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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141704
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】携帯電話端末
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/02 20060101AFI20241003BHJP
   G01N 33/98 20060101ALI20241003BHJP
   H04M 1/72 20210101ALI20241003BHJP
【FI】
H04M1/02 C
G01N33/98
H04M1/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053496
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】521549741
【氏名又は名称】SEIKOIST株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】朱 暁東
(72)【発明者】
【氏名】羅 振科
【テーマコード(参考)】
2G045
5K023
5K127
【Fターム(参考)】
2G045AA40
2G045CB22
2G045DA74
5K023AA07
5K023DD06
5K023EE05
5K023MM22
5K127AA36
5K127BA03
5K127GD21
(57)【要約】
【課題】サイズの拡大を抑制しつつ、薄型化を図ることができる、アルコール検知が可能な携帯電話端末を提供する。
【解決手段】携帯電話端末1は、呼気中のアルコール濃度を検出するアルコール検知部9と、厚さ方向(z方向)に互いに対向する第1および第2の面(2、3)と、第1および第2の面の互いの対向する辺部に隣接し厚さ方向に平行な側面4aと、を有する。アルコール検知部9は、側面4aから第2の面(3)に貫通した呼気流路9cと、呼気流路内に設けられたアルコールセンサー9dと、呼気流路内に設けられたマイクロフォン9eと、を有する。アルコールセンサー9dとマイクロフォン9eとが厚さ方向と直交する第1の方向(y方向)に隣接して配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼気中のアルコール濃度を検出するアルコール検知部と、
厚さ方向に互いに対向する第1および第2の面と、
前記第1および第2の面の互いの対向する辺部に隣接し前記厚さ方向に平行な側面と、を有し、
前記アルコール検知部は、
前記側面から前記第2の面に貫通した呼気流路と、
前記呼気流路内に設けられたアルコールセンサーと、
前記呼気流路内に設けられたマイクロフォンと、を有し、
前記アルコールセンサーと前記マイクロフォンとが前記厚さ方向と直交する第1の方向に隣接して配置されている、携帯電話端末。
【請求項2】
前記呼気流路は、前記側面に開口した吹掛け口と、前記第2の面に開口した吹抜け口と、を有する、請求項1に記載の携帯電話端末。
【請求項3】
前記アルコール検知部は、前記アルコールセンサーと前記マイクロフォンと前記マイクロフォンを支持する支持基板とを収容した収容部材を備え、
前記収容部材は、前記吹掛け口に連通する第1の開口部と、前記吹抜け口に連通する第2の開口部と、を有し、
前記支持基板は、前記第1の開口部に隣接して設けられ、前記吹掛け口から前記第1の開口部を介して流入する呼気流が前記収容部材の内壁面に沿って前記アルコールセンサーに向かうように、前記呼気流の向きを変える、請求項2に記載の携帯電話端末。
【請求項4】
前記収容部材は、前記第1および第2の面を備えた端末本体から取り外し可能である、請求項3に記載の携帯電話端末。
【請求項5】
前記第1の面は、情報を表示し入力操作を受け付ける表示面を含み、
前記第2の面に設けられ、指の指紋を検出する指紋センサーと、
前記アルコール検知部を用いたアルコール測定動作を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記入力操作に応じて前記アルコール検知部を起動するとともに、前記指紋センサーによる指紋の検出を連続的に行わせ、検出した指紋データが予め登録された照合用指紋データと一致している場合に、アルコール測定を開始し、測定期間において、前記指紋センサーへの指の接触が継続しているかを判定し、継続している場合は、前記アルコール測定の結果を前記表示面に表示し、継続していない場合には、エラーを示すメッセージを前記表示面に表示する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の携帯電話端末。
【請求項6】
前記指紋センサーは、前記第2の面の中央部から長手方向に離れた領域に配置され、前記アルコール検知部は、前記指紋センサーに隣接して配置されている、請求項5に記載の携帯電話端末。
【請求項7】
前記第1の面にレンズを備え、該レンズを介して撮影するカメラ部を有し、
前記制御部は、前記入力操作に応じて前記カメラ部を起動し、該カメラ部が撮影した顔画像が予め登録された照合用顔画像と一致した場合に、前記アルコール検知部を起動する、請求項5に記載の携帯電話端末。
【請求項8】
外部のサーバーとの通信が可能な通信部を、さらに有し、
前記制御部は、前記アルコール測定の結果を含む情報を前記通信部から前記サーバーへ送信する、請求項5に記載の携帯電話端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートフォンに代表される携帯電話端末に関し、特に、呼気中のアルコール濃度を検出する機能を備えた携帯電話端末に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、呼気中のアルコール濃度を検出するアルコール検知器をスマートフォンと連携させて、被検者のアルコール検出結果を含む情報を管理するシステムが記載されている。アルコール検知器とスマートフォンとは、近距離無線通信を用いて相互に通信可能である。アルコール検知器は、アルコール検出結果をスマートフォンに送信する。スマートフォンは、アルコール検出結果に基づいて酒気帯び等の判定や警報などを行う機能や、被検者の本人確認を行うユーザ認証機能などを備える。
また、特許文献1には、アルコール検知器をスマートフォンに着脱可能に取り付けた一体構造の形態も記載されている。この一体構造では、アルコール検知器は、スマートフォンの下部に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-162333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムにおいては、被検者は、アルコール検知器とスマートフォンの2台の機器を所持し、各機器を別々に操作する必要があるため、不便である。また、アルコール検知器とスマートフォンの通信接続設定等の操作は、被検者には煩わしい作業である。
アルコール検知器を装着したスマートフォンにおいては、通信接続設定等の煩わしい操作を不要とすることが可能である。しかし、このような一体構造のスマートフォンでは、装置のサイズが大きくなるという問題を生じる。
【0005】
本発明の目的は、サイズの拡大を抑制しつつ、薄型化を図ることができる、アルコール検知が可能な携帯電話端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様によれば、呼気中のアルコール濃度を検出するアルコール検知部と、厚さ方向に互いに対向する第1および第2の面と、前記第1および第2の面の互いの対向する辺部に隣接し前記厚さ方向に平行な側面と、を有し、前記アルコール検知部は、前記側面から前記第2の面に貫通した呼気流路と、前記呼気流路内に設けられたアルコールセンサーと、前記呼気流路内に設けられたマイクロフォンと、を有し、前記アルコールセンサーと前記マイクロフォンとが前記厚さ方向と直交する第1の方向に隣接して配置されている、携帯電話端末が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、サイズの拡大を抑制しつつ、薄型化を図ることができる、アルコール検知が可能な携帯電話端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態による携帯電話端末の表面および裏面の外観図である。
図2】本発明の一実施形態による携帯電話端末の上面、下面、および側面の外観図である。
図3】アルコール検知部のモジュール構造の一例である収容部材を示す平面図である。
図4図3に示す収容部材を構成する2つの収容部の模式図である。
図5】、マイクロフォンとアルコールセンサーの収容部への取り付け状態を示す模式図である。
図6】本発明の一実施形態による携帯電話端末の主要な構成を示すブロック図である。
図7】アルコール測定動作を説明するためのフローチャー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、実施形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の範囲をそれらに限定する趣旨のものではない。
【0010】
図1および図2は、本発明の一実施形態による携帯電話端末の外観図である。図1において、(a)は正面図、(b)は背面図である。図2において、(a)は左側面図、(b)は右側面図、(c)は上面図(平面図)、(d)は下面図である。
【0011】
図1および図2に示すように、携帯電話端末1は、スマートフォン等であって、アルコール検知部9が組み込まれた端末本体1aを有する。端末本体1aは、表面2、裏面3、側面(左)4a、側面(右)4b、上面4c、および下面4dを有する。表示面2と裏面3は、厚さ方向(z方向)に互いに対向する第1の面と第2の面であり、側面4aは、表示面(第1の面)2と裏面(第2の面)3の対向する辺部に隣接し厚さ方向(z)に平行な側面である。同様に、側面4b、上面4c、および下面4dも、表示面2と裏面の対向する辺部に隣接し厚さ方向(z)に平行な側面である。側面4aと側面4bが互いに対向し、上面4cと下面4dが互いに対向する。
【0012】
アルコール検知部9は、側面4aから裏面3に貫通した呼気流路9cと、呼気流路9c内に設けられたアルコールセンサー9dと、呼気流路9c内に設けられたマイクロフォン9eと、を有する。呼気流路9cは、側面4aに開口した吹掛け口9aと、裏面3に開口した吹抜け口9bと、を有する。被検者が吹掛け口9aに息を吹掛けると、呼気が呼気流路9cを通って吹抜け口9bから排出される。
【0013】
アルコールセンサー9dは、被検者の呼気中のアルコール濃度を検出する。アルコールセンサー9dとして、例えば、半導体式ガスセンサー等を用いることができる。マイクロフォン9eは、吹掛け口9aへの息の吹掛け音(例えば、呼気が吹掛け口9aから呼気流路9c内に流入する際に生じる音)を検出する。アルコールセンサー9dとマイクロフォン9eとは、厚さ方向(z)と直交する第1の方向(y方向)に隣接して配置されている。
【0014】
アルコール検知部9は、モジュール化することが可能である。図3および図4に、アルコール検知部9のモジュール構造の一例である収容部材20を示す。図3は、収容部材20の平面図である。図4は、収容部材20を構成する2つの収容部21a、21bを模式的に示す図である。図4において、(a)は収容部21aの斜視図、(b)は収容部21bの斜視図である。
【0015】
図3および図4を参照すると、収容部材20は、アルコールセンサー9dと、マイクロフォン9eと、このマイクロフォン9eを支持する支持基板23とを収容する。収容部材20は、2つの収容部21a、21bからなる。収容部21a、21bは、例えば、樹脂等で形成することができる。収容部21a、21bの一方に突起部が設けられ、他方に凹部が設けられ、突起部を凹部に嵌め込むことで、柱体状の収容部材20が形成される。
【0016】
収容部21aには、第1の開口部22a、第2の開口部22b、および3つのネジ穴25a~25cが設けられている。収容部21bには、支持基板23と支持部24が設けられてる。支持基板23は、マイクロフォン9eを取り付けるための支持部23aを備える。アルコールセンサー9dは支持部24に取り付けられる。
【0017】
図5に、マイクロフォン9eを支持部23aに取り付け、アルコールセンサー9dを支持部24に取り付けた状態を示す。図5から分かるように、アルコールセンサー9dとマイクロフォン9eは、収容部21bの内面に第1の方向(y方向)に隣接して設けられている。
収容部材20は、取り外し可能に端末本体1aに固定される。本実施形態では、収容部21aのネジ穴25a~25cを端末本体1aの対応するネジ止め部位に合わせてネジ止めする。収容部材20を端末本体1aに固定した状態において、第1の開口部22aは吹掛け口9aに連通し、第2の開口部22bは吹抜け口9bに連通する。マイクロフォン9eは、第1の開口部22aの方向に向いている。
【0018】
支持基板23は、第1の開口部22aに隣接して設けられている。支持基板23は、吹掛け口9aから第1の開口部22aを介して流入する呼気流が収容部材20の内壁面に沿ってアルコールセンサー9dに向かうように、呼気流の向きを変える。支持基板23と第1の開口部22aの開口面に垂直な線L1とのなす角度θを小さくことで、収容部材20の幅d1を縮小することが可能である。
【0019】
再び、図1および図2を参照する。表面2には、表示面2a、スピーカー5、およびレンズ7aが設けられている。表示面2aは、表面2の大半の領域を占めており、情報を表示し入力操作を受け付けることができる。例えば、表示面2aは、タッチパネルを備える。タッチパネル上で、指等の指示体を用いて入力操作を行うことができる。表示面2aでの入力操作を通じて様々なアプリケーションを実行することができ、様々な情報を表示することができる。例えば、アルコール測定用のアプリケーションを実行したり、アルコール測定の結果を含む情報を表示したりすることができる。
【0020】
スピーカー5とレンズ7aは、表面2の上側の領域に配置されている。レンズ7aを介して対象物の撮影が可能である。
裏面3には、吹抜け口9bの他に、指紋センサー6、レンズ7b、およびフラッシュ8が設けられている。指紋センサー6は、被検者の指の指紋を検出する。指紋センサー6は、ホームボタンと兼用することも可能である。指紋センサー6は、裏面3の中央部から長手方向に離れた領域3aに配置されている。アルコール検知部9は、指紋センサー6に隣接して配置されている。レンズ7bおよびフラッシュ8も、領域3aに配置されている。レンズ7bを介して対象物の撮影が可能である。
【0021】
右側の側面4aには、吹掛け口9aの他に、音量ボタン10および電源ボタン11が設けられている。左側の側面4bには、シムカード挿入部12が設けられている。下面4dには、スピーカー13、充電口14、およびマイクロフォン15が設けられている。音量ボタン10、電源ボタン11、シムカード挿入部12、スピーカー13、充電口14、およびマイクロフォン15は、既存のスマートフォンに設けられている良く知られたものであるので、ここでは、それらの詳細な説明は省略する。
【0022】
次に、本実施形態の携帯電話端末1の主要な機能に関わる構成を説明する。
図6は、携帯電話端末1の主要な構成を示すブロック図である。図6を参照すると、端末本体1aは、本体側処理部1bと、アルコール検知部9とを有する。本体側処理部1bは、指紋センサー6、音量ボタン10、電源ボタン11、スピーカー13、充電口14、マイクロフォン15、制御部30、記憶部31、端子32、通信部33、表示部34、およびカメラ部35を有する。アルコール検知部9は、アルコールセンサー9d、マイクロフォン9e、制御部90、記憶部91、および端子92を有する。
【0023】
本体側処理部1bの端子32とアルコール検知部9の端子92は、フレキシブルケーブル40を介して電気的に接続されている。フレキシブルケーブル40として、FPC(フレキシブル基板)ケーブルを使用することができる。本体側処理部1bとアルコール検知部9の間では、非同期シリアル通信、例えば、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)の通信が可能である。これにより、本体側処理部1bとアルコール検知部9は、互いに信号(コマンド信号や指示信号などの制御信号)やデータなどを送受信することが可能である。
【0024】
アルコール検知部9において、記憶部91は、半導体メモリ等(例えば、不揮発性メモリ等)からなり、アルコール検知部9の動作に関わる様々な情報やデータを保持することが可能である。例えば、アルコールセンサー9dを用いたアルコール測定の結果を含む情報(例えば、表示用データ)や、アルコールセンサー9dのセンサー管理情報(使用回数、使用日数、および使用期限に関する情報など)が記憶部91に格納される。制御部90は、MCU(Micro Controller Unit)からなり、本体側処理部1bからの制御信号(例えば、指示信号やコマンド信号)に従ってアルコール検知部9の各部の動作を制御する。
【0025】
本体側処理部1bにおいて、充電口14は、携帯電話端末1に内蔵された二次電池(例えば、リチウム電池)を充電するために用いることができる。充電口14として、例えば、USB Type Cのコネクタを用いることができる。スピーカー13は、例えば、動作モードや警告を示す様々なパターンの音響信号を出力することが可能である。通信部33は、外部装置(サーバーやパーソナルコンピュータ)と通信可能である。例えば、サーバーがインターネット等のネットワーク上に配置され、通信部33は、そのネットワークを介してサーバーにアクセスすることができる。表示部34は、表示面2aを備える。カメラ部35は、レンズ7aまたはレンズ7bを介して被写体を撮像する。レンズ7aを用いた撮影とレンズ7bを用いた撮影は、任意に切り替え可能である。
【0026】
記憶部31は、半導体メモリ等からなり、携帯電話端末1の動作に関わる様々な情報やデータを保持することが可能である。記憶部31は、例えば、様々なアプリケーションに関するプログラムやデータ、アルコール検知部9から受信したセンサー管理情報や測定データを含む表示用データなどを格納する。例えば、アルコール検知部9を用いたアルコール測定を行うためのアプリケーションが記憶部31に格納されている。
【0027】
制御部30は、MCUからなり、携帯電話端末1の各部(アルコール検知部9を含む)の動作を制御する。制御部30は、表示部34の表示面2aにおける入力操作や、音量ボタン10および電源ボタン11に対する入力操作を受け付け、その入力操作に応じて必要な処理を実行する。例えば、制御部30は、表示面2aにおける入力操作に応じてアルコール検知部9を用いたアルコール測定動作を制御する。
【0028】
アルコール検知部9では、制御部90が、制御部30からの制御信号に従って、アルコールセンサー9dを起動する。制御部90は、所定の時間内に吹掛け口9aに息を吹掛けると、アルコールセンサー9dが呼気中に含まれるアルコール濃度を検出する。制御部90は、アルコールセンサー9dが検出したアルコール濃度検出値を制御部30に送る。制御部30は、アルコール濃度検出値を含む情報(測定結果)を表示面2aに表示するとともに記憶部31に格納する。
【0029】
また、制御部90は、マイクロフォン9eの出力に基づいて、所定の時間にわたって連続して吹掛け口9aに息を吹掛けた否かを判断する。所定の時間にわたって連続して息を吹掛けていない場合は、制御部90は、エラーを示すコマンド信号を制御部30に送り、制御部30がそのコマンド信号に従ってエラーを示す情報を表示面2aに表示する。
【0030】
また、制御部30は、アルコール濃度検出値が閾値より高い場合は、異常を示す情報を表示面2aに表示し、アルコール濃度検出値が閾値以下の場合には、正常を示す情報を表示面2aに表示することができる。
さらに、制御部30は、アルコールセンサー9dが検出したアルコール濃度検出値を含む情報を通信部33から外部装置(例えば、サーバー)へ送信することができる。
【0031】
以下に、アルコール測定動作を具体的に説明する。
図7は、アルコール測定動作を説明するためのフローチャー図である。ここでは、アルコール測定用アプリケーションが記憶部31に格納されており、そのアルコール測定のアイコンが表示面2aに表示されているものと仮定する。
【0032】
被検者は、一方の手で携帯電話端末1を把持し、もう一方の手の指で表示面2aに表示されたアルコール測定のアイコンをタップする。ここでは、右手で携帯電話端末1を把持し、左手の人差し指でアイコンをタップすると仮定する。
【0033】
ステップS10で、制御部30は、アルコール測定のアイコンへのタップの有無を判定する。アルコール測定のアイコンがタップされたことを検出すると、ステップS11で、制御部30は、記憶部31に格納されているアルコール測定用アプリケーションを実行する。アルコール測定用アプリケーションの実行後は、制御部30は、プログラムに従って以下の手順でアルコール測定処理を実行する。
【0034】
ステップS12で、制御部30は、カメラ部35を起動するとともに、レンズ7aを介して被検者の顔を撮影するための支援情報を表示面2aに表示する。支援情報は、例えば、撮影を促すメッセージや撮影枠などである。被検者は、支援情報に従って自身の顔を撮影する。
ステップS13で、制御部30は、カメラ部35が撮影した顔画像が予め登録された照合用顔画像と一致するかを判定する。照合用顔画像は、予めカメラ部35を用いて撮影した顔画像であり、記憶部31に格納されている。
【0035】
撮影した顔画像が照合用顔画像と一致しなかった場合は、ステップS14で、制御部30は、エラーを示すメッセージを表示面2aに表示する。撮影した顔画像が照合用顔画像と一致した場合は、ステップS15で、制御部30は、アルコール検知部9および指紋センサー6を起動して支援情報を表示面2aに表示する。制御部30は、指紋センサー6による指紋の検出を連続的に行わせる。支援情報は、指紋センサー6への特定の指(指紋を登録した指)の接触を促すメッセージ、指紋センサー6に指を接触させた状態で吹掛け口9aに息を吹掛ける旨のメッセージ、アルコール測定が終わるまで、指紋センサー6に指を触させた状態を維持する旨のメッセージなどを含む。また、指紋認証やアルコール測定の手順を模式的に示した画像等を表示することもできる。
【0036】
被検者は、支援情報に従って指紋センサー6に指を接触させる。ここでは、被検者は、右手で携帯電話端末1を把持しており、右手の人差し指を指紋センサー6に接触させるものと仮定する。ステップS16で、制御部30は、指紋センサー6が検出した指紋データが予め登録された照合用指紋データと一致するかを判定する。照合用指紋データは、予め指紋センサー6を用いて取得した指紋データであり、記憶部31に格納されている。
【0037】
検出した指紋データが照合用指紋データと一致しなかった場合は、ステップS17で、制御部30は、エラーを示すメッセージを表示面2aに表示する。検出した指紋データが照合用指紋データと一致した場合は、ステップS18で、制御部30は、アルコール検知部9でのアルコール測定を開始する。このとき、制御部30が、アルコール測定を開始する旨のメッセージを表示面2aに表示してもよい。被検者は、吹掛け口9aに息を吹掛けてアルコール測定を行う。
【0038】
ステップS19で、制御部30は、測定期間において、指紋センサー6への指の接触が継続しているかを判定する。指の接触が継続していない場合は、ステップS20で、制御部30は、エラーを示すメッセージを表示面2aに表示する。指の接触が継続していた場合は、ステップS21で、制御部30は、アルコール測定の結果を表示面2aに表示する。
【0039】
図7に示したアルコール測定処理手順は一例であり、適宜に変更可能である。例えば、ステップS12~S14の顔認証は、被検者のなりすましを抑制するための処理であるが、なりすましの抑制が不要な場合には、この処理を削除してもよい。
【0040】
上述したアルコール測定用のアプリケーションの他、運転者に関連する様々なアプリケーション、例えば、表情認識、疲労検知、心拍測定、危険運転行為、運転習慣モニタリング、ドライブレコーダーなどのアプリケーションを記憶部31に格納しておくことができる。表情認識では、例えば、AI(人工知能)を用いてカメラ部35が撮影した顔画像を分析して表情を認識する。疲労検知では、例えば、AIを用いてカメラ部35が撮影した顔映像を分析して疲労を検知する。心拍測定では、AIを用いてカメラ部35が撮影した顔映像を分析して心拍を測定する。危険運転行為では、AIを用いてカメラ部35が撮影した走行映像を分析して危険運転行為を検知する。運転習慣モニタリングでは、AIを用いて、内部のセンサー(例えば、加速度センサー)により急加速や急ブレーキなどを検知して運転習慣を判定する。これらアプリケーションのアイコンを表示面2aに表示し、いずれかのアイコンをタップすると、制御部30が、タップしたアイコンに対応するアプリケーションを実行する。
【0041】
制御部30は、アルコール測定用のアプリケーションを実行して得られた測定データと、運転者に関連するアプリケーションの少なくとも一つを実行して得られたデータとを関連付けて管理してもよい。
【0042】
また、携帯電話端末1において、被検者の体表面温度を検出する温度センサーを備えた検温装置を着脱可能に装着するように構成してもよい。この場合、制御部30は、被検者のアルコール濃度検出値と、温度センサーが検出した被検者の体表面温度検出値とを含む測定データを管理し、表示面2aに表示したり、記憶部31に格納したりしてもよい。
また、クラウドサーバー上で、被検者のアルコール測定の結果を含む様々な情報を管理することもできる。
【0043】
(作用および効果)
以上説明した本実施形態の携帯電話端末1によれば、アルコール検知部9は端末本体1aに組み込まれており、制御部30が、アルコール検知部9の動作を制御する。この構造によれば、特許文献1に記載のシステムにおける通信接続設定等の煩わしい操作は不要である。
【0044】
また、本実施形態の携帯電話端末1によれば、サイズの拡大を抑制しつつ、薄型化を図ることができる。以下に、この作用効果を具体的に説明する。
まず、既存のアルコール検知器をスマートフォンに組み込む場合に生じる問題について説明する。
【0045】
一般に、アルコール検知器は、表面側に吹掛け口を備え、裏面側に吹抜け口を備えており、呼気流路は厚さ方向に貫通している。このような呼気流路が厚さ方向に貫通したアルコール検知器をスマートフォンに組み込む場合は、アルコール検知器は、スマートフォンの表示面を避けて配置する必要がある。このため、スマートフォンのサイズが大きくなるという問題を生じる。
【0046】
加えて、マイクロフォンとアルコールセンサーは呼気流路に沿って配置する必要がある。この場合、マイクロフォンとアルコールセンサーは厚さ方向に隣接して配置されるので、アルコール検知器を組み込んだ部分が厚くなるという問題も生じる。
【0047】
本実施形態の携帯電話端末1では、呼気流路9cは側面4aから裏面3に貫通するように形成され、アルコールセンサー9dとマイクロフォン9eは、厚さ方向(z方向)と直交する第1の方向(y方向)に隣接して配置されている。この構造によれば、呼気流路9cは表面2には貫通していないため、表示面2aと干渉することがない。よって、厚さ方向において、アルコール検知部9の一部が表示面2aと重なるような配置が可能となり、これにより、携帯電話端末1のサイズの拡大を抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態の携帯電話端末1では、コールセンサー9dとマイクロフォン9eは、厚さ方向と直交する第1の方向(y方向)に隣接して配置される。この構造によれば、コールセンサー9dとマイクロフォン9eを厚さ方向に隣接して配置した構造と比較して、アルコール検知部9の部分の厚さを薄くすることができ、その結果、携帯電話端末1の薄型化が可能である。
【0049】
本実施形態の携帯電話端末1によれば、上記効果に加えて、以下のような効果を更に奏する。
指紋センサー6は、裏面3の中央部から長手方向に離れた領域3aに配置され、アルコール検知部9は、指紋センサー6に隣接して配置されている。ここで、領域3aは、片手で端末本体1aを把持した際に、例えば、人差し指の指先が接触可能な領域である。この構造によれば、被検者は、例えば、右手で端末本体1aを把持した状態で、右手の人差し指の指先を指紋センサー6に接触させることができ、かつ、持ち替えることなく、その把持した状態のままで、吹掛け口9aに息を吹掛けることができる。このように、被検者は、片手で携帯電話端末1を把持して簡単にアルコール測定を行うことができる。
【0050】
本発明の実施形態の開示は、以下の構成を含む。
(構成1)
呼気中のアルコール濃度を検出するアルコール検知部と、
厚さ方向に互いに対向する第1および第2の面と、
前記第1および第2の面の互いの対向する辺部に隣接し前記厚さ方向に平行な側面と、を有し、
前記アルコール検知部は、
前記側面から前記第2の面に貫通した呼気流路と、
前記呼気流路内に設けられたアルコールセンサーと、
前記呼気流路内に設けられたマイクロフォンと、を有し、
前記アルコールセンサーと前記マイクロフォンとが前記厚さ方向と直交する第1の方向に隣接して配置されている、携帯電話端末。
(構成2)
前記呼気流路は、前記側面に開口した吹掛け口と、前記第2の面に開口した吹抜け口と、を有する、構成1に記載の携帯電話端末。
(構成3)
前記アルコール検知部は、前記アルコールセンサーと前記マイクロフォンと前記マイクロフォンを支持する支持基板とを収容した収容部材を備え、
前記収容部材は、前記吹掛け口に連通する第1の開口部と、前記吹抜け口に連通する第2の開口部と、を有し、
前記支持基板は、前記第1の開口部に隣接して設けられ、前記吹掛け口から前記第1の開口部を介して流入する呼気流が前記収容部材の内壁面に沿って前記アルコールセンサーに向かうように、前記呼気流の向きを変える、構成2に記載の携帯電話端末。
(構成4)
前記収容部材は、前記第1および第2の面を備えた端末本体から取り外し可能である、構成3に記載の携帯電話端末。
(構成5)
前記第1の面は、情報を表示し入力操作を受け付ける表示面を含み、
前記第2の面に設けられ、指の指紋を検出する指紋センサーと、
前記アルコール検知部を用いたアルコール測定動作を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記入力操作に応じて前記アルコール検知部を起動するとともに、前記指紋センサーによる指紋の検出を連続的に行わせ、検出した指紋データが予め登録された照合用指紋データと一致している場合に、アルコール測定を開始し、測定期間において、前記指紋センサーへの指の接触が継続しているかを判定し、継続している場合は、前記アルコール測定の結果を前記表示面に表示し、継続していない場合には、エラーを示すメッセージを前記表示面に表示する、構成1乃至4のいずれか一つに記載の携帯電話端末。
(構成6)
前記指紋センサーは、前記第2の面の中央部から長手方向に離れた領域に配置され、前記アルコール検知部は、前記指紋センサーに隣接して配置されている、構成5に記載の携帯電話端末。
(構成7)
前記第1の面にレンズを備え、該レンズを介して撮影するカメラ部を有し、
前記制御部は、前記入力操作に応じて前記カメラ部を起動し、該カメラ部が撮影した顔画像が予め登録された照合用顔画像と一致した場合に、前記アルコール検知部を起動する、構成5または6に記載の携帯電話端末。
(構成8)
外部のサーバーとの通信が可能な通信部を、さらに有し、
前記制御部は、前記アルコール測定の結果を含む情報を前記通信部から前記サーバーへ送信する、構成5乃至7のいずれか一つに記載の携帯電話端末。
【符号の説明】
【0051】
1 携帯電話端末
2 表面(第1の面)
3 裏面(第2の面)
4a 側面
9 アルコール検知部
9c 呼気流路
9d アルコールセンサー
9e マイクロフォン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7