(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141731
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】無水削孔によるロックボルト打設方法、及びそれに用いる無水削孔システム
(51)【国際特許分類】
E21B 21/00 20060101AFI20241003BHJP
E21D 20/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
E21B21/00 Z
E21D20/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053532
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000235543
【氏名又は名称】飛島建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000168506
【氏名又は名称】鉱研工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】501133247
【氏名又は名称】構造工事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川端 康夫
(72)【発明者】
【氏名】西田 信
(72)【発明者】
【氏名】甲谷 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 和人
(72)【発明者】
【氏名】山口 純一
(72)【発明者】
【氏名】倉岡 研一
(72)【発明者】
【氏名】藤原 清司
(57)【要約】
【課題】削孔により発生する固着しやすいくり粉でも排出可能な無水削孔によるロックボルト打設方法を提供する。
【解決手段】本発明による無水削孔によるロックボルト打設方法は、ロックボルト取付け位置に口元処理装置を設置する段階と、インナーロッドとアウターロッドとの二重管により削孔を行う段階と、インナーロッドを回収してモルタルを充填し、ロックボルトを挿入する段階と、アウターロッド及び口元処理装置を回収してモルタルを追加注入する段階と、ロックボルトにベアリングプレート及びナットを取り付ける段階とを有し、二重管の後端には圧縮空気の供給口と、インナーロッドとアウターロッドの間の空間をくり粉とともに吹き戻る圧縮空気を排水槽に排出する排出口と、排出口からのくり粉の排出を促す高圧水の注入口とを有するスイベルジョイントを備え、インナーロッドの外壁には、くり粉の削ぎ落とし用の突起を備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル内において無水で削孔してロックボルトを打設する方法であって、
ロックボルト取付け位置に口元処理装置を設置する段階と、
先端にインナービットを備えるインナーロッドと、先端にアウタービットを備えるアウターロッドとの二重管により削孔を行う段階と、
インナーロッドを回収してモルタルを充填し、ロックボルトを挿入する段階と、
アウターロッド及び口元処理装置を回収してモルタルを追加注入する段階と、
ロックボルトにベアリングプレート及びナットを取り付ける段階とを有し、
前記二重管の後端には削孔を行う段階でインナーロッド内に供給する圧縮空気の供給口と、インナーロッドとアウターロッドの間の空間をくり粉とともに吹き戻る圧縮空気をくり粉とともに排水槽に排出する排出口と、排出口からのくり粉の排出を促す高圧水の注入口とを有するスイベルジョイントを備え、
インナーロッドの外壁には、インナーロッドの長手方向に沿ってアウターロッドの内壁に向けて突出するくり粉の削ぎ落とし用の突起を備えることを特徴とする無水削孔によるロックボルト打設方法。
【請求項2】
前記二重管により削孔を行う段階は、
前記スイベルジョイントの圧縮空気の供給口から圧縮空気を供給している状態でインナーロッドとアウターロッドとを回転させながら前進させて削孔するとともに削孔により発生するくり粉を排出する削孔段階と、
一定距離削孔ごとに、削孔中にアウターロッドの内壁に固着したくり粉を削ぎ落とすくり粉除去段階とを含むことを特徴とする請求項1に記載の無水削孔によるロックボルト打設方法。
【請求項3】
前記くり粉除去段階は、
圧縮空気の供給とアウターロッドの回転を止め、インナーロッドのみを回転させながらインナーロッドの軸方向に移動し、前記くり粉の削ぎ落とし用の突起によりアウターロッドの内壁に固着するくり粉を削ぎ落とす段階と、
圧縮空気を供給し、削ぎ落としたくり粉を排出する段階とを含むことを特徴とする請求項2に記載の無水削孔によるロックボルト打設方法。
【請求項4】
削孔により発生するくり粉又は削ぎ落としたくり粉の排出は、前記スイベルジョイントの圧縮空気の供給口から圧縮空気を供給し、圧縮空気がインナーロッドの先端から噴出してインナーロッドとアウターロッドとの間を通過する際に前記削孔により発生するくり粉又は削ぎ落としたくり粉を巻き込むようにするとともに前記スイベルジョイントの高圧水の注入口から高圧水を注入することにより行われ、
高圧水の注入は、圧縮空気が供給されている状態でのみ行われることを特徴とする請求項3に記載の無水削孔によるロックボルト打設方法。
【請求項5】
トンネル内のロックボルト打設のための削孔に使用する無水削孔システムであって、
削孔機と、
削孔機に取り付けられ、先端にそれぞれビットを備えるインナーロッドとアウターロッドを備える二重管と、
削孔時にインナーロッドに圧縮空気を供給する空気圧縮機と、
前記二重管の後端にとりつけられ、インナーロッド内に供給する圧縮空気の供給口と、インナーロッドとアウターロッドの間の空間をくり粉とともに吹き戻る圧縮空気をくり粉とともに排水槽に排出する排出口と、排出口からのくり粉の排出を促す高圧水の注入口とを有するスイベルジョイントと、
排出されたくり粉を分離して回収する集塵手段とを備え、
インナーロッドの外壁にはインナーロッドの長手方向に沿ってアウターロッドの内壁にむけて突出するくり粉の削ぎ落とし用の突起を備えることを特徴とする無水削孔システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無水削孔によるロックボルト打設方法、及びそれに用いる無水削孔システムに関し、特に削孔に使用する二重管の搬出経路に固着するくり粉を削ぎ落とす突起と、排水槽に向かうくり粉の排出を促進する高圧水の注入口を設けることにより、削孔により発生する固着しやすいくり粉でも排出可能な無水削孔によるロックボルト打設方法、及びそれに用いる無水削孔システムに関する。
【背景技術】
【0002】
山岳トンネルの施工において、トンネルの周辺地山を補強するためにロックボルトを打設することが一般的に行われる。ロックボルトの打設に当たっては、ロックボルトを挿入するための削孔が行われる。ロックボルト挿入孔の削孔は、先端にビットを有するロッドを、削岩機に取り付け、ロッドを回転させながら地山に押し込み、先端のビットで地山を削っていくことにより進行する。このときビットにより破砕されたくり粉の排出のために、ビット先端から切削水を注水し循環させる。切削水は削岩機やビットの冷却の機能も果たすため、ロックボルト挿入孔の削孔には重要な役割を果たす。
【0003】
しかし、地山が盤膨れしやすい地層の場合、地下水の供給により変位が増長されることが判明しており、ロックボルト挿入孔の削孔時に切削水を注水すると、地山を傷め、膨張を促進する可能性がある。そこでこうした地山の削孔には、切削水を使用しない「無水」による削孔方法が求められる。
【0004】
無水による削孔を行う場合、切削水の代わりに使用するのが圧縮空気である。圧縮空気は中空のロッドの中を通してビット先端から噴出され、ビットを冷却するとともにビットにより破砕されたくり粉を巻き込み、ロッドと地山の間をロッドの根元に向かって回帰していく。削孔の開口端まで達した圧縮空気は、ロッドと地山の間から噴出するため、大きいくり粉はロッドの周辺に堆積されるが、細かいくり粉は粉塵として空気中に放散される。
【0005】
このため閉塞空間であるトンネル坑内の削孔には粉塵対策が必要となる。特に既設トンネルの盤膨れ対策工では、一般車両が往来する中での作業が求められることが有り、このような場合に粉塵対策は必須である。
また盤膨れしやすい地山の場合は、削孔した壁面が内径を縮小する方向に変形してくるため、こうした地盤の削孔には壁面の変形に対する対策が必要となる。即ち、削孔した内壁の変形を防止する外管(アウターロッド)を含む二重管による削孔技術が必要となる。
【0006】
特許文献1には、二重管を用いた削孔装置であって、内管(インナーロッド)内に気体流通往路が形成されるとともに、内管と外管との間に気体流通復路が形成され、ビット部材には、ビット部材によって地山を掘削して生じた土砂を気体流通往路に導入する土砂排出部と、気体流通往路を流通した気体を気体流通往路から流通復路に向けて案内する複数の案内路が形成されており、案内路を気体が流通することにより、土砂排出部を介して気体流通往路に向けて土砂が吸引される削孔装置が開示されている。
【0007】
特許文献2には、削孔機、二重管、空気圧縮機、口元処理装置、及び集塵手段を備え、口元処理装置にインナーロッドを介して供給される圧縮空気の内、アウターロッドと地山との間に分流される圧縮空気をくり粉とともに集塵手段に排出する排出口と、排出口と共通の空間に開口する新たな圧縮空気の供給口とを備える無水削孔システムが開示されている。
【0008】
特許文献1に記載の削孔装置によれば、二重管の外管により削孔時の地盤側壁の変形を抑えつつ削孔が可能となり、また削孔により生ずるくり粉も内管から供給する気体により土砂排出部に向け排出が行われるため、地下水の影響が少ない地質であれば盤膨れしやすい地山でも安定した削孔が可能となる。
【0009】
特許文献2記載の無水削孔システムによれば、アウターロッドと地山との間に分流される圧縮空気によって排出されるくり粉に対しても、新たに供給する圧縮空気により排出が促されるのでくり粉の排出が安定して行える無水削孔を実現することが可能となる。
【0010】
しかし、特許文献1に記載の削孔装置にしても、特許文献2記載の無水削孔システムにしても、削孔する地山が泥岩や地下水を有する場合、くり粉が多くの水分を含むため、内管と外管との間の気体流通復路や、二重管からくり粉の集塵装置へ向かう排出管の中でくり粉が壁面に固着しやすく、固着量が増加していくとやがてくり粉の排出が困難となる。
【0011】
そこで、地質や地下水の影響などにより固着しやすいくり粉が発生しやすく、盤膨れしやすい地山のトンネル坑内の補強にも適用可能な無水、無粉塵の二重管式削孔を可能とする削孔システム及びそれを用いたロックボルト打設技術の提供が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006-328756号公報
【特許文献2】特開2022-34953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記従来の削孔方法及び削孔システムにおける問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、削孔に使用する二重管の搬出経路に固着するくり粉を削ぎ落とす突起と排水槽に向かうくり粉の排出を促進する高圧水の注入口を設けることにより、削孔により発生する固着しやすいくり粉でも排出可能な無水削孔によるロックボルト打設方法、及びそれに用いる無水削孔システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するためになされた本発明による無水削孔によるロックボルト打設方法は、トンネル内において無水で削孔してロックボルトを打設する方法であって、ロックボルト取付け位置に口元処理装置を設置する段階と、先端にインナービットを備えるインナーロッドと、先端にアウタービットを備えるアウターロッドとの二重管により削孔を行う段階と、インナーロッドを回収してモルタルを充填し、ロックボルトを挿入する段階と、アウターロッド及び口元処理装置を回収してモルタルを追加注入する段階と、ロックボルトにベアリングプレート及びナットを取り付ける段階とを有し、前記二重管の後端には削孔を行う段階でインナーロッド内に供給する圧縮空気の供給口と、インナーロッドとアウターロッドの間の空間をくり粉とともに吹き戻る圧縮空気をくり粉とともに排水槽に排出する排出口と、排出口からのくり粉の排出を促す高圧水の注入口とを有するスイベルジョイントを備え、インナーロッドの外壁には、インナーロッドの長手方向に沿ってアウターロッドの内壁に向けて突出するくり粉の削ぎ落とし用の突起を備えることを特徴とする。
【0015】
前記二重管により削孔を行う段階は、前記スイベルジョイントの圧縮空気の供給口から圧縮空気を供給している状態でインナーロッドとアウターロッドとを回転させながら前進させて削孔するとともに削孔により発生するくり粉を排出する削孔段階と、一定距離削孔ごとに、削孔中にアウターロッドの内壁に固着したくり粉を削ぎ落とすくり粉除去段階とを含むことが好ましい。
【0016】
前記くり粉除去段階は、圧縮空気の供給とアウターロッドの回転を止め、インナーロッドのみを回転させながらインナーロッドの軸方向に移動し、前記くり粉の削ぎ落とし用の突起によりアウターロッドの内壁に固着するくり粉を削ぎ落とす段階と、圧縮空気を供給し、削ぎ落としたくり粉を排出する段階とを含むことが好ましい。
【0017】
削孔により発生するくり粉又は削ぎ落としたくり粉の排出は、前記スイベルジョイントの圧縮空気の供給口から圧縮空気を供給し、圧縮空気がインナーロッドの先端から噴出してインナーロッドとアウターロッドとの間を通過する際に前記削孔により発生するくり粉又は削ぎ落としたくり粉を巻き込むようにするとともに前記スイベルジョイントの高圧水の注入口から高圧水を注入することにより行われ、高圧水の注入は、圧縮空気が供給されている状態でのみ行われることが好ましい。
【0018】
上記目的を達成するためになされた本発明による無水削孔システムは、トンネル内のロックボルト打設のための削孔に使用する無水削孔システムであって、削孔機と、削孔機に取り付けられ、先端にそれぞれビットを備えるインナーロッドとアウターロッドを備える二重管と、削孔時にインナーロッドに圧縮空気を供給する空気圧縮機と、前記二重管の後端にとりつけられ、インナーロッド内に供給する圧縮空気の供給口と、インナーロッドとアウターロッドの間の空間をくり粉とともに吹き戻る圧縮空気をくり粉とともに排水槽に排出する排出口と、排出口からのくり粉の排出を促す高圧水の注入口とを有するスイベルジョイントと、排出されたくり粉を分離して回収する集塵手段とを備え、インナーロッドの外壁にはインナーロッドの長手方向に沿ってアウターロッドの内壁にむけて突出するくり粉の削ぎ落とし用の突起を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る無水削孔によるロックボルト打設方法によれば、二重管を使用し、切削水の代わりに圧縮空気を使用してくり粉を排出しながら削孔を進めるため、切削水の注入により地山を傷めることなく削孔を進めることが可能となる。このとき削孔する地山が泥岩や地下水を含む場合、くり粉が二重管のくり粉の搬出経路内に固着しやすくなるが、インナーロッドの外壁にアウターロッドの内壁向けて突出するくり粉の削ぎ落とし用の突起を備えるため、削孔の合間にインナーロッドのみを回転させて固着したくり粉を削ぎ落として、くり粉の搬出経路が詰まるのを防止することが可能である。
【0020】
また、本発明に係る無水削孔システムのスイベルジョイントによれば、インナーロッド内に供給する圧縮空気の供給口と、インナーロッドとアウターロッドの間の空間をくり粉とともに吹き戻る圧縮空気をくり粉とともに排水槽に排出する排出口と、排出口からのくり粉の排出を促す高圧水の注入口とを有するので、固着しやすいくり粉の場合は高圧水を供給して流動化して排出することができ、二重管から排出槽への排出経路が詰まるのを防止することが可能である。
【0021】
本発明に係る無水削孔によるロックボルト打設方法によれば、スイベルジョイントへの高圧水の注入は、供給口から圧縮空気が供給されている状態でのみ行われるので、高圧水を注入しても二重管内に高圧水が流れ込むことはなく、削孔時の無水環境を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態による無水削孔システムの構成を概略的に示す図である。
【
図2】本発明の実施形態によるスイベルジョイントの構造を示す概略図である。
【
図3】
図2に示すスイベルジョイントのA-A’線に沿う断面を概略的に示す図である。
【
図4】本発明の実施形態によるインナーロッドの突起を例示的に示す図である。
【
図5】本発明の実施形態による無水削孔によるロックボルト打設方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明に係る無水削孔によるロックボルト打設方法、及びそれに用いる無水削孔システムを実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態による無水削孔システムの構成を概略的に示す図である。
図1を参照すると、本発明の実施形態による無水削孔システム1は、削孔機10、空気圧縮機20、高圧洗浄機30,削孔機10に取り付けられる二重管40、二重管40に取り付けられるスイベルジョイント11、口元処理装置50、及び排水槽60を備える。
【0024】
本発明による無水削孔によるロックボルト打設方法は、盤膨れの発生しやすいような地層に設けたトンネルの補強に適用可能なロックボルトの打設方法であって、ロックボルト挿入孔の削孔の際、地山70を傷めるおそれのある切削水を使用せず、又変形しやすい地盤においても所定の内径を有する深い削孔を確実に行うための二重管40を使用した削孔を行う削孔方法を利用する。二重管40は、中空のアウターロッド45と、中空のアウターロッド45の中に隙間を開けて設けた中空のインナーロッド41とを備え、インナーロッド41の内側と外側の2つの空間を利用して切削水などの切削流体の供給と回帰及び排出が行われる。
【0025】
本発明の実施形態による無水削孔システム1では、削孔時に発生するくり粉を排出するために、切削水の代わりに圧縮空気23を使用し、二重管40により発生したくり粉は、インナーロッド41の内空を通して供給されて削孔の先端部から吹き戻る圧縮空気23の流れに乗って排出口(14、54)から排出される。しかし地山70によっては泥岩や地下水を有する場合があり、このような地山70を削孔すると粘土化したくり粉が発生し、排出経路の壁面に固着して排出経路を狭め、やがてくり粉の排出が困難になることが起こりうる。
【0026】
そこで本発明の実施形態による無水削孔システム1では、くり粉の主な排出経路となるインナーロッド41とアウターロッド45の間の空間に対しては、インナーロッド41の外壁にくり粉の削ぎ落とし用の突起43を備え、その続きの排出経路となるスイベルジョイント11からの排出経路に対しては、スイベルジョイント11にくり粉の排出を促す高圧水32の注入口13を設けることにより、粘土化したくり粉が発生しても排出経路を詰まらせることなく削孔を適切に行うことを可能とする。
【0027】
無水削孔システム1が備える削孔機10は、実施形態ではロータリーパーカッション機能を備えた削孔機10を使用する。削孔機10は、インナーロッド41及びアウターロッド45を備える二重管40が取り付けられるよう、図示しないが、インナーロッド41とアウターロッド45をそれぞれ独立してクランプするクランプ手段を備える。
【0028】
インナーロッド41の先端にはインナービット42が備えられ、インナーロッド41の外周側に一定の空間を有するように離隔して取り囲むアウターロッド45の先端にはリング状に配置されるアウタービット46が備えられる。インナービット42及びアウタービット46はともに削孔機10のドリルヘッドから加えられる回転力と打撃力により削孔を進める。
【0029】
アウタービット46は、削孔時にアウターロッド45と地山70との間に隙間を形成するため、アウタービット46の最外周の径が、アウターロッド45の外径より大きくなるように設置される。このような隙間を形成することにより、削孔中のアウターロッド45と地山70との間の摩擦力による回転抵抗の発生を防止する。
【0030】
二重管40の後端にはスイベルジョイント11が取り付けられる。本発明の実施形態によるスイベルジョイント11は、
図2、3を参照して後述するように、二重管40に取り付け、二重管40と共に回転する内構部と、内構部を取り囲み、内構部が回転しても一緒に回転しないように構成された外殻部とを備え、外殻部にはインナーロッド41内に圧縮空気23を供給する供給口12と、インナーロッド41とアウターロッド45の間の空間をくり粉とともに吹き戻る圧縮空気23をくり粉とともに排水槽60に排出する排出口14と、排出口14からのくり粉の排出を促す高圧水32の注入口13とを有する。
【0031】
空気圧縮機20から供給された圧縮空気23は、供給パイプ21を通り、供給口12からインナーロッド41に供給される。ここではパイプは柔軟なホースなどを含む中空の管の総称としている。インナーロッド41の内空を通過した圧縮空気23は、インナーロッド41の先端部にてインナービット42及びアウタービット46を冷却するとともに、削孔により発生するくり粉をインナーロッド41とアウターロッド45の間の空間である第1経路44を回帰しながら排出口14に向けて搬送する。このときインナーロッド41の内空を通過した圧縮空気23の一部は、アウターロッド45と地山70との間の空間である第2経路47を、くり粉の一部を搬送しながら口元処置装置50の排出口54に向け回帰する。
【0032】
くり粉が粘土質の場合、くり粉の主な排出経路となる第1経路44内においてアウターロッド45の内壁等に固着しやすい。しかし実施形態による二重管40では、インナーロッド41の外壁に、インナーロッド41の長手方向に沿ってアウターロッド45の内壁に向けて突出するくり粉の削ぎ落とし用の突起43を備える。削孔中にインナーロッド41とアウターロッド45との回転速度が異なれば、削孔中もアウターロッド45の内壁に固着するくり粉を削ぎ落とせるが、通常はインナーロッド41とアウターロッド45は一緒に固定して回転させるため、削孔中のくり粉の削ぎ落としは難しい。実施形態では一定の距離、例えば1m削孔するごとに圧縮空気23の供給とアウターロッド45の回転を止め、インナーロッド41を単独で回転させつつインナーロッド41軸方向(上下)に移動(摺動回転)させながら、くり粉のそぎ落としを行う。なお、この際、アウターロッド45の露出部を一旦切離すことでインナーロッド41を単独に摺動回転できる。そして、削ぎ落としたくり粉は圧縮空気23の供給を再開することで圧縮空気23により排出口14に向けて搬送される。
【0033】
削孔中のくり粉や、削ぎ落としたくり粉は二重管40からスイベルジョイント11に入り排出口14から排出パイプ61を通って排水槽60に排出されるが、この間にもスイベルジョイント11内や、排出パイプ61内で固着してしまうことも起こりうる。そこで実施形態では高圧洗浄機30により生成した高圧水32を、高圧水供給パイプ31を通して注入口13に注入する。高圧水32は圧縮空気23が供給されている状態でのみ行うことにより、注入した高圧水32が二重管40から地山70に流れ込むことはない。注入した高圧水32は固着したくり粉を流動化させ、流動化したくり粉は排出パイプ61内を容易に流動して排水槽60に排出される。
【0034】
口元処理装置50は、アウターロッド45と地山70との間の隙間を経由する第2経路47を流れてくるくり粉混じりの圧縮空気23を、漏洩させることなく排出口54に導く装置である。
【0035】
口元処理装置50は、二重管40による削孔を行う開始点の部分に設置するが、単に固定しただけでは口元処理装置50と接地面との隙間などから、くり粉混じりの圧縮空気23が流出してしまい、粉塵の発生要因となる。そのため一実施形態では路盤コンクリート72を路盤71に至るまで円柱状にくりぬくコア抜きを行い、コア抜き部に口元処理装置50を取り付けるための短尺のドリルロッド80を打ち込み、ドリルロッド80の頭頂部に圧縮空気23が漏洩しないようにして口元処理装置50を取り付け、最後に、打ち込んだドリルロッド80の周辺のコア抜きした底部に、地山70とドリルロッド80との隙間から圧縮空気23が漏洩しないようにモルタル81を充当することで漏洩の無いように口元処理装置50を設置する。
【0036】
口元処理装置50の挿通孔51には二重管40を挿通するが、口元処理装置50は漏洩防止手段52をさらに備えることにより、削孔時には回転したり軸方向に移動したりする二重管40の周り、即ちアウターロッド45の周りを、二重管40の動作を阻害しないようにしながら圧縮空気23が漏れないように閉塞する。漏洩防止手段52は、例えば空気圧により膨らむチューブを有するプリペンダなどで実現してもよい。
【0037】
実施形態の口元処理装置50では、空気圧縮機20から供給される圧縮空気23を導く供給パイプ22が接続される供給口53をさらに備え、圧縮空気23により排出口54から排出パイプ62を通って排水槽60に向かうくり粉の流れを促進する。
【0038】
排水槽60は、排出口14から排出されたくり粉混じりの高圧水(泥水又は排出水)32を貯めてくり粉を沈殿させる。排出口14や排出口54から排出されるくり粉混じりの圧縮空気23は排水槽60内に貯めた水をくぐらせてくり粉を除いてから外部に放出される。このため削孔で生じるくり粉は粉塵としてトンネル内に放出されることはない。
【0039】
図2は、本発明の実施形態によるスイベルジョイントの構造を示す概略図であり、
図2(a)はスイベルジョイントの平面図、
図2(b)はスイベルジョイントの正面図である。また、
図3は、
図2に示すスイベルジョイントのA-A’線に沿う断面を概略的に示す図である。
【0040】
図2、3を参照すると、本発明の実施形態によるスイベルジョイント11は、外周に位置する外殻部15と、外殻部15の内側にあって外殻部15に対して回転可能に構成される内構部16とを備える。
【0041】
外殻部15には、圧縮空気23の供給口12、高圧水32の注入口13、圧縮空気23又は高圧水32とともに排出されるくり粉の排出口14が設けられる。圧縮空気23の供給口12のある部分では、供給口12の位置に合わせてリング状の周回溝18-1が設けられ、高圧水32の注入口13とくり粉の排出口14のある部分では、注入口13と排出口14の位置に合わせてリング状の周回溝18-2が設けられる。周回溝18-1と周回溝18-2は高さ、すなわち
図3の上下方向の位置が異なるように形成する。また注入口13と排出口14はリング状の周回溝18-2を共用するような位置に設ける。
【0042】
内構部16は二重管40の端部に直接取り付けられる部分であり、インナーロッド41とアウターロッド45の端部がそれぞれねじ止めされて固定される。これにより内構部16は二重管40と共に回転する。
【0043】
インナーロッド41がねじ止めされた端部の先、即ち
図3ではインナーロッド41の端部の上方にはインナーロッド41の内部空間と連続する形で円筒状の空間が設けられ、この円筒状の空間に向けて、内構部16の外周から圧縮空気23の供給経路となる貫通孔19-1が形成される。貫通孔19-1は、外殻部15のリング状の周回溝18-1に合うような位置に設けることで圧縮空気23の供給口12から外殻部15のリング状の周回溝18-1、貫通孔19-1を介してインナーロッド41の内部空間につながる圧縮空気23の供給経路が形成される。
図3では左右方向と
図3の奥行方向に貫通孔19-1が示されるが、圧縮空気23が供給できれば貫通孔19-1の位置や数はこれに限らない。
【0044】
アウターロッド45がねじ止めされた端部の先には、インナーロッド41とアウターロッド45の間の空間と連続する形で円筒状の空間が設けられる。この円筒状の空間はインナーロッド41が固定された状態ではインナーロッド41が貫通するため空間としてはリング状の形状となる。このリング状の空間に向けて内構部16の外周から圧縮空気23の排出経路となる貫通孔19-2が形成される。貫通孔19-2は、外殻部15のリング状の周回溝18-2に合うような位置に設けることで、インナーロッド41とアウターロッド45の間の空間から貫通孔19-2、リング状の周回溝18-2を介して排出口14に至るくり粉の搬出経路が形成される。またリング状の周回溝18-2には高圧水32の注入口13もつながっているので、注入口13から注入された高圧水32によりくり粉の排出を促進する構造も形成される。
【0045】
削孔に伴い内構部16は二重管40と共に回転するが、外殻部15は回転することがない。
図3には示していないが、内構部16の回転を円滑にするために内構部16と外殻部15の間にボール軸受けを設けてもよい。いずれにしても内構部16と外殻部15の間に回転を可能にするためのわずかな隙間が存在するため、この隙間からの圧縮空気23や高圧水32の漏洩を防止するため外殻部15には複数個所、特にリング状の周回溝(18-1、18-2)を挟むようにシール材17を設ける。
【0046】
図4は、本発明の実施形態によるインナーロッドの突起を例示的に示す図であり、
図4(a)は、二重管のアウターロッドのみを直径に沿って切断し、インナーロッドの外観が見えるように示した図であり、
図4(b)は、
図4(a)のアウターロッドを切断しない状態でB-B’線に沿って切断した二重管の横断面図である。
【0047】
図4を参照すると、インナーロッド41の外壁には、インナーロッド41の長手方向に沿い、アウターロッド45の内壁に向けて突出するくり粉の削ぎ落とし用の突起43を備える。突起43はアウターロッド45にぎりぎり接しない高さで突出させることでくり粉を効果的に削ぎ落すことが可能となる。一実施形態では
図4(b)に示すように3方向に形成するが、他の実施形態ではこれより多くても少なくてもかまわない。しかし、いずれにしても複数の突起43はインナーロッド41の外壁に回転対象となる位置に設けることが好ましい。また、突起43は、くり粉の主な排出経路となる第1経路44内に設けられるため、あまり増やすと第1経路44の有効な面積が減少してしまう。そこで突起43は2、3か所に設けるのが好ましい。突起43を設けても第1経路44は突起43同士の間の空間として確保されるので、削孔中は第1経路44を通してくり粉が排出されることに変わりはない。
【0048】
固着するくり粉の削ぎ落しは、削孔の合間にアウターロッド45の回転を止め、インナーロッド41のみを回転して行うが、この時インナーロッド41は軸方向にも動かすようにするため、突起43はインナーロッド41全長にわたって設ける必要はない。
二重管40は削孔が深くなるに従い、継ぎ足し用の二重管40を継ぎ足して長くしていくが、継ぎ足し用のインナーロッド41にはそれぞれ突起43を設けることが好ましい。
突起43はオーガのような複雑な形状である必要はなく、直線状でよいので例えば適切な直径の鉄筋棒をインナーロッド41に溶接するなどして比較的容易に形成することが可能である。
【0049】
図5は、本発明の実施形態による無水削孔によるロックボルト打設方法を説明するためのフローチャートである。
図5を参照すると、段階S500にて、ロックボルトの打設を行う場所に口元処理装置50を設置する。ドリルロッド80の頭頂部に取り付ける口元処理装置50の場合は、先ず路盤コンクリート72のコア抜きを行った後、コア抜きした孔の中央に中心軸を合わせて円管状のドリルロッド80を打ち込み、ドリルロッド80周辺のコア抜きした孔の底部にモルタル81を充当して圧縮空気23の漏洩対策を行った上で、ドリルロッド80の頭頂部に取り付ける。
【0050】
口元処理装置50は上記のような取り付け方法の他、前述の特許文献2に記載のように路盤コンクリート72に直接取り付けるようにしてもよい。この場合は口元処理装置50の下端フランジのアンカー用孔の位置に対応してアンカーを路盤コンクリート72に打ち込んだ後、アンカーがアンカー用孔を挿通するようにフランジを設置してナットで締結する。このときパッキンを挟み込み、路盤コンクリート72と口元処理装置50の下端フランジとの隙間から圧縮空気23が漏洩しないように取付ける。
なお、他の実施形態としては、口元処理装置50の下端にゴムパートを取り付け、削孔時に削孔機10のガイドセルで口元処理装置50を押し付けるようにして、アウターロッド45からの排気の漏出を防止する構成にしてもよい。
【0051】
口元処理装置50の設置後、インナービット42を備えるインナーロッド41と、先端にアウタービット46を備えるアウターロッド45とからなる二重管40を取り付けた削孔機10によりロックボルト挿入孔の無水削孔を行って、インナーロッド41とアウターロッド45との間の第1経路44と、アウターロッド45と地山70との間の第2経路47より圧縮空気23とともにくり粉を排出する(段階S510)。
【0052】
くり粉を排出するための圧縮空気23は、空気圧縮機20からスイベルジョイント11を介してインナーロッド41の内部に供給され、インナーロッド41先端の噴出口から噴出された後、第1経路44と、第2経路47に分流される。
第1経路44に流れる圧縮空気23はインナービット42又はアウタービット46により削り出されるくり粉の一部を巻き込み、アウターロッド45頭頂部に備え付けられるスイベルジョイント11の排出口14より、くり粉とともに排出パイプ61に排出される。
第2経路47に流れる圧縮空気23はインナービット42又はアウタービット46により削り出されるくり粉の残りを巻き込み、口元処理装置50に流入後、供給口53より供給される新たな圧縮空気23と混合されて加速され、新たな圧縮空気23、くり粉とともに排出口54より排出パイプ62に排出される。
【0053】
地山70が泥岩又は地下水を含んでいる場合は、上記の流れでくり粉が順調に排出されるとは限らず、粘土状になったくり粉の一部が排出経路の途中で固着する可能性がある。排出経路の内、第1経路44によりスイベルジョイント11に回帰後、排出口14より排出パイプ61に排出される経路に関しては、圧縮空気23が供給されている間、スイベルジョイント11の注入口13から高圧水32を注入することで粘土状になったくり粉の流動性を増加させ排出を容易とする。
【0054】
これに対し、インナーロッド41とアウターロッド45との間の第1経路44については、固着したくり粉の削孔中の排出は難しい。そこで実施形態では段階S510で二重管40による削孔及びくり粉の排出を一定距離実施後段階S520で固着したくり粉の除去を行う。
【0055】
図5には示していないが、固着したくり粉の除去は、圧縮空気23の供給とアウターロッド45の回転を止め、インナーロッド41のみを回転させながらインナーロッド41の軸方向に移動し、くり粉の削ぎ落とし用の突起43によりアウターロッド45の内壁に固着するくり粉を削ぎ落とす段階と、圧縮空気23を供給し、削ぎ落としたくり粉を排出する段階とを含む。
【0056】
また、削ぎ落としたくり粉の排出は、スイベルジョイント11の供給口12から圧縮空気23を供給するとともにスイベルジョイント11の注入口13から高圧水32を注入することにより行われる。高圧水32の注入は、圧縮空気23が供給されている状態でのみ行うようにすることで高圧水32が二重管40の中に流れ込むことはない。
【0057】
高圧水32の注入により流動性が増したくり粉は、圧縮空気23、高圧水32と共に排出口14から排出パイプ61を通過して排水槽60に搬送される。また第2経路47を通り、排出口54から排出されるくり粉も、排出パイプ61を介して排水槽60に搬送される。排水槽60ではくり粉は水中で沈殿することで分離され、排水槽60から外部に飛散することはない。
【0058】
段階S520で固着したくり粉の除去を行ったあと、段階S530で、必要な距離の削孔が終了したかどうかの判断を行い、削孔が終了していない場合は段階S510に戻って削孔とくり粉の除去の段階を繰り返す。削孔を進めるにあたり二重管40の長さが不足する場合は順次継ぎ足し用の二重管40を継ぎ足して削孔を深めていく。
【0059】
段階S530で、必要な深さまでの削孔が終了したと判断される場合、段階S540にてインナーロッド41を回収して、ロックボルトを固定するためのモルタルをロックボルト挿入孔の中に充填し、続けてロックボルトを挿入する。モルタルを充填する際は、注入用ホースの先端をロックボルト挿入孔の底部まで挿入してから注入する。これにより孔内に湧水があっても、モルタルで置換することができる。モルタル注入により置換された湧水が口元まで上がってくる場合は小型バキュームで吸引して取り除くことができる。
【0060】
段階S540の処理を行う間、地山70が変形しようとしてもアウターロッド45が削孔の外壁を支持するため、作業性に影響が出ることはない。ロックボルトにはスペーサを取り付けることで挿入孔の中で適切な位置を維持するようにして挿入することが可能となる。また長尺のロックボルトが必要な場合はカプラーにより扱いやすい適度な長さのロックボルトをつなぎ合わせて使うことが可能である。ロックボルトの挿入にロータリーパーカッションドリルタイプの削孔機10に搭載されている電動ウィンチを使用してもよい。
【0061】
ロックボルトの挿入が終了し、ロックボルトの天端などの測定により、ロックボルトが所定深さまで挿入されていることを確認後、段階S550にて、アウターロッド45及び口元処理装置50を回収する。この時点ではまだモルタルは固まっておらず、アウターロッド45を回収する際、アウターロッド45の外側の隙間やクラックなどにモルタルが浸透し、モルタルの上面が低下することが有る。その場合は時間をおいてモルタルの沈降が収まってから所定の高さまでモルタルを追加注入する。
【0062】
モルタルが適正高さにて硬化した状態で、段階S560にてロックボルトの頭部にベアリングプレートをナットで締結してロックボルト打設を終了する。この時点でロックボルトによる補強効果が発揮されるようになる。
【0063】
この後、道路として路面を平坦化するために、ロックボルトの頂部に路盤モルタルの充填や超早強コンクリートでの舗装盤充填などを実施する。このときロックボルトの頂部の上方からコア抜き部の側壁に向かって斜め下方向に鉄筋を打ち込んだ後、鉄筋の頭部をコア抜き部の内部に収めるように曲げてから、この鉄筋を含めロックボルトの頂部に路盤モルタルの充填や超早強コンクリートでの舗装盤充填などを実施する。このように鉄筋で補強することにより交通開放後もロックボルト頂部を埋め込んだ路盤モルタルや超早強コンクリートの沈み込みを防止することができる。
【0064】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更することが可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 無水削孔システム
10 削孔機
11 スイベルジョイント
12、53 供給口
13 注入口
14、54 排出口
15 外殻部
16 内構部
17 シール材
18-1、18-2 周回溝
19-1、19-2 貫通孔
20 空気圧縮機
21、22 供給パイプ
23 圧縮空気
30 高圧洗浄機
31 高圧水供給パイプ
32 高圧水
40 二重管
41 インナーロッド
42 インナービット
43 突起
44 第1経路
45 アウターロッド
46 アウタービット
47 第2経路
50 口元処理装置
51 挿通孔
52 漏洩防止手段
60 排水槽
61、62 排出パイプ
70 地山
71 路盤
72 路盤コンクリート
80 ドリルロッド
81 モルタル