(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141734
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】データ通信経路確立システム及び方法
(51)【国際特許分類】
H04L 12/22 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
H04L12/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053535
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂井 大斗
(72)【発明者】
【氏名】日暮 昌輝
(72)【発明者】
【氏名】多胡 尚
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 毅一
(72)【発明者】
【氏名】三ツ橋 元気
【テーマコード(参考)】
5K030
【Fターム(参考)】
5K030GA15
5K030HB06
5K030HC01
5K030JA10
5K030LB02
5K030LC13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】携帯端末が通信可能なICTデバイスの候補が複数ある場合に、ユーザによる接続情報の管理および接続作業の煩雑さを解消し素早く目的のICTデバイスと接続し、ユーザに所望の機能を容易に提供可能にするデータ通信経路確立システム及び方法を提供する。
【解決手段】携帯端末3は、管理データベース4にユーザを指定してアクセスすることにより、該ユーザが所属する団体に紐づいた情報を該データベースから取得する通信制御部31と、取得した情報に基づいてユーザが使用可能な建設機械(車両1)及び接続可能な制御ユニット10の識別情報及び機能を該ユーザに提示する表示部34と、を有し、ユーザが提示された建設機械及び制御ユニットを選択すると、該制御ユニットの接続情報を用いて該携帯端末と該制御ユニットとの間のデータ通信経路を確立する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械に設けられ、コントローラに目的に応じた異なるソフトウェアを動作させることで所定の機能を実現する複数の制御ユニットを有する制御ユニット群と、
前記複数の制御ユニットの各制御ユニットごととデータ通信可能な携帯端末と、
ユーザ、該ユーザが所属する団体、該団体が所有する建設機械、並びに該建設機械に搭載された前記制御ユニットの識別情報、機能および該制御ユニットと前記携帯端末との間のデータ通信に必要な接続情報を少なくとも登録したデータベースと、
を有し、
前記携帯端末は、前記データベースにユーザを指定してアクセスすることにより、該ユーザが所属する前記団体に紐づいた情報を該データベースから取得する通信制御部と、取得した前記情報に基づいて前記ユーザが使用可能な前記建設機械、及び接続可能な前記制御ユニットの識別情報および機能を該ユーザに提示する表示部とを有し、
前記ユーザが提示された前記建設機械および前記制御ユニットを選択すると、該制御ユニットの前記接続情報を用いて該携帯端末と該制御ユニットとの間のデータ通信経路を確立する、
ことを特徴としたデータ通信経路確立システム。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ通信経路確立システムであって、
前記制御ユニットは、前記接続情報に応じてユーザがアクセス可能なデータの範囲を変更する情報処理部を有し、
前記ユーザは権限情報を持ち、該権限情報に応じて前記制御ユニットの前記接続情報が異なる、
ことを特徴とするデータ通信経路確立システム。
【請求項3】
請求項1に記載のデータ通信経路確立システムであって、
前記接続情報は前記携帯端末から変更可能である、
ことを特徴とするデータ通信経路確立システム。
【請求項4】
建設機械に設けられ、コントローラに目的に応じた異なるソフトウェアを動作させることで所定の機能を実現する複数の制御ユニットを有する制御ユニット群と、
前記複数の制御ユニットの各制御ユニットごととデータ通信可能な携帯端末と、
ユーザ、該ユーザが所属する団体、該団体が所有する建設機械、並びに該建設機械に搭載された前記制御ユニットの識別情報、機能および該制御ユニットと前携帯端末との間のデータ通信に必要な接続情報を少なくとも登録したデータベースと、
を有するデータ通信経路確立システムを用いたデータ通信経路確立方法であって、
前記携帯端末を用いて、前記データベースにユーザを指定してアクセスすることにより、該ユーザが所属する前記団体に紐づいた情報を該データベースから取得しと、取得した前記情報に基づいて前記ユーザが使用可能な前記建設機械、及び接続可能な前記制御ユニットの識別情報および機能を該ユーザに提示し、
前記ユーザが提示された前記建設機械および前記制御ユニットを選択すると、該制御ユニットの前記接続情報を用いて該携帯端末と該制御ユニットとの間のデータ通信経路を確立する、
ことを特徴としたデータ通信経路確立方法。
【請求項5】
請求項4に記載のデータ通信経路確立方法であって、
前記制御ユニットは、前記接続情報に応じてユーザがアクセス可能なデータの範囲を変更し、
前記ユーザは権限情報を持ち、該権限情報に応じて前記制御ユニットの前記接続情報が異なる、
ことを特徴とするデータ通信経路確立方法。
【請求項6】
請求項4に記載のデータ通信経路確立方法であって、
前記接続情報は前記携帯端末から変更可能である、
ことを特徴とするデータ通信経路確立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両に搭載されたICTデバイスと携帯端末との間のデータ通信経路確立システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械を用いた工事において、安全性向上、省人化、ライフサイクルコスト低減等を目的とし、種々のICTデバイスの搭載が進んでいる。例えば、車両周囲の映像をカメラで撮影・録画し、後で作業状況を振り返ることが可能な周囲監視システムや、車両が作業した位置を記録し地図上で可視化することで作業の進捗が管理可能な進捗管理システムなどが挙げられる。これらのICTデバイスのユーザインターフェースとして、スマートフォンで代表されるような汎用的な携帯端末を用いるケースが増えている。すなわち、車載されたICTデバイスと携帯端末との間でデータ通信(主に無線LANなどの無線通信)の経路を確立(以下、単に「接続」とも表記する。)し、携帯端末上の画面操作によりICTデバイスにユーザ(建設機械のオペレータや現場管理者、周囲作業者など)からの指示を出したり、携帯端末がICTデバイスからの情報を受信してユーザが理解できる形式に処理して画面に表示したりする、などしている。
【0003】
データ通信の経路を確立する際に、セキュリティを担保する目的で通信に対する認証が実行されることが一般的である。また、汎用的な通信端末を使用することから、認証の技術自体も汎用的な方法が用いられることが一般的である。すなわち、SSID(Service Set Indentifier)などICTデバイスごとに固有の識別情報による接続対象の指定および接続パスワードなど認証鍵による認証(以下、固有の識別情報と認証鍵の組み合わせを「接続情報」と記載する)が行われる。
【0004】
このようなICTデバイスは、目的(機能)ごとに1つずつ搭載されることが一般的であったが、近年では1つのICTデバイスが複数の機能を担うことも増加してきている。特に、ICTデバイスに搭載されるソフトウェアを部分的に変更することで多様な目的を実現している製品群が存在している。このような製品群ではICTデバイスと通信端末との通信機能が共通化されており接続情報に含まれる固有の識別情報のみでは何の目的を実現しているデバイスか識別しづらい。したがって、1台の建設機械にこのような目的の異なるICTデバイスが複数搭載されている場合、ユーザは携帯端末を特定の目的を果たすICTデバイスと接続しようとすると、複数の接続情報の候補から記憶を頼りに接続対象を選択する必要がある。さらに、建設機械が稼働する現場においてはユーザが複数の建設機械を扱うことが少なくなく、接続するICTデバイスの候補が建設機械の台数に比例して増えることとなり、接続情報の管理が非常に煩雑であり、携帯端末とICTデバイスとの接続情報の管理の容易化が課題となっていた。
【0005】
このような課題に対し、例えば特許文献1には、ユーザが使用する携帯端末の識別情報と、その携帯端末とデータ通信が許可された車載機器の識別情報とを関連付けしたデータベースが配置され、ユーザが携帯端末を接続したい車載機器およびデータベースと通信可能な状態にした後に所定のソフトウェアを起動すると、携帯端末が自身の識別情報とデータ通信を行おうとしている車載機器の識別情報とをデータベースに送信し、データベースは受信した携帯端末の識別情報と車載機器の識別情報とが関連付けられているかを照合し、関連付けられていると判断した場合にデータ通信を許可する許可キーを携帯端末に出力し、携帯端末と車載機器とがデータ通信を開始することで、携帯端末と車載機器との認証に関するユーザの作業を簡易化する技術が公開されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の技術によれば、ユーザが管理する必要のある携帯端末と車載機器との接続情報を減らし、素早く接続を行うことができる。しかし、この技術は携帯端末と車載機器とを事前に通信可能にする工程を含んでおり、その作業の詳細については言及されていない。また、通信可能な車載機器の候補が複数台存在する場合についても言及されていない。
【0008】
本発明は、前述した従来技術における実情からなされたもので、その目的は、携帯端末をユーザインターフェースに持つICTデバイスで構成されるシステムにおいて、携帯端末が通信可能なICTデバイスの候補が複数ある場合に、ユーザによる接続情報の管理および接続作業の煩雑さを解消し素早く目的のICTデバイスと接続し、ユーザに所望の機能を容易に提供可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一実施例に係るデータ通信確立システムは、建設機械に設けられ、コントローラに目的に応じた異なるソフトウェアを動作させることで所定の機能を実現する複数の制御ユニットを有する制御ユニット群と、複数の制御ユニットの各制御ユニットごととデータ通信可能な携帯端末と、ユーザ、該ユーザが所属する団体、該団体が所有する建設機械、並びに該建設機械に搭載された制御ユニットの識別情報、機能および該制御ユニットと携帯端末との間のデータ通信に必要な接続情報を少なくとも登録したデータベースと、を有し、携帯端末は、データベースにユーザを指定してアクセスすることにより、該ユーザが所属する団体に紐づいた情報を該データベースから取得する通信制御部と、取得した情報に基づいてユーザが使用可能な建設機械、及び接続可能な制御ユニットの識別情報および機能を該ユーザに提示する表示部とを有し、ユーザが提示された建設機械および制御ユニットを選択すると、該制御ユニットの接続情報を用いて該携帯端末と該制御ユニットとの間のデータ通信経路を確立する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、携帯端末が通信可能なICTデバイスの候補が複数ある場合に、ユーザによる接続情報の管理および接続作業の煩雑さを解消し素早く目的のICTデバイスと接続し、ユーザに所望の機能を容易に提供することが可能になる。
本発明に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。上記した以外の課題、構成および効果については、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施例に係るシステムの全体構成を示すブロック図。
【
図2】システムが有するデータベースに登録された会社情報の一例を示す図。
【
図3】システムが有するデータベースに登録されたユーザ情報の一例を示す図。
【
図4】システムが有するデータベースに登録された車両情報の一例を示す図。
【
図5】システムが有するデータベースに登録されたICTデバイス情報の一例を示す図。
【
図6】管理データベースへのユーザ登録の際に実行される処理を示すフローチャート。
【
図7】管理データベースへのICTデバイスの登録の際に実行される処理を示すフローチャート。
【
図8】端末上で実行されるアプリへのログイン処理について説明するための図。
【
図9】端末上でアプリを実行する際の処理を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づき本発明の実施例について説明する。
(システム構成)
図1は、本発明の一実施例に係るシステムの全体構成を示すブロック図である。一実施例に係る経路確立システムは、建設機械等の車両1に目的ごと(機能ごと)に1式ずつ搭載される複数のICTデバイス2と、ユーザが所有する携帯端末3と、管理データベース4とを有する。車両1は、異なる車両を区別するために車両1a、1bなどと表記している。ICTデバイス2は、異なるICTデバイスを区別するためにICTデバイス2a、2bなどと表記している。
【0013】
(ICTデバイスの構成)
ICTデバイス2は、無線LAN機能を有する制御ユニット10およびセンサユニット14を有する。制御ユニット10は、通信制御部11、データ保存部12、及び情報処理部13を有する。通信制御部11は携帯端末3とICTデバイス2の間の接続の認証を行う。通信制御部11が認証に成功した場合には、さらに携帯端末3との間のデータのやり取りを制御し、受信したデータをデータ保存部12内に保存する。情報処理部13はセンサユニット14が収集したデータを目的に応じて適切に処理し、結果をデータ保存部12に保存する。なお、本実施例ではICTデバイス2の最低限の構成を記載したが、センサユニットが複数あっても良いし、ICTデバイスの外部に作用するアクチュエータユニットや表示ユニットが付いていても良いし、制御ユニット10がセンサユニットやアクチュエータユニットや表示ユニットを包含していても良い。
【0014】
(携帯端末の構成)
携帯端末3は、少なくとも無線LAN機能を有する通信制御部31と、データ保存部32と、情報処理部33と、表示部34と、入力部35とを有する。通信制御部31はICTデバイス2および管理データベース4との通信を制御し、管理データベース4およびICTデバイス2とデータ保存部32とのデータのやり取りを制御する。情報処理部33はデータ保存部32に保存されたデータを目的に応じて適切に処理し、処理結果を表示部34に表示する。また、情報処理部33は入力部35からの入力信号を適切に処理し、データ保存部32に保存する。なお、本実施例では携帯端末3の最低限の構成を記載したが、その限りではない。また、携帯端末3上では後述する接続アプリが稼働する。
【0015】
(管理データベースの構成)
管理データベース4は、通信制御部41と、データ保存部42と、情報処理部43とを有する。通信制御部41は、携帯端末3からの接続要求の認証を行い、認証が成功した場合は携帯端末3とデータ保存部42とのデータのやり取りを制御する。情報処理部43は、データ保存部42に保存されたデータを適切に処理し、処理結果をデータ保存部42に保存する。データ保存部42に保存されるデータの内容および保存方法は、後述する。また、通信制御部41は、図示しないパソコンなどの外部処理装置からの接続要求の認証を行い、認証が成功した場合は携帯端末3とデータ保存部42とのデータのやり取りを制御する。なお、本実施例では管理データベース4の最低限の構成を記載したが、その限りではない。例えば管理データベース4が入力部や表示部を包含しても良い。
【0016】
(管理データベースの保存データの内容)
上述した、管理データベース4のデータ保存部42に保存されるデータの内容について説明する。管理データベース4には、ユーザ情報と、ユーザが所属する団体(会社)に関する情報と、会社が所有する車両情報と、車両に搭載されたICTデバイス情報と、ICTデバイスが持つ機能およびそのICTデバイスへの接続情報とが保存されている。
【0017】
図2~
図5は上記情報の具体的な登録例を示す図表である。具体的には、
図2は会社情報の登録例を表し、会社ごとに固有のID(会社ID)と、会社名とが登録されている。
図3はユーザ情報の登録例を表し、ユーザごとに固有のID(ユーザID)と、ユーザ名と、そのユーザが所属する会社の会社IDと、そのユーザが管理データベースにアクセスするための認証パスワードが登録されている。
【0018】
図4は車両情報の登録例を表し、車両ごとに固有のID(車両ID)と、車両を一意に識別可能な情報(車両識別番号)と、その車両が所属する会社の会社IDと、その車両の機種名の情報が登録されている。
図5はICTデバイスに関する情報の登録例を表し、ICTデバイスごとに固有のID(デバイスID)と、ICTデバイスを一意に識別可能な情報(個体識別番号)と、そのICTデバイスが搭載されている車両の車両IDと、そのICTデバイスが持つ機能と、そのICTデバイスに接続するための接続情報(SSIDおよび接続パスワード)が登録されている。
【0019】
(管理データベースへのデータ保存方法)
次に、上述した各種情報の保存方法について説明する。管理データベースへのデータ保存作業(以下、データを保存することを「登録」とも表記する。)は、原則として管理データベースの管理者が実施する。まず管理データベースへのユーザ情報の登録(ユーザ登録)について、
図6のフローチャートを用いて説明する。初めにユーザ登録を希望するユーザは、管理者に対しユーザ名、所属する会社名、会社の住所等を連絡する(S01)。管理者は、管理データベースにPC等の端末を使用してアクセスし、ユーザから受け取った情報を確認し、受け取ったユーザ名と会社名の組み合わせが既に登録済みであるか否か確認する(S02)。受け取った情報が既に登録済であれば、受け取った情報を登録せずにユーザに登録済みであることを通知し、登録作業を終了する(S03、S05)。受け取った情報が未登録であれば(S03で“Yes”)、管理者はさらに受け取った情報に含まれる会社名が未登録であるか否か確認する(S04)。管理者は会社名が未登録であれば(S06で“Yes”)、会社名を会社IDと紐づけて登録する(S07)。
【0020】
その後、管理者はさらにユーザ名と会社IDと仮の接続パスワードを紐づけて登録する(S08)。登録が完了したら、管理者はユーザに登録完了の旨とユーザIDおよび仮の接続パスワードを通知する(S09)。ユーザは登録完了の通知を受け取ったら、管理データベースにユーザIDと仮の接続パスワードを使用してアクセスする(S10)。管理データベースは、接続パスワード登録画面をユーザに表示し、ユーザが入力した内容をそのユーザの接続パスワードとして登録する(S11、S12、S13)。以上のようにして管理データベースへのユーザ登録を完了する。
【0021】
次に、管理データベースへのICTデバイス情報の登録について
図7のフローチャートを用いて説明する。ICTデバイスの登録を希望するユーザは、管理者に対しICTデバイスの個体識別番号およびそのICTデバイスが搭載された車両の車両識別番号と機種名、ICTデバイスの持つ機能名、ICTデバイスへの接続情報(SSID、接続パスワード)を連絡する(S21、
図5参照)。管理者は、受け取ったICTデバイスの個体識別番号と車両の車両識別番号の組み合わせが未登録かを確認する(S22)。番号の組み合わせが登録済みであれば登録済みである旨をユーザに通知し、登録作業を終了する(S22、S23、S25)。
【0022】
受け取った番号の組み合わせが未登録であれば(S23で“Yes”)、管理者はさらに受け取った車両の車両識別番号が未登録であるか否かを確認する(S24)。そして番号が未登録であれば(S26で“Yes”)、車両識別番号と車両IDと機種名とを紐づけて登録する(S27)。その後、管理者はICTデバイスと車両IDとそのICTデバイスの機能と接続情報を紐づけて登録する(S28)。管理者は、登録が完了したら、登録が完了した旨をユーザに通知する(S29)。以上のようにして管理データベースへのICTデバイス登録を完了する。
【0023】
(携帯端末の接続アプリ)
次に、上記の登録情報に基づいてユーザが所望のICTデバイスに接続するために使用する、携帯端末3上で稼働する接続アプリについて
図8、
図9を用いて説明する。
【0024】
まずユーザが接続アプリを起動すると、
図8(a)に示すようにログイン画面100が表示される。ユーザはログイン画面でユーザIDおよび接続パスワードをそれぞれユーザID入力欄101と接続パスワード入力欄102に入力し、ログインボタン103を押す。入力されたユーザIDおよび接続パスワードは、携帯端末3の通信制御部31を経由してアクセス要求信号とともに管理データベース4へ送られる。管理データベース4では、アクセス要求信号を受信すると、合わせて受信したユーザ名と接続パスワードが登録済みかを照合する。
【0025】
入力された情報が登録内容と一致しなかった場合、管理データベース4は携帯端末3に認証失敗の信号を送信する。携帯端末3は認証失敗の信号を受け取ると、
図8(b)に示すように認証失敗画面110をユーザに表示する。ユーザがやり直すボタン111を押すと、再び
図8(a)のログイン画面100に戻る。
【0026】
図8(a)のログイン画面上において入力された情報が登録内容と一致した場合、管理データベース4はそのユーザIDに紐づいたユーザ名を抽出する(
図3参照)。また、ユーザIDに紐づいた会社IDを参照し、会社名を抽出する(
図2参照)。また、その会社IDに紐づいた車両IDを参照し、車両識別番号と機種名を抽出する(
図4参照)。また、その車両IDに紐づいたICTデバイスの個体識別番号と機能と接続情報を抽出する(
図5参照)。そして、管理データベース4は認証成功の信号とともに、抽出したユーザ名、会社名、車両識別番号と機種名、ICTデバイスの個体識別番号と機能と接続情報を、それぞれの関連性が保持された形式で携帯端末3に送信する。
【0027】
携帯端末3は、管理データベース4から認証成功の信号を受け取ると、
図9(a)に示す車両選択画面120をユーザに表示する。車両選択画面120には、管理データベース4から受け取った会社名及びユーザ名がユーザ情報欄121に表示される。また、車両選択画面120の車両選択欄122には、管理データベース4から受け取った車両識別番号が一覧表示される。ユーザは一覧の中から1台だけ選択可能であり、ユーザが1台を選択すると、携帯端末3は
図9(b)のデバイス選択画面130をユーザに表示する。
【0028】
デバイス選択画面130上においては、管理データベース4から受け取った会社名及びユーザ名がユーザ情報欄121に表示され、車両選択画面120上で選択した車両識別番号が車両選択欄122に表示される。また、デバイス選択欄131には、車両選択画面120で選択した車両識別番号に紐づくICTデバイスの個体識別番号と機能とが一覧表示される。ユーザは一覧の中から1台のICTデバイスだけ選択可能であり、ユーザが1台を選択すると、携帯端末3は
図9(c)に示す使用開始確認画面140を表示する。
【0029】
使用開始確認画面140には、管理データベース4から受け取った会社名及びユーザ名がユーザ情報欄121に表示され、車両選択画面120で選択した車両識別番号が車両選択欄122に表示され、デバイス選択画面130で選択したICTデバイスの個体識別番号と機能がデバイス選択欄131に表示される。ユーザが使用開始ボタン141を押すと、接続アプリは携帯端末3の通信制御部31を介して、検出しているSSIDと、デバイス選択画面で選択されたICTデバイスのSSIDとを照合する。
【0030】
登録不備や通信不調等により選択されたSSIDに該当するSSIDが見つからなかった場合、携帯端末3は
図9(d)に示す接続失敗画面150をユーザに表示する。ユーザがやり直すボタン151を押すと、再び
図9(c)の使用開始確認画面140を表示する。
【0031】
選択されたSSIDに該当するSSIDが見つかった場合、携帯端末3は該当するSSIDを持つICTデバイス2に、接続要求信号とともに接続パスワードを送信する。ICTデバイス2の通信制御部21は、接続要求信号を受け取ると、接続パスワードを照合する。
【0032】
パスワードの照合に失敗した場合、ICTデバイス2は携帯端末3に認証失敗信号を送信する。携帯端末3は認証失敗信号を受け取ると、
図9(d)に示す接続失敗画面150をユーザに表示する。ユーザがやり直すボタン151を押すと、
図9(c)に示す使用開始確認画面140を表示する。
【0033】
パスワードの照合に成功した場合、ICTデバイス2は携帯端末3に認証成功信号を送信する。携帯端末3は認証成功信号を受け取ると、デバイス選択画面で選択されたICTデバイスの機能を使用する画面を表示してICTデバイス2とのデータ通信を開始し、ICTデバイス2の持つ機能を使用可能なユーザインターフェースをユーザに表示する。本実施例では以降の詳細は省略する。
【0034】
なお、ユーザがデバイス選択画面130および使用開始確認画面140で車両選択欄122を押すと、携帯端末3は車両選択画面120を表示する。また、ユーザが使用開始確認画面140でデバイス選択欄131を押すと、携帯端末3はデバイス選択画面130を表示する。また、ユーザが車両選択画面120、デバイス選択画面130、使用開始確認画面140、接続失敗画面150でログアウトボタン152を押すと、携帯端末3はログイン画面100を表示する。このように、ある画面から任意の画面に遷移することも可能である。
【0035】
(実施例の効果)
以上で説明した実施例によれば、所望のICTデバイスを使用する際にユーザは自身のユーザ情報だけ管理すれば良く、搭乗する車両及び使用するICTデバイスが増加してもその接続情報を管理する必要が無く、管理が容易となる。また、携帯端末で自身のユーザ情報を入力した後は、表示される内容から、自身が搭乗する車両の車両識別番号および使用する機能を選択するだけで、短時間かつ容易に所望の機能を使用可能になる。
【0036】
(変形例1)
以下ではいくつかの変形例について説明する。上記の実施例では、携帯端末3とICTデバイス2との間の通信方法として無線LANを題材に挙げたが、固有の識別情報と接続パスワードによる認証を行うその他の通信方法を用いても良い。例えば、有線LANで通信を行う場合、携帯端末とICTデバイスとをLANケーブルで接続した後、固有の識別情報と接続パスワードによる認証を行ってからデータ通信を開始しても良い。
【0037】
(変形例2)
また上記の実施例ではICTデバイス2への接続情報の管理データベース4への登録を管理データベース4の管理者が実施する方法を説明したが、ユーザが変更可能としても良い。例えば、管理データベース4に登録済みのユーザが管理データベース4にPC等でアクセスした場合に、接続情報を変更可能な画面を表示するようにする。この場合、管理データベース4には変更前の接続情報と変更後の接続情報を記憶し、携帯端末3は管理データベース4から受け取った変更前の接続情報でICTデバイス2に接続した後に、ICTデバイスに対し変更後の接続情報を適用する処理を行い、自動的にICTデバイス2に変更後の接続情報を登録することが望ましいが、ICTデバイス2に手作業で変更後の接続情報を適用しても良い。
【0038】
もしくは、携帯端末3上で稼働する接続アプリでICTデバイス2に接続した後、そのICTデバイスとの接続情報を変更する画面を接続アプリ内で表示し、ユーザに接続情報を変更させても良い。この場合、接続アプリはICTデバイス2との接続情報の変更に成功した後、管理データベース4に対しても接続情報の変更要求を送信する。管理データベース4は接続が成功している携帯端末3からの接続情報の変更要求を受け取ると、管理データベース4上に保存された登録内容を更新する。
【0039】
(変形例3)
また上記の実施例ではICTデバイスが搭載される車両の管理データベース4への登録をユーザが管理データベース4の管理者に依頼する方法を説明したが、車両に搭載される機器を管理する他の車両管理データベースと連携し、ユーザを介さずに管理データベース4に登録しても良い。この場合、車両を販売・保守する業者が車両管理データベースに車両とその車両に搭載されるデバイスの紐づけを行う。
【0040】
(変形例4)
さらに上記の実施例に加え、ICTデバイス2が複数の接続情報を持ち、接続アプリがICTデバイスとの接続に使用した接続情報に応じてICTデバイス2と接続アプリとでやり取りするデータの内容を切り替えても良い。例えば、ICTデバイス2が一般ユーザ用接続情報と管理ユーザ用接続情報を持ち、接続アプリが一般ユーザ用接続情報を用いてICTデバイスと接続した場合にはICTデバイス内のデータの閲覧は可能だが変更はできないようにし、接続アプリが管理ユーザ用接続情報を用いてICTデバイスと接続した場合にはICTデバイス内のデータの閲覧と変更が可能なようにする。そして、管理データベース4は登録したユーザIDに対して「一般ユーザ」か「管理ユーザ」かの情報を付与し、接続アプリを介してユーザが管理データベース4にアクセスする際のユーザIDに応じて一般ユーザ用接続情報もしくは管理ユーザ用接続情報を携帯端末3に返すようにする。すなわち、ユーザはいくつかの権限情報を持っており、接続アプリは該権限情報に応じた接続情報をユーザの携帯端末に送信する方式である。
【0041】
このようにすれば、ICTデバイス内のデータを使用だけできれば与えられた作業ができる一般ユーザはデータを誤って削除するといった心配をせずに作業に集中できるし、ICTデバイス内のデータの変更が必要なユーザは従来と変わらずICTデバイス内のデータが変更可能である。そして、例えば社内でユーザ管理業務を行う者が、作業者に対し「一般ユーザ」か「管理ユーザ」のどちらかのユーザIDだけを通知することで、ユーザは自身が「一般ユーザ」か「管理ユーザ」かを意識せずとも与えられた役割を達成することが可能となるため、ICTデバイスへの接続時の煩雑さを増すことなくシステム全体のセキュリティ向上に寄与する。
【0042】
(変形例5)
また上記実施例では、ユーザは会社に所属しており、その会社が保有するすべての車両が使用可能であるように紐づけた構成を説明したが、会社内でユーザごとに使用可能な車両を紐づけても良い。
【0043】
(変形例6)
上記実施例では、管理データベース4へのデータの登録作業について説明したが、ユーザからの依頼に応じてデータを削除する作業を行うことも可能である。
【0044】
(変形例7)
また上記実施例では、同一の構成を持つ複数のICTデバイスを対象としたが、構成が異なっても同一の機能を有するデバイスであれば、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において本発明を適用することが可能である。
【0045】
以上で説明した本発明の実施例によれば、以下の作用効果を奏する。
(1)本発明に係るデータ通信経路確立システムは、建設機械に設けられ、コントローラに目的に応じた異なるソフトウェアを動作させることで所定の機能を実現する複数の制御ユニットを有する制御ユニット群と、複数の制御ユニットの各制御ユニットごととデータ通信可能な携帯端末と、ユーザ、該ユーザが所属する団体、該団体が所有する建設機械、並びに該建設機械に搭載された制御ユニットの識別情報、機能および該制御ユニットと携帯端末との間のデータ通信に必要な接続情報を少なくとも登録したデータベースと、を有し、携帯端末は、データベースにユーザを指定してアクセスすることにより、該ユーザが所属する団体に紐づいた情報を該データベースから取得する通信制御部と、取得した情報に基づいてユーザが使用可能な建設機械、及び接続可能な制御ユニットの識別情報および機能を該ユーザに提示する表示部とを有し、ユーザが提示された建設機械および制御ユニットを選択すると、該制御ユニットの接続情報を用いて該携帯端末と該制御ユニットとの間のデータ通信経路を確立する。
【0046】
上記構成により、携帯端末が通信可能なICTデバイスの候補が複数ある場合に、ユーザによる接続情報の管理および接続作業の煩雑さを解消し素早く目的のICTデバイスと接続し、ユーザに所望の機能を容易に提供することが可能になる。
【0047】
(2)制御ユニットは、接続情報に応じてユーザがアクセス可能なデータの範囲を変更する情報処理部を有し、ユーザは権限情報を持ち、該権限情報に応じて制御ユニットの接続情報が異なる。これにより、権限情報を有さないユーザによる不正アクセスを防止することができる。
【0048】
(3)接続情報は携帯端末から変更可能である。
【0049】
(4)また、本発明に係るデータ経路確立方法も、上記(1)~(3)に係るシステムと同様の効果を奏する。
【0050】
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記の実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明は、必ずしも説明した全ての構成を備える態様に限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、削除したり、他の構成を追加・置換したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 車両(建設機械)、2 ICTデバイス(コントローラ)、3 携帯端末、4 管理データベース、13 情報処理部、31 通信制御部、34 表示部