(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141758
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】分散電源制御システム及び分散電源制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/38 20060101AFI20241003BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20241003BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H02J3/38 110
H02J3/00 170
H02J13/00 301A
H02J13/00 311R
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053578
(22)【出願日】2023-03-29
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】上條 弘貴
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064CB10
5G064DA03
5G066HB01
(57)【要約】
【課題】分散電源の寿命又は異常などを検知しつつ、分散電源を適切に制御することを可能とする分散電源制御システム及び分散電源制御方法を提供する。
【解決手段】分散電源制御システムは、施設に設置される分散電源を制御する制御指令を生成する第1サーバと、前記第1サーバと前記分散電源との間において前記制御指令を中継する第2サーバと、を備え、前記第2サーバは、前記分散電源に関する計測データを格納する記憶部と、所定時刻を基準として前記計測データの予測値を算出する算出部と、を備え、前記第1サーバは、前記計測データの予測値に基づいて前記制御指令を生成する生成部を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設に設置される分散電源を制御する制御指令を生成する第1サーバと、
前記第1サーバと前記分散電源との間において前記制御指令を中継する第2サーバと、を備え、
前記第2サーバは、前記分散電源に関する計測データを格納する記憶部と、所定時刻を基準として前記計測データの予測値を算出する算出部と、を備え、
前記第1サーバは、前記計測データの予測値に基づいて前記制御指令を生成する生成部を備える、分散電源制御システム。
【請求項2】
前記第2サーバは、前記第1サーバの要求に応じて、前記計測データ又は前記計測データの予測値を前記第1サーバに送信する送信部を備える、請求項1に記載の分散電源制御システム。
【請求項3】
前記第2サーバは、前記計測データの予測値を前記第1サーバに送信した場合に、前記第1サーバから特定指示を受信するまで、前記分散電源の動作を制限する制御部を備える、請求項1に記載の分散電源制御システム。
【請求項4】
前記算出部は、前記第1サーバによって指定された前記所定時刻を基準として前記計測データの予測値を算出する、請求項1に記載の分散電源制御システム。
【請求項5】
前記第2サーバは、前記第1サーバによって指定された条件に基づいて、前記計測データの予測値の算出対象とされる前記分散電源を選択する選択部を備える、請求項1に記載の分散電源制御システム。
【請求項6】
前記第2サーバは、前記計測データの予測値を前記第1サーバに送信した場合に、前記計測データの予測値に対応する条件が満たされた場合に、前記分散電源の動作を制限する制御部を備える、請求項1に記載の分散電源制御システム。
【請求項7】
前記第2サーバは、前記制御指令の想定される予定時刻が特定時刻よりも後である場合に、前記計測データの予測値に対応する前記分散電源の動作を制限せずに、前記予定時刻が前記特定時刻よりも前である場合に、前記計測データの予測値に対応する前記分散電源の動作を制限する制御部を備える、請求項1に記載の分散電源制御システム。
【請求項8】
第1サーバが、施設に設置される分散電源を制御する制御指令を生成するステップAと、
第2サーバが、前記第1サーバと前記分散電源との間において前記制御指令を中継するステップBと、
前記第2サーバが、前記分散電源に関する計測データを格納するステップCと、
前記第2サーバが、所定時刻を基準として前記計測データの予測値を算出するステップDと、を備え、
前記ステップAは、前記第1サーバが、前記計測データの予測値に基づいて前記制御指令を生成するステップを含む、分散電源制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散電源制御システム及び分散電源制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コミュニティ内で蓄電装置を共用するために、蓄電装置の容量の一部を確保しつつ、蓄電装置の充電又は放電を制御するサーバが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、蓄電装置などの分散電源を制御するサーバ(以下、事業者サーバ)と分散電源との間において、事業者サーバから送信される制御指令を分散電源に中継する中継サーバが配置されるケースが想定される。例えば、中継サーバは、分散電源に関する計測データを取得することによって、分散電源の寿命又は異常などを検知することが可能である。
【0005】
しかしながら、事業者サーバと分散電源との間において中継サーバが配置されるケースでは、事業者サーバが制御指令を送信するにあたって、分散電源から計測データが送信されてから分散電源に制御指令が到達するまでの遅延時間が想定される。例えば、遅延時間としては、中継サーバが分散電源から計測データを収集する時間、事業者サーバが中継サーバから計測データを読み込む時間、事業者サーバが計測データに基づいて制御指令を生成する時間などが考えられる。
【0006】
すなわち、分散電源を制御する制御指令は、上述した遅延時間だけ前の計測データに基づいて生成されるため、分散電源の状態が想定とは異なってしまう可能性があり、分散電源を適切に制御することができない可能性がある。
【0007】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、分散電源の寿命又は異常などを検知しつつ、分散電源を適切に制御することを可能とする分散電源制御システム及び分散電源制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示の一態様は、施設に設置される分散電源を制御する制御指令を生成する第1サーバと、前記第1サーバと前記分散電源との間において前記制御指令を中継する第2サーバと、を備え、前記第2サーバは、前記分散電源に関する計測データを格納する記憶部と、所定時刻を基準として前記計測データの予測値を算出する算出部と、を備え、前記第1サーバは、前記計測データの予測値に基づいて前記制御指令を生成する生成部を備える、分散電源制御システムである。
【0009】
開示の一態様は、第1サーバが、施設に設置される分散電源を制御する制御指令を生成するステップと、第2サーバが、前記第1サーバと前記分散電源との間において前記制御指令を中継するステップと、前記第2サーバが、前記分散電源に関する計測データを格納するステップと、前記第2サーバが、所定時刻を基準として前記計測データの予測値を算出するステップと、前記第1サーバが、前記計測データの予測値に基づいて前記制御指令を生成するステップと、を備える、分散電源制御方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、分散電源の寿命又は異常などを検知しつつ、分散電源を適切に制御することを可能とする分散電源制御システム及び分散電源制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係る分散電源制御システム1を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る施設100を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る第1サーバ200を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る第2サーバ300を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る計測データの予測値について説明するための図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る動作例について説明するための図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る動作例について説明するための図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る動作例について説明するための図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る動作例について説明するための図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る動作例について説明するための図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る動作例について説明するための図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る動作例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下において、実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものである。
【0013】
[実施形態]
(分散電源制御システム)
以下において、実施形態に係る分散電源制御システムについて説明する。分散電源制御システムは、単に、電力システムと称されてもよい。
【0014】
図1に示すように、分散電源制御システム1は、施設100を有する。分散電源制御システム1は、第1サーバ200及び第2サーバ300を含む。
【0015】
ここで、施設100、第1サーバ200及び第2サーバ300は、ネットワーク11を介して通信可能に構成される。ネットワーク11は、インターネットを含んでもよく、VPN(Virtual Private Network)などの専用回線を含んでもよく、移動体通信網を含んでもよい。
【0016】
施設100は、電力系統12に接続されており、電力系統12から電力が供給されてもよく、電力系統12に電力を供給してもよい。電力系統12から施設100への電力は、順潮流電力と称されてもよい。施設100から電力系統12への電力は、逆潮流電力と称されてもよい。
図1では、施設100として、施設100A~施設100Cが例示されている。
【0017】
特に限定されるものではないが、施設100は、住宅などの施設であってもよく、店舗などの施設であってもよく、オフィスなどの施設であってもよい。施設100は、2以上の住宅を含む集合住宅であってもよい。施設100は、住宅、店舗及びオフィスの少なくともいずれか2以上の施設を含む複合施設であってもよい。施設100の詳細については後述する(
図2を参照)。なお、施設100を所有又は管理するユーザを施設100と称することもある。
【0018】
第1サーバ200は、施設100に電力を販売する事業者(小売電気事業者)によって管理される。小売電気事業者は、電力系統12などの基盤を管理する地域電力事業者(一般電気事業者)を含んでもよく、地域電力事業者以外の新電力事業者を含んでもよい。新電力事業者は、電力市場から電力を調達することによって、施設に対して電力を販売することが想定されてもよい。第1サーバ200は、事業者サーバと称されてもよい。第1サーバ200の詳細については後述する(
図3を参照)。なお、第1サーバ200を管理する事業者を第1サーバと称することもある。
【0019】
ここで、電力市場は、施設100に供給される電力(調達電力)の取引に関する卸電力市場を含んでもよく、卸電力市場のゲートクローズ後における電力需給のギャップの調整に関する電力調整市場を含んでもよく、供給力(例えば、逆潮流電力)の取引に関する容量市場を含んでもよい。電力市場は、他の小売電気事業者と電力の取引を含んでもよい。電力市場は、他の発電事業者と電力の取引を含んでもよい。すなわち、電力市場は、1対1又は1対他又は多対多などの形態によらずに、電力の取引を行うための取引所であればよい。
【0020】
実施形態では、第1サーバ200は、施設100に設置される分散電源を制御する制御指令を生成する第1サーバの一例である。
【0021】
第2サーバ300は、分散電源を製造又は販売する事業者によって管理されてもよい。第2サーバ300は、分散電源に関する計測データを受信し、計測データに基づいて分散電源の寿命又は異常を検知してもよい。第2サーバ300は、第1サーバ200と分散電源との間で制御指令を中継する。すなわち、第1サーバ200は少なくとも一部の制御指令を分散電源に直接指令しない。第2サーバ300は、分散電源と第1サーバ200との間で計測データを中継する。すなわち、第1サーバ200は少なくとも一部の計測データを第2サーバ300からのみ取得する。第2サーバ300は、計測データの中継において計測データを加工してもよい。第2サーバは、中継サーバと称されてもよい。第2サーバ300の詳細については後述する(
図4を参照)。なお、第2サーバ300を管理する事業者を第2サーバと称することもある。
【0022】
ここで、分散電源に関する計測データは、分散電源の運転モード、分散電源の出力電力値、これらと対応付けられる時間などを含んでもよい。例えば、分散電源が蓄電装置120である場合には、蓄電装置120に関する計測データは、蓄電装置120の運転モード(例えば、充電モード、放電モード、待機モード)、蓄電装置120の充電電力値、蓄電装置120の放電電力値、蓄電装置120の充電可能電力値(空き容量値)、蓄電装置120の放電可能電力値(蓄電残量値)、これらと対応付けられる時間などを含んでもよい。
【0023】
実施形態では、第2サーバ300は、第1サーバ200と分散電源との間で制御指令を中継する第2サーバの一例である。
【0024】
(施設)
以下において、実施形態に係る施設について説明する。
図2に示すように、施設100は、太陽電池装置110と、蓄電装置120と、燃料電池装置130と、負荷機器140と、EMS(Energy Management System)160と、を有してもよい。施設100は、測定装置190を有してもよい。
【0025】
太陽電池装置110は、太陽光などの光に応じて発電をする分散電源である。例えば、太陽電池装置110は、PCS(Power Conditioning System)及び太陽光パネルによって構成される。ここで、設置とは、太陽電池装置110と電力系統12とが接続されることであってもよい。
【0026】
蓄電装置120は、電力の充電及び電力の放電をする分散電源である。例えば、蓄電装置120は、PCS及び蓄電セルによって構成される。ここで、設置とは、蓄電装置120と電力系統12とが接続されることであってもよい。以下において、蓄電装置120は、電力系統12の電力需給バランスの調整に用いる分散電源の一例である。蓄電装置120は、VPP(Virtual Power Plant)制御に用いる分散電源の一例であると考えてもよい。
【0027】
燃料電池装置130は、燃料を用いて発電を行う分散電源である。例えば、燃料電池装置130は、PCS及び燃料電池セルによって構成される。ここで、設置とは、燃料電池装置130と電力系統12とが接続されることであってもよい。
【0028】
例えば、燃料電池装置130は、固体酸化物型燃料電池(SOFC; Solid Oxide Fuel Cell)であってもよく、固体高分子型燃料電池(PEFC; Polymer Electrolyte Fuel Cell)であってもよく、リン酸型燃料電池(PAFC; Phosphoric Acid Fuel Cell)であってもよく、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC; Molten Carbonate Fuel Cell)であってもよい。
【0029】
負荷機器140は、電力を消費する機器である。例えば、負荷機器140は、空調装置、ヒートポンプ給湯器、照明装置などを含んでもよい。
【0030】
EMS160は、施設100に関する電力を管理する。EMS160は、太陽電池装置110、蓄電装置120、燃料電池装置130、負荷機器140を制御してもよい。実施形態では、第1サーバ200から制御コマンドを受信する装置としてEMS160を例示するが、このような装置は、Gatewayと称されてもよく、単に制御ユニットと称されてもよい。EMS160は、第1サーバ200と区別するために、LEMS(Local EMS)と称されてもよく、HEMS(Home EMS)と称されてもよい。
【0031】
測定装置190は、電力系統12から施設100への順潮流電力(以下、需要電力とも称する)を測定する。測定装置190は、施設100から電力系統12への逆潮流電力を測定してもよい。例えば、測定装置190は、電力会社に帰属するSmart Meterであってもよい。測定装置190は、第1間隔(例えば、30分)における測定結果(順潮流電力又は逆潮流電力の積算値)を示す情報要素を第1間隔毎にEMS160に送信してもよい。測定装置190は、第1間隔よりも短い第2間隔(例えば、1分)における測定結果を示す情報要素をEMS160に送信してもよい。また、測定装置190がカレントトランス(Current Transformer)である場合は、太陽電池装置110、蓄電装置120、燃料電池装置130、負荷機器140、EMS160のいずれが測定装置190を利用しても良い。
【0032】
(第1サーバ)
以下において、実施形態に係る第1サーバについて説明する。
図3に示すように、第1サーバ200は、通信部210と、管理部220と、制御部230と、を有する。
【0033】
通信部210は、通信モジュールによって構成される。通信モジュールは、IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax、ZigBee、Wi-SUN、LTE、5G、6Gなどの規格に準拠する無線通信モジュールであってもよく、IEEE802.3などの規格に準拠する有線通信モジュールであってもよい。
【0034】
例えば、通信部210は、分散電源を制御する制御指令を第2サーバ300に送信してもよい。通信部210は、分散電源に関する計測データを第2サーバ300から受信してもよい。上述したように、計測データは、第2サーバ300によって加工されてもよい。加工された計測データは、後述する計測データの予測値であってもよい。
【0035】
ここで、計測データの予測値は、分散電源の運転モードの予測値、分散電源の出力電力値の予測値などを含んでもよい。例えば、分散電源が蓄電装置120である場合には、計測データの予測値は、蓄電装置120の運転モード(例えば、充電モード、放電モード、待機モード)の予測値、蓄電装置120の充電電力値の予測値、蓄電装置120の放電電力値の予測値、蓄電装置120の充電可能電力値(空き容量値)の予測値、蓄電装置120の放電可能電力値(蓄電残量値)の予測値などを含んでもよい。
【0036】
なお、蓄電装置120の充電電力値の予測値、蓄電装置120の放電電力値の予測値は、Wで表されてもよく、Whで表されてもよく、係数で表されてもよい。
【0037】
管理部220は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、不揮発性メモリなどの記憶媒体によって構成される。
【0038】
例えば、管理部220は、電力系統12に接続された1以上の施設100を管理してもよい。1以上の施設100の管理は、電力系統12に接続された1以上の分散電源の管理と読み替えられてもよい。例えば、管理部220は、第2サーバ300から受信する計測データを管理してもよい。
【0039】
管理部220は、施設100に関する情報を管理してもよい。例えば、施設100に関する情報は、施設100に設けられる分散電源(太陽電池装置110、蓄電装置120又は燃料電池装置130)の種別、施設100に設けられる分散電源(太陽電池装置110、蓄電装置120又は燃料電池装置130)のスペックなどである。スペックは、太陽電池装置110の定格発電電力、蓄電装置120の定格充電電力、蓄電装置120の定格放電電力、燃料電池装置130の定格出力電力を含んでもよい。スペックは、蓄電装置120の定格容量、最大充放電電力などを含んでもよい。
【0040】
制御部230は、少なくとも1つのプロセッサを含んでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC)によって構成されてもよく、通信可能に接続された複数の回路(集積回路及び又はディスクリート回路(discrete circuit(s))など)によって構成されてもよい。
【0041】
例えば、制御部230は、第2サーバ300から受信する計測データに基づいて、分散電源の制御計画を策定してもよい。制御計画は、第1サーバ200(例えば、新電力事業者)が電力を調達するコストを最小化するように策定されてもよい。制御計画は、施設100の需要電力のコストを最小化するように策定されてもよい。制御部230は、制御計画に従って制御指令を生成してもよい。
【0042】
実施形態では、制御部230は、計測データの予測値に基づいて制御指令を生成する生成部を構成する。例えば、負荷機器140等への給電を蓄電装置120からも行う制御指令を生成するのであれば、第1サーバ200の制御部230は、第2サーバ300の管理部320で管理されている各蓄電装置120の計測データの予測値(蓄電残量値)を取得(第1サーバ200が管理部320で管理される計測データの予測値を読み取るのでもよいし、第2サーバ300が送信してきた計測データの予測値を管理している管理部220から読み取るのでもよい)し、各蓄電装置120の計測データの予測値を基に放電制御を予定している時間間隔に一定して出力可能な放電電力値を算出し、各蓄電装置120に対する制御指令(放電時刻・放電終了時刻および放電電力値)を生成する。計測データの予測値の詳細については後述する。
【0043】
(第2サーバ)
以下において、実施形態に係る第2サーバについて説明する。
図4に示すように、第2サーバ300は、通信部310と、管理部320と、制御部330と、を有する。
【0044】
通信部310は、通信モジュールによって構成される。通信モジュールは、IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax、ZigBee、Wi-SUN、LTE、5G、6Gなどの規格に準拠する無線通信モジュールであってもよく、IEEE802.3などの規格に準拠する有線通信モジュールであってもよい。
【0045】
例えば、通信部310は、分散電源を制御する制御指令を第1サーバ200から受信する。通信部310は、第1サーバ200から受信する制御指令を分散電源に送信する。制御指令は、第1サーバ200から分散電源に対して、第2サーバ300によって加工されることなく中継されてもよい。
【0046】
例えば、通信部310は、分散電源に関する計測データを受信する。通信部310は、分散電源から受信する計測データを第1サーバ200に送信する。計測データは、分散電源から第1サーバ200に対して、第2サーバ300によって加工された上で中継されてもよい。第2サーバ300によって加工された計測データは、計測データの予測値であってもよい。計測データの予測値の詳細については後述する。
【0047】
管理部320は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、不揮発性メモリなどの記憶媒体によって構成される。
【0048】
例えば、管理部320は、分散電源から受信する計測データを管理してもよい。計測データは、分散電源の寿命又は異常の検知に用いられてもよい。管理部320は、計測データに加えて、後述する計測データの予測値を管理してもよい。
【0049】
実施形態では、管理部320は、分散電源に関する計測データを格納する記憶部を構成する。
【0050】
制御部330は、少なくとも1つのプロセッサを含んでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC)によって構成されてもよく、通信可能に接続された複数の回路(集積回路及び又はディスクリート回路(discrete circuit(s))など)によって構成されてもよい。
【0051】
実施形態では、制御部330は、所定時刻を基準として計測データの予測値を算出する算出部を構成する。所定時刻は、計測データを受信する時刻以降の時刻であって、制御指令によって分散電源の制御を実行する時刻以前の時刻であってもよい。
【0052】
ここで、制御部330は、所定時刻の計測データの予測値に加えて、所定時刻の前後の計測データの予測値を算出してもよい。所定時刻は、一定時間間隔で定義される2以上の時刻であってもよい。
【0053】
制御部330は、分散電源の状態及び施設100の消費電力などに基づいて計測データの予測値を算出してもよい。
【0054】
分散電源の状態は、分散電源の運転モード及び出力電力値を含んでもよい。例えば、分散電源が蓄電装置120である場合には、蓄電装置120の状態は、蓄電装置120の運転モード(例えば、充電モード、放電モード、待機モード)、蓄電装置120の充電電力値、蓄電装置120の放電電力値、蓄電装置120の充電可能電力値(空き容量値)、蓄電装置120の放電可能電力値(蓄電残量値)を含んでもよい。
【0055】
具体的な予測値の算出方法としては、以下に示す方法が考えられる。例えば、分散電源から計測データとして蓄電装置120の蓄電残量値と充電又は放電開始時間のスケジュールを取得した制御部330は、所定時刻までに蓄電装置120が充電又は放電されるか否かを判断する。制御部330は、蓄電装置120が充電又は放電されるのであれば電力残量はいくらになるか(言い換えれば、充電又は放電量はいくらか)を算出する。算出された値は計測データの予測値として管理部320で管理される。蓄電装置120の蓄電残量値は%で表されてもよいし、kWhで表されてもよい。
【0056】
(計測データの予測値)
以下において、実施形態に係る計測データの予測値について説明する。以下においては、分散電源が蓄電装置120であるケースについて例示する。第2サーバ300は、第2サーバ300によって管理される2以上の蓄電装置120の各々から所定間隔(例えば、10分など)で計測データを受信する。所定間隔は、2以上の蓄電装置120の計測データの更新間隔であると考えてもよい。例示において、
図5は第2サーバ300が計測データの予測値を算出する対象期間の選択肢を示し、Alt.1は蓄電装置120から計測データの受信を開始してから蓄電装置120へ制御指令を送信完了するまでを対象期間、Alt.2は第2サーバ300が第1サーバ200から制御指令を受信するまでを対象期間、Alt.3は第1サーバ200が計測データの予測値の読込を完了するまでを対象期間、Alt.4は第2サーバ300が蓄電装置120の最後の計測データを受信するまでを対象期間とすることを示す。
【0057】
図5のAlt.1~Alt.4に示すように、第2サーバ300は、時刻t1において、2以上の蓄電装置120の中の最初の蓄電装置120から計測データを受信し、時刻t2において、2以上の蓄電装置120の中の最後の蓄電装置120から計測データを受信する。最初の蓄電装置120は、制御計画の策定に用いる最初の計測データを送信する蓄電装置120である。最後の蓄電装置120は、制御計画の策定に用いる最後の計測データを送信する蓄電装置120である。時刻t1は、最初の計測データが第2サーバ300に到達した時刻であると考えてもよい。時刻t2は、最後の計測データが第2サーバ300に到達した時刻であると考えてもよい。時刻t1と時刻t2との遅延時間は、計測データの収集処理及び収集した計測データから計測データの予測値を算出するまでに要する遅延時間である。
【0058】
図5のAlt.1~Alt.3に示すように、第1サーバ200は、時刻t2において、第2サーバ300から計測データの予測値の読込を開始し、時刻t3において、第2サーバ300から計測データの予測値の読込を完了する。時刻t2と時刻t3との遅延時間は、計測データの予測値の読込処理に要する遅延時間である。
【0059】
図5のAlt.1~Alt.2に示すように、第1サーバ200は、時刻t3において、計測データの予測値に基づいて制御指令の生成を開始し、時刻t4において、計測データの予測値に基づいて制御指令の生成を完了する。時刻t3と時刻t4との遅延時間は、制御指令の生成処理に要する遅延時間である。
【0060】
図5のAlt.1に示すように、第1サーバ200は、時刻t4において、第2サーバ300に対して制御指令を送信し、第2サーバ300は、時刻t5において、蓄電装置120に対して制御指令の送信を完了する。時刻t5は、蓄電装置120に制御指令が到達する時刻であると考えてもよい。時刻t4と時刻t5との遅延時間は、制御指令の送信処理に要する遅延時間である。
【0061】
第1に、
図5に示すように、蓄電装置120から計測データが送信されてから蓄電装置120に制御指令が到達するまでの遅延時間が生じるケースで生じる課題について説明する。
【0062】
具体的には、制御指令は、最大でt5-t1の遅延時間だけ前の計測データを想定して生成される。従って、蓄電装置120の状態が想定とは異なってしまう可能性があり、蓄電装置120を適切に制御することができない可能性がある。
【0063】
第2に、上述した課題を解決するための動作について説明する。
【0064】
具体的には、第2サーバ300は、計測データをそのまま第1サーバ200に送信するのではなく、所定時刻を基準として算出された計測データの予測値を第1サーバ200に送信する。所定時刻としては、
図5に示すように、Alt.1~Alt.4の代替案が考えられる。
【0065】
Alt.1では、所定時刻は、時刻t5であってもよい。すなわち、蓄電装置120に対して制御指令を送信すると想定される時刻(又は、蓄電装置120に制御指令が到達すると想定される時刻)を基準として計測データの予測値が算出されてもよい。また、時刻t5は、最初の蓄電装置に制御指令を送信する時刻であってもよく、最後の蓄電装置に制御指令を送信する時刻であってもよく、その中間の蓄電装置に制御指令を送信する時刻であってもよい。
【0066】
Alt.2では、所定時刻は、時刻t4であってもよい。すなわち、第1サーバ200が第2サーバ300に制御指令を送信すると想定される時刻を基準として計測データの予測値が算出されてもよい。
【0067】
Alt.3では、所定時刻は、時刻t3であってもよい。すなわち、第1サーバ200が計測データの予測値の読込を完了すると想定される時刻を基準として計測データの予測値が算出されてもよい。
【0068】
Alt.4では、所定時刻は、時刻t2であってもよい。すなわち、第2サーバ300が最後の計測データを受信すると想定される時刻を基準として計測データの予測値が算出されてもよい。なお、受信した最後の計測データから計測データの予測値を算出すると想定される時刻を基準として計測データの予測値が算出されてもよい。
【0069】
Alt.1~Alt.4において、蓄電装置120が計測データを送信する時刻は蓄電装置120毎に異なることが想定されるため、計測データの予測値の算出で参照される遅延時間は蓄電装置120毎に異なってもよい。計測データの予測値は、蓄電装置120の各々の状態及び蓄電装置120が設置される施設100の各々の消費電力に基づいて算出される。
【0070】
(動作例)
以下において、実施形態に係る動作例について説明する。動作例としては、以下に示す動作例が考えられる。
【0071】
第1に、動作例1について
図6を参照しながら説明する。
【0072】
動作例1では、
図6に示すように、ステップS10において、蓄電装置120は、計測データを第2サーバ300に送信する。
【0073】
ステップS12において、第2サーバ300は、計測データを格納する。
【0074】
ステップS14において、第2サーバ300は、所定時刻を基準として計測データの予測値を算出する。所定時刻は、
図5に示すAlt.1~Alt.4のいずれであってもよい。
【0075】
ステップS16において、第2サーバ300は、計測データの予測値を第1サーバ200に送信する。ステップS16は、計測データの予測値を第1サーバ200が読み込む処理であると考えてもよい。
【0076】
ステップS18において、第1サーバ200は、蓄電装置120の制御計画を策定する。言い換えると、第1サーバ200は、計測データの予測値に基づいて制御指令を生成する。
【0077】
ステップS20において、第1サーバ200は、制御指令を第2サーバ300に送信する。
【0078】
ステップS22において、第2サーバ300は、制御指令を蓄電装置120に送信する。
【0079】
第2に、動作例2について
図7を参照しながら説明する。以下においては、動作例1に対する相違点について主として説明する。
【0080】
動作例2では、第2サーバ300の通信部310は、第1サーバ200の要求に応じて、計測データ又は計測データの予測値を第1サーバ200に送信する送信部を構成する。
【0081】
例えば、
図7に示すように、第2サーバ300は、第1サーバ200Xの要求に応じて、計測データを第1サーバ200Xに送信してもよい。一方で、第2サーバ300は、第1サーバ200Yの要求に応じて、計測データの予測値を第1サーバ200Yに送信してもよい。このようなケースにおいて、第1サーバ200Xは、計測データの予測値を自ら算出した上で、蓄電装置120の制御計画を策定してもよい。
【0082】
すなわち、動作例2では、第1サーバ200が計測データ又は計測データの予測値を受信するかを選択可能であってもよい。
【0083】
第3に、動作例3について
図8を参照しながら説明する。以下においては、動作例1に対する相違点について主として説明する。
図8では、
図6と同様のステップについて同様のステップ番号が付されている。
図6と同様のステップの説明については省略する。
【0084】
動作例3では、第2サーバ300の制御部330は、計測データの予測値を第1サーバ200に送信した場合に、第1サーバ200から特定指示を受信するまで、蓄電装置120の動作を制限する制御部を構成する。特定指示は、制御指令そのものであってもよく、蓄電装置120の動作の制限が必要ない旨の指示であってもよい。
【0085】
例えば、
図8に示すように、ステップS17Aにおいて、第2サーバ300は、蓄電装置120の動作の制限を指示する保持指令を蓄電装置120に送信する。ステップS17Bにおいて、蓄電装置120は、蓄電装置120の動作を制限する。
【0086】
動作例3において、蓄電装置120の動作の制限は、所定時刻において計測データの予測値に対する乖離が閾値を超える蓄電装置の動作の制限であってもよい。例えば、10:00に第1サーバ200が取得した計測データの予測値が「12:00の放電電力量の予測値:2kWh(蓄電残量値などでもよい)」であっても、負荷が予想されたよりも増大すると予測よりも早く11:00に蓄電装置120の放電電力が2kWhに達してしまい、計測データの予測値に対する乖離が大きくなる。そこで、12:00までの放電電力量が放電電力量の予測値の範囲内に収まるよう放電電力値の上限を算出して閾値とし、蓄電装置120の動作の制限とする。蓄電装置120の動作の制限は、施設100のユーザ又はEMS160による蓄電装置120の運転モードの変更の禁止であってもよい。蓄電装置120の動作の制限は、施設100のユーザ又はEMS160による蓄電装置120の充電電力値の上限及び下限の少なくともいずれか1つの設定であってもよい。蓄電装置120の動作の制限は、施設100のユーザ又はEMS160による蓄電装置120の放電電力値の上限及び下限の少なくともいずれか1つの設定であってもよい。
【0087】
第4に、動作例4について
図9を参照しながら説明する。以下においては、動作例1に対する相違点について主として説明する。
図9では、
図6と同様のステップについて同様のステップ番号が付されている。
図6と同様のステップの説明については省略する。
【0088】
動作例4では、第2サーバ300の制御部330は、第1サーバ200によって指定された所定時刻を基準として計測データの予測値を算出する。
【0089】
例えば、
図9に示すように、ステップS13において、第1サーバ200は、計測データの予測値の送信を要求するリクエストを第2サーバ300に送信する。リクエストは、所定時刻を指定する情報要素を含む。第1サーバ200によって指定された所定時刻は、
図5に示すAlt.1~Alt.4のいずれであってもよい。
【0090】
第5に、動作例5について
図10を参照しながら説明する。以下においては、動作例1に対する相違点について主として説明する。
【0091】
動作例5では、第2サーバ300の制御部330は、第1サーバ200によって指定された条件に基づいて、計測データの予測値の算出対象とされる蓄電装置120を選択する選択部を構成する。
【0092】
例えば、
図10に示すように、第1サーバ200は、計測データの予測値の算出対象とされる蓄電装置120を選択する条件を第2サーバ300に通知する。条件の通知は、動作例4で説明したリクエストによって実行されてもよい。
【0093】
動作例5において、条件は、蓄電装置120の放電可能電力値(蓄電残量値)が閾値以上である条件であってもよい。条件は、蓄電装置120の充電可能電力値(空き容量値)が閾値以上である条件であってもよい。条件は、蓄電装置120が設置される施設100の潮流電力(買電電力)が閾値以上である条件であってもよく、蓄電装置120が設置される施設100の潮流電力(買電電力)が閾値以下である条件であってもよい。条件は、蓄電装置120が設置される施設100の逆潮流電力(売電電力)が閾値以上である条件であってもよく、蓄電装置120が設置される施設100の逆潮流電力(売電電力)が閾値以下である条件であってもよい。
【0094】
特に限定されるものではないが、動作例3と同様に、第2サーバ300は、計測データの予測値の算出対象とされる蓄電装置120に対して保持指令を送信してもよい。すなわち、計測データの予測値の算出対象とされる蓄電装置120の動作が制限されてもよい。
【0095】
第6に、動作例6について
図11を参照しながら説明する。以下においては、動作例1に対する相違点について主として説明する。
【0096】
動作例6では、第2サーバ300の制御部330は、計測データの予測値を第1サーバ200に送信した場合に、計測データの予測値に対応する条件が満たされた場合に、蓄電装置120の動作を制限する制御部を構成する。
【0097】
例えば、
図11に示すように、第2サーバ300は、計測データの予測値に対応する条件を示す情報要素を含む保持指令を蓄電装置120に送信する。蓄電装置120は、条件が満たされるまでユーザの操作を許容しつつ、条件が満たされた場合にユーザの操作を制限してもよい。
【0098】
動作例6において、計測データの予測値に対応する条件は、蓄電装置120の放電可能電力値(蓄電残量値)が予測値を下回る条件であってもよく、蓄電装置120の充電可能電力値(空き容量値)が閾値を下回る条件であってもよい。
【0099】
第7に、動作例7について
図12を参照しながら説明する。以下においては、動作例3に対する相違点について主として説明する。
図12では、
図8と同様のステップについて同様のステップ番号が付されている。
図8と同様のステップの説明については省略する。
【0100】
動作例7では、第2サーバ300の制御部330は、制御指令の送信が想定される予定時刻が特定時刻よりも後である場合に、計測データの予測値に対応する蓄電装置120の動作を制限せずに、予定時刻が特定時刻よりも前である場合に、計測データの予測値に対応する蓄電装置120の動作を制限する。
【0101】
例えば、
図12に示すように、ステップS17A及びステップS17Bの処理は、予定時刻が特定時刻よりも後である場合に実行されず、ステップS17A及びステップS17Bの処理は、予定時刻が特定時刻よりも前である場合に実行される。
【0102】
動作例7において、制御指令の送信が想定される予定時刻は、第1サーバ200から第2サーバ300に通知されてもよい。例えば、予定時刻の通知は、動作例4で説明したリクエストによって実行されてもよい。
【0103】
動作例7において、特定時刻は、動作例4で説明したリクエストの受信時刻から一定時間(例えば、2時間)が経過した時刻であってもよい。一定時間は、予め第2サーバ300が計測データの予測値の予測精度を損なわない時間範囲の初期設定値であってもよく、蓄電装置120から取得できる計測データの種類によって決定されても良い。すなわち、予定時刻がリクエストの受信時刻の12時間後(又は1日後)である場合には、予定時刻が特定時刻よりも後であるため、第2サーバ300は、計測データの予測値を算出せずに、計測データを第1サーバ200に送信するとともに、蓄電装置120の動作を制限しなくてもよい。第2サーバ300は計測データの予測値又は計測データを第1サーバ200に送信する際、いずれのデータであるかを示すコードを付与して良い。
【0104】
動作例7において第1サーバ200に計測データの予測値が送信される場合、第2サーバ300は、所定時刻における値が計測データの予測値から閾値を超えて乖離した場合に、計測データの予測値を再算出した上で、再算出された計測データの予測値を第1サーバに送信してもよい。
【0105】
(作用及び効果)
実施形態では、第2サーバ300は、蓄電装置120に関する計測データを格納するとともに、所定時刻を基準として算出された計測データの予測値を第1サーバ200に送信する(動作例1)。このような構成によれば、第2サーバが遅延時間だけ前の計測データを想定して生成することで、分散電源を適切に制御することができる。また、第1サーバ200が寿命又は異常などを検知する機能を有さなくても第2サーバ300が計測データに含まれるSOCの情報や経過時間(年数)と充放電の情報から寿命又は異常などを検知して第1サーバ200に通知することができ、第1サーバ200及び第2サーバ300は蓄電装置120の寿命又は異常などを検知しつつ、蓄電装置120を適切に制御することができる。
【0106】
実施形態では、第2サーバ300は、第1サーバ200の要求に応じて、計測データ又は計測データの予測値を第1サーバ200に送信してもよい。このような構成によれば、第1サーバ200は、計測データを取得しつつ計測データの予測値を自ら算出するか、計測データの予測値の算出を第2サーバ300に依存するかを選択することができる(動作例2)。
【0107】
実施形態では、第2サーバ300は、計測データの予測値を第1サーバ200に送信した場合に、第1サーバ200から特定指示を受信するまで、蓄電装置120の動作を制限してもよい(動作例3)。このような構成によれば、制御指令が蓄電装置120に到達した段階の値が計測データの予測値から乖離することを抑制することができる。
【0108】
実施形態では、第2サーバ300は、第1サーバ200によって指定された所定時刻を基準として計測データの予測値を算出してもよい(動作例4)。このような構成によれば、第1サーバ200が所定時刻を任意に指定することができる。
【0109】
実施形態では、第2サーバ300は、第1サーバ200によって指定された条件に基づいて、計測データの予測値の算出対象とされる蓄電装置120を選択してもよい(動作例5)。このような構成によれば、第1サーバ200(例えば、新電力事業者)が電力を調達するコストの最小化に寄与する蓄電装置120を適切に選択することができ、選択されなかった蓄電装置120について施設100の主導で適切に利用することができる。
【0110】
実施形態では、第2サーバ300は、計測データの予測値を第1サーバ200に送信した場合に、計測データの予測値に対応する条件が満たされた場合に、蓄電装置120の動作を制限してもよい(動作例6)。このような構成によれば、蓄電装置120の動作の不必要な制限を抑制しつつ、制御指令が蓄電装置120に到達した段階の値が計測データの予測値から乖離することを抑制することができる。
【0111】
実施形態では、第2サーバ300は、制御指令の送信が想定される予定時刻が特定時刻よりも後である場合に、計測データの予測値を算出せずに、予定時刻が特定時刻よりも前である場合に、計測データの予測値を算出してもよい(動作例7)。このような構成によれば、予定時刻がかなり将来の時刻であり、計測データの予測精度が十分に担保されないケースにおいて、不必要な計測データの予測値の算出を抑制することができる。
【0112】
実施形態では、第2サーバ300は、制御指令の送信が想定される予定時刻が特定時刻よりも後である場合に、蓄電装置120の動作を制限せずに、予定時刻が特定時刻よりも前である場合に、蓄電装置120の動作を制限してもよい(動作例7)。このような構成によれば、予定時刻がかなり将来の時刻であり、計測データの予測精度が十分に担保されないケースにおいて、蓄電装置120の動作が過度に制限されることを抑制することができる。
【0113】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0114】
上述した開示では特に触れていないが、動作例1-動作例7の中から選択された2以上の動作例が組み合わせてもよい。
【0115】
上述した開示では特に触れていないが、分散電源に関する計測データは、蓄電装置120が設置される施設100の潮流電力(買電電力)を示す値を含んでもよく、蓄電装置120が設置される施設100の潮流電力(買電電力)を示す値を含んでもよい。
【0116】
上述した開示では、計測データが蓄電装置120から第2サーバ300に送信されるケースについて例示した。しかしながら、上述した開示はこれに限定されるものではない。例えば、計測データは、EMS160から第2サーバ300に送信されてもよい。
【0117】
上述した開示において、第1サーバ200によって制御される分散電源が蓄電装置120であるケースについて例示した。しかしながら、上述した開示はこれに限定されるものではない。第1サーバ200によって制御される分散電源は、太陽電池装置110、燃料電池装置130などを含んでもよい。第1サーバ200によって制御される分散電源は、風力発電装置、地熱発電装置などを含んでもよい。
【0118】
上述した開示では特に触れていないが、電力は、瞬時値(W又はkW)で表されてもよく、単位時間の積算値(Wh又はkWh)で表されてもよい。
【0119】
上述した開示では特に触れていないが、第1サーバ200又は第2サーバ300が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0120】
或いは、第1サーバ200又は第2サーバ300が行う各処理を実行するためのプログラムを記憶するメモリ及びメモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサによって構成されるチップが提供されてもよい。
【0121】
[付記]
上述した開示は以下のように表されてもよい。
【0122】
第1の特徴は、施設に設置される分散電源を制御する制御指令を生成する第1サーバと、前記第1サーバと前記分散電源との間において前記制御指令を中継する第2サーバと、を備え、前記第2サーバは、前記分散電源に関する計測データを格納する記憶部と、所定時刻を基準として前記計測データの予測値を算出する算出部と、を備え、前記第1サーバは、前記計測データの予測値に基づいて前記制御指令を生成する生成部を備える、分散電源制御システムである。
【0123】
第2の特徴は、第1の特徴において、前記第2サーバは、前記第1サーバの要求に応じて、前記計測データ又は前記計測データの予測値を前記第1サーバに送信する送信部を備える、分散電源制御システムである。
【0124】
第3の特徴は、第1の特徴又は第2の特徴において、前記第2サーバは、前記計測データの予測値を前記第1サーバに送信した場合に、前記第1サーバから特定指示を受信するまで、前記分散電源の動作を制限する制御部を備える、分散電源制御システムである。
【0125】
第4の特徴は、第1の特徴乃至第3の特徴の少なくともいずれか1つにおいて、前記算出部は、前記第1サーバによって指定された前記所定時刻を基準として前記計測データの予測値を算出する、分散電源制御システムである。
【0126】
第5の特徴は、第1の特徴乃至第4の特徴の少なくともいずれか1つにおいて、前記第2サーバは、前記第1サーバによって指定された条件に基づいて、前記計測データの予測値の算出対象とされる前記分散電源を選択する選択部を備える、分散電源制御システムである。
【0127】
第6の特徴は、第1の特徴乃至第5の特徴の少なくともいずれか1つにおいて、前記第2サーバは、前記計測データの予測値を前記第1サーバに送信した場合に、前記計測データの予測値に対応する条件が満たされた場合に、前記分散電源の動作を制限する制御部を備える、分散電源制御システムである。
【0128】
第7の特徴は、第1の特徴乃至第6の特徴の少なくともいずれか1つにおいて、前記第2サーバは、前記制御指令の想定される予定時刻が特定時刻よりも後である場合に、前記計測データの予測値に対応する前記分散電源の動作を制限せずに、前記予定時刻が前記特定時刻よりも前である場合に、前記計測データの予測値に対応する前記分散電源の動作を制限する制御部を備える、分散電源制御システムである。
【0129】
第8の特徴は、第1サーバが、施設に設置される分散電源を制御する制御指令を生成するステップAと、第2サーバが、前記第1サーバと前記分散電源との間において前記制御指令を中継するステップBと、前記第2サーバが、前記分散電源に関する計測データを格納するステップCと、前記第2サーバが、所定時刻を基準として前記計測データの予測値を算出するステップDと、を備え、前記ステップAは、前記第1サーバが、前記計測データの予測値に基づいて前記制御指令を生成するステップを含む、分散電源制御方法である。
【符号の説明】
【0130】
1…分散電源制御システム、11…ネットワーク、12…電力系統、100…施設、110…太陽電池装置、120…蓄電装置、130…燃料電池装置、140…負荷機器、160…EMS、190…測定装置、200…第1サーバ、210…通信部、220…管理部、230…制御部、300…第2サーバ、310…通信部、320…管理部、330…制御部