(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141757
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】航空機発電システム
(51)【国際特許分類】
F02C 6/00 20060101AFI20241003BHJP
B64D 27/10 20060101ALI20241003BHJP
B64D 27/16 20060101ALI20241003BHJP
F01D 15/10 20060101ALI20241003BHJP
F02C 7/057 20060101ALI20241003BHJP
F02C 7/042 20060101ALI20241003BHJP
F02K 3/04 20060101ALI20241003BHJP
F02C 9/20 20060101ALI20241003BHJP
F02C 6/20 20060101ALI20241003BHJP
H02P 9/04 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F02C6/00 B
B64D27/10
B64D27/16
F01D15/10 B
F02C7/057
F02C7/042
F02K3/04
F02C9/20
F02C6/20
H02P9/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053576
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大▲桑▼ 達也
【テーマコード(参考)】
5H590
【Fターム(参考)】
5H590AA03
5H590CA08
5H590HA04
5H590HA27
(57)【要約】
【課題】発電機の大型化を抑制しつつ、効率的に発電できる航空機発電システムを提供する。
【解決手段】航空機発電システムは、ファンの上流に配置され且つ取付角を変更可能な可変静翼、及び、前記可変静翼を駆動する翼アクチュエータと、を含むターボファンエンジンと、前記エンジンの低圧軸に機械的に接続された発電機と、前記翼アクチュエータを制御する処理回路と、を備える。前記処理回路は、前記ターボファンエンジンの運転中に前記発電機が発電すると判定すると、前記ファンを通過する空気流量を減らすべく前記可変静翼の前記取付角を変更するように前記翼アクチュエータを制御する発電モードを実行するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低圧圧縮機、高圧圧縮機、燃焼器、高圧タービン、低圧タービン、前記低圧圧縮機を前記低圧タービンに機械的に接続する低圧軸、及び、前記高圧圧縮機を前記高圧タービンに機械的に接続する高圧軸を有するエンジンコアと、前記エンジンコアの上流に配置され且つ前記低圧軸に駆動されるファンと、前記ファンの下流にて前記エンジンコアの外側に配置されたバイパス流路と、前記ファンの上流に配置され且つ取付角を変更可能な可変静翼と、前記可変静翼を駆動する翼アクチュエータと、を含むターボファンエンジンと、
前記低圧軸に機械的に接続された発電機と、
前記翼アクチュエータを制御する処理回路と、を備え、
前記処理回路は、
前記ターボファンエンジンの運転中に前記発電機が発電するか否かを判定することと、
前記ターボファンエンジンの運転中に前記発電機が発電しないと判定すると、前記可変静翼の前記取付角が所定の基準角度になるように前記翼アクチュエータを制御する通常モードを実行することと、
前記ターボファンエンジンの運転中に前記発電機が発電すると判定すると、前記ファンを通過する空気流量を減らすべく前記可変静翼の前記取付角を変更するように前記翼アクチュエータを制御する発電モードを実行することと、
を行うように構成されている、航空機発電システム。
【請求項2】
前記処理回路は、前記発電機に電気的に接続された電気機器の所定の動作要求を検知するように更に構成されており、
前記発電機が発電するか否かを判定することは、前記動作要求を検知したときに前記発電機が発電すると判定することを含む、請求項1に記載の航空機発電システム。
【請求項3】
前記処理回路は、飛行状態を示す情報を取得するように構成されており、
前記発電モードでは、前記飛行状態情報に応じて前記取付角を変更する、請求項2に記載の航空機発電システム。
【請求項4】
前記処理回路は、要求発電量を示す情報を取得するように構成されており、
前記発電モードでは、前記要求発電量に応じて前記取付角を変更する、請求項2又は3に記載の航空機発電システム。
【請求項5】
前記発電機が発電した電流を検出する電流センサを更に備え、
前記発電機が発電するか否かを判定することは、前記電流センサが所定値以上の電流値を検出したときに前記発電機が発電すると判定することを含む、請求項1に記載の航空機発電システム。
【請求項6】
前記処理回路は、前記ファンの修正回転数を取得するように構成されており、
前記発電モードでは、前記修正回転数が目標の修正回転数になるように前記翼アクチュエータを制御する、請求項5に記載の航空機発電システム。
【請求項7】
前記ターボファンエンジンは、前記低圧タービンの下流に配置され且つ流路面積を変更可能な排気口を有する可変排気ノズルと、前記排気口の流路面積を変更するように前記可変排気ノズルを駆動するノズルアクチュエータと、を更に含み、
前記処理回路は、
前記ターボファンエンジンの運転中に前記発電機が発電しないと判定されると、前記可変排気ノズルの前記排気口の前記流路面積が所定の大きさになるように前記ノズルアクチュエータを制御することと、
前記ターボファンエンジンの運転中に前記発電機が発電すると判定されると、前記可変排気ノズルの前記排気口の前記流路面積が拡がるように前記ノズルアクチュエータを制御することと、
を更に行うように構成されている、請求項1に記載の航空機発電システム。
【請求項8】
前記発電機は、前記低圧軸に機械的に接続された第1発電機であり、
前記航空機発電システムは、前記高圧軸に機械的に接続された第2発電機を更に備える、請求項1に記載の航空機発電システム。
【請求項9】
前記発電機は、前記低圧軸の軸線上において前記エンジンコアの前方に配置されている、請求項1に記載の航空機発電システム。
【請求項10】
前記低圧軸の軸線方向から見て、前記バイパス流路の入口は、前記低圧軸の径方向における前記エンジンコアの入口の外側に配置され、
前記可変静翼は、前記ファンの上流の共通空気流路に配置され、
前記径方向における前記可変静翼の長さは、前記径方向における前記ファンの上流の共通空気流路の外周縁から内周縁までの長さよりも短く、
前記可変静翼は、前記共通空気流路において前記内周縁よりも前記外周縁に近くなるように配置されている、請求項1に記載の航空機発電システム。
【請求項11】
前記径方向における前記可変静翼の内端は、前記バイパス流路の前記入口と前記エンジンコアの前記入口との間の境界に対応して配置されている、請求項10に記載の航空機発電システム。
【請求項12】
前記ファンは、
前記低圧軸の径方向に延びたファンブレードと、
前記バイパス流路の前記入口と前記エンジンコアの前記入口との間の境界に対応して配置され、前記ファンブレードから前記低圧軸周りの周方向に延びたシュラウドと、を有する、請求項10又は11に記載の航空機発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、航空機発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、航空機のターボファンエンジンが開示されている。エンジンの回転軸には発電機が機械的に接続されている。発電機には、航空機の機体に搭載された電気機器が電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】US 2020/0079513 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、航空機は、電気機器を搭載するため、発電性能の向上が必要となっている。しかし、エンジンの回転軸に接続される発電機を大型化すると、重量の増加などの問題が生じる。
【0005】
そこで、本開示の一態様は、発電機の大型化を抑制しつつ、効率的に発電できる航空機発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る航空機発電システムは、低圧圧縮機、高圧圧縮機、燃焼器、高圧タービン、低圧タービン、前記低圧圧縮機を前記低圧タービンに機械的に接続する低圧軸、及び、前記高圧圧縮機を前記高圧タービンに機械的に接続する高圧軸を有するエンジンコアと、前記エンジンコアの上流に配置され且つ前記低圧軸に駆動されるファンと、前記ファンの下流にて前記エンジンコアの外側に配置されたバイパス流路と、前記ファンの上流に配置され且つ取付角を変更可能な可変静翼と、前記可変静翼を駆動する翼アクチュエータと、を含むターボファンエンジンと、前記低圧軸に機械的に接続された発電機と、前記翼アクチュエータを制御する処理回路と、を備える。前記処理回路は、前記ターボファンエンジンの運転中に前記発電機が発電するか否かを判定することと、前記ターボファンエンジンの運転中に前記発電機が発電しないと判定すると、前記可変静翼の前記取付角が所定の基準角度になるように前記翼アクチュエータを制御する通常モードを実行することと、前記ターボファンエンジンの運転中に前記発電機が発電すると判定すると、前記ファンを通過する空気流量を減らすべく前記可変静翼の前記取付角を変更するように前記翼アクチュエータを制御する発電モードを実行することと、を行うように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、発電機の発電時にファンを通過する空気流量を減らすことができる。よって、ファンの仕事を減らすことで、エンジンコアの低圧軸から発電機に大きな駆動力を伝達できる。その結果、発電機の大型化を抑制しつつ、効率的に発電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る航空機発電システムの概略図である。
【
図2】
図2は、
図1のターボファンエンジンの可変静翼を径方向から見た動作説明図である。
【
図3】
図3は、
図1のシステムの制御を説明するフローチャートである。
【
図4】
図4は、第2実施形態に係る航空機発電システムの概略図である。
【
図5】
図5は、第3実施形態に係る航空機発電システムの概略図である。
【
図6】
図6は、第4実施形態に係る航空機発電システムの概略図である。
【
図7】
図7は、第5実施形態に係る航空機発電システムの概略図である。
【
図8】
図8は、
図7の静翼アッセンブリの動作を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0010】
以下の説明では、エンジン10の低圧軸42及び高圧軸41の軸線Xが延びる方向を軸線方向Xと称し得る。「前方」「前側」はエンジン10内で空気が流れる方向における上流側を意味し、「後方」「後側」は、エンジン10内で空気が流れる方向における下流側を意味する。即ち、「前方」「前側」は、エンジン10の軸線方向Xにおいて、ファン22が設けられている側を意味し、「後方」「後側」は、エンジン10の軸線方向Xにおいて、ファン22が設けられている側と反対側を意味する。「径方向R」は、エンジン10の軸線Xに直交する方向を意味する。「周方向C」は、エンジン10の軸線X周りの方向を意味する。また、本願明細書において「航空機」は、エンジンにより発生する推進力によって飛行する飛行機や無人の飛翔体等を含む。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、実施形態に係る航空機発電システム1の概略図である。
図1に示すように、航空機2は、航空機発電システム1を備える。航空機発電システム1は、ターボファンエンジン10を備える。ターボファンエンジン10は、航空機2の機体11に支持されている。例えば、ターボファンエンジン10は、航空機2の胴体又は主翼に配置されている。ターボファンエンジン10は、エンジンコア21、ファン22、外殻23、バイパス流路24、可変静翼25、翼アクチュエータ26、静翼27、ノーズコーン28、テールコーン29等を備える。
【0012】
エンジンコア21は、低圧圧縮機44、高圧圧縮機45、燃焼器33、高圧タービン48、低圧タービン47、低圧軸42、高圧軸41及び内殻35を備える。ターボファンエンジン10は、二軸ガスタービンエンジンである。高圧軸41は、内部に中空空間を有する筒状軸である。低圧軸42は、高圧軸41の中空空間に挿通されている。低圧軸42及び高圧軸41の軸線Xは、互いに一致している。低圧軸42及び高圧軸41は、ターボファンエンジン10の前後方向に延びている。低圧圧縮機44、高圧圧縮機45、燃焼器33、高圧タービン48及び低圧タービン47は、この順で、前方から後方に向けて軸線Xに沿って並んでいる。ターボファンエンジン10は二軸ガスタービンエンジンであるが、二軸以上のガスタービンエンジンであってもよい。
【0013】
低圧圧縮機44は軸流圧縮機であり、高圧圧縮機45は遠心圧縮機である。但し、低圧圧縮機44及び高圧圧縮機45の種類はこれらに限られない。高圧軸41は、高圧圧縮機45を高圧タービン48に機械的に連結する。低圧軸42は、低圧圧縮機44を低圧タービン47に機械的に連結する。
【0014】
低圧タービン47は、低圧軸42を介してファン22に連結されている。ファン22は、エンジンコア21の上流に配置されている。ファン22は、低圧軸42の前部に接続され、低圧軸42と共に回転する。具体的には、ファン22は、低圧軸42によって駆動される。
【0015】
内殻35は、低圧圧縮機44、高圧圧縮機45、燃焼器33、高圧タービン48及び低圧タービン47を径方向Rの外側から囲んでいる。内殻35は、軸線方向Xに延びた筒形状を有する。エンジンコア21及びファン22の径方向Rの外側には、外殻23が配置されている。外殻23は、軸線方向Xに延びた筒形状を有する。外殻23は、内殻35よりも軸線方向Xに長く、内殻35に対して前方及び後方に突出している。外殻23は、内殻35に対して径方向Rに離間している。外殻23の内周面と内殻35の外周面との間の環状の空間は、エンジンコア21を迂回して空気が流れるバイパス流路24である。
【0016】
内殻35の前端は、エンジンコア21の環状の入口44a(即ち、低圧圧縮機44の入口44a)と、バイパス流路24の環状の入口24aと、を区分けしている。軸線方向Xから見て、バイパス流路24の入口24aは、エンジンコア21の入口44aの径方向R外側に配置されている。エンジンコア21の入口44a及びバイパス流路24の入口24aの前側には、ターボファンエンジン10の前方に開放された環状の共通空気流路Sが画定されている。共通空気流路Sは、前方から見て、エンジンコア21の入口44a及びバイパス流路24の入口24aに重なっている。共通空気流路Sには、ファン22が配置されている。共通空気流路Sには、ファン22の下流側に静翼27が配置されている。
【0017】
共通空気流路Sには、ファン22の上流側において可変静翼25が配置されている。可変静翼25は、取付角を変更可能な静翼である。可変静翼25、ファン22及び静翼27は、前方から見て、エンジンコア21の入口44a及びバイパス流路24の入口24aと重なっている。可変静翼25を介して前方からファン22が吸い込んだ空気の一部は、エンジンコア21の入口44aに流入し、当該空気の残部はバイパス流路24の入口24aに流入する。外殻23の外側には、可変静翼25の取付角を変更するように可変静翼25を駆動する翼アクチュエータ26が配置されている。
【0018】
ファン22の前方には、ターボファンエンジン10の前方に向けて縮径するノーズコーン28が配置されている。ノーズコーン28は、共通空気流路Sの一部の内周面を画定している。低圧軸42は、ノーズコーン28を貫通して前方に延びている。低圧タービン47の後方には、ターボファンエンジン10の後方に向けて縮径するテールコーン29が配置されている。テールコーン29は、内殻35よりも後方に突出している。外殻23の後部は、テールコーン29と外殻23との間に画定された排出口30aを有する排気ノズル30の役目を果たす。外殻23の外側には、ナセルが設けられてもよい。
【0019】
航空機発電システム1は、発電機12を備える。発電機12は、低圧軸42の軸線X上においてエンジンコア21の前方に配置されている。発電機12は、ターボファンエンジン10の前方に配置されて機体11に支持されている。発電機12は、ノーズコーン28の内部空間に収容されていてもよい。発電機12は、例えば、比較的高出力な大容量の発電機である。発電機12は、例えば、航空機2の胴体又は主翼に支持されている。発電機12のロータには、ターボファンエンジン10の低圧軸42が機械的に接続されている。即ち、発電機12は、ターボファンエンジン10の低圧軸42によって駆動される。
【0020】
電気機器13は、機体11又はターボファンエンジン10に少なくとも1つ搭載されている。電気機器13は、動作時に電力を消費する。電気機器13は、特に限定されないが、例えば、レーザー照射装置等とし得る。発電機12は、電力線14を介して電気機器13に接続されている。発電機12によって発電された電力は、電力線14を介して電気機器13に供給される。即ち、電気機器13は、発電機12の負荷である。電気機器13は、コントローラ15によって制御される。コントローラ15は、例えば、航空機2の機体側の制御対象物を制御するためのものである。
【0021】
コントローラ15は、処理回路16を有する。例えば、コントローラ15は、プロセッサ及びメモリを含む。具体的には、コントローラ15は、CPU、システムメモリ、ストレージメモリ等を含む。CPUは、中央演算処理装置である。システムメモリは、例えば、RAMである。ストレージメモリは、コンピュータ可読媒体の例であり、非一時的で有形な媒体である。ストレージメモリは、ROMを含み得る。ストレージメモリは、ハードディスク、フラッシュメモリ又はそれらの組合せを含み得る。ストレージメモリは、プログラムを記憶している。システムメモリに読み出されたプログラムをCPUが実行する構成は、処理回路16の一例である。
【0022】
航空機発電システム1は、翼アクチュエータ26を制御するコントローラ17を備える。コントローラ17は、例えば、航空機2のエンジン側の制御対象物を制御するためのものである。コントローラ17は、例えば、燃焼器33へ燃料を供給するための燃料バルブおよび翼アクチュエータ26を制御する。
【0023】
コントローラ17は、処理回路18を有する。例えば、コントローラ17は、プロセッサ及びメモリを含む。具体的には、コントローラ17は、CPU、システムメモリ、ストレージメモリ等を含む。CPUは、中央演算処理装置である。システムメモリは、例えば、RAMである。ストレージメモリは、コンピュータ可読媒体の例であり、非一時的で有形な媒体である。ストレージメモリは、ROMを含み得る。ストレージメモリは、ハードディスク、フラッシュメモリ又はそれらの組合せを含み得る。ストレージメモリは、プログラムを記憶している。システムメモリに読み出されたプログラムをCPUが実行する構成は、処理回路18の一例である。
【0024】
コントローラ17には、ファン22の回転数を検出する回転数センサが電気的に接続されている。コントローラ17の処理回路18は、コントローラ15の処理回路16と通信可能に接続されている。処理回路16は、電気機器13に所定の動作要求を送信するとき、その事実を示す信号を処理回路18にも送信する。これにより、処理回路18は、処理回路16が電気機器13に所定の動作要求を出したことを検知できる。前記所定の動作要求は、例えば、電気機器13を始動準備させる要求でもよいし、電気機器13を始動させる要求でもよいし、電気機器13が所定値以上の電力を消費するような動作の要求であってもよい。なお、コントローラ15とコントローラ17とは、1つのコントローラとして互いに一体化されていてもよい。
【0025】
図2は、
図1のターボファンエンジン10の可変静翼25を径方向Rから見た動作説明図である。
図2に示すように、ファン22は、周方向Cに互いに間隔をあけて並んだ複数のファンブレード70を有する。ファン22の上流には、周方向Cに互いに間隔をあけて並んだ複数の可変静翼25が配置されている。可変静翼25は、翼アクチュエータ26(
図1参照)に駆動されることによって取付角θを変更する。ターボファンエンジン10の同一運転条件下では、
図2の二点鎖線で示された可変静翼25からファン22に向かう空気流量は、
図2の実線で示された可変静翼25からファン22に向かう空気流量よりも少なくなる。例えば、
図2の二点鎖線で示された可変静翼25の取付角θは、
図2の実線で示された可変静翼25の取付角よりも大きい。
【0026】
図3は、
図1の航空機発電システム1の制御を説明するフローチャートである。以下、
図1及び2を適宜参照しながら
図3の流れに沿って処理回路18の処理内容を説明する。まず、航空機発電システム1の電源がONになると、処理回路18は、ターボファンエンジン10が始動したか否かを判定する(ステップS1)。
【0027】
処理回路18は、ターボファンエンジン10の運転中に発電機12が発電するか否かを判定する(ステップS2)。具体的には、処理回路18は、機体側のコントローラ15の処理回路16が電気機器13に前記所定の動作要求を送信したことを検知すると、発電機12が発電すると判定する。例えば、処理回路18は、電気機器13に動作要求を送信したことを示す信号をコントローラ15の処理回路16から受信すると、発電機12が発電すると判定する。発電機12が発電すると判定される発電動作は、その電流値を問わないが、所定値以上の電流を発電するときの発電動作であってもよい。なお、航空機発電システム1は、ファン22の仕事を減らすことで、エンジンコア21の低圧軸41から発電機12に大きな駆動力を伝達できることから、所定値以上の電流を発電するときに好適である。コントローラ15の処理回路16は、自発的に電気機器13に動作要求を出してもよいし、オペレータからの指示に応じて電気機器13に動作要求を出してもよい。
【0028】
処理回路18は、ターボファンエンジン10の運転中に発電機12が発電しないと判定すると(ステップS2:N)、通常モードを実行する。通常モードでは、処理回路18は、可変静翼25の取付角θが所定の基準角度になるように翼アクチュエータ26を制御する(ステップS3)。可変静翼25の取付角θの基準角度は、特に限定されないが、例えば、
図2の実線に示すように可変静翼25の取付角θをゼロとし得る。即ち、ステップS2でNO判定のとき、可変静翼25の回動軸線63が延びる方向から見て、軸線X(
図1参照)と可変静翼25の翼弦線とがなす角がゼロになるように翼アクチュエータ26が制御され得る。なお、可変静翼25の取付角θの基準角度は、本実施形態では一定であるが、ステップS2の判定以外の条件に応じて変化してもよい。
【0029】
ステップS2でNO判定のとき、処理回路18は、ファン22の修正回転数が目標の修正回転数になるように、燃焼器33への燃料供給量を調節すべく燃焼器33の燃料噴射装置を制御する。修正回転数とは、ファン22の回転数を指定の条件下で換算した回転数をいう。目標の修正回転数は、オペレータによって入力されてもよいし、処理回路16又は処理回路18によって演算されてもよい。
【0030】
処理回路18は、ターボファンエンジン10の運転中に発電機12が発電すると判定すると(ステップS2:Y)、発電モードを実行する。発電モードでは、処理回路18は、ファン22を通過する空気流量を減らすべく可変静翼25の取付角θを変更するように翼アクチュエータ26を制御する(ステップS4)。例えば、ステップS2でYES判定のとき、処理回路18は、
図2の二点鎖線に示すように、可変静翼25の取付角θを増加させるように翼アクチュエータ26を制御し得る。発電モードにおける可変静翼25の取付角θの目標値は、一定値でもよいし可変値でもよい。
【0031】
処理回路18は、電気機器13の要求発電量の大きさに応じて可変静翼25の取付角θを変更してもよい。例えば、処理回路18は、電気機器13の要求発電量が増加するにつれてファン22を通過する空気流量が減少するように、翼アクチュエータ26を制御して可変静翼25の取付角θを調節してもよい。
【0032】
具体的には、処理回路18は、電気機器13の要求発電量を示す要求発電量情報を含んだ信号をコントローラ15から受信する。電気機器13の要求発電量が予め決まっている場合には、処理回路18は、前記要求発電量情報を予め記憶していてもよい。処理回路18は、前記要求発電量と可変静翼25の取付角θとの間の関係を定義した規則に基づいて、前記要求発電量情報が示す要求発電量に対応する取付角θを取得し、その取得した取付角θが達成されるように翼アクチュエータ26を制御する。前記規則は、例えば、要求発電量に対応する取付角θを定義した参照テーブルであってもよいし、要求発電量を入力として取付角θを出力とした算出式であってもよい。
【0033】
処理回路18は、飛行状態(例えば、飛行高度、マッハ数等)に応じて可変静翼25の取付角θを変更してもよい。例えば、処理回路18は、飛行高度を上げようとする場合に、可変静翼25の取付角θを減少させてもよい。例えば、処理回路18は、マッハ数を減少させようとする場合に、可変静翼25の取付角θを増加させてもよい。
【0034】
具体的には、処理回路18は、飛行状態(例えば、飛行高度、マッハ数等)を示す飛行状態情報を含んだ信号をコントローラ15から受信する。処理回路18は、処理回路18に接続されたセンサから前記飛行状態情報を受信してもよい。処理回路18は、前記飛行状態と可変静翼25の取付角θとの間の関係を定義した規則に基づいて、前記飛行状態情報が示す飛行状態に対応する取付角θを取得し、その取得した取付角θが達成されるように翼アクチュエータ26を制御する。前記規則は、例えば、飛行状態に対応する取付角θを定義した参照テーブルであってもよいし、飛行状態を入力として取付角θを出力とした算出式であってもよい。
【0035】
発電モードにおいて、処理回路18は、ファン22の修正回転数が目標の修正回転数に一致しない場合には、ファン22の修正回転数が目標の修正回転数になるように、燃焼器33への燃料供給量を調節すべく燃焼器33の燃料噴射装置を制御する。
【0036】
なお、ファン22を通過する空気流量を減らすように可変静翼25の取付角θを変更する制御は、発電機12で発電が実際に開始した後に開始されてもよいし、発電機12で発電が実際に開始する前に予め開始されてもよい。
【0037】
以上に説明した構成によれば、発電機12の発電時にファン22を通過する空気流量が減る。よって、ファン22の仕事を減らすことで、エンジンコア21の低圧軸42から発電機12に大きな駆動力を伝達できる。その結果、発電機12の大型化を抑制しつつ、効率的に発電することができる。
【0038】
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態に係る航空機発電システム101の概略図である。なお、第1実施形態と共通する構成については同一符号を付して説明を省略する。
図4に示すように、航空機発電システム101は、発電機12が発電した電流を検出する電流センサ150を備える。例えば、電流センサ150は、電力線14を流れる電流を検出する。コントローラ117の処理回路118は、電流センサ150の検出値を受信する。
【0039】
図3のステップS2において、処理回路118は、電流センサ150が所定値以上の電流値を検出したときに発電機12が発電すると判定する。その判定結果に応じて、処理回路118は、第1実施形態と同様に
図3のステップS3又はステップS4を実行する。
【0040】
ステップS4の発電モードでは、処理回路118は、ファン22の修正回転数が目標の修正回転数になるように、可変静翼25の取付角θを変更すべく翼アクチュエータ26を制御する。可変静翼25の取付角θが上限に達してもファン22の修正回転数が目標の修正回転数に達しない場合には、ファン22の修正回転数が目標の修正回転数になるように、燃焼器33への燃料供給量を調節すべく燃焼器33の燃料噴射装置を制御する。
【0041】
これによれば、処理回路118は、コントローラ15の処理回路16から信号を受信せずとも、発電機12による発電を簡単に把握できる。なお、他の構成は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0042】
(第3実施形態)
図5は、第3実施形態に係る航空機発電システム201の概略図である。なお、第1実施形態と共通する構成については同一符号を付して説明を省略する。
図5に示すように、航空機発電システム201は、第1発電機212A及び第2発電機212Bを備える。第1発電機212Aは、軸線X上においてエンジンコア21の前方に配置されている。また、
図5で示す通り、ノーズコーン28の内部空間に収容されていてもよい。第1発電機212Aのロータは、ターボファンエンジン10の低圧軸42に機械的に接続されている。即ち、第1発電機212Aは、低圧軸42によって駆動されて発電する。
【0043】
第2発電機212Bは、ターボファンエンジン10のエンジンコア21の内部空間に収容されている。例えば、第2発電機212Bは、軸線X上において低圧圧縮機44及び高圧圧縮機45の間に配置される。第2発電機212Bのロータは、ターボファンエンジン10の高圧軸41に機械的に接続されている。即ち、第2発電機212Bは、高圧軸41に駆動されて発電する。
【0044】
第1発電機212Aは、電力線214Aを介して電気機器13に接続されている。第2発電機212Bは、電力線214Bを介して電気機器13に接続されている。一例として、電力線214Aにはリレー252Aが介在し、電力線214Bにはリレー252Bが介在する。コントローラ215の処理回路216は、電気機器13を制御するとともにリレー252A,252Bを制御する。例えば、処理回路216は、電気機器13を動作させているとき、ターボファンエンジン10の運転状況に応じてリレー252A,252Bを開閉し得る。
【0045】
コントローラ217の処理回路218は、コントローラ215の処理回路216が電気機器13に前記所定の動作要求を出したことを検知すると、第1発電機212Aが発電すると判定する。その判定結果に応じて、処理回路218は、第1実施形態と同様に
図3のステップS3又はステップS4を実行する。このような構成によれば、第2発電機212Bを利用して機体11又はターボファンエンジン10が必要とする発電を実施しつつ、第1発電機212Aを利用して追加で発電を実施できるので、航空機の多様な発電ニーズに応えることができる。
【0046】
第1発電機212Aが給電する電気機器と、第2発電機212Bが給電する電気機器とは、互いに異なっていてもよい。例えば、第1発電機212Aが機体11の電気機器13に給電する一方で、第2発電機212Bがターボファンエンジン10の電気機器13に給電するように構成されてもよい。
【0047】
なお、他の構成は第1又は第2実施形態のいずれかと同様であるため説明を省略する。また、第1発電機212Aは、他の各実施形態のようにターボファンエンジン10の前方に配置されてもよい。また、前述又は後述する他の各実施形態の発電機12が、本実施形態のようにノーズコーン28の内部空間に収容されてもよい。
【0048】
(第4実施形態)
図6は、第4実施形態に係る航空機発電システム301の概略図である。
図6に示すように、航空機発電システム301のターボファンエンジン310は、排気口330aを有する可変排気ノズル330を備える。排気口330aは、ターボファンエンジン310の排気が通過する流路である。可変排気ノズル330は、排気方向から見た排気口330aの断面積すなわち排気口330aの流路面積を変更可能に構成されている。可変排気ノズル330は、低圧タービン47の下流側において外殻23の後方に設けられ、テールコーン29との間に排気口330aを画定する。具体的には、可変排気ノズル330は、排気口330aを画定するノズル筒355と、排気口330aの流路面積を縮小又は拡大させ得る可動構造356とを有する。ノズルアクチュエータ357は、排気口330aの流路面積を変更するように可変排気ノズル330を駆動する。例えば、可変排気ノズル330の詳細構造は、援用する日本特許第5673405号公報に開示された公知の構造を採用し得る。
【0049】
コントローラ317の処理回路318は、ターボファンエンジン310の運転中に発電機12が発電しないと判定すると、可変排気ノズル330の排気口330aの流路面積が所定の基準面積になるようにノズルアクチュエータ357を制御する。他方、処理回路318は、ターボファンエンジン310の運転中に発電機12が発電すると判定すると、可変排気ノズル330の排気口330aの流路面積が増加するようにノズルアクチュエータ357を制御する。発電機12の発電時にバイパス流路24の圧力が上昇する場合、処理回路318は、バイパス流路24の圧力状態に応じて、排気口330aの流路面積を増加させてもよい。例えば、処理回路318は、バイパス流路24の出口付近に設けた圧力センサ358により圧力を計測し、その圧力があらかじめ設定された圧力より高ければ、排気口330aの流路面積が増加するようにノズルアクチュエータ357を制御してもよい。
【0050】
この構成によれば、発電機12の発電時に可変排気ノズル330の排気口330aの流路面積が拡大して、バイパス流路24の圧力が減少傾向となる。それにより、ファン22の動作がサージングにより不安定になることを防止し、発電機12が安定した発電を行うことができる。なお、処理回路318は、この制御に併せて、第1乃至3実施形態で説明した可変静翼25の制御も実施してもよいし実施しなくてもよい。また、他の構成は第1乃至3実施形態のいずれかと同様であるため説明を省略する。
【0051】
(第5実施形態)
図7は、第5実施形態に係る航空機発電システム401の概略図である。
図7に示すように、航空機発電システム401のターボファンエンジン410では、共通空気流路Sにおいてファン422の上流に静翼アッセンブリ425が配置されている。静翼アッセンブリ425は、共通空気流路Sの外周縁から共通空気流路Sの内周縁まで径方向Rに延びている。静翼アッセンブリ425は、可変静翼461と、可変静翼461の径方向R内側に隣接した固定静翼462と、を有する。可変静翼461は、翼アクチュエータ26に駆動されることで取付角を変更できる。固定静翼462は固定されており、固定静翼462の取付角は一定である。
【0052】
可変静翼461及び固定静翼462が径方向Rに並ぶために、可変静翼461の径方向Rの長さは、共通空気流路Sの外周縁から内周縁までの径方向Rの長さよりも短い。可変静翼461は、固定静翼462の径方向R外側に隣接するため、可変静翼461は、共通空気流路Sの内周縁よりも共通空気流路Sの外周縁に近くなるように配置されている。
【0053】
例えば、径方向Rの位置に関し、径方向Rにおける可変静翼461の内端は、バイパス流路24の入口24aとエンジンコア21の入口44aとの間の境界に対応して配置されている。即ち、可変静翼461と固定静翼462との間の境界は、バイパス流路24の入口24aとエンジンコア21の入口44aとの間の境界に対応して配置されている。軸線方向Xの前方から見て、可変静翼461は、バイパス流路24の入口24aに重なる。軸線方向Xの前方から見て、固定静翼462は、エンジンコア21の入口44aに重なる。例えば、複数の可変静翼461の径方向Rの内端を通る円と複数の可変静翼461の径方向Rの外端を通る円との間の円環領域の面積を、複数の固定静翼462の径方向Rの内端を通る円と複数の固定静翼462の径方向Rの外端を通る円との間の円環領域の面積で除した比率は、バイパス流路24の入口24aの内周円とバイパス流路24の入口24aの外周円との間の円環領域の面積を、エンジンコア21の入口44aの内周円とエンジンコア21の入口44aの外周円との間の円環領域の面積で除した比率と、実質的に同じとし得る。
【0054】
図8は、
図7の静翼アッセンブリ425の動作を説明する斜視図である。
図7及び8に示すように、
図3のステップS2でNO判定されると、可変静翼461の取付角と固定静翼462の取付角とが互いに同じになり、静翼アッセンブリ425の全体の取付角が前述した所定の基準角度となるように翼アクチュエータ26が制御される。
図3のステップS2でYES判定されると、固定静翼462の取付角は変わらないままに、可変静翼461を通過してファン422に向かう空気流量を減らすべく可変静翼461の取付角を変更するように翼アクチュエータ26が制御される。例えば、
図3のステップS2でYES判定されると、可変静翼461の取付角を増加させるように翼アクチュエータ26が制御され得る。可変静翼461には回転軸463が設けられ、翼アクチュエータ26が回転軸463を回転することで可変静翼461が回転軸463周りに回転する。回転軸463は、固定静翼462に対して相対回転自在であるため、回転軸463が回転しても固定静翼462は回転しない。
【0055】
このような静翼アッセンブリ425の構成によれば、発電機12の発電時には、ファン422からエンジンコア21に向かう空気の流量の減少を抑制しつつ、ファン422からバイパス流路24に向かう空気の流量の減少を効果的に実現できる。よって、エンジンコア21の動作によって低圧軸42を介して発電機12を駆動する力の低下を良好に好適に防ぐことができる。
【0056】
図9は、
図7のファン422の部分斜視図である。
図10は、
図7のターボファンエンジン410の正面図である。
図9及び10に示すように、ファン422は、複数のファンブレード470と、各ファンブレード470にそれぞれ設けられたシュラウド471と、を有する。ファンブレード470は、径方向Rに延びている。シュラウド471は、ファンブレード470の両面から軸線X周りの周方向Cに延びている。シュラウド471は、全体として軸線X周りの筒形状をなしている。
【0057】
図7及び10に示すように、径方向Rの位置に関し、シュラウド471は、バイパス流路24の入口24aとエンジンコア21の入口44aとの間の境界に対応して配置されている。軸線方向Xの前方から見て、ファン422のうちシュラウド471の径方向R外側の領域は、バイパス流路24の入口24aに重なる。軸線方向Xの前方から見て、ファン422のうちシュラウド471の径方向R内側の領域は、エンジンコア21の入口44aに重なる。例えば、ファン422のうちシュラウド471の径方向R外側の部分の内周円とファン422のうちシュラウド471の径方向R外側の部分の外周円との間の円環領域の面積を、ファン422のうちシュラウド471の径方向R内側の部分の内周円とファン422のうちシュラウド471の径方向R内側の部分の外周円との間の円環領域の面積で除した比率は、バイパス流路24の入口24aの内周円とバイパス流路24の入口24aの外周円との間の円環領域の面積を、エンジンコア21の入口44aの内周円とエンジンコア21の入口44aの外周円との間の円環領域の面積で除した比率と実質的に同じとし得る。
【0058】
このようなファン422の構成によれば、ファン422の上流の共通空気流路Sにおいて可変静翼461よりも径方向R内側を通過した空気がシュラウド471によって円滑にエンジンコア21に案内される。よって、エンジンコア21の動作によって低圧軸42を介して発電機12を駆動する力の低下を更に好適に防ぐことができる。なお、ファンの下流かつバイパス流路24の上流において静翼27がある場合には、静翼27にシュラウド471と同様のものを設けてもよい。なお、他の構成は第1乃至第4実施形態のいずれかと同様であるため説明を省略する。
【0059】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかし、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。例えば、1つの実施形態中の一部の構成又は方法を他の実施形態に適用してもよく、実施形態中の一部の構成は、その実施形態中の他の構成から分離して任意に抽出可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれる。
【0060】
本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成またはプログラムされた、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、従来の回路、及び/又は、それらの組み合わせ、を含む回路又は処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路又は回路と見なされる。本開示において、回路、ユニット若しくは手段は、列挙された機能を実行するハードウェアであるか、又は、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されているハードウェアであってもよいし、又は、列挙された機能を実行するようにプログラム若しくは構成されているその他の既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、手段若しくはユニットは、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせであり、ソフトウェアはハードウェア及び/又はプロセッサの構成に使用される。
【0061】
以下の項目のそれぞれは、好ましい実施形態の開示である。
【0062】
[項目1]
低圧圧縮機、高圧圧縮機、燃焼器、高圧タービン、低圧タービン、前記低圧圧縮機を前記低圧タービンに機械的に接続する低圧軸、及び、前記高圧圧縮機を前記高圧タービンに機械的に接続する高圧軸を有するエンジンコアと、前記エンジンコアの上流に配置され且つ前記低圧軸に駆動されるファンと、前記ファンの下流にて前記エンジンコアの外側に配置されたバイパス流路と、前記ファンの上流に配置され且つ取付角を変更可能な可変静翼と、前記可変静翼を駆動する翼アクチュエータと、を含むターボファンエンジンと、
前記低圧軸に機械的に接続された発電機と、
前記翼アクチュエータを制御する処理回路と、を備え、
前記処理回路は、
前記ターボファンエンジンの運転中に前記発電機が発電するか否かを判定することと、
前記ターボファンエンジンの運転中に前記発電機が発電しないと判定すると、前記可変静翼の前記取付角が所定の基準角度になるように前記翼アクチュエータを制御する通常モードを実行することと、
前記ターボファンエンジンの運転中に前記発電機が発電すると判定すると、前記ファンを通過する空気流量を減らすべく前記可変静翼の前記取付角を変更するように前記翼アクチュエータを制御する発電モードを実行することと、
を行うように構成されている、航空機発電システム。
【0063】
この構成によれば、発電機の発電時にファンを通過する空気流量が減る。ファンの仕事を減らすことで、エンジンコアの低圧軸から発電機に大きな駆動力を伝達できる。その結果、発電機の大型化を抑制しつつ、効率的に発電することができる。
【0064】
[項目2]
前記処理回路は、前記発電機に電気的に接続された電気機器の所定の動作要求を検知するように更に構成されており、
前記発電機が発電するか否かを判定することは、前記動作要求を検知したときに前記発電機が発電すると判定することを含む、項目1に記載の航空機発電システム。
【0065】
この構成によれば、発電機による発電を簡単に把握することができる。
【0066】
[項目3]
前記処理回路は、飛行状態を示す情報を取得するように構成されており、
前記発電モードでは、前記飛行状態情報に応じて前記取付角を変更する、項目2に記載の航空機発電システム。
【0067】
この構成によれば、飛行状態の変化にかかわらずファン回転数及び発電量を安定させることができる。
【0068】
[項目4]
前記処理回路は、要求発電量を示す情報を取得するように構成されており、
前記発電モードでは、前記要求発電量に応じて前記取付角を変更する、項目2又は3に記載の航空機発電システム。
【0069】
この構成によれば、発電機において要求発電量に応じた過不足ない発電を実現できる。
【0070】
[項目5]
前記発電機が発電した電流を検出する電流センサを更に備え、
前記発電機が発電するか否かを判定することは、前記電流センサが所定値以上の電流値を検出したときに前記発電機が発電すると判定することを含む、項目1又は2に記載の航空機発電システム。
【0071】
この構成によれば、発電機の発電情報に基づいて簡単に発電モードへの移行判断を行うことができる。
【0072】
[項目6]
前記処理回路は、前記ファンの修正回転数を取得するように構成されており、
前記発電モードでは、前記修正回転数が目標の修正回転数になるように前記翼アクチュエータを制御する、項目5に記載の航空機発電システム。
【0073】
この構成によれば、燃料調節に頼らずにファン回転数を調節できる。
【0074】
[項目7]
前記ターボファンエンジンは、前記低圧タービンの下流に配置され且つ流路面積を変更可能な排気口を有する可変排気ノズルと、前記排気口の流路面積を変更するように前記可変排気ノズルを駆動するノズルアクチュエータと、を更に含み、
前記処理回路は、
前記ターボファンエンジンの運転中に前記発電機が発電しないと判定すると、前記可変排気ノズルの前記排気口の前記断面積が所定の大きさになるように前記ノズルアクチュエータを制御することと、
前記ターボファンエンジンの運転中に前記発電機が発電すると判定すると、前記可変排気ノズルの前記排気口の前記断面積が拡がるように前記ノズルアクチュエータを制御することと、
を更に行うように構成されている、項目1乃至6のいずれかに記載の航空機発電システム。
【0075】
この構成によれば、発電機の発電時に可変排気ノズルの排気口の流路面積が拡大して、バイパス流路の圧力が減少傾向となる。それにより、ファンの動作がサージングにより不安定になることを防止し、安定した発電を行うことができる。
【0076】
[項目8]
前記発電機は、第1発電機であり、
前記航空機発電システムは、前記高圧軸に機械的に接続された第2発電機を更に備える、項目1乃至7のいずれかに記載の航空機発電システム。
【0077】
この構成によれば、第2発電機を利用して機体又はターボファンエンジンが必要とする発電を実施しつつ、第1発電機を利用して追加で発電を実施できるので、航空機の多様な発電ニーズに応えることができる。
【0078】
[項目9]
前記発電機は、前記低圧軸の軸線上において前記エンジンコアの前方に配置されている、項目1乃至8のいずれかに記載の航空機発電システム。
【0079】
この構成によれば、低圧軸に接続された発電機を容易にレイアウトできる。
【0080】
[項目10]
前記低圧軸の軸線方向から見て、前記バイパス流路の入口は、前記低圧軸の径方向における前記エンジンコアの入口の外側に配置され、
前記可変静翼は、前記ファンの上流の共通空気流路に配置され、
前記径方向における前記可変静翼の長さは、前記径方向における前記ファンの上流の共通空気流路の外周縁から内周縁までの長さよりも短く、
前記可変静翼は、前記共通空気流路において前記内周縁よりも前記外周縁に近くなるように配置されている、項目1乃至9のいずれかに記載の航空機発電システム。
【0081】
この構成によれば、発電機の発電時には、ファンからエンジンコアに向かう空気の流量の減少を抑制しつつ、ファンからバイパス流路に向かう空気の流量の減少を効果的に実現できる。よって、エンジンコアの動作によって低圧軸を介して発電機を駆動する力の低下を更に好適に防ぐことができる。
【0082】
[項目11]
前記径方向における前記可変静翼の内端は、前記バイパス流路の前記入口と前記エンジンコアの前記入口との間の境界に対応して配置されている、項目10に記載の航空機発電システム。
【0083】
この構成によれば、発電機の発電時には、可変静翼がファンからエンジンコアに向かう空気の流量の減少を抑制しつつ、ファンからバイパス流路に向かう空気の流量の減少を効果的に実現できる。よって、エンジンコアの動作によって低圧軸を介して発電機を駆動する力の低下を更に効果的に防ぐことができる。
【0084】
[項目12]
前記ファンは、
前記低圧軸の径方向に延びたファンブレードと、
前記バイパス流路の前記入口と前記エンジンコアの前記入口との間の境界に対応して配置され、前記ファンブレードから前記低圧軸周りの周方向に延びたシュラウドと、を有する、項目10又は11に記載の航空機発電システム。
【0085】
この構成によれば、ファン上流の共通空気流路において可変静翼よりも径方向内側を通過した空気がシュラウドによってエンジンコアに案内されやすくなる。よって、エンジンコアの動作によって低圧軸を介して発電機を駆動する力の低下を更に好適に防ぐことができる。
【符号の説明】
【0086】
1,101,201,301,401 航空機発電システム
2 航空機
10,410,410 ターボファンエンジン
12 発電機
13 電気機器
17,117,217,317 コントローラ
18,118,218,318 処理回路
21 エンジンコア
22,422 ファン
24a 入口
24 バイパス流路
25 可変静翼
26 翼アクチュエータ
28 ノーズコーン
29 テールコーン
33 燃焼器
41 高圧軸
42 低圧軸
44 低圧圧縮機
44a 入口
45 高圧圧縮機
47 低圧タービン
48 高圧タービン
150 電流センサ
212A 第1発電機
212B 第2発電機
330 可変排気ノズル
330a 排気口
357 ノズルアクチュエータ
425 静翼アッセンブリ
461 可変静翼
462 固定静翼
470 ファンブレード
471 シュラウド
S 共通空気流路
X 軸線方向
R 径方向
C 周方向