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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141747
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】水道メータ保持構造
(51)【国際特許分類】
   E03B 7/07 20060101AFI20241003BHJP
   G01F 1/00 20220101ALI20241003BHJP
【FI】
E03B7/07 Z
G01F1/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053559
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000201593
【氏名又は名称】前澤給装工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】西東 敏夫
【テーマコード(参考)】
2F030
【Fターム(参考)】
2F030CC02
2F030CF14
(57)【要約】
【課題】水道メータの交換に伴う止水性の低下を抑制することが可能な水道メータ保持構造を提供する。
【解決手段】水道メータ保持構造1Aは、水道メータ10の上流側に設けられる一次側接続配管部材2Aと、一次側接続配管部材2Aと水道メータ10とを水道水流通可能に繋ぐように設けられる可動部材3Aと、一次側接続配管部材2A及び可動部材3Aの連結部位において、一次側接続配管部材2A及び可動部材3Aの間に設けられる止水部材としてのOリング75と、を備え、可動部材3Aは、一次側接続配管部材2Aに対して摺動しながら、水道メータ10に連結された状態と水道メータ10から離間した状態とを移動可能であり、一次側接続配管部材2A及び可動部材3Aの摺動面の少なくとも一方は、樹脂製である、又は、金属めっき処理が施されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道メータの上流側に設けられる接続配管部材と、
前記接続配管部材と前記水道メータとを水道水流通可能に繋ぐように設けられる可動部材と、
前記接続配管部材及び前記可動部材の連結部位において、前記接続配管部材及び前記可動部材の間に設けられる止水部材と、
を備え、
前記可動部材は、前記接続配管部材に対して摺動しながら、前記水道メータに連結された状態と前記水道メータから離間した状態とを移動可能であり、
前記接続配管部材及び前記可動部材の摺動面の少なくとも一方は、樹脂製である、又は、金属めっき処理が施されている
ことを特徴とする水道メータ保持構造。
【請求項2】
前記可動部材は、
前記接続配管部材と前記水道メータとを水道水流通可能に繋ぐように設けられる樹脂製のスライド部材と、
前記スライド部材に外嵌される金属製のハンドル部材と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の水道メータ保持構造。
【請求項3】
前記スライド部材は、前記接続配管部材に内嵌されており、
前記接続配管部材及び前記ハンドル部材に外嵌される胴部材を備え、
前記ハンドル部材は、前記胴部材に対して螺合されており、
前記スライド部材は、前記ハンドル部材に対して軸方向に移動不能に取り付けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の水道メータ保持構造。
【請求項4】
前記接続配管部材は、
前記水道メータの上流側に設けられる金属製の配管部材と、
前記配管部材及び前記可動部材の連結部位において、前記配管部材及び前記可動部材の間に設けられる樹脂製の筒部材と、
を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の水道メータ保持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道メータを保持する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
水道メータは、法令によって定期的な交換が義務付けられている。かかる水道メータを交換可能に保持する構造として、特許文献1には、水道メータの一次側(上流側)において、配管と水道メータとの間に移動可能な管部材を設ける構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-101386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる構造において、金属製である配管及び管部材の接続部分には、Oリングが設けられている。金属製の配管及び管部材において水道水が触れる部位でスケールが発生すると、水道メータを交換するための管部材の移動時に、スケールがOリングによる密閉部位に入り込むことがある。そのため、Oリングによる止水性が低下し、Oリングを交換したり、配管及び/管部材を交換したりする必要性が生じるおそれがあった。
【0005】
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、水道メータの交換に伴う止水性の低下を抑制することが可能な水道メータ保持構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するために、本発明の水道メータ保持構造は、水道メータの上流側に設けられる接続配管部材と、前記接続配管部材と前記水道メータとを水道水流通可能に繋ぐように設けられる可動部材と、前記接続配管部材及び前記可動部材の連結部位において、前記接続配管部材及び前記可動部材の間に設けられる止水部材と、を備え、前記可動部材は、前記接続配管部材に対して摺動しながら、前記水道メータに連結された状態と前記水道メータから離間した状態とを移動可能であり、前記接続配管部材及び前記可動部材の摺動面の少なくとも一方は、樹脂製である、又は、金属めっき処理が施されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、スケールの発生を防止又は低減することによって、水道メータの交換に伴う止水性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第一の実施形態に係る水道メータ保持構造を模式的に示す側面図である。
図2】本発明の第一の実施形態に係る水道メータ保持構造の要部を模式的に示す断面図であり、水道水が流通可能な状態を示す図である。
図3】本発明の第一の実施形態に係る水道メータ保持構造の要部を模式的に示す断面図であり、水道メータを交換可能な状態を示す図である。
図4】本発明の比較例に係る水道メータ保持構造の要部を模式的に示す断面図であり、水道水が流通可能な状態を示す図である。
図5】本発明の比較例に係る水道メータ保持構造の要部を模式的に示す断面図であり、水道メータを交換可能な状態を示す図である。
図6】本発明の第二の実施形態に係る水道メータ保持構造の要部を模式的に示す断面図であり、水道水が流通可能な状態を示す図である。
図7】本発明の第三の実施形態に係る水道メータ保持構造の要部を模式的に示す断面図であり、水道水が流通可能な状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明において、一次側は、水道水の流通方向における上流側を示し、二次側は、水道水の流通方向における下流側を示す。
【0010】
図1に示すように、本発明の第一の実施形態に係る水道メータ保持構造1Aは、住宅の一次側に設けられる水道メータ10を保持するための構造である。
【0011】
<水道メータ>
水道メータ10は、水道水が流通する金属製の管部11と、管部11を流通する水道水の量を計測する計測部12と、計測部12による計測結果を表示する表示部13と、を備える。
【0012】
水道メータ保持構造1Aは、ベース部材20と、水道メータ10の一次側(上流側)に設けられる一次側接続配管部材2A、可動部材3A及び開閉弁部材4と、水道メータ10の二次側(下流側)に設けられる二次側接続配管部材5及び逆止弁部材6と、を備える。
【0013】
<ベース部材>
ベース部材20は、地面Gに設置されており、水道メータ10を地面Gに対して保持するための金属製の部材である。ベース部材20は、基部材21と、基部材21の一端部から上方に延設される一次側胴部材22と、基部材21の他端部から上方に延設される二次側胴部材23と、を一体的に備える。
【0014】
基部材21は、金属製(例えば、ステンレス製)の長板状部材であり、地面Gから離間する主板部21aと、主板部21aの一端部から延設されており、地面Gに固定される一次側フランジ部21bと、主板部21aの他端部から延設されており、地面Gに固定される二次側フランジ部21cと、を一体に備える。
【0015】
一次側胴部材22は、主板部21aの一次側フランジ部21b側端部から上方に延設されている金属製(例えば、黄銅製)の部材であり、ボルト(図示せず)等によって主板部21aに固定されている。一次側胴部材22は、水道メータ10の軸線方向(すなわち水道水の流通方向)に延びる筒形状(円筒形状)を呈しており、可動部材3Aの一部が収容されるケース部材(ケース部)である。図2に示すように、一次側胴部材22は、上流側の大径部22aと、下流側の小径部22bと、を一体に備える。大径部22aの内径は、小径部22bの内径よりも大きい。
【0016】
大径部22aの内周面には、環状の凹部22a1が形成されている。また、大径部22aには、径方向に貫通するネジ穴部22a2が形成されている。
【0017】
小径部22bの内周面には、雌ネジ部22b1が形成されている。
【0018】
図1に示すように、二次側胴部材23は、主板部21aの二次側フランジ部21c側端部から上方に延設されている金属製(例えば、青銅製)の部材であり、ボルト(図示せず)等によって主板部21aに固定されている。二次側胴部材23は、水道メータ10の軸線方向(すなわち水道水の流通方向)に延びる筒形状(円筒形状)を呈する。
【0019】
<一次側接続配管部材>
一次側接続配管部材2Aは、可動部材3Aを介して水道メータ10の一次側に対して水道水流通可能に接続される管状部材である。図2に示すように、一次側接続配管部材2Aは、一次側配管部材30Aと、筒部材40Aと、を備える。
【0020】
≪一次側配管部材≫
一次側配管部材30Aは、水道メータ10の一次側において水道水が流通する金属製(例えば、銅合金製)の管状部材である。一次側配管部材30Aの下流側端部31の内周面は、一次側配管部材30Aの軸方向中間部32の内周面よりも大径に形成されている。下流側端部31の内周面には、環状の凹部31a,31aが形成されている。下流側端部31の外周面には、環状の凹部31b,31cが形成されている。
【0021】
≪筒部材≫
筒部材40Aは、一次側配管部材30Aの下流側端部31に内嵌される樹脂製(例えば、ポリフェニレンサルファイド製、ポリアセタール製)の筒状部材である。筒部材40Aは、下流側端部31に内嵌される筒状の本体部41と、本体部41の下流側端部から径方向外側に延設されるフランジ部42と、を一体に備える。本体部41の外径は、下流側端部31の内径とほぼ等しい。本体部41の軸方向寸法は、下流側端部31の軸方向寸法とほぼ等しい。フランジ部42は、下流側端部31の端面と当接している。
【0022】
<可動部材>
可動部材3Aは、一次側接続配管部材2Aの下流側端部と水道メータ10(管部11)の上流側端部とを水道水流通可能に繋ぐ部材である。可動部材3Aは、スライド部材50Aと、ハンドル部材60Aと、を備える。
【0023】
≪スライド部材≫
スライド部材50Aは、一次側接続配管部材2Aと水道メータ10(管部11)とを繋ぐように設けられる樹脂製(例えば、ポリフェニレンサルファイド製)の管状部材である。スライド部材50Aは、上流側端部の中径部51と、軸線方向中間部の小径部52と、下流側端部の大径部53と、を一体に備える。中径部51の外径は、小径部52の外径よりも大きく、大径部53の外径よりも小さい。
【0024】
中径部51の外周面には、環状の凹部51a,51aが形成されている。
【0025】
小径部52の外周面には、周方向に延びる複数のリブ部52aと、軸線方向に延びる複数のリブ部52bと、が形成されており、当該小径部52の強度が向上されている。リブ部52a,52bの外径は、中径部51の外径とほぼ等しい。
【0026】
大径部53の端面には、環状の凹部53aが形成されている。
【0027】
≪ハンドル部材≫
ハンドル部材60Aは、スライド部材50Aの小径部52及び大径部53に外嵌される金属製(例えば、銅合金製)の筒状部材である。ハンドル部材60Aは、筒部61と、複数の取手部62と、を一体に備える。
【0028】
筒部61は、上流側の小径部61aと、下流側の大径部61bと、を一体に備える。小径部61aの内径は、大径部61bの内径よりも小さい。小径部61aと大径部61bとの内周面側の境界面(段差部)には、スライド部材50Aの大径部53が係合する。
【0029】
小径部61aの外周面には、雄ネジ部61a1が形成されている。雄ネジ部61a1は、一次側胴部材22の小径部22bの内周面に形成された雌ネジ部22b1と螺合する。
【0030】
大径部61bの内周面には、環状の凹部61b1が形成されている。
【0031】
取手部62は、大径部61bから径方向外側に延設されている。複数の取手部62は、周方向に等間隔に配置されている。
【0032】
<開閉弁部材>
図1に示すように、開閉弁部材4は、一次側接続配管部材2A(一次側配管部材30A)の上流側端部と、一次側接続配管部材2Aよりも上流側の給水配管部材(図示せず)と、の間に介設される弁部材である。開閉弁部材4は、作業者による手動操作によって、一次側接続配管部材2Aに対して水道水流通可能な開弁状態と、一次側接続配管部材2Aに対して水道水流通不能な閉弁状態と、を切替可能に構成されている。
【0033】
<二次側接続配管部材>
二次側接続配管部材5は、水道メータ10の二次側において水道水が流通する金属製(例えば、銅合金製)又は樹脂製の管状部材(二次側配管部材)である。
【0034】
<逆止弁部材>
逆止弁部材6は、二次側胴部材23内において、水道メータ10(管部11)と二次側接続配管部材5との間に介設される弁部材である。逆止弁部材6は、水道メータ10から二次側接続配管部材5への水道水の流通を許容するとともに、二次側接続配管部材5から水道メータ10への水道水の流通(逆流)を防止する一方向弁である。
【0035】
<一次側配管部材及び筒部材の組付構造>
図2に示すように、筒部材40Aの本体部41は、Oリング71(例えば、エチレンプロピレンジエンゴム製)が凹部31aに収容された状態で、一次側配管部材30Aの下流側端部31に内嵌されている。一次側配管部材30A及び筒部材40Aは、圧縮されたOリング71,71の復元力によって、互いに相対移動(変位)不能に係合されている。Oリング71は、一次側配管部材30Aの外周面と筒部材40Aの内周面との間に設けられているゴム製の環状部材であり、一次側配管部材30A及び筒部材40Aの間を止水可能に塞ぐ止水部材の一例である。
【0036】
<スライド部材及びハンドル部材の組付構造>
スライド部材50Aの小径部52は、ハンドル部材60Aの小径部61aに内嵌されており、スライド部材50Aの大径部53は、ハンドル部材60Aの大径部61bに内嵌されている。スライド部材50Aの大径部53は、小径部61a及び大径部61bの境界面及び凹部61b1に収容された環状の止め輪部材72によって、軸線方向において挟持されている。これにより、スライド部材50A及びハンドル部材60Aは、軸方向において互いに相対移動不能に固定されている。
【0037】
本実施形態では、スライド部材50A及びハンドル部材60Aの軸方向における相対移動を規制する手法として、スライド部材50Aの外周面から径方向外側に延設される凸部が、ハンドル部材60Aの内周面に(止め輪部材72と協働して)形成される凹部に嵌合し、ハンドル部材60Aによって軸線方向において挟持されている。なお、スライド部材50Aの外周面から径方向外側に延設される凸部が、ハンドル部材60Aの内周面に形成される凹部に嵌合し、止め輪部材72を用いずに軸線方向において挟持されている構成であってもよい。また、ハンドル部材60Aの内周面から径方向内側に延設される凸部が、スライド部材50Aの外周面に形成される凹部に嵌合し、軸線方向において挟持されている構成であってもよい。
【0038】
<一次側接続配管部材及び一次側胴部材の組付構造>
一次側接続配管部材2Aの下流側端部は、一次側胴部材22の大径部22aに内嵌されている。略環状(C形状)の止め輪部材73は、互いに対向する凹部22a1,31bに収容されている。ボルトBは、ネジ穴部22a2に螺合されており、当該ボルトBの先端部は、凹部31cに収容されている。これにより、一次側接続配管部材2Aは、一次側胴部材22に対して位置決めされている。また、筒部材40Aのフランジ部42は、一次側胴部材22における大径部22a及び小径部22bの境界面によって、軸方向(水道メータ10側)への移動が規制されている。
【0039】
<可動部材及び一次側胴部材の組付構造>
ハンドル部材60Aの雄ネジ部61a1は、一次側胴部材22の小径部22bの雌ネジ部22b1に螺合されている。
【0040】
<可動部材による水道メータ及び接続部材の接続構造>
ハンドル部材60Aの大径部61bの下流側端部は、水道メータ10(管部11)の上流側端部に外嵌されている。スライド部材50Aの大径部53(下流側端部)は、凹部53aに収容されたゴムパッキン74(例えば、エチレンプロピレンジエンゴム製)を介して、水道メータ10(管部11)の上流側端部と水道水流通可能に接続されている。ゴムパッキン74は、スライド部材50Aの端面と水道メータ10(管部11)の端面との間に設けられるゴム製の環状部材であり、スライド部材50A及び水道メータ10の間を止水可能に塞ぐ止水部材の一例である。スライド部材50Aの中径部51(上流側端部)は、一次側接続配管部材2Aの下流側端部(筒部材40Aの本体部41)に内嵌されている。ここで、スライド部材50Aの外周面と筒部材40Aの内周面との間は、凹部51aに収容されたOリング75(例えば、エチレンプロピレンジエンゴム製)の復元力によって、液密に密閉されている。Oリング75は、スライド部材50Aの外周面と筒部材40Aの内周面との間に設けられているゴム製の環状部材であり、スライド部材50A及び筒部材40Aの間を止水可能に塞ぐ止水部材の一例である。止水部材の一例としてのOリング75は、スライド部材50A及び筒部材40Aが互いに摺動する摺動面(スライド部材50Aの外周面、筒部材40Aの内周面)の間に配置されている。なお、スライド部材50Aと水道メータ10(管部11)との接続構造は、前記したものに限定されず、ゴムパッキン74に加えてOリング(例えば、アクリロニトリル・ブタジエンゴム製)等を用いる構成であってもよい。
【0041】
かかる接続構造では、水道メータ10が可動部材3Aに圧着されているので、ハンドル部材60Aの雄ネジ部61a1には、大きな荷重が作用する。本実施形態に係る水道メータ保持構造1Aは、可動部材3Aのうち、雄ネジ部61a1を有する部位(ハンドル部材60A)を金属製とし、その他の部位(スライド部材50A)を樹脂製とすることによって、雄ネジ部61a1及び雌ネジ部22b1の破損を防止することができる。
【0042】
<水道メータの交換手法>
水道メータ10を交換する場合には、作業者は、開閉弁部材4(図1)を閉弁状態とし、取手部62を把持してハンドル部材60Aを回転させることによって、一次側胴部材22の雌ネジ部22b1に螺合されているハンドル部材60A及びスライド部材50Aを水道メータ10から離間させる(図2図3)。ここで、スライド部材50Aは、筒部材40Aに対して回転しながら軸方向に移動し、その際に、スライド部材50Aの外周面及び筒部材40Aの内周面は、摺動面として互いに摺動する。これにより、可動部材3A(ハンドル部材60A)の下流側端部が水道メータ10(管部11)の上流側端部よりも上流側へ移動し、水道メータ10の上流側端部が可動部材3Aから露出して、水道メータ10及びゴムパッキン74が交換可能な状態となる。
【0043】
ここで、図4に示すように、筒部材40X及びスライド部材50Xがともに金属製である場合には、筒部材40Xの内周面及び/又はスライド部材50Xの外周面において水道水が触れる部位(Oリング75よりも上流側の面)にスケールSが発生するおそれがある。スケールSが発生した状態において、水道メータ10を交換する際にスライド部材50Xが筒部材40Xに対して軸方向に移動すると、スライド部材50Xの外周面及び筒部材40Xの内周面が摺動面として互いに摺動する。そのため、図5に示すように、スライド部材50X及び筒部材40Xの摺動面に存在するスケールSがOリング75と筒部材40Xとの間に挟まってしまい、止水性能が低下するおそれがある。
【0044】
これに対し、水道メータ保持構造1Aは、一次側接続配管部材2A及び可動部材3Aの摺動面(一次側接続配管部材2Aの内周面及び可動部材3Aの外周面)が樹脂製の部材で構成されているので、スケールSの発生を抑え、水道メータ10の交換に伴う止水性能の低下を抑制することができる。
【0045】
本発明の第一の実施形態に係る水道メータ保持構造1Aは、水道メータ10の上流側に設けられる接続配管部材(一次側接続配管部材2A)と、前記接続配管部材と前記水道メータ10とを水道水流通可能に繋ぐように設けられる可動部材3Aと、前記接続配管部材及び前記可動部材3Aの連結部位において、前記接続配管部材及び前記可動部材3Aの間に設けられる止水部材(Oリング75)と、を備え、前記可動部材3Aは、前記接続配管部材に対して摺動しながら、前記水道メータ10に連結された状態と前記水道メータ10から離間した状態とを移動可能であり、前記接続配管部材及び前記可動部材3Aの摺動面の少なくとも一方は、樹脂製である、又は、金属めっき処理が施されていることを特徴とする。
したがって、水道メータ保持構造1Aは、水道メータ10の交換に伴う止水性の低下を抑制し、製品寿命を向上することができる。
【0046】
水道メータ保持構造1Aにおいて、前記可動部材3Aは、前記接続配管部材と前記水道メータ10とを水道水流通可能に繋ぐように設けられる樹脂製のスライド部材50Aと、前記スライド部材50Aに外嵌される金属製のハンドル部材60Aと、を備える。
したがって、水道メータ保持構造1Aは、止水部材の近傍における可動部材3A側の摺動面が樹脂製のスライド部材50Aによって構成されているので、簡易な構造で可動部材3A側の摺動面におけるスケールSの発生を防止又は低減することによって、水道メータ10の交換に伴う止水性の低下を抑制し、製品寿命を向上することができる。
【0047】
水道メータ保持構造1Aにおいて、前記スライド部材50Aは、前記接続配管部材に内嵌されており、前記接続配管部材及び前記ハンドル部材60Aに外嵌される胴部材(一次側胴部材22)を備え、前記ハンドル部材60Aは、前記胴部材に対して螺合されており、前記スライド部材50Aは、前記ハンドル部材60Aに対して軸方向に移動不能に取り付けられている。
したがって、水道メータ保持構造1Aは、胴部材に対するハンドル部材60Aの螺合を利用して、水道メータ10交換のためのスライド部材50Aの容易な移動を実現することができる。
【0048】
水道メータ保持構造1Aにおいて、前記接続配管部材は、前記水道メータ10の上流側に設けられる金属製の配管部材(一次側配管部材30A)と、前記配管部材及び前記可動部材3Aの連結部位において、前記配管部材及び前記可動部材3Aの間に設けられる樹脂製の筒部材40Aと、を備える。
したがって、水道メータ保持構造1Aは、止水部材の近傍における接続配管部材側の摺動面が樹脂製の筒部材40Aによって構成されているので、簡易な構造で接続配管部材側の摺動面におけるスケールSの発生を防止又は低減することによって、水道メータ10の交換に伴う止水性の低下を抑制し、製品寿命を向上することができる。
【0049】
<第二の実施形態>
続いて、本発明の第二の実施形態に係る水道メータ保持構造について、第一の実施形態に係る水道メータ保持構造1Aとの相違点を中心に説明する。
【0050】
図6に示すように、本発明の第二の実施形態に係る水道メータ保持構造1Bは、一次側接続配管部材2Aに代えて、一次側接続配管部材2Bを備える。
【0051】
<一次側接続配管部材>
一次側接続配管部材2Bは、前記した一次側配管部材30A及び筒部材40Aを一体化した形状を呈する金属製部材(例えば、銅合金製)である。
【0052】
本発明の第二の実施形態に係る水道メータ保持構造1Bは、一次側接続配管部材2B及び可動部材3Aの摺動面の一方(本実施形態では、一次側接続配管部材2B側)が樹脂製であるので、摺動面の両方が金属製である場合と比較して、スケールSの発生を低減し、水道メータ10の交換に伴う止水性能の低下を抑制することができる。
【0053】
<第三の実施形態>
続いて、本発明の第三の実施形態に係る水道メータ保持構造について、第一の実施形態に係る水道メータ保持構造1Aとの相違点を中心に説明する。
【0054】
図7に示すように、本発明の第三の実施形態に係る水道メータ保持構造1Cは、一次側接続配管部材2A及び可動部材3Aに代えて、一次側接続配管部材2C及び可動部材3Cを備える。
【0055】
<一次側接続配管部材>
一次側接続配管部材2Cは、前記した一次側配管部材30A及び筒部材40Aを一体化した形状を呈する金属製部材(例えば、銅合金製)である。一次側接続配管部材2Cの内周面、より詳細には、可動部材3Cに対する摺動面には、金属めっき処理による金属めっき部2C1が形成されている。なお、図7において描画されている金属めっき部2C1は、金属めっき処理が施された範囲を模式的に示すものであり、実際の金属めっき処理が施された状態を正確に表すものではない。
【0056】
<可動部材>
可動部材3Cは、スライド部材50Aに代えてスライド部材50Cを備える。スライド部材50Cは、スライド部材50Aと同一形状を呈する金属製部材(例えば、銅合金製)である。可動部材3Cの外周面、より詳細には、一次側接続配管部材2Cに対する摺動面には、金属めっき処理による金属めっき部3C1が形成されている。なお、図7において描画されている金属めっき部3C1は、金属めっき処理が施された範囲を模式的に示すものであり、実際の金属めっき処理が施された状態を正確に表すものではない。また、金属めっき部3C1は、凹部51aにも形成されていてもよい。
【0057】
金属めっき部2C1,3C1としては、スケールSの発生を防止することができるものであればよく、例えば、電気亜鉛めっき、ニクロムめっき等によるものが好適に利用可能である。
【0058】
本発明の第三の実施形態に係る水道メータ保持構造1Cは、一次側接続配管部材2C及び可動部材3Cの摺動面の少なくとも一方(本実施形態では、両方)に金属めっき処理が施されているので、摺動面の両方が金属製である場合と比較して、スケールSの発生を防止又は低減し、水道メータ10の交換に伴う止水性能の低下を抑制することができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、第二の実施形態に係る水道メータ保持構造1Bにおいて、一次側接続配管部材2Bは、金属めっき部2C1を有する一次側接続配管部材2Cに置き換えられてもよい。また、第三の実施形態に係る水道メータ保持構造1Cにおいて、金属めっき部2C1,3C1の一方は省略可能である。また、金属めっき部2C1,3C1の少なくとも一方は、樹脂層(樹脂膜)であってもよい。また、止水部材は、前記したOリング71,75及びゴムパッキン74に限定されず、Dリング、Xリング等であってもよい。
【0060】
また、参考形態として、可動部材3A,3Cは、水道メータ10と二次側接続配管部材5との間に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1A,1B,1C 水道メータ保持構造
2A,2B,2C 一次側接続配管部材(接続配管部材)
2C1 金属めっき部
3A,3C 可動部材
3C1 金属めっき部
4 開閉弁部材
5 二次側接続配管部材(二次側配管部材)
6 逆止弁部材
10 水道メータ
22 一次側胴部材
22b1 雌ネジ部
30A 一次側配管部材(配管部材)
40A 筒部材
50A スライド部材
60A ハンドル部材
61a1 雄ネジ部
75 Oリング(止水部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7