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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141713
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 57/02 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
A01D57/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053505
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大原 一志
(72)【発明者】
【氏名】喜安 一春
【テーマコード(参考)】
2B081
【Fターム(参考)】
2B081AA03
2B081BB23
2B081BB25
2B081CC03
2B081CC45
2B081FA02
2B081FA06
2B081FB05
(57)【要約】
【課題】カバーと後方上側に偏移したタインの本体部の接触を防止して、カバーに穀稈が絡み付くのを防止することができるコンバインを提供する。
【解決手段】穀稈を掻き込むタイン(17)を吊下げるリールスラット(16)の吊下部(20)を回転自在に外嵌し、吊下部(20)に前板(21)の上部を固定し、前板(21)を下側に向かって延在する上下前板部(21A)と、上下前板部(21A)の下部から前側に向かって延在する前後前板部(21B)で形成し、タイン(17)を円弧形状に形成された取付部(17A)と、コイル形状に形成されたコイル部(17B)と、上下方向に延在する本体部(17C)で形成し、上下前板部(21A)に取付部(17A)を固定し、前後前板部(21B)の上側にコイル部(17B)を配置し、前後前板部(21B)に形成された開口部(25)に本体部(17C)を挿通し、取付部(17A)とコイル部(17B)を覆うカバー(18)を設け、本体部(17C)とカバー(18)を非接触な構成とした。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀装置(4)の前側に刈取前処理装置(3)を設け、該刈取前処理装置(3)に穀稈を掻き込む掻込装置(3A)を設けたコンバインにおいて、
前記掻込装置(3A)の左右方向の両側に径方向に延在するリールフレーム(14)を設け、該リールフレーム(14)の先端部に左右方向に延在する支軸(15)を架設し、
該支軸(15)に、穀稈を掻き込むタイン(17)を吊下げるリールスラット(16)の吊下部(20)を回転自在に外嵌し、
該吊下部(20)に前板(21)の上部を固定し、該前板(21)を下側に向かって延在する上下前板部(21A)と、該上下前板部(21A)の下部から前側に向かって延在する前後前板部(21B)で形成し、
前記タイン(17)を円弧形状に形成された取付部(17A)と、コイル形状に形成されたコイル部(17B)と、上下方向に延在する本体部(17C)で形成し、
前記上下前板部(21A)に取付部(17A)を固定し、前記前後前板部(21B)の上側にコイル部(17B)を配置し、前記前後前板部(21B)に形成され開口部(25)に本体部(17C)を挿通し、
前記取付部(17A)とコイル部(17B)を覆うカバー(18)を設け、前記本体部(17C)とカバー(18)を非接触な構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記カバー(18)を吊下部(20)とコイル部(17B)の前側を覆う後上がり傾斜に形成された第1カバー部(30)と、該第1カバー部(30)の下端部から後側に向かって延在する第2カバー部(31)で形成し、
前記前後前板部(21B)の下面に第2カバー部(31)を固定した請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記カバー(18)を吊下部(20)とコイル部(17B)の前側を覆う第1カバー部(30)と、該第1カバー部(30)の下端部から後側に向かって延在する第2カバー部(31)で形成し、
前記第1カバー部(30)を、前記コイル部(17B)の前側から後上がり傾斜に形成された上第1カバー部(30A)と、該上第1カバー部(30A)の下端部から下側に向かって延在する下第1カバー部(30B)で形成し、
前記前後前板部(21B)の下面に第2カバー部(31)を固定した請求項1記載のコンバイン。
【請求項4】
前記カバー(18)を吊下部(20)とコイル部(17B)の前側を覆う第1カバー部(30)と、該第1カバー部(30)の下端部から後側に向かって延在する第2カバー部(31)で形成し、
前記第1カバー部(30)を、前記コイル部(17B)の前側から後上がり傾斜に形成された上第1カバー部(30A)と、該上第1カバー部(30A)の下端部から後下がり傾斜に形成された下第1カバー部(30B)で形成し、
前記前後前板部(21B)の下面に第2カバー部(31)を固定した請求項1記載のコンバイン。
【請求項5】
前記第2カバー部(31)における開口部(25)に対向する部位に切欠き部(33)を形成した請求項2~4のいずれか1項に記載のコンバイン。
【請求項6】
前記開口部(25)の長軸を前後方向に沿って設けた請求項5記載のコンバイン。
【請求項7】
前記カバー(18)を左右方向に少なくとも2分割にした請求項1記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掻込装置を備えたコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、掻込装置のタインの取付部やコイル部に掻き込まれ穀稈が絡み付くのを防止するために、掻込装置の上側から外嵌したカバーでタインの取付部やコイル部の前側を覆い、カバーの離隔して形成された前下部と後下部でタインの上下方向に延在する本体部を挟持する技術が提案されていた。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-68680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、タインの本体部に穀稈が絡み付いた場合には、本体部が変形して後方上側に偏移してカバーの後下部を下側に引下げ、引下げられたカバーの後下部に穀稈が絡み付く問題が指摘されていた。
【0005】
そこで、本発明の課題は、カバーと後方上側に偏移したタインの本体部の接触を防止して、カバーに穀稈が絡み付くのを防止することができるコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
請求項1に係る発明は、脱穀装置(4)の前側に刈取前処理装置(3)を設け、該刈取前処理装置(3)に穀稈を掻き込む掻込装置(3A)を設けたコンバインにおいて、
前記掻込装置(3A)の左右方向の両側に径方向に延在するリールフレーム(14)を設け、該リールフレーム(14)の先端部に左右方向に延在する支軸(15)を架設し、該支軸(15)に、穀稈を掻き込むタイン(17)を吊下げるリールスラット(16)の吊下部(20)を回転自在に外嵌し、該吊下部(20)に前板(21)の上部を固定し、該前板(21)を下側に向かって延在する上下前板部(21A)と、該上下前板部(21A)の下部から前側に向かって延在する前後前板部(21B)で形成し、前記タイン(17)を円弧形状に形成された取付部(17A)と、コイル形状に形成されたコイル部(17B)と、上下方向に延在する本体部(17C)で形成し、前記上下前板部(21A)に取付部(17A)を固定し、前記前後前板部(21B)の上側にコイル部(17B)を配置し、前記前後前板部(21B)に形成された開口部(25)に本体部(17C)を挿通し、前記取付部(17A)とコイル部(17B)を覆うカバー(18)を設け、前記本体部(17C)とカバー(18)を非接触な構成としたことを特徴とするコンバインである。
【0007】
請求項2に係る発明は、前記カバー(18)を吊下部(20)とコイル部(17B)の前側を覆う後上がり傾斜に形成された第1カバー部(30)と、該第1カバー部(30)の下端部から後側に向かって延在する第2カバー部(31)で形成し、前記前後前板部(21B)の下面に第2カバー部(31)を固定した請求項1記載のコンバインである。
【0008】
請求項3に係る発明は、前記カバー(18)を吊下部(20)とコイル部(17B)の前側を覆う第1カバー部(30)と、該第1カバー部(30)の下端部から後側に向かって延在する第2カバー部(31)で形成し、前記第1カバー部(30)を、前記コイル部(17B)の前側から後上がり傾斜に形成された上第1カバー部(30A)と、該上第1カバー部(30A)の下端部から下側に向かって延在する下第1カバー部(30B)で形成し、前記前後前板部(21B)の下面に第2カバー部(31)を固定した請求項1記載のコンバインである。
【0009】
請求項4に係る発明は、前記カバー(18)を吊下部(20)とコイル部(17B)の前側を覆う第1カバー部(30)と、該第1カバー部(30)の下端部から後側に向かって延在する第2カバー部(31)で形成し、前記第1カバー部(30)を、前記コイル部(17B)の前側から後上がり傾斜に形成された上第1カバー部(30A)と、該上第1カバー部(30A)の下端部から後下がり傾斜に形成された下第1カバー部(30B)で形成し、前記前後前板部(21B)の下面に第2カバー部(31)を固定した請求項1記載のコンバインである。
【0010】
請求項5に係る発明は、前記第2カバー部(31)における開口部(25)に対向する部位に切欠き部(33)を形成した請求項2~4のいずれか1項に記載のコンバインである。
【0011】
請求項6に係る発明は、前記開口部(25)の長軸を前後方向に沿って設けた請求項5記載のコンバインである。
【0012】
請求項7に係る発明は、前記カバー(18)を左右方向に少なくとも2分割にした請求項1記載のコンバインである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、掻込装置(3A)の左右方向の両側に径方向に延在するリールフレーム(14)を設け、リールフレーム(14)の先端部に左右方向に延在する支軸(15)を架設し、支軸(15)に、穀稈を掻き込むタイン(17)を吊下げるリールスラット(16)の吊下部(20)を回転自在に外嵌し、吊下部(20)に前板(21)の上部を固定し、前板(21)を下側に向かって延在する上下前板部(21A)と、上下前板部(21A)の下部から前側に向かって延在する前後前板部(21B)で形成し、タイン(17)を円弧形状に形成された取付部(17A)と、コイル形状に形成されたコイル部(17B)と、上下方向に延在する本体部(17C)で形成し、上下前板部(21A)に取付部(17A)を固定し、前後前板部(21B)の上側にコイル部(17B)を配置し、前後前板部(21B)に形成された開口部(25)に本体部(17C)を挿通し、取付部(17A)とコイル部(17B)を覆うカバー(18)を設け、本体部(17C)とカバー(18)を非接触な構成としたので、カバー(18)の下部が引下げられて穀稈が絡み付くのを防止することができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、カバー(18)を吊下部(20)とコイル部(17B)の前側を覆う後上がり傾斜に形成された第1カバー部(30)と、第1カバー部(30)の下端部から後側に向かって延在する第2カバー部(31)で形成し、前後前板部(21B)の下面に第2カバー部(31)を固定したので、カバー(18)の第2カバー部(31)とタイン(17)の本体部(17C)の接触を防止して、第2カバー部(31)の後部が引下げられて穀稈が絡み付くのをより防止することができる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、カバー(18)を吊下部(20)とコイル部(17B)の前側を覆う第1カバー部(30)と、第1カバー部(30)の下端部から後側に向かって延在する第2カバー部(31)で形成し、第1カバー部(30)を、コイル部(17B)の前側から後上がり傾斜に形成された上第1カバー部(30A)と、上第1カバー部(30A)の下端部から下側に向かって延在する下第1カバー部(30B)で形成し、前後前板部(21B)の下面に第2カバー部(31)を固定したので、第2カバー部(31)の前後方向の長さを短くして、第2カバー部(31)に穀稈の穂先が接触するのを抑制して脱粒を抑制することができる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、カバー(18)を吊下部(20)とコイル部(17B)の前側を覆う第1カバー部(30)と、第1カバー部(30)の下端部から後側に向かって延在する第2カバー部(31)で形成し、第1カバー部(30)を、コイル部(17B)の前側から後上がり傾斜に形成された上第1カバー部(30A)と、上第1カバー部(30A)の下端部から後下がり傾斜に形成された下第1カバー部(30B)で形成し、前後前板部(21B)の下面に第2カバー部(31)を固定したので、第2カバー部(31)の前後方向の長さをより短くして、第2カバー部(31)に穀稈の穂先が接触するのを抑制して脱粒をより抑制することができる。また、第2カバー部(31)に穀稈の穂先が接触により穀稈が折れるのを防止することができる。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、請求項2~4のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、第2カバー部(31)における開口部(25)に対向する部位に切欠き部(33)を形成したので、タイン(17)の本体部(17C)が変形による偏移を大きして、穀稈を後側に効率良く搬送することができる。また、タイン(17)の本体部(17C)に絡み付いた穀稈の落下も促進することができる。
【0018】
請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の発明による効果に加えて、開口部(25)の長軸を前後方向に沿って設けたので、タイン(17)の本体部(17C)が変形による偏移をより大きして、穀稈を後側により効率良く搬送することができる。
【0019】
請求項7記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、カバー(18)を左右方向に少なくとも2分割にしたので、カバー(18)を上下前板部(21A)に容易に着脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】コンバインの正面図である。
図2】コンバインの左側面図である。
図3】コンバインの平面図である。
図4】掻込装置の平面図である。
図5】リールスラットにカバーを装着する
図6】タインが吊下げられたリールスラットの正面図である。
図7】第1実施形態のカバーの左側面図である。
図8】リールスラットの開口部の説明図である。
図9】同カバーの切欠き部の説明図である。
図10】第2実施形態のカバーの左側面図である。
図11】第3実施形態のカバーの左側面図である。
図12】第4実施形態のカバーの左側面図である。
図13】同カバーの切欠の説明図である。
図14】第5実施形態のカバーの左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1~3に示すように、汎用コンバインは、機体フレーム1の下側に土壌面を走行する左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の前側に圃場の穀稈を収穫する刈取前処理装置3が設けられ、刈取前処理装置3の後方左側に収穫された穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置4が設けられ、刈取前処理装置3の後方右側に操縦者が搭乗する操縦部5が設けられている。
【0022】
操縦部5の下側にエンジンを内装するエンジンルーム6が設けられ、操縦部5の後側に脱穀・選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク7が設けられ、グレンタンク7の後側に穀粒を外部に排出する排出オーガ8が設けられている。
【0023】
刈取前処理装置3は、圃場の穀稈を起立させながら後側に搬送する掻込装置3Aと、掻込装置3Aの後側下部に搬送された穀稈の株元を切断する刈刃装置3Bと、掻込装置3Aの後側に搬送された穀稈を左側に寄せ集めるオーガ装置3Cと、寄せ集められた穀稈を脱穀装置4に搬送するフィーダハウス3Dから構成されている。
【0024】
図4に示すように、掻込装置3Aは、掻込リール10と、掻込リール10を支持する左右方向に延在する回転軸11と、回転軸11の両側部を支持する左右一対のアーム12から構成されている。アーム12の後部はオーガ装置3Cの後部に設けられた左右方向に延在する伝動筒13に固定され、伝動筒13には回転軸13Aが内装されている。
【0025】
掻込リール10は、左右一対のリールフレーム14と、左右一対のリールフレーム14の先端部に架設された左右方向に延在する支軸15と、支軸15に吊下げられたリールスラット16から構成されている。
【0026】
リールスラット16には左右方向に所定の間隔を隔てて樹脂製のタイン17が吊下げられ、タイン17の前部にはカバー18が設けられている。これにより、掻込装置3Aで掻込まれた穀稈が、タイン17の上部に絡み付くのを抑制して、オーガ装置3Cに効率よく搬送することができる。
【0027】
図5~7に示すように、リールスラット16は、支軸15に回転自在に支持される円筒状の吊下部20と、吊下部20の下部から下側に向かって延在した後に、前側に向かって延在する前板21と、吊下部20の後部から前板21の下部に向かって延在する後板22とから形成されている。これにより、タイン17を介して前板21に加わる負荷により前板21が変形するのを抑制することができる。
【0028】
前板21は、上下方向に延在する上下前板部21Aと、前後方向に延在する前後前板部21Bと、上下前板部21Aの下端部から前後前板部21Bの後端部に向かって湾曲する湾曲前板部21Cから形成されている。
【0029】
上下前板部21Aの上部の後面には、ナット23Aが溶接され、ナット23Aには上下前板部21Aの前側からボルト23Bが装着されている。これにより、タイン17の取付部17Aを上下前板部21Aとボルト23Bで挟持することができる。
【0030】
前後前板部21Bと湾曲前板部21Cには、左右方向に所定の間隔を隔てて開口部25が形成されている。これにより、タイン17の本体部17Cを湾曲前板部21Cの上側から下側に挿通して、破損したタイン17の交換を容易に行うことができる。
【0031】
前後前板部21Bの上面には、左右方向に所定の間隔を隔ててナット27Aが溶接されている。これにより、カバー18の下側から上側に向けて挿通したボルト27Bをナット27Aに締結して、前後前板部21Bの下面にカバー18を装着することができる。
【0032】
タイン17は、円弧状に形成された取付部17Aと、取付部17Aの下部に形成されたコイル状のコイル部17Bと、コイル部17Bから下方後側に湾曲して形成された本体部17Cから形成されている。これにより、タイン17で掻込まれた穀稈を本体部17Cで後方後側に設けられたオーガ装置3Cに効率良く案内することができる。また、本体部17Cに多くの穀稈が絡み付いた場合には、コイル部17Bが変形して穀稈から本体部17Cに加わった負荷を低減して本体部17Cの破損を抑制することができる。
【0033】
<第1実施形態のカバー>
図7に示すように、第1実施形態のカバー18は、リールスラット16の吊下部20とタイン17のコイル部17Bの前部を覆う後上がり傾斜に形成された第1カバー部30と、リールスラット16の前後前板部21Bの下面に沿って前後方向に延在する第2カバー部31と、第1カバー部30の下端部から第2カバー部31の前端部に向かって湾曲する湾曲カバー部32から形成されている。これにより、掻き込まれた穀稈がリールスラット16の吊下部20やタイン17のコイル部17Bに絡み付くのを防止することができる。また、多くの掻き込まれた穀稈がタイン17の本体部17Cに絡み付いて本体部17Cが後方上側に偏移した場合に、本体部17Cと第2カバー部31の接触が防止されて、第2カバー部31の変形を防止して、第2カバー部31に穀稈が絡み付くのを抑制することができる。
【0034】
第1カバー部30の傾斜角度、すなわち、第1カバー部30と第2カバー部31の交差角度は50~70度に形成するのが好ましい。また、図7に図示した、ワッシャは第2カバー部31の下面に設けられているが、第2カバー部31に座ぐりを形成して、ワッシャを座ぐりに侵入させて第2カバー部31の下面から下側に突出するボルト27Bの突出部を小さくするのが好ましい。
【0035】
カバー18は、左右方向に2分割されている。これにより、カバー18をリールスラット16に容易に着脱することができる。また、カバー18の長さが短い場合には一体構想とし、長さが長くなると2分割以上の分割構造にすることもできる。
【0036】
図8に示すように、リールスラット16の開口部25は、開口部25の長軸を前後方向に沿わせて、開口部25の前端部を第2カバー部31の後端部よりも前側に延在し、後端部を開放して形成している。第2カバー部31における開口部25に対向し前後前板部21Bに重なる部位には、切欠き部33が形成され、切欠き部33の長軸を前後方向に沿わせて、切欠き部33の後端部は開放して形成されている。これにより、タイン17の本体部17Cが変形によって偏移する範囲を大きくすることができ、本体部17Cに絡み付いた所定の穀稈をより取除くことができる。また、本体部17Cと第2カバー部31の接触がより防止されて、第2カバー部31の変形を防止して、第2カバー部31に穀稈が絡み付くのをより抑制することができる。
【0037】
図9に示すように、リールスラット16の開口部25の前端部を第2カバー部31の後端部よりも後側に配置し、後端部を開放して形成することもできる。これにより、タイン17の本体部17Cが第2カバー部31に接触することが防止されて第2カバー部31が破損するのを防止することができる。
【0038】
<第2実施形態のカバー>
図10には、第2実施形態のカバー18が図示されている。第1実施形態のカバー18と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0039】
第2実施形態のカバー18の第1カバー部30は、リールスラット16の吊下部20からタイン17のコイル部17Bの前側上部を覆う後上がり傾斜に形成された上第1カバー部30Aと、コイル部17Bの前側上部から前側下部を覆う上下方向に延在する下第1カバー部30Bから形成されている。これにより、第2カバー部31のタイン17のコイル部17Bの前側に延在する長さを短くすることができるので、掻き込まれた穀稈の穂先が第2カバー部31と接触を抑制して脱粒を抑制することができる。
【0040】
<第3実施形態のカバー>
図11には、第3実施形態のカバー18が図示されている。第1実施形態のカバー18と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0041】
第3実施形態のカバー18の第1カバー部30は、リールスラット16の吊下部20からタイン17のコイル部17Bの前側中間部を覆う後上がり傾斜に形成された上第1カバー部30Aと、コイル部17Bの前側中間部から前側下部を覆う後下がり傾斜に形成された下第1カバー部30Bから形成されている。これにより、第2カバー部31のタイン17のコイル部17Bの前側に延在する長さを短くすることができるので、掻き込まれた穀稈の穂先が第2カバー部31と接触を抑制して脱粒を抑制することができる。また、掻き込まれた穀稈の穂先が下第1カバー部30Bに接触して折れる、いわゆる、ヘッドロスを防止することができる。なお、下第1カバー部30Bの傾斜角度、すなわち、下第1カバー部30Bと第2カバー部31の交差角度は50~70度に形成するのが好ましい。
【0042】
<第4実施形態のカバー>
図12には、第4実施形態のカバー18が図示されている。第1実施形態のカバー18と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0043】
第4実施形態のカバー18は、リールスラット16の吊下部20とタイン17のコイル部17Bを覆う第1カバー部35と、リールスラット16の上下前板部21Aの後面に沿って上下方向に延在する第2カバー部36と、第1カバー部35の下端部から第2カバー部36の下端部に向かって湾曲する湾曲カバー部37から形成されている。
【0044】
第1カバー部35は、リールスラット16の吊下部20からタイン17のコイル部17Bの前側中間部を覆う後上がり傾斜に形成された上第1カバー部35Aと、コイル部17Bの前側中間部からリールスラット16の上下前板部21Aの後側まで延在する後下がり傾斜に形成された下第1カバー部35Bから形成されている。これにより、掻き込まれた穀稈の穂先が下第1カバー部35Bに接触して折れる、いわゆる、ヘッドロスを防止することができる。なお、上第1カバー部35Aの傾斜角度、すなわち、上第1カバー部35Aと前後仮想線の交差角度は40~50度に形成し、下第1カバー部35Bの傾斜角度、すなわち、下第1カバー部35Bと前後仮想線の交差角度は、上第1カバー部35Aの傾斜角度と同一角度である40~50度に形成するのが好ましい。
【0045】
図13に示すように、第1カバー部35の下第1カバー部35Bにおけるリールスラット16の開口部25に対向し前後前板部21Bの下側に位置する部位には切欠き部33が形成されている。また、リールスラット16の上下前板部21Aの前面にはナット(図示省略)が溶接されている。これにより、第2カバー部36の後側から前側に向けて挿通したボルト39をナットに締結して、上下前板部21Aの後面に第2カバー部36を装着することができる。
【0046】
<第5実施形態のカバー>
図14には、第5実施形態のカバー18が図示されている。第1実施形態のカバー18と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0047】
第5実施形態のカバー18は、リールスラット16の吊下部20の上側から下側に向けて嵌め込まれ、吊下部20の上部を覆う略半円弧状の上カバー部40と、吊下部20とタイン17のコイル部17Bの上部の前側を覆う前カバー部41と、後板22の後側を覆う後カバー部42から形成されている。なお、
【0048】
前カバー部41は、上カバー部40の前側の下端部からコイル部17Bの上部に向かって延在する第1傾斜部41Aと、第1傾斜部41Aの下端部から前側に向かって延在する水平部41Bと、水平部41Bの前端部から下方前側に向かって延在する第2傾斜部41Cから形成されている。これにより、掻き込まれた穀稈がリールスラット16の吊下部20やタイン17のコイル部17Bに絡み付くのを防止することができる。
【0049】
後カバー部42は、上カバー部40の後側の下端部から後板22の後面に沿って下方前側に延在して形成され、後カバー部42の下端部は後板22の下端部よりも上側に位置している。これにより、タイン17の本体部17Cと後カバー部42の接触が防止されて、後カバー部42の変形を防止して、後カバー部42に穀稈が絡み付くのを抑制することができる。
【0050】
前カバー部41の第1傾斜部41A及び第2傾斜部41Cと、後カバー部42は平行に形成されている。これにより、リールスラット16の吊下部20の上側から下側に向けて嵌め込むことができる。また、リールスラット16の後板22の前面にはナット(図示省略)が溶接されている。これにより、後カバー部42の後側から前側に向けて挿通したボルト43をナットに締結して、後板22の後面に後カバー部42を装着することができる。
【符号の説明】
【0051】
3 刈取前処理装置
3A 掻込装置
4 脱穀装置
14 リールフレーム
15 支軸
16 リールスラット
17 タイン
17A 取付部
17B コイル部
17C 本体部
18 カバー
20 吊下部
21 前板
21A 上下前板部
21B 前後前板部
30 第1カバー部
30A 上第1カバー部
30B 下第1カバー部
31 第2カバー部
33 切欠き部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14