液を検知する仕組みである体液の検知機構1へと適用されて、吸収性物品2を使い捨てる際の無駄を低減させることが可能となる。加えて、仕切り52のうちの少なくとも一部が平面視において一対の導電部材24a,24bどうしの間24sに位置するようにしているので、コンタクト部4の一対のコンタクト部材4a,4bを、各々、吸収性物品2の一対の導電部材24a,24bのうちの一方のみと電気的に接続させることが可能となる。
【0086】
実施の形態に係るコネクタ3によれば、また、コンタクト部4のコンタクト部材4a,4bが、1枚の金属板によって構成され、前記金属板が切起し加工されて形成された突起43を有し、ボトムパーツ5とトップパーツ6とが吸収性物品2を挟んで吸収性物品2へと着脱自在に取り付けられた状態でトーションばね8の付勢力によって突起43が吸収性物品2に突き刺さり、コンタクト部材4a,4bが、吸収性物品2に係止し、かつ、吸収性物品2の内層に設けられた導電部材24a,24bと電気的に接続するようにしているので、簡易な操作でコネクタ3を吸収性物品2へと取り付けたり吸収性物品2から取り外したりすることができ、延いては簡易な操作でコネクタ3を吸収性物品2から取り外して吸収性物品2のみを使い捨ててコネクタ3は繰り返し使用することができ、使い捨てのおむつなどの吸収性物品2における体液を検知する仕組みである体液の検知機構1へと適用されて、吸収性物品2を使い捨てる際の無駄を低減させることが可能となる。
【0087】
実施の形態に係るコネクタ3によれば、また、コネクタ3は、1組の樹脂パーツ(ボトムパーツ5及びトップパーツ6)、一対の金属製パーツ(一対のコンタクト部材4a,4b)、ヒンジピン7、並びにトーションばね8を組み合わせたシンプルな構造であり、複雑な機構を含んでいないので、高耐久性とともに低コスト化を実現することが可能となる。
【0088】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成態様は上記の実施の形態に限定されるものではなく、上記の実施の形態に、本発明の要旨を逸脱しない範囲の変形や変更などが加えられた形態も本発明に含まれる。
【0089】
例えば、上記の実施の形態ではコネクタ3が図1に示す体液の検知機構1へと組み込まれるようにしているが、本発明に係るコネクタが組み込まれる仕組みは図1に示す体液の検知機構1に限定されるものではなく、本発明に係るコネクタは、例えば、液体の吸収性・保持性を備えて人や動物に着用される物品における液体を検知する種々の仕組みに組み込まれるようにしてもよい。すなわち、例えば、本発明に係るコネクタが着脱自在に取り付けられる吸収性物品は上記の実施の形態における吸収性物品2に限定されるものではなく、また、本発明に係るコネクタがコネクタハーネス10を介して電気的に接続する機序も上記の実施の形態における発信機9には限定されない。
【符号の説明】
【0090】
1 体液の検知機構
2 吸収性物品
21 肌側面シート層
22 吸収体
23 バックシート
24 導電部
24a 導電部材
24b 導電部材
24s 一対の導電部材どうしの間
25 接着層
26 圧着域
3 コネクタ
4 コンタクト部
4a コンタクト部材
4b コンタクト部材
41 接触部
42 結節部
43 突起
431 底辺
432 垂直辺
433 斜辺
44 板面部
45 孔
5 ボトムパーツ(一対の挟持片のうちの一方)
51 凹部
511 接触部用凹部
512 結節部用凹部
52 仕切り
53 軸支部
531 貫通孔
54 先端部
55 基端部
56a 中央リブ
56b 側方リブ
6 トップパーツ(一対の挟持片のうちの他方)
61 押圧部
611 穴
62 操作部
63 軸保持部
631 貫通孔
64a 中央リブ
64b 側方リブ
7 ヒンジピン
8 トーションばね(付勢部材)
9 発信機
91 コネクタ受け口
10 コネクタハーネス
101 差込みコネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13